マルチバンドアンテナシステム Feed

2014年9月21日 (日)

プリセットMTU作り変え

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

自作ATUの製作が進行中なので、このATUを防水BOXに収納する為、個々のMTUのサイズダウンを行い、ほぼ同サイズの新しいコンテナBOXを用意し、全バンドのMTUを作り変える事にしました。

 

Mtu140926

Mtu2_c

コンテナBOXはアステージのNTボックス#22で、従来より横幅が10mmくらい広くなりました。この中に、幅を約8mm切り詰めたMTUを16台収納可能なように配置し、右側の一番下にバリコン式ATUを収納しました。 このATUについては、バリコン式ATUの実装 を参照下さい。

新作したプリセットMTUは従来のMTUをサイズダウンして収納するだけのもので、目新しい細工は考慮しませんでしたが、いざ実装の段階になると、技術的な問題が続出し、従来のMTUを大改造する羽目になってしまいました。

このアンテナシステムをMMANAでシュミレーションした結果は、インピーダンス値は低めに出るものの、共振周波数はかなり合致していました。 しかし、TLWによるアンテナチューナーのシュミレーションと実際のMTUの設定定数はローバンドはともかく、ハイバンドは全く一致していない状況でした。 そこで、このBOXを新作したのを機会にBOX内の電気定数を調べてみる事にしました。 その結果、各MTUをリレーに接続するコモンラインの容量が50PFもある事が判りました。この50PFはTLWのシュミレーション定数のひとつである「Output Stray Capacitance」に相当します。通常デフォルトで10PFと設定されますが、実は10PFではなく50PFであったという事です。そして、この容量を50PFにすると、ハイパスTタイプのチューナーでも整合する定数が得られますが、実際は整合しないというバンドが続出します。 その原因はMTUの入力側の浮遊容50PFの存在です。 この入力側の浮遊容量はTLWでもシュミレーションの対象ではなく、計算上は常に0PFとして扱われます。 従来は、これが原因で整合しないチューナーを同調フィーダーの長さを変えてごまかしてあったという事が判った次第です。 このごまかした長さは2m分でしたが、これが、天候で整合状態をころころ変化させる原因のひとつにもなっていました。 MTUを作り替えたついでに、この不安定となる2mの追加フィーダーを廃止し、アンテナから垂直に引き降ろした約4.5mのみで整合させることにトライしました。

このアンテナの給電点付近にはフロートバランが挿入され、実測したインダクタンスと浮遊容量と前述の50PFを加味してMMANAでシュミレーションしても、共振周波数はほぼ一致しますが、MMANAから算出したインピーダンスを元にシュミレーションしたチューナーの回路では、全く整合できません。従い、シュミレーションを当てにせずに整合回路を模索する事になります。 14メガから28メガまで全バンド、ハイパスTタイプでは、いくらやってもSWR2以下になりません。これらのバンドについては、ハイパスTにこだわらず、整合可能な回路方式を含めて検討する事にしました。

Mtu2_b大きなコイルは使えませんので、インダクタンスが4μH以下のコイル1個、最大容量150PFのバリコン2個で変形したチューナーを空中配線で作り、うまくいきそうになったら、改造したコイルと、手作りポリバリコンに置き換えるという試行錯誤を行った結果、全バンド整合可能になりました。

左は各バンド毎のチューナーの基本回路です。コイルはカット&トライですが14MHz以上のバンドでは、最大でも直径18mmのボビンに21ターンとなっています。

80m,75mバンドは従来通り、ローパス型、パイマッチタイプです。このバンドは容量性リアクタンスがかなり大きいので、ハイパス型を使うと内部ロスが増大します。 このパイマッチ式チューナーのロスは50%くらいです。  送信機側のバリコンは2000PFを超えますので、大半は固定コンデンサで、ポリバリコンは微調整するだけとなります。雨が降ると、この微調整の範囲を超えてしまいます。

40m及び30mバンドは、ハイパス型Tタイプです。これらのバンドでのチューナーロスは5%から15%くらいです。リアクタンスは30mで+300Ωくらいになっています。 調整はかなりクリチカルです。天候により大きく整合状態が変わります。

20mバンドは50Ω以下の抵抗成分と、+200Ωくらいの誘導性リアクタンス成分になります。基本形はローパス型Lタイプですが、出力側でVCによる調整を行っています。 この回路ズバリの挿入ロスのデータはありませんが、5~10%くらいのロスになると思われます。

17m及び15mバンドと10mバンドはキャパシタンスインプット、インダクタンスアウトプットの変形回路です。 抵抗成分が50Ωよりかなり低く、アンテナのリアクタンスが容量性を持っている場合、この回路がバンド幅も広くなり使いやすくなっています。

12mバンドはハイパスTタイプのコイルをVCで可変しています。 200Ω以上の抵抗成分と+600Ωくらいのリアクタンス成分となっておりますが、調整は以外とブロードです。

これらの検討を行う途中で、このMTUを接続する場所にクラニシのNT-636を持って来て、調整すると、どういう訳か、全バンド整合できます。NT-636はハイパス型Tタイプオンリーですが、整合してしまいます。NT-636は整合出来るのに、私の自作のハイパス型TタイプMTUはなぜ整合できないのか調べた結果、その最大の原因は、MTUの入力側に存在する50PFの浮遊容量の有無でした。 NT-636を接続した場合、出力側の50PFは同じように存在しますが、入力側の50PFは存在しません。 この事は、後日、同じハイパスTタイプのATUを実装する時、役立つ事になりました。

現在の最新配線図 MTU-PIC3.pdfをダウンロード

(エンコーダー側のPICkit3接続コネクタの配線に誤りがありました。)

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2014年4月26日 (土)

160m用アンテナ追加

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

常設ではありませんが、160mバンド用としてマルチバンドアンテナシステムの中に加える事にします。 

<2017年2月書き換え>

160mvertical201702

ペットボトルに巻いたローディングコイルを使ったホイップアンテナから長さが40mもあるロングワイヤーまで、色々と実験しましたが、展開できる環境のなかで、一番良かった、現用スカイドアループや垂直ダイポールのエレメントを共用した垂直アンテナに落ち着く事になりました。 ただし、このアンテナは160m用ロングワイヤー(LW) 1 にて紹介の通り、出力によりアンテナの共振周波数が変わるという問題を抱えていましたが、その後、160m垂直アンテナ にて紹介の通り、この問題も解決しました。

左のSWRカーブは2017年2月に広島WASコンテストに向け再セットアップしたときのSWR特性です。結構広帯域です。

160mにQRVする時は、アンテナワイヤーの大がかりな接続変更を伴いますので、手軽にQSYは出来ませんが、160mバンドのコンテストの時は期待ができそうです。

アンテナの整合BOXを置いた場所は、猫のいい遊び場です。 時々、このBOXの上に乗っている事もあります。(画像は2014年1月のものです)

