2025年10月11日 (土)

ポータブル赤道儀 ドリフト法による極軸合わせ

カテゴリ<天体写真 ポータブル赤道儀 自作 ステッピングモーター>

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多分、50mmくらいのレンズなら赤道儀につけたファインダー越しに北極星を狙って極軸調整しただけで60秒くらいの撮影は可能ではないかと考えますが、さすがに200mm(デジカメなら300mm相当)のレンズの場合、極軸望遠鏡が無ければ無理だろうという感触は前回の実写でなんとなく判りました。 しかし、ここで諦める訳にもいかず、インターネットでドリフト法に関する情報を読みあさった結果、これなら極軸望遠鏡が無くても星を点にとらえる事が出来るかも知れない。

そこで、今回の自作赤道儀のコントロール回路にV字型の線を自動的に取得するためのプログラムを追加する事にしました。 赤道儀の動きとしては、通常の追尾速度で動作させ、60秒間だけ通常の回転方向で回転速度を4倍にし、続けて逆方向に60秒間4倍の速度で回転させ、この間、シャッターを開放状態にしておけば、デジタルカメラのなかにVの字の光跡を残るというもの。 撮影後、その場でカメラの中をPCで覗き、Vの字がIの字に変わるまで極軸の調整を行うようにしたい。

赤道儀の駆動はステッピングモーターで行っているので、簡単にプログラムを追加できます。 1日でプログラムの改造を終え、部屋の中で、赤道儀の動きをチェックする為に、回転速度を60倍にしてチェックすると、通常の回転方向の場合、1分で15度ほど回転しますが、逆方向の場合、1分で60度ほど回転してしまいます。 過去、ステッピングモーターの正転、逆転をランダムに繰り返す必要のあるATU(自動アンテナチューナー)を作成し、速度が変わるような問題は一度もなかったのにと焦りました。 この問題が発覚してから、マイクロステップに関する情報を探すと、STマイクロの資料の中で、ステッピングモーターは定格電圧の2倍以上の電圧と半分くらいの電流で駆動するが、高次のマイクロステップの場合、電流が大きすぎると規定のステップ角度をオーバーする事があるという文面を見つけました。 そこで、現在450mAに設定している電流制限をどこまで小さくすると改善するかテストすると、100mAまで落としても、高速回転する現象は改善しません。さらに50mAまで小さくすると、正転も逆転の動かなくなってしまいました。 どうも、電流のせいではなさそうです。 丸1日考えた末、ATUの場合、なぜ問題が出なかったのかとATUのプログラムの検証をしてみました。 ATUは指定したステップで正確に正転、逆転を繰り返す必要があり、プログラムの中で、そのステップ数をカウントする場合、ドライバーICのSTEP入力に加えるパルスが、HからLに変わった時ワンステップとカウントし、ターゲットのカウント値になったら停止するようプログラムされていました。

今回の赤道儀は、ステップ数を数える必要がないので、現在のステップ信号のパルスがH/L関係なくモーターを停止させていました。もしかしたら、このパルスがHの時モーターを停止させると、次の起動時に停止した時の状態と異なることから、マイクロステップのシーケンスがくるってしまうのでは?と気づき、モーターを停止する場合、必ず、ステップパルスがLになるまで待って停止させるプログラムに変更したら、この異常現象は完全に無くなってしまいました。電流制限100mAから500mAまで変化させ確認しましたが、いずれも異常なしでした。最終的に電流制限は250mAに設定しました。

正転、逆転の基本動作が出来るようになりましたので、Vの字パターンを記録するために、全体のシャッター開放時間をマニュアルで設定する手段、通常スピードの何倍で回転するか指定する手段、描かれたVの字の線の始点のマーキング、線が重なってIの字になっていることを容易に判断するために、正転時の光跡の長さより、逆転時の光跡を長くする手段をプログラムで作成しました。

この正転と逆転時の光跡の長さは正転と逆転の時間が同なら、必ず逆転時の長さが長くなるのですが、あまり長くなると始点と終点の距離が離れてしまい、Vの時の開き角度が小さくなります。すなわち、IなのかVなのか判定がむずかしくなる事を避ける為に逆転時の長さを予め計算された値に調整します。 特に、これに使用するカメラであるK20Dはシャッター開放状態の撮影では撮影終了後、撮影時と同じ時間をかけて、ノイズリダクション処理があり、通常のカメラの2倍の時間がかかってしまいます。 そこで、一般的には100秒くらいで光跡を取得していますが、これを30秒くらいから初めて、ほぼIの字になったとき100秒以上で再確認するようにするつもりです。

Drift_lcd_2

改造したプログラムは、TIME SETキーを押しながら電源SWをONするとドリフトモードになるように設定しました。 左の画像はこのドリフトモードで立ち上げた時のLCD画面です。 一番左のB-OPENの下にある数字は、120秒間シャッターを開放する事を示しています。この数値は1秒から255秒まで可変できます。

真ん中のEQ SPEEDの下にある数値は赤道儀の回転速度を通常の何倍の速さに設定するかを示します。この数値は2倍から10倍まで可変できます。実際に使ってみて範囲が狭いようでしたら、拡大するかも知れません。右側のFWD %の下の数値は順方向に回転させる時間の比率を予め計算し、その結果を表示しています。この表示の例では全シャッター開放時間120秒のうちの58%(69秒間)順方向に送り、逆方向には残りの51秒間送ることになります。この比率は順方向の光跡より、逆方向の光跡が約22%くらい長くなるように計算されています。

TIMER STARTキーを押すと、通常の追尾速度で赤道儀が回転し始め、10秒間シャッターを開放します。これは光跡の始点を作る作業です。10秒経過したらシャッターは開放のままB-OPENで指定された期間、プログラムされた動作を行いトータル130秒後にシャッターは閉じます。

ここまで準備して、いざドリフト法にファーストトライです。

今夜は南向きのベランダから星を撮影しますので、まず三脚を水準器で水平にします。次に、先日北極星を狙ったときの高度角に黄色のテープで印をつけていましたので、それにピタリと合わせて高さ方向はきっちり固定しました。

Eqmount1010a

Eqmount1010

次に、カメラを赤経の南中付近にカメラを向けますが、目で確認できるめぼしい星が光害の為見えません。やむなく適当に水平方向を決めて、30秒間の光跡を確認し、何回も繰り返しながら60秒間の光跡でほぼ正転と逆転の光跡が重なった角度を決めました。 ただ、この60秒の光跡で、とりあえずこれくらいで良いかと諦めるまで2時間かかっていました。 続いて東側の空に見える星を狙って、60秒の光跡を確認したら、1回目で正転、逆転の光跡は重なっていましたので、出来た!と適当な星を1分と2分と3分で追尾撮影をおこないました。 この終了まで2時間20分かかっています。

左が南方向に適当にカメラを固定して最初に撮った30秒間の光跡です。あてずっぽにしても、かなり外れた状態から開始する事になりました。真ん中は60秒の光跡です。暗闇の中で光るPCの画面を見て、光跡が一致したと判定した画像ですが、拡大するとまだずれていました。右側が先日の北極星で上下方向の角度を決めた時のままで撮った東の空10度くらいの高さに上った星の光跡です。 カメラの向きがいずれも水平からずれていましたので、光跡の角度もバラバラです。

Drift30_1

Drift60_2

Drift60e_1

この状態でシャッター開放2分(左)と3分(右)で撮影した星が以下の写真です。

120sopen

180sopen

2時間もベランダに立ちっぱなしでトライしたドリフト法でしたが、カメラの近くに置いたノートPCの画面では、正転逆転の光跡は一致していると判定したのですが、機材を撤収して改めて光跡を拡大して確認したら、いまいち追い込み不足があり、結果として2枚の星空の写真は星が点になりませんでした。 また、最初に撮影した1分の画像は3分の画像より星の流れが大きく、この最初の画像だけ、星の流れが大きいのは2回目です。 なにか特別な原因がありそうです。

以上の結果から、まずDriftのプログラムの中に、最初の始点を作る時間を10秒から5秒に変更しました。 撮影完了後、再度シャッター開放時間と同じ時間だけ待つ為にカウント機能を入れました。 このカウント値がLCDに表示されますので、前回よりイライラして待つ事がなくなりました。前回、最初の追尾撮影で追尾に失敗して、星が線状になる原因は、赤道儀の回転軸のあそびが原因でした。一旦追尾を止めて、カメラの向きを変え再度追尾を開始しても軸のあそびの分だけ赤道儀は回転せず、あそびが解消されたら追尾を開始しますが、このあそびの範囲を抜け出すのに1分くらいかかっていました。 対策として、再度モーターの位置調整を行いあそびの部分で赤道儀が回転しない時間を30秒くらいまで縮めましたが、これ以上の改善が出来ないので、あそびの回転時間中はシャッターをOPENしない事にしました。

マイコンプログラム PEQ_Mount_200.cをダウンロード

フォントプログラム Font9.hをダウンロード

          Font12.hをダウンロード

そして、まず南中位置付近での水平方向の合わせを行い、次に東方向で垂直方向の合わせを行った結果が以下の画像です。 特に水平方向は光害のため、2等星の星も見えない状況でしたので、目視では見えない暗い星の光跡を見て、判定したのですが、左下の画像のように、改めてPC画面で拡大してみるとまだVの字状態でした。 垂直方向はOKみたいです。2枚の写真共、撮影時間は60秒ですが、右側の写真のバックが明るいのはパチンコ屋のネオンサインの性です。

Drift2h

Drift2v

以上の極軸合わせ結果により撮影した星の画像は左から30秒、60秒、下の段の左から90秒、120秒です。

Idrift2_30s

Idrift2_60s_2

Idrift2_90s

Idrift2_120s

90秒までが限界ですかね。

今回使用しているカメラ PENTAX K20Dの場合、星を撮影する場合に致命的な欠陥があります。 シャッター開放時間が0.3秒を超えるとノイズリダクション(NR)機能をOFFできなくなり、例えば10秒間シャッターを開放した後、ほぼ同じ時間をかけてNR処理をする事から、この間、次のシャッターONまで待たねばなりません。 実際NR処理時間にどのくらいかかっているか調べてみました。

K20dbestshater_time

表をクリックすると拡大します。

実際のカメラを使い、3秒から180秒までのNR処理時間の計測結果です。 そして、シャッター開放時間が合計して60分になる時の、NR処理時間とシャッター開放時間の合計を計算したものです。 シャッター開放時間とNR処理時間に比例関係は有りません。 一番効率の良いシャッター開放時間は20,25,30秒でこれ以下も以上もトータル必要時間は多くなります。 よって、例え200mm望遠レンズでも、最大30秒のシャッター開放時間で星が点になれば問題ないという事になります。

北極星を見ながら極軸合わせをした場合も、ドリフト法で極軸合わせした場合も30秒のシャッター時間なら、極軸合わせに45分もかける必要はなさそうです。

以後20秒から30秒の範囲で連続撮影する事にします。

今回の極軸調整時間は、ベランダに機材をセットアップするのに15分、極軸を水平、垂直両方とも合わせ完了まで45分、最後の星空撮影が12分くらいかかりました。 一番時間を食った作業は、ドリフト撮影時、星が見えない為、カメラに映りそうな星を探す時間でした。 この東広島市西条という土地は大して大きな街でもないのに、家の近辺に大きなパチンコ屋と戸建ての世帯数を上回る世帯数のアパートがあり、建物の数はアパートの方が少ないにせよ、アパートの共同で使う通路や階段は終夜こうこうと照明を点灯する事を法律で義務付けられている関係から、とにかく星は見えません。

 

次はいよいよ光害の無い場所に移動して目標を定めての撮影になりますが、いつできることやら。






 

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2025年10月 5日 (日)

ポータブル赤道儀 初めての実写テスト

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10月5日、昨日までの連日の雨が止み、夕方北極星が見れるかも知れない。 そこで、今晩こそ、製作したポータブル赤道儀の実力試験を行おうと準備をしました。 結果は失敗でした。 まあ、最初からうまくいくのがおかしいという試験ですので、初めて行った失敗の記録と今後の課題を紹介し、これから何回もトライして、なんとか見れる天体写真撮影に挑戦していきます。

Peqtest20251005

隣の空き地に3脚を建て、レッドドットファインダーの真ん中付近に北極星が来るように狙いを定めた後、天頂からやや西に傾いた1等星をめがけてカメラの位置を固定し、赤道儀は定速で追尾しながら60秒、90秒、120秒、150秒とシャッター開放時間を変更しながら撮影しました。 撮影しましたと言っても、そこまでたどりつくのに45分くらいかかっており、60秒の撮影は赤道儀のモーターがONしておらず星は完全な線になっていました。他の画像は一応追尾はしているのですが、極軸が合っていなく短い線になっていました。

赤道儀の回転テーブルとシャフトはDカットして2本のイモネジをしっかり締めたつもりでしたが、カメラの重みで3度くらいの遊びが生じ、星をカメラのファインダーの中央に持ってきて手を離すとずれてしまいます。

この場で対策が出来ないので、遊びの分だけずらしてセットし、手を離したとき、画面の中央付近にくるようにセッティングできるまで30分くらいかかりました。

その作業をやっている内に多分極軸合わせもずれてしまっていると思われますが、今夜はまず画像を残す事を最優先としました。

カメラがノイズリダクションの処理をしている事を忘れて、タイマーを仕掛けてシャッターONの信号をカメラに送ってもシャッターが開かず、あせりもあって、全ての画像のシャッター開放時間はバラバラです。

この晩は中秋の名月の前日で月がこうこうと輝いており、2等星以下の星は肉眼では見えない状況でしたので、カメラの背面にあるリアルタイムの液晶画面は明るい灰色で星はひとつも見えません。 

Imgp0713

Imgp0716

左上はシャッター90秒開放、右上は150秒開放時の星画像です。 いずれも200mm望遠レンズで撮影しています。 画像を拡大すると判りますが、どちらも星は線状に流れています。

今回は初めての撮影でしたので、改善テーマが多すぎます。 特にカメラの位置をしっかり固定できるようにしないと、極軸合わせどころではなくなります。 また、レッドドットファインダーの精度はかなりいい加減で、北極星の時角を論議するレベルには到底達していません。 

