2017年1月22日 (日)

LCメーターの製作

アナログのCメーターはすでに自作してあり、重宝していましたが、インダクタンスを測る場合、アンテナアナライザにコイルとコンデンサを直列に接続し、共振周波数を読み取った後、計算で算出していました。 もう少し簡単にインダクタンスを測定できないかとWEB検索していると、沢山の記事が見つかりました。 既知のコンデンサ1個と、正確な周波数カウンターを利用して、マイクロコンピューターで自動測定するもので、かなり以前より、世界中で製作されているようです。

そこで、これらの製作記事を頼りに私も作ってみる事にしました。 マイコンはピン数は28本もあれば十分なのですが、今回はジャンク箱で遊んでいた40ピンのPIC16F1939です。

まずは、LCメーターに使用されるフランクリン発振回路の予備検討です。 校正時のLとCの組み合わせは100uHと1000PFが一般的で、WEB上でもこの定数の回路が多数存在します。 そこで、このLCと74HC04の回路で一番広帯域に発振する定数を確かめてみました。

下に回路図を示します。

Franklinosc この回路状態でC3にパラレルにコンデンサを追加して、安定に発振させられるC1,C2,R2を調べました。 C3に最大0.55uFのコンデンサをパラレル接続したとき、正常に発振するR2の値は580Ωでした。0.55uFが追加された場合、R2は580Ω以下でもOKでしたが、逆に1000PFだけの場合、580Ω以下では発振停止してしまいます。 そこで、選んだ抵抗値は820Ωとしました。 この段階では、まだ周波数カウンターは接続されていません。

500khz

50khz

左が100uHと1000PFの基準共振時の約500KHzの発振波形です。 右は0.068uFのコンデンサを接続した時の、約60KHzの波形です。 見ての通りオシロの同期がうまくかからず、2重に写っていますが、周期にムラが有っても、周波数カウントには影響ないと考えていました。 しかし、いざカウンターが動作するようになると、とんでもない周波数(1MHz以上)をカウントします。 波形の縦線の部分を拡大してみると、数MHzの寄生振動を伴っていました。 これでは、全く使い物にはなりません。 

WEB上で、インバーターはアンバッファ品が良いというのは、この性かも知れません。

そこで、インバーターをアンバッファ品に替えて実験してみました。 結果は0.1uFくらいまでは、安定に発振しますが、0.22uFくらいから発振周波数が1MHzオーバーとなります。 そして、この程度のレベルが限界に近いというのが、WEB上にも散見されます。 しかし、せっかく、作り始めた事もあり、なんとかこの最大容量を拡大できないか検討する事にしました。

Franklinosc1

従来からの変更点は正帰還回路にシリーズに入っていた抵抗R2を20KΩの半固定VR2に変えた事。 CMOS発振回路の出力に負荷容量としてC6を追加した事です。

VR2の値は4.7KΩくらいで微調整が必要でした。 C6は大きくすると、発振周波数の低下を招きますが、高容量のコンデンサを接続しても寄生振動が起こりにくくなります。 ただし、大きくなるほど、LとCによる共振周波数と実際の発振周波数と差が生じ、真のLCの値を表示しなくなります。

Cout_freq

上のグラフはC6を変化させた時の発振周波数の変化を表しています。 仮にC6が0PFの時の発振周波数が真のLC共振周波数とすると

100PFのとき発振周波数は0.116%ずれます。これは。コンデンサに換算すると0.232%の誤差となります。 1000PFの時は、発振周波数が1.78%とずれ、コンデンサの容量換算で3.58%の誤差です。 しかし、コンデンサの容量変化と周波数の変化は、ほぼ直線に変化していますので、帰還系の条件は発振周波数にあまり影響しないと思われます。  という事は、この負荷容量込みでキャリブレーションを行えば、そこそこの精度が得られると考えられる訳です。

C6を1000PFとして、キャリブレーションをしてみました。 

マイラーコンデンサの場合、6.6uFまでは正常に測れました。 電解コンデンサは1uFまでは測れましたが、その次に4.7uFを掴んだら発振周波数は0となっていました。  最少容量は、1PFでも測れます。ただし、正しいのかは?です。

また、コイルは、100uHの表示のあるものが94.77uH、3.3mH誤差kと表示のあるチップインダクタを測ると3.62mHと出ました。 なんとか誤差内です。

ここまでの検討で、そこそこの精度は出ていると思われますので、条件付で完成品に仕上げる事にします。 条件とは、コイルは確認できた最高インダクタンスを15mH、コンデンサは電解コンデンサは除外して、最高6.6uFとします。

使用した1000PFのコンデンサの温度係数は、通常のCH特性(0+/-60ppm)より特性の良いC0G特性(0+/-30ppm)のセラミックでMURATA製です。 

一方、中国製の100uHのコイルの温度係数は未知です。 使われている磁性体がフェライトのようですから、多分+1000ppmくらいと思われますので、これをカーボニルの+50ppmくらいに変更しないと安定しないと考えます。 そこで、カーボニルコアで100uHくらいのコイルを手作りする事にしました。 

100uhcoil

アミドンのカーボニルコアT37-2に0.3φのUEWを約150回巻いて100uHのインダクタを作り基板に実装しました。

左の基板はそのコイルを実装した状態です。基板に両面テープで張り付けてあります。

コイルが+50ppmの温度係数なら、コンデンサは-50ppmの温度係数でなければなりませんので、実働状態では、発振周波数がドリフトします。 特に暖房(多分冷房も)が動作中に、電源ONした直後はキャリブレーションした直後でもオープン状態の静電容量が0PFとなりません。 使用しながら、対策を考える事にします。

良く使われるPPコンデンサの温度特性は-25ppmくらいですから、0ppmのC0Gコンデンサより良い結果が得られそうです。 そこで、ネット通販を探し廻りましたが、サイズと価格が折り合わず、とりあえず現状としております。

左側の3個の黄色の箱は回路切り替え用のリレーですが、手持ちの24V品を使った関係で、5Vから24Vに昇圧するDC/DCも実装してあります。 実際のリレーは2個しか使っていなく、3個目は予備です。

LCDの表示は、pFとμF、μHとmHの単位自動切り替えで、あまり細かい表示はしない事にしました。

下に、それぞれの表示例を示します。

C221

C223

L101_2

L332

ここまでの回路状態でケースに組み込む為、組み立て図の作図を開始したところ、用意したケースに収まりません。ケースはエレキーやCメーターに使用したタカチの同一サイズですが、高さが足りず、LCDやテスト端子を実装できません。

Lc_1939

最大の原因は、左の40PIN DIPのマイコン基板です。 もともと、以前、アンテナアナライザーの予備検討をした時の基板で、もう出番は終了していたものでしたが、今回のLCメーターの検討にちょうどよさそうでしたので、ジャンクボックスから拾い上げたものでした。

そこで、このPICマイコンを28PINのPIC16F1938に換える事にしました。 しかし、DIPのままで28PINに変えても、大きく改善は出来ませんので、同時にSOPに換え、アナログ回路基板に同居させることにします。 さらに、場所や高さ制限で厄介者でした24VのDC/DCも基板をサイズダウンさせます。

Lcm_1938このようにして作り直した基板が左の写真です。 ここまでサイズダウンすると、なんとかケースに収まりそうです。

PICマイコンを変更した回路図LC_Meter2.pdfをダウンロード

当初キャリブレーション時の周波数チェックはノーマル時を先にやり、キャリブレーション時の周波数チェックを後で行っていましたが、何回かテストすると、順序はこの逆、すなわち、キャリブレーションの周波数を先にチェックし、ノーマル時の周波数チェックを後からやる方が、キャリブレーション直後のオープン状態での容量が0PFになる確率が高くなる事が判りました。 従い、マイコンソフトもそのように修正しました。

ソースコードLC_Meter1938.cをダウンロード

Lcmeter_box

一応使えるようになりましたので、ケースに収納しました。 消費電流はリレーの電源が影響して、Cx測定時115mA、Lx測定時12mA、キャリブレーションピーク時230mAとなっています。 DC電源で使う分には問題は無いのですが、いざ使おうとすると、最初に電源の心配をせねばなりません。

以前作ったアナログのCメーターは電池式で、すでに2年以上経過していますが、いまだに電池交換した事が有りません。 今回のLCメーターも少なくとも1年は電池交換しなくても良いような電源回路を考える事にします。

校正用リレーを5V品に変えて、L/Cの切り替えをメカニカルスイッチに変更して、今まで5Vから24Vを作っていたDC/DCを3Vから5Vを作るDC/DCに変えた結果、Cx/Lx測定時16mA、校正時65mAまで抑える事ができました。校正時の65mAは1.2秒くらいの時間しか流れませんので、メカニカルの電源スイッチを追加する事により、かなり長期間電池交換なしで使えると思われます。

この状態の回路図LC_Meter3.pdfをダウンロード

また、PICのソフトも変更しました。LC_Meter1938_3.cをダウンロード

Battlcjpg

左は、リレーを5V品に変えた基板です。

今回採用したリレーは、以前5W QRP CW送信機のアンテナ回路切り替えに使ったあまり品で、内部に永久マグネットが入っているOMRON製の省電力でON出来るタイプです。 サイズも従来品の1/5くらいになりましたので、基板上の配置は見ての通りかなりすっきりしました。

今回、単3アルカリ電池2本により3VのDC電圧を5Vに昇圧しますが、抵抗値をE12シリーズにした為、実際は4.75Vにしか昇圧されません。 しかし、回路はこの電圧で十分動作しますので、このままとしてあります。

Lcmeter0203b

また、このDC/DCコンバーターのICの最低電源電圧保障値は1.8Vですが、電源を昇圧した4.75Vから取れば、最低入力DC電圧として0.9Vまで動作します。 しかし、アルカリ電池でも1セル当たり0.9V以下になると電池の内部抵抗が急激に上昇し、電池2本の場合、1.8V以下になると、4.75Vは維持できません。 このDC/DCのIC資料では、ICの電源は昇圧した後から取れとなっていますが、両面基板の改造が面倒なので、入力側から取っています。

従来、LCDの下の行が余っていたので、何も役に立たない発振周波数を表示させていましたが、電池の電圧表示に変えて、少しは役に立つ表示としました。

INDEXに戻る

2016年11月22日 (火)

東広島市鏡山公園

カテゴリ <QSLカードの題材

ハムという趣味は、無線工学の学習から、無線機の製作(最近は購入)、アンテナの製作、交信スキルの実践、そして交信が成立したとき、お互いに発行する交信証の交換で完結します。 最近は、No QSLとか言って交信証の交換を拒否する局長さんも増えていますが、私の交信証発行の趣味を奪わないでと、相手からの交信証受領を期待せず、発行を続けております。

その交信証(QSLカード)のベースになる画像の原本をシリーズで紹介します。

題材は「鏡山公園」

20071115_2

2007年11月15日 撮影

20110608

2011年6月8日 撮影

20130128

2013年1月13日 撮影

20120416

2012年4月16日 撮影

20091018 2009年10月18日 撮影

20140208_2  2014年2月8日 撮影

20140407 2014年4月7日 撮影

Qsl201403407 2014年4月7日 撮影

Kagami20140908 2014年9月8日 撮影

20141024 2014年10月24日 撮影

20141119 2014年11月19日 撮影

2015nov21 2015年11月21日 撮影

2016nov_s 2016年11月12日 撮影

INDEXに戻る

2016年10月29日 (土)

LDG KT-100の改造(マイコン)

カテゴリ<ATU LDG KT-100

CM結合器を日本製に変えて、トライしたLDGのKT100改造版でしたが、内臓されたPICマイコンのソフトの問題で実用出来ず、お蔵入り状態でした。 そこで、このPICマイコンも改造版に変えてしまおうと検討を始めました。 基板やその上に搭載されている部品を大幅に変えることなく、PICマイコンを作り替える事にした改造記です。

Newcmd_2

Kt100modify0

左上のCM結合器は、日本製のSWR計に使用されていた基板から必要な部分を糸ノコで切り出して実装しました。 オリジナルCM結合器のコイル部分は残していますが、ダイオードや負荷抵抗は取り外してあります。

