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2022年7月 9日 (土)

高周波直列電力合成(7.2MHz)

<カテゴリ AM送信機(デジタル方式) >

前回の記事のように、10WのE級アンプが出来たので、このアンプを2台用意し、電力合成の実験を行います。 インターネットで電力合成を検索すると、並列電力合成の記事は沢山みつかるのですが、直列合成に関しては、言葉そのものは見つかりますが、その内容を解説した記事を見つける事は出来ませんでした。

特性のそろったE級アンプを2台作成し、その二つの出力を直列に接続して、実験開始です。

Eamptestschema3

パワーアンプ部は、74HC04のFETドライバーと3次LPFを実装させます。 これをカッターとリュウターで削り出した基板に実装し、下記のような2枚の基板が出来上がりました。

2eamppwb

2eamplpfin

2eamplpfout

上の波形は、2台のAMPを独立した負荷に接続し、両アンプを同相でドライブした時の、負荷抵抗のレベルと位相を見たものです。 下のアンプが少しだけ、位相が進んでいますが、おおまかな動作を見るには支障は無いものと考えます。

ふたつのアンプのそれぞれの性能は以下のようになりました。 ゲートドライバーの74HC04を3回路パラにしたので、効率もかなり改善しました。

Eamp2per729pf

Pwraddtest5v

左が、Vddを5Vにして、電力合成の結果を見たものです。 上の2行は各AMP単体の5Vでのデータとなります。 合成はLPFの出力を2台シリーズに接続し、10:7のトランスで合計100Ωのインピーダンスを50Ωに変換した後、ダミー抵抗に繋いでいます。

その結果をみていると、少し違和感があります。

まず、個々に測定した出力は、合計して、3.78Wですが、2台を同時駆動して得られた出力は4.84Wと、計算から28%も高くなっています。 しかし、いいかげんなインピーダンス変換トランスでしたので、その誤差かもしれないと、納得して、次のデータを見ます。 この次のデータは、二つの基板に電源を通電したまま、一方のアンプのゲートドライブをONさせたものです。 その時の出力は1Wと0.9W。平均して0.95Wという事は、単独の時の半分のパワーしか有りません。 どうも、片方のアンプだけの場合、負荷抵抗と、動作していないパワーアンプのアンプ側へ出力が分散されるようです。 直列合成の場合、動作停止中のアンプは、負荷抵抗と同じ働きをし、結果的に、ダミー抵抗側へ伝送される電力は1/4になるのかも知れません。

その下のデータはゲートドライブはONしたまま、終段の電源をON/OFFしたものです。 電源の入力端子をオープンにした時と、ショートした時のデータを示します。 この場合も同じように動作していないアンプは負荷抵抗になってしまうのでしょう。 電力合成を直列方式で行う場合は、合成の各電力が一定の場合、その整合もやりようがありますが、複数のアンプがON/OFFを無秩序に繰り返す場合、何か特別な手当てをしているのかも知れません。

Pwraddtest5vlpfin

二つのアンプ間の位相差が悪さをしているのでは?と、各アンプのLPF出力端より位相差が少ない、LPF前の出力トランスの2次側をいきなり直列に接続し、得たデータが左の表です。 この表で大きく前回と異なるのは、出力が単体の時の半分になってしまい、2台合成時の出力と、単体の時の出力と変わらない事。 それに、ゲートドライバーでON/OFFした時も電源をON/OFFした時でも、出力差は大差なく、2台合成出力の約28%から25%くらいしかない事です。 結局、出力OFF時の出力インピーダンスを解決しない限り、直列合成はあり得ないと思われます。 

電力合成時、複数のアンプが任意にON/OFFを繰り返すような場合、出力インピーダンスの変化は避けられず、この出力インピーダンスの影響が、アンプの動作条件に即影響する、E級アンプそのものが不適当ではないかと考え、なにか情報がないか探すと、放送機に於けるD級とE級アンプの比較レポートが見つかりました。 このレポートでは負荷変動についての評価は有りませんが、D級アンプが有利との結論になっています。 レポートの中で、D級アンプは電源電圧に対する出力のリニアリティがE級より劣るとありますが、デジタル方式のAM変調なら、その欠点は全く問題になりません。 また、NHKがレポートしているデジタル方式のAM送信機も、個々のアンプはD級とありました。 ただし、これらの検討している周波数帯は1.6MHz以下の世界であり、目標とする7MHz帯では、やはりE級アンプに軍配が上がりそうです。