160m_box_cat

2008年10月から同調フィーダーによる給電方式で使い始め、2011年5月にプリセット式MTU方式に変更し、台風で壊れたりした、このアンテナシステムで、2017年11月時点に於いて交信出来たDXCCエンティティーは、全バンドで238。 各バンド毎では、

160m 80m 40m 30m 20m  17m 15m  12m 10m  6m

   8      34    94   108  141  181  195   149  124   19

 

このアンテナシステムを降ろすまでは交信記録を更新していきます。   最近はコンディションの悪化とON AIR回数の減少でなかなかエンティティーが増えません。

2017年12月16日  久々に 40m Bnd New(OJ9X)をゲット。

現在のマルチバンドアンテナシステムの全容は以下の通りです。

2017年1月末にスカイドア部分のアルミ線が金属疲労で断線しましたので、スカイドアのループのワイヤーは全て入れ替えました。

Mutiantsys2_2  

プリセットMTU作り変え へ続く

7MHz用垂直ダイポールと最高高さ7mの逆Vとの比較はこちらにあります。

Skydoor180120

2018年1月、風圧面積を少しでも少なくする為、HFスカイドアの横幅を2.6mから2mに変更しました。 これで、初期の回転半径1mのHFループアンテナに戻りました。

このアンテナを上げてしまってから、6m用のヘンテナの向きが傾いている事に気が着きましたが、ポールの各ジョイントの部分にパイプストッパーの仕掛けをしてありますので、これを分解しないと下げる事が出来ません。 面倒なので、次の上げ下げの機会までこのままです。 

2018年9月

ハイバンドのコンディションも悪化し、色々な事情でアクティビティも下がってきましたので、台風シーズン中であった事もあり、18MHz用スカイドアを撤去し、身軽にしました。 2022年を過ぎたころ、可能なら再度アップするまで、垂直ダイポールと6mヘンテナのみとなりました。

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2013年10月21日 (月)

アンテナシステム立て替え

 <カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

T26_hason四国沖の太平洋を北東に進む台風26号を甘くみていました。夜中の3時ごろ、アンテナが折れて倒れてしまいました。10段つなぎの下から2段目の部分で折れており、アンテナは3階のベランダから逆さまにぶら下がっていましたので、明るくなるのを待って、早々に壊れたアンテナを撤去しました。

アンテナがなければ何もできませんので、立て替える事にしましたが、構造は従来通りとし、スカイドアの横幅を小さくし、見てくれを少しだけ改善することにしました。ポールは10m EXTRAというドイツ製のポールをインターネットで見つけて、その日の内に注文。

 

Sk1310s_2ポールが届くまでの間に、MMANAでシュミレーションです。 横幅を3mから2.6mに縮小した代わりに、従来のループ長を変えない為に、ループの高さを5.4mから5.9mに変更しました。 各バンドの特性を確認すると、14MHzと28MHzで0.2dBくらいゲインがダウンし、21MHzでは逆に0.2dBくらいゲインがアップします。インピーダンスの変化もわずかで、MTUで調整範囲と見込まれます。

次の日、ポールが届いて、プラスアルファの長さを得る為に、余っている釣竿を継ぎ足しますと、なんと12.8mにもなってしまいました。 従来のポールは釣竿を継ぎ足しても11mでしたので、これでは長すぎます。 継ぎ足す釣竿の段数を減らし、ポールの高さは11.5mに留めることにしました。これで、7MHzの垂直ダイポールは上部エレメントのみ50cm長くなったオフセット給電になりますが、MTUのカバー範囲ですので、これもOKとします。

横幅を縮小した為、見た目は、スリムになりました。 また、6mのヘンテナの給電部分が垂れ下がって、アンテナを上げ下げする度に、共振周波数がずれるという問題がありましたので、今回、グラスファイバーの支柱を追加して安定させました。 

ポールの直径が一回り大きくなり、ステーを固定するマストベアリングが、マストの根本から挿入できない事をアンテナが完成してから気づき、アンテナを分解して、マストの先端からマストベアリングを挿入するという、面倒事もありましたが、また、元の位置に立てる事ができました。 色が黒からグレーになった関係で、少し目立ちます。

前回のアンテナは1年半の寿命でしたが、今回はせめて3年はもたせたいですね。

Mtu131207

ベランダに置かれたMTUも若干増加しました。右側の列の上から2番目に有った、3.7MHz用MTUを3.8MHz用に変更し、3番目のMTUは3.5MHzの臨時逆V用のT型MTUに変更しました。  また、一番下に7MHzの臨時逆V用チューナーが追加されました。 

左側の一番下には、3.5MHz用整合回路が追加されました。 この3.5MHz用整合回路は、ローディングコイルとインピーダンス変換用トランスで構成され、チューナーとは呼びませんが、パイ型チューナーより広帯域ですので、最近の国内交信はもっぱらこの整合器を使っています。  ただ、この整合器を使うと、パイマッチのMTUより受信のSが低くなる傾向があり、原因を調査中です。
 

160m用アンテナ追加に続く

 

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2013年1月23日 (水)

3.5MHz ALC動作異常(RFフィードバック)

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

TS-850Sをメインで使っていた時、3.5MHzで、ALCがかかり過ぎ、フルパワーが出ないという問題がありました。TS-930Sの修理が完了して、運用していると、TS-930Sでも少しその傾向があります。 2モデルとも似たような問題があるのなら、これはトランシーバーが原因ではなく、アンテナ系に原因がありそうです。

大進無線から買った、コモンモード電流計で色々なケーブルのコモンモード電流を測ってみると、大きな電流が流れているケーブルが見つかりました。プリセットMTUをコントロールする8芯ケーブルです。同軸ケーブルの10倍以上のコモンモード電流が検出されました。

すでにコネクター加工済みのケーブルですので、コネクターを外さずにチョークコイルが巻けるようにFT240#43というコアを手配し、対策することにしました。

80mcomon1


このアンテナシステムは、「プリセット式MTU 3」 で紹介の通り、Cの部分に厳重にチョークを挿入し、かつ、各トランシーバーからのアンテナケーブルE,Fにもコモンモードチョークが挿入され、Aの部分にもMTUのキャビネット内ですが、チョークが挿入され、全バンドうまく動作していました。  しかし、BとDの部分にはチョークは入っていない状態でした。

Img_0310
そこで、DとBの位置にチョークを追加し、コモンモード電流を1/20以下にしました。 左の写真はプリセットコントローラーに内臓されている送信機、アンテナの切り替え回路に接続されるケーブル類に追加された、トロイダルコアに巻かれたコモンモードチョークです。