右上は検討用にMコネクタを仮配線し、デジタルオシロでタイミングを見る為いくつかのテストポイントを追加した全体の基板です。

オリジナルのマイコンはPIC16F866という8bitのマイコンですが、かなり古いマイコンですので、これとピンコンパチのPIC16F1938に変更しました。 どのマイコンを使おうが、ソフトの開発、デバッグを行う為には、内部の変数やレジスター状態が見える必要がありますが、オリジナル回路は、それらを見る為のi/oが有りません。 従い、PICkit3によるデバッグツールを使う必要があり、以下のハード変更を行いました。

・RE3はデバッグ用にMCLR専用端子とする。

・カウンター入力をTimer0の入力端子となるRA4に変更。

・今までRA4に割り当てられていたTT入力は廃止。

・RB7,RB6端子をデバッグのPCD,PCGと共用する為、74HC04によるバッファを追加し、リレー負荷がこの端子に直接接続されないようにする。

・TS-850からのリモート動作は無視し、マニュアル操作オンリーとし、チューニングスタートボタンと、チューニングリセットボタンのみを操作キーとする。 リセットキーを取り付ける場所が有りませんので、後側にプッシュSWを追加します。

・K3のリレーは本来RC2につながっている方が都合がよいので、RC2に接続し、今までRC2に接続されていたグリーンLEDはRA5に移す。

・オリジナルのfoscは8MHzのようですが、これを32MHzに変更し、オプチマイズなしのXC8コンパイラによる動作速度低下を少しでもカバーさせる。

これらの変更を行った配線図 KT100mod01.pdfをダウンロード

まず、リレーの制御ですがラッチタイプのリレーを何ミリセックの時間でドライブしたら動作するのか確かめてみました。すると、確実にセット、リセットが出来る時間は1.9msecという事が判りました。 実際の設定は余裕を見て、3msecくらいの駆動でセット、リセットを行わせる事にしました。 

また、周波数カウンターは、オリジナル回路では1/32768分周という恐ろしく大きな分周比を使っていましたが、この改造版はU2(74HC393)で1/2分周した後でT0CKIに加え、内部で1/8分周した後、Timer0でカウント動作をさせます。 Timer0は8bitカウンターですので、これにソフトによる8bitカウンターをシリーズにつなぎ16bitカウンターとしました。 そして、Timer1を使い、16msecのゲート時間を作り、Timer0のゲートを制御します。 Timer1のゲート時間は厳密に16msecとはなっていませんが、ここで多少のカウント誤差が有っても、メモリーされたデータを書き込み、読み出す事に関しては全く問題はありませんので、そのままにしてあります。 メモリーすべきデータは16bitですので、すべてのEEPROMエリアを使用したとして、127の周波数分を記憶できます。 1.8MHz帯は10KHz幅、28MHz帯は100KHz~200KHz幅、50MHz帯は300KHz~500KHz幅、その他のバンドは、この幅をベースに分割した73のバンドとして、EEPROMの2番地から16bitごとに記憶エリアを確保する事にします。

使用したCM結合器は1.8MHzから50MHzまで使用可能な、ファラデーシールドされた同軸線とセンタータップGNDタイプのコイルによる結合器で、検波は1N60で行っています。

Cm_swr

左の表は、7MHzで50,100,25Ωのダミー抵抗を使い測定したSWR値です。 このATUに実装する前は100Ω負荷でもSWR2付近を示していましたが、実装したらずれてしまいました。実装状態の周囲の影響が等価でない為、誤差が出るようです。 しかし、目標とするSWR値以下に追い込めたかを測るCM結合器ですから、20%くらいの誤差は許容できますので、これで良しとします。 

リレー駆動のアルゴリズムは、単純にクリアー状態(インダクタ、キャパシタとも0)から最大状態まで順次送り、目標のSWRになったら止めるという方法を基本とします。

Rlytiming

リレー駆動はリレーコイルに正方向に電圧を加えたとき、セットし、逆方向に電圧を加えたときリセットされます。 このセット、リセットの動作以外の時はリレーコイルに電圧が加わらないようにします。 オリジナル回路では、リレーコモン端子が常時5Vにつながっており、駆動コイル端子はマイコンのトーテムポールタイプのi/oに接続され、初期値はH(5V)です。 この状態でリレーコイル端子を3ミリ秒間だけLにするとリレーはセットされます。 また、リレーコイル端子をHにしたまま、リレーコモン端子を3ミリ秒間だけLにするとリレーはリセットされます。

実際のリレー駆動は、最初全リレーをリセットした後、必要なリレーのみセットするという2段構えの駆動になり、約7ミリ秒かかります。

Adtimingjpg

左は、リレーを切り替えた後、VREFが反応するまでの時間を測定したものです。AD読み取りが完了したら50us以内にリレーの切り替えを開始します。 AD読み取り2msec後くらいからVREFが変化し始め、約6msec後までには、安定します。よって、7msec後にAD値を取得する事にし、アルゴリズム完成後微調整する事にします。

当初、オリジナルの回路の通り、R4とR16の10Kは無しで進行したのですが、VREF端子にリレー切り替え時のスパイクノイズが乗り、ADが安定してデータを取得できませんでした。対策として、この抵抗を追加してあります。

とりあえずは、リレーを切り替えてAD取得完了までの1サイクルは15ミリ秒くらいになりました。

従い、コイル、コンデンサの組み合わせを全てチェックすると65,536の組み合わせがあり、約15分かかってしまいますので、小細工が必要です。

この小細工を含めたアルゴリズムは以下のようにしました。

step1:最初にSWRが5以上か以内かをチェックし、5以上ならリレーを8倍の速度で連続可変させ、SWR5以下の条件を探します。 ここでSWR5以下を探せなかった場合、そのアンテナは整合不可とします。 具体的には、リレー番号を8のステップで増加させますが、この時の組み合わせは960しかなく、時間にすると約15秒です。

step2:SWR5以下の場合、現在のリレー駆動データを初期値として、SWR1.15以下を探します。もし、この探す途中でSWRが5以上になってしまったら、再度step1に戻した上で、SWR1.5以下を探します。 

とりあえず、今回はSWR1.5以上の場合、整合出来なかったと定義しますが、実際に使用してみて、SWR1.5以上が頻発するなら、リミット値をSWR2くらいまでは拡大するつもりです。 ダミーアンテナでテストする限り、SWR1.15以下には収束しています。

step2のアルゴリズムは以下の通りです。

・コンデンサは入力側(アンテナのインピーダンスが50Ωより小さい)を初期値とします。

・コイルのインダクタンスを1step増加させたとき、SWRが下がれば、さらに1step増加させ、SWRが増加するまで繰り返します。 

・SWRが増加したら、可変する素子をコンデンサに切り替え、コンデンサを1step増加させ、SWRが下がれば、SWRが増加に転ずるまで増加を繰り返します。

・コイルもコンデンサも2回以上、SWR増加が発生したら、1stepずつ減少させます。この減少動作もSWRが下がる限り続けますが、途中で、インダクタンスや、キャパシタンスがゼロになったら、コンデンサの接続位置を入力側から出力側に切り替え、かつコイルもコンデンサも1stepづつの増加に変更します。

・これらを繰り返し、SWRがリミット以下になる組み合わせを探しますが、SWR5を超える状態が2回発生したら、整合不能と判断して、チューニング動作を中止します。

18MHz用スカイドアアンテナと20m長のはしごフィーダー経由でテストした結果、14MHzから28MHzまでは、SWR1.5以下に整合します。 1.8MHzから10MHz及び50MHzはまだ実際のアンテナでテスト出来ていませんが、25,50,100ΩのダミーロードではOKですので、この状態のソースコードを公開します。

 LDG_KT100_modif.cをダウンロード

テストを重ねて、改善が必要になれば、不定期で更新します。

下はハードの改造とマイコンを差し替えたKT-100です。

Ldgkt100mod2

SWRが無限大でも、出力制限をしない昔のトランシバーでは問題ありませんが、FT-991を5W出力にしてテストすると、SWRが5を超える場合、出力が極端に絞られ、ATU内臓の周波数カウンターが動作しません。 カウンターが動作しなくても、チューニング動作は行います。この時、Freqは0となっていますので、周波数が読める状態までSWRが改善したら、再度周波数を確認する事にしました。

INDEXに戻る

2016年7月16日 (土)

DSPラジオ(7MHz AM用)

<カテゴリ AM受信機 >

オールソリッドステートのPWM方式AM送信機が出来ましたので、これとペアで使うAM専用受信機が欲しくなってきます。 昔は高1中2のスーパーを筆頭に1V1とか0V1とか超再生の受信機も人気がありましたが、今作るのなら、はやりのDSPでしょう。 ということから、DSPラジオ用チップを入手して、なんとか、7195KHzのAMの交信が聴ける受信機が出来ましたので、紹介する事にします。

Dsp_rx0

Dsp_rx_lcd

上が、DSPラジオの全体構成です。 タクトSWとLCD部分は既成の基板を糸ノコで切り取って使っていますが、メインのDSPチップとPICマイコンは左側の蛇の目基板の中です。

左は、7195KHzを受信した時の表示で、VOLレベルが22(最大31)、Sが71dBuV(S9+11dB)、 IFバンド幅12KHz(4,8,12KHzを選択可)です。

LCDは160x128のカラーTFTです。後日、Sメーターをグラフ表示する事にします。

Dsp_rx_pcb

DSP IC はKT0915という中国製です。このICはFM,MW,LW,SWをカバーします。 SSOP16というパッケージですので、変換基板が必要です。 手持ちの20Pin用をつかいましたが、ICを販売しているaitendoで専用変換基板も扱っていますので、これを手配すべきだったと後悔しています。

周波数スパンは、AMについては1KHzまで対応していますので、7MHzのAM受信用ならなんとか使えます。 このICの出力は16Ωのヘッドホーン用のアナログ出力ですので、これをPWMパワーアンプで2Wまで増幅し、4Ωのスピーカーをドライブします。 PWMパワーアンプは秋月で入手したPAM8012という基板付のチップです。 ICの出力端に直接スピーカーをつなぐ事もできますが、SW受信時にノイズになる可能性が大きいので、チップコイルとチップコンデンサでLPFを作りスピーカーにつないでいます。 実際の使用状態でスピーカーのリード線を動かしてもノイズは変化なしです。 このDSPチップをコントロールするのはPIC24FV32KA302という16bitのマイコンです。 ソースコードはKT_AMFMdrv.cというファイル名でNET上にアップされていますので、それを参考にしながら、作成しました。 特にAMモード時の音声歪は、このソースコードがないと対策出来ないようです。なぜなら、データシートに出てこないアドレスのレジスタを書き換えていますので。

また、AMの周波数を設定するレジスタ(アドレス0x17)の15bit目を1にしないと、設定した周波数の受信はしてくれません。(データシートには0としか書いていない)

IFバンド幅を選択できるようになっていますが、その帯域は2KHz,4KHz,6KHxとなっています。しかし、この数値はオーディオの帯域幅で、通信型受信機で言うIFバンド幅は上下側波帯を含む帯域ですから、表示的にはこの2倍の数値としています。

信号強度はdBmで表示できるように計算式が提示されていますので、これを一般的なdBuVに換えてあります。 内部雑音の影響もあり、17dBuV以下は表示しません。 完成度が上ってきたら、この数値表示は止め、バーグラフのSメーターに変更しましたので、この状態のソースコードは有りません。

当初、7MHzオンリーの受信機にするつもりでしたが、DSPの制御の仕方を勉強していると、最初にFMが動作可能となってしまいましたので、FM,MW,7MHzの3バンド仕様としてあります。ただし、MWはバーアンテナが有りませんので、外部アンテナとしてロングワイヤーをつながないと聞こえません。

回路図 DSP_AM_RX1.pdfをダウンロード

I2Cの制御プログラムはPIC24Fの汎用として、NET上に公開されているものを利用しました。 この関数を使って実際にDSPチップに書き込んだり、読み出すプログラムはKT0915のデータシート通りとしました。 LCDの駆動は当ブログのLCDアナログメーターのプログラムを移植しました(元プログラムは未公開)。 使用しているフォントはアンテナアナライザーの自作のソフト(未公開)からの流用です。

実際に使用した結果、発見された問題点は以下です。

・S9+70dBくらいのアンテナ入力を入れても音声の歪は有りません。 いくら強入力に強いと言っても、送信中の過大入力からDSP ICを保護する為、ダイオードによるリミッターを実装してあります。

