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2024年2月25日 (日)

160m用受信用アンテナ

<カテゴリ:アンテナ> ループアンテナ バーアンテナ

160m用のスローパーもどきや、高さ19.5mの垂直アンテナを設置したのですが、DXはCWですら全く聞こえません。 国内向けにSSBでCQを出しても、ノイズがS9+5dBくらいあり、せっかくコール頂いてもコールサインが取れないという状態が続いていました。 そこで、なんとか受信環境を改善できないものかと、電界シールドタイプの磁界ループアンテナを仮設して、改善できるかトライする事にしました。

インターネットで調べると、プリアンプ無しで使えるのは直径1.2m以上は必要とのことで、手持ちの同軸ケーブルを物色しましたが、約5m近くの同軸ケーブルは結構重く、支持材も大げさになりそうなので、昔、はしごフィーダーのワイヤーとして利用していました、3.5SQ相当の2芯シールド線がみつかりましたので、これをエレメントにして、ループアンテナを作る事にします。 電界シールドタイプのループアンテナは同軸ケーブルで作るというのが一般的ですが、インピーダンスは無関係で、単にシールド効果があれば良いだけでしょうから、同軸ケーブルの1/4以下の重さのこのワイヤーを4.8m用意し、この2芯のうちの1芯のみをループ状にして、グラスファイバー釣り竿を支持材料とした以下のような構造のアンテナを仮設する事にしました。

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この構造のアンテナを室内で組み立て、外来ノイズがS7くらいになるように方向と場所を選び設置しました。室内と言っても、木造、鉄筋、3階建てで、すでに地上高は9mくらいあります。

マッチングBOX内のバリコンは最大330Pのポリバリコンで、390Pの固定コンデンサと合わせて、約560Pくらいの時、1.840KHzに共振し、3対7の整合トランスで50Ωに整合しており、アンテナのSWRは1.05くらいです。

夜になるのを待って、国内のQSOを聞いてみました。 残念ながら、S/Nの改善は全く見られず、従来のスローパーモドキや、垂直アンテナの方が良く聞こえます。

2日目、場所と向きを変えて外来ノイズがS5くらいになる場所を選び、SSBで再確認してみました。 前日よりは、効果があり、S/Nの改善はできましたが、それでも送信アンテナで聞いた時の方が了解度はアップします。部屋の中で、ノイズのヌルポイントを探しましたが、見つかりませんでした。 住宅街で、周りを電線に囲まれている場所では、あまり効果は期待できないと悟った次第です。

 

次に検討したのは、AM用バーアンテナを使ったアンテナです。

160mant1

左の図のように、10φ 長さ100mmのフェライトバーの中央付近にAWG24の線を巻き、インダクタンスを約104uH確保し、max 430pFのエアバリコンで1830KHzに共振させ、コアの端っこに巻いた16ターンのリンクコイルから受信信号を取り出すようにしたもので、Mコネクターから見たSWRは約2.5くらいでした。 これを受信専用端子に接続し、送信用垂直アンテナとS/Nの比較を行いました。

受信出来た信号は国内のSSBでしたが、室内に置いたこのバーアンテナの方がS/Nは良く聞こえました。 ただし、受信音は垂直アンテナの方がノイズを含めて大きく聞こえます。 バーアンテナ側にプリアンプを入れると、音量が同程度で、S/Nの良い信号が聞けそうです。 ただ、この国内局が相手にしていたW6の局は聞こえませんでした。

この構成に至る前に、AMバーアンテナ用リッツ線を使ったアンテナも検討しましたが、入手した既成のコイルのDC抵抗が10Ωくらいあり、1.8MHzのQはかなり低く、受信しても何も聞こえませんでした。 

室内での受信で、かなり希望が持てる結果が得られましたので、最終的には屋外に出す予定ですが、10φ 100mmのフェライト棒を3本束にしたアンテナを作り、改善の度合いを確認する事にします。

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コイル部分は1φのUEWを約28ターン巻いて、約75uHのインダクタンスになりましたので、これにmax430PFのエアーバリコンを直列に入れ、1830KHzに共振させ、3対6のトランスで受信機へつなぎます。 バリコンの容量をLCメーターで確認すると、約95PFでした。 SWRは共振周波数で1.1くらいです。 

夜になるのを待って確認する事にします。

S/Nはバー1本の時と同じ様に聞こえますが、音量が足りません。 1本の時は並列共振をリンクコイルでピックアップしていましたが、3本の時は直列共振で1次側インピーダンスが12.5Ωとなていますので、Qが下がったのかも知れません。

  

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そこで、バー1本の時と同じように、リンクコイルを追加して、これで、受信機につないでみました。 音量は、バー1本の時と同等となり、S/Nもバー1本の時より、少しだけ改善したように思えますが、バーを3本にした時の期待値には届かないという感想です。

気になる所は、共振用のコイルの巻き数とリンクコイルの巻き数が同数という事です。 この状態でSWR1.1以下に収まっていますので、共振回路をQダンプしているに等しいのではないかと心配になります。 もう少し、改善を加えてみる事にします。

ちなみに、このバーアンテナでも、垂直アンテナでも、5W1SAのFT8信号は見えませんでした。

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バーアンテナの共振時のQを改善する目的で、2次コイルの巻き数を28Tから9Tに変えて、この9Tのリンクコイルを左右にスライド出来るように紙のボビンに巻いて、1830でSWR1.1以下に整合させました。

その状態で、1840KHzのFT8を受信したまま、風呂に入り、40分くらい経過した後、FT8の受信記録を見ると、AN8WAMがOP5QPIを呼ぶデータが残っていました。 モロッコの西、大西洋上のカナリー諸島からベルギーの局を呼んでいる信号です。 1.8MHzで初めてとらえたFT8のDX局がアフリカでした。 歓喜して、次の日、共振用コイルを75uHから119uHに変更し、リンクコイルはそのままで、1840KHzのSWRを1.1に整合させ、1.8MHzのFT8をワッチすると、今度はS79JZNという局が記録されました。セーシェル諸島というマダガスカルの北東約1000Km先のインド洋に浮かぶ島々からですが、表示された受信S/Nが-11dBとあまりにも良すぎます。 そこで、以前CWで交信した事のあるカナリー諸島のコールサインを調べてみました。 3局の記録が残っており、プリフィックスはEA8かEG8で、サフィックスは2文字でした。 セーシェル諸島の局とは交信した事はありませんが、過去のペディション記録から、フェイク臭いコールサインです。どうやら、UC局みたいですね。 喜んで損しました。 このアンテナの性能は、オレゴン州から-14dBから-17dBのQSBを伴いながら数十分間入感していたK7ZVの受信記録が、実力だろうと思われます。 アフリカからの信号の受信は出来ませんでしたが、室内に置いたバーアンテナでWの信号が見えましたので、屋外に設置する価値がありそうです。

屋外に設置する目的で、防水タイプのバーアンテナを作りました。とりあえずはベランダから2mくらいの高さ(地上高10m)に上げて様子をみます。

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左上が、食品タッパーの中に収納したバーアンテナ、右上がその回路図です。リンクコイルの位置を左右に動かして、1840KHzにて、SWR1.1に調整してあります。

 

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2024年2月11日 (日)

160m 垂直アンテナ 2024

<カテゴリ:アンテナ>

新マルチバンドアンテナを設置して、構想が未完成でした160m用のATUを使わない垂直アンテナをやっと上げる事ができました。

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構造は左の通りです。整合BOXも敷地内です。 頼りにしている調整池を取り巻く全長130mの金網のフェンスまで3m離れており、最初BOXと金網の間を2φのアルミ線2本で地中を通って接続していたのですが。共振時のインピーダンスが50Ωを超える為、試験的にBOXのGNDを10cm以下の1.25SQのワイヤーで金網に接続すると、32Ωまで下がります。 そこで、また、BOXを敷地内に移し、廃棄処分予定の5C2Vの同軸ケーブルの芯線と網線をショートして、アルミ線と同じように地中を経由して接続しましたら、共振時のインピーダンスは32Ωになりました。

以前、同じような構造で、フェンスのすぐ近くに整合BOXを置き、共振状態でのインピーダンスを調べた事があり、その時は18Ωでしたので、32Ωは気になりますが、これはどうしようもありませんので、このままです。

160mv19r5m

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整合BOXの等価回路は左の図のように、10:8のトランスを介して、約10.4uHのローディングコイル経由でアンテナへつなぎますが、BOXの中はトランスのみで、コイルはBOXの外に雨対策をして設置しました。

コイルを含めたアンテナのインピーダンスは32Ωで、この状態で1825KHzにSWR1.05で整合しています。 右上のSWR特性は、FTDX101Dから5Wの出力でチェックした時のリグ内蔵のSWR計で測定したデータになります。 実測したのは、1910KHzまでで、1920KHzの値は予想値です。 国内のCWバンドはSWR2を超えますので、ATUを使ったスローパーでカバーします。

左下は、整合BOXの中ですが、内蔵のコイルで1820KHzに共振するコイルのインダクタンスを調整した後、LCメーターでインダクタンスを測ると10.4uHでしたので、この内蔵のコイルは使用せずに、右下の写真のごとく、外形6cmの雨どい用パイプに3.5SQのワイヤーを18ターン巻き、線間のピッチを調整する事で、+/-0.5uHくらい可変出来るような構造とし、これをVP75塩ビパイプのキャップにぶら下げます。

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Lordingcoil2024_3

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アンテナアナライザーで1820KHz付近で共振するようにコイルを調整した後、上の写真のごとく、VP75の塩ビパイプの中に収めました。キャップはパイプにかぶせているだけで、固定はしていませんが、ぴたりとかぶさり自然に脱落する事はありません。

出来上がった日の夜、1.8MHzをワッチしましたが、1エリアの局がW6と交信しているようですが、私のところでは、Wの信号は聞こえませんでした。 2日目もCQDXを出すJA局は599+で聞こえますが、DX局の入感は無しでした。

しばらく様子を見る事にします。

2024年3月になり、コンディションの低下はやむを得ないので、運用をFT8に切り替えました。とりあえず。近隣の3エンティティと交信できました。 また、受信だけですがWが-03dBで入感していました。 いつかQSOにトライです。

数日後、K7ZVと-17/-15dBでQSOできました。 -17dBが私が受信した彼の信号です。 相手は多分1KWでしょうから、私の100Wの信号を-15dBで受信したという事は、私の受信環境は、彼より12dBもノイズが多いという結論でしょうか。  その為、相手のCQを受信出来たら、ほぼ確実にQSOが可能というメリットは有りますが。

 

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2022年3月12日 (土)

160m用 8m高のスローパー

<カテゴリ:アンテナ>

200Wの1.8MHz用SSB送信機が出来上がりましたので、国内用のアンテナを常設すべく、再検討する事にしました。 過去の実験から、フルサイズのロングワイヤー(40m)を展開すれば、近距離しかカバーしない国内用のアンテナが出来上がる事は判っていましたが、給電部が敷地外の地上になり、敷地外(市有地)まで同軸を伸ばしたり、そこにマッチングBOXを臨時で置く事は出来ても、常設は出来ませんでした。 そこで、マッチングBOXも同軸も敷地内に置き、市有地の調整池上空のみを借用する事により、常設のアンテナを実現する事にしました。

この肝は、グランドアースをどうするかが最大の難問でしたが、ふと、思い出したのが、家の構造です。 この家は、木造鉄骨で、その鉄骨と電気的に接続された直径10cmくらいの金属パイルが16本地下へ打ち込まれています。 パイルの長さは5mから10mくらいあり、これも立派なアースとして動作するかも知れません。 まず、この鉄骨とベランダのアルミ合金の手すりが電気的につながっているか確かめ、この手すりに台所用のアルミ箔を約30cmほど巻き付け、これと、マッチングBOXのアースを繋ぎ、整合実験をすると、共振周波数でSWR1.3以下を実現できる事が判りました。

この予備実験から、逆Lではなく、高さが8mしかない短縮スローパーを作る事が出来る事が判りましたので、スローパーの斜め部分を、取れるだけとれる寸法にしたアンテンナを構築する事にしました。  以前の実験は2015年で、その時は50mのワイヤーを張る事ができましたが、調整池の周りに、雑木が生い茂り、今では、我が家で池周辺のメンテをやっている範囲内になる、36m張るのがやっとです。