回転テーブルの遊びの問題は、2個のイモネジのゆるみでした。しっかり締めれば問題ないのを確認できましたが、また緩むようなら、イモネジを普通の長いビスに代えてネジ山の摩擦する面を増やす事にします。

レッドドットファインダーによる極軸合わせは200mmの望遠レンズでは難しいと理解しましたので、ドリフト法による極軸合わせを検討する事にします。

 

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2025年9月23日 (火)

ポータブル赤道儀 ファインダーの取り付け

カテゴリ<天体写真 ポータブル赤道儀 自作 ステッピングモーター>

手配しておりました、ファインダー用の台座が意外と早く納品されましたので、さっそく、自作の赤道儀にタップを切って取り付けました。 (前回までの記事

Finder_03

左が取り付けた台座にファインダーを固定した状態です。 ファインダーは取り付けただけでは使い物になりませんので、極軸と平行になるように調整が必要です。 その為、ウォームホイールの付いたカメラ回転用のシャフトを抜き取り、そこに6φのABSパイプを差し込みました。真鍮の6φ棒はすんなりとベアリングを貫通したのに、ABSパイプの寸法はかなりいい加減で、ベアリングに挿入できません。 仕方なく、パイプをハンドドリルにくわえさせ、高速で回転させながら表面をサンドペーパーで磨く事10分。やっとベアリングを貫通出来るようになりましたので、写真のごとく取り付けました。パイプの長さは12cm、内径は4mmです。 外光によりターゲットが見にくいのでパイプの外側に黒のビニールテープを巻き付けてあります。

 

Finder_02

まず、このABSのパイプの穴を覗き、約1.6Km先のNTTのアンテナの先端が円の中心にくるように赤道儀の向きを調整した後、ファインダーの赤ドットが円の中心にありかつNTTのアンテナ先端に合うように、台座の取り付け位置とファインダーに付属する垂直、水平の微調整ネジを回し、固定しました。 レッドドットファインダーの取り扱いを解説したインターネット情報によると、ファインダーを覗く目の位置がずれてもレッドドットの示すターゲットの位置は変わらないと説明され、その証拠の動画もあるのですが、今回入手したファインダーは目の位置を変えると、ターゲットから外れてしまいます。 という事は、覗く条件で、ターゲットに一致する方向は無数にあるという事になり、使い物になりません。 ほんとに、使い物にならないのか、色々の情報を調べていくと、どうも次の様な使い方のようです。 

まず両眼をひらいて、ターゲットを注視し、その状態で一方の目はターゲットを直接見て、もう一方の目はファインダーを通して見えるように目の位置を決め、ファインダーの青い円の中心にターゲットが見えるようにファインダーの向きを合わせ、次に円の中央のターゲット上に赤の点が見えるようにファインダーの調整ネジを調整したら良いらしい。 

そこで、この方法でファインダーを調整した後、ファインダーで別のターゲットに狙いを定めますが、ターゲットと赤のドットが青い円のセンターになるように赤道儀の向きを調整した後、ABSのパイプを覗くと、ターゲットはABSの穴のほぼ中央に見えていました。 目の位置がファインダーを調整した時とずれると赤のドットはセンターに来ない為、赤ドットがセンターに見える時のみ照準が合ったと言えるみたいです。 多少の誤差はありますが、この見え方の癖を覚えておき、実際に北極星の位置決めをする場合、スマホで得られたリアルタイムの北極星の時角(リアルタイムの時角を表示するスマホのアプリ名:StarWatchingTools)を見込んで赤道儀を固定する事になります。 どうもこの辺は、慣れと経験で繰り返し極軸設定を行ないながら、精度を上げていく事のようです。 つまり、かなりアナログ的なカットアンドトライで星が線にならない為のシャッター開放時間の改善を行うという事らしい。 それでも200mm望遠レンズクラスなら最長5分くらいとの事。(16分は無理。極軸望遠鏡を用意できない俳は諦めです。)

ファインダーを一度外し、再度取り付けると、ターゲットの位置をセンターに合わせたのに、赤のドットがかなりずれていました。 調べると、ファインダーの赤ドットを移動させる微調用のつまみがちょっと指に当たっただけで回転してしまう程軽いのが原因でした。 

対策は、つまみとボディの間にスポンジのスペーサーを挟み回転時に負荷がかかるようにしました。下の写真が実際に作ったスペーサーとそのスペーサーを実装した状態です。

Spacer1

Spacer2

Spacer3

厚みが1mmくらいあるスポンジ系の両面テープを、ほぼ正方形に2枚切り、接着面どおしをはりつけます。その状態で3mmφの穴をポンチで開けます。 穴を中心に八角形に切り、形を整えたあと、調整用つまみとファインダーのボディに挟み込み、つまみを固定するネジをしめつけました。 この措置は、ファインダーの垂直、水平両方の調整ネジに実施しました。 これで指やその他の物が当たってもつまみが回転する事はなくなりました。

 

2025年10月中旬

ドリフト法により極軸合わせの練習をしていたころ、このレッドドットファインダーを使って土星をターゲットに経緯台の調整をしていた時、土星をファインダーの中央に置き、かつレッドドットと重なるようにファインダーの方向を調整したとき、目の位置をずらしても、レッドドットと土星の輝点は一緒に動く事を確認しました。ファインダーの直径の半分くらいの範囲内なら、赤の輝点と土星の位置は変わりませんでした。 これがこのファインダーの正しい使い方かも知れません。

 

さらに、エージングを続けていると、自由雲台を固定する回転テーブルとシャフトの間でスリップが起こります。イモビスをいくら締めてもスリップは止まらなくなりました。 写真撮影の前にいっぱい問題点が出てきて極軸合わせどころではなくなりました。

Imoneji_3

Handdriru_2

回転テーブルをシャフトに止めてある二つのイモネジの一方を抜き取り、2.1φのドリル刃を付けたリューターでシャフトに深さ0.5mm程度の穴をあけます。 イモネジを差し込みシャフトが動かない事を確認した後、もう一方のイモネジの部分も同じ様に処理します。 一旦回転テーブルを抜き取り、先ほどシャフトの穴を中心に深さ0.3mmくらいのDカットをヤスリで作ります。 回転テーブルを再度取り付け、イモネジを少し締め付けてテーブルがロックする位置を確かめたらイモネジをしっかりと締めておきます。 今回は回転テーブルだけがスリップしましたが、BOX内のウォームホイルも同じ事が起こる可能性がありますので、一度全部ばらして、ストーッパーのネジが当たる部分をヤスリで削り。最大で0.3mmくらいのDカットを施しました。

Finder_03

前述したように、ファインダーの微調整ネジが緩んで再調整しなければならないのですが、その為に、また極軸のシャフトを抜き取りABSパイプを差し込んで再調整するというのは、かなり面倒です。アイデアは良かったのですが、実用にはなりません。 そこで、このシャフトと平行になるような常時取り付けておける覗き穴用パイプを追加する事にしました。 ギアBOXの天板と底板をはずし、このふたつの板の四隅をビスで固定した状態で、ボール盤を使い3mmの穴を貫通させました。BOXを元通りに組み立てた後、その穴にグラスファイバー製釣り竿の先端部分をカットした長さ13cm、先端の内径が2mmくらいのパイプを差し込みこれを基準にレッドドットファインダーの調整を行う事にしました。 ただし、まだ、実践はできていません。雲が晴れるのをまつしか有りません。

 

StarWatchingToolsについての補足(多分こうだろう。間違っていたらごめんなさい)

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スマホにStarWatchingToolsをインストールして、これをOpenすると左の黒色と赤色で描かれた円弧状のグラフが現れ、白い点が表示されます。左の画像にある黄色で描かれた部分及び「北極星の位置」と「極軸の位置」の文字とそれに付随する白い矢印は表示されません。極軸に対して北極星の位置のズレをYahooで検索すると、0.6度ほどずれていると出てきます。一方満月の視角は約0.5度です。従い北極星は満月の直径の約1.2倍の半径で、極軸を中心に一日かけて一周する事になります。

リアルタイムの時角が必要なのは、極軸設定時の角度を知れば、北極星をどの方向に0.6度ずらせば良いかがすぐに判る為です。

スマホの画面に表示される像は正立と倒立が選べます。レッドドットファインダーは正立像ですので、正立像モードにしてスマホに表示された角度に北極星を配置すれば良いし、レンズ式の通常のファインダーなら倒立像モードにすれば簡単に設定できます。 満月の大きさは、満月の夜、ファインダーで月を覗けば把握できます。 今回使った一倍倍率のレッドドットファインダーで半分欠けの月を覗いてみたところ、意外と月の大きささは大きく見えました。少なくとも、赤ドットの直径の10倍くらいはありました。

極軸と北極星のずれは毎年変化するようです。0.6度は2025年の9月にインターネットから仕入れた情報です。しかし、その他にも沢山の数値が有り、どれが正しいか分かりませんでした。 国立天文台が発表しいるズレは40分(0.666度)と出ていましたが、いつの年かは記載されていませんでした。 

 

実写テストに続く 

 

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2025年9月15日 (月)

ポータブル赤道儀 モータードライバーの製作

カテゴリ<天体写真 ポータブル赤道儀 自作 ステッピングモーター>

ポータブル赤道儀のギアBOXが完成したので、次はステッピングモーターのドライバーと、インターバルタイマーの作成です。 インターバルタイマーは前々回で完成済み。モータードライバーの基本プログラムはZマッチATUの制作で完成ずみで、1/64マイクロステップの動作が成功すれば完成になります。

まず、PICマイコンの選定ですが、32bitタイマーを使いたい為、16bit品の中からPIC24FV32KA302を選びました。 このICなら、まだ部品箱に1石有りましたので、追加で買う必要もありません。 ステッピングモータードライバーはSTSPIN220と言うSTマイクロ製のICを米国メーカーが金属基板の上にモジュールとしてマウント済みのユニットを使います。 秋月電子で扱っています。 モーターはすでに紹介した通り、17HS4023で、中華製です。 また、インターバルタイマーの機能をいれますが、これは、前々回の記事で紹介しましたユニットをそのまま、このモータードライバーに移植します。 プログラムの量のほとんどが、このインターバルタイマーの部分が占有し、モータードライバーのプログラムはほんのちょっとしかありません。

回路図 EQ_Mount_sch_1.pdfをダウンロード

Peqmount_pcb

上は出来上がった回路です。2.54ピッチのユニバーサル基板に組み込みました。 抵抗、コンデンサ(電解コンデンサは除く)は全てチップ部品で基板の裏側に半田付けしてあります。 電源は最大電圧16.4Vのリチウムイオン電池(電動リール用)に12V出力のDC/DCコンバーターを付けた10AHくらいの自作の電池を使います。 このモータードライバーは12Vの電圧供給を受けた後、それぞれの回路に必要な電圧を基板の中で作っています。 基板の中で大きく面積を占有しているのがこのDC/DCコンバーターです。 アマゾンで6台まとめて690円で売り出されていましたので、買ってあったものが役立ちました。 1台はステッピングモーターの電源用で、7Vに設定してあります。 もう一台はステッピングモーターのIC用とカメラの外部電源用の5Vをまかないます。 

カメラの外部電源用として市販されているケーブルはUSB端子付きになっており、5Vの電圧を8.3Vに昇圧してカメラに供給するようになっている為です。 2週間くらい遅れてこのケーブルは入手しました。USBコネクタに5Vの電源を接続しカメラに接続するコネクタの出力電圧を測ると5Vしか有りません。販売資料にはDCDCコンバーターと書いてありましたので、てっきりUSBコネクターから受けた5Vを8.3Vに昇圧してカメラに供給するものだと理解していたのですが、実はそうではないらしい。 テスターでこのケーブル(モデル名 AC-CU905C  D-AC50)の入出力を導通テストすると、+側も、GND側も0.5Ω以下。DCDCコンバーターなど存在せず、単にLEDと若干のLEDドライブ回路が入っているだけでした。 幸い、カメラ用として12Vから電圧を変換するDCDCコンバーターを実装していますので、5Vに設定していたこの電圧を8.3Vに変更しました。 そして、ステッピングモーターICへは5Vのシリーズレギュレーターを追加する事にしました。 一般的にUSB-Aコネクター経由で得られる電圧は5Vと決まっておりますが、USB-Cコネクターの場合、5V以上で使う事も規格化されているので、要注意です。  前記した回路図は修正済み。

PICマイコンやLCDは、この5VからLDOを使い3.3Vに落としています。 PICマイコンが3.3Vでモータードライバーが5Vの電源での動作であると、マイコンの出力電圧とドライバーの入力電圧がミスマッチになりそうですが、そこは、STマイクロが設計対応しており、H入力は1.5V以上あれば良く、マイコンの低電圧化を見越しておりますね

PICのシステムクロックとして24.576MHzの水晶を使う事はすでに紹介しましたが、PIC24FV32KA302の場合、OSCI及びOSCOに水晶と負荷コンデンサを付けても発振しませんでした。 20MHzなら発振するのですが、24MHzは発振しません。やむなく、トランジスターでコルピッツ水晶発振回路を作り、この出力をOSCIに加えてやることにしました。発振周波数は、自作のカウンター(誤差±0.032PPM)で測定して24.576016MHz。 設定値に対して+0.65PPMくらいでした。使ったセラミックコンデンサの温度特性は全てCG(温度係数0)。冬場でも周波数の安定が見込まれます。 ちなみに、0.65PPMの誤差とは24時間の計測に対して0.056秒の誤差を意味します。  モータードライバーからモーターまではLANケーブルの中にあった長さ2mのAWG24のワイヤー4本をツイスト状態でつないでいますが、問題なしでした。 ベースギアは1時間に15度回転しますが、それを待っていられないので、MSTARTキーを押しながら電源を入れると、60倍のスピードでモーターが回転します。この状態で1分間に15度回転する事を確認しています。 もちろん、正規のスピードで2時間の運転を行い、30度の回転も確認済みです。 問題の1/64マイクロステップですが、これがいとも簡単にOKとなりました。 当初の心配はなんだったんだと思えるくらいあっさりと解決しました。