・混変調特性があまり良くない。  混変調がひどくなる夜間帯はTS-850でも受信できませんので、現状としました。 

・送信機が過変調となると、パチパチと言ったおおきなデジタルノイズが聞こえます。

・感度がイマイチですが、プリアンプを入れてもS/Nが悪化するだけなので、現状とします。

・AMの受信中に大きなノイズが入った場合、AGCのリカバリタイムが恐ろしく長い。 色々調べましたが、対策案無しです。アンテナ端子を触らない限り不便はなさそうです。

・無信号状態からいきなりS9+40dB以上のキャリアが入力されると、「ガー」と言った異常音が0.5秒くらい発生します。 多分AGCが段階的に効いていく途中のデジタルノイズなのでしょうが、通常のラジオとして使う場合、全く問題にはならないですが、通信の時は、相手が相当強力な信号なら、送信開始する度に発生しますので、いやなノイズです。

実際に7195KHzをワッチした感じは、変調のピークでパチパチ音が入る事以外、了解度は比較的良好です。 TS-850の6KHzフィルターの了解度を100とすると、このDSP受信音は8KHzフィルターのとき、    90くらい、12KHzのとき、95くらいです。 感度が悪いのが、かえってS/Nを良くして、S9以上の信号なら、DSPの方が了解度が良い事もあります。 ちなみにTS-930のAMモードは70くらいですから、TS-930よりはかなり聞きやすいです。

変調のピークでパチパチと言うのは、AGCの状態が変化するようなキャリアレベルの変動が有った時に、ゲイン切り替えを行いますが、この時に発生するノイズではないかと推測されます。 従い、一定のキャリアレベルが継続しないSSBを聞くと、当然モガモガで復調はできませんが、パチパチノイズが発生しっぱなしになります。 しばらく7195KHzをワッチしていると、パチパチノイズが異常に発生しているAM局が結構います。 このパチパチノイズがある局をTS-850で聞くとかなり歪んだ音です。 オーバー変調の局がすぐに判る恐ろしい受信機になってしまいました。 ちなみに、きれいな変調をかけている局は大きな声を出しても、不思議とパチパチノイズは発生しません。

また、深いQSBがあると、例え放送局の信号でもパチパチ音が出るようです。

Smeter

Sメーターをバーグラフタイプに変えてみました。 TS-850のSメーターを見ながら実験的に合わせこんだもので、計算された信号強度とは合致しませんが、良しとしました。 バーグラフの分解能は6ドット単位となりかなり粗いですが、一応目安にはなります。

ただ、問題もあります。周波数を変更した場合、そのショックノイズでバーが最大レベルまで振れてしまい、非常に目ざわりです。 音声は、MUTE対策をしてあり、音としては聞こえませんが、この信号強度を表すデータは野放しのようです。 そこで、周波数を変更した直後はSメーターを更新しないようにし、信号強度の数値が安定したころにSメーターを駆動開始するよう、ソフト的に対策しました。

ハードによるスタンバイSW機能を付けていますが、ここをGNDに落として受信機をMUT状態にすると、Sメーターがフルスケールになります。 この辺も、まさかSメーターを付けるとは考えていないDSP設計でしょうから、Stand-byになったら信号強度を示すデータをゼロにセットしてメーターが振れないようにしました。

このStand-byから復帰したとき、DSPの内部処理がデフォルトに戻る部分があるようで、Sメーターの指示が変わったり、ノイズが増えたりします。そこで、復帰した直後にDSPを再度イニシャライズし、バンドや周波数をStand-by前の状態に復帰させています。

セットを金属ケースに収納し、ノイズ対策の為、デジタル回路とアナログ回路を分離したところ、反対にノイズが増えました。 今まではデジタルノイズでAGCがかかり、それなりにゲインを抑制していたので、目立たなかったのですが、ノイズ対策をしたら、かえってDSPとPICが通信する時のノイズが気になるようになりました。 そこで、一番ノイズが大きかったSメーターのデータ転送を、FMモードのときのみ禁止しました。 ただ、FMモード時Sメーターが振れないのも寂しいですから、FMモードに切り替えた時、もしくはFM周波数の変更が有った場合のみ、数秒間だけSメーターデータを読み出して表示させ、これを保持させています。 MWやSWの時は、もともとノイズが多くてあまり気になりませんのでMAINルーチンが1周するごとにSメーターデータを更新しています。

次に、音量の調整も変化が有った時のみDSPへデータを送信することにしました。

最新のソースコードです。 AM_RX2.cをダウンロード (2017/1/9 修正)

フォントデータ2種類です。Font7.hをダウンロード  fontF.hをダウンロード

Am_rx_front

Am_rx_back_2

Am_rx_top

上の画像は左から、フロントパネル、バックパネル、トップパネルです。

リアのMコネクタは7MHz、MW用、赤の端子はFM用です。

実際に固定運用でQSOに使ってみましたが、パチパチノイズには閉口しました。 このノイズで了解度が落ちます。 そこを必死で聞き分けようとしますので、非常に疲れます。

移動用の簡易受信機くらいにしかならないですね。  現在はローカルのFM放送受信用としています。

2017年2月

最近、7195KHzを受信していると、綺麗に変調をかけている局との交信は例え深いQSBがあっても了解度が下がるわけでもなく、実践で使えます。 将来、トランシーバー化する検討をする事にします。

INDEXに戻る

2016年7月 7日 (木)

周波数カウンター

ATUやアンテナアナライザーを製作する中で、周波数カウンターも作ってきましたが、色々実験している内に、汎用の周波数カウンターを必要とする場面が結構発生します。 その為に、アンテナアナライザーの中に外部の信号の周波数をカウントする機能を用意したのですが、このカウンターの入力インピーダンスが50Ωの為、信号源を過負荷状態にしてしまい、場合によっては発振周波数が変わってしまうという不都合がありました。

そこで、入力インピーダンスが比較的高く、40Hzくらいから500MHzくらいまでを簡単に測れる周波数カウンターを新たに作る事にしました。

周波数カウンター回路図 Fcounter0.pdfをダウンロード

使うマイコンはジャンクBOXの中に余っているPIC24FV32KA302という16bitのマイコンです。単純なカウンターですので、8bitでも十分実用になる物をつくれますが、アンテナアナライザーの製作で、開発資産がいっぱいありますので、今回のカウンターは16bitで進行します。

目標の仕様は、40Hzくらいの低周波から500MHzまでのUHFまでをそこそこの精度でカウント出来、入力インピーダンスは10KΩ以上で感度も100mVくらいとしました。

ハード的には、プリスケーラ無しの場合、1Hz単位で10MHzまで、10Hz単位で50MHzくらいまで測れる回路と、1/64のプリスケーラーを付けて1MHz以上1GHzまで100Hz単位で測れる回路をスイッチで切り替えて実現させます。 それぞれの回路にデュアルゲートのMOS-FETによるLNA(ローノイズアンプ)を設けて所定の感度と周波数帯域を確保します。

Fcfront

Fcback

-

2個のBNC端子の内、左側がAF,HFを1Hz単位ではかれる入力端子、右側が一応1GHzまで100Hz単位で測れる入力端子です。どちらの端子が有効かは真ん中のスナップスイッチで切り替えます。 UHFで動作するプリスケーラーは低い周波数が苦手で、簡単に手に入るプリスケーラーは、2GHzまで測れても最低周波数は100MHzくらいというICが多いのですが、今回使った富士通のプリスケーラーは、最高1GHzながら、最低1MHzという、ハムにとっては非常に利用しやすい帯域となっています。 ただし、すでに廃番品種ですので、入手はプレミアム価格を覚悟必要です。

カウンターのゲート時間の管理は、それぞれのカウンター動作モードごとに、独立したカウンター関数を用意し、個別にゲート時間を微調整する事にしています。 校正はFT991から10120.00KHzの信号を送信し、すべてのモードでこの表示になるようにソフトを調整してあります。

Fc40hz

Fc500mhz

左上は、自作の正弦波発振器で40Hzを出力したときのカウント値です。31Hzとカウントしています。 この原因を調べたところ、本来1秒のゲート時間が必要なのに、100msecのゲート時間でカウントした後、10回分の合計を表示した事により、本来のカウント値は小数点付でなければなりませんが、カウント値に小数点以下は含まれませんので、小数点以下を切り捨てて合計した為と判りました。 よって、1Hz単位表示の場合、1秒のゲート時間に変更しました。 この変更の結果、40Hzと表示するようになりました。

右上は手元のCAA-500を最高周波数にした時の表示です。CAA-500の表示との差は1KHz以下ですが、どちらが正しいか判りません。 しかし、私が使う範囲内ならこれくらいの精度で十分です。 また、使用しているプリスケーラーの仕様の関係から、VUHF端子に入力が無い場合、ランダムノイズを計数しますので、表示がでたらめになります。 

ソースコード F-counter.cをダウンロード

C言語で書かれた周波数カウンターは特定の周波数で誤差が出ます。カウントと条件判定をCで記述した場合、このソースでもその処理に1.2usから2.4usくらいの時間がかかりますので、この間に、ゲート時間がきたりしたら、その分だけ誤差になります。 精度を上げたい時は、アセンブラで記述しますが、それでも内部クロックよりカウントする周波数が高くなると、誤差が出てきます。 誤差が許容できない時は、外部回路によるゲート制御しかないようです。 実験的に、タイマーのオーバーフローを割込みで処理してみましたが、かえって誤差が多くなりました。

7MHzのAM送信機専用の周波数カウンターも作成しました。 配線図とソースコードは

VXO再検討 を参照下さい。

INDEXに戻る

2016年6月25日 (土)

VXO再検討

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

PLL VFOを試作し、キャリア近傍の不要輻射の為、採用を断念した代わりに、可変の拡大が可能なVXOについて、再検討する事にしました。 PLL VFOの時取ったVXOの不要輻射が以外と良い事に気付いた事によります。

現在のVXOは、いわゆる「スーパーVXO」と言われる、水晶発振子を2個パラに接続した回路で、11kHzの可変範囲を確保していましたが、AMのもうひとつの常用周波数である7181KHzはカバー出来ていませんでした。

まず、60PFのトリーマーをSVC203CというONセミコンのバリキャップに変更してみました。バリキャップの最大DC電圧を8Vとした時の可変範囲は7197KHzから7186KHzとなり可変範囲は変わりませんが、全体が1KHzほど低い方へシフトしました。 この状態で単純に水晶発振子を2個から3個に増やしてみました。 すると、最低周波数が7165KHzくらいまで拡大しましたが、最高周波数は7194KHzくらいとなります。 メインの7195KHzをカバーできないので、この方法は採用できません。

Vxoschema

FCZ研究所の機関紙でコンデンサを追加して、可変範囲を拡大するアイデアを紹介していましたので、水晶2個の状態で、水晶とコイルの接続点からGNDへ4.7PFを追加して見ました。 すると、周波数可変範囲は200KHzを超えて7000KHz以下まで発振し、かつ最高周波数は7195.2KHzとなりました。 しかし、7100KHz以下の周波数では、かなり不安定で、CWモードでのビート音もなにか不安な音です。

そこで、このコンデンサを2.7PFにした上で(赤枠で囲んだC56)、バリキャップ電圧を上げる為に9Vの専用3端子レギュレーターを追加しました。 その結果、

最高周波数:7195.5KHz  最低周波数:7159.4KHz

となり、ビート音も澄みきっています。 目標とした7195と7181はカバーできましたので、どうやら使えそうです。

使用した水晶発振子はaitendoで扱っている uxcellのHC-49Sタイプ 7.2MHz

47uHのコイルはRSで扱っているTDKのNL453232T-470J-PFというSMTタイプです。

発振回路に使われているトランジスタは、東芝の2SC2712Yですが、リードタイプの2SC1815Yと同等品です。

アナログ回路でベース抵抗を決定する方法を紹介しておきます。 これを知っていると、大抵のトランジスタやFETを好きなように使う事が出来ます。

Trc

左の回路に於いてR1を可変抵抗器にしておきます。 可変抵抗器は100KΩから1MΩくらいを用意しておき、回路の状況で使い分けます。判らない時は1Mか500KΩくらいでトライします。

