2018年5月27日 (日)

DDS VFO 逓倍回路付(1.8MHz - 50MHz)

<カテゴリー:DDS

PLLを使った逓倍用ICを入手し、そのスプリアス特性も良好でしたので、作成済みのDDS VFOの中に組み込む事にしました。

PLL逓倍IC ICS501は、最少出力周波数が13MHz以上という条件がありますので、今まで10MHzは5MHzから2逓倍としていたのがNGとなりました。 従い、10MHzもDDSから直接出力させる事にし、LPFを作り代えました。

10mhzlpf

手持ちの部品から、そこそこ使える定数を決めたのが上のLPFグラフとLC定数です。 PLL ICのクロック入力レベルが3.5VPP以上必要なため、アナログ回路のゲインの調整を行い、各定数を見直しました。

回路図 DDS_multi_VFO180526.pdfをダウンロード

Dds_pll_vfotop

Dds_pll_vfo

左上がDDS VFO基板にPLL回路を追加し、PLL回路をバイパスしてDDSからのダイレクトに出力する為にリレーで信号の流れを変えています。 右上はその基板の裏側ですが、しばらく時間が経つと、判らなくなるくらい混んできました。

Dds_pll_vfoin

なんとか、シールドBOXの中に全てが収まりました。

PLL ICの逓倍倍率を指定するのは、S0とS1の2本の端子を使用しますが、この端子の入力仕様は少し特殊になっています。通常のH(5V)とL(0V)の他にトライステートモードがあり、HでもLでも無いというポジションがあります。データシートでは、Mという表示がされています。 このモードをPICマイコンで作り出すには、PICマイコンの端子を入力モードにしてやれば実現できます。 このような仕様なので、通常2本のi/oの場合、4モードしか実現できませんが、このICは9モードを実現しています。 使用可能な逓倍倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍と、ハムが送信機を作るときとても便利です。 今回のDDS VFOには、2倍、3倍、4倍、8倍だけを使いました。

ソースコードDDS_multi_VFO_ICS501.cをダウンロード

7mhzlpfout

50mhzpllout

左上が7MHzの出力波形。LPFのカット周波数を10MHzくらいまで上げましたので、線が太く表示されています。 右上は50MHzの出力波形です。 その他のハムバンドの周波数も出力可能ですが、これほど綺麗では有りません。 当初から7MHzと50MHzのAM、CW送信機を想定していますので、他の周波数が必要になった場合、都度検討する事にします。

たちまちは、50MHz AM送信機のVFOとして使用します。

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2018年5月18日 (金)

8倍 逓倍回路

カテゴリー<6m AM >

6m AM用の終段ステージはドライバー及びプリドライバーの検討が終わりましたので、次にDDSで作られた6.25MHzの信号を8逓倍して、50MHzを得る回路の検討です。

8倍逓倍はダイオードダブラーを3段シリーズに接続して8倍を得るつもりです。 回路は以前作成した、7MHzのVXO出力を14MHzに2逓倍する回路をベースに定数を最適化して実現します。

8multi_top

8逓倍回路の回路図 6mTX_multi8.pdfをダウンロード

この回路図の各定数は50MHzを得るQ3までは、実際の値を示します。Q3から後段のプッシュプル回路はまだ実装されていません。

50Mhzで十分なゲインを得ようとすると、低周波用の2SC2712のようなftが80MHzくらいのトランジスターでは、不十分で、ftがGHz台のトラジスターが必要となってきます。 GHz台のftを有する小信号用トランジスタのVCEは12Vかそれ以下の事が多く、後日、入手で困らないように5Vの電圧で動作させ、最後にファイナルステージの必要出力0.5Wを確保するようにします。

実験回路では、12.5MHzまでは、低周波用の2SC2712ですが、25MHz以上はNXP製のftが8GHzのトランジスターを使用しています。 このトランジスタは東芝やルネサスのGHz台のトランジスターに置き換えるのは簡単です。 各逓倍段で、ダイオードの負荷抵抗とエミッタ抵抗を吟味し、ベース抵抗は可変抵抗器で最適値を求め、固定抵抗に置き換えるとい作業で完結します。

各ステージの波形を以下に示します。

625mby2a

125mby2a

左上がDDSの出力の周波数6.25MHzでQ1のコレクタ波形です。 右上が、2逓倍した12.5MHzのQ4のコレクタ波形です。

25mby10a

50mhza

50mby10a左上がさらに2逓倍して25MHzになったQ2のコレクタ波形、右上が、最後の2逓倍で50MHzになったQ3のコレクタ波形です。

左はこのQ3のコレクタ波形のスイープ時間を10倍にしたもので、周期的に振幅が変化するAM変調がかかっています。 オシロのトリガは、一定のレベルでかかりますので、拡大すると、FM変調がかかっているように見えます。 この50MHzの信号を受信機で聞いた感じはCWやFMを含めた全モードで違和感はありませんでした。

6x8multiこの波形の状態の時の周波数スペクトルを見たのが左の画像です。

確かに50MHzの信号は生成されていますが、基本波となる6.25Mhzおきに、きれいにスプリアスが生じています。 これをフィルターで除去するのは、至難の業です。 ダイオードダブラーでは、効率よく逓倍ができますが、その波形をみている限り、2倍1段が実用レベルで、今回みたいに3段もシリーズに接続すると、手の付けようが有りません。

8倍逓倍の方法は、もっとスプリアスの少ない、PLL方式に切り替える事にし、PLL8倍逓倍ICを手配する事にします。

選んだPLL ICは ONセミコン(台湾)のNB3N2302。 RSで入手出来ます。

Pllx8

Pllx8_amp

上が、このPLL ICの回路図です。 4番ピンと5番ピンをH(5V)にすると、8倍の逓倍回路として動作します。

データシートを見ながら、ピッチ変換基板と蛇の目基板上に組み立て、テスト開始。

全く動作しません。 消費電流が60mAくらいになっています。データシートではMax50mA。 異常動作です。配線が間違っているのか、何度もテスターを使いチェックしましたが、異常は有りません。 しかし、入力をゼロにすると消費電流はゼロになります。 出力端子をオシロで見ていると、かなり小さいレベルでRF信号が見え、拡大すると、ロックしていないVCOの発振波形です。 かなり悩んだ末、判った事は、入力レベル不足であったという事です。データシートでは、入力Hレベルは2V以上となっていましたので、オシロで入力レベルをチェックしたのですが、オシロのレンジの読み間違いで、実際は2Vppしかなく、これに気付かなかったのが原因でした。

入力を4Vppまで上げると、PLLの出力レベルが大きくなり、ロックし、消費電流も13mAくらいに下がります。

50MHzのSSB受信機でビート音が綺麗に聞こえます。

Pllx8_50m

Pllx8_50ma

上の左も右も50MHzで、オシロのsweepを変えただけです。 この状態でスペアナを接続してみました。

Pll50mout

Dds6mout

左上が50MHz出力のスペクトルです。右上はこのPLLの入力となるDDSの6.25MHz出力です。

50MHzのスプリアスに問題があります。50MHzのキャリアの両脇に約4MHzくらい離れてスプリアスが出ています。そのレベル差は-40dBくらいで、新スプリアス規制でアウトです。 入力の6.25MHzにはこのようなスプリアスは無く、これは、PLLの内部で発生しているものです。

せっかく、ICを手配しましたが、このPLL ICは使えない事が判りました。 RSで入手可能なPLL逓倍ICでMOQが2で1個260円というIDT(USA)製のICS501というのが見つかりました。 海外在庫との事で、日曜日の夜注文して、木曜日に届きました。 今回は緊急という事でこのICのみにしましたので、送料450円により、単価は約2倍になってしまいました。

Ics501schema このICの周辺回路図です。パスコン以外何も有りません。

Ics501_50mhzout

Ics501_x850mhz

左上がエミフォロの出力波形で50MHzです。 右上は第3高調波まで見えるスペアナ画像です。センターが100MHzですから、左側の1本のスペクトルが50MHzで余計なスプリアスも、低調波も有りません。 第2、第3高調波がかなりのレベルでありますが、これは、終段のLPFで綺麗に除去できますので、全く問題有りません。

やっと8倍逓倍のVFOの目途が立ちましたので、これから、PWM変調回路の作成に移ります。

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2018年4月 9日 (月)

6m AM パワーアンプの検討

カテゴリー<6m AM >

7MHzの200W AM送信機が完成し、1st QSOも終わりましたので、次のテーマとして6m用PWM AM送信機と決めました。 技術的に目途が有る訳ではありませんが、途中で投げ出す事も可という条件で始める事にします。 ただ、このテーマの最大の問題は、もし首尾よく送信機が完成しても、交信する相手がいないという事ですが。 

目標は移動運用可能なキャリア出力10WのAM送信機とします。

まず最初に、7MHzで実験したMOS-FETによるパワーアンプです。 以前私が勝手に定義した周波数限界(仕様書上で規定される総遅延時間の逆数)はとても50MHzには及ばず、せいぜい半分くらいしか確保できないようなFETでも50MHzのパワーアンプが可能なのかの実験です。

実験用のパワーアンプ回路図でず。AMTX_6m_PAmp.pdfをダウンロード

私が手持ちしているFETで、入力容量が小さく、最高の限界周波数、約21MHzのスペックを持つIRFI510(VISHAY製)のプッシュプル(PP)で回路を組みました。

6mam_amp_irfi510x2

6mam_amp_irfi510x2back

左上がパワーアンプの部品挿入面、右上がそのチップ部品装着面です。部品実装状態は2パラプッシュプルですが、実際はシングルプッシュプルで配線されています。

限界周波数が目標50MHzの半分にも満たないFETですが、出力ゼロではなく、なにがしかの出力が得られます。 ただし、E級増幅はおろかC級増幅もできず、かろうじてB級増幅が位相遅延を起こしながら実現できているアンプです。

この状態でDC電源が供給可能な最大18.4Vで出力を測定してみました。

6mam_pamp

入力はFT450からキャリア注入しますが、シングルPPと2パラPPでは入力容量が異なりますので、そこは直列に挿入したトリーマーで調整し、いずれもSWR1.3以下で、2.2Wのドライブです。 ゲートにDCオフセットを加えて、無信号時のドレイン電流がゼロの範囲で、ゲート電圧が少しでも高くなるように半固定抵抗を調整する事にします。 

FETシングルのPPドライブで8Wの出力が得られました。 動作モードとしてはB級に近い状態です。 この動作モードのままで、2パラプッシュプルにしたら同じVDDで5Wしか出ません。 多分、入力回路や出力回路の容量が2倍になった事で、インピーダンス不整合と最大回路効率の条件のアンマッチから出力不足になった為と考えられます。 ここで、入力レベルを上げても出力は頭打ちでした。

次に、ゲートDCバイアスを調整して、アイドル電流が2石で190mAになるようなAB級動作にすると10Wの出力が得られました。 この動作モードはリニアアンプの世界ですが、目標とする40Wの出力はVDDを37Vくらいまで上げないと実現できません。 出力トランスの2次側巻き数を2ターンから3ターンに増加させると、かえって出力が落ちてしまいました。

1個60円弱の安いMOS-FETで50MHzのリニアアンプが出来る事は判りましたが、その時のVDDは車用バッテリーの13,8Vとはかけ離れており、今回のテーマである50MHzアンプは無理と諦める事にしました。 やはりここは移動運用が主になるカーバッテリーで、10WのAM送信機(ピーク40W)の実現に向けて再検討する事にします。

再検討するFETはFT450のドライバー段に使用されている三菱のRD16HHF1というHFパワーアンプ用FETです。 

6mamp_rd16hhf1pp

データシートによれば、30MHzに於いて、DC12Vで16Wくらいの出力が得られると書かれており、何よりも現在量産中のFETであるという事です。 それに、価格が370円くらいと、この種のFETにしては、安く売られています。 これを4個ゲットし、今までの基板に実装してみる事にしました。

AMTX_6m_PAmp_RD16HHF1.pdfをダウンロード

左は、このFETをプッシュプル回路にして、実装した状態です。 このFETのフィンはソースになっており、放熱板に取り付ける時、絶縁の必要が有りません。もちろん、基板上でソースはGNDに接続しますが、3本足のセンターがソースに割り当てられていますので、基板内の配線も楽です。

この実験基板で、VDDを12Vに固定し、50MHzの入力を加えた場合、C級やB級の動作では、出力はほとんど出ません。 データシートでは30MHzの0.6Wの信号でドライブし16W以上出力が出るとなっていますが、その時のIidleは0.5Aとなっています。 ただし、このデータシートの数値はシングル動作でプッシュプル動作ではありません。

これらの事を加味して、50MHzなら多少パワーは下がるだろうが、プッシュプルにしたら、16W以上は出るかも知れないと実験を開始したのでした。

結果は以下のようになりました。

Pa_rd16hhf1

三つのデータが有りますが、変更したパラメーターは出力トランスの巻き数比のみです。 そして、出力は2次側を2ターンの時が一番大きくなっていますが、2次側を1ターンにした時が効率が良いという結果が出ています。 これは、写真でも判るように、終段1次側コイルを通常のAWG24ワイヤーで作ってあり、パワーアンプで良く使うパイプ状のコイルになっていません。 コイルをパイプ状にする理由は表皮効果による高周波抵抗を小さくするのが目的ですので、現在の1次コイルの高周波抵抗はかなり大きく、効率最大と出力最大が大幅にずれてしまっているのでは思われます。

 