DとBにコモンモードチョークを挿入したことにより、3.5MHzのプリセットMTUの整合がずれました。  コントローラーケーブルが悪さしていた影響が無くなった為でしょうから、MTUを再調整してALCテストを実施してみました。 ところが、全く改善されません。

思考錯誤の結果、Aの部分にFT240コアによるチョークをいれると、ALC動作の異常が無くなりました。 今まで挿入されていたクランプコアによるチョークでは能力不足だったようです。

80mcomon3左の写真がプリセットMTU側に挿入されたコントロールケーブル用コモンモードチョークと同軸ケーブル用コモンモードチョークです。 これで問題点が解消した理由は以下の通りです。

プリセットMTUとリグの間はケーブル長で約22mあります。  3.5MHzの場合、1/4波長の長さに近いですから、プリセットMTU側から流れ出た電流はリグ付近では電圧腹を少し過ぎたあたりでかなり高い電圧がかかっていたようです。この高電圧がトランシーバーへフィードバックしALC用のレベルピックアップ回路を誤動作させていたものでした。

また、この電圧腹の付近には火災報知器の検出器があり、時々、3.5MHzのアンテナの調整を間違うと火災報知器のベルが鳴りだす原因でもありました。

 

コモンモードチョークはMTUの近くに挿入しただけで、ALC動作異常は解消しましたが、現在は、コントローラー側を含めて、両方に挿入してあります。

6m_chorkこのマルチバンドアンテナシステムには、6m用のヘンテナも同居しており、ベランダの手すり付近でバランによる、平衡/不平衡変換とインピーダンス変換の後、そこから、約20mの同軸ケーブルでリグに接続しております。

この6m用の同軸ケーブルはシャック内では、長さに余裕があり、バランに接続するベランダ側では、ギリギリの長さになっていました。 その為、宙吊りのバランに張力がかかり、リード線の被覆が割れてしまい、中の導体があらわになっている状態でしたので、この同軸ケーブルを50cmくらいベランダ側にたぐって、張力を緩和してやりました。

数日後、コンテストに備えて、3.5MHzの試験電波を出したところ、火災報知器のベルが鳴りだしました。 翌日、詳細をチェックすると、この6m用の同軸にも3.5MHzが乗り、ちょうど火災報知器の当たりで電圧腹になった事がわかりました。わずかに、50cm移動しただけでしたが、これが致命傷になったようです。結局、この6mの同軸ケーブルにも、チョークコイルを追加する事になりました。

 

チョークを挿入してから、3.5MHzも7MHzも、近隣の局からの応答率が、さらに悪くなりました。 今まで、地上高8mに水平に展開していたコントロールケーブルや同軸ケーブルがカウンターポイズの役目をして、打ち上げ角を高くしていたと思われます。 国内コンテストの時だけは、臨時の2バンド用のフルサイズ逆Vでトライする事にします。

Comon2m_2

しかしながら、まだ、火災報知器が誤動作する要因が有りました。HFアンテナのすぐそばに2m用のJポールが立っており、このアンテナの同軸ケーブルも22mくらいあります。  たまたま、この同軸をリグから外していたところ、3.5Mhzで30W以上出すと、火災報知器が鳴り出します。同軸ケーブルのGNDをリグにつなぐと、鳴りません。  3.5メガのとき、まだ、打ち上げ角を下げられない要因があるみたいです。この2m用同軸ケーブルにも、FT240によるチョークを追加する事にしました。当初5D2Vの同軸を5ターンしか巻いていませんでしたが、火災報知器の誤動作は解消していました。 しかし、4エリアや5エリアの局の信号が結構強く入感するので、打ち上げ角はあまり改善していないようです。そこで、3D2Vの同軸に変更し12ターン品に変えました。これでしばらく様子見です。

2014年10月

このHFのスカイドアに近接したJポールはスカイドアのエレメントと干渉して、特定の方向にヌルポイントを生じさせる事が判りました。 その為、3.5MHzの打ち上げ角への影響を確認する前に、Jポールのアンテナごと撤去されてしまいました。

 

 

アンテナシステム立て替え へ続く


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2012年11月13日 (火)

プリセット式MTU 4

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

プリセット式MTUをフルに使用して1年以上経過しました。この間に行われたDX、国内コンテストに参加して、それなりの成果が得られていますので、シンプル構成のアンテナシステムにしては、上出来と思っています。

Mtu111年以上も経過すると、色々とトラブルも発生します。 24MHzに使われているポリバリコンのPPシートが熔けて、アルミ板にくっついている事があります。運用上は特に問題はないのですが、何が原因か判りません。中国製A4サイズ20枚で100円のPPシートの品質なのか?

21MHzをアナライザーでSWR1.0に調整した後、実際に100Wで送信すると、SWRが2を超える時があります。この状態で、再度アナライザーでチェックすると、SWR2を超えています。絶縁破壊が起こった時の症状です。21MHzのPVCのPPシートを見ると、ごみがついたように汚くなっています。分解して調べると、ごみではなく、表面がすりガラス状に解けているものでした。 やはり、PPシートの品質の問題みたいです。

ホームセンターからブランド名が通った赤色のPPシートを買ってきてハイバンド側全部を交換して様子を見ることにしました。  途中で赤色のPPシートを使い切りましたので、趣きを変える為、黄色のPPシートに変えてみました。絶縁性能は赤も黄色も差はありませんが、黄色のPPシートは透明度が悪く、ポリバリコンのローターの羽をそろえるのに苦労します。 黄色を使い終わったら、また赤色に戻す予定です。  最初の中国製PPシートより、20倍くらいの価格のこのPPシート(アクリサンデー PPクラフトシート PF-12、三菱レーヨン製)は、とりあえず問題なしで使えそうです。

 ポリバリコンはローターとステーターの隙間管理はラフで良いのですが、一度絶縁破壊が起こると、絶縁材を交換するしか対応方法はありません。エアバリコンのように、絶縁破壊が起こっても、パワーを少し下げればすぐに使える便利さは有りません。


3.5MHzをTタイプで作成して、耐圧問題でπに変更しましたが、この時の絶縁破壊も安物のPPシートが原因だったのかも知れません。ただし、チューナー内部ロスはT型が大ですので、π型にしたのは正解でした。

Mtu12m_2 各MTUのコイルに使われているボビンは黒色のABS製です。黒色はカーボンで着色されているから、高周波では損失が増えそうだという話を聞き、透明アクリル製のボビンに交換してみることにしました。 たちまち、気が付くような効果は見られませんが、少し時間をかけて観察することにします。

