2018年11月23日 (金)

AD9833 スプリアス

<カテゴリー:DDS

前回までの記事で、DDSの基板を変更したら、スプリアスの度合いが変化し、周波数によっては送信機の源発振として、使えるかも知れないという情報がありました。

そこで、この1.8MHzから50MHzまでをカバーするDDSの基板を中国製から秋月の変換基板に改造し、スプリアスが改善するのか確認する事にしました。

26mtxco

この改造を行うついでに25MHzのSPXOをTXCOに変更し、周波数確度と安定度の向上も行います。

TXCOは周波数カウンターにも使用した26MHzのもので、AD9833の仕様からするとオーバークロックになりますが、このくらいのオーバーなら問題なく使えます。 左はこのTXCOをDDSのクロック源とする為に3.3V LDOとポストアンプを組んだ回路です。 基板の裏側に銅箔を張り付け、疑似両面基板として加工してあります。

TXCOは26MHzですから、ソフトのKdは再設定し、かつ10MHzで校正を行い微調整しました。

DDS_TXCO_100k-54M_VFO.cをダウンロード

DDSのICは中国製のオリジナル基板より剥ぎ取り、秋月の変換基板に載せ替え、下の写真のごとく配置配線しました。

Newpcbtxco

この回路の配線図 DDS_VFO_AD9833TXCO26MHz.pdfをダウンロード

そして、このVFOによるスプリアスは以下のようになりました。

2r1mtxco

3r1mtxco

4r1mtxco_2

5r1mtxco

6r1mtxco

7r1mtxco

前回の中国製基板よりは、かなり良くなりましたが、周波数が高くなるにつれ、送信機には不適合のスプリアスとなっています。 AD9834が7MHz当たりで問題なく使えるのは基板の差異もあるでしょうが、基準クロックの周波数が50MHzというのも大いに関係しているようです。

6r25mtxco

ちなみに6.25MHzのスプリアスは左のようになり、送信機としては難しい結果となりました。 基準周波数が25MHzの時は見えなかったスプリアスが26MHzにしたとたん見えるようになりました。

AD9833を送信機用源発振として使えるのは3.5MHzバンドぐらいが上限で、7MHzで使用したい場合、75MHzの基準発振器を使えるAD9834Cまでアップグレードしなければならないようです。

これまでの検討結果から、送信機のVFOとしてDDSを使用したい場合、DDSを基準信号としたPLL回路がベターという結論に至りました。

いつか、PLL ICを手配し実験しようと思います。

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2018年10月21日 (日)

50MHz スカイドアアンテナ(移動用)

<カテゴリ:アンテナ>

6mの季節は終わったのですが、せっかく出来たAM送信機を車に積んで、移動運用に出かけようにも、移動で使えるアンテナがありません。 そこで、また、廃材を利用してアンテナを作る事にしました。

まずはMMANAでシュミレーションです。

Mmana6mskddata 上のシュミレーション結果は、スカイドアの水平、垂直面の指向性データです。 打ち上げ角11.7度で9.63dBiのゲインがあります。 約13dBiの3エレ八木には負けますが、打ち上げ角16.3度、約6.4dBiのダイポールより3.2dBdのゲイン(打ち上げ角11.7度では約4dBの差)が有り、簡単軽量、かつ、釣竿アンテナの廃材で出来るという事から、スカイドアアンテナに決めました。

シュミレーションデータでは、インピーダンス整合もアンテナ共振も出来ていませんが、そこは、外付けのマニュアルアンテナチューナーで整合させます。 抵抗成分が50Ωより高く、誘導性リアクタンスなら、アンテナチューナーによるロスはかなり小さくなります。 TLWで計算させると2.2%のロスになりましたので、気にしない事にしました。

6mskdsize

6mskdant

6mskdswr

左上が構造図、右上が仮に上げたスカイドアアンテナです。

私のスカイドアやヘンテナの上部水平部エレメントは水平一直線ではなく、いつも3角屋根のような構造にし、エレメント自体をこの中心部分で吊り下げ、その下にくる水平グラスファイバーには、導線を横に張り出す為だけの力しか加わらない構造にしています。こうする事で、この上部グラスファイバーは、釣竿の先端の一番細い部分を使う事ができます。

Mtu6kai

左上はアンテナチューナーで整合させた時のSWRで、使ったアンテナチューナーは東京ハイパワー製のHFオンリーのMTUです。 そのままでは整合できませんので、右上の写真の様に28MHz用のタップを本来のコイルから外し、新たに50MHz専用コイルを追加しました。