ここで、ひとつヒントが得られましたので、7MHzのパワーアンプで採用したような、パイプ構造のメガネコアを作る事にします。

Imeganecore6m

Imeganecore6mcomp

この6m用メガネコアは銅パイプとガラエポ両面基板で作る事にしました。銅パイプも基板もフェライトコアをビニールテープで固めた後、寸法を測り加工しています。 コアは手持ちの分割コアで、プラスチックカバーにはKRFC-6というマーキングが有りましたので、北川工業の10MHz~50MHz用のコアでした。

Meganecore_amp

左はこのメガネコアを基板上に実装した状態です。 出力トランスの2次側に従来直列共振によるタンク回路を挿入していましたが、トランス1次側のインピーダンスが低下した事が影響して、直列共振状態の時のミスマッチが増大し、共振ポイントが判らなくなりましたので、出力はT型インピーダンス変換回路に変更しました。

AMTX_6m_PAmp_RD_PiOut.pdfをダウンロード

また、出力トランスの2次側を1,2,3ターンと変化させますが、都度、最大出力になるようTマッチ回路を調整しました。

結果は下の表の通りで、パイプによる高周波抵抗の抑制がかなり効いて、やっと、2次側3ターンの時の出力が最大となりました。

Pa_rd16hhf1_megane

この回路構成でRF入力を2Wまで大きくしても出力は変化なしです。 ちなみに、2次側巻線を3ターンとした状態で、VDDを6.9Vまで下げると、出力は6Wとなりました。 AM送信機の場合、VDDの2乗に比例して、出力が変化する必要がありますが、現在の状態では、AM送信機にはなりません。 目標は6.9VのVDDで10W、13.8Vのとき40Wの出力ですから、まだまだ目標には遠いです。

FETそのものの限界なのか? 回路構成が悪いのか? 試に周波数を28MHzして実験してみました。

Pa_rd16hhf1_28mhz VDD 12Vにて17Wが最高でした。 このFETのデータシートにあるのは、かなり大きなストリップラインを使ったQの高い30MHzオンリーの回路でのテストケースであり、私が手配できる汎用のフェライトコアを使った広帯域アンプでは、やっとこれくらいが最高出力なのかも知れません。 もちろん、VDDを上げて、放熱効果も良くすれば、50W以上の出力も簡単にだせそうですが、12Vではここまでが限界のようです。

また、50MHzに戻し、出力トランスの2次側を3ターン、ドレインの電圧波形が最適になるように、ドレインソース間に470PFを追加、かつアイドル電流を2石合計にて0.55Aまで増加させたら

6.9V : 8W   8V : 10W  12V : 16W となりましたが、VDDに対するリニアリティは全くダメでした。 三菱が公開しているVd対Poのデータを見ても、これはもう改善の見込みはなさそうです。 結局、この三菱のFETによるAM用パワーアンプは諦める事にします。

この検討を行った時の回路図です。 AMTX_6m_PAmp_RD_180428.pdfをダウンロード

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今回の検討で、メガネコアのパイプ状の1次コイルは、かなりロスを改善する事が判りましたので、一度諦めた、IRFI510によるプッシュプルアンプを再検討する事にします。 

再検討のIRFI510による回路図AMTX_6m_PAmp_IRFI510_180503.pdfをダウンロード

Megane_esd

このFETのゲートに関する制限はVgが+/-20V以下という以外、三菱のFETのような入力パワーの制限は有りませんので、入力のATTは廃止し、入力も出力もパイプ導体のメガネコアとする為、出力側のコアはNECトーキンのESD-R-17S-1、入力側は同じくNECトーキンのESD-R-12C-2(入力側に塗装品を使ったのは手持ちの関係で他意はありません)をそれぞれ2個づつ使用し、0.3mm厚の銅板を丸めてパイプ状にしてあります。 このNECトーキンのコアは10MHz~100MHz用ですので、50MHzでは、最もロスが少なくなる事を期待したいと思います。

当初、入力側に付いていたトリーマーはショート状態の方が良いので、ショートしてあります。この状態での入力のSWRは1.2以下です。 出力側の2次巻線は2ターンより3ターンの方が良くなりました。 また出力ラインの直列共振コイルは0.1uHくらいまで小さくしました。

Img_4652

左は、FETとメガネコアを載せ替え、検討を行っている状態です。

電源電圧対出力のデータを取り始めると、アイドル電流を増やした場合、高いVddの時の電圧対出力の関係が崩れやすくなる事が判りましたので、アイドル電流が流れている状態から、次第にゲートバイアス電圧を下げ、ちょうど流れなくなる電圧に設定してあります。 ゲートバイアスは約2Vで、動作的にはB級アンプとなります。

検討をしていく中で、電源ONした直後は大きな出力になり、次第に出力が下がる現象が起こります。 熱の影響があるかも知れないと扇風機で仰ぎながらデータ取りを行いましたが、得られたデータはこの下がって一定になった時のパワーです。

Irf510_megane

上のデータの中で、上2段分は、トランスによる損失が有るかも知れないと、出力回路をトランスではなくチョークコイルとして、C結にて出力を取り出した時のものです。 初回の時より大幅に改善していますが、流れているIdの値から、出力インピーダンスがかなり高い状態での動作になっており、FETがもつドライブ能力ぎりぎりを引き出している状態ではなさそうです。

メガネコアと書かれた段が、入力も出力も前述のメガネコアに換えたもので、18.4VのVddで34Wも出ています。 13.8Vで40Wは無理のようですので、最悪、DC/DCコンバーターによる電圧アップで解決する事も視野にいれます。

Irf510_linier

上のグラフは、メガネコアを使った状態で、電源電圧を変化させた時の出力データです。青色が入力2.2W固定、赤色が入力5W固定です。 緑の線は、電源電圧の2乗に比例した出力のカーブです。 本来は赤も青の線も緑の線に重なる必要がありますが、そうなっていません。 ただ、入力レベルを上げると理想カーブに近づくのではないかと思われます。 そこで、入力を10Wまで上げてみました。

Irf510_10win_2

電源の関係でVdd 6.9Vと13.8Vのデータしかありませんが、 13.8Vで31Wの出力があり、かつこの時の効率が75%まで向上しています。 5W入力時のVdd 13.8Vのときの出力は23Wでしたので、かなり理想に近づいて来ました。 現在、シングルプッシュプルですので、2パラプッシュにしたら、もしかしたら?と実験しましたが、13.8Vで30Wしか出ませんでした。 しかも電流は3.5Aくらい流れていましたので、効率も出力もダメと言う事でした。

平均出力10WのAM送信機のファイナル段の入力ドライブ電力を10Wまで上げると安い、DCDC電源用FETでも50MHzでPWM変調のAM送信機を作るれる可能性が出てきました。 これは面白くなってきました。 終段ドライブ用として10Wのアンプを検討する事にします。

ドライバーとしての10Wアンプは、リニアリティは必要ありませんので、ゲインだけは稼げるRD16HHF1にしました。

6mpa_with_10wdriver

7MHzの時のパワーアンプと同様に放熱板の上に、両面基板を敷いて、その上に立体的に回路を組みました。 この状態で、初段のドライバは12V駆動ですが、電流は1.5Aくらい流れて、終段のゲート電圧の波高値が+/-10Vくらいありますので、終段はほぼ10W近くでドライブされているようです。 

終段の電源電圧を6.9Vとした時の出力は10Wで電流は2.72A流れていました。効率は53%くらいです。

当初、ドライバー段に入力を加えた後、入力をOFFとしても、電流が流れ続きます。自己発振を起こしている状態でしたので、ドライバー段のドレインからゲートへCRによる負帰還をかけ、発振防止を施しています。

この状態での配線図です。AMTX_6m_PAmp_IRFI510_180509.pdfをダウンロード

期待しながら、13.8vの電源を確保し、送信ONすると、15Wしか出ません。 オシロでゲートやドレインの波形をチェックすると、もう50MHzの信号はどこへ行ったんだと言わんばかりのリンギング波形です。

ドライバー単独の場合、きれいな波形を見る事ができますが、終段回路が動作した途端、第2か第3高調波だらけの波形で、完全に増幅動作は麻痺していました。 やはり、50MHzともなると、7MHzのようにはいかないという事が良く判りました。 パワーアンプの構造を最初からやり直す事にします。

6mam_pa40w

6mam_pa10w

上のアンプが40W出力を狙う終段ステージです。 13.8Vの電源を使い、8W入力で35Wくらいを出力できます。 ただ、出力段の直列共振回路がうまく機能しません。10Wくらいの出力では、バリコンの回転に応じて出力が変化し、それなりの共振ポイントが得られますが、35W出力では、10Wの時の同調ポイントは変わらないのですが、ほとんどピークが判りません。極端にQが下がった状態です。

下の写真は、10W出力を狙うドライバーステージです。 最大出力は12V電源で12Wくらい有り、この時の入力は0.5Wくらいです。 ただし、入力のSWRは3くらいでアンマッチですが、実際の回路では、この前にDDSからの信号を8倍する逓倍回路が挿入されますので、問題ないでしょう。 このドライバーも出力が3Wくらいの場合、出力の直列共振回路は正常に機能しますが、12W出力の場合、終段ステージと同様、共振ポイントが見つかりません。

ふたつのアンプで出力の差があるにせよ、フルパワーの時、出力共振回路のQが大幅に落ちるのは、メガネコアの直流重畳による飽和ではないかと思われます。 丸1日かけて、作り直した終段とドライバーのステージですが、再度メガネコアから作り直す事にします。 

ドライバー段のメガネコアは現在終段に使っているESD-R-17S-1 のコアをドライバー段に移し替え、0.5W入力で12Wの出力を確保しました。 終段には、新たに、ESD-R-26Sというコア2個でメガネコアを作り実装し、40Wの出力を確保しました。 いずれの最大出力の状態でも、50MHzの共振動作が得られます。

6mdriver12w

6mfinal40w 

上の写真がメガネコアを載せ替えた12Wドライバー。 下の写真が新たにメガネコアを作った40Wファイナルです。 この回路では、電源ON直後に出力が大きく、時間が経つにつれ出力が下がる現象は有りません。 以前、この現象が顕著に生じていましたが、今は反対に電源ON直後数秒間は出力が増加しています。 出力が増加するのは、回路全体の調整ポイントが多少ずれているのが原因と考えられますが、最大の原因であった出力トランスの磁気飽和(DC電流とコアの発熱が最大の原因)は解消されたようです。

回路図6mpd180520.pdfをダウンロード

次に、このドライバーをDDS VFOからドライブするプリドライバーの検討です。 DDS VFOの出力は50Ωの出力インピーダンスで40mWしか有りませんので、これを0.5W近くまで増幅する必要があります。 この回路として、Pcが2WクラスのRFトランジスタを探しましたが、いいのが見つかりません。 よって、このプリドライバーもRD16HHF1を使用しますが、シングルアンプとする事にしました。 このアンプで出力0.4Wほど確保するにはA級増幅するしかなく、放熱板が無い状態で、フィンがあっちちになります。 結局このプリドライバーもドライバー段と同じような構造で、下の写真のようになりました。

50m_40w_amp

左下の横向き基板がDDS VFOの出力を0.4Wまで増幅するプリドライバー。 真ん中の横向き基板が0.4Wの入力を10Wまで増幅するドライバー。 右側の縦向きの基板がファイナルで10Wを40Wまで増幅します。 この回路が40W出力している時の全体の消費電流は10Aくらいになっています。

上の写真は、とりあえず、アルミシャーシの上に並べただけで、手を近づけたり、物を動かすと出力レベルや高調波レベルが変わり不安定ですので、これら3つの回路をシールドケースの中に収めるようにします。

50mhzvddpo

出力はVDD=6.9Vのとき、12W。VDD=13.8Vのとき、41Wとなりました。

肝心な電源電圧対出力特性ですが、左のグラフのようになりました。 緑の線が、完全なリニアリティ曲線で、赤の曲線がこのアンプの実測値です。 33W出力当たりまでは、ほぼ理想のカーブをしておりますが、それ以上の出力になると、パワーが伸びません。 また、低いVDDの場合、ゲートからドレインへのパワーの漏れが影響して、理想より大きい出力となっています。

この特性のアンプにAM変調を掛けたとき、約85%の変調度までは、ほぼリニアですが、最大変調度は92%程度となり、85%から92%までの波形は次第につぶれるようになります。 また、いくら変調度を上げても、キャリアはゼロにはならないというデータです。 このような特性のRFアンプにAM変調を掛けた場合、どのくらいの音質になるかは、PWM変調器を作ってから確認する事にします。 一応の目標は、80%くらいの変調度で、音楽がちゃんと聴ける程度とします。

RFブロックの回路図AMTX_6m_PAmp_40W180610.pdfをダウンロード

次は、DDS VFOから、このプリドライバーをドライブする8倍逓倍回路の製作にかかります。

6.25MHzのDDS出力を50MHzまで逓倍し、このパワーアンプをドライブする8倍 逓倍回路へ続く

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2018年3月10日 (土)

DDS VFOの製作 (AD9833)

<カテゴリー:DDS

アマゾンで安い中華製のAD9833ユニットを見つけ、HF送信機のVFOに使えないか事前検討をした結果、そこそこ使えるめどが立ちましたので、CW、AM送信機の外部VFOに仕上げる事にしました。

回路構成は、DDS VFOの実験の経緯から、16bit PICマイコンと、中華製基板をそのまま使って、パスコンの移動と、TXCOの電源を独立した回路を基本とし、10Hzスパンで1回転96パルスのロータリーエンコーダーと、1KHzスパンで1回転24パルスのサブエンコーダーによる周波数可変手段を持った1.8MHzから50MHzまでのハムバンドをカバーするVFOとします。