160m_longwire

上が構想図です。 下が、MMANA-GALでシュミレーションした特性です。 36mの部分の線材はLANケーブルを割いて取り出したAWG24のワイヤーです。

Mmana_slowper

下の写真は、高さ8mのベランダから釣り竿を横へ張り出し、AWG24のワイヤーを張った起点です。 そして、その下がベランダの手すりに巻き付けた0.3mm厚20cm x 30cm のアルミ板に金メッキのハトメを打ち、ハトメに半田付けしたケーブルをマッチングBOXのGND端子へつなぐようにしたアンテナアース部分です。 推定静電容量は2000PF以上です。

160m_wire_end

160m_antgnd

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160mlw_swr     

左上が、マッチングBOXの中で、その右が、その等価回路です。 今回のマッチングトランスはAWG28のワイヤーを2本を一束として、全部で10束のワイヤーを6ターン、FT240-#43コアに巻き、6ターンずつを、直列に接続したもので、同軸ケーブルの芯線を⑩番タップへ、アンテナへは⑦番タップから、ローディングコイルを経由して、つながります。 コイルのインダクタは5.5uHでした。 ローディングコイル込みのアンテナのインピーダンスは約25Ωです。

そして、左上がこのアンテナのSWR特性で、一応SSBバンドへ合わせてあります。

自作のアンテナアナライザで調整した後、TS-930Sから60W出してチェックしましたが、ほとんど変化はありませんでした。

さっそく、その日の晩にテストON AIRしました。 残念ながら自作の200W機は動作が安定せず、TS-930Sによるアンテナだけのテストになりました。 こちらからコールしたQSOが2局、相手からコール頂いたQSOが2局。 いずれも双方で59から59+20dBのレポートでした。 そして、CWの時とは比べ物にならないレベルのノイズに閉口しました。 この4局以外の方からもコール頂いたのですが、結局コールサインを取る事が出来ず交信不成立でした。 

その後、1週間くらい使った感じですが、3エリアを含めた西側の3,4,5,6エリアがカバー範囲で、2エリア以東は、相手の方の設備が平均以上の性能の場合のみ交信可能のようです。 アンテナの打ち上げ角からしたら、シュミレーション通りの結果ですので、ローカルラグチューには最適のようです。

約3週間使った結果、せめてゲインをプラスにできないものかと、再度逆Lにトライしました。 しかも、マッチングBOXと同軸ケーブルは敷地内に収まるとという条件です。 

3階のシャックから同軸ケーブルを一度地上まで降ろし、そこから土の上を10mくらい這わせて、マッチングBOXの位置を決めたところ、同軸ケーブルの長さは約40mとなりました。

そして、下のように展開しました。

160m_l_2

L

160m_machingbox_l_2

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ゲインが0.1dBアップしましたが実際は誤差内です。 今回のマッチングBOX内は延長コイルでなく、短縮コンデンサとなり、インピーダンス比は1:1のトランスとなりました。 この延長コイルが無くなった分だけロスが減ったとおもわれますが、どのくらいかは不明です。 実際に使った感じはあまり変わりませんでした。

 

せめて、ゲインがプラスにならないものかと3回目の改良です。 今まで使用していたワイヤーは、調整池の上空に展開する事から、あまり目立たない、LANケーブルを割いて取り出したAWG24のワイヤーを使っていました。 このワイヤーの直径は0.5mmくらいです。 これを1.6φのマグネットワイヤーに変更する事にしました。 マグネットワイヤーは茶色に着色されており、昼間でもあまり目立ちません。 ワイヤーを張り替えるついでに長さも2mほど延長しました。  また、マッチングBOXのGND端子は池の周りに張り巡らされている金網に地中を通った2φのアルミ線で接続しました。

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短縮コンデンサは1340PFになり、トランスの巻き数比は10:8になりました。 アンテナのインピーダンスは短縮コンデンサ込みで、32オームです。 そしてゲインは +1,86dBとなり 前回より2.2dB上がりました。 200Wの出力が332Wになった事に相当します。

約10日間使用した結果、ワイヤーが少し伸びたようで、中心周波数が1.834MHzまで下がってしまいましたので、短縮コンデンサの値を1250PFに変更しました。

 

給電点の高さを11mまで上げ、ATUで整合させたスローパーもどきのアンテナはこちらにあります。

  

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2021年5月19日 (水)

7MHz用水平ベントダイポール

<カテゴリ:アンテナ>

国内QSO用に水平ツェップアンテナを使いますが、家の敷地外まで展開する為、使う時だけ架設していました。 性能に不満はないのですが、平日の夜、国内交信をしようとすると、常設の垂直ダイポールしかなく、これが、国内にさっぱり飛ばないシロモノでした。 そこで、常設出来る国内用の水平系アンテナを模索した結果、あまり目立たないLANケーブルを割いて取り出したAWG24のワイヤーを使い、敷地内で完成するアンテナを設置する事にしました。

7mhzbentrstailjpg

左が水平ベントアンテナの構造図です。 一般に言われるベントダイポールより逆Vに近いですが。

3階のベランダに2.7m間隔で長さ3mの釣り竿を2本建て、図のように展開しました。 水平部分は、給電エレメントの片側だけが、水平で、その両脇は、敷地内で地上に向け斜めに張っています。

給電点の高さは10mで、給電点から約2.5m下にある、MTUへ平行フィーダーで接続し、MTUで整合を取っています。

 

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調整したSWR特性は、左のようになりました。

国内交信の目的が、AMやSSBでのラグチュウですので、最良ポイント周波数を7150KHzに合わせてあります。 このアンテナでCWの運用する機会は少ないので、これで問題なしです。


水平部分が少ないのに、結構バンド幅を確保できました。 この幅はフルサイズのツェップより広いです。

雨対策として、給電部分のポールの先端にコーラのペットボトルを半分に切って、逆さまにかぶせてあります。

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MMANAによるシュミレーション結果は上のようになり、国内QSOには、最適な打ち上げ角と無指向性です。 

耐電力はSSB 200W 、AM 150W(ピーク600W)でもOKでした。

このアンテナの設置場所が、電線から一番離れた位置にある事が幸いし、従来のツェップアンテナよりノイズがSひとつ分だけ落ちました。

 

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2020年9月27日 (日)

ツェップアンテナ(7MHz用)

<カテゴリ:アンテナ>

コンディションが悪い中、国内QSOがメインとなっている7MHzで、垂直ダイポールは、飛ばない、聞こえない、台風でフルサイズに伸ばせない、など使い勝手が悪い状態でしたので、臨時に仮設でき、ホームでも移動でもつかえるツェップアンテナを製作する事にしました。

インターネットで検索すると、沢山の情報がヒットしますので、工作は簡単です。

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材料は40φの塩ビパイプと、1.5φのマグネットワイヤー(PEW線)です。 マグネットワイヤーを22ターン巻いて、11.3uHのインダクタンスとなりましたので、これに、5.1KΩのダミー抵抗を付けた状態で、7100KHzに共振するように、コンデンサの値を調整します。 調整した結果は、左下の配線図のようになりました。

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実際にパイプの内側に取り付けられたコンデンサは、右上の写真のようになりました。

22Pは3KV、10Pは1KV耐圧の村田製です。 この状態で最小SWRは1.3くらいでした。

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このユニットを高さ8mのベランダから2mくらい横に突き出した棒の先端に吊り下げ、そこから、LANケーブルを割いて取り出したAWG24のワイヤーを約20m伸ばし、水の無い池の上に展開し、7100KHzでSWR最小になるようワイヤーをカットした結果、切りすぎて最小SWRは7150KHzで1.3くらいになりました。 7200KHzではSWR1.5くらいですが、7000KHzでは、2.5くらいになってしまいました。もう少し低い方へシフトしたいのですが、調整は次の機会にして、とりあえずこのまま使います。 

このアンテナを使い、自作のトーランシーバによる1st QSOがSSB,CW,AMいずれも成功しました。

このツェップアンテナと従来の垂直ダイポールを比較すると、5エリア、6エリアや3エリアの局はツェップの方がSで20dBくらい高く受信できます。 1エリアの局は+10dBくらい、7や8エリアの局はあまり変わらない状況です。 4エリアはスキップして入感なしでした。 国内QSO用なら、垂直ダイポールは不要というのが判ります。

このアンテナは臨時仮設用ですから、平日は、片づけてしまいます。また移動運用するときは、ポールとこのアンテナを持っていく事にします。

次の週に再度架設するに当たり、給電部を10mの高さまで上げ、水平に約10m、さらに直角に折り曲げながら、斜めに約10m引き下ろし、一番端の高さが3mくらいになりました。

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 この際、ワイヤーの長さを前回より54cmほど長くした状態で測定したSWRは左のようになりました。 Zepp_cover

このアンテナは100W AM送信でも問題なく使えました。耐圧は400Wピークでも大丈夫でした。

コイルの防水対策として、右上の写真のように、熱収縮チューブで覆いましたが、効果はあるものの、良好とは言えませんでした。 リニアアンプを使う関係で、シャック内にあるマニュアルチューナーで、アンプと同軸とのマッチングを取ってごまかして使用しています。

このアンテナは常設ではないので、平日の夜、国内がオープンしても使う事が出来ませんでした。 そこで、常設のベントダイポールを作成する事にしました。

 

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2020年4月29日 (水)

2mスカイドアアンテナとMTU

2mのロールコールで、1局だけ、了解度がR1か2の局が最近発生し、当然、当局の電波もR1か2くらいでしか届かなくなりました。 原因は、この局との間に高層マンションが新築され、ただでさえも見通し距離外なのに、今までかろうじて、乱反射を繰り返し、届いて電波が届かなくなってしまったものです。

そこで、アンテナの位置を以前あった場所へ移す事にしました。 以前の場所は同じ局がヌルポイントで交信しにくかった場所ですが、そのヌルポイント発生の原因だった、HF用のスカイドアは撤去されていますので、大丈夫だろうと思われます。 今回8m動かすついでに、もう少しゲインのあるアンテナにして、電波通路が改善するか、実験を行う事にしました。

アンテナのゲインを最大限追及し、構造が簡単なアンテナを探したところ、スカイドアアンテナに行きつきました。スカイドアアンテナは水平偏波が主流です。 2mの伝搬は垂直が主流で、水平偏波のアンテナは好まれません。 しかし、当地、東広島市西条で、直接波で交信できる局は限られており、ほとんどの局との交信が、なんらかの反射体(ビルや山)による跳ね返った電波で交信できている現状です。 一度なんらかの原因で反射した電波は、垂直偏波か水平偏波か不確定です。 それなら、水平偏波ですが、ゲインが一番取りやすいスカイドアアンテナにすることにしたものです。

Mmana_2m_skaydoor 

上が、MMANAでシュミレーションしたアンテナの特性です。 水平偏波ですが、ゲインはMax.11.08dBiあります。 ダイポールのゲイン6.4dBiに比べて、+4.68dBもあります。

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MMANAで得られたデータ通りのアンテナ構造は左上のイラストのようになり、これを実際に組み立てた状態が、右上の写真です。 スカイドアアンテナの最上部のエレメントは、直径6mmのアルミパイプを使いました。垂直に降りる線は直径2mmのアルミ線です。 給電部は、間隔3cmの自作並行フィーダーで、指定の長さの先に、今回新たに作ったMTU(マニュアルチューニングユニット)をつなぎます。

最近アンテナチューナーを自作する場合、一番困るのが、バリコンの入手です。 新品は数千円以上しますし、国産では、ついに入手不可になってしまいました。 どうしてもというときはヤフオク当たりで探す事になりますが、成功するか失敗するか判らないMTUの実験に購入するには、高価すぎます。 そこで目を付けたのが、秋月でも販売している村田SSのセラミックトリーマーです。耐圧は100V位しかなく、大電力は扱えませんが、MTUのトリーマーにかかる電圧を低く抑え、50W出力でも、実力で使えるMTUに挑戦する事にしました。

ARRLのアンテナハンドブックの中に、TLWというアンテナチューナーのシュミレーターソフトがあります。 このソフトを使えば、バリコンにかかる電圧を瞬時に教えてくれますので、これでシュミレーションしてみました。 すると、アンテナのインピーダンスが50Ωの純抵抗ではないけど、リアクタンス成分が20Ω以下の場合、バリコンに加わる電圧はかなり小さくなる事がわかります。

ARRLのTLWというソフトは、Amazonで扱っているARRL Antenna Handbookを購入すると、付録のCDの中に収録されているそうです。

今回、設定したスカイドアの寸法は、この条件を加味して決め、得られたアンテナのインピーダンスは、20+j0.5くらいの形状とし、このデータでバリコンにかかる電圧を計算してみました。