アンテナのメンテナンスの為に何度も倒したり、立てたりする内に、ループと垂直ダイポールの支柱を兼用している鉄製のパイプが弓なりに曲がってしまい、見苦しくなったことと、この曲がりの癖の為にやや強い風でアンテナの向きが変ってしまうという問題が出てきました。アンテナチューナーの課題は収束しつつありますので、唯一不満のアンテナの帯域幅を改善したく、全面的に立て替えることにしました。と言っても、垂直ダイポールとワンエレループの構造は変えません。

Newskydoor 支柱の材料を10m長のグラスファイバー製ポールに変更した上で、細での釣竿を継ぎ足して11m長に変えることと、ループの横幅を2mから3mに変更して帯域幅を現行の1.5倍以上に広げることです。 横幅を広げた結果、縦横比が1.7くらいにしかなりませんので、もうスカイドアとは言えないかも知れませんね。 また、ローバンド用の垂直ダイポールは、線材を3.5mmSQのKIV線に変更し、上部エレメントの最高部は18mまで上げ、下部エレメントは、最下部で1mを折り返しています。 

当初、ループの線材も3.5SQのKIV線で作ったのですが、重くて、釣竿がピンと支えてくれません。やむなく、ループだけは2mmのアルミ線としました。

この変更工事が完了した時点で、MTUは全部再調整となりましたが、初期の頃あった経時変化も収まっていましたので、バリコンの角度調整だけで20mバンド以外は整合できました。 20mバンドは、リアクタンスの変化が大きかった為、コイルを含めて変更となりました。

プリセット式MTUが成功する前提として、同調フィーダー(又の名をハシゴフィーダー)の存在が欠かせません。ひとつのエレメントをマルチバンドで使用するとき、同調フィーダーというのは、とても便利なものであることが判りましたが、今までの試行錯誤の経過から、同調フィーダーはあくまでもアンテナの一部であると言う事を肝に命じる事になりました。
同調フィーダーは自由空間に置かないといけない。金属材料と平行したり、鴨居をくぐったり、天井裏を走ったり、ベランダの柵に束ねたりしたら駄目なんです。

同調フィーダーのセパレーターとして使っているトリカルネットは、4年でボロボロになりました。日光が当たらない所は問題ないので、ボロボロになった部分のみ取り替えました。 黒色のネットなら寿命が長いそうですが、残念ながら、当地のホームセンターには白色しか在庫がなく、取り寄せた場合、1巻(何mは不明)全部購入になるとの事で、今後4年に一度くらいは、定期的に交換するしかないようです。


 

3.5MHz ALC動作異常(RFフィードバック)に続く。

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2012年7月11日 (水)

プリセット式MTU 3

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

14MHz以上のハイバンドのMTUが完成したので、次は、10MHz以下の対応です。ハイバンドのMTUを検討している最中に「TLW」という名のアンテナチューナーのシュミレーターを使い始めました。ARRL発行のCD-ROM版アンテナハンドブックの中にあります。(うまくいかないアンテナチューナーを見かねた、1エリアのOMさんがわざわざ送ってくださった物です。) このシュミレーターソフトの利点はバリコンにかかる電圧とチューナーのロスが一発で判ることです。特に耐圧問題で悩んでいる時は重宝します。

3.5MHz用のMTUのコイルをシュミレーターソフトで計算したら、当然、直径18mmのボビンでは不足です。直径34mmに変更して、このサイズをベースにMTUを並べたときの寸法を決めます。

Img_3086_2Img_3108_2

MTUは3.5,  3.7, 3.8, 7.0, 7.1, 10.1の6個並べる予定ですので、アルミアングルのスリット位置を決めていきます。 まず3.5MHz用を作成し、テストすることにしました。出力50Wくらいで、ものの見事にバリコンが絶縁破壊。いままでのシュミレーションでヤバイと思っていましたが的中です。T型では無理と、このバンドはπタイプに変更決定。バリコンの容量を増やす為、3枚しかない羽を5枚にしたポリバリコンに、45年くらい前に確保していた50V耐圧のセラミックコンデンサをパラ付けして調整完了。シュミレーションでは数百ボルトの電圧になりますが50V耐圧のセラミックコンデンサは良く耐えます。最近のセラミックコンデンサは耐圧オーバーしたら正直に絶縁破壊しますが、昭和40年代のセラミックコンデンサは50Vと書いてあっても1000Vくらいの耐力がありました。やみくもに使っている訳ではありません。決して真似しませんように。

Img_3111 7MHz用も惰性でπタイプで製作。10MHz用はTタイプです。 7MHzで出力を上げていくと、SWRが少しづつ悪化していき、100Wにするとほぼ無限大に。こういう変化をするのは、大抵フェライトコアが関係するのですが、案の定、バランとして使っていたフェライトコアがあっちっちで、一部のワイヤーのビニール絶縁が溶けています。どうも、雑に作ったバランが7MHz付近で共振したみたいです。バランを廃止する検討を以前やったことがありましたが、バランを廃止したとたん、24や28メガでノイズが増えるという現象があり、一応バランはそれなりに役立っているため、廃止は出来ません。シャックの中にあるMTUで使っているバランはすでに2年使って問題なしですので、これと交換しました。

クランプコアに巻いた、このバランは、浮遊容量が大きく、ローバンドでロスを増加させていましたので、フェライトバータイプに変更しました。詳細は、バランによるロスを参照下さい。

Img_3103_2 すると、バランに含まれるインダクタンス成分が変ったことによりハイバンドの全バンドを再調整する必要が生じました。調整はMTUですからすぐに完了し、念の為と、送信テストすると、18MHzでスパーク発生。ポリバリコンのPPシートに穴が開き、絶縁破壊していました。バランを交換したことにより、MTU位置での電圧値が変り、5KV以上の電圧がかかった模様です。せっかく落ち着いていた絶縁破壊のトラブルがまた再燃してきました。

TLWとMMANAを駆使して同調フィーダーの最適長を割り出すと、現在のMTUの並びが悪い事がわかりました。従来は9台のMTUを上から周波数の高い順に並べていました。特に深い理由などなく、周波数が高いから上、くらいの認識です。また、アンテナ、MTU、同軸ケーブルの配置も集中定数的な考えで、MTU BOXの中の取り付け状態によりMTUの位置が40cmも違うという事も無視されていました。かって、同調フィーダーを10cm間隔で切断して調整するような作業も意味をなさないような構造です。

Mtusetuzoku1 ここは分布定数的な考えで、同調フィーダーの長さがシビアに効く周波数の高いバンドのMTUを一番アンテナに近いところに置き、MTUの配置による誤差を最小とし、かつ信号の流れも分布定数の考えを取り入れ、すっきりさせました。この結果、バリコンにかかる電圧がほぼシュミレーション通りとなり、シュミレーションで得られた同調フィーダーの長さでフルパワー運用が可能になりました。