まずは、回路図です。

DDS VFO の回路図 DDS_multi_VFO180309.pdfをダウンロード

DDSはAD9833、 コントローラーはPIC24FV32KA302、LCDは新規に手配した16x2のパラレルドライブです。 25MHzのTXCOの電源を専用の3端子レギュレーターからドライブし、マイコンやDDSのデジタル回路電源から侵入するノイズを遮断しました。 また、DDSの3番ピンからAGNDへ落ちるパスコンC1は4番ピンへ最短で接続し直しています。 PICマイコンは、前回の実験で使用したものをそのまま使用しますが、前回の実験中に3端子レギュレーターが壊れた際、破壊されたRA0,RA1,RB0のI/Oは使用不能となっていますので、増加したLCDドライブ用端子を含め再配置しています。 

LCDは4bitパラレル駆動ですので、RB4~RB7へ割り付け、同一ポートの他の端子に影響が出ないようソフト面で配慮しました。

ロータリーエンコーダーは10Hzステップと1KHzステップを用意し、バンドによってはステップ数を変更しています。 バンドは1.8MHzから50MHzまでの10バンドですが、このセレクタとしてロータリーエンコーダーを使っていますので、IF周波数を考慮したオフセット周波数のバンドが増加しても、ソフト対応のみで、最大63バンドまで確保できるようになっています。

最高周波数を8MHzくらいと置きましたので、50MHzの場合、8逓倍必要です。 少しでも周波数の分解能を上げる為、周波数指定は0.1Hz単位とし、DDSのレジスターに書き込む場合の乗数kdは一桁落とし、1.073741824を使っています。 LCDへ周波数表示する場合、1/10してから表示します。

 Multivfo

上の写真はバラック状態の全回路です。

Multivfo1

Multivfo2

左上が基板の表側、右上がチップ部品装着面です。 私の基板は日圧のコネクターを多用しますが、ほとんどが、2mmピッチのPHタイプです。蛇の目基板の2.54ピッチと合わないので、ドリルで2mmピッチの穴を明け直して実装しています。 最近、秋月で2.54x2mmの基板が発売されるようになりましたので、今後、この基板を採用する機会が増えそうです。

DDSの出力の後にポストアンプと5次のLPFを実装してあります。 LPFは8MHzくらいをターンオーバーとするLPFですが、特性から算出した定数の場合、要求される値の部品を手持ちしていない事が普通です。 そこで、手持ち部品から特性を計算させ、そこそこの特性が得られるように定数を吟味するソフトを探したところ、以下のURLが見つかりました。

 
ここの計算シートを使い得られたLPFの特性は以下のようになりました。

8mhz_lpf

8mhzlpf

4.5MHz付近で5dB近く減衰が増えていますが、ちょうどDDSのDAC出力もこの付近の周波数から、周波数が高くなるほど、減衰していますので、出てくる出力は補正され、フラットに近くなっています。

このLPFを実際に構成した状態は、左の写真に示すように3個のチップコイルと2個のコンデンサです。実際の回路ではコンデンサが368PFという特殊値ですから、それぞれ3個のコンデンサを積み上げて作っています。 基板の占有面積は7.5mm x 5mmくらいで、ちゃんと使える特性を得ています。使ったコイルは太陽誘電製のLBM2016という型番のチップインダクタです。(RSでMOQ (Minimum  Order  Quantity) 25の条件で1個13円)

基本動作はOKとなっていますので、これから、ケースに収納する事にします。

ケースは生両面基板で箱を作りシールド構造とし、AM送信機が200Wフルパワーでも、異常が起きないようにします。

Ddsvfofrontpback

Ddsvfofrontptop

プリント基板の板を互いにハンダ付けして四角い箱を作るわけですが、メンテの為、箱の裏板はビスで止め取り外しができるようにします。

Img_4469

Ddsvfoback

左上はbox内の配線状況、上の方に裏板が見えます。この裏板でboxに蓋をした状態が右上です。VFO出力は左中央の小さな同軸コネクタから取り出します。右中央のコネクタは電源とTX側からのstand-by処理をするコネクタです。

Ddsvfoback2case

Ddsvfobackcase

シールドboxからケースの端子へコネクタで配線とケース後側の端子類です。DC Jackとスタンバイ用Jack及びRF出力用のBNC端子です。

Ddsvfofront

全体を100円ショップのプラスチックケースに収納した状態です。 見栄えを確保する為、インクジェットプリンターでレタリングをフォト印刷紙へ印刷し、フロントパネルの両面基板に貼り付けてあります。

この状態での信号出力波形とそのスペクトルは下の写真の通りです。 第2高調波レベルは-30dBくらいですが、これは特に問題は有りません。

信号純度に関係するスペクトルですが、今までのDDS実験記事で紹介したどれよりもきれいに見えます。 そして、実際のビート音も、CW送信機でも使用できるレベルです。

Ddsvfo7mhz

Ddsvfo7mhzspctr_2

最終配線図DDS_multi_VFO180406.pdfをダウンロード

ラスト周波数メモリー付のソースリスト DDS_multi_VFO_ACM1602K.cをダウンロード

CALスイッチがONの時、LCDで表示された周波数の信号が出力され、OFFの場合は出力なしとなります。 LCD表示は、送信の時も受信の時も常時周波数を表示していますが、送信及びCALオンの時だけDDSが指定周波数の信号を発生させ、受信時は周波数が0Hz(信号なし)となります。

DDS VFO 逓倍回路付(1.8MHz - 50MHz)  へ続く

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2018年2月 5日 (月)

DDS VFOの実験(AD9833) 3

<カテゴリー:DDS

中国製基板によるAD9833ユニットの動作は問題ないのですが、その発振信号の純度というものは、とても短波帯の送信機に使えるものでは有りませんでした。 この信号純度というのは、なにも高級なスペアナでそのレベルを判定するような計測数値でなく、SSB受信機で、この信号のビート音を聴感で聞いたとき、だれでも、きれいか汚いか即座に判別できるものです。

最近、この中国製AD9833のユニットが、送料込で650円まで値下がりしていますので、基板を改善して通信用送信機で実用になるDDSに仕上げる事ができないか実験する事にしました。  以下、信号純度確保の始末記です。

中国製の基板からICを取り外し、秋月のMSOP変換基板に載せ替えて見ました。

Ad9833_2

Ad9833_7100khz_new

左上がオリジナルの中国製基板による7100KHzの信号。 右上はICは同じもので、秋月の変換基板に移し替えた時の7100KHz信号です。 ピークレベルに違いはありますが、明らかに右側のスペクトルのスプリアスは小さくなっています。 この右側の音をTS930で聞いてみますと、S9以下の場合、ビート音に違和感はありません。 しかし、ビート周波数を200Hz以下にすると、ハム音の濁りは残り、+40dBくらいまでS/Nが向上しますとビート音の濁りが若干気になります。

そして、7200KHz以上で聞こえるAM放送局のキャリアによるビート音にはかないません。

Gndrayout_3

左の文章は、AD9833のデータシートに書かれた「グラウンドとレイアウト」という文章の一部です。 信号純度を保つ為のノウハウが記述されており、これを可能な限り忠実に再現すれば、アナデバが意図した性能が得られるはずです。 

この記述をベースにオリジナルの中国製基板を見てみます。

Ad9833_2

左下の写真はオリジナルの基板からAD9833を取り外した状態です。写真の写りがあまり良くないので、銅箔パターンを青色でなぞってあります。この基板の最大の問題点は、DGNDとAGNDをスルーホールで接続して、なおかつ、3番ピンのCAP端子からのパスコンのGNDをAGND側に落としてあるという事でしょう。 ここは、黄色のラインで示すように、4番ピンへ最短で接続すべきです。 また、 ピン番号6,7,8のデジタル信号ラインはICの底面を通過してはいませんが、ICの底面はAGNDで覆えという要求は全く無視されています。 もちろん、AGNDはこのユニットの先にアンプやフィルター回路が入る為、それらの回路を含めてDGNDと結合しなければなりませんので、少なくともこのDDSユニット内では接続していはいけません。 先のアナデバの最後の文章の意味は、IC装着面はGND面だけにして、ハンダ面すなわちIC装着面の裏側に信号ラインを配置しなさいと言う意味になります。

Msop10_pcb_2

左は秋月で販売しているMSOP 10Pの変換基板です。 ICの底面に信号ラインの配置が無く、底面は裏側のGND面にスルーホールでつながれています。 当然各ピンは独立していますので、AGNDをこのGND面に接続してやればアナデバが要求する条件はほぼクリアーできそうです。

問題があるとすれば、0.5mmピッチの端子を2.54mmピッチの端子へ拡大する為のストリップラインが長い事です。 実はこれが、時々信号が出なくなる原因のひとつになっていました。

アナデバの推奨回路に10μFと0.1μFのコンデンサをパラ付した例が書かれていますが、この10μFはタンタルコンデンサを想定しています。タンタルコンデンサはかなり高い周波数までインピーダンスを低くく抑える事ができますが、やはり限界があり、その限界は0.1μFのセラミックコンデンサでカバーさせている訳です。

近年、セラミックコンデンサの技術レベルは非常に向上し、100μFのセラミックコンデンサが実現できるようになりました。 MLCCと言われる積層セラミックコンデンサで、0.1とか0.47とか無意識に使っています。 当然、同じ容量値ならタンタルコンデンサよりMLCCの方が性能がよく、10uFの要求容量にMLCCを充当すれば、0.1uFのコンデンサは不要になります。 しかし、いい事づくめでは有りません。 MLCCはDCがバイアスされると容量が大きく減少する性質があり、5V DCにて公称容量が約半分になってしまいます。 それでも。高周波域のインピーダンスは同じ公称容量のタンタルコンデンサよりは優秀です。

Ad9833mod2akiduki

左の基板は秋月の変換基板(左側)にAD9833と3個のバイパスコンデンサ、アナログ出力ピンにハイカットの15PFを付けたものです。右側の基板は中国製AD9833基板の25MHz発振ユニット部分のみを切り取り発振回路を動作させその出力をAD9833に供給している状態です。

この状態で7100KHzを出力した場合のスペクトルが最初に掲載したスペアナ画像です。

ここまでの記述では、いかにもうまく行っているように見えますが、 実は、周波数を可変すると時々信号が出なくなったり、設定以外の周波数になったりしていました。 最初、この制御に使ったPIC16F886のソフトが悪いのではないか? ICを載せ替えた時、ICを壊してしまったのではないか?と色々検討しましたが、原因が判りません。 約2週間検討の結果、25MHzのOSC基板のGNDとAD9833のDGNDが遠すぎるという事と、 OSC出力にノイズ(ジッタ)が誘導し、ICの内部クロックが安定しないというのが原因でした。 この状態での信号純度は決して満足できるものではありませんが、 受信する方が我慢すれば送信でも使えるレベルになりました。

Ad9833mod3

中国製のオリジナル基板のままで、改善は出来ないものか、オリジナルの基板に戻し、3番ピンからAGNDに落ちる10uFのGNDを銅箔テープでDGNDへ移してみたのが左の基板です。

オリジナル基板より若干信号純度は改善しましたが、とても送信機に使える状態ではありませんでした。

このAD9833は外付け部品が少なく、DDSを簡単に構成できますが、送信機に使う場合、必ず、その信号にビートをかけて、低周波にした時の濁りを確かめてから使う事にします。

信号純度は基板のGND処理でも大きく変動しますが、一番の要素は基準発振器25MHzの純度になります。 それに気付いて、25MHzの基本波をTS-930で聞いてみました。 結果は、このDDSが発生する7MHzの信号の濁りと同じでした。 そこで、この25MHzの基準発振器を色々変えて見る事にしました。

Original

74hc74

Trbe

上の3枚のスペクトルは左から、中国製基板に付けられていた25MHz発振器、真ん中は秋月から購入した50MHz TXCOを74LS74で1/2分周した25MHz、一番右は25MHzのクリスタルと2SC1712YでピアースBE回路で作った発振器からの25MHzです。 スプリアスの程度は右が一番良くて左に行くほど順に悪くなっていますが、一番右は温度補償が一切されていないという重欠点がありますので、スプリアスが良いからトランジスタによる発振回路を採用するという選択肢はありません。

TXCOの信号純度はバイポーラ回路よりCMOSが悪いと言われていますが、結局それは電源のノイズにより変化すると言う事が遅まきながら理解できましたので、中国製の基板に付いていたTXCO(これはCMOSです)の電源をマイコンやDDSから独立させてみる事にしました。

7mhz

左は、そのように回路を改造した時の7MHzのスペクトルです。

従来のスペクトルよりかなり良くなっており、実際にSSBモードでビート音を聞いた感じでは、放送局のキャリアには負けますが、汚いと言われないレベルまで改善しました。 これなら、CW送信機やSSB送信機でも、もちろんAM送信機でも使用可能と思われます。

これまでの配線図DDS_VFO180223.pdfをダウンロード

Spiio

時々、信号が出なくなる原因が、8bit SPI信号を2回送って16bitデータを構成する方法かも知れないと、PIC内臓のSPI機能は使用せず、i/oを直接たたいて、SPI信号を作っていますが、時々信号が出ない現象は改善されませんでした。

原因は前述のごとく、OSC回路のGND引き回しでしたので、SPIの問題ではありませんでしたが、せっかくこのソフトを作りましたので、この部分はこのままで残す事にします。