コレクタにテスターを当てこの電圧が以下の式に合うようにR1の可変抵抗を調整します。

VC =VE + (VCC - VE) / 2

R1を可変するとVEも変わりますので、都度VCとVEを見ながら行います。 VCが目的の電圧になったら、R1を取り外し、テスターで抵抗値を計ります。 そしてE12シリーズの抵抗で最も近い値の固定抵抗に置き換えます。 R3が無い時はVEが常にゼロですから、VCはVCCの1/2にすれば良いのですが、温度安定度が極端に悪くなりますので、最低でも数10Ω以上の抵抗を挿入必要です。  この方法はRLが抵抗の場合の時のみしか使えませんが、オシロが無くても最適バイアスに調整出来ます。 もし、RLがコイルの場合、アナログ信号を入力から加え、コレクタ端子をオシロでモニターし、上下が均等にクリップするようにR1を決めます。 高周波回路では可変抵抗器をリード線経由で接続すると条件が異なってきますので、この時の誤差を最少にする為、ベースのすぐ近くに予想される抵抗の1/3くらいの固定抵抗を入れ、これにシリーズに可変抵抗器をつなぎます。 調整完了後、固定抵抗と可変抵抗の合計抵抗をテスターで測り、固定抵抗に置き換えます。

E12シリーズ抵抗:1 1.2 1.5 1.8 2.2 2.7 3.3 3.9 4.7 5.6 6.8 8.2 の数値をベースとする抵抗値。この数値で1Ωから10MΩくらいまで量産されている。

回路がエミフォロの場合、VCC=VCですからVEがVCCの1/2になるようにR1を選べばOKです。 回路によってはR2が無い時もありますが、やり方は同じです。 

回路例と同じトランジスタやhfeランクが手持ちしていないとき、または、RLやR3を変更したい時便利です。 VCの値は厳密にやる必要は無く、とりあえずVCCの1/2程度に設定した後、VEを測り、その分だけ若干補正する程度でOKです。 このようにして設定したバイアス状態は温度変化に対してかなり安定に動作します。

余談ですが、この回路の低周波(100KHzくらいまで)ゲインは簡略的にRL/R3で求まります。 ただし、R3が数十Ω以上でC3が無い場合です。 また、最大ゲインはhfeに関係なく30dB以下です。 

Vxo_front

周波数可変は10KΩの可変抵抗で行いますが、CWモードでSメーター最大ポイントに周波数を固定しようとすると、270度回転の可変抵抗器では、かなりクリチカルです。 そこで、この可変抵抗器を3回転(1080度)のヘリポットに変更しました。 これでかなりスムースに周波数設定が出来ます。 周波数カウンターを付ける予定でしたが、発振出力を引き回しますと、隣接周波数のノイズフロアーが増える現象が発生しますので、周波数カウンターは無しで、昔のVFOチューニングと同じように、受信中にVXOのみONして、相手局にゼロビートする周波数に合わせるか、CWモードでSメーター最大ポイントにチューニングします。

Vxo_osc

Vxo50m

Vxo10m

左上は改造したVXO回路、真ん中は7170KHz40W時のスプリアスデータです。一番右は、10MHzスパンの近傍不要輻射データです。 変調をかけてもきれいな音をしています。

全体の回路図 AMTX_PP3.pdfをダウンロード

2016年8月13日追記

Amtxwithcounter1

送信周波数を受信機を使って合わせるキャリブレーションは使いにくい為、強引に周波数カウンターを追加しました。 しかし、40W送信時に   プリアンプにE級アンプのスプリアスが混入し、カウンターが正常にカウントしません。 VXO回路と周波数カウンター回路を完全シールドしないと使い物にならないようです。 この送信機はオープン構造でシールドは無理ですので、送信時は周波数カウントを停止させ、キャリブレーション時の周波数を保持する事にしました。 受信時もVXOは停止していますので、この時もキャリブレーション時の周波数表示を保持させます。 これをやる事で、カウンターにはつきものの、最下位桁のチラツキも無くなりました。 PICは40W出力時でも誤動作無く動いています。

Amtxwithcounter0

Amtx_cntr

左のスペクトルは、周波数カウンター付で、送信状態にしたものです。 不要輻射はカウンターが無いときより若干増加しますが、一応スペック内ですので、良しとしました。 上はLCD基板と一体化したカウンター回路です。

使用した周波数カウンターの配線図 VXO_Counter.pdfをダウンロード

周波数カウンターのソースファイル TX_Fcounter.cをダウンロード

INDEXに戻る

2016年6月11日 (土)

スタンバイSW動作せず

<カテゴリ:TS-850>

久しぶりのトラブルです。 TS-850SをAM受信専用機として利用していますが、送信する時は、受信部をミューテイングする事はもちろんですが、送信もされないように内部設定していました。 本日、AM送信機を送信にしたのに、TS-850Sの受信ミューティングが動作しません。 ハウリングが起こり、Sメーターは+60dB以上を示します。 1週間前はOKだったのに。

Acc2_schema_2

このAM専用受信機のスタンバイ機能はRTTY用のスタンバイ機能を使っています。動作しないスタンバイ端子のホット側の電圧を計っても0V。 C214の両端も0Vです。 内部で異常が起こっているようです。 セットの底板を外し、配線図と基板図と現物を照合していくと、電解コンデンサC182の底当たりで断線しているような気配です。 この電解コンデンサを取り外してみました。

C218ura1

C218ura2

Elna_ecap

左上が電解コンデンサを取り外した直後の基板状態です。細いストリップラインが腐食しています。真ん中はこの腐食部分をふき取った状態で、一見つながっているように見えますが、テスターで当たると導通は有りません。 右は取り外した問題の電解コンデンサです。 漏れていた電解液をふき取った後なので、きれいに見えますが、ふき取る前は明らかに電解液だらけでした。

 

Stanbyng

Jumper

 基板上では左の基板図の赤のラインの途中が断線しているものでした。

修理はC182を新品の16V470に変更した上で、リード線で、この断線したラインをバイパスしてやりました。

このモデルの修理事例を見ていると、電解コンデンサの事故が結構あります。 メーカーはELNAというかなりしっかりした会社の製品なのですが、同じ時期のニチコンやケミコンより事故例が多いようです。

結局、この問題で、本日はAM交信が出来ませんでした。

INDEXに戻る

PLL  VFO(7MHz AM用) 失敗でした。

<カテゴリー:PICマイコン

AM/FMラジオのPLLシンセサイザーICを使ったAM送信機用VFOの製作です。

目標は7000KHzから7200KHzまでを1KHzステップで可変できるPLL VFOとします。 使うICは廃番候補のTC9256Pです。 ネット上で7.2MHzのクリスタル付で売られています。

回路図 PLL_OSC_schema0.pdfをダウンロード

PICのクロックが7.2MHzの水晶になっているのは、最初PIC16F84で作り始めたところ、LCDドライブの部分だけでRAM容量オーバーになり、ピンコンパチのPIC16F1827に差し替えた事によります。OSC部分はそのまま使いました。

この回路は東芝の提供するデータシートを理解し、その通り、マイコンソフトを作れば、PLLロックという状態を得る事ができますが、そこに至るまでの工程を以下紹介します。

Pll_claposc

まず、VCOですが、クラップ発振回路の見本みたいな回路です。 手持ちのインダクターで発振コイルに使えそうなコイルは太陽誘電製のLBM2016T120Jしかありませんでしたので、このコイルとONセミコンのバリキャップSVC389で7MHz付近を中心とした発振回路を机上計算して定数を決めます。 PLLのICの代わりに10KΩの可変抵抗でバリキャップ電圧を調整し、約4Vくらいで7.1MHz付近を発振するようにC16を決めてやります。 C0,C1,C2の直列合成容量とLで計算される共振周波数が7100KHzになるように各コンデンサを調整します。 最初、6.6MHzから7.8MHzくらいをカバーするCを求めてテストしましたが、バリキャップ電圧の振動が止まらず、4MHzから12MHzくらいまでのカバー範囲に設定し、実際は7000KHzから7200KHzしか使わない事にしました。 ただし、クラップ発振回路の出力はかなり歪んでいましたので、エミフォロで出力した後、LCのタンク回路で波形整形し、PLLのICに戻したり、トロイダルコイルによるトランスでインピーダンス変換した後、送信機へ出力するよう回路を構成しました。 トロイダルコイルはamidonのT37-2で1次側が10uHになるよう0.3mmのUEWを巻いてあります。

Pll_flow_2

このPLL ICのデータシートの中に、左のような周波数変更を実施してから、PLLロック完了までのフローチャートが示されており、その通りにプログラムを組めれば良いのですが、私の技量では、この入り組んだフローをC言語の関数のみでは、どうしても記述できなく、禁止事項となっている「goto」文で記述する破目になりました。

とりあえず、プログラムが完成し、いざ走らせると、PLLロック検出まではうまくいきますが、最後の位相誤差判定を抜ける事が出来ず、そこで永久ループに陥ってしまいます。 多分ハードの精度が悪くて、要求された一定の位相差を維持できない事が原因と思いますので、とりあえず、この位相誤差判定の行はコメントアウトしたところ、ロータリーエンコーダーを回す毎に周波数が1KHzステップで可変できるようになりました。 

その後、LPFの定数設定を吟味し、PE1-PE3が「0」のとき、ループから抜けられる様にフィルターを改善しました。 

ネット上でこのICを使った製作例は沢山みつかりますが、東芝が指定したこのフローをフォローしたソースコードは見つかりませんでした。 もしかしたら、プログラムカウンターだけ設定すれば、勝手にPLL LOCKになるのかも知れませんが、確認しておりません。

基本動作はOKになりましたが、プログラマブル分周器の分周比を7195に指定しても発振周波数は7196KHzとなります。この問題を調べていくと、7.2MHzの水晶発振周波数が7200KHzではなく7201KHzになっているのが原因でした。 この7.2MHzの水晶はネット通販で10個で150円という格安品ですが、スペックなど有りません。 

 Xtalosc
色々と情報を調べていくとアマゾンで似たような水晶が50個単位で売られており、その商品説明の中に負荷容量20PFと書かれていました。多分同じような値段なので、同一メーカーの同一品だろうと予想し、水晶発振子の両端に接続するコンデンサを計算してみました。 

メーカー発表の負荷容量をC0とすると、左の回路のCgとCdはどちらも同じ容量として

Cg = Cd =2 x (C0 - 5) [PF]

と簡易的に計算できますので、実装した後、周波数をトリミングする事にします。

計算結果は30PFと出ました。 一般的な負荷容量は12PFとか9PFですので、15PFくらいを想定したのがいけなかったようです。 コンデンサを33Pと15PF+20Pトリーマーで7200KHzちょうどを発振するようになり、分周比と発振周波数は一致するようになりました。 この発振周波数の確認は受信機で行うのが一番確実です。

    PLL IC用クリスタルは正確に7200KHzでなければなりませんが、PICの発振は水晶である必要も7.2MHzである必要もありません。 今回は7.2MHzの水晶が有り余っていたので、使用しただけです。 水晶の両端に付けられたコンデサも最初に見つかった27Pにしただけで他意はありません。

PLL-VCO式の発振器の留意点はピュアな信号が得られるかです。 位相ジッタが原理的に付きまといますので、フィルターや電源、GNDをセオリー通りにやらないと、濁った信号になってしまうと言われております。

Pllsin

Pll10m_2

Pll50k_2

左上が7195KHzのVFO出力波形です。画像はありませんが、第2高調波が-30dBくらいになっています。 これはLPFやBPFで簡単に減衰できます。 真ん中が10MHzスパンで見たスペクトル、右側は50KHzスパンで見たスペクトルです。使用しているスペアナの限界の為、これ以上細かくみられませんが、異常な隣接不要輻射は見えません。 実際にCWモードで受信してみても、濁りのない綺麗なトーンをしています。

今回採用したロータリーエンコーダーはアルプス製の1回転パルス数24のものです。シャフトがFカットでつまみで自由度が無く、パネルにナット止めできないという欠点はありますが、温度による摺動ノイズの問題が全くなく、かつ百数十円で買えるというメリットがあるものです。

このVFOは送信のとき使用しますが、受信の時は使用しません。 受信時はVFOの電源をOFFする事も考えましたが、電源ON時にLCDの待ち時間が影響して、すぐにPLLがロックしません。 そこで、常時VFOは生きていて、受信の時のみ発振周波数を50KHzアップして、受信時の妨害にならないようにする事にしました。 この機能は実際に送信機へ組み込んだとき、検討する事にします。

電源ONした時のデフォルト周波数は7195KHz固定です。 ラスト周波数をEEPROMに記録する事も考えましたが、 AM送信機のメイン周波数固定で問題なさそうです。