マイクロステップ駆動を行う時は、一般的に、コイル抵抗 x 定格電流で現わされる電圧の2倍くらいの電圧をかけ、電流制限を定格値の半分くらいにして使う事が多いので、今回のステッピングモーターの場合、この理屈で行けば、電圧5.6V、電流制限0.35A程度がターゲットになります。しかし、今回のモーター回転ステップは9PPSくらいの超スロー回転で、ローターの慣性は利用できませんので、トルク重視の為、この標準の25%アップくらいの設定でスタートしたところ、一発で脱調もせずにOKとなりました。最終的には、モーターの電圧は7Vにしておき、電流制限を450mAに設定しました。 この時の12V電源の消費電流は180mAくらいです。

ベースギアの回転方向はCWオンリーです。日本国内でしか使いませんのでCCWは不要です。

Peqmount_motor_test

上はモーターの回転テストを行っている状態です。1/64マイクロステップで動作しており、騒音は全くありません。ウォームギアにマジックインクで印をつけると60倍の速度では回転しているのがわかりますが、正規の回転の場合、動いているのか判りません。ウォームギアを指でつかむと、回転しているのはわかります。

とりあえあず、回転数については設計通りに仕上がりましたので、回路をケースに入れる事と、ウォームギアとホイールの遊びについて最適値を選ぶ必要がありますが、天板をかぶせた状態ではモーターの取り付け位置の調整が出来ないため、モーター位置調整の為の治具を作ります。

Peqmount_centerjig

上の写真はシャフトセンターが天板の位置と同じになるように作られたセンター出しの治具を天板の代わりに取り付けた状態です。 遊びが全くないと、シャフトが上下振動を起こし、カタカタと音をだします。しかもホイールが偏芯しているようで、回転方向のガタが大きくなる場合とシャフトが上下に振動する場合がホイール一回転の内に交互に発生します。 この偏芯の最大の原因はホイールをシャフトに固定する時、イモビスで締め付けますが、この時に生じる0.1mm以下の偏芯だとわかりました。 何度もモーター位置とホイールの高さ調整を行いガタが最小でシャフトの上下運動の起こらない位置に固定し、ホイールとウォームにsoft99ブランドのグリス(成分表示が無くモリブデン系とは書いてありませんでしたが、多分モリブデン系)を塗り、60倍速度で2時間エージングを行いました。 上限運動は無くなりましたが、1回転の1/4以下の範囲で0.2度くらいの回転方向のガタが有ります。 もうこれ以上改善できないので、ここで手を打ちました。

 

マイコンプログラム PEQ_Mount_01.cをダウンロード

フォントプログラム Font9.hをダウンロード

          Font12.hをダウンロード

いっしょに作ったインターバルタイマーは前回の仕様からマルチタイムタイマーの機能のみにしました。

回路全体が完成したので、これを外に持って行けるようにケースインします。

Peqmcontroller_1

Peqmcontroller_2

Peqmcontroller_3

前々回のインターバルタイマーは電池を内蔵する事にこだわった為、ケースが大きくなりましたが、今回は外部電源にしないと電池では持たないと考えた結果、130x90x30mmのアルミケースに押し込む事に成功しました。 内部の配線類が天板を押し上げようとしますが、そこは、しっかり上から押さえつけてビス止めしました。

雨か曇りの夜が続いており、なかなか屋外で実験が出来ません。仕方なく、部屋の中で照明を消して、赤道儀のセットアップの練習をしてみると、大きな問題が浮上しました。 赤道儀とコントローラーを結ぶモーター用のワイヤーのコネクタの極性が暗くてなかなか一致しないのです。

Old_4pcone

Peqm_harness1

左上が今回使った4極のコネクターですが、4極の極性を一致させるにはオス、メスそれぞれに付けられたガイドを一致させて差し込み、カバーネジを締めて接続完了するものなのですが、暗闇でLEDランプ片手ではいくら頑張ってもガイドが一致しません。むりやり挿入するとガイドを無視して挿入されてしまい、モーターは回転しません。 良く考えたら当たり前の事で、写真では白っぽく見えていますが、実際は真っ黒です。このコネクターを暗闇で抜き差しするのは無理と諦め、右上の赤い4極プラグに変更しました。 このプラグは回転方向に対して極性は無く、奥までしっかり押し込めばOKというもので、コントローラー側を含めて変更しました。 プラグの形状はヘッドホン用の3極プラグを4極にしたもので、もし、通電中に誤ってプラグを抜き差しすると端子間がショートする可能性があるのですが、そこはモータードライバーのICの中に組み込まれた電流制限機能の為、ICが壊れるという心配はありません。 また、屋外での本番に備えて頭に付けるヘッドライトを調達することにしました。中華製で送料込みで651円でした。
 

Peqmount_testing

自作赤道儀を庭に持ち出し、星が流れずに撮影できるシャッター開放最長時間を確認したいのですが、あいにく数日前から雨と曇りの天気が続いており、天気予報では3週間くらい待たねば撮影はできそうもありません。 ファインダーの台座も9月中に届くかどうか判りませんので、しばらくはエージングだけしか出来ません。

左は、極軸を34度くらいにして、天頂を撮影する角度でエージング中の画像です。 カメラと200mm望遠レンズ及び自由雲台の総重量は1.650Kgでした。 画像は、赤道儀の回転速度を60倍にして、約24分で360度回転する状態で、最大負荷を通り過ぎた状態です。 ステッピングモーターは回転速度が速くなるほどトルクが小さくなりますので、60倍のスピードで回転して問題なければ、正規の回転では余裕でOKとなります。 使っている3脚は耐荷重10kgのビデオカメラ用です。 赤道儀の重さを加えても2.45kgくらいですので、余裕でいけます。 ベースの雲台はハーフボールタイプの大型雲台で水平に保った状態でも雲台を上方向に最大70度くらいまで傾ける事が出来、水平はオイルダンパー式で360度回転可能ですので、北極星をターゲットにした極軸あわせが楽になりそうです。

数日後、ファインダーの台座を入手しました。 

 

 

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2025年9月 7日 (日)

ポータブル赤道儀の製作(機構)

カテゴリ<天体写真 ポータブル赤道儀 自作 ステッピングモーター>

まともに星の写真も撮れない内に(前回記事)、ポータブル赤道儀を自作しようと計画し、手当たり次第に部品及び材料を手配したら、自由雲台や極軸設定用ファインダーを含めて1万5千円ほどかかってしまいました。 新品の既製品が雲台なしで5~6万円であり、中古なら2万円台で手にはいりますので、自作にしては、高いものに付きます。 すでに、順次部品は宅配で届いていますので、今更、中止する訳にもいかず、土日の休日をこの製作にあてます。 すでに9月の第1周を過ぎましたが、暑い日が続いており、濡れ縁の脇に日傘をさして卓上丸鋸とボール盤を使い、とりあえず、ギアボックスの仮組み立てまでこぎつけました。

構造はWEB上に先輩方が沢山の情報を紹介していますので、それらを参考にギアBOXを作ります。ギアBOXと言っても、一段のウォームギアとステッピングモーターが入っているだけの簡単な物です。

ギアの減速比は1/60で、これを1/32のマイクロステップでドライブしようともくろみます。 もし、可能ならば、1/64マイクロステップでドライブしたいのですが、過去、実験した中華製の3Dプリンター用ステッピングモーターは1/32はなんとか実現できましたが、1/64は実現出来ていません。 今回は、最悪1/32マイクロステップとし、1/64マイクロステップは挑戦事項と位置づけて進行します。

Peqmount_draw

上がJW-CADで描いたポータブル赤道儀の組み立て図です。サイズは88x88x56mmのBOXになります。 モーターは17HS4023という17HSシリーズの中では一番小さな物になります。 コイル抵抗4Ω、定格電流0.7A、これをDC7V、0.7Aくらいで使うと1.4Kg/cmくらいのトルクが得られ200mm望遠レンズを付けた一眼レフカメラも回転出来るかも知れない。 まあ、やってダメなら、バランサーを付けたら解決するので、かなり楽天的に製作する事にしました。

Peqmount_temp

上の写真が3mm厚のアルミ板に、JW-CADで作った実寸大の部品図を両面テープで張り付け、加工完了したギアBOXと、この赤道儀用に手配した自由雲台、それに雲台取り付け用のアリガタプレートの台座を取り付ける回転台です。 回転台は以前、製作したATU(自動調整アンテナチューナー)用でしたが、外形が大き過ぎて使う事が出来なかった、タイミングプーリーです。 BOXの穴あけは基準穴以外全て現物合わせで開けましたので、6枚のアルミ板の位置は、全て固定されており、間違いを防ぐ為に内側に印となる記号をマジックで書きこんであります。

Peqmount_inside_temp

左は、ギアBOXの天板をはがした内部状態です。モーターとウォームギヤしか入っていません。 実際の構造は、ベアリングやシャフトカラーなどが付きますので、まだシャフトの長さはトリミングしていません。 モーターのドライバーは前回製作したインターバルタイマーの中に、組み込みますが、実際は、全部作り直しとなります。

この日までにシャフトカラーが納品されていなく、また、極軸設定の為のファインダーも納入されていませんので、それらが手に入り次第、正規組み立てを行う予定です。

Peqm_data_3上の表は1/32マイクロステップ時の設計データです。一応600mm望遠レンズの時でも星は流れない事になっています。 もし、1/64マイクロステップが実現できると、1200mmの望遠レンズでも星は流れないはずです。 ただし、実際に使うのは、フィルムカメラ用の200mm望遠レンズで、これをデジタルカメラに使った場合、視野角の関係から300mm相当の望遠レンズとなりますが。

表の上から4行目の「ベースギア必要回転角/秒」は星空が1日かけて360度回転する恒星時から1秒間に何度回転するかを計算したものです。 また、下から6行目の「ベースギア回転角/秒」はステッピングモーターのマイクロステップ角度から、1秒間にベースギアが回転する角度を逆算したものです。 両者の数値が一致していますので、計算は正しいと考えています。

PICマイコンでステッピングモーターを制御しますが、この時、PICのクロックは24.576MHzの水晶発振子を使用します。 中途半端な周波数に見えますが、この値は2のN乗の数値で割り算した時、ちょうど割り切れる数値で、市販の水晶発振子の中に存在するものです。

Shaftx

Shafty

左上が、X方向でのシャフトの垂直度を、右上がY方向でのシャフトの垂直度を見たものです。X,Y方向ともほぼ垂直です。 例え、真の垂直でなくても、極軸ファインダーを微調整して合わせることができますので、検査合格とします。

シャフトカラーを入手できました。下の写真はシャフトカラーを装着して、底部分にスラストベアリングを、天板の軸穴には、横揺れ防止を兼ねてベアリングを挿入して、ギアBOXの内部は完成です。 ただし、これから何度も分解する事になりますので、まだ仮止め状態です。

Peqm_giar

Peqm_undai_2

Peqm_mouttest

左上がギアBOXの回転台に雲台を固定する為のアリガタプレート用台座を固定した状態です。 右上はこれらの機材を使って、実際の3脚に赤道儀を乗せ、200mm望遠レンズを装着したカメラを取り付けた状態を確認したものです。 写真では赤道儀の極軸は水平になっていますが、実際は北極星を向く事になります。 まだ、モーターのドライブ回路が出来ていないので、動かす事はできませんが、機械的な強度を確認して見ても、異常は見られませんでしたので、とりあえず安心しました。

ファインダーを赤道儀に固定する台座(サドル)の寸法が判らなかったので、ファインダーの到着を待っていたのですが、到着して実測したら、雲台を固定する台座と同じ寸法でした。雲台用の台座は販売キャンペーンが終了し、現在は1000円を超えていますので、アマゾン経由で600円台がありましたので、それを注文しましたが、納期が9月末との事です。 

下の写真はレッドドットファインダースコープと呼ばれる天体望遠鏡用のファインダーです。 拡大率が1:1なので、北極星だけをターゲットにするなら使いやすいかも知れないと選定したものです。 北極星は2等星なので、肉眼で見えない夜は写真撮影すら出来ないでしょうから、大きな拡大率は不要と思います。

Peqm_finder

そこで、ギアBOXはここまでにしておき、モータードライバーとインターバルタイマーを新規に作る事にします。

 

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2025年8月 9日 (土)

天体写真入門 (星空撮影用多重露出タイマーの作成)

カテゴリ<天体写真 ポータブル赤道儀 自作 ステッピングモーター>

天体写真入門という題名ですが、実際に撮影できるのは何時になることやら。大昔、中学のころ、自作の天体望遠鏡で木星と4つの衛星を見たり、三日月型の金星を見て楽しんでいたのですが、45mm幅のフィルムと蛇腹のカメラを庭の片隅に置き、北極星に向け、絞り開放で約1時間シャターを切って写し込んだ写真が現像から上がった時、小躍りして喜んだものでした。 あれから60年過ぎてしまいました。   昨年の11月に寿祝いの返礼としてギフト券をもらいましたが、これと言った欲しい物がなく、カタログの中で見つけたケンコーの星を自動追尾する反射望遠鏡をゲットする事にしました。 夢は、アンドロメダ銀河の写真を撮る事です。

ただ、写真を撮るにも、持っていいるカメラはスマホか、キャノンとSONYのコンパクトデジカメくらいで、とても星雲の写真を撮れるしろものでは有りません。 そこで、50年くらい前に買ったペンタックスの50mm固定焦点、及び200mm望遠レンズを使える最新のデジタル一眼レフカメラの中古を探す事にしました。 そして見つけたのが、15年くらい前のペンタックス K20D。レッキとした有名カメラ店が12000円で売りに出していたのを見つけ、これをゲット。

レンズに仕掛けが必要なオートフォーカスや自動絞りは使えませんが、絞り優先のシャッター速度自動撮影と全てのマニュアル機能を使えると言う事で、まずは、忘れていたマニュアル操作の勉強を始めました。 そして、デジタルカメラによる星の撮影に関するインターネット情報をかき集めると、赤道儀で星を追いかけながら、長時間(数十秒)露光したRAW画像を何枚も撮影し、これをベースに専用アプリで重ねる事により、良く雑誌やインターネットで見るきれいな星や星雲の写真が出来上がる事を理解しました。