そして、直列電力合成に関する文献を見つける事が出来ました。 この記事は2006年に発表されたもので、5MHz時の最大効率が90%程度を示すD級アンプの計算値がグラフデータの中にあります。 現在は7MHzで、90%台を出せるE級アンプを素人でも作る事ができますので、E級アンプの方が効率はよさそうです。 直列電力合成のヒントも判りましたので、E級アンプによる直列電力合成に再トライする事にします。 

以下のように二つのAMPを接続し、T21とT22の巻き数比とRLの抵抗値を変えながらデータを取る事にします。 T21,T22の1次側巻き数は13ターン。 使用したフェライトコアは、秋月で入手したTR-20-10-5EDです。

Pwrmix1_cshma

Pwrmix0


まず、ふたつのアンプに13:4の巻き数比(Zout=50x(4/13)2乗=4.7Ω)のトランスを接続し、単独に動作させた時のデータです。

次に、このふたつのAMPの出力を直列に接続し、両AMPを動作させ、9.4ΩのRLに接続しますが、そのとき、TC21とL21で直列共振させます。 さらに、片方ずつドライブし取得したデータです。 同様にしてT21,22の2次側の巻き数を3→2と変化させ、RLもそれに応じて変更した時のデータとなります。 各表の一番右側にある電圧比は、両AMP同時駆動時の出力電圧(電力ではありません)を100%とした時、片方だけドライブした時の出力電圧の比です。

これは、50%が理想で、試作回路にバラツキがありますが、おおむね、50%となっています。 T21,22の巻き数比を、AMPの総台数の平方根対1に設定すると、2次側の総インピーダンスが50Ωになり、都合がよさそうです。 AMPは、同一出力のMSB側と、バイナリー出力のLSB側に分かれますが、LSB側は全部合わせても1/3程度のインピーダンスですので、合成する時のインピーダンスの総数はMSB側の全台数+0.33程度になると考えられます。 これは、実際にアンプの割り振りが決まった時点で、詳細を決める必要が有りそうです。

当初、AMPを2台作成し、データを取り、良好なら、プリント基板を起こし、量産する予定でしたが、現状では、今検討中の回路で完成するか確信が持てませんので、さらに2台の基板を追加する事にします。

Eamp4sets

Eamplpf400_2

4台のE級アンプが完成しました。 上が共通の回路図となります。 個々のアンプで、出力のバラツキがありますが、出力段のLPFのインダクターを伸ばしたり、縮めたりして、出力を調整する事が出来ます。 この4台を使い、電力合成の実験を継続する事にします。

Pwrmix_4_schema

左が電力合成回路のブロック図です。

合成トランスT1からT4の巻き数比はMSB側のシュミレーションとLSB側のシュミレーションでは異なります。

MSB側のシュミレーション時は4台のAMPとも合成トランスの巻き数比は8:4で、4台の直列インピーダンスは合計して50Ωになるように設定します。

LSB側のシュミレーションでは、バイナリー出力となるように、8:4、8:2、8:1、16:1とそれぞれ電圧が半分になるように設定します。 この場合、合計のインピーダンスは50Ωになりませんが、シュミレーションですから、問題有りません。

Pwrmix_4set

最初の表は、4台のアンプの出力が一定になるように、LPFのコイルを調整し、各々、単独負荷で、測定したデータです。 NO.1と2のアンプの効率がかなり悪くなっていますが、原因はまだつかめていません。 しかし、出力レベルは4台とも1.56Wに揃えました。

次の真ん中の表は、MSB側のシュミレーションで、すべて、同じ出力状態で、4台同時ドライブ、3台同時、2台同時、そして1台だけドライブしたときのデータです。計算値と書いた数値が4台同時ドライブの電圧レベルを100%とした時の、計算上の電圧比で、電圧比と書かれた列の数値が実際に得られた電圧比になります。 この結果は、かなり低い値になって、リニアリティが確保できない事を表していますが、トランスの巻き数比は変えられませんが、巻き数は変える事ができますので、実際に製作する時はカットアンドトライする事にします。

一番下の表は、LSB側をシュミレーションしたもので、電圧比は計算値にかなり近い値を示します。 これは、最終的に、個々のアンプの出力レベルを微調する事で改善できます。