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送信機の出力を50WとしたときのコンデンサC1に加わるピーク電圧は141Vと出ました。 もうひとつのバリコンは88Vです。

村田SSのセラミックトリーマーの定格電圧は100Vですが、200Vくらいまでなら、実力で、耐えてくれます。 アンテナのインピーダンスは50+j0に合わせる事が、基本ではありますが、それでは、最大ゲインを得ることはできませんので、最大ゲインを得られる、リアクタンスゼロのアンテナ構造を採用し、50Ωでないインピーダンスを50Ωに整合させるロスの少ないアンテナチューナー(MTU)を低電圧用の安いトリーマーで作る事が可能になります。 例え、アンテナチューナーのロスの為、50+j0のアンテナのゲインより低くなったとしても、気分的にはhappyです。

2m_mtu

2m_skydoor_swr

左上が、実際に制作した、村田SSの60PFセラミックトリーマーを使ったアンテナチューナーで、3cm幅の並行フィーダーの終端に取り付けてあります。 そして、そのMTUを調整した結果が、右上のSWRカーブです。 帯域は、広くはありませんが、144から146MHzまで使用可能です。 実際に50W FMで送信してみましたが、SWRの変化は有りませんでした。

2m_lpf_mtu

しかしながら、せっかくゲインを上げたのに、MTUで19.6Wもロスるようでは、面白くありません。 そこで、MTUの型式をハイパスT型より、ローパスパイ型に変更してみる事にしました。

左のTLW計算結果はローパスパイ型でシュミレーションした、MTUのデータです。 50Wの入力に対して、MTUの出力は49.5Wあります。 ロスしたのは、たった0.5Wです。 しかも、問題になるトリマーに加わる電圧は2個とも100V以下です。

2m_mtu_pi

2m_mtu_pswri

左が、パイ型MTUに作り替えて、かつペットボトルを逆さまにして、下からMTUを押し込んだ防水タイプのアンテナチューナーです。 そして、右上が、トリマーとコイルを調整したSWR特性です。 トリマーやコイルの調整はペットボトルの側面に縦に入れた切込みから調整ドライバーをねじ込み行いました。 切込みはふさいでいませんが、たぶん雨水は入らないと思います。 入っても、ペットボトルの内側の側面を伝って、下におちますので、無害でしょう。

このMTUの下から20mの8D2Vで、リグに繋いでいます。リグ側でみたSWRは144から146MHzまで。SWR1.3以下で145MHz付近では1.0を示します。

このアンテナの成果は。次のロールコールで確認する事にします。

ロールコール当日、いざ送信しようとすると、SWRが5以上で、リグに送信プロテクトがかかります。 当然相手への信号も弱く、交信どころではありませんでした。 外は、どうしゃぶりとは言えませんが、1日中雨です。

次の日、晴れ間がでましたので、アンテナを引き倒し、アンテナアナライザーをつないだ状態で、平行フィーダーに霧吹きで水滴を吹きかけてみました。 吹きかける前は、SWR1.1でしたが、濡らす位置により、増加のレベルは異なりますが、SWR3以上になります。 2mで平行フィーダーを使ったのは、初めてでしたが、使いものにならない事が判りました。 対策として、平行フィーダーなしのアンテナに変更する事にします。

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左が、寸法図です。この縦横比でほぼ50Ωになりますので、後は、リアクタンス部分を同軸の接続位置を調整して、145MHzが最小SWRになるようにします。 この寸法で142MHzくらいから148MHzくらいまで最小周波数を移動できます。

右上のSWRカーブはシャック内で測定したSWRです。 アンテナの調整をしてから、高く上げると、共振周波数が高い方へずれますので、少し、低めに調整したのですが、高く上げた結果、あまり周波数が上がらず、144MHz当たりで、最小SWRとなってしまいました。 ただ、見ての通り、かなり広帯域ですから、そのままです。 これで雨が降っても、SWRが大幅に大きくならないことを期待したいと思います。

2m_skydoor_mating

左は、同軸取り付け部分の拡大です。 スタブのワイヤーもアルミ線ですので、同軸を半田付けできません。

そこで、アルミ線を下方向に折り曲げた直後の部分に、アルミの圧着スリーブを入れ、このスリーブでアルミ線と銅線を一緒にカシメます。 その銅線をアルミ線に軽く巻き付けながら、下へ降ろしていき、その銅線に同軸ケーブルを半田付けします。銅線の終端は、アルミ線と一緒にビニールテープで縛っておきます。

半田付けした同軸ケーブルは写真のように、一度上へ持ち上げ、同軸の切口から雨水が入らないように処理して、ポールに縛っておきます。 使用したポールは5.6m長のクラスファイバー釣り竿ですが、上部の2段は有りません。 よって3.8mくらいの全長となっています。

同軸ケーブルは、黒色ですが、RG58/Uという53Ωのきれっぱしがありましたので、これを流用しました。

このアンテナを新設した理由が、すでに使っているJポールに生じた、ローカル局間に発生したヌルポイント現象でしたが、どういう訳か、Jポールの防水対策をしたら、それが解消されてしまい、このアンテナの使い道が無くなりました。 撤去するかどうかは、もうしばらく様子を見てから決めます。

2020年9月

自作の7MHzトランシーバーを使う為に、フルサイズツェップアンテナを張る事にしました。 そのアンテナを展開する時、このスカイドアが邪魔になりますので、撤去しました。 結局1局も交信する事なく撤去されることになってしまいました。

  

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2018年10月21日 (日)

50MHz スカイドアアンテナ(移動用)

<カテゴリ:アンテナ>

6mの季節は終わったのですが、せっかく出来たAM送信機を車に積んで、移動運用に出かけようにも、移動で使えるアンテナがありません。 そこで、また、廃材を利用してアンテナを作る事にしました。

まずはMMANAでシュミレーションです。

Mmana6mskddata 上のシュミレーション結果は、スカイドアの水平、垂直面の指向性データです。 打ち上げ角11.7度で9.63dBiのゲインがあります。 約13dBiの3エレ八木には負けますが、打ち上げ角16.3度、約6.4dBiのダイポールより3.2dBのゲイン(打ち上げ角11.7度では約4dBの差)が有り、簡単軽量、かつ、釣竿アンテナの廃材で出来るという事から、スカイドアアンテナに決めました。

シュミレーションデータでは、インピーダンス整合もアンテナ共振も出来ていませんが、そこは、外付けのマニュアルアンテナチューナーで整合させます。 抵抗成分が50Ωより高く、誘導性リアクタンスなら、アンテナチューナーによるロスはかなり小さくなります。 TLWで計算させると2.2%のロスになりましたので、気にしない事にしました。

6mskdsize

6mskdant

6mskdswr

左上が構造図、右上が仮に上げたスカイドアアンテナです。

私のスカイドアやヘンテナの上部水平部エレメントは水平一直線ではなく、いつも3角屋根のような構造にし、エレメント自体をこの中心部分で吊り下げ、その下にくる水平グラスファイバーには、導線を横に張り出す為だけの力しか加わらない構造にしています。こうする事で、この上部グラスファイバーは、釣竿の先端の一番細い部分を使う事ができます。

Mtu6kai

左上はアンテナチューナーで整合させた時のSWRで、使ったアンテナチューナーは東京ハイパワー製のHFオンリーのMTUです。 そのままでは整合できませんので、右上の写真の様に28MHz用のタップを本来のコイルから外し、新たに50MHz専用コイルを追加しました。

本来はHF(30MHz以下)オンリーのチューナーなので、使用されているバリコンの容量が大きく、SWR1.0にはなかなか整合できませんが、実用上は全く問題なしです。

移動運用する場合、設営の条件が同じという事は有りませんので、アンテナチューナーは、非常に便利です。

Noroskydoor1811

Swrskd1811

左の写真はこのスカイドアアンテナを、呉市の野呂山、ハチマキ展望台に移動して設置した時のものです。 8mのグラスファイバー製釣竿の先端から吊り下げてあります。 そして、右上が、車の屋根に載せた東京ハイパワーのMTUでチューニングしたときのSWR特性です。 50MHzから50.8MHzくらいまで、SWR1.6以内に収まります。

この日は日曜日。 午前中は8エリアからEspo情報も出ていましたが、運用開始したのは午後の2時ごろでした。 約30分間 50.220のSSBでCQを連呼しましたが、かろうじてコールいただいたのは、同じ呉市のOMさん。 レポートは53/51。 OMさん曰く、通常は59/59で出来る場所との事。 8の字の指向性のヌルポイントだったのか、水平方向だけビームが伸びて、下方には届かなかったのか、不本意な結果に終わりました。 同じ場所からバンドを2mに切り替え、ホイップでCQを出すと、対岸の西条市と59/59で交信でき、 リグとロケーションは問題ない事を確認。 (Rigは、帰ってからダミーロードに6mで送信し、異常なしを確認)

アンテナが悪いのか? 方向が悪いのか? 呉のOMさん以外聞いている局はないのか?

いつかリベンジにトライしたいです。 (AMのQSOどころでは無かった)

6mskd190105

2019年1月5日

スカイドアアンテナのリベンジの為、1月3日、5日と2回に渡り野呂山へ移動してきました。 今回の移動先は、前回の愛媛県に面したハチマキ展望台とは異なり、尾道、福山、岡山方面に開けた場所に、前回と同じスカイドアアンテナを設置してトライです。

結果は3日が3局、5日が1局だけでした。

しかし、この数少ないQSO実績から、アンテナやリグには異常はなく、相手局が山影になるか、垂直面の指向性がマイナスになる場合以外、59か59+で届いており、問題無い事を確認しました。

結局、山の上から呼んでも相手がいないという基本的な問題のようです。

今回、交信は出来ませんでしたが、手作りのAM送信機、VFO、受信機を持って行き、移動先で配線結合し、電波を発射できる体制を作りましたが、準備だけで30分以上かかってしまいました。 やはり、ここは、アンテナを設置したら、すぐにでもON AIR出来る体制が構築できないと、QSOどころではないという事が判りました。

また、6mのOMさんの意見として、AMで送信しても、SSBで応答される事が結構あり、AMしか受信できない受信機は無理があるとの指摘もいただきました。

これらの事から、まだ一度も自作AM送信機による交信は出来ておりませんが、実運用する為に、トランシーバー化と最低SSBとAMが復調可能な受信機の必要性を認識し、これらの改善に向けトライする事にします。

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2015年3月 2日 (月)

160m垂直アンテナ

<カテゴリ:アンテナ>

設置可能な環境の中で、色々と160m用アンテナの実験を行いましたが、やはり、アンテナは屋根より高くないといけないようです。 そこで、前回挑戦して挫折した、7MHz用垂直ダイポールとスカイドアエレメントを利用した垂直アンテナに再トライする事にしました。

160mv5_2

前回の失敗原因は送信出力でアンテナの共振周波数が変わるとい問題でした。  この原因は、近接平行する他のバンドのエレメントとの干渉が高周波電圧で変化し、共振周波数がずれてしまうものでしたので、逆に、近接するすべてのエレメントをショートして、垂直アンテナの頂冠としてしまえば、この問題は解決しそうです。  前回、これを実行しなかったのは、160mから他のバンドへQSYするとき、アンテナワイヤーの接続替えをやらねばならず、それが面倒な事でした。  その為、実験もせずに諦めていた訳です。

ちょうど、今晩から広島WASコンテストが始まるという日の午後、急きょ、この全アンテナエレメントショートの垂直アンテナをでっち上げて、使って見る事にしました。

 

7MHz用垂直ダイポールの下側エレメントを切り離し、上部エレメントを下の方へ延長し、例の金網のところまで降ろします。 18MHz用スカイドアのエレメントは、ベランダに置かれたプリセットMTUから外し、この7MHz垂直ダイポールの上部エレメントに接続します。 さらに6m用のヘンテナもアンテナチューナーから切り離し、これも垂直ダイポールの上部エレメントに接続しました。

160mv5box

この状態でマッチングBOX内のローディングコイルは約2μHで1.910MHzに共振します。 インピーダンス変換トランスは10:6のタップですので18Ωくらいのインピーダンスになっているようです。  アンテナアナライザーで1.910KHz付近に共振周波数がある事を確認し、実際に10Wの出力でSWR最少周波数を確認してみました。1.909KHzでSWR最少1.05となっていました。60W送信してもSWRの悪化や共振周波数のずれは有りません。