ここまでの状態のPICマイコンのソフトは以下の通りです。

DDS_VFO_unit.cをダウンロード

このソフトの中には、24接点のエンコーダーから96パルスの変化を得る定番のソフトと、24パルスで10KHzスパンで変化するソフトが入っています。 ただし、10KHzスパンの動作は時々誤動作します。 原因はチャタリングと摺動ノイズみたいです。 この部分は、最終的に、この回路をVFOに仕上げるときまでに改善する事とし、現状のままです。

DDS VFOの製作 (AD9833) へ続く。

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2018年1月 8日 (月)

DDS VFOの実験(AD9833) 2

<カテゴリー:DDS

1回転24パルスの機械式ロータリーエンコーダーによるVFO周波数可変機構の改善をテーマに実験を続けております。

前回までの実験で、時々周波数が1KHzや2KHzいきなり飛ぶという現象があり、その原因が不明でした。 数日置いて再考察した結果、エンコーダーのチャタリングではないか?とデジタルオシロを物置から引っ張りだして、波形を観測する事にしました。

Dds_slow103k

Dds_mid03k

左上はゆっくり操作中に発生しているチャタリングです。右上は中速操作時に発生したチャタリングです。 時々、数KHzで周波数が飛ぶのはこのチャタリングの性です。一度割込みが掛かったら3ミリ秒間は次の割込みを禁止していますが、左上の例では、この禁止期間が過ぎても、まだチャタリングが発生し続けていますので、この時、周波数飛びが起こるようです。 右上の例でもチャタリングの長さが3.5msecくらいで、この時も、周波数飛びを起こしています。

Dds_slow333k

そこで、現在、チャタリング対策として挿入しているコンデンサを0.01uFから0.033uFに変更しました。  左はその時のロータリーエンコーダーの波形です。 かなりのチャタリングを押さえた波形です。

この状態でテストを行うと、周波数が数KHz飛ぶ現象が大幅に減少しました。

TS930やFT991のメインダイヤルを回すと、ビート音がスムースに変化しますが、1回転24パルスでは段階的に変化し、とても「スムース」という表現が当たりません。 そこで、最少可変ステップを10Hzから20Hzに変更し、その上のステップも100Hzから200Hzに変更しました。 これで、周波数の変化速度は速くなりましたが、当然ながら1回転100パルスのFT991のフィーリングには及びません。

現在エンコーダーのA端子で割込みをかけ1ステップ変化させている状態ですが、さらに、B端子がHからLになった時も割込みをかけ、1回転で48回割込みが発生するようにPICのi/oを変更しました。 これで、エンコーダーが1回転すると周波数は960Hz変化し、FT-991の1回転1000Hzとほぼ等しくなります。

Dds_high333k左はかなり高速で一気に回した時のエンコーダー出力です。A相またはB相だけのパルス間隔は最少で約2.6msecくらいあり、AからBへの最少間隔は1.3msecしか有りません。 一度割込みが掛かると3msec割込みを禁止していますので、この例では、カウントしていない事になります。  

この状態でテストしていますが、現在のエンコーダーはクリック付の為、ワンクリックで40Hz変わってしまいます。 クリックとクリックの中間点で20Hz変わっていますので、1回転960Hzを20Hzステップでカバーしている事は確かです。 そのため、実験の途中でノンクリックタイプに変更しました。結構スムースになりました。

Dds_chata_333k

しかし、この状態でも時々チャタリングが発生し、周波数飛びが起こります。 左の画像はコンデンサを0.033uFにした時に起こった摺動ノイズ波形です。 摺動ノイズはチャタリングとは言いませんが、スイッチの摺動面の接触が悪い時に発生し、メカニカルタイプのエンコーダーでは宿命的なものです。 コンデンサ0.033を0.047とか0.1とかに変更するアイデアもありますが、ここら辺がメカニカルエンコーダーの限界かも知れません。

同調操作のフィーリングは、市販のトランシーバーにはとても及びませんが、エンコーダーのコストを考えると、そこそこ使えるダイヤル機構が出来上がってきました。 前回の記事で紹介した通り、これはKENWOODの特許でした。 いまでも有効かどうかは調べていません。 個人で使う場合、問題ないでしょうが、商品に組み込んで商売をすると抵触する可能性があります。

Dds_pcb_a

Dds_pcb_b

Dds_rfout

RF出力レベルが小さいので、ポストアンプの回路を変更し、コレクタ側に共振回路を設け、出力は2次コイルから取り出す方式としました。 出力端子に5Vppの信号が得られるようになりました。 下側が多少歪んでいるのは、振幅の最大付近でクリップしているもので、高調波は増えますが、信号の濁りとは関係ありません。 

このDDSの信号がKEMのトランシーバーに使われているAD9834より濁っていますので、両方のスペクトルを確認してみました。

左下がAD9833、右下がAD9834です。 新スプリアス規制は両方ともクリアーしていますが、左側(AD9833)がノイズぽく見えます。 多分、ICの問題では無く、基板のパターンの性と思われます。

AD9834の方は、それほど濁りは感じませんが、以前作ったPLLによるスペクトルに比べると、両方のDDSともノイズフロアがはっきりと汚いですね。 これが濁りが多い原因でしょう。

今回採用した中国製の基板を使わず、ユニバーサル基板上にデジタル/アナログGNDを分離したパターンを描けば改善されるかも知れません。

Ad9833

Ad9834

 

ここまでの配線図7MHzDDS180113.pdfをダウンロード

アナデバの推奨回路定数では、C1は104と106のパラ接続となっておりますので、現在の104に106をパラに追加してみましたが、キャリアの濁りは少しは改善したようなトーンになりましたが、アナデバがデータシートで表示しているノイズフロア-80dBくらいの音にはなりませんでした。

ロータリーエンコーダーのB端子からの割込みを受け付けるようにしたソフトは以下です。

INT2からの割込みルーチンが残っていますが、LPFの特性検討の為に残してあり、現在はこのコネクターには何も接続していませんので、INT2からの割込みはかかりません。

DDS_7MHz180108.cをダウンロード

割込みエッジを選択可能な外部割込端子を後2つ確保できるPICがあれば、1回転96割込みのエンコーダーが実現できます。 しかし、チャtリングの吸収の為、この短い周期では、アップダウンしないと思われます。 1回転96パルスの場合は、エンコーダーを2個用意して、FT991と同様な方法が操作性はよさそうです。 エンコーダーを1個にこだわるなら、48パルスで20HzステップのVFOが妥当なところかも知れません。 

その後、TS930をLSB受信モードにして、同調操作を何回もトライしました。 その結果は私の判定としてNGでした。 チャタリングと高速回転の切り替えタイミングがどうしてもうまくいかず、そこそこの操作フィーリングが得られるように設定すると、周波数飛び(チャタリング)が発生します。 3週間くらい、パラメーターをいじくりましたが、結局妥協点すら見つけられませんでした。

Kenwoodのトランシーバーでの採用実績が無い事、TS-850でも2つのエンコーダーでこの問題を解決している事などから、この特許はアイデア倒れのしろものでした。 今後、DDSを使った同調システムは2つのエンコーダーで対応する事にします。 

ビート音の濁りの改善に続く。

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2018年1月 3日 (水)

スピーカー出力小(低域出ず)

<カテゴリ:TS-850>

AM受信機専用として使っていました、TS-850ですが、自作のDSP受信機が調子が良いので、しばらく通電もしていなかったのですが、約1年ぶりに電源ONしてみました。 すると、スピーカーから出る音が極端に小さくなり、かつ低域の音声がほとんど聞こえません。

電源ONしたのが、2018年の正月3日。 幸い、暇ですので、修理する事にしました。

スピーカー出力側から、オシロのプローブを当てていくと、異常個所はすぐに見つかりました。 オーディオパワーアンプの出力カップリングコンデンサC187の両端で出力レベルが10dB以上の差が生じております。

Ts500_apaschema

Ts850_apa470mf

Ts500_apaceng

このコンデンサの近くに以前、液漏れを起こした電解コンデンサがあり、同様なタイプでしたので、液漏れかも知れないとこのコンデンサを外してみました。 外したコンデンサは液漏れの形跡が有りますが、もれた液はすべて蒸発してしまい、テスターを当てても電解コンデンサ特有の針の振れはありません。

左上は取り外したC187、右上は、C187を外した後の基板状態ですが、今回は銅箔の腐食は有りません。

Ts850_cechange

定格は10V470uFですが、あいにく手持ちが有りません。ジャンクの基板から16V470uFというコンデンサを抜き取り、仮配線にて実装すると、音は正常に戻りました。 ただ、この16V470uFのコンデンサはすでに足を短くカットされていましたので、そのままでは基板に実装できません。 そこで、すぐ近くに有った同じようなサイズの電解コンデンサにロックタイで縛り付け、写真のごとく配線しました。低周波ですので、全く問題有りません。

今回の故障修理を境にTS850はまたAM専用受信機に戻りました。

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2018年1月 1日 (月)

DDS VFOの実験(AD9833) 1

<カテゴリー:DDS

Dds_ic

QRHの無い、安定した高周波発振器用として、DDSのICが最近安く手に入るようになってきました。ICと基準周波数発振器を表面実装した基板状態の商品がアマゾンで売られています。 DDSは性能的になにもケチをつける事はないのですが、その周波数の可変に大きな不満がありました。 それは、同調操作という純アナログ的な周波数選択操作です。 DDS周波数は数値で制御されるため、その数値を増減しながら周波数を目的の値に設定する訳ですが、SSBモードでも実用可能な10Hzステップ可変でハムバンドの下限から上限まで移動するのは簡単ではありません。 これを少しでもスムースに行う為に、1回転で1000パルスを発生させ、10回転で100KHzをカバーさせるようなロータリーエンコーダーが使われていました。このようなロータリーエンコーダーは精密機械に属し、その価格は非常に高価で、かつ物理的に大型つまみでしか実現できませんでした。 せっかくDDSのICが安くなっても、この周波数可変の部分がネックとなり、アンテナアナライザやVFOの原発振器としては利用しにくく、今まで避けてきたところです。

最近の普及価格帯のSSBトランシーバーはこの辺の使いにくさを、周波数ステップの異なるふたつのロータリーエンコーダーでカバーさせ、10HZステップのエンコーダーが高価になるのを回避していますが、それでも10Hzステップのエンコーダーは、1回転100パルスを発生出来、私が簡単に手をだせる価格やサイズでは有りません。

RSで手に入る、安いけど品質は問題なしの、ALPS製1回転24パルスの機械式ロータリーエンコーダーにて、この使いにくさをどれくらい改善出来るかの実験記です。

まずは実験回路図です。7MHzDDS180101.pdfをダウンロード

DDSをコントロールするマイコンはPIC24FV32KA302です。周波数表示は99円のLCD。そして、2個のロータリーエンコーダーを実装できるようにしました。

目標とする発振周波数は7MHzから7.2MHzでこの200KHzの範囲を10Hzステップで可変させます。 SSB受信機で7MHzを受信しようとした場合、実際のVFO周波数は受信周波数±IF周波数になりますが、IF周波数が決まっていませんので、IF周波数はゼロとして実験します。 IF周波数がいくらになろうがカバーが必要な帯域200KHzは変わりません。 1回転24パルスのエンコーダーの場合、833回転でやっとカバーしますので、2度と触りたくないというVFOです。

Dds_pcb

Dds_lcd

左上はPICとDDSを実装した実験基板、右上はテストで2MHzを発振させている時のLCD表示で、最下位は10Hzです。

Idds_2mhz

Dds_7mhz

左上は2MHzの出力波形、右上は7MHzの出力波形です。いずれもDACの出力をそのまま表示していますので、綺麗ではありません。実際に使う時は7MHzのBPFを挿入しますが、今回の実験ではこのままです。

Dds_spi

左は、PICとDDSを結ぶSPIラインのFSYNCとSCLKの波形です。周波数設定は28bitを14bitに分割し、2回に分けて送信しますが、この実験機では、LSB,MSBを両方セットしたとき、周波数が変更されるモードで使用しています。

当初、SPI通信がうまくいかず、クロックの極性がアクテイブ LOWであるという事に気付くまで足かけ2年(12月31日から1月1日の昼まで)悩みました。

DDSとの通信クロックは約1MHzで行っています。ちょっと早い感じがしますが、RF混入で問題が有る場合、フィルターを強化する度合いによりクロックレートは下げる予定です。

AD9833が動作するまでの、XC16によるソフトを説明します。

SPIの初期設定です。 メインのイニシャル関数initMain()のなかで処理しています。

SPI1CON1 = 0b0000011101110010;//
SPI1CON2 = 0b0000000000000000;//
SPI1STATbits.SPIROV = 0;
SPI1STATbits.SPIEN = 1;//SPI1有効化

SPI1CON1にてマスターモード 16bit、プライマリ1/4、セカンダリ1/4、クロックactive_Lを設定します。

DDSへの書き込み関数です。

// DDS 書き込み
void DDSwrite(unsigned int data) {
    SPIFlg = 0; //DDS FSYNC 0(CEをL) 
    __delay_us(1);
 SPI1BUF = data;
    while(!SPI1STATbits.SPITBF);
    __delay_us(20);
 SPIFlg = 1; // CEをH
}