この合成トランスの2次側に直列共振回路を入れて、合成トランスが持つ浮遊容量や浮遊インダクタンスをキャンセルさせていますが、この共振回路のQと出力レベルは無関係で有る事を確認できましたので、最終的に送信機にまとめる時、バリコンの耐圧が許容可能な限り大きなQに設定し、スプリアスの抑制にも使う事にします。 

下が、この実験中の風景です。

Pwrmix_test_0

ここまで出来ましたので、次は、基板を8枚にして、AM送信機の予備検討をしようとして、新たに、4枚の基板の手作りを始めました。 そして、先行の1台が出来ましたので、動作テストをすると、パワーは出るのですが、効率が50%台しか出ません。 前回作成のNo.3と4の基板では80%台を出していましたので、 その原因が判りません。 Vddを5Vと12Vと交互に変化させながら、原因を検討していたところ、ゲートドライブなしの状態でIdが1mAとか2mAなど流れるようになってしまいました。 これは、明らかにFETの劣化です。 5台の試作基板で、効率が大幅に異なることと、FETの劣化というトラブルにより、この10Wアンプは安定性と信頼性が疑問になって来ました。 

そして、FETを外して単品の導通テストを行うと、約半数のFETがドレン-ソース間オープンで壊れていました。 かくして、BS170によるE級アンプは失敗に終わりました。

AMの場合、無変調時でも、10Wアンプはフルパワーを連続して出す必要がありますので、10Wクラスの連続動作可能な高効率アンプを再検討する必要がありそうです。

  

 

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2022年6月25日 (土)

E級高効率RFアンプの実験

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7MHzで10Wくらいの安いアンプを作ろうとしています。 目標は、効率90%のE級アンプです。 首尾よく、試作に成功したら、これを十数台作り、電力合成して、AM送信機に仕上げる魂胆です。

参考にしたのは、E級アンプの実践的なレポートのある、JK1LSE OM のブログです。

まずは、効率90%のE級アンプへの挑戦です。 これが意外と難しい。なかなか90%の大台が出ません。 とりあえず、80%台がでましたので、ここで一区切りし、次のstepへ進む事にしますが、以下そこまでの経過です。

Eclassamptest_0

上の回路図が今回検討開始に当たり、設定した配線図になります。 終段はBS170の2石パラレル、プッシュプル(2x2)形式で、E級アンプを構成させます。 そのドライブ回路は、FETゲートドライバーのMCP1402Tで、電源電圧を12Vにして、BS170をフルスィングします。 その前に、CMOSゲートによりデッドタイム生成を行い、ファイナルのプッシュプル回路のFETが同時にON する事を防止します。 さらにその前段にDCバイアスを調整して、7MHzの矩形波のデューティ比を調整できるようにしてあります。 7MHzの源信号は、以前作成したDDSから4.5Vppでドライブします。

Pa_pp_mcp1402t

左は、そのゲートどライブ回路を蛇の目基板に実装したところです。 VDD5Vにて、70%台の効率を出せるのですが、このゲートドライバーのMCP1402Tがかなり熱くなります。 コアや巻き数を変更しながら、電源電圧も5V、10V、12Vと変化させているうちにICが壊れてしまいました。 とりあえず、ICは4個購入してありましたので、修理交換して、各定数の最適値を探して、80%台の効率が得られる状態になりましたので、12Vで1分くらい動作させた結果、今度はBS170、4石を道連れにこのゲートドライバーも壊れてしまいました。 データシートを見る限り、電源電圧12Vは全く問題ないはずですが、ファイナルの電源電圧を12Vにすると、たちまち壊れてしまいます。 原因を調べようにも、すでに手持ちのICは全滅。 やむなく、手持ちのTC4426に改造して、再検討開始です。

Eclassamptest11

ただし、TC4426を以前RSで買った時は90円でしたが、現在は246円以上していますので、もっと安いICへ置き換えが必要です。 置き換え品は後で探す事にして、実際に組みあがった回路は以下のようになりました。3枚の写真の間はリード線や同軸ケーブルでつながれています。