ところで、今回の中古カメラは、RAW撮影機能があり、付属CD-ROMのアプリの中に、長時間露光を何回も繰り返すアプリもある事はわかりましたが、残念ながら、このCD-ROMは付いていませんでした。 また、ホームページからダウンロードできるソフトは更新バージョンのみで、オリジナルアプリが記録されたCD-ROMが無いと使えないという事も判りました。 そこで、このCD-ROMの中古を探そうとしている最中に、待てよ、この程度のソフトならPCのソフトに頼らずとも、PICマイコンで簡単に出来るではないか。

思い立ってから1週間で、そのコントローラーを作ってしまいました。

Irelease_top

Irelease_left

Irelease_right

露出時間は1秒単位で最大255秒、インターバル時間も1秒刻みで最大255秒、そして繰り返し回数も1回から最大255回まで設定できます。 1秒のタイムゲートが必要なので、PICの内部クロックも水晶を使う事にし、ジャンク箱に大量に転がっている7.2MHzの水晶を使い、4倍PLLの28.8MHzのFoscを作り、秋月で1石100円で購入したPICにプログラムを書き込もうとするとエラー。調べてみると、PICkit4でないとダメとのことで、この新しいICは私の開発環境では開発できない事がわかり。がっくり。 

やむなく、またジャンク箱をひっくり返して、ピンコンパチのPIC16F1938を見つけましたので、これに変更。 タイマー1を使い、1秒間隔の割り込みを作ろうとしましたが、プリスケーラーの分周比が小さく、実現できないことにやっと気づきました。 仕方がないのでT1OSCを使い32.768KHzの水晶を発振させ、これで、1秒間隔の割り込みは簡単にできます。 この32.768KHzの水晶もジャンク箱の中に5個ほど有りました。 たしか1個15円くらいでしたので、何かのついでに買って有ったものですが、やっと日の目を見る事ができました。

この32.768KHzの水晶を使えば、7.2MHzの水晶は不要で内蔵のCR発振器で8MHzを発振させれば良いのですが、面倒なので、そのままです。

ケースはダイソーから110円で入手した透明なアクリルケース。これに、LCDの窓を切り抜いたインクジェットプリンター用光沢写真用紙に操作ツマミの名称を印刷し、裏から張り付けました。

機能としては、単純なマニュアルモード(レリーズケーブルによるリモート)、Bモードによるワンショットシャッターオープン、シャッターONとOFFの時間を秒単位で設定でき、かつこれを最大255回繰り返す事が出来るマルチタイマーモードを選択できるようにしてあります。 また、マルチモードで、インターバル時間をゼロとすると、最大255x255秒(約18時間)シャッターを開けっぱなしにできますので、カメラを北極星に向けると星が回転している良く見る写真を撮る事が出来ます。 タイマーカウント中に中止したい場合、STARTキーをもう一回押すか、電源をOFFします。電源をOFFしてもセットしたデータは記憶されており、再度電源ONすると、電源をOFFする前の状態に復帰します。

赤道儀を使わずに星が点に見えるシャッター開放時間をNFPルールで計算したところ、K20Dと50mm焦点レンズの場合、2.8秒と出ました。 1秒ステップのタイマーなら2秒が限度なので、タイマーステップを0.1秒に切り替えられる様にしました。 STARTキーを押しながら、POWER ONしてLCDが表示し始めてからキーを離すと0.1秒ステップになります。 

配線図 CAMERA_RELEASE_SYSTEM.pdfをダウンロード

本体マイコンプログラム Camera_release_1.cをダウンロード

ヘッダーファイル Font9.hをダウンロード

         Font12.hをダウンロード

ここに公開したマイコンプログラムにはバグがあります。インターバルタイマーのセットが0の時、設定したシャッター時間 x 設定した回数の時間シャッターをONし続ける仕様でしたが、実際は設定したシャッター時間が過ぎたら一回で終了してしまいます。 このタイマーは9月下旬に分解してポータブル赤道儀のコントローラーの中に組み込みましたので、もう、現物は有りません。バグ無しのプログラムが必要な場合、ポータブル赤道儀のプログラムを参照してください。  下のプログラムは一応バグ修正しましたが、ボードがすでに無いので確認出来ていません。

修正したプログラム:Camera_release_102.cをダウンロード

先に、タイマーが完成したところから紹介しましたが、もし、同じように自作される方の参考になればと、以下紹介する事にします。

Pulg_2r5_stereo_2

左の図はK20Dのレリーズジャックに挿入する2.5mmステレオプラグの接続を調べたものです。 プラグの先端の電極と根本の電極(GND)をスィッチでショートすると、シャッターを切る事ができます。 また、カメラのMODEダイヤルをBにして置き、スィッチを押し続けると、シャッターは開きっぱなしになります。 真ん中の電極とGND間をショートした場合、多分、オートフォーカスが起動するのだと思いますが、確かめていません。 

リモートレリーズ用のケーブルはアマゾンなどでかなり販売されており、各社のカメラで使えるようなコメントが見られますので、2.5mmジャックを採用したカメラなら、どれでも使えるのではと思われます。

このタイマーはシャッター用のスィッチのON/OFFをマイクロコンピューターで制御しますので、機械的なスィッチでは無く。電子スィッチでON/OFFします。 今回は、電子スィッチとしてFETを使いました。 トランジスターでも実現できますが、トランジスターの場合、コレクタがエミッターと同電位の場合、ベース電流がコレクタ側にも流れます。 カメラの電源がOFF状態でトランジスターをONすると、ベース電流がカメラ内に流れ込む事になり、故障の原因になるかも知れません。FETの場合、印加したゲート電圧がドレイン側に漏れる事は有りませんので、安心です。

電源は7Vから16V 150mA以上の外部電源か、内蔵の単3電池 3個ですが、LCDのバックライトを一番明るい状態にして100mAくらい消費します。 内蔵電池のみで、100mA、数時間連続はしんどいですので、バックライトの明るさを調整する可変抵抗を付けてあります。最も暗くすると、12mAくらいの消費電流となりますが、昼間は文字が良く見えません。 しかし、使うのは夜の暗闇の中ですので、文字はちゃんと読む事ができます。 

 

連日PM2.5の為、星が良く見えなかったのですが、8月の下旬にさしかかったころ、家の3階のベランダから北極星が見える夜がありました。 この晩、今回作成したタイマーを使い、シャッター開放10秒、インターバル5秒で15回繰り返しの撮影をしてみました。 使用するレンズは18mmから55mmのズームの中古でヤフオクでゲットしたもので、18mmの時、最大10秒くらいのシャッター時間はOKのようです。 街の中での撮影なので、肉眼では2等星くらいまでしか見えない状態でした。 撮影が終わり、記録されたRAW画像をRawTherapeeというアプリでオープンしてみると、かすかに星明かりが写っているのですが、表示されたシャッター開放時間が7秒から9.8秒くらいの範囲でバラついており、指定した時間通りのシャッター開放が行われていませんでした。 この時間のバラツキは、レリーズをONしてから、実際にカメラのシャッターが開放されるまでの間のバラツキであることが判りました。 どういう条件でどれくらいバラつくのか調べる事にします。

調査した結果、撮影完了と同時にカメラは何か処理しているみたいで、その処理が完了するまでは、次のシャッターONを受け付けないみたいです。 最初、RAW形式でデータをセーブしますので、そのセーブ時間がシャッター開放時間と関係しているのだろうと予想しましたが、ファイルをJPEGオンリーにしても、同じでした。 シャッター開放5秒の場合、インターバル時間を5秒とると、4.8秒間開放したというデータが、10秒開放ならインターバル時間を10秒とると、シャッター開放時間は9.8秒とRawTherapeeの画面に表示されます。 多分0.2秒の差はミラーのアップ時間ではないかと思います。 この開始時間の遅延のバラツキは、当初高感度時のノイズリダクション処理時間かと疑ったのですが、ノイズリダクションをOFFにしても、変化なしでした。 以後、シャッターON時間とインターバル時間は同数に設定する事にします。 

この条件で、我が家のベランダから、北斗七星と北極星を狙った15枚のショットをSequatorで処理した結果が下の画像です。

250820n7

実際に目に見える以上の星が写っていました。

インターバル時間とシャッター開放時間をほぼ同じ時間にしておかないと、 シャッター開放時間が短くなる問題ですが、カメラのファームウェアを調べてみたらV1.00でした。 このカメラの最終バージョンはV1.04との事で、リコーのホームページからダウンロードし、アップデートしてみましたが、この問題の症状は改善されませんでした。 Cカスタムメニューの 高感度のNR ON/OFFが機能しないのか、長秒時NRをOFF出来ない仕様なのか、ISO感度設定に関係なく常にNRがON状態の様です。 その後、2008年の口コミ情報の中に、長秒時、OFF出来ないと言うのがありました。 諦めます。

例えば、10秒の露光で100回行うと、1000秒(16分40秒)となります。 1回の露光を16分40秒で撮影完了すると、その画像の出来栄えは、絶対に1回16分40秒の方が勝ると言われていますので、16分40秒露光しても星が流れないポータブル赤道儀を作る事にします。(16分も露光して星が流れない赤道儀が出来ても、極軸調整が正確に出来ないから無理!!)

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2025年7月23日 (水)

PWM AM送信機のファイナルドライバーの改善

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

DDSによるVFOが出来ましたので、200W PWM AM送信機のドライバーの改善を行います。 従来のドライバーはFETドライバーTC4426で強制ドライブする出力7W程度のD級アンプ方式でしたが、デジタル方式AM送信機の開発時、そこそこの効率が得られる10W以上のE級アンプのノウハウをつかみましたので、今回は、12Vの電源で10W以上が得られるE級アンプに変更します。

200w_driver

上の回路図が今回製作したドライバー回路です。VFOの出力を2N7000プッシュプルで増幅する為に、CMOSゲートで180度極性の異なる信号を作った後、2N7000のゲートスレッシュホールド電圧のバラツキに合わせこむ為に半固定抵抗でDCバイアスを調整しています。 この2N7000プッシュプル回路はE級アンプとして動作し、約1Wの出力を得て次のMTA100N10プッシュプルE級アンプをドライブし、13Wの出力を得ています。 この回路の効率は79%くらいです。 オリジナルのデジタルAM送信機の時は最高で85%くらいの効率を得ていましたが、そこまでは届きませんでした。 それでも従来のドライバーの2倍近くの出力を得ることができました。 

Vfodriver

以下、2N7000のゲートに加わる信号

次段のMTA100N10のゲートに加わる信号

そして、MTA100N10の出力となる50Ωダミー抵抗の両端の電圧波形です。約76Vppくらいの電圧を発生させています。

Gate_2n7000

Gate_mta100n10

50load_output



これから実際の送信機に組み込み、終段をドライブしてみる事にします。

Finalgatedrive

上が、この新ドライバーで終段をドライブした時のゲート波形です。 終段には+Bはまだ加えていません。 このPWM方式AM送信機を作った2018年ごろは、終段のゲート電圧は10Vppくらいだったのですが、今回改造にかかる前のゲート電圧はピークで7Vくらいでしたので、製作当初のピーク10V以上の電圧値でドライブ出来るようになりました。

このドライブ状態で電源電圧25V(RF終段のドレイン電圧は1/2の12.5v)の時100Wの出力が得られました。これは、36Vくらいの電源電圧で200Wを得られる換算値ですが、出力が100Wを超えた途端、終段に供給されるドレイン電圧が急激にさがります。最近5年くらい使っていなかった事もあり、PWM変調段が故障しているみたいです。 そして、次の改善項目はPWM変調器と決め、以前より実験したかった、ハイサイドFETドライバーによるフローティング不要のPWM変調器の設計に移る事にします。 ただし、過去、実際に製作された文献を見たことがないので、かなり時間がかかりそうです。

そんな訳で、この改造計画は一旦休止します。

 

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PWM AM送信機 VFO改善

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

2018年に製作したPWM方式の200W AM送信機は、時々使っては、あっちこっち壊して出力が200W出なくなり、現在は120Wくらいです。 そこで、再度、200Wの出力が出るように改造する事にします。 当時の設計は、PWM方式のいろはも良く判っていない状態で、とにかく200Wというターゲットに突き進んだ結果、余裕がなく、補修部品が生産中止で手当て出来ず、壊れて修理する度にパワーが落ちるという状況でした。

まずはドリフトのあるVXOを止め、DDSにする事から始めます。

DDSのICは中華製のSI5351Aコピー品。 周波数表示は、これも中華製のTFT LCD

7mhz_vfo

このDDSに使われているICはSi5351Aで、秋月からモジュールとして購入したのですが、誤ってこのICに12Vを加えてしまい、壊れてしまいました。 そこで、中国から手配した、Si5351Aのコピー品にICだけ交換したもので、配線図では8pinのモジュールとして記載されています。

配線図 AMTX_VFO_with_LCD.pdfをダウンロード

このVFOの出力形態を最初正弦波にしていたのですが、例え、8Vppの電圧でも極性反転トランスを経由した場合2N7000のゲートをドライブできず、デジタル方式AM送信機に使ったCMOSゲートによる極性反転方式に戻さねばなりませんでした。

VFOプログラム AMTX_VFO_03A.cをダウンロード

Font7.hをダウンロード

Font9.hをダウンロード

Font22.hをダウンロード

AM送信機のフロントパネルに実装した状態は以下です。

Pwm_am_driver


最近、秋月で購入できるALPS製のロータリーエンコーダーの品質が落ちていますね。 チャタリングがひどく、ソフトやハードで対策しても15年前くらいの品質は確保できていないようで、ロータリーエンコーダーを選別しながら使っている状態でした。 そこで、外見がいかにも高級そうな24クリックの、送料無料、5個で合計350円という中華製のロータリーエンコーダーを入手し、使いだしたところ、これが意外と安定して動作し、フィーリングも問題ありません。 いつの間にか、天下のALPSの品質レベルを超えていました。 ただし、外形がALPS製よりも大きく、上のアルミパネルに取り付けるとき、隣のLCDに当たる為、従来の取り付け穴を楕円形に広げて、ロータリーエンコーダーの中心位置を1.5mmほど移動せねばなりませんでしたが。