20usの遅延時間は16bitの送信が終わるまでをオシロで確認しながら決めました。

マイクロチップが公開しているSPIのリファレンスマニュアルによると、16bitのデータ送信が完了すると、SPI1IFというフラグがセットされるらしいのですが、いくらやってもこのフラグがセットせず、やむなく遅延時間を入れてCEの信号を作成しました。 また、SPITBFフラグも役立たずで、このwhile文も削除しても動作に影響は有りませんでした。

DDSのイニシャライズです。

void initDDS() {
 DDSwrite(0x2100);//DDS reset
 DDSwrite(0xC000);//PHASE0 0
 DDSwrite(0xE000);//PHASE1 0
 DDSwrite(0x2000);//16bit連続2回送信にて周波数確定
 Freqwrite(Freset,0);//reg0に1MHz書き込み
 Freqwrite(Freset,1);//reg1に1MHz書き込み

DDSにリセットをかけますが、位相、周波数レジスタともにクリアされません。 従い、初期値が存在してはならないデータになっている可能性が有り、何が起こるか判りませんので、それぞれのレジスタにダミーデータを書き込んでいます。 最初の行でセットしたRESETビットは4行目の0x2000のコントロールコマンドでRESETビットも落とし、RESET終了としています。

このAD9833のイニシャル設定は、アナデバが公表している資料によると、ここで示した各コマンドの送出順序と異なる事がわかりました。 もし、この順序でうまく動作しない場合、アナデバが公表しているこの資料を参照して下さい。

周波数の設定

FREQREGの値はAD9833の仕様書から周波数x(2^28/25MHz)で計算されますので、(2^28/25MHz)部分をKdと置き、値は10.73741824という実数になります。 しかし、この発振器の周波数は10Hz単位の表示ですので、実際に計算する場合、Kd=107.3741824という数値に定義し直しています。

void Freqwrite(unsigned long int FQ, unsigned char ML) {
 unsigned long int Freg;
 unsigned int MLset,MFreg,LFreg;
 double DFreg;
 if (ML == 0) {MLset = 0x4000;} else {MLset = 0x8000;}
    DFreg = FQ;
 Freg = (double) (DFreg * kd); 
 MFreg = (Freg >> 14) + MLset;
 LFreg = (Freg & 0x00003FFF) + MLset;
 DDSwrite(LFreg);
    __delay_us(20);
 DDSwrite(MFreg);
}

この関数の中で引数MLは周波数レジスター0か1を指定するものです。

ロータリーエンコーダーによる周波数のアップ、ダウンは、A,B 2bitを定期的に監視して、基本パルスの4倍の分解能(1回転96パルス)を得る手法が一般的ですが、この方法ではエンコーダーの回転速度を検出できないので、今回はINT1と2からの割込みで割込み周期を計数するとともに回転方向を検出する方法にしています。 エンコーダーの回転速度を検出する必要が有る理由は後述します。 従い、1回転24パルスが基本となります。 ソフトの内容は添付ソースファイルを参照下さい。


周波数可変の設定は、ロータリーエンコーダーRE1は10Hzステップ、RE2は1KHzステップ可変です。 200KHzをカバーするのに、RE1だけなら、833回転ですが、RE2だけの場合、8.33回転で済みます。

このチューニング感覚はYAESUのFT450とかFT991と同じで、コンテストのときなどに多用しますが、さすがに10Hzステップのダイヤル操作は同じ感覚とは言えません。ここら付近が改善のポイントと思われます。

現時点でのソースファイルです。 DDS_7MHz180101.cをダウンロード

ファイルの中に、EEPROMのアクセス関数がありますが、この実験では使用していません。

ここまでは、何の工夫も加えられていません。 そこで、いつかは実験しようと考えていた、2個のエンコーダーを1個にして、同様な効果が得られないかトライする事にします。 ヒントは20年くらい前に聞いたKENWOODが保有していた特許です。 

この特許のアイデアは非常にわかり易く、ゆっくりエンコーダーを回転させた場合、周波数もゆっくり変化するが、早く回転させた場合、周波数変化ステップが大きくなり、回転速度以上の速さで周波数が変化すると言うものでした。 具体的には、ゆっくり回転している場合のアップダウンステップは10Hzですが、早く回転させると、アップダウンステップが100Hzに自動的に変わるというものです。

この話を聞いて、すぐにSSBトランシーバーのダイヤル機構を思い浮かべたのですが、私の知る限り、このような機能を設けたトランシーバーは有りませんでした。 理屈は正しいけど、実際に使用した場合、問題があり、実用化されなかったのか、私の知らない所ですでに実用化済みなのか、あるいは、この話の出所が、KENWOODのオーディオ製品を扱う関係者からの話でしたので、トランシーバーを扱う関係者へは、周知されていなかったのでは?と勝手に想像しながら、過去20年間ずっと疑問のままでした。 

そこで、この実験機の10Hzステップのエンコーダー側に、エンコーダーのパルス間隔が50msec以下になったら、ステップを100Hzに変更するプログラムを仕込んでみました。 結果は考えた通りの動作を行い、ゆっくりの場合1回転で240Hzしか変化しないのに早く回すと2KHzくらい変化します。 ただし、LCDの数値変化を見ているだけなので、実際にSSB信号を聞きながら操作した訳ではありません。 従いチューニング操作のフィーリングは判りません。

理屈的にはスピード判定を2段階で行い、最少ステップ10Hz、中間ステップ100Hz、最高ステップ1KHzで操作できれば、百数十円のエンコーダー1個でかなり経済的なVFOができそうです。 ソフト的には簡単に実現でき、10Hzの分解能を得ながら、簡単に200KHzの幅の可変が出来ます。 しかし、これでダイヤル操作のフィーリングがHFトランシーバーと同等なのかは判りません。 LCDの表示を見ていると、数KHz飛んだりと、スムースに変化はしていないようです。 

DDS_7MHz180102.cをダウンロード

例えば、7100KHzから7150KHzに周波数を変えようと、エンコーダーを回します。 7145KHzくらいまでは、スムースに素早く変更されますが、その後、回転速度を落とし、後2KHz以内くらいになったので、さらに回転速度を落としますが、意に反して周波数は7150KHzを飛び越えてしまいます。 仕方がないので、回転を反転しますが、ゆっくりやると10Hzステップでしか、変化しないので、少し早く回したくなります。 すると、またも行き過ぎて、周波数は7150KHz以下になってしまいます。 この現象は何回操作しても同じように繰り返されます。 

しばらく、時間をおいて原因を考察した所、割込み処理時、CNTをクリアーしていますが、このタイミングが悪そうです。 割込み発生から、しばらくは次の割込みを禁止していますが、CNTクリアーはこのディレー設定の前で行わなければ、意味が無い事がわかりました。 このアイデアに対応したソースファイルは以下です。

DDS_7MHz180104.cをダウンロード

CNTクリアーの位置を変更し、いくつかのパラメーターを調整すると、かなりスムースに目的の周波数に合わせ込む事が出来るようになりました。 しかし、まだ、時々、目標周波数の500Hzくらい手前で1KHzくらいジャンプする事があります。 しばらくは、パラメーターを微調整してみる事にします。

正月休みの最終日の夜、風呂に入っていたら、改善アイデアが浮かびました。 エンコーダーのパルス間隔を1msec単位でカウントしていますが、この時のタイマー1の割込み優先度より、エンコーダーの回転検出のINT1,2からの割込みの方が優先度が高く、INT1,2からの割込み処理中はタイマー1からの割込みがブロックされている可能性がありました。 また、INT1,2からの割込み処理が済んでから、タイマー1による割込みによるカウンターをクリアーしていましたので、正確にエンコーダーのパルス周期をカウントしていない可能性もありました。 

そこで、まず、エンコーダーからの割込みよりタイマー1からの優先順位を上げる事にしました。 そして、タイマー1によるカウント値CNTもエンコーダーから割込みが有った直後にiCNTという変数に退避させた後クリアーする事にしました。 さらに、1KHzステップで変化する場合、最初のインクリメントまたはデクリメント時、100Hz及び10Hzの値は00に丸める事にしました。 例えば、7100,57という周波数でインクリメントした場合、最初は7101.00となり以降1KHzステップでアップしていきます。 デクリメントの最初は7100.00となり、以降1KHzでステップダウンしていきます。

同様に100Hzステップの場合も10HZの数値を最初0に丸めてからアップ、またはダウンさせるように変更しました。

この状態のソースファイルです。DDS_7MHz180106.cをダウンロード

1KHz、100HzのiCNTしきい値も微調整した事で、かなり素早く目標周波数に合わせこむ事が出来るようになりました。 ただし、まだ完全ではなく、行き過ぎも頻度は少なくなりましたが発生します。 

DDSに連続して書き込むと、近傍のスプリアスが増え、ビート音が濁って聞こえます。 従い、周波数に変更が無い時はDDSに書き込まないようにしました。 しかし、それでもビートの濁りは消えません。 原因はこの表面実装の基板の中で、DGNDとAGNDをつないである事かも知れません。 ICの足も、インターフェース用の出力ピンもわざわざ独立しているのに、基板内でショートしてあります。 ICの足を浮かし、AGNDを独立させる事を試みましたが、作業の途中で銅箔がはがれてしまい、動作不能に。 

Dds_add_475k

やむなく、予備の基板に交換し、DDS ICの周りに付けられているVCCとGND間のチップコンデンサにパラに4.7uFのチップコンデンサを3個追加しました。 少しは改善しました。S/Nが悪い時はあまり濁りは気になりませんが、S9くらいの強度の信号の場合、まだ濁りが気になります。 この濁りの程度は、以前PLLの7MHz VFOを実験しましたが、それよりかなり悪い状態です。 フィルター前の波形はかなり汚いので、オシロで見てもかなり綺麗に見える2MHzくらいを出力し、TS-930で聞いてみましたが、濁りの程度は変わりません。 もしかしたら、ICそのものの性能かも知れません。 アナデバのDDSを使ったKEM設計の7MHz CWトランシーバーを持っていますが、この受信音は、濁りを全く気にする事が有りません。 チャンスがあれば、両者のスペクトルをスペアナで確認してみる事にします。 

本来の実験テーマである、安いロータリーエンコーダーによる操作性改善は、ソフトの改善アイデアも手詰まりになりましたので、新しいアイデアが出るまで、ソフトやハードの更新は休止します。

Dds_71mhz

DDSのAD出力端子に7MHzのBPFを追加し、1石アンプで増幅しました。 左の波形はRF OUTの出力コネクター部分の波形で、1.5Vppのレベルです。

この状態での配線図です。

7MHzDDS180106.pdfをダウンロード

この基板で信号純度の改善検討を行っていましたが、その途中で、5Vの3端子レギュレーターが入出力ショートモードで壊れてしまい、その結果5Vラインに12Vが流れ込み、PICkit3とLCDそれにLCDがつながれていたPICのI/O3ピンが壊れてしまいました。 3端子レギュレーターはNJM2845といICでしたが、このICは出力をGNDへ短絡すると、入出力ショートモードで破壊するようです。 この破壊モードは今回が初めてではなく、AM送信機検討中も同様な破壊モードになり、多くのICを壊してしまいました。 7805タイプの3端子レギュレーターは電流リミッターが働き、ショートモードで壊れる事は有りませんが、このICは違うようです。 2度と使わない事にします。

PICkit3が壊れるまでの間に変更を加えたソフトの最終状態は以下でした。

DDS_7MHz180210.cをダウンロード

 DDS VFOの実験(AD9833) 2へ続く。

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2017年8月25日 (金)

ブールバール通り

カテゴリ <QSLカードの題材

国内、海外を問わず、コンテストによる交信でも交信証明書(QSLカード)を発行しておりましたが、2018年より、コンテンストに限り、私からのQSLの発行を中止する事にしました。 ただし、QSLカードを送付していただいた方には送付する事にします。

JR西条駅から広島大学を結ぶ、中央分離帯付、片側2車線のメイン道路です。この途中に鏡山公園があります。

Saijouchuou20090711 2009年7月11日 撮影

I2011120 2011年11月20日 撮影

20130203blubarl 2013年2月3日撮影

20150403toshokanmae 2015年4月3日 中央図書館脇より

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2017年8月15日 (火)

12V→19V DC/DCコンバーター(車内PC用電源)

車で移動運用する時、車内でPCを使う為に車用12V電源からノートPC用の19V電源を作る為の昇圧型DCDCコンバーターの製作です。

車内でPCを使う時は一般的にDC12VからAC100Vを作るインバーターを利用しますが、このインバーターの出力は疑似正弦波と真正弦波の2種類があり、真正弦波を利用できるインバーターは高価です。 安価な疑似正弦波の波形は矩形波で、ノイズだらけです。 ノートPCに限れば、このノイズだらけの矩形波でも動作します。 しかし、車内でPCを使う目的がHF交信ですので、かなりの周波数で、このノイズが受信され、使用可能な周波数範囲が狭くなります。

一方、DC12VからいきなりDC19Vを作る昇圧型DC/DCコンバーターはその回路構成は実に簡単で、コンパクトに作れば、インバーターよりはるかに少ないノイズで回路の効率もインバーターより良いのですが、この場合の最大のネックは各PCのDC Jackに合致するDC Plugの入手です。 最近のPCは軒並みサイズの大きなDC JackとPlugを使っており、これに合うPlugの入手はかなり難しいのが現状です。

そんな中、昔のXPが走るノートPCを調べたら、秋月でも入手できる内径2.5mmのPlugを使える事が判り、これは幸いと、ジャンク箱をかき回して、昇圧型DC/DCのICを見つけましたので、さっそく作って見る事にしました。