3.5MHzをアンテナアナライザーで調整したときとのSWR最小周波数が実際の送信状態でのSWR最小周波数とずれを生じます。

以前、この対策の為、アナライザー調整時も同軸ケーブルのGNDはMTUにつなぐ必要ありとして、そのように対応してきたのですが、3.5MHzでは20KHzくらいずれます。原因は同軸ケーブル側に設けたコモンモードフィルターの能力不足でした。フェライトコアに3D2Vを7ターン巻いたフィルターを1個から2個にしたら直りました。

7MHzはアンテナ単体でほぼ目的の周波数に共振しており、7MHzのMTUはインピーダンス整合だけの役目しかしていないのですが、このような状態で雨が降ると、リアクタンスの変化が大きく、πタイプのMTUでカバーしきれないという問題が発生しました。晴れた日に調整して置き、雨が降ったからと再調整しようとすると、コイルまで修正しなければなりません。これは非常に不便です。ここで、Tタイプにした時のバリコンにかかる電圧をTLWで調べると、共振周波数にほぼ合っていることもあり、100Wでも500Vくらいしか加わらないことが判りました。また、チューナーによるロスはπタイプが1%くらいに対してTタイプが5%くらいです。調整の不便さからこのロスの差は我慢することにして、7MHzはTタイプに戻しました。

 MTUの完成度が上がってくると、今まで、こんなもんだろうと妥協していた部分も気になるようになります。28MHzは28.05MHzと28.5MHZを中心としたふたつのMTUで構成していますが、このMTUに使われているコイルに、かなり大きな差があります。ひとつが4ターンなのに、もうひとつは6ターンです。シュミレーションしても、この付近にリアクタンスの変極点はないので、少なくともバリコンの角度は変っても、コイルは同じもので良いはず。 思考錯誤していましたら、コントロールケーブルの中のワイヤーを、指で触れると整合状態が変る事を発見。どうも、28MHzの信号がケーブルの芯線に流れ込んでいるみたいです。  その芯線は、リレーを選択する4ビットライン。このラインにはチョークコイルをいれてあるはずと、探しても見つかりません。どうやら付け忘れ。ジャンク箱にあった100uHくらいのコイルを4個追加しましたら、28MHzのふたつのMTUのコイルは、いずれも、4ターンで整合が取れるようになりました。

Feeder_2

左側の画像は、MTUに接続される同調フィーダーや、同軸ケーブル、コントロールケーブを処理した状態です。 ハイバンド用のスカイドア用同調フィーダーは当初設定より2m長くしましたので、画像のごとくジグザグ状に束ね、かつ機械的に動かないようにプラスティックの支柱に縛り付けてあります。 雨が降ったり、強風によりSWRが変化する量をかなり改善できています。

7MHz用垂直ダイポールをMTUを使い、3.5から10MHzまでカバーするようにしたアンテナシステムが出来上がりました。7と10メガのノイズは減少しました。7メガでは、Sふたつも減少しましたが、同時に信号も、Sふたつ落ちました。1000Km以上離れた局はそれほどでもありませんが、近隣の局ほどSの落ち込みが大きくなりました。JCC移動局をコールしたら以前は、一番か、かなり早い順番でピックアップしてもらえたのに、このMTUでは、なかなかピックアップしてくれません。中にはコールしてスタンバイするとCQを出していたとか。どうやら水平に張ってあった同調フィーダーからかなり輻射していた模様です。それがなくなった為、打ち上げ角が下がり、国内交信能力は大幅に落ちてしまいました。 一方、DXに対しては応答率がかなり上がり、コンテストのときなど、一番最初にピックアップしてもらえる確率が増えました。 これが本来の姿でしょうから、国内QSO対策は別途考えることにします。

10MHzは最近DXの入感と巡り合う機会が少なくなって比較しにくいですが、100エンティティをWorkedできました。

3.5MHzは逆にノイズも信号も上昇しました。その程度はS1くらいです。原因は同調フィーダーによるロスとアンテナチューナーによるロスを、合計で約6dBくらいの改善が出来ていますので、それがそのまま、受信時のSメーターの振れになっているようです。 また、帯域幅が大幅に向上しました。  同調フィーダー使用時のSWR1.3の帯域幅は、13KHzしかありませんでしたが、これが47KHzまで広がりました。
ただ、4エリアや5エリアに対して、このアンテナでは、ストレスが溜まるくらい飛んでくれませんので、国内コンテストの時は、臨時にフルサイズ逆Vを仮設しています。

プリセット式MTU 4へつづく 

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プリセット式MTU 2

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

9台のMTUをケースに収納するところまで出来ましたので、いよいよ、個々のMTUを目的の周波数で整合するように調整(プリセット)していきます。

Img_2955 プリセットは便利なアンテナアナライザーで行います。一番上が28MHz用で下に行くほど周波数が下がり、一番下は14MHzです。 28MHzから調整を始めますが、このバンドは最初に手作り試作して確認してありましたので、バリコンを回すだけで整合しました。しかし、24MHz以下、全てのバンドでバリコンの調整範囲を超えてしまい、コイルのタップ位置変更か、巻きなおしになってしまいました。また、構造的に上下のMTUに挟まれたMTUのコイルをいじる事ができませんので、それより下側にあるMTUは一度全部取り去り、コイルを交換なり、巻き数ダウンを行い整合可能になったら、次のMTUを取り付けて、また同じ作業を行うという繰り返しです。ここで、システム設計上の問題点が発覚しました。ベランダに置かれたMTUはリレーで選択切り変えられるのですが、その切り替えはシャック内にあるコントロールBOXからしか出来ないことです。ひとつのMTUの調整が終わると、シャックに戻り、ロータリーSWで次のMTUを選択しては、ベランダに戻り、調整を行うという作業は2日間もかかりました。

一通りの調整が出来て、実際に送信機から10Wくらいの出力で各バンドのSWRをチェックしていきます。アンテナアナライザーでSWR最小の周波数と送信状態でのSWR最小の周波数にズレが生じています。原因は、アナライザーを接続したとき、送信機までの同軸ケーブルをはずしていたので、アンテナとMTUが宙に浮いた状態になっていることでした。アナライザーで調整中でも同軸ケーブルのGND側は常にMTUにつながっているようにすると、この周波数のズレは無くなりました。

全バンド確認が出来ましたので、14MHzから順次、フルパワーでの動作テストです。 10Wから序々にパワーを上げていき30Wになったところで、SWRが無限大に。ベランダとシャックは8mくらい離れた別部屋なので様子が判らず、てっきりバリコンが絶縁破壊?かと調べてみると、配線に使ったリード線が異極に接触してビニール絶縁が黒こげになったり溶けていました。バリコンの耐圧には十分配慮したのに、配線はお粗末。