Pa_pp0

Pa_pp_gate

Pa_pp_drain

Pa_pp_drainrfout

上の波形は左から、ゲート端子の電圧(10V/DIV)、ドレイン電圧(20V/DIV)、ドレンイン電圧とフィルター後の出力波形(20V/DIV)です。

見ての通り、ドレイン電圧が同じ形をしていません。 回路を非対称に作った事が影響しているかもしれません。 このような波形ですが、実測データは下のようになりました。

Pa_pptestdata_2

VDD 5V、12Vいずれの状態でも80%台の効率は確保できましたが、12V電源の場合、FET1石にかかるPdは、2x3の場合で、0.446Wとなりました。 これは、データシートから割り出した筐体内温度60度の許容値0.599Wの74%で実用レベルです。 ちなみに、2x2の場合、1石当たり0.669Wとなり、これは許容値ギリギリで、余裕が有りませんので、交信中に壊れる確率が高いです。 2x2の構成で放熱板を追加するより、FETを2石増やして2x3にした方が安くつきそうです。

Eamp_test_final

このアンプを8bitのオーディオ信号用に使うと、最低12台、欲を出して、オーディオのbit数を10bitまで上げると最低21台作る必要があり、大きなフェライトコアを使った現状アンプでは、フェライトコアの材料代だけで、600円くらいしますので、21台作ろうとしたら、12,000円くらいになってしまいます。 そこで、コストダウンの為に、L1を手持ちのチョークコイル(100個くらい在庫)に変更し、T2のコアも、一回り小さなフェライトコアに変える実験を行いました。 左がその写真です。

出力トランスに使うフェライトコアをESD-R-22SDに変えると、150円くらいで手にいりますので、21台分で、3000円と少しで実現できます。 そして、検討の結果、効率は89%まで向上し、コストダウン出来た上、効率も上げる事ができました。

Eamp_test_final

1uHの空芯コイルは基板から10cm以上離れた場所で約1uHでしたが、写真のように基板に密着させた状態では0.89uHしかありませんでした。 そこで、L3とL4を0.5uHにした時のデータを取ってみました。

Eclassamptest_2

VDD5Vの時は91%の効率となりましたが、12Vの時は73%まで悪化しています。 やはり、L3,L4は1uH前後でないとダメ見たいです。 

そこで、1uHのアキシャルインダクタに変更してみました。 このインダクタの特徴は小型であることと、そこそこのQが確保できる事です。 秋月で1本7円で販売されていました。

Eclassamptest_3_3

7200KHzに周波数を固定して、C14と15を変化させた時のデータです。 5Vの電源では、91%の効率をあげる条件がありますが、同じ条件で、12Vにすると、70%くらいまで落ちてしまいます。 表の中で、色分けした条件なら、なんとか80%をキープします。 80%でも、Pdは余裕がありますので、あまり欲張らない方が良いかも知れません。

今までの実験経過から、部品のレイアウトを整然と行い、リンギングの発生を抑える事が、安定に高効率を得る条件のようですので、ゲートドライブ用のICが確保で得来た時点で基板を作り替えてみる事になりそうです。

ゲートドライバーのICと変換基板を手配できましたので、さっそく実装してみました。 ところが、ICの仕様を読み間違えたようで、入力レベルが5V以上必要なICでした。 また、TC4426を使って、Vddを12Vまで上げると、異常信号でAM変調されます。 出力段の信号がTC4426の入力にフィードバックされているような波形で、Vddを下げると、小さくはなりますが、ゼロにはなりません。 そこで、このゲートドライバーは止めて、74HC04のみでFETのゲートをドライブしてみました。 すると、異常信号によるAM成分は消えてきれいになり、かつTC4426の時より出力が出るようになりました。 以降、74HC04のみで進行する事にします。

配線図は以下です。

Eclassamptest12

Eclassamptest3

Eamp_axi1uh

上の表は、74HC04オンリーで、1uHのアキシャルインダクターを使用した時のデータです。

Vdd=12VでC14,15が709PFのとき、79%の効率で11Wを出力し、Vdd=5Vの時の効率が81%です。 12Vと5Vの時の効率があまり変わらないという事は、このアンプを10数台電力合成した時の個々の出力を、Vddを変える事により簡単に直線的に変更できることになりますので、便利です。 左の写真は、アキシャルコイル実装状態で、基板の中がかなりすっきりとなりました。

  

 

従来、プリント基板の作図を行う場合、プロ用のソフトを使っていましたが、このプロ用のソフトはWindows XP用で、それ以降のOSでは、ライセンスの関係で動かないという問題がありました。 XPがインストールされたデスクトップのPCとHD仕様のディスプレーは有るのですが、この古いPCを引っ張り出しても、狭い机が、いっそう使いにくくなりますので、最新の無償のソフトを探す事にしました。 そして、見つかったのが、KiCADという、私が以前使っていたプロ用のソフトと似たようなアプリが今、世界中で利用されている事を知りました。