 

PWM AM送信機のファイナルドライバーの改善 に続く。

 

 

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2025年7月 6日 (日)

2.25 inch TFT 76*284 LCDをPICで表示

AliExpress経由で76x284ピクセルしかない細長いTFT LCDがかなり安く販売されており、これを、ついでの買い物時買ったのが始まりです。 中国から到着して、予め作成して有った実験用回路に接続したのですが、肝心なバックライトが点灯しません。 販売店には、評価1のレポートを送付しましたが、なんとか動作させられないか、気になればつついていました。

Tft_lcd_225inch

左がそのLCDですが、ST7789を使ったSPIインターフェースとの事で、すでに240x320ピクセル用は実用していましたので、あまり気にする事なく購入したのですが、前述のごとくバックライトLEDが点灯しません。 今までのLCD基板ではBL端子を+3.3Vにつないでいましたので、同じように接続した結果です。

通電状態でBL端子の電圧をアナログテスターで測ると3V以上あり、どうやらVCCに接続したのは間違いだったようです。

そして、このテスターを当てているとき、LCD面がかすかに明るくなります。 テスターの内部抵抗は約200KΩですので、1KΩの抵抗でBL端子をGNDへ接続しましたが、明るさは全く変わりません。100Ωくらいまで小さくしてみたのですが、変化は有りませんでした。

広告の中で使われているプリント基板のバージョンはVER 2.0なのですが送られてきた現物のバージョンはVER:tft 2.25 2.0 と書かれており、写真で見る限り表面上は同じようにみえますが、なにかが違うのでしょう。 3週間くらいいじった後、なんらかの拍子に一瞬バックライトが点灯しました。 どうやら、まだ壊れていないみたいですので、一から再検討する事にしました。

このLCDは色々のショップが販売していますが、使用しているフレキの基板は皆同じで、その品番はFP-225TSP-09A。そこで、このフレキの仕様を調べてみると、8pinのフレキの端子番号に対する信号名とプリント基板に書かれた信号名の並びが合致しません。 基板のなかで、信号の順番を変更してあります。

そこで、ほんとうに、基板の端子に書かれた信号が実際のフレキの端子までつながっているか確認する事にしました。 まず最初にGNDを確認したのですが、導通が有りません。スルーホールが切れているみたいですので、この部分をリード線でショートしてやるとバックライトが点灯しました。 この時のBLとGND間の抵抗は6.8KΩでした。 後で確認しましたが、3.3KΩくらいがベターかも知れません。

さらにVCCの接続を確認すると、これは正常。 その他の端子は、実際にマイコンからLCDドライブ信号を出して、その信号がフレキの端子までつながっているかをオシロを使いながら確認した結果、SCL以外は全て正常につながっていました。 SCLラインだけは、どこかで断線しているみたいです。 そこで、このSCLもリード線で接続してやると、やっとLCD画面に目的の表示が現れました。 この基板のカラー構成はST7789の仕様書通りのRGB構成でした。

多分、出荷する時点では正常に動作していたのでしょうが、輸送の振動で、どこかにクラックが生じ、それが原因で断線状態になったのでは推測します。

Tft225lcd01

上が表示成功の状態です。 この表示は200W AM送信機の周波数表示と電源電圧の表示につかいます。下の写真はこのディスプレーが正常に表示出来るように改造した内容です。

Tft225lcd02_2

このLCDの評価を見ていると、全く動かなかったという評価は有りませんので、私に届いた基板だけがNGだったと考えられます。

もし、同じようなトラブルに遭遇した時、参考にして頂けたら幸いです。

配線図 AMTX_VFO_with_LCD.pdfをダウンロード

プログラム AMTX_VFO_02.cをダウンロード

フォント Font7.hをダウンロード

フォント Font9.hをダウンロード

フォント Font22.hをダウンロード

 

なんとか復活させたLCDでしたが、誤ってBLとGNDをショートしてしまい、あっけなく壊れてしまいました。 このLCDを使う前提でAM送信機を製作する工程を中止する訳にはいきませんので、新たに3個注文し、すでに入手し、AM送信機の7MHzのVFOは完成しました。

 

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2025年5月31日 (土)

デジタル検出、アナログSWRメーターの製作

<カテゴリ:SWR計>

再開局以来17年間使ってきたアナログ式のSWRメーターでしたが、性能的には全く不満はないのですが、いざSWRを測ろうとすると、一度進行波電圧でメーターがフルスケールになるよう可変抵抗器で調整した後、反射波電圧をスィッチを切り替えて読むという面倒が有り、Z-ATUが正常に稼働している今、このアナログ式SWRメーターはキャリブレーションがされていなく、特にFT8の時はバンドによって出力レベルが異なるので、目安にしかならない状態になっていました。

ATUを自作する段階で、デジタル方式のSWR計はいくつも作ってきましたが、このデジタル方式のSWR計は出力レベルが変わっても常に正しいSWR値をデジタルで表示します。 しかし、現用中のPOWER計付きリグ切り替えBOXのフロントパネルを新規に作り直すのは、かなり面倒で、今一つ踏ん切りができず、長い間そのままでした。 

そこで、SWRの検出はデジタルで行い、得られたデジタルのSWR値でアナログメーターの針を振らすSWRメーターを作成する事にしました。

デジタル値のSWRをアナログメーター用の電流に変換するのは、変換テーブルを使い、デジタルの電流値にした後、これをPWMにてアナログ電流に変換します。

Swrmeter_test

上の写真はLCDディスプレーを接続してデバッグ中のSWRデジタル検出回路のテストを行っているところです。 このデジタル回路を収納するBOXは600Wピークの送信電力が通過しますので、マイコンが誤動作しないように、回路を金属のケースに入れ、そこから出るワイヤーは全てアクセスパネル経由で接続します。 こうする事により、外部で発生している高周波電流や電圧の影響がマイコン基板に妨害を与えにくくする事ができます。 

Swrmeter_boxin

上の写真は出来上がったマイコン回路を金属ケースに収納した後、SWR計用のケースに組み込んだ状態です。このBOXは複数のリグを1本のアンテナへ接続したり、別系統のアンテナへ切り替えるスィッチBOXのみが機能し、以前有った外部のMTUやATUをコントロールする機能は使用していません。BOXの中の右半分は、MTUやATUのコントロールのとき使っていたLEDとスィッチですが、現在は配線をカットしてあります。

下の写真は出来上がったアナログ表示のSWR計とZ Match ATUのコントローラー(青色のパネル)とペアのショットです。 Z-ATUの内蔵SWR計はSWR1.04と表示していますが、アナログメーターのSWR値は1.07くらいの表示で、これくらいの誤差は許容範囲です。 

Swrmeter_act

AMやCW、FT8では問題ないのですが、SSBのとき、しばしば指針が無限大まで跳ね上がります。 進行波電圧と反射波電圧を時間差をもって取得している為、これは理屈上起こりうる現象で、解決するには、2chのADCが同時にサンプリングする必要があります。 しかしながら、汎用のPICマイコンは、ADCの数は多いですが、各チャンネルをスキャンしながらAD変換を行う関係で、SSBのように音声周波数の周期で振幅が変化する場合、どこかで進行波電圧より反射波電圧が大きくなることが起こり、SWRメーターの針が無限大を指してしまいます。 これを少しでも和らげる為に、連続キャリアの場合、正確なSWRを計算でき、かつSSBの時でも、少なくとも指針が無限大を指示しないようにソフトで対策しました。 SSBの時は、正確なSWRは指示出来ませんが、そこそこ違和感なしで動いています。

SWR計の配線図 Analog_SWR_Meter_250531.pdfをダウンロード

マイコンプログラム Analog_SWR_Meter_2.cをダウンロード

SWRデータ変換テーブル SWR_outdata.hをダウンロード

デバッグ用フォント Font9.hをダウンロード

デバッグ用フォント Font12.hをダウンロード

 

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2025年5月26日 (月)

中華製 SI5351A 実働テスト

<カテゴリー:DDS

私が、インターネットで最初にその存在を知ったのは2015年ごろで、10年前の事でした。 当時デジタルVFOと言えば、アナデバのDDSが一般的で、シリコンラボのこのICに注目する人は少なかったと見え、あのRSでMOQ5で750円(1石150円)で売られていました。当時、秋月では確か150円か200円だったと思いますが、2016年にRSで150円で調達したこのICは、自作の無線機に欠かせない存在になってしまい、2025年5月時点で、秋月でも320円で販売されています。 一方、安売りの中国市場での価格は円安の影響もあり、シリコンラボオリジナル品が1pcs 200円以上しています。

昨年の夏から製作を始めたZ Match ATUの部材を通販で中国から買うとき、買い物合計金額の集計中に後300円以上購入すると、送料無料と表示されます。 一応欲しい物は全部買い物かごにいれ終わり、送料が300円くらい計上されている状態なので、つい、何か300円程度の物はないかと探すと、SI5351Aが5石で350円(現在でも存在しています)というのが目に留まりました。 1石70円換算です。 中華製のブランド名で売られていますが、「オリジナル」と書いてあり、本物とほぼ同じ捺印がされた写真まで付いています。 どうせ、シリコンラボのコピー品の「オリジナル」だろうと思いましたが、送料がタダになるのなら、失敗しても損はないとこれを購入したのが10か月前。

やっと、このICがちゃんと使えるのか検証する事ができましたので、レポートします。

Isi5351a_test_pcb


使ったPICマイコンはPIC24FV32KA302という16bit品で私の部品箱には数石在庫がありましたので、これでSI5351Aをコントロールする事にしました。 いつもの通り、25MHzのクリスタルの半田付けには苦労しましたが、とりあえず動きだしましたので、過去シリコンラボの正規品のデータが残っている17MHzと24MHzのスプリアスのテストをおこないました。

このテスト基板は、SI5351Aのほかに、SPIドライブのLCD表示や、SWR計のテストも出来るようにしてありますので、余計な部品がいっぱいついていますが、実際に動作しているのは添付している配線図の範囲だけです。

Isi5351_freq17mhz

Isi5351a_17mhz_spa

Isi5351a_24mhz_spa

上の周波数表示は17MHzを発生させたときの周波数カウンター表示ですが、目標の17MHzに対して390Hzの誤差ですが、この数値は、簡単に校正できますので、表示がチラつかないという事だけが確認になります。 そして、過去のSDRトランシーバーでも問題となったスプリアスです。

左上が17MHz、右上が24MHzの中華製ICのスペクトルデータで、左下及び右下のデータがシリコンラボ正規品のスプリアスになります。

17MHzの±1MHzくらいにあるスプリアスがシリコンラボ純正より約5dBほど高くなっています。また、CNが6dBほど悪くなっています。 この状態では18Mhz以下の送信機にはギリギリセーフですが21MHz以上の送信機では不適合となってしまいます。  送信機に使いたいときは14MHz及びそれ以下のバンドならOKと思われます。 後日、7MHzのAM送信機に使ってみるつもりです。

17mhzonly

24mhzonly

 

Isi5351a_1724mhz_spa

左は中華製の17MHzと24MHzを同時に発生させた時の、17MHz側のスプリアスを見たものですが、24MHzのスプリアスがそのまま出ている状態で、2波同時発生は不可との結論です。 このレベルはシリコンラボのオリジナル品と同等です。 

これらの結果から、簡易型のSSGくらいにしか使えませんね。SSGのスプリアスレベルは-30dBくらいから製品化されていますので。

この実験に使った配線図 SI5351A_test_CN.sch.pdfをダウンロード

テストに使ったプログラム S15351A_CN_copy.cをダウンロード

このテスト用プログラムの中には、SPIドライブのLCD表示プログラムも含まれておりますが、今回はテストの対象にはしていません。

この確認を終えた後、私の不注意でICを壊してしまい、交換する事になりました。 しかし、残り4個のICのクリスタルが発振しません。 半田付けの異常がないか全部3時間もかけてチェックし異常はありません。 最初の1個だけが正常に発振し、この記事のごとく動作確認もできたのですが、クリスタルが発振しない状態でCLK0にはFM変調のかかった目的周波数の数分の一の矩形波が見えるのが2個、全く反応なしが2個。 結局実用にはなりませんでした。 秋月から購入した基板完成品に取り換える事にします。

秋月から買った組み立て済みの8Pinボードにのったシリコンラボオリジナルの発振回路が時々、発振しません。 発振しない時は、オンボードの水晶も発振していません。 電源Swを切ってすぐにONするとOKなのですが、電源OFF後10秒くらい経ってからONするとNGになります。 どうも電源の立ち上がりに問題がありそうで、電源回路に入っている100uFのコンデンサを2200uFに変更したらOKとなりました。

ここで、問題が浮上してきました。以前水晶が発振しないと、ゴミ箱に捨てた中華製のICはほんとうはIC自体は問題なく電源がNGだったのでは? ゴミ箱から捨てたIC4個を回収しました。 

この回収品のVDDとGND間の抵抗を測ったところ、3個が正常品と同じ約250Ω、1個が120Ωでした。 120ΩのICは多分私が壊した物でしょう。ちょうど、この日、秋月から買った前述のモジュールのICを壊してしまいましたので、これを中華製のICに交換してみました。

ラッキー。ちゃんと中華製のICでも発振し、7195KHzを発振していました。 残り2個はまだチェックしていませんが、多分OK!