一応、使用可能になりましたので、これを2015年広島WASコンテストで使ってみました。 3時間の国内コンテストですが、20局しか交信できませんでした。 昨年のコンテストでは31局と交信していました。 アンテナの形態は昨年と同じですから、多分コンディションが良くなかったのでしょう。 

下に、MMANAによる指向性データを示します。

160mv5data

既存のDPやスカイドア、ヘンテナのワイヤーを一度MTUから切り離し、これを互いにショートした上で、地面まで引き降ろすという作業はかなり面倒です。 次の日の朝、ハイバンドのコンテストが朝8時から始まりますので、雨の中、この切り替えを元に戻す作業をしましたが、かなり手こずりました。 暖かくなったら、このワイヤーの切り替えをスイッチで行えるように切り替え器を設置する事にします。 

その後、アクティビティも下がり、このアンテナの改良は頓挫していましたが、2022年になり、1.8MHzのSSBで国内ラグチューをやる目的で、再度160mバンドアンテナにトライです。

160m用 8m高のスローパー へつづく。

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2015年1月26日 (月)

160m用ロングワイヤー4

<カテゴリ:アンテナ>

全長40mのロングワイヤーは、その絶対利得が+1.47dBiと実験したアンテナの中では唯一プラスのゲインになりましたが、垂直面内の指向性がほとんど真上に集中し、近隣の局のSは強烈に上昇しましたが、DXの信号はほとんど聞こえない状態でした。 2015年CQWW 160mコンテストの2日目、ゲインはかなりダウンしますが、打ち合上げ角が31度くらいになるT型ロングワイヤーに変えて、再度トライする事にしました。

160m13t9drw

マッチングBOXの中のローディングコイルのタップ位置を選択して1.817MHzに共振させ、トランスの巻き数比を9:5とした時、 最少SWRは1.05くらいでバンド内は1.4以下に収まっています。 アンテナの推定インピーダンスは15Ωくらいです。

ゲインは-6.14dBiとかなり落ちましたが、打ち上げ角は31度となり一応DXも可能な状態になりました。  夕方になるのを待って、ワッチすると、ハワイがQSBを伴いながら599で聞こえます。QSBのピークを見計らって、コールすると「PDP?」と返ってきましたので、数回コールしましたが、結局交信不成立。 その後ワッチを続けると、アリゾナが+10dBくらいで入感します。 ただし、コールしてもQSOは出来ません。 

結果的に、2日目の晩もサハリンと交信できただけでしたが、少なくとも前日のフルサイズLWよりDX向きである事は判りました。 先端がシャックと同じ高さで、我が家の屋根より低いというアンテナでは、DXは無理と諦めることにしました。 このコンテストはJA同志のQSOも得点になりますので、CQ TESTを出すと、ちゃんと呼ばれます。 国内にはそこそこ飛んでいるようです。

160m13t9mmana

垂直面の指向性は良さそうですが、地上高が低いのがやはり致命傷ですかね。

次の日の月曜日、雨の中、アンテナの撤去を行いましたが、再度使用する事はないでしょう。

次に160mバンドにQRVする時は、160m用ロングワイヤー(LW) 1で紹介したスカイドアエレメントを使用した屋根より高いアンテナに再挑戦します。 前回は出力で共振周波数が変わるという問題で投げ出しましたが、対策を考えて再トライです。

160m垂直アンテナ へ続く。

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2015年1月24日 (土)

160m用ロングワイヤー3

<カテゴリ:アンテナ>

全長が26mのロングワイヤー(実際はショートワイヤーの呼び名に等しい)は、その高さの割にしては良く飛んでくれました。  しかし、臨時に仮設する条件であれば、最長50mのロングワイヤーを展開できる場所が有りながら、電線の重さの為、張る事が出来ず、26mで妥協していた状態でした。  最近、直径1mmのステンレスワイヤーを市場価格の半額近くで入手できましたので、1.8MHz用フルサイズロングワイヤーにトライしました。

160mlw3

相変わらず、高さは最高8mくらいしか取れませんが、全長50mのワイヤーを用意して、とりあえず張ってみましたら、アンテナの共振周波数は1.6MHz以下となっていましたので、そこからせっせと、ワイヤーをカットし、10mくらいカットしたところで1,817MHzに共振させる事に成功しました。実際のワイヤーの長さは測っていませんので、約40mくらいとしか言いようが有りません。 アンテナアナライザーで確認すると、共振周波数でのインピーダンスは48Ωくらいです。 インピーダンスが高いのはステンレスワイヤーの直流抵抗成分の性かも知れません。なぜなら、40m長のステンレスワイヤーのDC抵抗は60Ωくらいありましたので。 このDC抵抗が原因していると思いますが、アンテナの帯域が従来のアンテナに比べ大幅に広くなっています。アンテナのQがかなり小さくなった為と思われます。 

160mtrns

この状態で直列に1800PFのコンデンサを挿入すると、1.910Mhz付近で同調します。この短縮コンデンサはMMANAで計算しても1800PFと算出されていました。 調整の為、1700PFくらいのセラミックコンデンサに150PFのバリコンをパラ付けして微調整できるようにしてあります。

Qが下がっても、従来のアンテナ以上に飛ぶなら、成功と思いますので、さっそく、アンテナを仮設した晩に1.9MHzでCQを出してみました。 とりあえず5局と交信できましたが双方とも受信状態はあまり良くなかった様でした。

やはり、全長のDC抵抗が60Ωというのは、ダミー抵抗をドライブしているのに等しいと思われます。 

160madj

せっかく入手したステンレスワイヤーでしたが、アンテナワイヤーとしては無理と判りましたので、LANケーブルから取り出した、AWG24のワイヤーに取り替える事にしました。 約7mのLANケーブルがジャンク箱の中にありましたので、この外被をさき、かつツイストされた4組のワイヤーを気長にほどき、全部継ぎ足すと56m近くになりました。 このワイヤーを30mにカットし、12mの1.25SQ KIV線を継ぎ足すと、DC抵抗は3Ωになりした。  このワイヤーを池の上に展開し、1.817MHzに同調するように長さを調整した結果、インピーダンスは、アンテナアナライザーで18Ωと測定されましたので、送信機からの同軸ケーブルを10番タップに接続し、6番タップからアンテナへ接続しました。 SWRは1.05以下です。 1.8MHz帯のバンド全体でSWR1.2以下とかなり広帯域です。  LANケーブル用のワイヤーはその被覆が非常に薄く、同じAWG24でもUL1007タイプよりはるかに軽量です。被覆材料はPE(ポリエチレン)ですから高周波特性も良好です。

このアンテナはコンテストの時だけ臨時に仮設して使用するものですから、架設する度に、共振周波数がすこしアップ、ダウンします。 この微調整用として、整合BOXのすぐ近くでワイヤーを約70cmくらい折り返して束ねて置きます。 共振周波数がずれたとき、この束ねた部分を長くしたり短くしたりして、調整し、いちいちワイヤーをカットしなくて済むようにしてあります。

下に、MMANAでシュミレーションした、水平面、垂直面の指向特性を示します。 シュミレーションでは深さ5mの池の地形は想定されていませんので、これより打ち上げ角が低い事を期待したのですが、実際は期待外れでした。

このアンテナを2015年CQWW 160mコンテストで試してみました。 5エリアの局が+70dBくらいで入感します。韓国も+30dBくらいで入感しますが、いつも+40dBで聞こえるサハリンの局は+20dBくらいです。 +20dBで入感する局とは交信できましたが、それ以下のSの局を呼んでも、CQのコールが一瞬とぎれるだけで、QRZすら返ってきません。 まあ、これが普通ですから、送信能力は諦められますが、HLの局と交信している7や8エリアの局すらあまり良く聞こえません。 どうやら、打ち上げ角がシュミレーション以上に真上へ出てしまったようです。

160mmmana

結局、このアンテナは1晩で不合格の判定を行い、どう改善するか思案しておりましたら、飼い猫が走り回り、マッチングBOXを引きずった為、ワイヤーが切れてしまいました。 猫の遊び場に設置したのがいけなかったと反省しながら、午前中に撤去しました。 

160m用ロングワイヤー4 に続く

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2014年4月28日 (月)

144MHz用Jポールアンテナ

<カテゴリ:アンテナ>

アースのいらないベランダ用の垂直アンテナ、通称「Jポール」を紹介します。 普通のGPはラジアル部分が横にはみ出し、ベランダでは、これが以外と邪魔になりますが、釣竿か、物干し竿を垂直に立てた1本の竿にしか見えず、アースが不要で、設置が非常に簡単で、かつ、2段GPくらいの性能が得られるものです。

アルミパイプを使った本格的なアンテナではなく、グラスファイバー製の釣竿に導体となる1mmの銅線を添わせ、ビニールテープで巻いて固定したかなりいい加減なアンテナです。 

2mjp2

2mjp_2 

 左上が構造図、右上がMMANAによるシュミレーションデータです。

グラスファイバー釣竿を2段つないで2mのポールにした後、直径1mmの裸銅線を図のようにポールに添わせ、適当な間隔でビニールテープを巻き、固定します。給電は同軸ケーブルを直接ハンダ付けしますが、このハンダ付けの位置でインピーダンスが変わりますので、最初に、シュミレーションした寸法のままでハンダ付けし、SWR計かアンテナアナライザーを見ながら、145MHz、50Ωに合わせこみます。

149.2cmの長さを2cm長くすると約500KHz周波数が下がり、インピーダンスは約10%ダウンします。また給電部の3.3cmの所を5mm高くすると、インピーダンスが30%アップし、かつ約250KHz周波数が高くなります。 このふたつのパラメーターを頭に入れて調整するわけですが、電卓とメモ用紙を持っていても結構疲れます。 エレメントの調整はニッパでカットする方が簡単ですから、最初は少し長めにエレメントを作りますが、5cmも長くすると、もうどうなっているのかさっぱり分からなくなってしまいますので、シュミレーションで得た長さのままで作り、周波数が高すぎた場合、銅線ですから簡単にハンダ付けで延長した方が楽です。

2mjp3_3

最初は、少し長めで作った為、結局調整の方向性が判らず、3回くらい銅線の交換を行いました。次回作る時は以下の手順で行うときっとうまくいくと思います。

・MMANAのシュミレーション通りの寸法で作る。

・アンテナアナライザーで共振周波数と、共振状態のインピーダンスを知る。 インピーダンスは50Ωより高いか低いかだけをメモする。

・前述の法則をベースに145MHzでSWR1.0に追い込む。 ただし、インピーダンスは同軸ケーブルの長さにより増減が逆転する事もあるので、もし、前述の法則と逆に変化する場合、それに従う事。

今回は980円の4.5m釣竿で作りましたが、直径の異なる竿の場合、給電部分の2本の垂直銅線の幅1.2cmの部分が多分異なってくるはずです。この異なった寸法の場合、再度MMANAでシュミレーションする必要がありそうですが、どうせシュミレーションしても、現物とは合致しませんので、似たような寸法で作って、共振周波数とインピーダンスを先に把握する方が手っ取りばやいと思われます。 

このクリチカルな調整をやっても、アンテナにポールを継ぎ足し持ち上げると、SWRも共振周波数もずれてしまいますので、ずれの程度をあらかじめ確認しておき、その分だけずらして調整する事がコツです。共振周波数がバンド内にあるならSWR計だけでも判りますが、SWR最低周波数がバンド外に有る場合はアンテナアナライザーが有ると便利です。

自作してから、すでに5年経過していますので、銅線は真っ黒、ハンダは真っ白、テープははげかかっていますが、台風時も倒れずに初期の性能を維持しています。 銅線の固定の為に、1巻33円のビニールテープを使ったので、雨の時、SWRが悪化するのを心配しましたが、変化はあるものの、気になるレベルでは有りませんでした。

このアンテナは、ローカル交信が主目的ですが、10Wの出力で半径100KmくらいはOKなので、コンテスト時、マルチ獲得の為、重宝しています。このアンテナ作成のとき未使用になった先の細い竿は430MHz用の垂直ダイポールに流用されました。

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2014年10月

Jp1410_2

この2m用アンテナの同軸ケーブルに3.5MHzのコモンモード電流が流れ、時々火災報知器が誤動作するという問題がありましたので、同軸ケーブルの途中に3.5MHzでも十分効果のあるコモンモードフィルターをいれました。 火災報知器の誤動作は無くなりましたが、2mで、ある特定の方向にヌルポイントが生じ、その方向がちょうどいつも交信するローカル局と重なり、今までS9であった信号がS1以下になってしましました。