配線図を以下に示します。

Dcdc1219v

ICはトレックスのXC9103Dと言う品番で1.8Vから10Vの電源で、1.5Vから30Vまで出力を設定できます。 1.8Vから10VというスペックはICの電源電圧の範囲で、昇圧する入力電源電圧とは無関係です。 従い、12V電源を3端子レギュレーターを使い、5Vに落とし、これでICの電源をまかない、12Vのバッテリーから19Vを作る回路のFETゲートをドライブするだけです。 

スィッチングのFETはAM送信機の試作の中でPWM変調に使ったFKI10531です。 ダイオードもAM送信機のPWM変調回路に使ったあまりを使いました。

この回路の中で手作りした部品はL3の24uHのコイルのみです。そこらへんに転がっていたコアにAWG24のリード線を巻きつけ、22uHを目指して巻きましたが、ぴったしのインダクタンスにはなりませんでしたので、やや多めの24uHとしました。 また、このICは電流センス用に0.1Ωくらいの抵抗を要求しますが、この抵抗値の両端の電圧が250mVになると電流制限がかかります。 0.1Ωの場合2.5Aで電流制限がかかりますが、私のPCは最大で3.5Aも流れますので、そのままではNGです。 よって、この0.1Ωを2個パラ付して、5Aで電流制限がかかるようにしました。

Dcdctop

Dcdcbck

左上は部品挿入面、黄色の線で巻いたコイルが24uHで、両脇にあるコイルが80uHです。最初、放熱板無しでしたが、さすがにPCを接続すると熱くなりますので、放熱板を取り付けました。 右上は基板のチップ面です。 トレックスのICは米粒みたいな大きさですので、これを実装できるパターンを別の基板から切り出し、それをユニバーサル基板に載せてあります。

19Vの電圧設定はR4とR5の比率で変わります。 回路図の定数で19Vに設定されますが、無負荷時19.7V、PCの電池充電中で19.0V、PC動作時18Vとなりました。

電源の入出力に80uHのコイルを挿入してありますが、これは、送信機のRFがDC/DCに混入しないように予防として入れてあるもので、これも、ジャンク箱から拾ってきたものです。100uHくらいで5Aくらい流せるコイルならなんでも良いと思います。 なければ、送信機をSENDにした途端、DC/DCが火を噴いたことがありましたので、必ず挿入する事にしています。

Dcdccase

左の写真は出来上がった基板をケースの中に入れたもので、一応基板の保護だけが目的です。 ただ、放熱板がほんのりと熱くなりますので、後日、プラスチック加工用の電気コテで通気孔を開ける事にします。

入力側の電流は、PC OFFで内臓電池を充電中の場合0.9Aくらい。 Windows XPが立ち上がり完了してHamlogを使用している間は、HDDが動くと3.25Aくらいまで増えますが、何も操作が無ければ2.7Aくらいで、平均して3Aくらいになっています。

AmazonでPC用DCプラグを検索すると、沢山のプラグの広告が見つかります。 その中で、LENOVO用も含まれるaceyconというブランド名か商品名か判らない34種のプラグをセットにしている製品がありました。 失敗しても止む無しで、これを購入しました。 結果はGoodでした。 私のPCはSHARP Mebius, SONY VAIO, LENOVOと3台のノートタイプですが、全て対応していました。

Dc_plag_1

Dc_plag_2

これで、移動運用時のノイズ問題が改善できます。

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2017年8月11日 (金)

KR-400RCの改造(プリセット化)

<カテゴリ:ローテーター>

Rtr_front_2

長年使って来たローテーターですが、最近、勝手に指針が動いたり、アンテナの向きとコントローラーの指示の不一致が目立つようになりました。 不一致は当初より有ったのですが、最近は30度くらいのずれがあり、CWとCCWを交互にONさせるといつの間にか直ってしまいます。回路はアナログのサーボ回路で構成されていますので、温度による不安定さが一番影響しているようです。

これを一挙に解決する為、マイコンによるデジタル駆動に改造する事にしました。 

アナログサーボに頼らない簡単な方法は、屋外のローテーターの方位に連動した可変抵抗値と、屋内のコントローラーの可変抵抗値を読み取り、両方の抵抗値が常に一致するようマイコンで制御すれば実現できます。 両方の可変抵抗値を読み取る代わりに、この可変抵抗値に比例した電圧を、アナログデジタル変換(ADC)でデジタルにした後、数値の比較だけでOKなので、ADCの温度特性だけが、制御誤差を生む原因となります。 しかし、マイコンに内臓されているADCは温度特性など全く気にする必要が無いほど、安定していますので、アナログの時のようにアンテナの方位とコントローラーの方位がずれるという問題は簡単に解決しそうです。

と、簡単に前説を述べましたが、いざ作り始めると、期待通りに動かない事が多発しました。 構想から2か月かけやっと出来ましたので、以下紹介する事にします。

回路図 KR400mk2.pdfをダウンロード

屋外のローテーターの中に500Ωの可変抵抗があり、ローターの回転に応じてこの抵抗が変化します。 コントローラーの中にも同じ500Ωの可変抵抗があり、これが、アンテナの方向を示すアジマスメーターに連動し、それぞれのギア比が同じなら、ローターの回転角とアジマスメーターの回転角が同じとき抵抗値も同じとなります。 抵抗値を直接測定できませんので、同じ電圧を加え、この可変抵抗器の片端とGND間の電圧が常に等しくなるように制御してやれば、ローターの方向とアジマスメーターの方向は一致します。 (後日、このギア比が同じでないという事が判り、調整で難儀しました。)

この可変抵抗の両端の電圧を測るのはマイコンに内臓されたADコンバーターで行い、得られたデジタルデータが一致するまで、どちらかの方向へモーターを駆動してやれば、良いわけです。

Rtrc_pwb1

Rtrc_pwb2

上はこの改造回路を蛇の目基板に組んだ状態です。 マイコンはPIC12F675を使いました。

この改造案では、アジマスモーターを高速で回転させ、目標とする角度になるようにアジマス指針がセットできたら、それを追いかけて屋外のローテーターモーターがゆっくり回るという動作にしました。 従い、従来、コントローラーに付いていたCWとCCWのスイッチはローテーターのモーターを回すのではなく、アジマスモーターを回すスイッチになり、ローテーターのモーターはPICマイコンが制御するリレーで回します。

Rtr_ledrly

この考え方でコントローラーのCW、CCWのスイッチを見ると、回路数が足りません。CWは1Cと言わるスイッチ接点ですがCCWは1aと言われる接点構造で、ACモーターは反転出来てもDCモーターは反転できません。 そこで、CCWのスイッチでリレーをON/OFFさせ、このリレーが持っている2Cの接点を使いDCモーターを反転させることにしました。 左の写真はCCWのスイッチにリレーを縛り付け、配線した状態です。

ローテーターはアンテナを回す物ですから、一番怖いのは雷です。 雷の直撃を受けた場合、諦めますが、誘導雷くらいなら、なんとか軽傷で済んでくれるように仕掛けが必要になります。 今回は誘導雷を受けた場合、バッファとなるトランジスタが壊れて、マイコンはなんとか生き延びる事が出来るように構成しました。 また、最悪マイコンも壊れてもすぐに交換が出来るようにマイコンはDIP8タイプにし、かつICソケット対応としました。

Rtr_top

左の写真は基板を実装し、配線完了したコントローラーです。ワイヤリングの一部は最終になっていない部分もあります。

ローテーターに実装する前に、500Ωの可変抵抗だけを配線し、手で抵抗を変化させながら、同じ電圧になったら、モーター駆動のリレーがOFFになるか確かめたところ、電圧が一致したら停止はしますが、その後、カチカチとリレーがバタつきます。原因はADの値がドリフトして、数値が変わる為安定しないものです。 対策として、CWまたはCCWの操作が有ったらADの値比較が有効になるようにし、一度でも一致を見つけたら、不一致検出を禁止するようにソフトを変更しました。

この対策により、電源をONしただけではローテーターが回転しませんので、安全対策にもなります。

調整の仕方

ローテーターは0度から365度くらいまで回転します。一方アジマス指針は420度くらい回転しますので、ローテーターのVRとアジマスのVRの回転角が異なります。 従い、アジマス指針が360度回転したときローテーターも360度回転するように、設けられたVRを調整しなければなりません。 ローテーターのモーターはCWまたはCCWのスイッチを操作しない限り回転開始しません。 ローテーターモーターの停止位置確認は必ず、CWかCCWのスイッチを押して、一度目標とする停止位置から遠くなるよう回転させた後、目的方向のCWかCCWのスイッチを押します。

①外部ローテーター用コネクタCNS1を抜いて置きます。 

②アジマスモーターをCCW方向に回し続け可変抵抗器のストッパーに当たるまで回転させ、その時のGP4の電圧が0.6Vになるように、VR5を調整します。 この時のアジマス指針の位置は無視します。

③アジマスモーターをCW方向に回転させ、可変抵抗器ストッパーに当たるまで回した時のGP4の電圧が4.00VになるようにVR4を調整します。

④VR4を変化させると、②の電圧も変化しますので、②と③を繰り返します。ぴたりと設定できない場合、0.6Vは小数点以下2桁目で高め、4Vは小数点以下2桁目で低めとしておきます。

⑤次にCNS1をCNP1に挿入し、VR1の代わりに500Ωの固定抵抗を接続します。 電源をONしてもローテーターのモーターは回りません。 この状態でGP2の電圧が4Vから4.1Vの範囲になるようVR2を調整して置きます。 調整完了したら、電源をOFFし、VR1を正常状態に接続します。

⑥CCW方向にローテーターを回し、ローテーターのモーターがメカニカルロックするまで回します。 多分最初はメカニカルロックする前でローテーターが止まりますので、そこから、GP4の電圧が0.01V単位で下がる方向にVR5を調整します。 この時、VR5は目見当で回さず、必ずデジタルテスターで電圧を確認しながら回します。 電圧を0.01V下げる度にCCWのスイッチを押すと、ロテーターのモーターが少しだけ回ります。 これを繰り返して、ロテーターのモーターがメカニカルロックするまで繰り返します。 ローテーターのモーターがメカニカルロックしたら、すぐに電源スイッチを切ります。

⑦電源をONして、GP2の電圧を読みます。 仮に読んだ電圧が0.55Vであった場合、GP4の電圧が、これより0.02V高い0.57VになるようにVR5を調整して置きます。

⑧アジマスモーターをCW方向に回転させ、ローテーターがロックするまで回します。この場合でも、ロックするまで回らない時は、GP4の電圧を読みながら少しづつ電圧が高くなるようにVR4を調整します。ローテーターのモーターがロックしたら、すぐに電源をOFFします。

Rtr_adj

⑨電源をONして、GP2の電圧を読みます。 仮に4.05Vであったとします。 GP4の電圧がGP2より0.02V高い4.07になるようにVR4を再調整します。 そして、アジマス指針のセンターにあるビスを緩め、指針が365(5度)度を指すように修正します。 CCWをONして指針が360度を指す位置で止めます。ローテーターが動かない時は、330度くらいまで回し、次に360度をさすようにCWスイッチを操作します。 ローテーターが止まった位置に目印を付けます。

⑩CCWスイッチを操作して、指針が0度をさすようにアジマス指針を360度回転させます。 ローテーターが1回転して、先ほど付けた目印の位置で停止したら成功です。 もし、多少ずれた場合、GP4の電圧をモニターしながら、VR3を調整します。 ローテーターが回り不足ならGP4の電圧を0.01V下げ、行き過ぎなら0.01V上げます。 正しい位置で停止するようになりましたら、CW方向に360度回転させ、ローターが正しい位置で停止する事を確認します。 もし、ずれている場合、VR4を少し回しGP4の電圧を0.01V単位で調整します。

この調整はVR4やVR3を再調整しなくなるまで繰り返します。

私の場合、2回の調整で完了しました。

使い勝手は、非常に良好で、今までのように、遅いロテーターの回転を見ながら、CWやCCWのスイッチ操作をする必要がなく、アジマスメーターの指針が目的とする角度まで達したらスィッチをオフします。 ローテーターは従来のスピードで回転し、この期間は追加したLEDが点滅し、指定位置に停止したら、このLEDが消灯することで、動作を確認できます。

また、何らかの異常が発生し、ロテーターのモーターが回らない状態、例えば、ケーブルが断線したとか、モーターがメカニカルロックしたなどの場合、CWやCCWのスイッチをONした後1秒以上ローテーター側の可変抵抗器に変化が無ければ、LEDを点灯しっぱなしにして、モーター駆動を中止するように保護ソフトを入れてあります。 このエラー状態は再度CWかCCWのスィッチを押すと解除します。モーターがロックしている場合、反対に回すと正常に戻りますが、再調整が必要です。 ケーブル断線の場合、何回やってもエラーになりますので、修理するしか有りません。

PIC12F675コントローラーのKR-400RCmk2.cをダウンロード

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2017年7月 9日 (日)

7MHz E級アンプQRO計画 8 (200Wつづき)

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

STP17NF25を手配できましたので、同時に手配した2W 1Ωを含め改造しました。

Stp17_1ohm

ドレインがむき出しですので、シリコンシートを敷き、プラスチックビスで止めてあります。

この状態で100Wのテストを行ったのですが、パワーが依然のモールドパックほど出ません。30V電源で以前は最大140W出ていましたが、このFETでは100Wしか出ません。