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2025年5月13日 (火)

Z Match ATU 設計変更(絶縁破壊の改善)

カテゴリ:オートアンテナチューナー(ATU)の製作

アンテナセレクターのリレー接点間の耐圧オーバーで絶縁破壊が起こってしまい、その対策を行ないます。 方法は、分離したアンテナセレクターをZATUのBOXの中に同居させ、ZATUの出力端子のすぐ近くでアンテナを切り替えると、この問題は解決します。 理由は、ZATUの整合可能な最大のインピーダンスが1000±J1000Ωくらいですので、例え200W送信でも、リレーの耐圧1500Vを超える事は有りません。 そして、スカイドアのループは3mのラダーフィーダーで給電し、垂直ダイポールとスローパーもどきロングワイヤーはZATUに直接接続することで、3つのアンテナの給電条件を独立して調整できますので、一石二鳥と言う事になります。 また、従来有った160m用垂直アンテナ用にエレメント接続を切り替えるリレーとD端子は廃止しました。160m用垂直アンテナはZATUとは無関係に展開しますが、まだ構想は出来ていません。

Zmtu2_box

左の写真がアンテナセレクターをZATUの防水BOXの中に移したものです。 また、ZATUのメイン回路は初期の計画通り、ZATUのフロントパネルにビス止めし、マイコンの書き換え用コネクターのみケース面に引き出しました。 こうする事により、ZATU本体とマイコン基板を結ぶワイヤーがむき出しにならずに済み、余計な誤動作の種もひとつ消えます。マイコン基板内にハード的な変更が必要になった場合、ATUごとこのBOXから外さねばなりませんが、従来の形態でもBOXから外さないと思う様に変更が出来ませんでしたので、条件は従来と同じで変わりません。

この改造ZATUを設置完了した直後から天気は雨となり、整合が思うようにできないバンドが多くありますが、次の土日に整合テストを行い、各アンテナの引き込み条件を決める事にします。

この改造ZATUでその日の夜から運用をおこないましたが、とりあえず、スカイドアのループから引き下ろしたラダーフィーダーの長さは3.9mでトライし、14MHzから28MHzの5バンドはQSOが出来ました。 また、垂直ダイポールは、ZATUに直接接続しましたが、3.5、7、10MHzともにQSO出来ています。 特に10MHzの飛びが良くWやメキシコ、キューバ、エルサルバドルなどと交信できました。

アンテナの定数が天気で変わる為、毎晩チューニングは取り直しになります。 これは、T型アンテナチューナーでは、あまり見られなかった現象です。 チューニングがクリチカルというZ Matchチューナーの本質的な問題なのかも知れません。

このZATUを改造する時、タイミングベルトの張りの強さも見直し、従来よりきつくしました。 その結果、1/4マイクロステップでもバリコンが応答するようになりましたので、SWRが1.1を切ったら、1/4マイクロステップでSWR最良ポジションを探すようにプログラムも変更しました。 同時に各モーターの最大電流を、SVC側で300mA、WVC側で500mAに再設定しました。

プリセットコールをONの状態で、バンドを切り替える時、ゆっくりと変化させた時は問題無いのですが、ロータリーエンコーダーを早く回転すると、エンコーダーのチャタリングの為、連続してかつ不規則に割り込みがかかります。この時、時々、ステッピングモーターの現在位置の番地が大きく狂うという問題がありました。 過去から多重割り込みが発生した時は色々な問題が発生し、対策が困難でしたので、多重割り込みが発生しないようにするしか有りません。 対策は、MAIN側がプリセットコール要求を受け、その処理を行い、SVC,WVCともにターゲット番地に移動完了するまで、次のプリセットコール要求を禁止することで対応できました。

自動チューニングをスタートさせた直後にZATU側のメインマイコンが時々ハングアップするという問題が出ていました。ソースコードを何度も検証したのですが、おかしなところは見つからないのに、ステッピングモーターの台形駆動ルーチンで止まってしまっていました。 今回のマイコンはふたつのステッピングモーターをランダムに制御する為、Timer3とTimer5による周期的な840usecから5msecの間隔で割り込みがかかりますが、タイミングによっては、Timer3とTimer5の割り込みの間隔が1usec以下になる事や最悪ワンマシンサイクルの差しかない事もあります。 過去の事例で10usec間隔の割り込み時、16bit PICは誤動作が起こる事が判明しており、もしかしたら、8bitのPICでも同じ理由で誤動作が起こるかも知れないと考え、複数の命令を一行で記述していたソースコードを、ひとつづつの命令に独立させ、かつデータのやり取りを必ず変数経由で中継するコードに書き換えました。 さらに、台形駆動時のふたつのタイマーの開始時間が同時であったのを、50usecずらしてスタートする事にしました。 この状態でしばらく様子を見る事にします。

Zatu_seting250518

160mの時、VCにパラにコンデンサを追加し、バリコンの可変範囲の調整を行っていますが、WVC側に積層セラミックコンデンサ(MLCC)が1個使われていました。 まだ160mでの運用実績が多くないので、実害は出ていませんでしたが、後々問題とならない様に3KVの単板セラミックコンデンサに変更しました。 

Zatutunedata250518

アンテナセレクタをZATUのメインユニットに一体化した後、各バンドでの整合テストを行った結果、左の表のように、一応全バンド、実用SWRレベルに調整する事ができました。 スカイドアのラダーフィーダーも細かく長さを調整して3.4mの長さの時、14MHzから50MHzまで実用レベルです。 左上の表は、雨上がりでの確認結果で、ATUもアンテナエレメントもフィーダーも雫が付いている状態です。右上の表が晴天の日に再確認した結果です。 3.5,7,10MHzの垂直ダイポールの給電点とZATUの間には、右側の表のみ40cmのラダーフィーダーが接続されています。これは、10MHzの時、WVC側のステップが時々0になってSWR1.1以下にならない時がありましたので、その対策です。

Zmtu_ant250517

リンクコイルのタップ位置はほとんどが3Tとなりました。 自動調整によるSWRの変化を見ていると、ATUのDrop Out領域に近づくと、例えばSWR 2.05付近で行ったり来たりしてそれ以下のSWRにならなくなり、タップ位置を切り替えてやると、自動でSWRが下がり始め、その内SWR1.1以下になる場合と、一旦SWRは下がり始めたのに、またSWR1.5付近で足踏みしてそれ以下に下がらに場合があります。この時は、再度タップを元の位置に戻すとSWR1.1以下になって整合完了します。 今までのT型VCによるATUとは異なる面白い動きです。

左の写真は、マストの途中に有った、アンテナセレクターをベランダのZATUのBOX中に降ろし身軽になったアンテナマストの全景です。 スカイドアのループのみラダーフィーダーで接続しています。 マストがローテーターで180度回転しますので、ラダーフィーダーと垂直ダイポールの上部エレメントがステーにからまない様にグラスファイバーの棒でマストから離して引き下ろしています。 この位置からZATUの接続端子まで約3mありますので、その間でステーに接触しても、大きく変形しないようにしています。 ステーは全て、合成繊維で出来たロープで、フィーダーやエレメントが接触してもSWRの変化は無視出来る範囲です。

以前有った7MHzの国内向けベントダイポールは撤去し、160m用の垂直アンテナはまだ構築していませんので、結構すっきりしたベランダになりました。

 

全部のバンドではないのですが、5Wの出力でSWR1.1以下に整合させた後、FT8で100W送信すると、SWRが次第に上昇し、3を超えます。 この現象はCWやSSBでは起こりません。 また、3種類のアンテナエレメントに関係なく、発生しないバンドも有ります。 スカイドアの場合、14MHzでは発生しませんが、他のバンドでは発生します。 垂直ダイポールの7MHzでは発生しませんが、3.5や10MHzでは発生します。 スローパーモドキのロングワイヤーでは1.8と3.5、7MHz全バンドで発生します。 また、SWR1.1以下に追い込む事が出来なかった場合、このSWR上昇が起きない事もあります。 SWRが3を超えるようになったら、出力を絞っています。 大体、60Wくらいまで絞るとSWR1.5以下まで下がります。 フェライトコアは使っていません。 絶縁破壊が起こりそうなエレメント配置も有りません。 原因が判らず、気にしながら2週間運用してきたのですが、どうも原因はATUその物に有るみたいです。 100W連続出力時、SWRが次第に上昇する速度はバンドによって異なるのですが、ここ2週間の間に良く使った7MHzと10MHzの変化がブロードになり、一度電源を切り、翌日同じ様な時間に、電源ONしたときのSWRのずれが次第に小さくなり、かつSWR上昇スピードも緩くなってきました。 また、100W連続送信の15秒間の間に、再チューニングを行うと、SWR1.1以下に整合させる事ができ、この状態からのSWR上昇速度はもっと遅くなり、SWRを気にする必要が無いくらいになります。

久しぶりに1.8MHzのSSBを運用すべく、AM5Wの出力でZATUの整合を取り、JA3の局のCQにコールすると、SSBの音声に従い、SWRが上下します。 常に3台のSWR計(FTDX-101D,自作アナログ表示のメーター、ZATU内蔵のSWR計)でモニターしていますが、3台とも最大SWR 8くらいまで上がります。 相手頂いた局からは激しいQSBを伴い、了解しにくいとのレポートでした。その日は短時間でQSOを終わり、翌日、1.8MHzで出力を変えながら実験してみました。 すると、5Wの出力でSWR1.1以下に整合した場合、出力を10Wまで上げるとSWRが3を超えます。さらに25Wまで上げるとSWRが8を超えます。 次に25WでSWR1.1以下に整合させた後、CWやSSBで出力を100Wに上げてもSWRの悪化は有りません。 整合する時の出力を次第に下げていって、100W出力でもSWRがあまり変化しない出力を探すと10Wの時は、まだ少々変化が大きいですが、15W出力で整合させると、100W主力でも問題ない状態になりました。 以後、整合させる時の出力はAMキャリアで15Wに固定する事にしました。 この出力でZATUの整合条件が変わる要因は特定できていませんが、一番怪しいところは、ATUのバリコンの絶縁体が通常タイト製なのに対して、今回使ったのはベークライト製なのかも知れません。 ベークライトでも屋内で使う場合、問題にならなくても、屋外で使う場合、湿度の影響をもろに受けるのかも知れません。 これから梅雨にはいりますので、どう変化するか気にする事にします。

Zatu_yellow

160m用スローパーを利用した7MHzの国内用アンテナの実用に目途が付いた事により、ベランダに平行して設置してあった、ベントダイポールを撤去したとき、ベランダに括り付けてあったこのベントダイポール用MTUも撤去しました。 その時、内部にあったポリバリコンの絶縁体がボロボロになっており、バリコンを回そうとすると、割れてしまいます。 MTUのケースが透明品でしたので、直射日光にさらされた結果、このような状態になったようです。 そして、今回のZATU用防水BOXも透明であり、1年後にどのようになるか予想できます。 そこで、ZMTUのBOXの外側にスプレーで塗装を行い、直射日光が入らないようにしました。 このBOXを近所のホームセンターで探すとき、蓋がロック出来るBOXは透明BOXしかなくこれを購入したのですが、ホームセターの範囲を半径10kmで探せば青や緑のBOXを見つける事が出来たのに悔やんでいます。

参考情報:FTDX101Dで50MHzの整合を行うと、内臓のSWR計が3以上を指示しません。 ZATU内蔵のSWR計がSWR10以上を表示しているのに、FTDX101Dの内蔵SWRは2.9とか3程度をさしています。 そして、ZATUのSWR計が3以下になると、その値より少し小さいSWR値を表示します。 アンテナ直下のSWR値より、リグ内蔵のSWR計の表示は同軸ケーブルのロスが2重に効きますので、実際のSWR値より小さく表示するのは問題ないのですが、3以上を表示しないというのは困りますね。 この現象は50MHzのみで28MHz以下のバンドでは問題なしです。 私のリグだけの問題なんでしょうか。 

整合状態の再現性ですが、以前に比べて、1日経過した時の各バンドに於けるズレの程度が小さくなってきました。 ちょうど梅雨入り宣言がでた時期で雨と晴れの差はありますが、10MHzバンドは再調する事なくそのまま使えます。他のバンドも少しづつ改善しているようです。 これも、当分は様子見です。

160m用スローパーのエレメントを利用した打ち上げ角の高い7MHz用アンテナにキャリア出力100WのAMで送信すると、無変調状態では問題ないのですが、マイクに向かってしゃべった途端SWRが無限大になります。 ZATUの内部で絶縁破壊している模様です。 この絶縁破壊によるSWR悪化現象は出力を下げるとすぐに直りますので、多分絶縁破壊はバリコンのギャップではないかと思われます。 このバリコンは見た目でもエアーギャップが狭くこんなので300W(コメットの仕様)いけるのかな?と疑問でしたが、やはりSSBの300WpepがMAXなんだと納得です。 AM100Wで変調をかけると、MAX400Wですから、NGになったのでしょう。 そこで、このアンテナの給電ポイントにおけるインピーダンスをRもXも250Ω以下に抑えられないかワイヤーの長さを調整してみました。すると、今のスローパーのワイヤーに8mほど追加してやると、500Ω以上で測れない事は変わりませんが、RとXが従来のインピーダンスの半分くらいになり、SWR1.03くらいまで整合出来るようになりました。 このアンテナは3.5MHzと1.8MHzも共用しますが、いずれのバンドもSWR1.05以下に整合できます。 この状態で7MHz AM100Wで100%変調かけてもSWRは安定するようになりました。

現時点での最新情報込みの配線図とソースファイルをダウンロードできます。

バンドリストをコントローラーからUART経由でmain unitへ送る仕様でしたが、バグの発生が有り、対応が面倒でしたので、main unitでも、このバンドリストをヘッダーファイルとして読み込む事にしました。

メイン配線図 z_match_atu_main_05.pdfをダウンロード

コントローラー配線図 Z-Match-ATU_contoroller_3.pdfをダウンロード

アンテナセレクター配線図 Z-Match-ANT_selector_3.pdfをダウンロード

メインUnitプログラム Z_Match_ATU_main_81.cをダウンロード

コントローラープログラム Z_Match_ATU_controller_81.cをダウンロード

アンテナセレクタープログラム Z_Match_ATU_ANT_selector_8.cをダウンロード

バンド分割ヘッダーファイル Z_Match_FreqRang_7.hをダウンロード

台形駆動データヘッダーファイル StepFreq_List_12_200.hをダウンロード

LCDフォントファイル Font9.hをダウンロード

LCDフォントファイル Font12.hをダウンロード

 

上から2番目のベランダに括り付けたZATUの写真をよーく見るとアンテナセレクタの部分にピンセットの影が写っていました。2~3日前から、いつも使うピンセットが見つからず困っていたのですが、こんな所にありました。 もちろん現在は、取り除きアンテナセレクターがショートしないようにしています。

 

Z Match ATUを使用した最新の交信実績はこちらにあります。

 

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2025年3月23日 (日)