さっそく、このソフトをインストールして、このE級アンプの基板の作図を始めました。 初めてのソフトでも、インターネットで検索すれば、たちまち、操作方法のアドバイスがあり、約5日間で、配線図、基板図用の、オリジナルのシンボルやフットパターンを追加しながら、基板図ができあがりましたので、できた基板図の通りカッターとリューターで銅箔をはがし、1枚だけ基板を試作しました。 下が、KiCADで作図した基板図です。

Kicad_new_pcb_0

Eamp_on_new_pcb_0


 左は、上の基板図の表面のみカッターで銅箔を削り、手作りした両面基板に部品を実装したところです。 FETとコイルとコネクター以外の抵抗、コンデンサは1608のチップで作りましたので、見た目は、かなりすっきり仕上がりました。

作図した基板には、FETゲートドライバの74HC04のパターンも用意してありましたが、今までの手作り基板と兼用する為、ゲートドライバーは、別基板に実装し、この新作基板は、BS170によるファイナル部分だけを実装しました。 いままでの回路と異なるところは、プッシュプル回路の配置が対称になったことです。 そして、12Vで測定したデータは以下のようになりました。 共振用コンデンサは707Pがよさそうです。 出力は11Wを超え、かつ1石当たりのPdも許容値内ですので、これをベースに量産する事にします。 このコンデンサの容量組み合わせは330P+330P+47Pです。 全てCH特性のチップコンデンサです。

Newpcb_eamp_0

この表の中にある842Pの状態で、エージングをしていると、約10分でFETが3石すべてがオープン状態で壊れてしまいました。 壊れた直後のFETの温度は、触れないくらい熱くなっていました。 1石当たりのPdは許容値内ですが、この数値は6石のFETにPdが均等に割り振られたもので、実際のPdは最小と最大で2倍くらいまでバラツクと想定されます。  この時の最大Pdは0.612Wくらいと予想され、60度の限界値0.599Wを超え、この為、1石がNGとなると、残りの2石で全体のPdをカバーする事になり、次々と壊れたものと思われます。 プッシュプルのもう一方の3石は無傷でした。

そこで、最初実験したデッドタイムコントロール機能を再度追加し、出力と効率を制御する事にしました。

デッドタイムコントロール回路を追加した回路図を下に示します。

Schema_add_dedtime

Dt_gate

Dt_drain

Dt_lpfout

左上から、終段のゲート電圧、終段のドレイン電圧、そして、LPFの出力の波形です。 基板のシンメトリ性が功をはくし、ドレインの波形も大幅に改善しました。 そして、デッドタイムを色々調整した結果、以下のデータとなりました。

Add_dedtime

黄色の状態でエージングを実施し、1時間OKでした。

今回の回路構成は、10台以上のアンプを直列に接続して、電力合成する必要がある為、出力整合回路と、出力設定機能を兼ねる為に、巻き数の多い絶縁トランスを採用しています。 この構成のE級プッシュプル回路の例が見つからず、製作中のアンプがほんとうに正しいのか判りません。

このE級プッシュプル回路の構成は、この記事の没頭で紹介した、JK1LSE OM のブログや周波数が異なりますが、トラ技の記事とも異なります。 多分、それが影響しているとは思いますが、C14,15とL3,L4の共振周波数の関係がこれらふたつの記事と一致しません。 ちなみに、L3,L4,L1の交点から、0.1uFでGNDへ落すと、C14とL4及びC15とL3の共振周波数は、7.2MHzより少し高い周波数の時、効率最大となりますが、効率そのものは最大でも80%でした。

Combtrans1by2

左は、コンベンショナルトランスを使った時の出力データです。 トランスの巻き数は2:4ですので、プッシュプル回路の負荷インピーダンスは12.5Ωになります。 そして、70%台の効率です。 この効率は、LPFの後で計算した場合、だいたい、どのインターネット記事も似たような数値で、一応世間並みの動作はしているようです。 この回路は、今までの回路に比べて出力は小さいですが、結構安定して動作し、出力波形もかなり綺麗です。 ただし、これを採用するかどうかは、電力合成の実験で決める事になりそうです。

今回のAM送信機は大小の出力を電力合成をするのですが、その合成のノウハウは公表されておらず、自分で実験しながら、試行錯誤するしかないようです。

高周波直列電力合成(7.2MHz)  へ続く。

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