ソースコード PLL_VFO.cをダウンロード

Pllvfo_a

Pllvfo_b

左が7195KHzを発振中のVFO基板。上がその基板の裏側です。  LCDの左上に見えているゼロはPE1-PE3の位相誤差データです。

送信機に実装する場合、RFの回り込みが多分発生すると思われますので、シールドケースに入れる事にします。

Pll_vfo_comp

Pll_vfo_sbox

左上がシールドケース内部の基板、右上はシールドBOXとした状態です。 このように厳重にRFのまわり込みを対策したにも関わらず、わずか10Wの出力にて、ロータリーエンコーダーを回しても周波数は変わらなく、VCOの発振周波数はあさっての方に飛んで行っているという状態で全く使い物になりません。 周波数が変わらないのはマイコンの外部割込み端子にRFが混入して、マイコンが暴走している為。 周波数があさっての方向に行ってしまうのは、終段のRFの漏れがPLL入力端子に混入し、位相が狂ってしまっている為。 これらの問題を丸一日かかり対策し、40W出力でもVFOが安定して発振するようになりました。

これらの対策済み回路図です。 PLL_OSC_schema1.pdfをダウンロード

この状態で出力10W時の不要輻射をチェックしてみました。

 

Xtal_10w

Pllvfo_10w

左上が水晶発振(VXO)の不要輻射データ、右上がPLL VFOの不要輻射データです。PLL VFOの方はキャリアを中心に隣接周波数の不要輻射が10dB程多くなっています。 この原因を調べていましたら、送信周波数とVFOの発振周波数が同じなら、例え、厳重にシールドしたとしても、送信波の回り込みは阻止できず、このような状態になる事が判りました。 市販されているトランシーバーのVFO周波数を調べたところ、送信周波数とPLL VFO周波数は重ならないように設定し、なおかつ、厳重シールドしてありました。 

下のスペクトルは40W出力時の10MHzスパンのもので、左がVXO 右がPLLです。 やはり、このPLLの状態で送信はダメでしょう。

Vxo_40w10m

Pll_40w10m

今回のVFOはAM送信機に組み込むのが目的でしたので、PLL VFOは無理と諦める事にしました。 送信周波数と原発信周波数を同じに出来るのはDDSの場合のみのようです。 もちろん、DDS制御のPLLもNGでしょう。 

SSBトランシーバーのように送信周波数と無関係な周波数、例えば9MHz台で発振させ、16MHzの水晶発振周波数とMIXし、7MHzを得るとかすればOKと思われますが、それも面倒です。

7195KHz以外の周波数を使える手段として、別のアイデアを練る事にします。

VXO再検討 に続く

INDEXに戻る

2016年5月26日 (木)

カーボニルコアの効果

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

T200-26のコアはまだですが、T150-26というAmidonかMicrometalか、はたまた中国製のセカンドソースか判りませんが、それらしきコアが入手できましたので、最大重畳可能なDC電流を気にしながら、LPFの再計算を行い交換する事にしました。

Amtx_mod_lpf_carbonilcore

再計算された4次LPFの各定数は上のようになりましたので、コイルもコンデンサも、この数値に最も近くなるように設定し、巻き上げたコイルが左下、このLPFでの変調波形が右下になります。

 

Amtx_carbonilcore

Amtx_t15026_90mod

左側のコイルはACコードを裂いて作ったビニール線で、右側のコイルはLANケーブルを裂いて取り出したAWG24の2本より線で巻いてあります。 変調周波数は630Hzですが、はっきりと従来のフェライトコアより歪が少なくなっています。

Mic_ftoku_2

さっそく、音楽を変調し、TS-850のAMモードで受信してみました。 すると、確かに歪は大幅に減少していますが、周波数特性の高域に伸びが有りません。 そこで、MICアンプから変調段までの周波数特性をチェックしてみました。

左のグラフがMIC入力から変調終段FETゲートまでの特性を青色で、250KHzのLPFの出力端までの特性を赤色で示しています。 グラフを見る限り、フェライトコアの時の特性と差異はありません。 しかし、聴感上は大きく異なります。 

原因はコアの鳴きの有無でした。 今回のコイルは変調音がコイルからほとんど聞こえません。 従来のフェライトコアはツィータースピーカーを思わせる高域のみがコイルから発せられており、かつこの高域の音はかなり歪んでいました。

TS-850もこの送信機も同じテーブルの上に置いてありますので、TS-850のスピーカーがウーハーとなり、フェライトコアがツィーターとして2-WAYのスピーカーシステムを作ってしまい、歪んだ音ですが、広帯域の音として聞こえていたものでした。 このカーボニルコアの方が、正常な音質のはずなのですが、いまひとつ物足りなさを感じます。 しかし、さらにエージングを続けたり、レッキとしたオーディオシステムで聞き比べてみた結果、今までの音質が異常であり、このカーボニルコアによる音質が正常である事が判りました。

LPFのコアを音鳴りさせない為には、巻線がコアに密着する事が一番のようです。 その為には、単線より、ビニール被覆のより線で、かつ出来るだけ細い線が有効のようです。 ただし、あまり細いと抵抗分が増大しますので、複数本パラに巻くというのはかなり効果ありました。 最初のNECトーキン製コアに巻いたときもKIV線というビニール被覆でしたが、このコアはフェライトコアを樹脂のケースでカバーしたものでしたので、コアと線が密着するという条件は満たされなかった為、音鳴りしたと思われます。

このコア変更に当たり、フェライトとカーボニルの差が出るものかを確かめる為にデータを取っていますので、以下紹介します。

 

Amtx_2ndharmo

Amtx_carbonil0601

上は、40W出力無変調時の高調波データです。左がフェライト、右がカーボニルです。 コアは変調段の特性には影響しますが、高調波には影響しません。 差があるとすれば9MHz付近の不要輻射レベルです。気持ち的にはフェライトの方が少ないように思えます。

 

Amtx_250k30mod

Amtx_1m0601_2

上は1KHz 30%変調状態で250KHzのPWMスイッチング周波数の漏れを見たものです。 左がフェライト、右がカーボニルです。 250KHzの漏れはどちらもあまり変わりません。不要輻射となるノイズフロアーレベルも同じくらいです。

 

Amtx_1k30mod

Amtx_100k0601_2

上は1KHz30%変調時のキャリア近傍の不要輻射データです。左がフェライトで右がカーボニルです。 このデータもフェライトとカーボニルの差はほとんどありません。 

Amtx_10m0601_2

これらのデータを取る前は、絶対にカーボニルの方が良くなるはずと思っていましたが、フェライトでもちゃんと磁気飽和対策さえ行えば問題ない事が判りました。

また、気にしていた9MHz付近の不要輻射も改めて確認したところ、左のスペクトルのごとくカーボニルコアでも問題はないようです。

従い、このAM送信機はカーボニルコアで進行します。理由は、変調波形のエンベロープは明らかにカーボニルコアの方が歪が少なく、聴感上の歪も、カーボニルコアのほうが少なかった為です。

エージングで壊れて、仮使用しているD1のショットキーダイオードは60V5Aのショットキー2本パラ接続に変更しました。 このダイオードはSMTタイプですので、基板の裏側に移り、写真では見えなくなりました。

ここまでの配線図 AMTX_PP2.pdfをダウンロード

Amtx0526

40Wでエージングを続けて、述べ20時間くらい過ぎたところで、ファイナルから煙が出て出力は10W以下に落ちてしまいました。 しかも、部品の焼ける匂い。 最初、どこで問題が起こったのか判らず焦りました。 1時間くらいああでも無い、こうでも無いとやったあげく、判った原因は終段タンク回路のシリーズコンデンサが絶縁破壊しているものでした。 例の昭和40年代に作られた50V耐圧のセラミックコンデンサです。 たちまち手持ちが有りませんので、2個のコンデンサをシリーズに接続し、とりあえず耐圧を2倍にして使っています。

2016年12月11日 追記

電源として使っているTS930Sの電源回路にある30V以上をプロテクトするツェナーダイオードを廃止して、31.6Vまで電圧を上げる事ができましたので、ダミーロードをつないでいきなり送信にしたら、またまた、終段のタンク回路のコンデンサが煙を出してショートしてしまいました。 やむなく、この昭和のコンデンサは全部廃止し、3KV耐圧のコンデンサに変更したのですが、使ったコンデンサがF特と言われる温度特性管理があまい物だった為、数分も通電すると、容量が変わってしまい、出力が20Wくらいまで落ちてしまいます。 マイカコンは手持ちしていませんので、とりあえず、セラミックコンデンサを全廃して、150Pのエアバリコンに交換してみました。 さすがにエアバリコンは安定しており、エージングしてもほとんど変化はありません。

Amtx_tank

この150Pの送信用バリコンを取り付ける方法を思案しましたが、スペースが無く、やむなく50Pのバリコンに代え、不足の容量はCH特性のセラミックコンデンサでカバーさせる事にしました。 ここで、また昭和のコンデンサが登場です。 しかし、今度は220PのCHコンデンサを4個直列に接続し、50Pのバリコンで出力最大点が探せるようにタンクコイルのタップを選び直しました。 最大出力は60Wとなりますが、リンギングが発生します。 従い、バリコンを容量が増える方向に調整し、50W出力ポイントに固定しました。 ここまでの対策で送信開始直後から50Wとなり、以後出力は変化しなくなりました。

最新回路図 AMTX_PP3.pdfをダウンロード

VFOの製作に続く

INDEXに戻る

2016年5月17日 (火)

シャーシ変更と音質改善

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

有り合わせのシャーシに組んだ回路ブロックは、その配置と距離の関係でRFの回り込みが発生し、それが、変調音の歪となっていました。 そこで、シャーシをもう一回り大きな物に変更し、将来ケース収納も視野にいれた構造とすべく改造する事にしました。

Amtx_pwr

FETドライバーTC4452を2個も使った事からDC12Vのシリーズレギュレーターの電力損失が10W近くになり、長時間のエージングで破壊したのをきっかけに、このレギュレーターをDC/DCコンバータータイプに変更する事にしました。採用したDC/DCコンバーターはサンケン製のMPM80という2Aタイプでしたが、キャリアーを送信した途端、アース線のビニール被覆が火を噴いてICはショート状態で壊れてしまいました。 RFイミュニテイに無防備のDC/DCは自ら壊れると同時に無線機を破壊します。 昔、菊水のAC/DC電源に2mのトランシーバーを繋ぎ、送信にした途端、出力電圧が制御不能になりトランシバーを壊した事を思い出しました。  しかし、またシリーズレギュレーターに戻す事は不可能ですから、今度は新電元の3Aタイプに変更し、入出力にチョークコイルを入れ、RF混入を防止する策をとり、なんとか40W出力でも正常に動作させる事に成功しましたので、 このDC/DCとパワーリレー、コモンモードフィルターなどを小さな基板にまとめてメンテしやすくしました。

RFのE級アンプはほぼ完成していましたが、メガネコアとドレイン間を結ぶワイヤーがリンギングの元になっている可能性がありましたので、これを短冊状の銅板に変更しました。

Amtxe_pp_amp

Amtxe_pp_vd

左上は、配線を銅板に変更した状態。右上はその状態で出力35W時のドレイン電圧波形です。それぞれ、60Vピークくらいです。 ゼロ電位のリンギングが前回より少しだけ改善しました。

Amtx_mod0516Amtx_micftoku0522 

また、変調回路もメンテを容易にする為、左上の写真のように放熱板を基板上に取り付け、D級アンプのFET 2石を基板上に配置しました。 今回、この変調回路にちょっとしたEQ機能を追加しました。 リミッターアンプの2番ピンに270Ωと1μFのパラ回路を追加し、2KHz付近でピークが出来るような周波数特性とし、少しでも了解度のアップを期待する事にします。 右上は、MICアンプからD級アンプのLPFまでの周波数特性です。 低域をカットし、中域を強調しています。 ただし、そのレベル差はわずかです。

D級アンプのLPFについても検討を加えました。 LPFの設計は、E級アンプの動作インピーダンスに合わせる必要があります。 35W出力時の動作インピーダンスは4Ωくらいです。 従い、4ΩでLPFを再計算し、各定数を決め、LPFのコアはNECトーキンのESD-R-47N-Hという品番で200MHzくらいまで使える物に変更してありましたが、このコアはNi-Zn系の非分割タイプでした。