この2m用Jポールから2.5m離れたところにHF用のスカイドアアンテナが有り、このスカイドアの一方のエレメントが、2m用Jポールに最接近したときこのヌルポイントが発生するようです。 最接近した時の距離は1.2mしかありません。 数か月間、2mで交信する際、スカイドアのエレメントを、Jポールから一番遠くなるように回転させていましたが、そのうち面倒になり、現在と反対側にあるベランダに、2m用Jポールを新設する事にしました。 この新しいJポールとHFのスカイドアアンテナは、8mくらい離れましたので、ヌルポイントは解消されました。 新旧ふたつのJポールを1週間くらい併用し、新Jポールが旧Jポールより受信感度が良いという事が判りましたので、旧Jポールは撤去されました。

なお、この新Jポールを作るに当たり、ポールは4.5m長の釣竿をそのまま使いました。 ポールの直径が小さくなりましたが、当初のシュミレーション通りの寸法のままで作ったら142MHz付近で共振していましたので、50.7cmの部分の上部を約8mmカットしたら、ちょうど145MHzに共振するようになりました。共振状態でのSWRは1.1くらいでしたので、これ以上トリミングする事はやめました。

このアンテナは防水していないので、雨が降るとSWR3くらいまで悪化しますが、トランシーバーにプロテクトがかからないので、そのまま使っています。

2020年春

いまだに使い続けているJポールですが、最近、雨が降ると、トランシーバーにプロテクトがかかるほど、SWRが悪化していました。 新コロナウィルスで外出自粛の折、暇ですので、この原因を確かめ、改善できないか、検討しました。 アイロンかけに使う霧吹きを、持ち出し、アンテナのエレメントに場所を選びながら、霧を吹きつけていると、正常時SWR1.1しかないのに、一気にSWRが3以上に上がる部分がありました。 それは、Jの字に折り返した部分の先端付近です。

構造図で50.7cmとある先端部分です。 それ以外は多少の変動はありますが、SWR2を超える事はありません。 そこで、この先端部分を含め、Jの折り返しの部分全てをビーニールテープで巻き、雨が直接銅線に当たらないようにしました。すると、共振周波数が143MHzまで、落ちてしまいましたので、また、このJ字の先端部分をカットして、145MHzに合わせました。

2m_j_rain

これで、SWRは144から146まで1.5以下です。 ただし、まだ雨が降っていません。 雨が降ったら、またレポートします。

雨が降りましたが、SWRは2.5くらいで頑張っていました。 ところが、梅雨に入り、連日雨が降って、その合間に晴れても、SWRが5を超え、トランシーバーにプロテクトがかかるようになりました。 そして、とうとう、晴天が2日以上続いても、このSWR悪化は解消しません。

原因は、テープでぐるぐる巻きにして、雨が入り込まないときは問題ないのですが、一度、雨がテープの内側に入り込むと、これが、晴れても蒸発しなくなり、共振周波数が110MHzくらいまで落ちてしまうようです。

対策として、テープをやめ、左の写真のごとく、J 部分の短い銅線を、ロックタイを使って、釣り竿から2cmくらい浮かしました。 この変更で、共振周波数が150MHzを超えてしまいましたが、そこは、銅線ですから、約10cmくらいの銅線を半田付けして延長し、145MHzでSWR1.1くらいまで調整しました。

Jpole_swr_2

 

バンド全体で、SWR1.3以下です。 そして、雨が降っている場合、SWR2くらいまで上がりますが、晴れると元に戻ります。 雨の影響を大きく受けるところは、2本の銅線が平行する部分の内、短い方の先端から下へ30cmくらいですので、対策としては、同軸を半田付けしたところから、上の方は、可能な限り、支柱からも浮かす事のようです。

 

2023年10月

Blacktay_2

突然SWRが5以上となり、送信も受信もNGになりました。 何が起こったのかと、次の休日にアンテナを倒して見ると。給電部分の絶縁材に使ったロックタイが折れてバラバラになっていました。 この為、マッチング機構が完全に壊れてしまったものでした。 使ったロックタイは白色の耐候性無し品。 製作してから2年半で寿命が尽きました。

やむなく、近くのホームセンターで黒色の耐候性ロックタイを買ってきて、修理です。 雑に修理したので、145MHzでSWRは1.4くらいにしかなりませんでしたが、これで又当分使っていきます。

 

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2014年4月25日 (金)

160m用ロングワイヤー(LW) 2

<カテゴリ:アンテナ>

既存の7メガ用垂直ダイポールやスカイドアのエレメントを共用した160m用LWは、出力により共振周波数が変化すると言うトラブルに遭遇し、解決策が見いだせませんでした。(パワーでSWRが変わる 参照) 仕方なく、これらの既存アンテナから数メーター離した所に独立したLWを臨時に設置し、コンテストの時だけ使う方法に変更しました。

LWの形態は8mの釣竿に電線を添わせ、そのてっぺんから18mのビニール線を2mの高さまで引き降ろしたもので、全長は26mになります。このエレメントが1.910で共振するように、ローディングコイルを調整した結果、給電点のインピーダンスは前回のアンテナよりかなり下がり12.5Ω付近になってしまいました。 整合トランスは10個目のタップに同軸を繋ぎ、5個目のタップからローディングコイルを経由してアンテナに接続されます。

160mlwtrans

160mlwbox

160mlwpole_2

8mの釣竿に沿った垂直部分のワイヤーは1.25SQのKIV線ですが、水平方向のワイヤーはUL1007タイプのAWG24サイズです。 この水平部分のワイヤーは自重の為、直線に引っ張る事ができず、10mくらいの部分で地上高3mくらいまで落ちています。 ただ、このワイヤーの下は即地面ではなく、深さ5mの水の無い池となっている事から、ワイヤーから実際の地面までは8mくらいはあります。これがどのように影響するのかは、やってみないと判らない状態です。 このアンテナを仮設してある場所は、全長40mのLWも実験できる広さがありますが、支柱が釣竿であることから、ワイヤーの重さに制限があり、軽量ワイヤーが手に入るまでは、この長さで実験する事にします。

アンテナアナライザーで、このアンテナの共振周波数を1.910MHz、SWR1.05に調整した後、実際に60W出力してSWRをチェックしても、SWR最少周波数は1.910MHzぴったりで、SWRも1.05以下となり、ずれは有りません。また、シュミレーション上のゲインも-2dBiくらいになっており、前回のLWと同等です。  ただし、前回のアンテナの打ち上げ角は30度くらいで、曲りなりにもDXは狙える状態でしたが、今回のアンテナは、高さが低くなり、かつ水平部分が増えた為、MMANAでのシュミレーションでは真上方向のヌルポイントがなくなり、かなり輻射するようになってしまいました。 多分、国内QSOしかできないと思われますが、やむなしです。

とりあえず、仮設した晩に2局と交信できましたが、2,3エリアでした。 また、従来S7くらいであったノイズがS9まで上がってしまいました。 そうこうしている内に、夏になり160mバンドの出番はなくなってしまいました。 そして、かなり時間がたった2014年CQ WWコンテストで使ってみました。最長距離はハバロスクの約2500Kmでした。 サハリンが+40dBで聞こえます。 また、CQを出しているJA局はのきなみ+40dBで聞こえます。 このコンテストでのJA局同士の交信は無得点ですから、交信しておりませんが、多分国内交信は問題ないと思われます。

MMANAでシュミレーションした結果は、水平面の指向性はいびつですが、垂直面は真上ではなく、多少打ち上げ角が下がっているようです。これが2500Kmをカバーした理由かもしれません。 ちなみにハバロスクの方向は下の水平面指向性のマイナスY(下向き)方向でした。 

160m25mmana

もう少し改善したく、全長40mのLWにトライしました。

160m用ロングワイヤー3に続く。

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2014年4月21日 (月)

パワーでSWRが変わる (出力を上げるとSWRも上がる)

<カテゴリ:アンテナ>

その1

今までの160m用のアンテナは、HF用スカイドアループをエレメントとした、つぎはぎエレメントを使用し、このつぎはぎの部分にはギボシ端子を多用していました。

アンテナアナライザーでSWR1.1以下に調整した後、実際の送信機とSWR計で確認すると、共振周波数が大きくずれます。また、出力を1W、10W、40Wと変化させても、SWR値が変わります。 アンテナアナライザーとの差は良くあることなのですが、出力10WでSWR1.1に調整した後、出力を60Wまで上げると、SWRが2くらいまで跳ね上がります。出力を10Wまで下げると、またSWR1.1に戻ります。 この原因は最初、マッチングトランスのフェライトコアの問題かも知れないと、SWRが悪化するのは我慢して、トランスを外してみました。少しは改善しますが、ほとんど同じという状況でした。

ギボシ端子は電流により接触抵抗が変わりやすいという情報を以前聞いていた事もあり、試しにギボシ端子を2~3回抜き差しして、再度SWRをチェックすると、SWR値と最低SWRになる周波数が変化します。単純な抜き差しで状態が変わるような不安定な接続状態になっている事は事実のようです。

そこで、このギボシ端子を全て廃止し、つぎはぎすべき場所が2か所のみになるよう、その他の接続部分はハンダ付けに変えてやりました。 そして、2か所の接続部分は丸端子とY端子をハンダ付けし、これをステンレスのビス、ナットで締め上げる構造にすると、アンテナアナライザーと10W出力の時のSWR差はかなり改善しましたが、10W時、SWRが1.1になるように再調整した後、60W出力で確認すると、依然としてSWRは2くらいです。

Giboshi

Nutt

左上は切り取ったギボシ端子。右上はビスナットに変更した接続部分。 なお、ギボシ端子の影響を確認できたのは、160mバンドのみで、80mバンド以上では影響なしでした。

10Wでは依然、SWR1.1ですから、まだ、高周波電圧の大きさで、共振周波数やSWRが変化する要因が隠れているようです。 整合回路のアース接続や、コイルのタップ切り替えにミノムシクリップを使っていますので、これが原因かも知れません。そこで、ミノムシクリップをハンダやナットによる締め付けなどの接続に変えてみましたが、あまり改善効果はありません。

この接続状態で、使っていない、7メガ用垂直エレメントの共振周波数をMTUで可変してやると、160mのアンテナの共振周波数が変わります。  普通、近接している他のバンドのエレメントとの干渉は有ります。しかし、干渉が送信出力で変化するのはあまり聞いた事がありません。そこで、160mのアンテナエレメントとして使っているHF用スカイドアのループを切り離し、短くなったエレメントが1.8MHzに同調するようローディングコイルを調整してやると、出力によって変化するSWRがかなり改善しました。60Wでも1.2以下です。 スカイドア用の同調フィーダーと7MHz用エレメントとの距離は5mmくらいで、この間の絶縁はポリ塩化ビニール(PVC)です。一応、専門書を読んでもPVCは10MHz以下なら使用可能となっていますが、この判定はPVCのtanδの変化からのみの判断であり、高周波の高電圧が加わると、誘電率が変わるのかも知れません。 そこで、LCRの共振回路を作り、このCの絶縁材料をPVCにして、出力で共振周波数が変わるかテストしてみました。出力を大きくするに従い、共振周波数は下がりますが、その差は1.8MHzで5KHzくらいで、内訳は1mWと1Wの差が4KHzで1Wと60Wの差は1KHzでした。1mWはアンテナアナライザーによるドライブですから、浮遊容量などが影響している可能性が大きいので、1Wと60Wの差だけが事実かもしれません。しかし、実際は1Wと60Wで10KHz以上のずれが発生していますので、これだけでは説明できません。

結局、原因は判らず、160m用ロングワイヤー(LW) 2に紹介の様に160m用の専用エレメントを6メーターくらい離して設置する事で解決しました。

後日、この真の原因が判りました。 その2の例でも説明していますが、絶縁ワイヤーの耐電圧の問題でした。 ビニール被覆の耐電圧以上の高周波電圧が加わると、そこでリークが発生し、電気定数が変わってしまうのが原因です。 しかも、この高周波耐電圧値は通常公表されていなく、かつ、継時変化により劣化する速度がかなり早く、屋外では1年もしない内にパワーでSWRが変化するような現象が発生するようです。

その2

1本のグラスファイバーポールにHF用スカイドアと6m用ヘンテナを架設し、それぞれ、約4mの長さの平行フィーダーで垂直に降ろし、別々のアンテナチューナーに接続していました。 この平行フィーダーの途中は束ねられ、風でフラフラしないようマストにしばりつけてありました。 建設してから2年が過ぎたころから、21MHzでパワーによりSWRが変わるという現象が出始めました。 