本来はHF(30MHz以下)オンリーのチューナーなので、使用されているバリコンの容量が大きく、SWR1.0にはなかなか整合できませんが、実用上は全く問題なしです。

移動運用する場合、設営の条件が同じという事は有りませんので、アンテナチューナーは、非常に便利です。

Noroskydoor1811

Swrskd1811

左の写真はこのスカイドアアンテナを、呉市の野呂山、ハチマキ展望台に移動して設置した時のものです。 8mのグラスファイバー製釣竿の先端から吊り下げてあります。 そして、右上が、車の屋根に載せた東京ハイパワーのMTUでチューニングしたときのSWR特性です。 50MHzから50.8MHzくらいまで、SWR1.6以内に収まります。

この日は日曜日。 午前中は8エリアからEspo情報も出ていましたが、運用開始したのは午後の2時ごろでした。 約30分間 50.220のSSBでCQを連呼しましたが、かろうじてコールいただいたのは、同じ呉市のOMさん。 レポートは53/51。 OMさん曰く、通常は59/59で出来る場所との事。 8の字の指向性のヌルポイントだったのか、水平方向だけビームが伸びて、下方には届かなかったのか、不本意な結果に終わりました。 同じ場所からバンドを2mに切り替え、ホイップでCQを出すと、対岸の西条市と59/59で交信でき、 リグとロケーションは問題ない事を確認。 (Rigは、帰ってからダミーロードに6mで送信し、異常なしを確認)

アンテナが悪いのか? 方向が悪いのか? 呉のOMさん以外聞いている局はないのか?

いつかリベンジにトライしたいです。 (AMのQSOどころでは無かった)

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2018年9月15日 (土)

TS930 VFDブラックアウト、メーター逆振れ

<カテゴリ:TS-930>

久しぶりにTS930が故障しました。 1年くらい前から、時々、VFDが消え、メーターが逆に振れる現象があり、これが発生して10数秒経つと、「パカ!」と音がして正常になるというものでした。

Dcdcoff

しばらく通電していなかったのですが、先日電源をONすると、上の写真のようになり、当然音も出ません。 しばらく待っても正常に復帰しません。

この症状はインターネット上に沢山のOMが修理事例を公開しており、DCDCの発振が停止し、マイナス電源が正常に動作していないのが原因のようです。 

Digitalpwbaddwire

左の基板図の赤線で示すようにワイヤーを追加してやると、この現象が出なくなりました。

ケースをかぶせ、2~3日使っていましたところ、同じ問題が再発しました。 基板を取り出し、ドライバーの柄で軽く基板をたたくと、この現象が出たり、正常になったりします。 どこが悪いのかと、部品を一つづつたたいていく内に、DCDC付近から煙が出だし、その内、DCDCのトランジスタが2石とも壊れてしまいました。 ベースエミッタ間オープンです。

トランジスタは2SC2274KというSANYO製で、中電力増幅用でしたので、同じくらいのPcのある手持ちのトランジスタに交換しましたが、波形がオリジナルの綺麗な矩形波になりません。 3種類くらいの代替えTRを試しましたが、いずれもNG。 やむなく、部品取り用に確保しておいた、TS930からこのデジタル基板を取り外し、基板ごと交換しました。  しかし、問題は解決しません。

原因は、コネクターのコンタクトにワイヤーをカシメてありますが、これがあっちこっちで抜けており、その数6本。 ひとつのコネクターに集中する事無く、どの断線が、どのような症状を出すのか調べるのも面倒ですので、コネクタのハウジングの上部をニッパでカットし、コンタクトが見える状態にして、これに切れたワイヤーをハンダ付けしました。 もちろん、交換したデジタル基板は、スルーホール対策として、ジャンパー線を追加してあります。

とりあえず、これで正常に動作していますので、様子を見る事にします。

スルーホールは以前から、故障の最大の原因でしたが、ここにきて、コネクターのワイヤー断線が続出する状態になってきました。 もし、デジタル基板が原因と思われる故障に遭遇しましたら、コネクターのワイヤーをピンセットでつかんで軽く引っ張ってみて下さい。以外と簡単に抜けるワイヤーがあり、これが接触不良をおこしている場合があるようです。

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2018年9月 6日 (木)

