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2023年6月10日 (土)

ATUによるマルチバンド運用開始 

<マルチバンドアンテナシステム2>ATU 自作 ループアンテナ 

当初の目標に対して、一部未完成の部分はありますが、仮運用を始めて1か月経過しました。 その間に見つかった問題点と対策を紹介します。

3.5MHzでフルパワー運用すると、ATUのTUNE LED(緑)とRESET LED(赤)が出力レベルに応じて点灯します。 ATUのマイコンには異常が有りませんので、コントロールケーブルのLEDラインがRF信号をピックアップし、そのRF信号をLEDが半波整流して点灯するもののようです。 コントローラーのLEDに直列に1mHのチョークコイルを入れ対策出来ました。

 

シャックの電源をONする度に、コントローラーは初期化され、プリセットコール要求はデフォルトのOFFになっていました。 まだ、ATUのプリセットが済んでいない状況では、これで良いのですが、ほぼまんべん無くプリセットが完了すると、最初にキャリアを出して、チューニングを行うというアクションが不要になり、シャックの電源をONした後、プリセットコール要求がOFFの状態で送信してしまい、SWRが90を超えるという事が頻発しました。 そこで、このプリセットコール要求は初期値としてONに設定しました。 

 

21MHzでラグチューを始めると、最初SWR1.1くらいで有ったのが10分以上過ぎるとSWR2.8くらいまでアップします。 こちらが受信状態になり、再度送信状態になると、ほぼSWR1.1近くに戻っていますが、また数分すると、SWRが2.0を超えます。 症状的にはフェライトが発熱するような現象ですので、ソーターバランを廃止してありますが、送信時間が長くなると、はっきりとこの症状が現れます。 また、24MHzではCWの短時間送信でも同様な現象が発生します。 どうやら、ATU内部のコイルのコアが発熱しているようです。 スカイドアアンテナの横幅を従来の半分にしたことにより、アンテナのインピーダンスが下がったのが原因と考えられます。 このままでは、いつかATUが壊れてしまいますので、電流を減らす対策が必要です。 結局、耐圧でNGとなったインピーダンス変換トランスを再登場させねばならなくなりました。 

Unun3by2


そこで、3:2の巻き数比(インピーダンス比 1:0.44)のトランスの耐電圧改善品を作り、ループアンテナだけに使用する事にします。 ループアンテナ専用なら、バラン形式の不平衡/平衡変換は必要ないので、このトランスは不平衡/不平衡トランスとして、トランス自身のSWR悪化を改善します。

3by2unun

Ununswr

左上がフェライトコアを2個使った不平衡/不平衡 巻き数比3:2のトランスで通称UNUNです。 コアはトーキンのESD-R-17S-1です。 3本のAWG22相当のリード線をねじり状態でコアのなかを2ターン通していいます。 全体の巻き数は1次側が6ターン、2次側が4ターンでインピーダンス比は50:22となります。 右上が1MHzから60MHzまでのSWR特性で、初期のころ作ったバランよりはSWRが改善しております。

Atuununadd

このUNUNをアンテナ端子Aとリレーの間に追加し、コアを両面テープで止めただけの状態に置き、空中配線で絶縁距離を確保しながら追加しました。 そして、アンテナは架設状態ですが、14MHzから50MHzまでSWR1.5以下に整合出来、一番厳しかった24MHzでCW 100W連続送信しても、SWRの増加は有りません。 ただし、増加は無いのですが、減少があります。 この現象がたまたまなのか、周波数によっては増加になるのかは、実際の運用で確かめていますが、今のところ問題無いようです。

 