Amtxlpf0501

Amtxnogaplpf

従い、左上の写真のごとく、巻き数も少なく太い線で巻線出来ていましたが、右上の写真のごとく、変調波形に歪が見られました。 正弦波のエンベロープを良く観察すると、レベルが高くなる方向で振幅が抑えられた上下に非対称となっています。 この原因を調査したところ、直流電流重畳によるインダクタンスの変化のようです。 FAT5ではアミドンのT200-26のコアを指定していますが、このコアはフェライトではなく、カーボニル鉄粉による焼結コアです。アミドンのHOMEページから確定した許容DC電流は読み取れませんが、同じようなコアを使っている北川工業のメタルコアMPTRは20AのDC重畳でもインダクタンスは変わらないと言っています。 アミドンが例え20Aまでないにしても、5Aや10Aではインダクタンスに変化は無いと推定できます。 メタルコアの個人による入手は全く不可能ですから、コアをT200-26に変更したいのですが、入手にかなり時間がかかりそうです。 そこで、テンポラリィとして、北川工業の分割コアGTFC-41-27-16にもどし、1mmのエアギャップを2か所確保して、このDC重畳特性を改善したのが、左下のコイルで、このコイルのときの変調波形が右下になります。

Amtxlpf0517

Amtxw_gaplpf

フェライトコアにエアーギャップを設けて、磁気飽和対策をしても、直流電流増加によるインダクタンスの減少率がゼロになる訳では有りませんので、直流電流が、およそ2Aを超え始めると、インピーダンスが非線形になる事を防止する事は出来ないようです。 今後、カーボニルコアを入手できたら、どれくらい改善するか確認する事にします。

Amtx0522

今回シャーシを一回り大きくしましたので、全体の配置は左のようになりました。前回より大きく変わっていませんが、各ブロック間の距離を確保できましたので、RFの回り込みによりDC/DC電源の異常動作、変調音の歪は解消されました。 

また、変調段のLPFが鳴く問題をすこしでも改善する為、このコアを2枚のベーク板で挟みこみ、1mmのUEW線の振動を抑える事にしました。効果はベーク板がないよりはマシというレベルにしかなりませんでしたが、専有面積の削減にはなりました。 

 当初20W以下の出力でE級アンプの電流も2A以下でしたので、D1のショットキーバリアダイオードは3A定格品を使っていました。 出力40W近くになった現在は3Aを超える電流が流れています。 そして、エージング途中でこの3Aのダイオードもショート状態で壊れてしまいました。 とりあえず代用品を使っていますが、なるべく早く大きな定格のダイオードに変更が必要です。 電源入力部分には5Aのヒューズを設けていますが、すでに2回もこのヒューズが飛ぶというアクシデントもありましたので、28Vラインの電流も監視できるように電流計を追加しました。  

変調段を含めた効率は71%でまずまずです。 変調器のD級アンプは95%くらいの効率で動作しているようです。

エージングを続けていると、小出しに問題が出てきます。 日曜日の朝一番にエージングの為、送信にしたら、出力が10Wも出ません。 スタンバイスイッチを何回かON/OFFしているうちに35W出るようになりました。 一度35W出始めると、継続してOKとなります。 この不安定な動作の原因を調べてみると、TC4452の入力レベルがアンバランスで、一方は正常なレベルですが、もう一方は、スレッシホールドレベルギリギリで、温度が低い時は、レベルが下がりプッシュプル動作となっていないのが原因でした。 どうも前段のCMOSインバーターに問題があるようで、オシロでチェックすると、74HC04の出力が電源電圧の半分くらいしかスイングしていません。 ドライブ電流不足かと、インバーターをパラレル接続してみましたが関係なし。 改めてスペックを見ても、7MHzでスイッチングするには問題ないレベルです。 このICは取り付けた直後はOKでしたが、エージングで性能が劣化したようです。 そこで、このICをTIの74LS04に変更する事にしました。

74hc04speed

今回問題になった74HC04はNXP製でした。 このドライブ不足が起こると、基本波近傍の不要輻射が極端に大きくなるようです。 ドライブ不足の状態で音楽を変調しながら、受信周波数を次第に離調させると、20KHzくらい離れた周波数では、歪んだノイズに近い復調音になりますが、受信機のSメーターは同調時に比べ40dBくらい低く指示します。 しかし、74LS04に替えた後は、同じように歪んだ復調音ですがSメーターは同調時よりも60dBくらい低く指示します。 ドライブ不足は不要輻射の増減に大きく関係するようです。

74LS04に変えてから、VR5を調整すると第2高調波レベルが最低になるポイントが出てくるようになりました。 さらに、送信開始すると、従来の調整状態のままで、いきなり出力40Wになります。 以前、エージング中に5Wほど出力がアップすると言いましたが、その原因は温度でコンデンサの容量が変わるのではなく、CMOSインバーターの状態が変化していた事が原因のようです。  

ここまでの配線図をダウンロード AMTX_PP1.pdfをダウンロード

カーボニルコアの効果 に続く。

 INDEXに戻る

2016年5月 1日 (日)

パワーアップ(E級プッシュプルパワーアンプ)

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

E級アンプの出力は電源電圧によって決まり、パラレルドライブにしようが、プッシュプルドライブにしようが出力は変わらないという事ですが、E級プッシュプル回路の記事はインターネット上に沢山存在します。 私も、最初、パワーが大きくならないプッシュプル回路なんか必要ないと思っていましたが、いざシングルドライブのE級アンプを実際に作ってみると、その第2高調波の多さには閉口しました。 しかし、みなさんがプッシュプルを単に偶数次の高調波対策の為だけの目的で採用しているのではなく、パラレルドライブ同様、負荷インピーダンスを下げてパワーアップも同時に行っていると考え、実験を始める事にしました。

シングルドライブの時の第2高調波レベルは-6dBくらいで、7次LPFを使っても-35dB前後にしか減衰できません。 従い、さらに6次のBPFを挿入して、かろうじて第2高調波を-50dB以下にするという状態でした。 これをプッシュプルドライブにすると、LPFなしで第2高調波を-30dB前後に抑制できますので、7次LPFのみで、第2高調波を-50dB以下に抑制できます。 そして、電力効率も向上します。

シングルドライブでドライブインピーダンスを6Ω以下にすると、例えE級アンプでも効率は60%以下になってしまいますが、プッシュプルにして、これが70%以上になるなら、低い電源電圧でも出力を上げられる可能性が有ります。 電源電圧28.2Vで最大出力18WのE級アンプをプッシュプルにして、30Wくらいの出力を確保できないか実験する事にしました。

今回のパワーアップ計画は、E級アンプだから80%以上の効率を確保するという目標ではなく、最大許容損失をアップする手立てを行い、例え効率が70%以下になろうが、実運用状態で連続動作可能な最大出力を得る事を目標としました。

まず、回路図です。

AMTX_PP0.pdfをダウンロード (この配線図は初期のもので、最新では有りません。)

E級プッシュプル回路は3.8MHz用のFAT5回路を参考にし、STF19NF20によるシングルプッシュプルドライブで、それぞれ、TC4452というFETドライバーでドライブします。 

Ampp_eamp1

Ampp_eamp2

.

Ampp_pcb

STF19NF20の入力容量はIRF640より30%以上小さいですが、それでもドライブ電流がふたつのICで400mAも必要となります。 その為、28Vから12Vを作るレギュレーターはアルミシャーシに直止めしてありますが、かなり熱くなります。 

今回のE級プッシュプル回路の基板は片面のユニバーサル基板の銅箔面にベタ状態に銅箔シートを張り付け、これをカッターでカットして回路パターンを作成しました。使用する部品は終段のドレイン、ソース間に入るコンデンサ以外、すべてチップ部品で作りましたので、パターン構造は、はるかに簡単です。 各端子間を板状の銅箔で接続し、難しい所は、部品挿入面に短冊状の銅板を配置しました。 これらの構造が功をはくし、今回はリンギング対策が一発で完了しました。

プッシュプルの出力はメガネコアに1ターンの1次巻線の銅パイプの中を2ターンの2次コイルを通し、2次側で共振回路を構成し、その出力が50Ωのインピーダンスになるようにしています。 変調回路からの14VのVdは1次コイルのセンターより供給します。 この回路で最大効率を得る為のアンプの負荷インピーダンスは6Ωくらいになります。 本来のインピーダンスマッチング負荷は3.1Ωくらいなのですが、そのインピーダンスでは、電流増大による損失が増え、ミスマッチの6Ωくらいが最大効率となっているものです。

Vdmaxpower

終段FETのドレインアース間に入っているC4とC67のコンデンサにより最大ピークドレイン電圧を下げる事ができます。このコンデンサが無い場合のピークドレイン電圧は電源電圧14Vのとき、100Vくらいですが、330PFで約60Vまで下げる事ができ、出力はほとんど変わりませんが効率が数%良くなります。 左の波形はドレイン電圧の波形ですが、ふたつのドレイン電圧が180度の位相差で発生しています。 コンデンサ無しの時はこの波形の幅が狭くなって高さが高くなります。 ちなみにこの容量をさらに大きくしていくと、次第に波形が崩れてきますので、一応、教科書通りの波形に近い状態で止めておきます。

2次側のコイルとコンデンサで7.2Mhzに共振させます。 コイルのインダクターを2uHくらいから10uHくらいまで変更してみましたが、劇的には効率は変わりませんでした。 色々検討して、50Ωの負荷に対してQ=5.5くらいになる6uHくらいのコイルにし、それに共振するコンデンサをシリーズにいれます。 調整は仮接続した430PFのエアーバリコンを最大容量から次第に小さくしていきますが、Vdの波形の内、0V付近のリンギングが最少になるような出力にします。 この調整ポイントを超えてさらにバリコンの容量を少なくすると出力最大点がえられますが、このときのVdの波形はかなりリンギングが乗ります。 従い、この最大出力の60~80%くらいの出力状態が最適な調整ポイントになるようです。

この回路では、最大出力は49Wとなりましたので、調整ポイントは30Wと置きました。 この時のLPFを含めたアンプ効率は73%くらいになっております。 

Ampp_eampvc

仮接続のバリコンを取り去り、固定コンデンサに置き換えると、バリコンのもつ浮遊容量の影響で、同じ容量の固定コンデンサでは、うまくいきません。 そこで、数10ピコのコンデンサを何個がパラ接続し、そこそこの出力が得られるようにし、さらに20PFのバリコンを恒久的に接続し、完成した時点で微調する事にしました。 このバリコンはタイト製の送信用ですが、最初100V耐圧のトリーマーを付けていました。 出力を30Wにして、変調をかけた途端トリーマーが絶縁破壊し、煙を出してショートしてしまいました。かなり高電圧になるようですので、バリコンの耐圧には十分注意が必要です。 ところで使用している固定コンデンサは昭和40年代に生産された50V定格の円板タイプです。 従来より100Wのアンテナチューナーにも使用しており、このコンデンサが絶縁破壊した事は有りません。

変調段は現在のFKI10531 1石でも計算上はピーク160Wのドライブが可能なのですが、どうせFETも余っていますので、TC4422のFETドライバーはそのままで終段だけ2石のパラレルドライブとしました。 また、約6Ωの出力インピーダンスにマッチするLPFを再計算して、2次のフィルターとしました。

LPFは-3dB:8500Hz 250Khz:-60dBとして算出した L=159uH, C=4.4uFとしてあります。

Ampp_400hzmod

左は、30W出力で最大変調度の時の波形です。 変調回路のデューティを調整し波形のピーク部分はクリップしておりますが、最少レベルでキャリアがゼロにならないようにしてあります。 しかし、変調のエンベロープは決してきれいでは有りません。 ピークがとがったような波形をしています。 ピーク時に正帰還がかかっているような波形です。

今回、従来の配置のままでパワーアップしましたので、E級アンプからの回り込みが発生して、低周波で発振しました。 やむなく変調回路とRF回路の間にシールド板を建て静電結合を削減しました。 しかし、まだこの結合に伴う変調信号の歪が生じている感じです。 もう少し大きなシャーシに変調部とRF部を完全に分離できるような配置の再検討をする事にします。

 

Ampp_30wout

左のスペクトルは40W出力時の高調波レベルです。 前回使ったTS-930S用の7MHz BPFは有りません。 7次LPFのみで第2高調波は十分減衰しています。 逆に3次の高調波はシングルの時より増えていますが、OKレベルです。 実際に運用する場合、6次BPFを付けて使います。 また、変調波形の改善の為、RF回り込み対策や、LPFのコア変更など再検討する事にします。