何が原因なのか調べている内に、突然出力なしに。 

突然死んだ理由は6石のFETの内の1石がゲート、ソース間ショートでした。 その原因はまたしても熱破壊。 壊れたFETを止めてあったプラスチックネジが伸びて、グラグラしています。 FETの熱でプラスチックネジが伸びてしまい、FETが放熱板から浮いて、熱破壊したものです。

対策としては、絶縁ワッシャを追加し、金属ネジに交換するしかありません。 手持ちの絶縁ワッシャの外形は4mm、FETの穴径は3.8mm。 そこで、ボール盤を使い、FETの穴径拡大を行い、下の写真のように、ビス止めしました。

Stp17_biss

今度こそ、大丈夫と40Vの電源電圧で150Wのエージングを開始したら、数分で、またも出力なしに。 今度も熱破壊です。この原因は絶縁ワッシャの高さがFETのドレインの板厚より高いものが有り、力いっぱいビス締めしたのに、FETは放熱板に全く密着しなかったものでした。 このワッシャの高さの問題は、6石中4石も該当しましたが、壊れたのは、幸い1石だけでした。

Add_fan

絶縁ワッシャの高さ問題を解決したのに、まだ、30分エージングでFETが破壊するという問題が継続しています。 やはり、ファイナルステージの放熱板の強制空冷は必要な気配です。 後方へ移動したファンは厚さ25mmの8cmサイズでしたが、手持ちのファンは厚さ15mmの7cmサイズしかありません。 風量は半分以下ですが、無いよりはマシと、このファンを当初のファン取り付け位置に追加しました。

この対策で、とりあえず30分以上は動き始めましたので、電源電圧40Vで200Wのエージングを開始しました。 しかし、数分もすると180Wまで下がってしまいます。 やはり、前回のモールドパックのFETより、ドレイン、ソース間飽和抵抗が大きくなっているようです。 FETは同一品種ですので、単純にロットのバラツキと思われます。 

下は200W送信時の高調波、及びPWMの250KHzの漏れです。

200w_2ndhrmo_2

200w_lpfreak

FETを交換したら、プッシュプルのバランスが良くなったようで、内臓のLPFのみで第2次高調波レベルを-54dBまで下げる事ができました。 ここは、外付けの6次LPFを追加する事により完璧にする事が出来ます。 また、PWMの250KHz漏れは、-52dBです。一応、スペック内ですが、さらに改善できないか後日検討する事にします。

 

エージングが1時間40分を過ぎました。 部屋の中は、サラダオイルが半煮え状態の匂いが漂っています。 

Amtx200wasing

その中で、エポキシの焼ける匂いがし始め、またまた終段のFETが壊れてしまいました。 もうSTPタイプのFETは有りませんので、壊れた2石をSTFタイプに交換し、かつ7cmのファンは、新に手配した8cm品に交換しました。 また、PWMのLPFへの配線が長くなり、250KHzの漏れにも影響しますので、4700uFの電解コンデンサ2個は廃止し、厚みが厚くなったLPFを変調アンプの近くまで移動しました。  下は、その変更後のシャーシーです。 ファイナルの放熱板を強制空冷したおかげで、エージングしてもパワーが下がるという問題が出なくなりました。

Iamtx200_0722

PWMの250KHzキャリア漏れが以前の50W機に比べかなり大きいので、ここの検討を行いました。 

改めてRFアンプのインピーダンスを実測したところ、1.6Ωとでました。 今まで1.8Ωで計算していましたので、若干減衰不足がありそうです。 オーディオの周波数特性を無視して暫定的にコイルを追加したり、高周波1点アース(アンテナ端子のみでシャーシのGNDに接続し、電源部からファイナルステージまでのGNDを全てシャーシから直流的に浮かす)を試した結果、改善できそうです。 やはりここは手持ちのコンデンサに合わせるような妥協レベルのLPFではなく、しっかり計算通りのLCで作ってやらないと、思惑通りにはいかないと、フィルムコンデンサの手配をする事にしました。 (これは間違いでした。後述のごとく計算通りにはいきません)

200w_lpf 上は、インピーダンス1.6Ωで再計算したLPF定数です。 そして下は巻きなおしたコイルです。 コアは2重に積み上げてあります。  写真では、巻はじめと巻き終わりのワイヤーをロックタイで縛ってありますが、この状態では、-60dBのアイソレーションは確保できませんので、実装段階では、巻はじめと、巻き終わりの間に空間ギャップを設け、入力と出力の結合が多くならないようにまき直してあります。

250lpfnew

このLPFを実装して変調をかけると、音声がかなり歪みます。また、オーディオの周波数特性もかなりハイカットになってしまいました。 原因を調べる為、電源電圧を12Vまで下げたり、コンデンサやコイルの変更を行った結果、PWMアンプの出力に直につながるL1 13.5uHが小さすぎるのが原因のようです。 ここは、以前の検討で、容量性リアクタンスや抵抗成分でGNDへパスすると、変調波形が歪んだり、変調度が浅くなる傾向がありました。 そこで、試しにL1とL9を入れ替えてみました。もちろん、Lの後にくるコンデンサも一緒に入れ替えました。 結果、歪もオーディオの周波数特性も改善しました。  海外のWEB情報によると、PWMアンプに直接接続するインダクタの値は非常に重要で、小さすぎるとオーディオに歪を発生させるので、歪が発生しないインダクタを選択しなければならないと書かれていますが、いったいいくらのインダクタがベターなのかは記述はありませんでした。 今回はオシロで波形をモニターしながら、歪が起こらないインダクタになってはいますが、最適なのかどうかは解りません。 ちなみにこのインダクタを50uHくらいまで大きくしてみたところ、聴感で明らかに歪が増えましたので、また元の33uHに戻しました。 そして、このインダクタを最初に決めてから、PWMのキャリアレベルが60dB以上減衰するように後段の定数を決めるのだそうで、バターワースLPF回路を最適計算した定数では駄目なようです。

Lpf_01

このようにして作り直したLPFによる250KHzキャリア漏れが心配でしたが、左のように-58dBくらいまで改善できました。

 

そして、再度エージングにトライし、2時間の目標も達成できました。 部屋中がサラダ油の半煮えの匂いが立ち込めています。

このエージングの中で、男性ボーカルが変調されると歪が増加する現象がみられました。 原因を調べてみると、出力が大きくなった分だけRFがオーディオ回路に回り込んで、それが低域での歪となっているものでした。 対策は、オーディオの差動入力にまだRFバイパス用のパスコンが入っていない所がありましたので、リミッターIC TA2011の2-3pin間、及びPWMアンプの3-4pin間に1000PFのコンデンサを追加しました。 結果、TS-930Sによる受信モニターでは歪を感じ取る事が出来ないくらい改善しました。

配線図AMTX_200W_2.pdfをダウンロード

左下は200W出力時、630Hzにて最大変調状態、右下はリミッターアンプが動作している状態での音楽最大変調時の波形です。音楽信号ではほぼ100%変調されており、かつ最大パワーは800Wをキープしています。

200w95mod

Music100

ところで、見落としたもうひとつの大きな問題がありました。 使用しているアンテナシステムは耐圧問題で苦労したシロモノで100Wピークをかろうじて維持出来ているものですから、800Wピークはとてもカバーしきれないと思われます。 7MHzに限って言えば、前回の50W(ピークで200W)に持ちこたえていますが、実際のところ、100W(ピーク400W)に持ちこたえられるかも確認出来ていません。 これは、総通の許可が下りてからになります。

ハード的に800WピークのAM送信機は出来ても、実際はON AIRできないというジレンマに落ち込みそうです。

2017年12月

このAM送信機の保障認定をTSSに申請してからすでに5か月を過ぎました。途中で問い合わせがあり返信したのですが、その後のアクションが有りません。 そこで、TSSへ直接電話したところ、2日後には保証が完了した通知が来ました。 遅いと感じたら電話するのが一番のようです。

総通に追加申請して10日経過した時点で審査終了となり、追加の許可が下りました。 さっそくQSOと、従来のMTUを使用しない、逆Vを臨時に架設し、100W出力でCQを出しましたが、QSO出来ず。やっと夕方、1局と交信できました。 とりあえずピーク400WはOKのようです。 また、従来のMTU使用のアンテナに切り替えて送信しても、OKでした。 当分は100Wで運用していきます。

休日にやる事がなくなりましたので、50MHz用AM PWM変調の可能性について遊び始めました。

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2017年6月25日 (日)

7MHz E級アンプ QRO計画 7(200W)

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

薄膜高周波抵抗を使った250Wのダミー抵抗が断線し、エージングは頓挫していましたが、ヤクオクで同等スペックの抵抗が売りに出ていましたので、さっそくこれをゲット。

205nb_dummy

Rf_250w_swr_gr_4

 

左上が入手した250W薄膜高周波抵抗を放熱板に貼り付けた状態。右上はこのダミーをCAA-500mk2でSWRを測定した結果です。HFはSWR1.0、435MHzでもSWR1.3になっています。 とりあえず、100Wで10分程度慣らし運転して異常ありませんでしたので、当ダミーは今後AM送信機のエージング試験には使わない事にします。

エージング用はもう少し乱暴に扱っても壊れにくい、オイル冷却のダミーロードを作る事にしました。

ダミーロードができたので、送信機本体も200W対応に向け改造しました。

Amtx200wv2 

上はその改造後のシャーシです。 まず、シャーシの真ん中で空気を掻き混ぜていたファンをバックパネルに移動し、内部の熱された空気を外へ吸い出すようにしました。 その関係で変調回路のLPFは元ファンの有った場所へ移動です。

TDKのLINEフィルターは効果的に動作していましたが、定格電流が5Aでしたので、140Wでのエージングで、かなり熱くなっていました。 そこで、このフィルターを10Aタイプに変更しました。サイズが大きくなったので、電解コンデンサは移動してあります。

電源として使っているTS-930Sには44000uFの電解コンデンサが使われており、これに9400uFのコンデンサをパラに追加していましたが、変調のピークをカバーするほどの効果は有りませんでした。 そこで、今回30000uFのコンデンサを追加しました。 ピーク電力の増加を期待したいところです。

ケースの底板に穴を明け、ここから外気を吸い込み、後方のファンへ抜けるようにしました。

Amtx200wv3

Amtx140wasing

そして、上は、強制空冷状態で140W連続30分のエージング風景です。ケースの天板は手の平をずうと押し付けていられるほど温度が下がり、この後、2時間続けても問題なしのレベルまで改善しました。

Amtx200wpower

30Vの電源を40Vにアップする為、12V 30Aのスイッチング電源を手配しました。 これをTS-930Sの電源にシリーズに接続して使います。 現状のままでは42Vになってしまい、12Vを作るDC/DCの最高電圧40Vをオーバーしますので、TS-930Sの電源の電圧調整部分を改造し、26Vから30Vまでを可変できるようにしました。 またAC/DC自身も10Vから14Vまで可変できますので、両方の電圧を調整して最大40Vに設定しています。 

まず、30V+10Vで確かに200Wでるのか確認しました。 

Acdc12vpower

200woutput

左上が臨時に追加した12V AC/DCです。 これで40Vの電圧を確保して200Wの出力を得たのが右上のメーターです。 このAC/DCは、アマゾンで2300円くらいで販売されていました。 取説なし、電源コードなし、その上、初期不良で電源ONせずというシロモノでしたが、110/220Vの切り替えSWをカチカチやったら、時々動きます。

Acdcsw

原因は左の写真のように。スイッチが傾いて挿入されており、左側の端子が基板とつながっておらず、かろうじて裏の半田の上に乗っているだけという状態でした。 中を開け一度、ハンダを吸い上げ、スイッチが自由に動く状態にして、きっちりと基板に密着させハンダ付けしました。 また、2か所でアルミ板を放熱板に使っていますが、FETとアルミ板の間はシリコンラバーが挟んでありましたが、アルミ板と外側のアルミケースとの間にはなにもなく、熱伝導が心配になりましたので、シリコングリスを塗り込んでおきました。 動き出せば、コスパは最高です。

 AC/DCの右端に写っているのは、定格5AのAC LINEフィルターです。 これを付けていると、少なくとも7195KHzでのノイズは気になりません。

200w_dc40v_2

200wout630hz_2

 左上が200W送信時の電流値と変調度、右上は630Hz信号による最大変調度の波形です。 電流が常に9Aを超えるようなら、このメーターの目盛をMAX15Aに作る変えるつもりです。

配線図 AMTX_200W_0.pdfをダウンロード

電源から最大パワーを得るには26V+14V=40Vが良さそうですので、この電圧配分でエージングテストをする事にします。

200w9a

実際にテストしたのは、26V+12V=38Vで行いました。 スタンバイ状態で38Vですが、200W送信時には37.2Vまで下がります。

200W出力時の電流は8.8Aくらいです。

ドライバー段の電流を差し引いた状態でのPWM変調回路込みの終段能率は75%くらいです。 特に良い訳ではありませんが、200Wで20分のエージングテストもクリアーしましたので、これから、ダミーロードを心配しながら2時間エージングにトライしてみます。

心配していました、ピーク電力ですが以下のようになりました。

200wcw_2

200w95mod_2

 

左上は200W無変調キャリアだけです。右上は、630Hzのピークがクリップするまで変調度を上げた状態です。オシロの目盛からピーク値は2倍ではなく1.8倍くらいですので、ピーク電力は650Wくらいです。

次に、音楽ソースで確認しました。

Carir200wMusic200w

同じように左が無変調、右がボーカルの入った音楽ですが、ピークは2倍になっております。オーディオのミュージックパワーと同じように、正弦波でない、音声信号では、ピークで800Wは出ているようです。