DDS VFO AD9833 名誉挽回

<カテゴリー:DDS

今までの記事で、中国製のDDSユニット基板は送信機には使えないという先入観もあり、かなりこき下ろしてきましたが、初心に帰りチェックしていくと、これが、早とちりであったかも知れません。 スプリアスの多い原因は、アナデバのDDSではなく、安物のSPXOではなく、中国製の基板でもなく、 私が作った基板の中に問題があるかも知れません。 では、本当の所はどうなんか?と実験を始めました。

Ddshakei

Oscout

Ddsout_2

-

Q1e

Q1c_2

左上がSPXOの25MHz出力です。 余計なスプリアスは全く見えません。 右上がDDSの7MHz付近の出力です。 +300KHzの周波数にかすかにスペクトルが見えますが、そのレベルはスペアナの暗ノイズで良く判りません。 という事は、DDSが発生源かも知れません。

左下はQ1のエミッターのスペクトルで、この部分に+/-300KHzのスプリアスが現れます。 Q1のベースは右上のスペクトルと同じですので、S/Nが良くなって見えるようになったか、Q1の内部で増強されたと思われます。 右下はQ1のコレクタのスペクトルです。 Q1のエミッターにスプリアスが生じているという事は、当然、そのままコレクタ側にも、同じようなスプリアスが生じます。 50MHz DDS VFOでのスプリアスはPLL逓倍ICによるもので、これとは異なりますが、逓倍回路を通さない状態でも生じていたスプリアスはこのQ1のコレクターに現れるスプリアスそのものです。

DDSのキャリアを中心に+/-300KHzのスプリアスが出る問題ですが、これは、簡単に言えば、キャリアを300KHzの信号でAM変調した状態です。  もしそうなら、電源ラインに300KHzのキャリアが漏れているのかもと、スペアナを駆使して調べましたが、それらしき信号は見つかりませんでした。

一方、WEBにアナデバが公開している技術資料が見つかりました。

ddsan927_jp.pdfをダウンロード

これは、DDSから発生するスプリアスについての技術資料です。 この中で、DDSの出力周波数を変化させた時、スプリアスのオフセット周波数(キャリアとの差の周波数)が変化する場合、そのスプリアスの発生源はDDSの中にあり、周波数を変化させても、スプリアスのオフセット周波数が変化しない時は外部からのAM変調と判断できる事が記述されていました。

386m

419m

左上はDDSから直接3.86MHzを出力したとき、右上は4.19MHzを出力した時のスペクトルです。 左の周波数ではスプリアスが無いように見えますが、実はスプリアスが7.9MHz付近に有ります。 右の周波数では、キャリア対して1MHzの差でスプリアスが見えます。  要するに、DDSの出力周波数により、スプリアスの周波数も変わるという事ですから、これは、DDSの内部で発生しているスプリアスである事になります。 

DDSは基本的にはスプリアス発生器であり、これを送信機の原発振とするには、基準周波数(SPXOの周波数)と出力周波数を適切に選ばないといけないという事のようです。

25MHzのSPXOで3.8MHz付近の出力なら、スプリアスが第2高調波付近の周波数となり、後段のLPFでこれを取り除く事が出来ます。 このような条件が成立する周波数を検討する事にします。

Uc4m

Uc5m

Uc6m

結果は散々たるものでした。左上が約4MHz出力時、上中が約5MHz、右上が約6MHz。 全てUNCAL(アンキャリブレーション)状態で、周波数やレベルの正確さは有りませんが、いずれもスプリアスだらけで、後段のフィルターで取り除く事はほとんど不可能な状態です。 周波数を8MHz以上にすると、本信号とスプリアスの識別が難しくなるようなスプリアスが生じます。10MHzの出力など、もっての他です。 アナデバのAD9833のデータシートに出てくるサンプル周波数におけるスプリアスは3.8MHz付近のデータはぴったし一致しますが、他の周波数では、スプリアスの周波数はともかく、レベルは20~30dB以上の開きがあります。 このレベルの開きは、アナデバの洗練された評価ボードとは違う中国製ですから、ある程度は差が生じる事はしかた有りませんが、少なくとも任意のHF周波数の送信機を作る為の要求には耐えられないというのが実態のようです。

ここで、諦めかけましたが、AD9834は結構良いスプリアス特性を有していますので、それとほとんど同じ構成で、データシート上に出てくるスプリアスデータも大して変わらない理由を確かめる為にも、もう少し実験を継続します。