一応、30W出力で1時間以上のエージングテストを行い、異常なしでしたので、続けて40W出力状態で1時間以上のエージングテストを実施しました。 今回、用意したPCのCPU用放熱板をファンで冷却していますが、ほんのりと暖かくなります。推定温度が45度くらいです。 この40W出力時のE級アンプ効率はLPF込で73%でした。 使用しているクラニシの終端型電力計はかなりあっちっちになっています。

さらに、数日間連続テストを行った結果、数時間のエージングで出力が5Wくらい上昇する事が判りました。 原因は温度上昇で、同調用コンデンサの容量が変化するもののようです。 シルバードマイカコンデンサを使えば問題ないのでしょうが、そこまでする必要もありませんので、常用出力を35Wにして運用するつもりです。 

後日、このエージングで出力が上昇する真の原因はコンデンサの容量変化ではなく、74HC04の性能が変化する事が原因と解りました。 使ったICがたまたま不良品だったみたいです。

全体の構造は前回の18W出力用とほとんど変わりません。

TSSに提出したブロック図を添付します。

3rd_TX_AM_PP_BlockDia.pdfをダウンロード

Ampp_all

35W出力のAM送信機が出来上がったように見えましたが、エージングを継続するにつれ、予想したオーディオの周波数特性が得られなかったり、レギュレーターが壊れたりと問題が続出しました。 変調音の歪はRFのフィードバックが最大の原因で、各ユニットの配置再検討は避けられなくなりました。

シャーシ変更と音質改善 に続く。

INDEXに戻る

2016年3月12日 (土)

LDG KT-100の改造(失敗)

カテゴリ<ATU LDG KT-100

今まで、移動する時はMTUを持参して手動でチューニングしていました。

ATU自作の前に検討し、使い物にならなかったので、物置行きとなっていたLDGのKT-100ですが、このATUのリレーはラッチタイプで、一度チューニングが成功すると、リレーに電流が流れないので、乾電池で動くトランシーバーでも使う事ができます。 そこで、このATUを引っ張りだし、改造して実用出来るようにする事にしました。

Kt100open

改めて、ダミー抵抗を接続し、7MHzでチューニングテストをしてみました。

50Ωのダミー抵抗ではSWR1.1以下に収束します。(当たり前)

100Ωの抵抗ではSWR1.5くらいで収束します。しかし、時々一度SWR1.5くらいで停止した後、すぐにSWR2くらいに跳ね上がり停止します。このとき、グリーンのLEDは点灯しません。

25Ωの抵抗ではSWR3くらいでチューニングし、SWR OKの印であるグリーンLEDが点灯します。外付けのSWR計を見ていると、時々SWR1.5以下になる事もありますが、そこで停止せず、SWRが4くらいまで上がってから停止します。

中を開けると、CM結合器の部分にREVとFWDという名前のテストポイントがありますので、ここに電圧計を接続して、ダミー抵抗を変えて電圧を計って見る事にしました。

Cmc_test1original

 

上の表はKT-100に送信機とダミー抵抗を接続して、通常の入出力関係で接続した「正接続」と送信機とアンテナの端子を反対にした時の「逆接続」時のCM結合器が検出したFWDとREFの電圧値と、その電圧値から計算したSWR値です。 正接続と逆接続時の電圧値が大きく異なるデータがありますが、出力の設定をアナログメーターでやっている為、正確に2Wや5Wになっていない為です。出力が異なる場合の目安として見て下さい。

50Ωのダミー抵抗の時は、素晴らしいバランスです。

100Ωのダミー抵抗の場合、2Wのときも5Wの時も少し甘く出ていますが、まあ、許せる範囲です。

25Ωのとき、最初デジタルテスターを疑いました。なんでREFがマイナスになるのか?デジタルテスターが2台有りましたので、確認しましたが、2台ともマイナスを示します。高周波が漏れて悪さしてるかも知れないと、アナログテスターを持ってきて測りましたが、マイナスはマイナスの電圧です。

このATUのSWR測定が甘く誤差が大きいのは、50Ω以下のインピーダンスの時に発生するのではないかと思います。 生産工程で、調整がずれている可能性もありましたので、25Ωのダミー抵抗でSWRが2くらいになるよう再調整して、再度データを取る事にしました。

 Cmc_test2readj_2

 

Kt100cmc_schema

50Ωのダミーの時のSWRは、まあまあです。25Ωで調整しましたから、25Ωの時のSWRも、こんなものでしょう。しかし、今度は100ΩのときにREFがマイナスになります。 REFがマイナスというSWRの定義は有りませんから、これは、SWR1.00と解釈されます。

左はKT-100に使われているCM結合器の配線図です。 ()内の定数は推定値です。 配線図で見る限り、バランスして方向性結合器を構成していますが、実際はバランスが非常にクリチカルのかも知れません。

Ldgcmc_coil_2

CM結合器のコイルの部分を良く観察すると、2重に巻かれたコイルの端末処理がかなりラフであることと、コイルが等間隔で巻かれていない所に、静電シールドのない芯線がコイルの中心から外れたところを貫通していますので、かなりバランスは崩れていると思われます。

過去何台もSWR計用のCM結合器を作ってきましたが、ファラデーシールドが無い場合、芯線の位置が変わると、ころころREF電圧最少ポイントが変化した記憶があります。 このセンタータップの電位を1個のトリマーでバランスさせるCM結合器は、その動作がかなりクリチカルになることから、日本製のATUやSWR計ではほとんど見かけません。

結局、ATUの品質を左右する一番重要なCM結合器が貧弱で、使い物にならないATUに仕上がっていると考えられます。

そこで、この内臓のCM結合器を止めて、日本製のSWR計に使われているCM結合器に付け替えてみる事にしました。

Cmc_test3_newcmc_2 

上の表は、日本製のSWR計に使用されていたCM結合器を仮接続して、同じようにSWRを測定したものです。 さすがに日本製CM結合器でも正接続と逆接続でSWRの違いがあり、今回のテストでは、逆接続の方がまともな数値を出しています。 そこで、逆接続の状態が正接続になるよう、入出力を入れ替えて、実際にATUの動作をさせてみました。

ところが、50Ωの時は問題なしですが、100Ωや25Ωの場合、SWR1.5以下に一瞬整合するのに、最後のリレー動作でSWR5以上になります。 何度やっても同じ事でした。

ここから推測ですが、CM結合器のバランスが傾斜しているので、マイコンソフトで最良値を求めても、最後に、補正として、LCの組み合わせを少しずらしているのではないかと思われます。 LDG製のATU全てがそうとは思いませんが、少なくともこのKT-100はそうとしか思えません。 なぜなら、実際のアンテナでは、ダミー抵抗ほど、おおきくSWRが狂うことはなく、なんとなくSWR3以下にはなります。ただし、半数以上のバンドでSWR2以上です。

CM結合器がおかしいなら、CM結合器を変更すればよかろうと思って始めた実験でしたが、いいかげんなCM結合器と、それをカバーする為のソフトウェアーの為、またしても、このATUはお蔵入りとなってしまいました。

LDG KT-100の改造(マイコン)に続く

INDEXに戻る

 

2016年2月20日 (土)

リミッターアンプ追加

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

正弦波テストでは、大きな歪は確認できないのですが、音楽ソースで変調すると、曲によって歪が感じられる事が有りました。 その原因を調べていたところ、原因は変調器のLPFに使用されている2個目のフェライトコアによるコイルがRFのフライホイール回路の空芯コイルに近づきすぎ、この空芯コイルとフェライトコアコイルが互いに誘導しあっているものでした。 誘導の程度は正弦波も音楽信号でも同じなのですが、歪レベルが単純に正弦波上では良く見えなかっただけでした。

Eamp_2b_3対策として、この2個目のフェライトコアは廃止しました。 250KHzの減衰量を心配しましたが、左のスペアナ画像のごとく、33MHz付近にあったノイズも無くなって綺麗になりました。

E級アンプの放熱板はファンで冷却する事にし、8Vの電源ラインでモーターを駆動していましたが、変調用音量ボリュームを上げると、このモーターの駆動ノイズが同時に変調され雑音となっていました。 この対策の為、12Vラインから68Ωの抵抗と470uFのデカップリング回路を通して駆動するように変更しました。

最近のSSBトランシーバーは定格出力を1.5倍くらいオーバーしてもリニアリティが確保されており、内臓するコンプレッサーは単に出力が定格を超えないようにしているだけですが、AM送信機の場合、変調度が100%を超えたとたん、スプラッターをまき散らすという原理上の問題がありますので、このオーバー変調はどうしても避けねばなりません。

そこで、マイクに向かってしゃべっている時でも変調度を読み取れるように変調度計を追加しました。 

Mod_meter

Mod_amp

左が今回追加した変調度計、右は、SMT用ユニバーサル基板上に組んだメーター駆動回路で、後日、糸ノコで切り落とし、メーターの後ろ側に貼り付けます。

この変調度計はピークホールド型で、針の振れは遅いですが、オシロで波形観測をしながらチェックすると、指針が80%を超えなければ、おおむね100%以下の変調度が維持できるようです。 このメーターを見ながらしゃべる事にします。

さらに、突発的な過変調に対応する為、録音やカラオケのマイクアンプに使われるリミッターアンプを追加し、過変調の確率を減らす事にしました。 使うICはTA2011のセカンドソースであるSA2011です。ゲインは標準回路の47dBのままですが、アタックタイムを数ミリ秒にする為、6番ピンの抵抗コンデンサを変更しました。 うれしい事に、このICはトランシーバーのマイクアンプでの使用も想定されているようで、内部OP-AMPの差動入力間に20PFのコンデンサが接続されており、AMP-Iの問題は全く有りません。

この回路で、過入力があっても90%以上の変調がかからないようにVR2を調整しています。

また、前回の効率アップ検討時に実施したリンギング対策も下記の絵のように、すっきり配線することで、ほぼ確実に対策できました。 今回は短冊状の銅板を使いましたが、プリント基板の銅箔に幅を持たせて板状の導体で配線するのが一番の対策のような気がします。

E_ampringing

Amtx0303

左は最終状態の送信機で、変調度計を狭いフロントパネルに括り付けました。 そして、その後微調整をして、電源電圧28.2Vで18Wの出力が得られ、効率はE級アンプ部分で82%くらいになっています。

配線図 AMTX_15.pdfをダウンロード

ファンの振動をスタンドマイクが拾い、うるさいですから、シャーシの下にスポンジたわしを敷いています。

TSSに申請してから、約1か月後の3月中旬に、総通から設備追加の許可が降りました。 土日の休日しかON AIRできませんが、テスト運用しております。

さらにパワーアップにトライします。

パワーアップ(E級プッシュプルパワーアンプ) に続く。

INDEXに戻る

2016年2月11日 (木)

LPF改善

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

トロイダルコアで作った7次LPFはその挿入損失が大きく、E級アンプの効率アップの効果が全く生かされていませんでした。

そこで、最初に作った空芯コイルによるLPFを改造して、7次LPFを作り直す事にしました。

最初のLPFも空芯コイルでしたが、各コイル間のシールドがされていなく、これが、目標とした特性が得られなかった原因と考え、仕切り板のある構造にします。

New_lpf_schema

基本定数はトロイダルコアタイプと同じですが、空芯コイルに換え、各コイル間には仕切りを入れコイルどうしの干渉をなくし、かつ次のコイルへの接続は100Pの貫通コンデンサ経由で行うという方式にしました。 厚さ0.3mmの銅板でシールド枠を作り、はんだ付けして組み立てますが、強度確保の為、底辺にアルミの角アングルを当て補強してあります。

今回は手持ちの銅板で製作しましたが、原理的には、銅より鉄の方がシールド材としては優れていますので、次回製作が必要になりましたら、ブリキで製作するつもりです。

New_lpf_1_2

New_lpf

このLPFに50Ωの負荷をつなぎ、アンテナアナライザーで測定したSWRカーブが左の状態です。 7.199MHzのときSWR1.14となっており、この時の挿入損失が約0.45dBでした。 トロイダルコイルタイプの時は約1dBのロスでしたので、約0.55dBの改善です。

また、14MHzの減衰量をアンテナアナライザーとオシロスコープで確認したところ、30dB以上はあるようです。 

前回の検討で、FETシングルの時の最大DC入力は、23Wと出ていましたので、この新しいLPFの場合でもDC入力23Wくらいを目安として、コイルやコンデンサのカットアンドトライを行い、トランスの巻き数比も1:2にした結果、LPF outで15Wくらいの出力を確保する事が出来ました。 この時のE級アンプの推定効率は80%くらいになりました。