このミュージックパワーを確認しながらエージングを継続し、約30分経過した時点で、はじける音がして、出力が無くなり、電流も1A以下になってしまいました。 オシロで各波形をチェックすると、終段のゲートドライブ電圧が極端に小さくなっています。また、終段のゲートもドレインと同電位まで上昇しているFETもあります。 各素子を回路から切り離し、それぞれチェックしたところ、

Q2のドレインソース間がショート状態。

Q4,Q5,Q9,Q10,Q11,Q12の内、4本がゲートソース間ショート。

ゲートの1Ω抵抗も6本中4本断線。

断線した1Ωは黒焦げになっていました。 この抵抗に流れる電流はゲート容量をチャージする電流で、ピーク12Vくらいの電圧がかかりますので、単純計算でピーク12Aとなります。実際は回路のインピーダンスなどの影響で、数Aと考えられます、それでもピークで数Wもかかっている事になります。 そこに1/10Wのチップ抵抗を使ったのが原因のようです。 この6本のゲート抵抗が少しずつ断線し、残ったFETに負荷が集中した結果、終段のFET6個中4個が壊れた様です。 また、ゲートとソースがショートした事で、ドライバー段のQ2も壊れたと推察されます。

ここで、インターネットで海外の情報を調べると、皆さん2Wくらいの抵抗を使っているようです。あいにく、2W1Ωの抵抗は持ち合わせしていませんので、とりあえず1/10W 2.4Ωを4個パラにしてしのぐ事にしました。 終段FETの在庫も無くなりましたので、この抵抗も一緒に手配だけはしておこうと思います。

200wtest

修理完了して、200Wのエージングを再開しました。 左は、1リットルのダミーロードを3リットル缶に水を入れ、熱容量を大きくした上で、扇風機で仰ぎながらエージングしている風景です。

そして、約30分で、またも、出力が出なくなりました。 直接の原因は終段のSTF17NF25の1石が全端子ショート状態となり、これにより、他の5石のFETのゲートドライブが停止し、電流が流れなくなったものでした。 どうやら熱破壊です。 ファイナルステージの放熱板は、指を当てていられないほど熱くなっていました。 ファンを放熱板から離し、後方へ移動させたのがいけなかったようです。 そして、この熱で一番弱いFETが死んだのでしょう。

対策はファンを追加するか、STF17NF25モールド品からドレインむき出しのSTP17NF25に変えるかです。 ファン追加は構造の大変更を伴いますので、FETを変更する事にしました。 そして部品手配が出来るまではお預けとなりました。

7MHz E級アンプQRO計画 8 (200Wつづき)に続く

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2017年6月24日 (土)

オイル冷却ダミーロードの製作

200WのAM送信機の製作を行っていますが、200W連続印加可能なダミー抵抗が無く、エージングができていません。 そこで、金属皮膜抵抗を使ったオイル冷却のダミー抵抗を作る事にしました。

材料は200Ω 5Wの金属皮膜抵抗16本、厚さ0.3mmの銅板、ペンキ用の1リットル空き缶、Mコネクタ、BNCコネクタなどです。

80wdummydraw

いつものようにJW-CADで抵抗を円筒状に並べる為、寸法を決めながら作図し、その図面を銅板の上に糊で貼り付けます。

右上の板は丸めて、コネクターと抵抗の接続に使います。

円板は3枚で、コネクターより一番遠い板は中心に3mmの穴を明け、同軸コネクターの中心導体を直径3mmの銅パイプで延長し、この穴に接続します。 それ以外の円板は2枚ともセンター穴を16φとして銅パイプと距離を確保します。

抵抗は8本をパラに接続し、25Ωにした後、これを2段シリーズにつないで50Ωの抵抗にします。 また、オイルに浸すのはこの50Ωの抵抗のみで、スペアナモニーター用のATTやBNCコネクターはオイル外になるよう、Mコネクタと50Ωの抵抗の間に距離を確保するようにしました。

80wdummy1

80wdummy2

上の写真が組み立て完了したダミー抵抗です。5Wの抵抗を16本使っていますので、この状態で80Wの容量があります。 この裸の状態で予備テストしたところ、80Wの出力で、抵抗の塗装が焼け、煙がでます。 裸のままで約10分間80W連続テストをしたところ、初期の煙も収まりました。

これをペンキ用1リットル缶の蓋に取り付けます。

80wdummy3

80wdummy4

左上がダミー抵抗を缶の蓋の裏に取り付けたところです。 モニター用BNC端子へのATTは、2KΩ 2Wを2本シリーズに入れました。 右上は蓋をかぶせて完成した状態です。

アンテナアナライザで測定したSWR特性は以下のようになりました。 1.7MHzから50MHzまでは、SWRを小数点以下2桁まで表示する自作のアンテナアナライザで測定し、145MHzと435MHzはコメットのCAA-500mk2で測定したものです。

Rf_80w_swr_da

Rf_80w_swr_gr

缶の中に何も入れない状態(空気のみ)でのSWR特性は145MHzまでなんとか使える範囲です。 試に水を入れてSWRを測ってみました。50MHz付近にSWR最大ポイントがありますが、3.5MHzや7MHzなら我慢して使えると思われます。

オイルを缶の7部目くらいまで入れ、抵抗本体だけがオイルの中に浸るようにした状態で測定した結果、145MHzまでは空気だけのときより良好です。

使ったオイルは日清キャノーラ油、近くのスーパーで、お一人様1本限り、1kg 108円でした。

下はオイル充填状態で、140Wの出力を加えダミーロードのエージングをしているところです。 約10分経過して、缶の上面はアッチッチですが、缶の底辺は指で触っていられます。

Dummy140wtest

140Wで30分のエージングが終わりました。 さすがに缶の底辺も指を触れ続けられないほど熱くなっています。 1時間半、間をおいて、今度は1時間のエージングにトライしました。 50分過ぎくらいにモニター出力が出なくなりました。エージングを中止し、缶の中を覗くと、 2KΩの抵抗2本が缶の底に沈んでいました。 ハンダが解けて、オイルの中に落ちてしまったようです。

Dummyatt

80Wの金属皮膜抵抗16本には異常がありませんので、このATTの部分だけがNGのようです。缶が冷えるのを待って、左の写真のような対策を行いました。ATTの抵抗を6本に増やし、すべてカシメで結合しました。 先端の同軸芯線への接続はハンダ付けです。 これで再度1時間のエージングにトライし、問題なしでした。 BNCコネクタの反対側に見えている小さな円筒は換気孔です。 熱膨張した空気の逃げ場を作る為、設けました。 中のオイルが揺れて跳ねても、簡単にこぼれないように筒状のダクトにしてあります。ダクトの内径は3mmです。

 

この実験から、安心して200Wのエージングが出来る為には、缶の容量を2リットルくらいまでアップすべきと考え、ホームセンターに探しに行きましたが、あいにく2リットル缶は無く、代わりに3リットル缶がありましたので、これを購入して来ました。サイズ的に、1リットル缶がすっぽり収まり、取っ手の部分で宙吊りになりますので、とりあえずは3リットル缶に水をいれて、オイルの入った1リットル缶沈めて見る事にします。

このダミーロードを実際に使っている状態はこちらです。

Dummy3l

その後、1リットル缶では熱容量が不足するのを実感しましたので、3リットル缶に変更する事にしました。

特用1.3Kgのキャノーラ油を継ぎ足すと、ちょうど抵抗全体がオイルの中に浸すレベルとなりました。 元の1リットル缶は粗大ゴミ用のごみ箱行となりました。

 

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2017年6月17日 (土)

7MHz E級アンプ QRO計画 6 (140W)

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

100Wエージングで、ダミーロードがアッチッチになり、途絶えていた200W出力に向けたテストをやっと再開できるようになりました。 しかし、現在の電源は最大で140Wのキャリア出力しか出せませんので、まずは、140Wでのエージングとしました。

Amtx200w0

シャーシも200W対応に改造しました。

200W対応配線図 AMTX_100W_5.pdfをダウンロード

Dummy2501_2

Dummy2502

6年前に自作したダミーロードはDC-2GHzで250WというRF抵抗を使用していました。 作りが雑なので、145MHzでSWR1.5くらいの性能しか有りませんでしたが、HFで使う分には十分です。 今回これに通風孔を開け、スペアナでモニターできるように出力端子を追加しました。 そして、臨時にファンも付けられるようにし改造しました。

このダミーロードで200Wの連続運転が出来るかは、これからです。 このRF抵抗はすでに生産中止になっており、焼けたらおしまいです。

さっそく100Wでエージング開始です。 音楽を変調し、最大90%くらいの変調度にした途端、抵抗の焼ける匂いです。 送信機本体ではなく、ダミー抵抗のほうから煙が出ています。放熱穴からのぞくと、モニター端子へ設けた2.2KΩの抵抗が焼けて黒くなっています。 この抵抗は1/4Wタイプ。 改めてこの抵抗の電力を計算すると、100W時約2.2Wの電力になり、焼けて当然。 ジャンク箱をひっくり返して、2KΩ 2Wという抵抗を見つけ交換しました。

100Wでエージング中に煙を出したクラニシの電力計を開けてみましたら、まさしく焼けたのは、このモニター端子用ATT抵抗でした。しかも、誰かが追加した1/4Wの抵抗でしたので、これを同じように2KΩ 2Wに変更して、また使う事にします。

Amtx140wmaxmod

Amtx140wout

左上は140W出力時の最大変調度波形、右上はその時の電力計の指示です。

しばらくエージングを続けていると、突然出力が100Wくらいに落ちました。さらに続けると、変調のピークでジーという音と共にどこかが明るくなります。しばらく観察していると、最終段のバリコンVC1の羽根から青白い光が出て放電しているのが見えました。 電源をOFFして放電したところを観察すると、ステーターの羽根が変形し、ギャップが狭くなっている所でした。これを、正常の位置に修正し、全てのギャップが約0.5mmになるようにし、再度トライです。

しかし、今度は、正常なギャップで放電します。放電は変調のピークで発生し、一度発生すると、かなりの時間継続します。 この直列共振回路は思った以上に高電圧を発生させるようです。 対策は、コイルのインダクタを小さくし、バリコンの容量を増やしQを下げるか、もっと耐圧のあるバリコンに変えるか。 

Q3coil

高耐圧のバリコンに変える案は、実現性がありませんので、コイルのインダクタを下げ、Qを下げて発生する電圧の波高値を押さえる案でトライしました。

現在のQは計算で5.9くらい。これを3.4まで下げました。 バリコンは当初75PFくらいでしたが、これを130PFくらいまでアップすると、バリコン両端の電圧は約58%に下がった事になりました。 この状態で140W連続出力でエージングしていますが、異常なしです。

Amtx100wonly1lpf

約1時間くらいクラニシの電力計でエージングしていると、今度はクラニシの内部から塗装の焼ける匂いがしてきます。 200W 3分の仕様では140W1時間はやはりきついみたいです。 ダイアモンドの電力計は、50Wのときクラニシとほぼ指示値は合いますが、クラニシで140Wのときダイアモンドは180Wと指示します。 (ダイアモンドのSX-200は一度ダイオードをオリジナル品から別の物に交換しており、多分これがオリジナルと同じリニアリティを確保できない原因と思われ、私の持っているSX-200だけの問題です) 物置に有ったコメットのCMX-200を持ってきてつなぎかえると、クラニシと指示値は一致しましたので、今後はコメットのCMX-200と自作のダミーでエージングを続けます。

上は100W出力時のスプリアス特性です。 内臓の7次LPFだけの状態で、第2高調波が-50dBギリギリです。 実際に使う時は、外付けの6次LPFを通す予定です。

Amtx140wcur

現在の電源電圧は30V。さすがにTS-930S用の電源は350WくらいがMAXのようで、140Wキャリア出力時のピーク電力520Wは出ません。 オシロをモニターしていても約350Wが最大値となっています。 これから、200Wにパワーアップするには計算上36Vの電圧が必要ですが、合わせて800Wの容量が必要となります。 

とりあえず、この段階では、ここまでです。

TSSには余裕をみて40Vで200Wとして保障認定を申請しました。

ブロックダイアグラム 5.pdfをダウンロード

下は、140Wにて音楽ソースを変調しながら連続エージング風景です。昔からエージングテストは何十回もやってました。 開始してから30分で温度はほぼ飽和状態になり、その後1時間で温度カーブは横一直線となります。この間に、問題が起こらなければ、規定の4時間は達成できます。 現在は趣味の範疇ですので、目標2時間。 2時間OKなら良しとします。

Amtx140wasing_2

2時間のエージングが終了しました。ケース天板は触っていられないほど熱くなっています。 強制空冷の方法を再検討必要です。

幸い、2時間経過した時点でのRF出力は130Wで、140W一定が理想ですが、130Wまで下がったという事は、熱暴走は問題ないという結論です。

次の日、再度エージングテストをすべく、100Wの出力を自作のダミー抵抗へ加えたところ、スパークが起こり、煙を出して、抵抗が断線してしまいました。 いくら定格250Wとは言え、その条件は無限大放熱板の場合ですから、140W連続動作はきつかったのでしょう。 もうこの抵抗は有りませんので、ダミー抵抗も手配しなければならなくなりました。

200Wのエージングに向け、200W連続負荷に耐えるダミー抵抗、強制空冷そして800Wの電源をどうするかが課題となりました。

7MHz E級アンプ QRO計画 7(200W) へ続く。

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