ATU 防水BOX (実際のアンテナによる整合)

カテゴリ:オートアンテナチューナー(ATU)の製作

アンテナセレクターの防水加工が完了しましたので、ATUのメインユニットを防水BOXの中に収納しました。 当初、メインUnitのマイコン基板はATU前面のパネル面にビス止めしてあったのですが、いざ防水BOXに収納すると、ソフト書き換えの為のPICKIT3を繋ぐ事が大変難しく、基板にハード的な変更が生じたとき、防水BOXからATU本体を取り外さないと処理できないという事が判り、下の写真のごとく基板を収納する金属ケースをATUから分離し、基板のメンテと、ATU本体のメンテが防水BOXの蓋を開けるだけで出来るように変更しました。

Zmatch_main_box__in

写真は基板もATUも天板を開けた状態ですが、通常は両方とも天板をかぶせる事にします。 防水BOX内でATUの出力端子を外部に引き出す配線をし、かつATUの天板をかぶせると、10MHzのバンドのみはどうしても整合出来なくなりました。 やむなく、VC2のタップを初期の6.5Tに戻しました。50Ω負荷では最小SWR1.7くらいにしかなりませんが、200Ωなら1.04になりますので、実際のアンテナで確認する事にします。

この防水BOXに組み込んだ後、イニシャライズの時のモーターが異常音を出します。原因は、モーターが起動トルク不足で回っていない状態でした。 モータードライバー基板の中にあるSMTタイプの半固定抵抗の接触不良でモーターの電流制限が250mAでないとダメなところ70mAくらいしかなったものでした。 半固定抵抗をぐりぐりとまわして電流値を250mAに再設定してやると正常になりました。 過去、このSMTタイプの半固定抵抗の品質はかなり悪く、大型の村田製に変更した事がありましたが、いくらユニットが米国製でも、部品は中華製でしょうから、中華製の品質問題に遭遇してしまいました。 こんな部品をいくら防水BOXに収納したとしてもベランダに置いて大丈夫なのか? 一気に不安がよぎります。 とりあえず呉印の接点復活剤を吹き付けておきましたが、心配ですね。(2025年9月追記:問題ないようです。)

春分の日を過ぎた最初の土曜日に急に暖かくなり日中の気温が18度を超えます。 南西の風がやや強いですが、従来のバリコン式ATUを降ろし、Z Match ATU(以後ZATU)を急遽上げる事にしました。約3時間花粉が飛び交う中で作業した結果は以下の写真です。

Zatu_comp1

Zatu_comp2

アンテナセレクターとZATU間に接続したはしごフィーダーは100均にあった仕切り板で作ったインピーダンス約500Ω、長さ3mのフィーダーです。

すぐに動作テストを行い、9600ボーのUART通信も問題なく動作している事を確認できました。

さっそく、実アンテナによる整合テストにトライしました。

1820kHzではWVCの容量不足でSWRは1.51、1896では1.79、ここは追加のコンデンサで解決しそうです。

修正済み配線図 zmatch_atu_main_04.pdfをダウンロード

50Ωダミー抵抗では整合出来なかった10MHzはWVCを最大容量にしてSWR 1.08

29600kHzはSVC,WVCともに容量最小でSWR1.53

その他のバンドはSVC,WVCともに可変範囲内でSWR1.11以下となりました。

ただし、昨日1.1以下に整合したのに、今日は4以上とか再現性が良くありません。 この再現性が悪いのはステッピングモーターの脱調かも知れないと、改めて電流制限の設定を見直してみました。現在はふたつのモーターとも250mAでの駆動です。 電流が原因で脱調する場合、定格電流以内で少なすぎても多く過ぎても発生するとWEB上で解説されており、カットアンドトライが必要なようです。 この為、いくつかの設定を試した結果SVC用は400mA、WVC用は600mAに設定して様子を見ます。 

また、モーターのstepが0以下もしくは1500以上に動こうとするようなATUとしてのカバー範囲以外となった場合、タイムアウトでエラーになるようにしたつもりでしたが、タイムアウトのチェックルーチンが機能しないというバグがありましたので、修正しました。

現在のSWR限度値は1.08に設定してあり、整合開始してから10秒間は1.08以下になるまで、整合動作を行います。 しかし、リアクタンスが大きいバンドでは、2stepの回転でもSWRディップポイントを飛び越える場合があり、10秒以上経過したら次の限度値であるSWR1.35以下を探します。SWR1.35でも整合しない時は次の限度値1.65を探します。 そこで、整合スタートした後、再度STARTキーを押すと、その時の条件をEEPROMに記憶し、整合したという処理をするように修正しました。 この修正により、例えばSWR1.2くらいで行ったり来たりしている状態であるなら、この機能を使い一旦SWR1.08以上の場合でもEEPROMにデータを記録できるようにしましたので、とりあえずは運用できます。 時間のあるとき、この仮の整合状態を開始ポジションとして自動整合を開始すると、最終的に1.08以下のポジションを見つけて記憶できるようになりました。

ステッピングモーターの脱調が原因と思われる、整合条件の再現性は一向に改善されません。 一度、SWR1.08以下に整合した後、他のバンドへ移り、そこで、整合条件をEEPROMに記憶させた後、前のバンドに戻り、プリセットコールを行い、送信モードにすると、SWR3くらいに跳ね上がっています。 そこで、再度整合動作を行うと、前回EEPROMに記録されたモーターステップと7から30くらい異なります。 この差はSVC、WVCいずれもありますが、SVC側がWVC側の2倍から4倍あります。

このZ Match ATUのオリジナルは50MHzをカバーしていませんが、試しに50.3MHzで自動整合を行うとSWR1.2くらいで整合し、VK局とFT8で交信できました。 レポートは私が相手局に送ったのが-08dB、相手から貰ったのが+03dB。 アンテナの指向性データから実用出来ないバンドと諦めていたのですが、実際のアンテナはシュミレーションデータとはかなり違うみたいで、これはうれしい誤算でした。 ただし、まだ国内交信は出来ていません。

脱調による再現性の問題の為、次の土日にZATUは降ろし、従来のバリコン式ATUを再度上げるつもりでしたが、急に寒の戻りがあり昼間でも最高気温が8度しかなく、ATUの入れ替えは次週に延期となりました。 代わりに、50MHzの運用を行い、DXCCのエンティティが7に増えました。

 

ATUメインUnit Z_Match_ATU_main_04.cをダウンロード

 

2025年4月

ZATUをベランダにセットし、アンテナセレクターをマストに上げてから2週間後にこれを降ろし、問題点の整理と対策を行いました。

まず、プリセットコールの再現性ですが、当初、ステッピングモーターの脱調が主原因と考えていましたが、脱調が全くない訳ではありませんが、一番大きな原因はタイミングベルトの張りの強さでした。特にSVC側のバックラッシュが大きく、バリコンの回転方向がCWとCCWで10ステップ以上異なる事でした。  幸い、SVC側にはベルトの張りの強さを調整する機構が付いており、これを調整し、ベルトを軽く押さえたときのたるみの幅が3mmくらいになるようにすると、少し改善できました。 一方、WVC側もアイドラアングルのスペーサーの厚みを調整して、張りの強さを変えてみましたが、こちらは現状のレベルが最良のようでした。

さらに、モーターを台形駆動する時の回転速度の加速度を3.2%で50段階と設定していたものを、1.6% 100段階に変更しました。 この変更で0度から180度までバリコンが回転する時間は従来の約3秒から約4秒になりましたが、違和感はないのでそのままです。

電源投入時のゼロポイントを探す動作で、最終的に位置を決定する時のモーターのステップは1.8度で行っており、この時、ATUのシャーシが振動して、ベルトも同様に振動していましたので、この時も1/4マイクロステップで回転するように変更しました。 振動は無くなり、騒音も解決しました。 また、整合時のSWRが1.02とか1.01の場合、電源OFF/ONによる原点再設定時でも、SWRの変化幅がすくなく、28MHzの50Ω負荷の時、SWRが0.01程ずれるだけとなります。 従い、現在SWR1.08以下なら整合したとする定義を1.03未満のとき整合したと判定するように変更しました。

ここまでやっても、負荷抵抗が15Ω以下になったり、リアクタンスが多くなると、SWR1.03以下の状態でもSWR1.8くらいまで変化してしまいます。 根本的な原因は脱調が無いという条件下でもベルトのバックラッシュをゼロにする事ができない事に尽きるようです。 これを解決する手段としてスプレッドバリコン方式にして、バックラッシュが有ってもVCの容量変化を小さくするアイデアはありますが、現在の構造のままでは対応に無理があり、改造するにしても、また1年くらいかかりそうですから、その間にサイクル25も終わってしまいます。

マイクロステップの実際の使用例について情報を集めてみました。 バイポーラタイプのステッピングモーターを使う3Dプリンターの場合、機械的な減速機構と合わせてマイクロステップを使う事が標準となっており、その時のステップは1/4、1/8、1/16が主に使われているとの事。 このZATUの場合、過去、1/8や1/16のテストやってきましたが、期待通り動きませんでした。 しかし、モーターのスタンバイ機能を制御する為に、ソフト的なタイミングの調整と、モーター電流の最適化をやった今、1/8や1/16のマイクロステップに設定すると、ちゃんとモーターは正常に動作するようになりました。 しかし、バックラッシュの為、1/4のマイクロステップでも、SWRの変化が得られない、21MHz以上のバンドも存在しますので、モーターは最低0.9度の角度でしか回せません。1/8や1/16マイクロステップは騒音の対策になっても再現性の改善には寄与しないですから、今後も1/4マイクロステップで進行します。

臨時に上げているバリコン式のATUは、机上では50MHzもOKでしたが、実際にマストにアップすると、自動整合出来ず、マニュアルで整合させるとSWRは1.3くらいになりますが、FT8の時、バランに使用しているフェライトコアが発熱して、15秒送信を2回もするとSWR3を超えます。50MHzで40Wくらいまで絞れは送信は可能ですが、コンディションが悪く、交信に至っていません。

Skydoor_with_antselector

これらのことから、ZATUの整合の再現性は未完成ですが、このまま再設置する事にします。 そして、送信する場合、最初に整合状態を確認し、もし、SWRが高い状態なら自動整合させた後使う事にします。 ちょっと受信状態を確認するだけなら、プリセットコールのみで問題なしです。


使用しながら、改善策が出てきたら、必要に応じ改善する事にします。

左の写真は2025年のゴールデンウィーク前半の連休時、上げたナロー幅スカイドアにアンテナセレクターを括り付けた状態です。 この状態で10MHzはSWRが2.3以下に下がりません。また、ATUを使わない160m用GPはアンテナアナライザではSWR1.1くらいですが、5Wのキャリアを出した状態でのSWRは4を超えます。 多分アンテナセレクタのどこかで耐圧オーバーによる絶縁破壊が起こっているのでしょう。 これらは、連休後半で対策を考える事にします。

さらにステッピングモーターの脱調を少しでも改善する為、モーターの電流制限を両方のバリコン共300mAに設定し直し、かつ台形駆動の加速、減速の比を1.2%まで小さくし、台形駆動時のステップを150段まで増やしました。 効果があるかどうかはしばらく使ってみてからにします。(読み込んでいるヘッダーファイルの中に設定してある段数は200ですが、実際に使っているのはmax150段です。)

主にFT8を運用しながら、各バンドでの整合状況を確認してみました。 出力5Wで整合をとりSWR1.1以下にした後、SSBやCWでは 100W送信しても問題ないのですが、FT8の場合、一部のバンドで送信開始1秒後くらいでSWRが大きく増加し、3から8くらいになります。 多分原因はどこかで絶縁破壊が起こっているのでしょう。 この状態の時はSWRが上昇しない程度に出力を絞り確認をつづけています。

Allband_tunedata1

上の表は主にラダーフィーダーの長さを変えた時の整合状態です。 全バンドがOKでは有りません。 最初に決めた3mの長さが一番よさそうですが、3種類のアンテナを1本のラダーフィーダーでまかなうにはかなり無理がありそうです。 また、100W時のSWR増大は多分アンテナセレクターのリレーの接点間耐圧1500Vをオーバーする事による絶縁破壊ではないかと思われます。 アンテナセレクターを再検討する必要がありそうです。

以下、現時点での最新プログラムです。

なお、コントローラーの配線図は前回アップしたまま変更は有りません。 

z_match_atu_main_05.pdfをダウンロード

Z-Match-ANT_selector_2.pdfをダウンロード

Z_Match_ATU_controller_71.cをダウンロード

Z_Match_ATU_main_071.cをダウンロード

StepFreq_List_12_200.hをダウンロード

Z_Match_FreqRang_7.hをダウンロード

LCD用フォントの変更はありません。

ZATU設計変更へ続く。

 

 

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2025年2月 1日 (土)

Z Match ATU アンテナセレクター

カテゴリ:オートアンテナチューナー(ATU)の製作

Z Match ATU本体とコントローラーがほぼ完成しましたので、ATUとアンテナの間に設置するアンテナセレクターの製作です。

今回のZマッチのATUは、その出力が平衡タイプとなっており、これは、平衡アンテナに直接給電出来る事から、FT8の時、バランのコアが発熱して、100W連続送信ができないとか、バランの中で生じるロスが大きいとか言う問題が発生しません。 また、アンテナが不平衡タイプの場合、そのまま給電しても、ATUとアンテナ給電ポイントまでの距離が短ければ、給電線に不平衡電流が流れても不要輻射による指向性の乱れや外来ノイズのピックアップも大きくはならないという利点があります。 不平衡アンテナの場合、ノイズも不要輻射もアンテナが原因なのか、給電線が原因なのかよく判りませんが。

 

ATUからアンテナセレクターまでの3mの距離は、はしごフィーダーで給電し、3種類のアンテナに分配するアンテナセレクターをマストの給電ポイントに括り付けて対応する事にします。

Iantselector1

コントローラーから送られるUART信号をATUで中継して、受信信号のみをアンテナセレクターまで送り、そこで、アンテナナンバーを解析して、リレーをON/OFFする事により、目的を達成します。