Multifeeder

具体的には、アンテナの4m下に置いてあるMTUのTX端子側で、アンテナアナライザーを使い、SWR1.1以下になるよう調整した後、実際に10Wの出力を出し、SWR計で測るとSWRが2付近になってしまいます。 そこで、10WのときSWRが1.1以下になるように再調整した後、アンテナアナライザ-で測るとSWRが2を超えます。 数か月悩んでいましたが、別件で6mの平行フィーダーを外したところ、このパワーでSWRが変わるという現象が起こらなくなりました。 HFと6mの平行フィーダーの結合状態がパワーで変わるという160m用アンテナのときと同じ原因でした。 建設当初からこの平行フィーダーの架設状態はあまり変化はないので、原因はワイヤーの塩化ビニールの被覆が劣化して、耐電圧が極端に劣化し、高周波電圧がこの限界を超えると絶縁破壊を起こすのが原因のようです。

対策は、左の写真のように、ふたつの平行フィーダーをマストを挟んで、MTUまで引き降ろす事にしました。 この対策で、完璧ではありませんが、10W出力でもアンテナアナライザ-でもSWR1.2以下に収まります。  恒久的には、他の方法を考えねばなりません。

送信機のパワーでSWRが大きく変わるような現象が発見されましたら、普通は最初にフェライトコアを疑いますが、ギボシ端子もかなり悪さするようです。さらに他のエレメントと極小間隔で接近している場合も互いに影響を与えるようです。同じような問題でお困りの時、参考にしていただけたら幸いです。

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2014年1月23日 (木)

160m用ロングワイヤー(LW) 1

<カテゴリ:アンテナ>

ペットボトルにコイルを巻いた6m高の超短縮ホイップアンテナは、国内QSOに限れば、そのサイズ以上の成果を出してくれましたが、DX交信には無理があるようです。  MMANAによるシュミレーションでは-15.6dBiくらいのゲインでしたので、100Wの送信でも、実際は3W分くらいしか輻射されていなかったのが最大の原因のようです。

せめて6000Kmくらいの距離まで交信できるようなアンテナをMMANAを使い検討していましたら、現用の7MHz用垂直ダイポールを接地型垂直アンテナにすれば、まだマイナスゲインですが、そこそこのゲインが得られる事が判りました。 ただ、現在の垂直ダイポールをそのまま使うと全長18mくらいしかない事と、ワイヤーの張り替えがかなり面倒です。そこで、7MHz用垂直ダイポールの上部エレメントをベランダの位置で切り離し、これに新たにワイヤーを継ぎ足し、例の金網のところまで、引き降ろし、この接地部分にローディングコイルとマッチングトランスを挿入した、ロングワイヤーなのかホイップなのか判らないようなアンテナで実験する事にしました。

160mboxロングワイヤーの全長は25mくらいになり、ローディングコイルは1.9MHzで約22uHくらいになりました。この状態での給電インピーダンスをアンテナアナライザーで測定したところ、35Ωくらいでしたので、トランスで整合させることにしました。

トランスは、FT-240#43のコアに、ふた束の10本のより線を12回巻き、このふた束のコイルをパラ接続した上で、10組になったコイルをすべてシリーズに接続したもので、1.9MHzで計算通りのインピーダンス変換ができる事を確かめてあります。  巻線のサイズがAWG28でしたので、導体抵抗を小さくする目的でふた束のより線を使いましたが、 後日、インピーダンス変換トランスの実験をしましたら、コイルをパラレルで接続したトランスは広帯域性が改善される事が判りました。1組のコイルより2組のコイルを並列接続したトランスが、より正確なインピーダンス変換比を確保できるようなので、ひとり悦に入っていました。

このトランスの7個目のタップに同軸ケーブルを接続し、アンテナを6個目のタップに接続してやると、約37Ωへ変換出来ます。実際にSWRを測定すると、アンテナ共振周波数で、SWR1.05くらいになっていました。   

ローディングコイルは、以前、アンテナチューナー検討用に作成したものを流用しました。 VU40の塩ビパイプに1mmの銅線を約0.8mmのスペースで45回巻いたもので、約45uHのインダクタンスとなっていました。 7MHzでのQは230、3.5MHzで137有りましたので、1.9MHzでも74以上は有ると思われます。 もし、Q=120のコイルならゲインが1dBくらい改善しますが、とりあえずの実験はこのQで我慢する事にしました。 このコイルのセンター付近に1ターンごとにタップを出し、ミノムシクリップでタップを選ぶ事により1.8MHzへの切り替えも行えるようにしてあります。

160mbox_1160mbox_2_2 
DX交信の前に、1.9MHzに調整して、国内QSOにトライです。 受信のS/Nは6m高の短縮ホイップより悪い感じですが、送信すると、相手の受信状態は、かなり良いようなレポートでした。 残念ながら、今回のLWと前回のホイップをスイッチで切り替えるという事はできず、簡単比較ができていませんが、飛びはかなり改善されたようです。     交信できた局は8エリアから6エリアまでカバーしました。  MMANAでのシュミレーションでは、-2.6dBiとなっていますので、6m高ホイップより13dBもゲインがアップした事になっているようです。

2014年CQ WW 160mコンテストに参加してみました。結果は、期待通りにはいきませんでした。コンディションにもよると思われますが、交信できた最長距離はサイパンとマニラの約2500Kmでした。ベトナムが599で入感していましたが、呼んでも全く反応なし。1KWの局もかなり手こずっていましたので、コンディションは良くなかったのでしょう。

6m高ホイップでは+20dB以上で入感する局と交信成立していましたが、このLWでは+10dB以上で入感する局とは交信できても、それ以下のSの場合、かすりもしないというのが実態でした。

この160m用アンテナを使用すると、40m用の垂直ダイポールが使えなくなり、夜、80mや40m、30mバンドで交信する事ができません。コンテストの時など、困りますので、上部エレメントを40m用垂直ダイポールの上部エレメントから17mバンド用のスカイドアループに変更しました。スカイドアループが同調フィーダー経由でMTUにつながっていますので、MTUから切り離し、この同調フィーダーの根本をショートした上で、160m用下部エレメントにつなぐ事にしました。 MMANAによるシュミレーションでは、ゲインが約1dB改善します。 実際に整合させると、給電インピーダンスは50Ωちょうどとなり、帯域幅も少し向上しました。

まだ、実践回数は少ないですが、2014年の広島WASコンテストで試したところ、国内QSOながら、CQを出して呼ばれる側を経験できました。また、これにより、80mバンドで垂直アンテナが使えるようになり、80mではカリフォルニアから呼ばれるというラッキーもありました。

垂直面指向性は一応DX向きの形をしているようです。

160mskdmmana

その後、このアンテナを数回使いましたが、送信機の出力でアンテナの共振周波数がずれるという問題に遭遇しました。スカイドア用ループを使った場合、1mW時の共振周波数と60W時の共振周波数の差が約30KHzくらいあります。7メガ用垂直ダイポールのエレメントを使った場合でも20KHzくらになります。 パワーでSWRが変わるで紹介の通り接近したエレメントどうしの干渉具合が出力で変わるようです。アンテナアナライザーで調整しても、実際の送信状態では、共振周波数がずれてしまう訳ですから、その内、調整作業が面倒になり、この方式のアンテナは使わなくなりました。 代わりに、独立したLWを臨時に展開して使う方法に変更しました。

 160m用ロングワイヤー(LW) 2 に続く。

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2013年10月 6日 (日)

160m用短縮Whip(ホイップ)アンテナ 2

<カテゴリ:アンテナ>

ペットボトルが内側へ凹み、線間ショートが発生して使えなくなった短縮ホイップアンテナを再度作り直す事にしました。  今回のペットボトルは、特売していたキリンレモン用にしましたが、中身を飲み干して、ボトルのボディ強度をチェックすると、三ツ矢サイダーより弱い感じ。 

160mwp1_2 導線は、線間ショートが発生しにくい、1.5φのマグネットワイヤー(PEW線)を1Kg手配して、これを、ゆるみが出ない程度に軽く巻く事にしました。全巻き数は112ターンとし、下側から10ターンの所にタップを作っておきます。

160mwp3160mwp2 
これに上部エレメントとして、2mの1.25SQの銅線をつなぎますが、調整が簡単にできる様に、ミノムシクリップ付とし、クリップの移動で+/-20KHzくらいの可変が出来るようにしました。

このコイルを6.3mの釣竿にくくりつけて、竿を持ち上げると、結構竿がしなります。前回はアルミ線で、重さ200gでしたので、さほど感じませんでしたが、今回は600gと、かなり重くなってしまいました。 風のある日は要注意です。

下側のエレメントのクリップで、タップの部分をつかんでおき、アンテナアナライザーをつなぎ、1.910MHzで50Ωのインピーダンスになるようにコイルの巻き数と、上部エレメントをカット&トライします。  コイルの上端から30cmのヒゲを出し、これを長さ152cmまでカットした上部エレメントのクリップでつかみ、共振周波数を微調整します。 

この状態で。下側のエレメントをタップからコイルの端部へ移すと1.817MHzに同調するようにタップから下側のコイルの巻き数を調整しました。

調整完了した時点で、1.9MHz時のコイルの巻き数は99.7ターン。1.8MHz用に巻き足した部分は9.4ターンとなり、この状態でのSWRは1.910MHzで1.0、 1.817MHzで1.1くらいに収まっています。いずれの場合でもSWR1.5の幅は+/-2.5KHz程度でかなり狭いです。

 160mwp4_2アンテナアナライザーで調整完了したので、実際の送信機で確認してみました。 10W出力では、OKなのですが、出力を40Wまで上げると、SWRが2くらいまで跳ね上がります。 出力を20Wくらいまで下げると、SWRは次第に下がり、10Wのときと同等まで変化します。

このような変化は温度に関係します。しかも、パワーを上げたら、SWRが悪化し、下げれば良くなるというのは、どこかでパワーロスしている証拠です。 しかし、アンテナを倒し、コイルを握っても温度差は感じられません。 良く見ると、上部エレメントの先端部分より上の約10cmくらいの長さの釣竿が燃えてしまい短くなっていました。 ワイヤーの塩ビ被覆のこげ具合から、スパークが起こったと思われます。  対策案もすぐには出てこないので、とりあえず、ワイヤーの先端から5cmくらいのところで折り曲げ、先端と釣竿の間に隙間を確保しました。 この状態で再度送信テストを行うと、60W連続送信では、SWRが変化しなくなりました。

夜になるのを待って、まず受信性能の比較。 ちょうど7エリアの局がCQを出していましたので、7MHz用垂直ダイポールと比較しました。 垂直ダイポールではS7でしたが、この短縮ホイップではS9です。前回のアルミ線では、これほどの差は無かったような気がします。 他のエリアの局を聞き比べても、Sひとつ以上の差がある事は確かです。 先端が、シャックより低い位置にある短縮ホイップが、7MHz垂直ダイポール+NT-636の組み合わせより、良い事だけははっきりしました。

CQ局を呼んだり、CQを出したりして、 すでに3局とQSOでき、喜んでいると、通りがかりのドライバーが、わざわざ車を止めて、短縮ホイップを見ているという話が飛び込んできました。 まさか?と思い、CQを出しながら、窓を開け、アンテナを見ると、キーイングに同期してアンテナの先端に紫色の光が見え、時々火花が散っていました。 コロナ放電です。  出力が60Wくらいでは起こりませんが、100Wにすると発生します。 SWRは1.5以下ですが、フラフラしています。 昼間は、明るくて見えませんでしたが、40Wの出力で、この現象がより激しく起こっていたのでしょう。

160hpcorona2 

JA1AEA鈴木OM著「キュービカル・クワッド」の中に出てくる、キトーの4エレ八木が火花を散らすシーンを思い出してしまいました。 ここは、標高230m。 コイルのQが上がったのか? アースが良すぎるのか? とにかく、火花は散りますが、交信はできます。 さあ、どうしようか?    対策が必要です。

とりあえず、その晩は出力を絞って、交信する事にしました。  交信できたのは全部で7局。コロナ放電以外は、好結果でした。

160hpcorona3次の日の朝、この垂直ホイップを撤収し、まず、コロナ放電対策です。上部エレメントの先端に丸型端子をカシメ、先端に丸みを持たせました。市販のホイップアンテナの先端には飾りを兼ねて、キャップが付けられていますが、あれも、コロナ放電対策ですね。