3.5MHzや7MHzの国内向け高打ち上げ角のアンテナを160m用のワイヤーを使って作ろうともくろみましたが、3.5MHzはワイヤーの長さがほぼ1/2波長になってしまい、整合出来ませんでした。 また、7MHzは整合出来るものの、打ち上げ角が期待通りに上がらず、国内向けとしてはNGでした。 この状態を改善する為に、160m用の性能が変わらない範囲で、3.5MHzの整合が可能な条件を探す必要が有りました。 MMANAのシュミレーションでは、現在の160m用アンテナの反対側へ10mのワイヤーを追加すれば、3.5MHzでリアクタンスが+2800Ωくらいあったのを+300Ωくらいまで落とす事ができます。 ATUを降ろしたついでに、この10mのワイヤーを追加し、アンテナを正規の高さまで上げた後、確認すると、SWR3.1くらいが最低で整合できませんでした。 そこで、10mのワイヤーを12mにすると、めでたく1.04まで下がり整合出来ました。 3.5MHzから3.8MHzまで最大SWR1.5、平均SWR1.14でした。

 

1.9MHzの周波数設定が間違っていました。 周波数リストを修正しました。

ANT-D端子を使う時は、ATUの電源をOFF出来るように、各アンテナ切り替えリレーのON/OFFを修正しました。 ATUに通電していない時にD端子が有効とし、かつ、ATUが生きている時でもアンテナをDに指定できるように修正しました。

 

アンテナの設定に目途が出てきたので、シャック内のリグも以前のように運用出来るように整備し、1.8MHzの200Wリニアも使えるようにしました。 そして、SSBでCQを出したところ、最初SWR1.1くらいで有ったのが数秒で4以上に悪化します。 しばらく休止して、再度送信すると同じように繰り返されます。 どうもATUの中のコイルが発熱しているみたいです。 このATUの最大通過電力は150Wでしたので、やむなしと諦め、200W運用する為の検討を後日する事にします。

 

この後、ATUのバグが沢山発見され、修正しました。最終状態はこちらをご覧ください。

下のファイルは最新状態に差し替えてあります。

 

メインユニット配線図  NB-ATU_main9.pdfをダウンロード

コントローラー配線図 NB-ATU_contoroller6.pdfをダウンロード

ATU本体  NB-ATU-main_10.cをダウンロード

ATUコントローラー NB-ATU-controller_9.cをダウンロード

本体ヘッダーファイル FREQ_Span8.hをダウンロード

コントローラーヘッダーファイル FREQ_Center8.hをダウンロード

これで、当初の目標はほぼ達成できましたが、最後まで残った7MHzの国内用アンテナはどうしても実現出来ませんでした。 これは、以前作成したツェップアンテナを展開するか、ベントダイポールをこのATUとは別に独立して後日検討する事にします。

今回のマルチアンテナシステムの全体構造図と各バンドに於ける指向性(水平、垂直)のシュミレーションデータを残しておきます。

Antdrwg2_2

6mptern

10mptern

12mptern

15mptern_2

17mptern

20mptern

30mdpptern

40mdpptern

40mlwtptern

80mdpptern

80mlwtptern

160mspptern

  
160m用 DX向けは、以前検討した事のある7MHzの垂直エレメントとスカイドアエレメントを使った垂直アンテナをアンテナD端子に接続し、地上に置いたマッチングBOXで整合させる予定ですが、これをMMANAでシュミレーションすると、ゲイン最大の打ち上げ角は25度くらいになり、その位置でのゲインは+1.5dBiくらいになります。

両者のSメーターの振れ差は0.3くらいしかなく、ほんとに改善出来るのか????です。

2023年の12月初め、ARRLの160mコンテストが有りましたので、聞いてみました。聞こえてくるのはJAばかりで、Wは1局も聞こえません。 垂直方向の指向性はシュミレーションとかなり異なるみたいです。 やはりATUを使わない垂直アンテナは必要と判りましたが、いつ建てるか未定です。

 

7MHzの国内用アンテナ設置へ続く。

 

2024年2月

 ATUを使わない160mバンド用垂直アンテナを作りました。

 

2024年3月

160mバンド用受信専用アンテナの実験をしています。

 

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