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2013年1月23日 (水)

3.5MHz ALC動作異常(RFフィードバック)

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

TS-850Sをメインで使っていた時、3.5MHzで、ALCがかかり過ぎ、フルパワーが出ないという問題がありました。TS-930Sの修理が完了して、運用していると、TS-930Sでも少しその傾向があります。 2モデルとも似たような問題があるのなら、これはトランシーバーが原因ではなく、アンテナ系に原因がありそうです。

大進無線から買った、コモンモード電流計で色々なケーブルのコモンモード電流を測ってみると、大きな電流が流れているケーブルが見つかりました。プリセットMTUをコントロールする8芯ケーブルです。同軸ケーブルの10倍以上のコモンモード電流が検出されました。

すでにコネクター加工済みのケーブルですので、コネクターを外さずにチョークコイルが巻けるようにFT240#43というコアを手配し、対策することにしました。

80mcomon1


このアンテナシステムは、「プリセット式MTU 3」 で紹介の通り、Cの部分に厳重にチョークを挿入し、かつ、各トランシーバーからのアンテナケーブルE,Fにもコモンモードチョークが挿入され、Aの部分にもMTUのキャビネット内ですが、チョークが挿入され、全バンドうまく動作していました。  しかし、BとDの部分にはチョークは入っていない状態でした。

Img_0310
そこで、DとBの位置にチョークを追加し、コモンモード電流を1/20以下にしました。 左の写真はプリセットコントローラーに内臓されている送信機、アンテナの切り替え回路に接続されるケーブル類に追加された、トロイダルコアに巻かれたコモンモードチョークです。

DとBにコモンモードチョークを挿入したことにより、3.5MHzのプリセットMTUの整合がずれました。  コントローラーケーブルが悪さしていた影響が無くなった為でしょうから、MTUを再調整してALCテストを実施してみました。 ところが、全く改善されません。

思考錯誤の結果、Aの部分にFT240コアによるチョークをいれると、ALC動作の異常が無くなりました。 今まで挿入されていたクランプコアによるチョークでは能力不足だったようです。

80mcomon3左の写真がプリセットMTU側に挿入されたコントロールケーブル用コモンモードチョークと同軸ケーブル用コモンモードチョークです。 これで問題点が解消した理由は以下の通りです。

プリセットMTUとリグの間はケーブル長で約22mあります。  3.5MHzの場合、1/4波長の長さに近いですから、プリセットMTU側から流れ出た電流はリグ付近では電圧腹を少し過ぎたあたりでかなり高い電圧がかかっていたようです。この高電圧がトランシーバーへフィードバックしALC用のレベルピックアップ回路を誤動作させていたものでした。

また、この電圧腹の付近には火災報知器の検出器があり、時々、3.5MHzのアンテナの調整を間違うと火災報知器のベルが鳴りだす原因でもありました。

 

コモンモードチョークはMTUの近くに挿入しただけで、ALC動作異常は解消しましたが、現在は、コントローラー側を含めて、両方に挿入してあります。

6m_chorkこのマルチバンドアンテナシステムには、6m用のヘンテナも同居しており、ベランダの手すり付近でバランによる、平衡/不平衡変換とインピーダンス変換の後、そこから、約20mの同軸ケーブルでリグに接続しております。

この6m用の同軸ケーブルはシャック内では、長さに余裕があり、バランに接続するベランダ側では、ギリギリの長さになっていました。 その為、宙吊りのバランに張力がかかり、リード線の被覆が割れてしまい、中の導体があらわになっている状態でしたので、この同軸ケーブルを50cmくらいベランダ側にたぐって、張力を緩和してやりました。

数日後、コンテストに備えて、3.5MHzの試験電波を出したところ、火災報知器のベルが鳴りだしました。 翌日、詳細をチェックすると、この6m用の同軸にも3.5MHzが乗り、ちょうど火災報知器の当たりで電圧腹になった事がわかりました。わずかに、50cm移動しただけでしたが、これが致命傷になったようです。結局、この6mの同軸ケーブルにも、チョークコイルを追加する事になりました。

 

チョークを挿入してから、3.5MHzも7MHzも、近隣の局からの応答率が、さらに悪くなりました。 今まで、地上高8mに水平に展開していたコントロールケーブルや同軸ケーブルがカウンターポイズの役目をして、打ち上げ角を高くしていたと思われます。 国内コンテストの時だけは、臨時の2バンド用のフルサイズ逆Vでトライする事にします。

Comon2m_2

しかしながら、まだ、火災報知器が誤動作する要因が有りました。HFアンテナのすぐそばに2m用のJポールが立っており、このアンテナの同軸ケーブルも22mくらいあります。  たまたま、この同軸をリグから外していたところ、3.5Mhzで30W以上出すと、火災報知器が鳴り出します。同軸ケーブルのGNDをリグにつなぐと、鳴りません。  3.5メガのとき、まだ、打ち上げ角を下げられない要因があるみたいです。この2m用同軸ケーブルにも、FT240によるチョークを追加する事にしました。当初5D2Vの同軸を5ターンしか巻いていませんでしたが、火災報知器の誤動作は解消していました。 しかし、4エリアや5エリアの局の信号が結構強く入感するので、打ち上げ角はあまり改善していないようです。そこで、3D2Vの同軸に変更し12ターン品に変えました。これでしばらく様子見です。

2014年10月

このHFのスカイドアに近接したJポールはスカイドアのエレメントと干渉して、特定の方向にヌルポイントを生じさせる事が判りました。 その為、3.5MHzの打ち上げ角への影響を確認する前に、Jポールのアンテナごと撤去されてしまいました。

 

 

アンテナシステム立て替え へ続く


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