このコロナ放電対策は有効に機能し、100WのCW送信でもSWRは安定しています。  やっと、フルパワーで運用出来るようになりました。

また、上部エレメントをミノムシクリップでくわえて長さを調整できるようにしていましたが、釣竿を立てたり、倒したりしている内に、外れる事が多く、ワイヤークリップタイプに変更しました。 ワイヤークリップのビスをプラスチックのノブ付に変えましたので、簡単にワイヤーの長さの変更が可能になりました。 この部分を1cmスライドさせると、周波数は約5KHz変わります。

160mhp10_2160mhp11_2 

暗くなってから、再度コロナ放電を確認しましたが、OKのようです。 この日の晩に交信できた局は8エリアから6エリアまで全9局。途中、従来の7MHz用垂直ダイポールに切り替えたりして比較しましたが、受信時の信号強度差がそのまま送信でも現れているようでした。 

後日、実際のアンテナとMMANAのシュミレーション状態を比較してみました。 残念ながら、一致しているとは言えませんでした。多分、コイルのインダクタンスとQがシュミレーションより大きいのではないかと思われます。また、ポールの高さを8m品に変えると、共振周波数やインピーダンスがずれますが、シュミレーション値との差が大きくなる事もわかりました。 多分、地上高が高くなった分、地面の影響より周囲の影響を強く受けるようになったと思われます。 MMANAでのシュミレーションはあくまでも、傾向を知る程度にしておくべきでしょう。


このアンテナの性能を確認するために、2013年のCQ WWコンテストに参加してみました。受信はモスクワ、北京、北米などがS9くらいで聞こえますが、応答しても、QRZすら返ってきませんでした。+20dBで入感していた、ソウルとサハリンと交信でき一応ポイントは計上できましたが、このホイップアンテナは1600Kmくらいが限界かも知れません。ちなみに、このバンドでCQを出しているJA局は、のきなみ+20~+40dBで入感していました。

送信能力を上げるには、QROするか、アンテナの効率アップしか方法はありません。QROは街の真ん中ですのであきらめ、効率アップが期待できるロングワイヤーアンテナを検討する事にします。

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2013年9月28日 (土)

160m用短縮Whip(ホイップ)アンテナ 1

<カテゴリ:アンテナ>

160mバンドで、S9のCQに応答しても、全く無視される事が多い、7MHz用垂直ダイポール+T型アンテナチューナーより、少しは応答率が上がるかも知れないという、移動用の超短縮型Whip(ホイップ)アンテナを実験しました。

160hoip6原型は、CQ誌で紹介されたり、インターネット上でも製作例が多い、大型コイルを使った全長6.3mのホイップアンテナです。 なぜ、アースが重要になるWhipを選んだかと言うと、家の敷地の隣に約40m四方の調整池があり、その周りを金網の塀でしっかり取り囲んでいます。この金網の接地抵抗を以前ブリッジ法で測った事があり、正確では有りませんが、40Ω以下でした。 直流抵抗が40Ωでも全長130mの金網は大地に対して、大きな静電容量が期待できます。 この金網をアースとして使えば、FBなアンテナが出来そうですが、北側や西側には土手が有り、東側には我が家があり、唯一、南側だけが開けているという立地条件で、適当なアンテナの構想が無く利用していませんでした。

今回、移動用160mアンテナを実験するに際し、この金網をアースとして使えるかを含め実験する事にしました。

実験するのは、全長6.3mの釣竿に、ペットボトルに巻いたコイルを吊り下げた超短縮型ホイップアンテナです。  竿の先端は、7MHz用垂直ダイポールの給電点より低いというこのアンテナを、MMANAでシュミレーションし、そこそこの特性が得られましたので、実際に製作にかかりました。

コイルの導線は園芸用に安く売られているコーティングされた1.5φのアルミ線を使います。 また、ボビンは定番の三ツ矢サイダー用ペットボトルとしました。

160hoip1160hoip2 

コイルは、シュミレーションでは100ターンで検討しましたが、後でほどいて調整できるように巻けるだけ巻いた結果、117ターンになりました。

160hoip3

160hoip9_2このアンテナの特性はMMANAでのシュミレーションで以下のような要領で調整してゆけば良い事が判りました。

・ コイルのインダクタンスと上部エレメントの長さを調整し、希望の周波数に共振させますが、最初は、仮に巻いたコイルのままで、1.25SQのKIV線で2mくらいの長さのワイヤーを取り付け、希望周波数近くになるよう、少しづつカットします。この仮のコイルのままで、周波数を合わせ込むと、カットし過ぎになりますので、要領が判るまで、上部エレメントは何回か作り替える覚悟が必要です。

・ 小さいインダクタンスと長いワイヤーでも、大きいインダクタンスと短いワイヤーでも同じ共振周波数を得る事が出来ますが、上部エレメントを長くすると、共振時のインピーダンスが下がってきます。 共振状態でのインピーダンスをアンテナアナライザーでチェックする事により、コイルとワイヤーをどうすれば良いかすぐに判断が出来ます。 シュミレーション状態より多くの巻き数で作ってある場合、インピーダンスは50Ωより高めに出ますので、せっせと、コイルをほどく事になります。

・ 上部エレメントの直径を太くすると、共振周波数が下がります。コイルをほどきすぎた場合、共振時のインピーダンスをあまり変化させる事無く、周波数を下げる事ができます。 具体的には、1.25SQのワイヤーを3C2Vの芯線と外被をショートした同軸に変えると、ほどきすぎたコイルをそのまま使う事ができます。 長さと共振周波数の関係はかなりクリチカルで、ニッパで切断する場合、5mm間隔くらいで慎重に切断していきます。

・ コイルのQを上げると、インピーダンスが下がり、ゲインはアップします。高いQのコイルを使用できる場合、上部エレメントを短くして、コイルのインダクタンスを上げれば、整合できます。 もっと高さのあるポールを使える場合、下部エレメントを長くするだけで、ゲインは上がります。 しかし、よりゲインを上げたければ、コイルの位置を下の方へ下げ、最大ゲインにした状態で、20~30Ωになったインピーダンスに整合するトランスを使った方が良いみたいです。

・ コイルから下のエレメントはかなりブロードで、下側のエレメントを変更して、特性を調整するような事は無理です。 たるんだ、ワイヤーを地面に這わせてもあまり変化しませんでした。

・ コイルのインダクタンスを微調整する為に、良く使われる、アルミのショートリングを近づけると、共振周波数の変化以上にインピーダンスの変化が大きく、調整不能になりますので、コイルは面倒でも、ほどいたり、巻き足す方法でカットアンドトライします。

 初日は、SWR 1.0で、とりあえず1.817MHzに同調しておりましたので、次の日、1.910MHzに同調するよう、タップを設け、タップを切り替えながら、ふたつの周波数が使えるように、完成度を上げる事にしました。

ところが、いざ、確認すると、昨日まで、1.817MHzで50Ωであったのに、共振周波数が上へずれて、かつ、インピーダンスが、200Ωくらいになっており、当然SWRも4くらいを示します。半日かけて判った原因はコイルの線間ショートでした。使っている、アルミ線は表面がコーティングされ、一応テスターで当たる限り絶縁されていますが、UEW線みたいに絶縁強度のスペックがある訳もなく、ちょっとした擦り傷で絶縁が壊れ、ショートしてしまいます。

電線をUEWかPEWに変える事を考えましたが、うまくいくかどうかも判らないアンテナに数千円のマグネットワイヤーは無理と、100円ショップで入手した9号サイズのテグスを、線と線の間に巻き込むことにしました。

 

160hoip5160hoip4 

左は手芸用品売り場で見つけた100円のテグス。9号サイズ30mと書いてありましたが、実際は38mくらいありました。 右は、そのテグスをアルミ線の隙間に巻き込んだ状態。もともと、完全な密巻きではなかったので、横幅の広がりもなく線間距離を確保できるようになりました。

このアンテナの アースは2個のミノムシクリップで金網を挟む事にし、設置や撤去がすぐにできるようにしています。 また、1.8MHzと1.9MHzの切り替えは、コイルのタップをミノムシクリップでくわえる方法です。 1.910で約55Ωくらい、1.817で約45Ωくらいのインピーダンスになりました。  コイルの巻き数は1.9のとき100Tくらい、1.8のとき110Tくらいになりましたが、最後はカット&トライしましたので、正確には数えていません。 防水は考慮してませんので、雨が降ったら、多分使用できないでしょう。

160hoip7160hoip8 

夜になるのを待って、ワッチしてみました。3エリアからのCQが聞こえます。受信能力は7MHz用垂直ダイポールより少しS/Nが良いというレベルですが、送信すると、垂直ダイポールではQRZすら返ってこないのに、この短縮ホイップでは、コールバックがあり交信成立。 この日のコンディションはあまり良く有りませんでしたが、とりあえず、CQを出してみました。さらに2局ほどとQSOできました。

飛びという面では、7MHz用垂直ダイポールよりはるかに優秀です。

気を良くしてCQを出していると、突然、SWRが無限大になりました。外に出て、アンテナ直下のSWRを確認しましたが、同じく、無限大。アナライザーで確認すると、共振周波数が2.2MHzくらいまで上昇し、インピーダンスも200Ω以上になっています。線間ショートが起こった時の症状です。

160hoip10_2翌朝、釣竿を縮めて、コイルに手が届く位置にして、SWRを確認してみると、コイルがバラバラになりかけており、コイルにちょっと触れただけで、あっちこっちで線間ショートが起こっていました。この原因は、コイルとテグスをきつく締めすぎた為、ペットボトルが内側につぶれてしまったものでした。たぶん、巻線の途中で一部凹みが出来てしまい、それが、長時間の間に耐えられなくなり全体に広がり、つぶれてしまったのでしょう。

10分足らずの交信テストでしたが、国内交信なら、7MHz用垂直ダイポール+アンテナチューナーより可能性が大きい事が判りました。

これは、作り直しの価値があります。 また、三ツ矢サイダーを買いに行く事にします。

160m用短縮Whip(ホイップ)アンテナ 2 に続く。

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2013年7月13日 (土)

430MHz用垂直ダイポールアンテナ

<カテゴリ:アンテナ>

6m & Downコンテストに毎年参加していますが、過去430MHzバンドはON AIRした事はなく、6mと2mのみにON AIRしていました。理由は430のリグは有りますが、アンテナが無いので諦めていた訳です。

このコンテストが始まる当日の朝、なんとか簡単なものでも出来ないものかと、物置を物色すると、昔、衛星通信用のクロス八木に使ったNとBNCコネクターが加工された同軸ケーブルが見つかりました。ケーブルはごつい8D2Vタイプでしたので、これに2mくらいの3D2Vを継ぎ足してケーブルを確保。 一番簡単なアンテナはダイポールということで、MMANAでシュミレーションしながら、実現可能なアンテナサイズを検討することにしました。

最初は単純な1/2λの長さで最適寸法を求めましたが、少しゲインがあるかも知れないという、片方の長さが5/8λになるダイポールとマッチング用スタブの付いたものを検討しましたら、ゲインが10dBiを超えるものができる事がわかりました。

430vdp1_2 430vdp2_2

全体の長さを5/4λにしておき、スタブを22cmのオープンタイプとすると、スタブのほぼ中央から給電したとき、SWRが1.1以下に収まりそうです。MMANAでシュミレーションした通りの寸法でアンテナを組み立ててみました。

430vdp4_3 材料は、物置に有り余っているグラスファイバー釣竿の未使用ロッドです。細くて使いにくいとかの理由でかなり残っていましたので、これに直径1.2mmの銅線を添わせ、ビニールテープで固定します。ビニールテープは高周波特性が悪くロスが出るといいますが、それは高周波絶縁に使った時の話。空中に持ち上げたら、絶縁は空気がになう事になりますので、無関係になります。ただし、雨が降ると、ビニールテープも絶縁の一部をになうので良くないみたいですが。

430cdp3 MMANAのシュミレーションで得られた寸法通り作成した上で、スタブの部分は後で同軸ケーブルのハンダつけ箇所を移動させる必要から、かなりの部分にハンダメッキを施し、修正が簡単にできるようにしておきます。

プラスチックのまな板から切り出したクロスマウントを2個作成し、ロックタイでくくりつけると簡単にアンテナができあがりました。これを長さ3mの釣竿の先にくくりつけベランダに立てました。アンテナはかろうじて屋根から顔を出している状態です。