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Img_3022 結局、全部のMTUを抜き取り絶縁距離が確保できるように線処理のやり直しです。バリコンが回転しても線がぶらぶらしないように、また、隙間の狭いところは同軸ケーブルの芯線で配線して絶縁距離を確保しました。

全てのMTUを再調整して、また14MHzからフルパワーテスト。18,21MHzと100Wフルパワーでも異常なし。9台のMTUのうち、6台までOKです。ところが、24MHz 50W出力でSWRメーターがフラフラと揺れます。ベランダに見にいくと一番下の14MHz用MTU当たりから白い煙が上がり、しかもバリバリと音がしています。

慌てて、シャックに戻り、送信を中止。 まだテストしていない28MHzはどうかと出力を上げると50WはOK。しかし、100Wで突然SWRが無限大になります。原因を調べねばなりません。 煙を出したのはどうもリレーみたいです。また、14MHzのMTU付近のリレーの部分は電圧腹となって一番高い電圧になっていた模様。MMANAでのシュミレーションでも24MHzは電圧給電に近い状態でしたので、MTUの接続ポイントの電圧が下がるように同調フィーダーの長さを変えることにしました。このフィーダーの長さ変更は逆に問題なかったバンドでの電圧上昇を伴います。24MHzと相反する状態になるのは18MHzと28MHzです。結局同調フィーダーを10cm刻みで切っていき全バンド100W送信OKの長さを求めることにしました。切りすぎてまた継ぎ足したりしてやっと長さを決定。当初の同調フィーダーの長さより2m長くなりましたが、一応完了。晴れて、全バンドフルパワーで使用出来るようになりました。

安心したのはほんの2~3日。21MHz以上のバンドでCW QSOをフルパワーで開始するとSWRが無限大になります。最初は100Wで発生しましたが、そのうち50Wでも発生するようになりました。   どうやら、リレーの内部で絶縁破壊が起こっているようです。使用していたリレーの電極とコイル間の耐電圧は1500VAC。 今まで実力でもっていたのが繰り返しの絶縁破壊で劣化してしまったようです。対策はリレーをより高耐圧のものに交換するしかありません。

Img_3023 Img_3031

秋月で5000V耐圧のリレーを購入し、全部のリレーを入れ替えると同時に、いちいちシャックに戻らなくてもバンド切り替え可能なSWを追加しました。 この作業は約2週間かかりましたが、構想開始してから、すでに4ヶ月、やっと全バンドフルパワー運用が出来る状態になりました。

このプリセット式MTUと従来の同調フィーダー給電方式とをリレーを使い、簡単に切り替えられるようになっています。少なくとも受信比較はすぐに出来ます。全バンドでSふたつ程ノイズが下がりました。28MHzでは受信信号のSも上がり、従来339くらいの信号が559まで改善しました。送信は簡単比較ができませんが、指向性がまともに効くようになったようで、アンテナが45度以上横を向いていると、コールしても取ってくれない事が多くなりました。正常に動作しだした証拠です。 RFのフィードバックも解消しました。今まで、14MHz以上のバンドではRFフィードバックでフルパワー運用が出来なかったTS-850Sも問題ありません。 QSYがマニュアルチューナー時より劇的に改善しました。ATUでもQSYの度にチューニング操作が必要でしたが、今は一切不要です。ロータリーSWをカチカチと切り替えるだけ。

課題もあります。MTUに経時変化があり、2日もすると、整合状態が狂ってしまいます。バリコンのバックラッシュで調整に難儀します。 

雨が降ると、アンテナもMTUも湿度による影響を受け、整合状態が狂います。

Pre Set MTUの配線図をダウンロード

プリセット式MTU 3に続く

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2012年7月10日 (火)

プリセット式MTU 1

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

TタイプのMTUをバンドの数だけ並べて、QSYする度に、使用するMTUを選択するチューナーを作ることに決めましたが、どうもバンドの数だけでは足りないようです。現用のスカイドアアンテナはその飛びという面では期待以上の成果をもたらしてくれますが、バンド幅が狭いという欠点があります。クラニシのMTUで確認しても、14MHzはCWとSSBでそれぞれ1台の計2台。 21MHzはCW、国内SSB、国内コンテストと3台。28MHzでも+/-70KHzくらいしかカバーしませんので、CWとSSBで最低2台。これに18MHzと24MHzを加えると14-28メガだけで9台も必要です。バリコンはMTU1台に2個使いですから、18個も必要となります。いくら暇とは言え、これは大変です。

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まず、MTU1台の最適寸法を決めますが、それは100円ショップで売っているポリエチレン製のまな板で決めることにしました。1枚のまな板から4台分のMTUベースを板取します。 このサイズをベースにMTUを24台分収納できる防水ケースを確保し、アルミアングルで固定枠を作り、整然と並べていきます。

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Img_2928 約1ヶ月かかり、9台のMTUを並べ終わりました。ただし、コイルは計算で出したインダクタンスになるよう巻き込んだだけですから、実装が終わったら各バンドごとにアンテナアナライザーを使ってトリミングが必要です。

コントロールはシャックに置いた、12接点のロータリーSWで行いますが、どのSWを選択したかをC-MOS ICでエンコードし、シリアル信号として、アンテナチューナーに送り、これをラッチ付きデコーダー回路でデコードし、目的のリレーをON/OFFさせるという、誰もが考え付く回路で試したところ、10W送信しただけで回路が誤動作。C-MOSがRFを拾いやすいのだろうと考え、TTLに変更したら少しは良くなったものの、50Wで誤動作。目標は100Wで安定動作ですから、TTLも却下。結局、12接点の情報を一度4ビットの2進にダイオードマトリクスで変換し、それを4本の線でアンテナチューナーに送り、ダイオードマトリクスとトランジスタだけでデコードするという、50年前のDTL回路に落ち着きました。実際の回路はこの4本の線にもう1ビット加えて合計24台をセレクトできる回路にしました。 また、必ず必要となるコモンモードチョークをコントロールケーブル側に予め内臓させました。

コモンモードチョークをキャビネット内に内臓させた場合、見た目はきれいに収まりますが、回路に近すぎて、チョークから外部へ引き出すコネクターまでの短い、経路に高周波が誘導し、チョークの効果がほとんど効かない事が後でわかりました。コモンモードチョークは不恰好でもケースの外に置いた方が良さそうです。

プリセット式MTU 2に続く

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2012年7月 9日 (月)

アンテナチューナー(MTU)の自作

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

18MHz用スカイドアアンテナと7MHz用垂直ダイポールをベランダに設置し、ATUでオールバンド対応できるアンテナを、あえてMTUでトライするマルチバンドアンテナの実用記です。