左の写真が、そのセレクター基板です。 マイコンは部品箱の奥から探し出した、PIC18F14K50を使います。 このマイコンのEEPROMに分割バンドとそれに対応するアンテナナンバーを記憶させる機能も入れましたので、後々、バンド分割の変更やアンテナのタイプ変更が発生しても、いちいちマストから降ろさなくても良いようにしてあります。

ところで、今頃気づいたのですが、このPICのUART信号の極性は該当bitを0にしたら「正論理」、1にしたら「負論理」と書いてありますので、その言葉通り正論理にしたら、動きませんでした。 最近のPIC18の場合、1の場合、アイドル時L、0の場合、アイドル時Hレベルと書かれております。 RS232Cの場合、アイドル時Hの状態をノーマル状態としていますので、この古いPICでは、ノーマル状態を正論理と表現したのでは? このおかげで、自作のハードとプログラムが悪いのではと3日間も悩みました。

2025年3月

3月に入ったとたん春らしくなってきました。 ANTセレクターBOXを作る為の屋外作業が出来るようになりましたので、透明BOXを購入し、アンテナセレクターを収納する防水BOXを作成しました。 適当なサイズをホームセンターで探しましたが、有ったのは透明ケースのものだけでした。 アンテナマストに括り付けた時、ほんとにリレーが切り替わっているのか確認する為に3色のLEDを追加し、ベランダから見上げて動作確認が出来るようにしました。 サイズも従来のバリコン式ATUの1/4くらいに収まりました。

Antselector3

Antselector2

左上が防水の為の蓋をかぶせた状態、右上が蓋を開けた状態です。 高周波が通るワイヤーがふらつくとアンテナの整合条件が変わりますので、動かないように錫メッキ銅線で配線してあります。 内部の特性インピーダンスは無視です。 これは、アンテナのインピーダンスと合成された状態でATUが整合させてしまうので、極端なインピーダンスにならない限り問題ありません。  

ATU本体と接続する電源と通信線3本は、自転車の電装品間を配線する防水コネクターで接続します。 

このBOXの背面にはマストにステンレススチールベルトで縛り付けられる様なアルミ板で出来たホルダーも作ってあります。 ATUとこのアンテナセレクターを平行フィーダーと電源線で結び、アンテナ端子に50Ωのダミー抵抗をつないだ状態で、28MHzの100W CW運用でも問題が発生しない事は確認できました。 あとはマストに括り付けて実働テストをするのみとなりました。 

実働テストはATU本体の防水BOXが完成してからとなりますので、4月ごろを予定して置きます。

 

Z Match MTUの構造はL型MTUと等価であるという説明がオリジナルのホームページに書かれており、ならば、MTU内部で発生するロスもL型MTUと同等かも知れないと期待されます。 実際のところはどうなのか50Ωのダミー抵抗を使い実測してみました。

Kouritu3

左のブロック図が測定に使用した各機器の配置です。 AMTX(FTDX101D)とATUと50Ωダミー抵抗を直列に接続し、ATUの入力部及び50Ω入力部のRF電圧をオシロで読み取ります。 オシロのピークtoピーク電圧をVoppとした場合、

 

ATUの入力(W)は(Vopp*0.707*0.5)の2乗/50

ダミー抵抗の入力(W)は(Vlpp*0.707*0.5)の2乗/50

の計算で電力に直します。 ATUの入力とダミー抵抗入力の電力の比が効率となります。

また、参考としてクラニシのMTU NT-636でも同じように測定し、効率を計算します。 このようにして得られた結果が下の表になります。 アンテナ負荷が50Ωの純抵抗ですから、実際のアンテナが50Ω純抵抗である可能性はほとんどなく、T型ハイパスMTUと同一条件で比較した一例として見て頂きたく。

効率のデータを取る為に何度も測定を行うと、その都度データがバラツキます。表のデータはその中で一番良いデータを表示しました。

Kouritu3

結果はNT-636よりロスが若干少ないデータが得られました。Z Matchの構造からして、Lタイプ同等とはいかないにせよ、かなり良い効率をだしています。 NT-636はハイパスT型と言われるMTUですが、以前測定したデータとあまり変わらず安定しているようです。 Z Match ATUは平衡出力ですので、不平衡出力のクラニシのMTUには必ず必要となるバランが不要です。 過去私が自作したバランのロスは10%から50%はありましたので、それを考慮するとクラニシのNT-636よりロスはかなり少なくなると思われます。特に、FT8の時、その効果が発揮されるはずです。

 

ATUの効率を測定する最中にL3を有効にして整合をとった時の効率が意外と悪化する事に気づきました。 このL3のオープン、ショートは、Z Matchの特有のDrop Outが発生する領域をインダクターを追加して回避する目的で設けられており、このコイルを追加する方法と、2次側のリンクコイルに3ターン目のタップを設け、リンクコイルを4ターンにするか3ターンにするかでインダクタンス値がかわりますので、L3と同様Drop Out領域を回避する手段とする事も可能と説明されています。 L3を追加する事は、アンテナにローディングコイルを追加する事と同じ事であり、ローディングコイルを追加した場合、全体の効率は悪化する事は既知の事実です。 そこでL3を追加する方法と2次側のリンクコイルの巻き数を変更する方法のATUの効率を実測してみました。

Dropoutc

結果は上の通りで、L3を追加する前のATU効率が91.5%であったのに対して追加した後は、77.5%まで悪化していました。この悪化の程度は14MHz以下のバンドではインダクタンスのインピーダンスが小さくなるため効率は改善していきますが、14MHz以上のバンドではより効率悪化が起こる事になります。 一方、リンクコイルの巻き数を切り替える方法の場合、単なるインピーダンス変換器として働きますので、ロスの発生はなく、実測データも巻き数が4Tの場合と変わりません。 ただ、ホームページ内では、Drop Out領域の回避レベルが同等なのか明言されていませんので、全バンドで回避能力があるのかは不明です。 今回の私のATUの場合、すでに説明した通り、ATUとアンテナセレクターの間をラダーラインで接続する事にしていますので、もし、Drop Outが回避出来ない時はこのラダーラインの長さを調整する事で回避可能となります。 よって、効率ダウンが起こらない、リンクコイルの巻き数選択方式で進行する事にします。 

 

配線図 zmatch_atu_main_04.pdfをダウンロード


配線図 Z-Match-ANT_selector.pdfをダウンロード

プログラム Z_Match_ATU_ANT_selector_0.cをダウンロード

 

いよいよ、ベランダに設置し、実際のアンテナで動作確認を行います。

最終的にこのアンテナセレクターは、リレー端子間の絶縁破壊の為、ZATU本体の防水BOXの中に移し替える事になり、この単品のアンテナセレクターはボツとなりました。

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2024年12月21日 (土)

SDカードへのアクセス 2024

2015年にアンテナアナライザーで得たSWRカーブをSDカードにセーブする為にMicrochipが用意しているfileioというDEMOアプリの使い方を紹介しましたが、その後PCをWindows7からWindows10に変更した過程で、当時のファイルが消失し、あれから9年経った今、再度SDカードへのアクセスが必要となり、また一からコンパイル環境を構築する必要が生じました。

当時入手したMLAプログラム集は更新されており、今回使用したプログラムは

mla_v2017_03_06_windows_installer.exe

というファイル名の物で、これ以降は更新されていないようです。

このプログラムをインストールした後、fileio_lfn(FAT32用ロングファイル名対応版)のプロジェクトを開き、当時の使い方通りハードを構成し、ビルドをかけると簡単にDEMOモードによるファイル見本が作成できました。 この時の環境は以下の通りです。

MPLAB X v6.20

XC16 v1.60

Packs PIC24F-GA-GB_DFP 1.9.336

この状態でコンパイルが成功しましたが、最初、デモファイルが出来ませんでした。原因は、マイクロSDカードをアダプター経由で使った為でした。 PCは標準のSDカードもアダプタ経由のマイクロSDカードもアクセス可能ですが、このfileioからのアクセスは不可能でした。 これはfileioのだけで無く、2015年以前に購入したキャノンとソニーのデジタルカメラもメディア異常で使用できませんでした。 普通サイズのSD HCならOKで現在も販売されていますので、マイクロSDカードが使えなくても問題ないのでしょう。

自作のプログラムの中にこのfileioのプログラムを埋め込み何かを作る場合、fileioのソースも少なからず変更が必要になりますので、オリジナルのファイルはそのまま残す必要から、独自に作成した開発用ホルダーの中に必要なファイルを集めてビルドをかけられるようにします。

以下、忘備録を兼ねて、その手順を紹介します。

Sdc2004_file

左は専用のホルダーを作り、その中に必要なファイルを集めた上で、SDC2024という名前のプロジェクトを作り、ヘッダーファイルとソースファイルを追加した状態の表示です。

ただ、MLAのfileio用ホルダーの中には、同じ名前のファイルが沢山存在します。 従い集めたファイルが実際にデモプログラムに使われたファイルかどうかが判りませんので、これを簡単に探し出す為に、以下の作業をしました。

まず、fileio_sd_card_demo_lfn のプロジェクトを開き、デモ用プログラムが全て正常に動作するように自身のハードに合わせて書き換えます。 そして、コンパイルが成功し、デモ用ファイルがSDカードの中に出来るようになりましたら、ソースファイル(拡張子が.c)のみファイル先頭か見やすいところに印を書き込んで置きます。 私の場合、先頭行に//20241208 のように日付を書き込みました。

以後、fileio_sd_card_demo_lfnのFilesタグの中に表示されるホルダー構造を頼りに左側にリストされたファイルをWindows(C:)/microchip/mlaの中から探し出し、専用ホルダーへコピーします。 この時、コピーしたファイルが目的のファイルかどうかは先ほど説明した印があるかないかで判別できます。

ヘッダーファイル(拡張子.h)にはこの印は付けなくても問題ない様でした。 この後、ビルドをかけてコンパイルエラーが出なくなったら、ヘッダーファイルも他の同じ名前のファイルとは互換性がなくなるファイルが出来てきますので、のちのちホルダーを移動したり、新規にホルダーを作る場合、ご注意ください。

また、mainとsystemファイルは、本来の目的のファイルとファイル名がかぶる可能性もありますので、それぞれSD_main SD_systemに名前を変更してあります。

この状態で、ビルドをかけると沢山のエラーが発生します。 それらは、インクルードファイルのホルダー表示が専用ホルダーにマッチしない為に発生しているもので、エラー表示を見ながら、該当する部分を修正していきます。

例えば、system.hの中に #include "driver/spi/drv_spi.h" という記述があり専用ホルダーにファイルを集めた場合、この記述ではエラーになりますので、#include "drv_spi.h" に修正します。

このエラーが出る都度、修正し、エラーが出なくなったら完了です。 カード内のファイルを全て削除したSDカードを差し込んで、プログラムを立ち上げると、デモファイルが出来ているのを確認できます。

私のXC16開発環境ではv1.60とv2.40がインストールされていますが、v2.40ではエラーが解消せず、v1.60でエラーなしとなりました。

ここまでのデモファイルはSDカードにテキストファイルを書き込むことしか出来ませんので、次に、SDカード内のファイルをPICで読み込む事が出来るようにします。 ただし、このファイルは9年前に作成し、その後紛失していますので、そのフローや動作仕様はすっかり忘れています。従い、思い出しながらいちから改造する事になりそうです。

思い出し作業を約2週間続けてきた結果、SDカード内に記録したファイル名を見つけて、それをLCD上に表示するところまで出来ました。 そして判った事は、書き込みは確かにロングファイル名で可能ですが、読み込みのデモソフトでは8+3形式の大文字でしか扱えないという事が判った次第です。9年前に自作のアンテナアナライザーにSDカードのファイルを読み込ませ、予めセーブしてあったSWRの周波数特性グラフをLCDへ表示する事に成功していたのですが、この時のファイル名は8+3の大文字のアルファベットと数字のみのファイル名でしたから、今回の問題が判りませんでした。 マイクロチップのロングファイル名のプロジェクトのファイル構成の中で、本来はlfnの文字が付くファイル名のはずなのに、lfnの文字の無いファイルを指定しているソースファイルがあります。

sd_spi.cのヘッダーファイルの中で、fileio.hとfileio_private.hはともにlfnの文字がついていませんので、これを二つともlfn付きのヘッダーファイルfileio_lfn.h及びfileio_private_lfn.hに変更しましたが、ロングファイル名にはなりませんでした。

Sdc_fname_disp_test

左のLCD画像が、SDカード内に記録したBMPファイルの表示内容です。 まだデバッグ中なので、画像ファイル名以外に余計な文字も見えますが、SDカード内にある4つの画像(bmp)ファイル名を表示しています。

実際のファイル名は全て小文字なのですが、全て大文字に変換されています。 オリジナルのファイル名は拡張子以外で16文字ほど有ったのですが、頭から7文字以降は切り捨てられ、8文字目は数字に変わっていました。 これは、懐かしいMS DOSの表記で、ロングファイル名が有っても、判別できるようにした当時のルール通りであり、8+3形式の表記は正しく動作している事にほかなりません。 LCDに表示されたファイル名は8文字に収まるようにrenameした後のものです。

この状況で、私の力ではどうにも出来ませんので、もし、ロングファイル名のまま読み込める解決方法ができる方がいらっしゃいましたら、公開お願いします。私の全ソースはLCD表示が成功したら公開します。

とりあえず、8+3表記のファイル名検索が出来ましたので、これから、bmpファイルをLCDへ表示させる事にトライします。

SDカードにセーブしたBMP画像を320x240ピクセルのLCD画面に表示させる実験は意外と早く実現しました。以下実験中の画像を紹介します。

Displaytest_bmp

Kagamiyama_nov_2

Penang_1

Asagao_1

Kagamiyama_feb


この実験に使った、BMPファイル以外の全てのファイルをzipファイルでダウンロードできます。

BMP_Display_2024.zipをダウンロード

全部のファイルを同じディレクトリーに置き、MPLAB Xにてプロジェクトを作りコンパイルが成功すれば、再現出来ます。

この実験の目的は、480x320ピクセルくらいのLCDを使い、写真を飾るフォトフレームを作る事でしたので、手ごろな価格のLCDを探す事にします。

配線図 BMP_disply_from_SDcard.pdfをダウンロード

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