さっそく、アンテナアナライザーをつなぎ、調整です。ところが、なんと433MHzでSWR1.0付近になっていました。周波数を可変すると430MHzから436MHz付近までSWR1.3以下。

過去いくつもアンテナを作ってきましたが、シュミレーション通りの寸法で一発でOKになった事は一度もなく、今回は、もうラッキーという以前に驚いてしまいました。 実際の送信機と外付けSWR計でみてもSWRは1.0です。たまにはこういう事もあるのですね。

こうやって、朝8時過ぎくらいから始めたにわかアンテナ作りは約3時間で完了。

コンテストは夜9時からですから、誰か電波を出しているだろうかとワッチしますが、全く信号なし。最近はこのバンドは誰も出ていないみたい。次の日、日曜日、やっと3局とQSOでき、ナンバー交換も終わりました。 何も聞こえないのはアンテナの性ではと心配しましたが、一安心です。 一番遠い局は、5W出力で約100Km離れた坂出市でしたので、一応ちゃんと電波は飛んでいるようです。

当地はコンテスト時以外、ほとんどON AIRする局がなく、このアンテナもコンテスト終了と同時に物置へ。

430MHzのハンディ機を持って、ベランダからQSOを楽しみたい時など、使える簡単アンテナです。かなりいいかげんに作ってもすぐに使えます。

430ではなく7MHz用垂直ダイポール関連情報はこちらにあります。

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2012年10月21日 (日)

7MHz用逆Vアンテナ(国内用)

<カテゴリ:アンテナ>

7メガ用逆Vアンテナと垂直ダイポールを比較しました。使用する目的により優越が異なります。両方設置したほうが良いという話です。

高さが十分に取れない為、下側のエレメントは折り返して設置した、かなりいい加減な7MHz用垂直ダイポールですが、給電方式を最適化するにつれ、打ち上げ角が下がり、国内QSOが非常にやりにくいアンテナになっていきました。と言って、すでに、7MHzで82、10MHzで100エンティティーもwork済みのこのアンテナを、元の状態に戻す気はありませんので、国内QSO用に打ち上げ角の高いアンテナが欲しくなってきました。 私の家は狭い敷地で7メガ用の水平ダイポールすら張れないところです。 そんな環境で給電点の高さが屋根より低く、家の壁に近接平行した逆Vアンテナなら、常設しない限り設置できそうです。MMANAでシュミレーションしながら、寸法を決め、国内コンテストのときだけ仮設する逆Vアンテナを使ってみました。

給電点の高さは7m。左右のエレメントは一方が8m、もう片方が12mのオフセット給電の逆Vで、両端は高さ1.8mくらいまで下ろしています。 長さがラフなのは、給電点のすぐ近くにMTUがあるので、適当で良いのです。

Mmanavdp_2 Mmanainv_2

左が垂直ダイポール、右は逆Vの垂直面指向性シュミレーションデータです。

MMANAによるシュミレーションでは、 真上方向のゲインは、 垂直ダイポールが-12.5dBiで有るのに対して、逆Vは+5.3dBiとなりその差は18dB近くも有ります。 両方のアンテナをスイッチで切り替え比較すると、4エリアや5エリアの局はTS-850のSメーターで最大で20dBくらいの差がついて逆Vが有利です。1エリアはどちらに切り替えてもあまり変らず、7エリア以遠は垂直ダイポールが有利というシュミレーション通りの結果が得られます。ただし、近隣以遠の局では、コンディションにより状態が逆転することもあります。  また、逆Vによる受信信号は、垂直ダイポールよりS/Nが良く、昔から、垂直系はノイズが多いと言われる通りに聞こえます。  これは、打ち上げ角に関係しているのでしょう。   昔、衛星通信を行ったとき、衛星が天頂になるほど、ノイズが減ったのを思い出しました。

送信もこの受信の差と同等の差があるようで、パイルを受けている4エリアや5エリアの局を垂直ダイポールで呼ぶと、パイルも終わってCQを出していた事もありましたが、逆Vで呼ぶと、一発で応答があり、その差は歴然です。

Ex40l

このフルサイズの逆Vのインピーダンス整合の為、TタイプのMTUを使っていますが、Tタイプの一方のバリコンは890PFの固定コンデンサにして、限りなくL型に近くなるようにしました。TLWによるシュミレーションではMTU内のロスが1%以下に収まっています。

アンテナは通常、いかに打ち上げ角を下げるかがひとつのポイントになりますが、事、国内QSOに限れば、いかに打ち上げ角を高くして、かつゲインを高くするかが勝負となります。アンテナは高ければ高いほど良いという説は国内QSOには通用しませんでした。MMANAでシュミレーションすると、地上高をどんどん低くするに従い、真上へのゲインはどんどん上がっていきます。地上高1mでゲインは10dBiを越えます。しかし、同時にインピーダンスもどんどん下がっていきます。インピーダンスが下がると、整合回路や、エレメント自身によるロスも増えますので、どこかに最適地上高がありそうです。どうも1/8λ付近の高さが一番良さそうだというのはシュミレーションで判りましたが、実際に1/8λの高さに張ったダイポールは、それほどの効果は出してくれませんでした。(隣の空き地に臨時に仮設したもので、実験終了後撤去) 地面の電気的特性や周囲の建物などが影響してシュミレーション通りにはいかないみたいです。 こういう事が判ってくると、また、次のコンテストまでに、なにがしか改良出来ないかと、課題が出てきました。 同時に垂直系アンテナは、国内QSO向けではないという事もはっきりしました。未交信のJCCやJCGは中国、四国地方に集中しているのがアンテナの特性を物語っています。

良く、初心者向けに、マルチバンド対応GPなどの宣伝を見かけますが、少なくとも垂直に設置したGPは国内QSOには向かず、例え同じ短縮率でも、地上高の低い水平系のアンテナの方が国内QSOは楽しめそうです。小型マルチバンドGPでDX QSOも出来ますよ!と言うのは間違いで、DX QSOしか出来ませんョ、と言うのが正しいのかも知れません。 しかし、アンテナの短縮率以上に効率がダウンし、DXも聞こえないというのが実態ですが。

この逆Vは、もっぱら、国内コンテストだけに使用しておりますが、沖縄から北海道までの距離なら、これ1本でも十分ですね。 ただし、常設しない条件で、設置していますので、コンテストの始まる前に展開し、終わったら、さっさと片付けしまいます。設営に10分、撤去は15分です。

比較しました、垂直ダイポールについては、カテゴリ「マルチバンドアンテナシステム」の中で紹介しています。

コンテストに使う臨時逆Vは、7MHzだけでなく、3.5MHz用も用意しています。   このフルサイズ逆Vも、片方が12m、もう一方が27mのオフセット給電で、給電点の高さは7mしかありませんが、7MHz用垂直ダイポールを、アンテナチューナーで強制同調させた時と、臨時逆Vとの真上方向のゲイン差は、MMANAとTLWのシュミレーションによると約26dBの差があります。実際にTS-930SのSメーターで確認すると、国内の信号は30dBくらいのレベル差がついて逆Vが有利です。 しかし、逆Vでは、DX信号は全く聞こえません。 

Ex80l 

このフルサイズ逆Vにも上のようなパイ型MTUを使用しています。このMTUも限りなくL型に近づけましたので、MTUの内部ロスは1.2%以下です。

一方、7MHz用垂直ダイポールをMTUで3.5MHzに強制同調させた場合、最近、DX信号が聞こえるようになりました。そして、初めてヨーロッパとも交信できました。 他のバンド用の同軸ケーブルやMTU、ローテーターのコントロールケーブルを整理した結果、3.5MHzの打ち上げ角が下がったみたいです。 しかし、まだシュミレーション通りの打ち上げ角にならない原因がありそうです。

アンテナから垂直に引き下ろした、同軸ケーブルは地中を通ってリグにつながるというのが理想のようですね。  しかし私のアンテナは地上高8m付近を水平に伸びていますので、せっせとコモンモードフィルターを追加するくらいが唯一の改善策です。 その介もあってか、垂直ダイポールによるDXCCのエンティティは

3.5MHzで34、 7MHzで94、 10MHzで108

まで増えました。(2017年12月)

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国内QSOを存分に楽しみたいなら、最大地上高7mくらいの逆Vが一番というのが私の結論です。 2016年になってから、7MHzのAMを始めましたが、出力18WのAM送信機で運用する時は、朝から臨時逆Vを仮設して楽しんでいます。 AMの周波数は夜になると、放送局の側波帯による混信で使えなくなりますので、夕方には逆Vを撤去しています。

 

2020年9月

国内交信用として、ツェップアンテナを作りました。 このアンテナは架設がダイポールより楽ですがアンテナチューナーで好きなバンドに出る事は出来ません。

 

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2012年7月12日 (木)

Super Rad(スーパーラド)アンテナ

<カテゴリ:アンテナ>

Super Radアンテナの存在を知り、160mバンドでの可能性が有りそうということで、また実験を始めました。(実験は2010年5月~6月ごろ)

Sra

上の写真は左から製作した順番に、15m、17m、40mそれに80m用です。

それぞれ、この室内設置状態で交信できています。室内と言っても木造鉄骨の3階の部屋の窓際で地上高はすでに8mあります。 交信数は全23局、内訳は

  • 21MHz 6局
  • 18MHz 3局
  • 7MHz  10局
  • 3.5MHz 4局

全て国内交信。貰ったり送ったRSリポートは全て59か599。スーパーラドアンテナを検討しようと試作始めたのは、160m用のアンテナが無いので、それを実現しようと、簡単な21MHz用から製作を始めたものです。しかし、160m用を作る前に中止してしまいました。

現用のアンテナとの差を比較していくと

  • 21MHzでは、ワンエレループと比較。受信感度S2つの差。このバンドのみ相手からの受信レポートがあり、Sメーターの読みでS2つ差との事。こちらの送信出力を5Wにして、SRAではS7、ループではS9のレポートでした。
  • 18MHzでもワンエレループとの比較で受信感度S2つの差。
  • 7MHzは垂直ダイポールとの比較で、受信感度でS2つの差。
  • 3.5MHzも7MHz用垂直ダイポールとの比較で、受信感度でS2つの差。

Img_2560 室内は不利だろうと、7MHzだけですが、3階のベランダから2mのポールで持ち上げて、地上高10mを実現しましたが、期待とは裏腹にダイポールとS2つの差は変りませんでした。

S2つとは約12dBのことで、このゲインがそのまま送信にも当てはまります。 また、概設の7MHz用垂直ダイポールを3.5MHzで使った時と、仮設した3.5MHz用フルサイズ逆Vを比較すると、垂直ダイポールの方が10dBから26dBくらい感度が悪い事が判りました。

仮に感度は10dBしか悪化しないとしても、スーパーラドは3.5MHzで、22dBも感度のダウンが起こり、また送信電力のロスが起こると言う事になります。1.9MHzの場合、もっとロスが大きいと考えられます。

一方、7MHz用垂直ダイポールに1.8MHzをのせたMMANAでのシュミレーションでは、  -0.5dBi くらいのゲインになり、このアンテナをNT-636で整合させたときの整合回路のロスはTLWにて99.3%と計算されます。 この状態は、スパーラドと同等か、まだましな状態と想像できます。

これが諦めた理由でした。

このアンテナは旅行カバンの中から取り出した21MHz用アンテナを高層ホテルの窓際においたり、アパートのベランダや窓際に置いて、HFの交信を楽しむには最適と思います。Sふたつの差があろうが、このサイズで交信を楽しめるのは立派ですね。

いつか、もう少し小さくして、いつも持ち歩けるものを作るつもりです。

その後、160mバンドは、7MHzの垂直ダイポールで頑張ったのですが、まだ3エンティティー。内訳は台湾、小笠原、それに日本本土。 160m用のアンテナは未だに模索中です。

2017年9月

移動運用の為、7MHz用SRAを再製作中ですが、うまくいきません。 受信感度が、7MHz垂直ダイポールと比較して30dBくらいの差があります。 過去の写真からヒントを得ようと昔のCD-ROMを再生していましたら、当時のSRAの製作メモが見つかりました。 残念ながら、21と18MHz用だけで、7MHzや3.5MHz用は見つかりませんでした。 7MHz用の写真が数枚見つかりましたので、写真を基に、再度トライしています。 以下は最初に紹介した21Mhz、18MHz用SRAの緒元です。

Sra1518m_memo

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