L型アンテナチューナーは挿入ロスが少ない反面、コイルもコンデンサも可変でないと使いこなすのに苦労します。特にコイルの可変は高度の工作技術が必要ですので、手におえません。せいぜい、バリコンを自作して実現できそうなチューナー回路としてハイパス型Tタイプとローパス型π(パイ)タイプがあります。広範囲のインピーダンスに整合するには、Tタイプの整合回路が適しますが、整合状態での帯域幅が狭く、バリコンに高耐圧が要求されます。また、アンテナインピーダンスが50Ωより低い程、容量性リアクタンスが大きい程、ロスがπタイプより大きいという欠点があります。πタイプはTタイプと反対の特性を持ちますが、対応するインピーダンスの範囲が狭く、かつ、バリコンに要求される容量が比較的おおきくなり、バリコンを自作する場合ネックになりそうです。

Mtu0

色々検討して、7MHzでも100PFのバリコンがあれば整合可能で、ロスも5%くらいと思われるTタイプでMTUを試作することにしました。

バリコンはポリプロピレンシート(PPシート)を絶縁に使ったポリバリコンで110PFくらいの最大容量とAC4KV以上の耐圧を目標とします。
0.1mm厚のPPシートはDC4KVの耐圧がありますので、0.2mm厚のPPシートを使用します。DCで規定された耐圧を単純に√2で割ってもAC時の耐圧にはならないらしい。実測するしかないみたいです。 また、空間距離1mm当たり、インパルス2KVの耐圧ですから、最低3mmの空間距離や沿面距離があれば、AC4KVを超える事ができそうです。

JW CADでバリコンの部品図を作成し、実物大の大きさでプリントアウトした紙をアルミ板やPPシートに貼り付け、ハサミで切り取っていきます。

Pvcjw Pvc2

左がJW-CADで作成した紙型。 右は切り取ったPPシート。
PPシートセンターは8mmの「穴あけポンチ」と言われる工具できれいに抜きます。

これらの部品をプラスチックの板上に組み立てます。

Pvc3a

出来上がった部品をタッパーの中に組み込んで、28MHzで実験できる試作品をつくりました。

Img_2893 Img_2894

実際のアンテナやダミー負荷で、いとも簡単に整合できることを確認できましたので、いよいよ同様なMTUを各バンドごとに作り、これをリレーで切り替える、いわゆる、「プリセット型マニュアルアンテナチューナー」の製作開始です。

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カテゴリ<マルチバンドアンテナシステム>の「プリセット式MTU 1」 に続く。

MTUではなくATU(オートアンテナチューナー)の製作はこちらを参照ください。

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オートアンテナチューナー(ATU)

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

送信不能になったトランシーバーを貰いうけ、それを修理し、現用機として使用しているTS-930Sの中にオートアンテナチューナーが内蔵されています。動作確認すると、ちゃんと動作します。 しかし、送信機の筐体の中に組み込まれたチューナーは送信機と同軸ケーブルのマッチングをとるチューナーであり、私が欲しいのは同軸ケーブルとアンテナのマッチングをとるチューナーです。 従い、これを取り外して、ベランダに設置すれば、欲しい連続可変のオートアンテナチューナーが手にいる事になります。

Atu_ts930 ただし、カバーするインピーダンスの範囲が通常の外付けチューナーより狭いからどうかな?と思いつつも、とりあえずシャックからコントロールできるように回路を改造して動作テストに臨みました。 7MHzと10MHz、21MHzと整合は出来るけど、その他のバンドは、バリコンの回転が止まらず、そのうちタイムアウトでエラーになります。

チューナーの回路構成はT型とπ型の変形。内部のコイルをいじったりしてインピーダンスの拡大を試みましたが、うまくいかず。構造的には、マニュアルチューナーのバリコンをモーターで回すという基本原理に忠実な構成ですから、巷のリレー式ATUとは一線を引けるものですが、もともとSWR2か3のアンテナを1.5以下にするくらいの能力しかありませんので、今回の目的には合致せずと納得し、もと有ったTS-930の中に戻すことなく物置行となりました。

2014年7月

このATUを物置から引っ張りだし、バリコン式ATUを作る事にしました。詳細は、バリコンを使用したATUの自作を参照下さい。

Hc200at_1 次に、インターネット上でもユーザーレポートの多いリレー式ATUを実験しました。 最初は東京ハイパワーのHC-200ATでトライ。3.5から28メガまでの8バンド全部で整合は取れるのですが、いくつかのバンドがSWR2以下には収束しません。同調フィーダーの長さを調整して1.5以下に収束するようにすると、今までOKだったバンドが2以上になり、こちらを立てればあちらが立たずの繰り返し。リレー式ATUの最大の欠点はインダクタンスやキャパシタンスの最小分解能限度が設定され、バリコンのように細かい調整が不可能な事です。HC-200ATでもSWR2で収束した整合状態をアンテナアナライザーで調べるとSWR1.5以下の周波数はバンド外にあります。取説には、アンテナ長を調整して、上手に使ってと、コーションがありますが、私のアンテナは先に形状寸法が決まり、かつ設置場所も変更不可のもの。その状態でクラニシのマニュアルアンテナチューナー(MTU)では、全バンドともきれいにSWR1.0まで整合できる為、ATUの性能限界は受け入れられません。

そこで、このリレー式ATUを改造して使えないかと、壊してもダメージの少ない、安いATUを探すと、LDGという会社でU$120くらいで販売してるATUがあります。送料を入れてもU$160くらい。おりしも1U$=80円くらいの時期でしたので、これを米国の販売店に注文。1週間で届きました。 

Kt100 購入したのはKT-100というモデルでTS-850に接続すれば、そのまま使えるというしろものです。さっそく、リモートコントロールできるように改造した後、実験を開始。案の定、東京ハイパワー製と同様な結果となりました。しかし、今回は、チューナーの内部を改造して最小分解能10PFのコンデンサを5PFまで小さくしてみました。もちろん、各リレーにつながる容量は順繰り変更し、最大容量は正規品の半分しかありません。 最悪3.5メガは諦めるつもりでしたが、結果は意に反してあまり改善されません。 巷で人気の高い、AH-4と回路構成を比較してみると、チューナーの基本回路に大きな差は有りません。KT-100はローパス型Lタイプと言われる整合回路を使用しています。AH-4も基本はローパス型Lタイプです。しかし、π型にも切り替えできるようになっています。それに加えて、AH-4はコイルもコンデンサもリレーの数が多く、細かく調整が出来る構造です。

MMANAのオプションの中に色々なアンテナ負荷にマッチングさせられるLタイプ整合回路の定数計算機能があります。これに色々な数値を入れて見ていると、負荷によってはローパス型Lタイプでは整合しない範囲がある事が判ります。この範囲はハイパス型Lタイプなら整合します。私のアンテナのアンテナチューナー接続部分のインピーダンスをMMANAでシュミレーションすると、9バンド中、2バンドがハイパス型Lタイプでないと整合しない結果が出てきました。同調フィーダーの長さを調整して、どこかに全バンドOKの長さがあるはずとトライしましたが、見つけることはできませんでした。