そして、効率の良いE級アンプと言えども、電源電圧を上げて、電流を押さえるようなハイインピーダンス回路にしないと、高効率は得られないという事が良く理解できました。 電源電圧はまだ上げる事はできますが、熱損失が目いっぱいですので、今回はこの辺で手を打つ事にします。

Am_tx0211

上の表は電源電圧を14Vにして、フライホイール回路の再設計を行ったときの出力データです。一番上は、効率最大の条件にしたもので、LPF outで約12Wの出力です。 熱損失的には、もう少し余裕がありますので、効率はダウンしますが、ギリギリまで出力アップしたのが真ん中のデータです。14V電源で16W出ています。 そして、この状態のままで、変調器をつなぎ、変調器に28.2Vを加えた時のデータが一番下です。かろうじて80%の効率を確保しました。

Vd0211

Mod0211

左上がVdの波形、右上は電源電圧28.2Vで1KHzの変調をかけた状態です。これより変調レベルを1dB上げると、1KHzの上下がクリップ始めます。従い最大変調度は90%くらいです。波形歪は音楽を変調して聞いてみても、ほとんど感じられません。

そして、配線を最短にやり直し、エージングを1時間した結果

無変調時のDC入力23.06W、LPF out 17.2W RFアンプ効率74.5%が最終値となりました。

Lpf_mod3a

上は変調段の後のLPF計算結果です。実際の回路では、L1=200uH、L2=130uH、C2=4.4uFとなっています。 このLPFはオーディオ信号で鳴きます。かなり歪んだ音です。マイクをつなぎハウリングは起こりませんので、現状のままです。 (その後、L2とフライホイール回路のコイルとの結合が問題となり、L2は廃止しました。)

計算URLは下に再掲します。

http://gate.ruru.ne.jp/rfdn/Tools/BlpfForm.asp#p1

E級アンプの検討開始時、VK1SVの設計シートを紹介し、うまく行かなかったと書きました。 しかし、うまく行かなかったのは私のやり方が悪かった為で、 今回は、かなり当てに出来るデータが得られました。

http://people.physics.anu.edu.au/~dxt103/calculators/class-e.php

そのURLを再掲しますが、ここの計算で重要なのは、トランスの1次:2次の巻数比でした。 巻数比は計算上では、小数点付で表示されますが、ここは1か2か3の整数しか無いという事です。色々なパラメーターを調整し、巻数比が整数になるようにしなければならないという事です。 今回、再計算するに当たり、電源電圧14Vと固定して、その他のパラメーターを設定しますが、VoとかL1は固定されますので、主にPOWERを選択して、トランスの巻き数比を2.0xくらいにします。この状態で得られた、L2をそのまま採用し、C1とC2を調整すると、計算で得られた容量の60~70%くらいで最適となりました。 L2は必ず、LCメーターで計測されたインダクターか、アンテナアナライザーを使い、既知のコンデンサとの直列共振周波数を求め、これから算出されたインダクタンスが目標値の最少誤差になるよう調整して置くのがキモです。

また、計算シートにあるようにQ=5からスタートしたらいいのですが、巻数比を3.0にすると、誤差が大きくなりますので、Q=3くらいまで落とした方が良いみたいです。 ただし、巻数比が大きくなるに従い、効率はどんどん下がっていきますので、巻数比2.0が最適なようでした。

このようにして、最大効率のC1,C2を求めた後、空芯コイルで作ったL2のピッチを微調整します。 C1,C2が計算通りにならない主な理由はQをいくらにするかという事のようです。 通常、動作状態のQを予想するのは難しく、ここで労力を使うより、計算値よりずれる事を受け入れる方が楽です。

ファイナルの電源をOFFにして、変調器のLPFを検討しようと、ハンダゴテを使い部品交換をしていましたら、誤ってFKI10531のソースとGNDをショートしてしまいました。電源OFFにしてあるので安心してましたが、FKI10531がショート状態で壊れてしまい、手持ちのFETを全部使い果たしてしまいました。  

Amtx_0211vomp

この原因は電源ラインに挿入した2200uFの電解コンデンサが放電せずに残っており、ソースとGNDをショートしたとき、電解コンデンサの放電電流が流れ、FETを電流破壊したものでした。 対策として、この2200uFの両端に5.6KΩの抵抗をパラに入れ電源OFF時はすぐに放電するようにします。

左がこれまでの対策を全て盛り込んで、完成したPWM変調方式AM送信機です。

ファンの音が少し気になりますが、FETが壊れるよりはましですので、我慢する事にします。

Wout_bpf0212

Bpf_add0212

Amtx_wbpf

左上は、この送信機でフルパワー出力時の高調波レベルです。Qをかなり高くした、7次LPFでも第2高調波を十分に減衰させる事は出来ていません。 右は、この出力の後に、TS-930Sに内臓していた7MHz用BPFを取り付けたものです。 33MHz付近でPWMアンプのフィルターから放射されたノイズがBPFに誘導しています。 左の写真がBPFを取り付けてエージングをしている様子です。 クラニシのパワーメーターは17.5W付近を指しています。 さすがにKENWOOD設計のBPFだけあって、挿入ロスはほとんどありません。

AUX端子からの音質は問題ないのですが、TS-850Sにヘッドフォーンを付け、マイクに向かってしゃべってみると、高域が抜けた、了解度が悪い音質になっていました。 原因は、常用しているマイクの出力インピーダンスが50KΩであり、これを10KΩのボリュームで受けた為、高域が落ちてしまったものでした。ボリュームを50KΩに換えればOKなのですが、あいにくスイッチ付の可変抵抗器が有りません。やむなく、OP-AMPを追加し、50KΩで受けるように変更しました。 

配線図 AMTX_13.pdfをダウンロード (IC6の in,outが逆です。)

この状態でTSSに申請しましたが、音楽を変調した信号により、フルパワーでダミーロードをドライブし、そのおこぼれを、TS850Sで聞いていると、曲によって歪が気になる事があります。 しばらくは、正弦波ではなく、音楽信号による歪改善が必要なようです。  実際にON AIRするのはいつになる事やら。

TSSに提出した送信機系統図2nd_TX_AM_BlockDia.pdfをダウンロード

リミッターアンプ追加 へ続く。

INDEXに戻る

2016年2月 6日 (土)

放熱設計

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

こいう事を巷では「どろ縄」と言います。

28Vの電源に1分くらいつないだらFETが壊れてしまいました。しかも、E級アンプと変調用のD級アンプ、ふたつともです。 この対策を考えていましたら、パワーアンプで最初にやらねばならない放熱設計が完全に抜けていました。 FETシングルで何ワット出力できるか? パラレルでは何ワット?という以前の問題でした。

そして、改めて放熱設計を検討する事にしました。

Heatsink3 

 上の表は、放熱設計の基本を表にしたものです。 各熱抵抗はFETの品種ごとに決まった値になります。 また、使用する放熱板やFETを放熱板に固定する方法で決定される数値です。 これらの数値から、今回の送信機では、FETに許容出来る最大損失が10Wであると計算されました。 

次に実際の使用環境を考察します。  この送信機はAM送信機ですので、無変調時の定格出力と100%変調時の最大出力を考慮必要です。最大出力は無変調時の1.5倍となりますので、定格出力状態で論議するときの最大許容損失も、10Wの1/1.5の6.7Wになります。 この6.7Wを超えたら、このFETが壊れるわけですから、ディレーティングという考え方を行い、最大許容値の70%を通常状態と設定します。この通常状態での許容損失は4.7Wとなりました。

E級アンプの効率を仮に80%と仮定すると、4.7Wの許容損失になる時のDC入力は23.3Wとなります。 ここから4.7Wの損失を引き算して、アンプの出力は最大で18.7Wとなります。 この18.7WにはLPFの挿入損失は含まれていませんので、現在のLPF挿入損失-1dBを考慮すると、LPF出力部での最大出力は14.8Wと計算されます。

FETが90%変調状態で1分くらいで壊れた時、LPFを通過した後の無変調出力が21Wくらいでしたから、FETが壊れても不思議ではありません。

これから、回路を再設計するに際し、測定誤差もありますので、一旦、目標最大出力はLPF挿入前で18Wと置きます。  18W以上が欲しければ、FETパラレルドライブにして、放熱板も2倍の放熱量を確保できるサイズにしなければならないという事です。 FETパラレルドライブの出力アップ構想も許容放熱量の制限から不可となりました。

なお、ここでシングルFETで最大18Wというのは、フルモールドパックのFETと、秋月の小さな放熱板での話で、ドレインが直接フィンに接続された絶縁が必要なTO-220や、ファンの付いた放熱器を採用する事により、この2倍くらいの出力まで上げられる事は補足して置きます。

これらの条件を実際の回路に当てはめようとすると、そう単純にはいきません。 まず、LPF挿入前の出力というのが測定できません。 電力計が熱電対型の真の実効値を検出するタイプなら問題ありませんが、クラニシの電力計やCM結合器を使った通過型電力計の場合、LPFを通る前の大きな歪のある信号の電力を計る事は不可能です。 これらの電力計は正弦波の片方のみをダイオードで整流して、その直流電圧から電力を換算していますので、歪が生じたとたん、指示された電力値は誤差が大きくなります。ひどい時は入力されたDC電力よりも測定された高周波電力が大きいというウソのデータも出てきます。 従い、LPF単体の挿入損失を正弦波の信号源を使い、実測で求めておき、LPF出力端で測定した電力からLPF無しの出力を計算で割り出しています。

E級アンプを再設計するに当たり、一度熱暴走で壊している負い目がありますので、最初は14Vの電源で10Wくらいを目指して、回路設計を行い、おそるおそるFETや放熱板を手で触りながら、パワーを上げるかどうかを判断することになります。

そんな訳で、フライホイール回路のコイルを0.61uHとして、この状態で最大効率が得られるように各定数を調整した結果以下のようになりました。

Amtx_comp_out1_2

上の段は、変調器なしでRFユニットに直接DC14Vを加えた時のもので、LPF通過後、9.1Wの出力となり推定出力は11.5W、76.4%の効率となりました。 RFアンプ効率というのは、LPFのロスを含んだ全体の効率です。

下段は、変調器を接続し、電源電圧も28.2Vに上げた時のデータとなります。 変調器とRFユニットの間にあるLPFのインピーダンスが影響していると思われますが、単体の時より効率が上がり、LPFなしの推定効率は80%くらいで、まずまずです。

Amtx_vdvg

Amtx_rfout 

左の画像の下の波形がVg、上の波形がVdです。 オシロの縦の目盛は20V/divです。 右側の画像はLPFを通った7MHzのキャリ波形です。

この状態で、PCから音楽ソースを入力し、1時間くらいのエージングテストを行いました。   RFファイナルの放熱板はかなり熱を持ちます。1秒以上触り続ける事は出来ません。多分50度を超えていると思われます。また、28Vから12Vを作る3端子レギュレーターも負けずに熱くなっています。 変調器のFETは100x120mmのアルミ板にビス止めしてありますが、ほとんど温度は感じられません。

E級アンプの放熱板に定格12Vのファンを8Vで駆動して風を当ててみました。すると放熱板の温度はずっと指を当てていられる状態まで下がり、出力も以下のようになりました。

Amtx_fantukiout

 

効率83.5%はマユツバものですが、ファンで強制空冷するとかなり効果がある事はわかりました。ファンを恒久的に取り付ける方法を考える事にします。

一方、1時間もエージングすると、7MHzのLPFのコアがかなり熱くなります。これは、なるべく早く改善する必要があるようです。

今回の変更でE級アンプのインピーダンスは14Ωくらいになりましたので、従来、7.2Ωで計算されていた変調器のLPFのままでは、変調の周波数特性が変わり高域が、かなり出るようになりました。スイッチングの250KHzも減衰量が減ったと思われます。 この変調段のLPFは周波数特性のみに影響すると思っていましたが、インピーダンスが大幅に違うと、オーディオの波形が歪む事を発見しました。 E級アンプの負荷インピーダンスが10倍を超え始めると次第に歪を目視できるようになります。 従い、きれいな変調を維持する為には、常にこのフィルターのインピーダンスはE級アンプに合わせておく必要がありそうです。 

最新回路図 AMTX_11.pdfをダウンロード (IC6の in,outが逆です。)

LPF改善 に続く。

INDEXに戻る