 

やはり、評判通り、AH-4を導入するかと傾きましたが、AH-4もローパス型オンリーです。クラニシのNT-636というマニュアルチューナーはハイパスT型チューナーで、コイルの切り替えが12通り可能です。 AH-4がこれに匹敵するほどの整合能力を持つとは考えられません。

これらの実験は約半年続きましたが、うまくいきそうも無いATUの使用を諦めて、MTUをバンドの数だけ並べる方式に方向転換することにしました。

一旦、物置行きとなったLDGのKT-100を再度、引っ張り出して、改造を試みました。詳細はここで紹介しています。

アンテナチューナー(MTU)の自作に続く

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アマチュア無線局 再開局

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

2008年6月にリタイヤして、暇になりましたので、昔からの趣味ながら、仕事多忙で休止していたハム活動を再開することにしました。ハムで遊ぼうと思えば、アンテナが必要になりますが、住居は西条の住宅地。7MHzの水平ダイポールすら張れない環境で、どうしたらHFのQSOが楽しめるか試行錯誤の始まりでした。

最初に実験したのは、21MHz用マグネチックループアンテナ(MLA)。直径1.2mのアルミループと自作の高耐圧バタフライ型ポリバリコンでオンエア。

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0.5mm厚のPPシートを絶縁に使ったバタフライ型バリコン。白色のアルミがステーター。黄色のアルミがローター。タミヤのギアBOXで駆動。

Eスポシーズンも終わりかけた8月末には、国内QSOながら、ほぼ不自由なく出来るようになり、これに味をしめて、直径1.8mの7MHz用を作成することにしました。調整も済み、7MHzのSSBで長崎の局を呼ぶと、応答があり、つい大きな声を出したところ、プッツンと音がしたような気がしたと同時にSWRが無限大に。QSOは途中で中断し、そのままQRT。100Wの出力がまともに出て、高圧バリコンが絶縁破壊されていました。一度絶縁破壊すると、もう20Wくらいの出力でも絶縁破壊するようになり、8月の日中に汗だくで作ったバリコンはあっけなくアルミくずになってしまいました。 

Img_1895_3 21deltaloop_3

MLAの失敗の後、デルタループを作成し、3階のベランダに設置。 4.5mの釣竿の先端部分を取り去り、3.5mのスプレッダーとして、上部水平部を4m確保。 波長15mに対してループ長の不足分は、ワイヤーを釣竿にコイル状に巻きつけて、21MHzでの同調をとりました。 この状態での給電部インピーダンス約78Ωを自作のトロイダルトランスで50Ωに変換すると同時に平衡/不平衡変換も行い、21MHZの全バンドをSWR1.05以下に抑えることに成功。気を良くして運用していると、家族から「かっこ悪い」とクレーム。

(デルタループのSWRの測定はDIAMONDのSX-200で行ったもので、その後、このSWRメーターが故障していた事が判りましたので、実際はもっと悪かったと思われます。  また、線材に2芯シールドとありますが、これは、廃棄されたワイヤーラッピング用シールド線を流用したもので、3.5SQ相当の銅線です。)

さすがに1辺が約3.5mの逆三角形は、外から見ると、この周辺の景色にはそぐわない。  庭から、あるいは向かいの道路から眺めてみて、上げた本人もこのクレームに同意。   結局このデルタループも1週間で降ろす羽目に。

Img_1897_6 Ant_3  

また、別のアンテナを考えねばなりませんが、3階のベランダに設置する関係で、良好なアースが確保できません。従い、検討するアンテナは、すべて非接地タイプに限定しています。

そんな中で、MMANAを駆使して見かけが良くて、なんとか使えそうなオールバンドアンテナとして登場したのが、21MHz用スカイドアアンテナと7MHz用GPの組み合わせ。 これをアンテナチューナーで強制同調して3.5から28までQRVするアイデア。  スカイドアアンテナの横幅はグラスファイバー製の伸縮釣竿を使うことにしたので、この最小長さ(1m)2本分の2mに決定。縦方向は通常3倍の6m必要とするので、三角屋根のように多少変形して、ほぼ確保。  このループを吊り下げるポールは、4mの鉄パイプの上に、5.4mのグラスファイバー製釣竿を継ぎ足し、さらに一番下に1mの塩ビパイプを継ぎ足して、鉄パイプは完全に絶縁された状態にしました。  このふたつのアンテナを20mも長さがある同調フィーダーで引っ張り、リグのそばに置いたクラニシのアンテナチューナーで整合させると言うシステム。 

Mutiantsys0_2

この同調フィーダーを20mも使用したマルチバンドアンテナシステムは2008年10月に使用開始し、2009年10月までに141エンティティーをWorked。 Lowバンドの成績が芳しくないので、同年11月に、GPを止め、7MHzの垂直ダイポールに変更しながら、2011年5月まで使われました。その間に交信できたDXCCのエンティティーは全バンドで189。 バンド別には、

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回転半径1mの簡単アンテナですが、サイクル23のどん底からサイクル24の上がりかけの時期としては、決して悪くない成績でした。

しかし、問題点もだんだん浮き彫りになってきました。TVI こそ起きませんが、3.5MHzでは、時々、ガス漏れ警報器がCWのモニターをしたり、火災報知器のベルが鳴りだしたりします。また、24MHzや28MHzで、RFのフィードバックが発生し、両バンドとも100Wフルパワー運用ができません。 さらに、受信の耳が悪いと言うか、貰うRSレポートと相手の聞こえる状態とに大きな隔たりがあります。太平洋の島からRST579を貰っても、こちらでは339くらいにしか聞こえません。 原因はいずれも同調フィーダーからの輻射とノイズのピックアップです。

これを解消するには、同調フィーダーを止め、同軸ケーブルに変更しようと考えますが、同軸ケーブルを使うと、アンテナチューナーはアンテナ直下かベランダに移す必要が生じます。マルチバンドアンテナシステムは、共振していないアンテナを無理やりチューナーで共振させることにより成り立っているわけですから、この場合、バンド切り替えする度に、ベランダに置いたチューナーをいちいち調整するか、オートアンテナチューナーで自動整合させるかしかありません。 真っ先に考えるのが、オートアンテナチューナーです。 よし、オートアンテナチューナーを作ろうと思い立つのは自然の流れでしょう。 あ!違いますね。オートアンテナチューナーを買おうというのが自然の流れで、自分で作ろうと思うところに無理がありそうな。

オートアンテナチューナー(ATU)に続く

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