Ad9833txco

左は、中国製のAD9833ユニットの基板を使わずに、秋月から購入した変換基板にAD9833を実装し、SPXOのみ中国製基板から切り出して構成したDDS回路です。 コントロールマイコンは8bitのPIC16F1983を使用しています。

この基板は、LPFなし、バッファ用に1石のAMPが接続され、そのまま出力しています。 また、SPXOの電源は、DDSの電源とは独立させ、ビート音の濁り対策済みのものです。

この条件で、50MHzの1/8に当たる6.25MHzのスプリアスと、7.1MHzのスプリアスを見たスペアナの画像は以下です。

6r25mbw1m

6r25mbw10m

6r25mbw50m

左上が6.25MHzのキャリアを1MHzスパンでみた状態、真ん中が同じく10MHzスパン、右上が50MHzスパンです。 余計なスプリアスは見えません。50MHzスパン時のスプリアスは全て高調波関係のスプリアスですので、LPFで簡単に除去できます。

7r1mbw1m

7r1mbw10m

左の写真は左側は7.1MHzの1MHzスパン、右側が同じく10MHzスパンのスプリアスを見たもので、1MHzスパンではノイズに隠れて見えません。 10MHzスパンの時、3.8MHz付近に-50dBくらいのスプリアスが見えますが、この程度なら、送信機内部のタンク回路で60dB以上に減衰させる事は可能ですので、送信機の原発振器として使う事ができます。

50MHz用 DDS VFOのスプリアスがNGだったのは、デジタル回路に使われるPLL逓倍ICがNGであった事。 DDSからのダイレクト出力に300KHzくらいのオフセットでスプリアスが発生していたのは、中国製の基板の性だった事が判りました。 ただし、アナデバが公表しているデータ通りのスプリアスレベルよりは、かなり高いレベルになりました。 詳細を調べていくと、周波数が10KHz違っただけで、今まで見えなかった-50dBくらいのスプリアスが急に現れます。 HF送信機の源発振器として安心して使う為には、Qの大きなインダクタとバリキャップを使い、きれいな発振を行うVCOを作成し、この周波数を基準発振器をDDSとしたPLL回路でロックするのが一番無難のようです。 VCOは発振可能な周波数範囲がDDSに比べて狭いですが、高調波以外、余計なスプリアスの無い信号を得る事が容易です。

この実験に使ったDDS VFOの回路図 DDS_VFO1983TXCO25MHz.pdfをダウンロード

50MHz AM送信機に必要なVFOはPLL方式を採用する事にしましたので、このVFOは使い道がなくなりました。 そこで、スプリアスは多いですが、分解能10Hzで100KHzから54MHzまでをカバーする発振器に改造し、検討段階での信号として利用する事にしました。

スプリアスはいい加減ですが、周波数だけは正確にする為、このDDSを校正します。 校正は10.000000MHzで標準電波を出している中国のBPMの電波を使います。

まず、TS930をAMモードにして、BPMを受信します。 今日はS9で入感していました。 これにDDSの周波数を重ね、ゼロビートをとります。 DDSは10Hzスパンで可変していますので、ビート周波数が一番低くなる周波数を調べると、10.000.120Hzのとき、約2Hzくらいのビートとなりました。 この2Hzの音は通常は耳に聞こえません。 ビート周波数が100Hz付近以下になるとスピーカーの性能と耳の限界により聞こえなくなりますが、ビート音にハム音や濁りがあり、この濁りの音が震えて聞こえます。その一周期が0.5秒くらいになったので、2Hzくらいという事が判ります。

ここで、DDSの周波数係数を補正します。

現在の周波数係数 kd は 1.073741824 ですので、これを1.000012倍した数値 1.073754709に変更します。 次に、この周波数係数で実際にDDSを動作させると、10.000.000Hzの表示の時に数ヘルツのビートが聞こえます。 今度は、周波数係数の小数点以下6桁目以降を微調整し、ビート周波数が1Hz以下になるようカット&トライします。 この付近の周波数になると、ビート音に同期してSメーターも振れますので、ゼロビートポイントがすぐに判ります。

このようにして決定した新しい周波数係数 kd は 1.073755709 となりました。 

こうして校正したDDSは周波数カウンターの校正でその存在価値を維持する事になりました。

安物の発振器SPXOの周波数確度は±50ppm程度の物が多いのですが、常温における年間ドリフトは5ppmなどという数値になり±50Hzくらいにおさまりますので、初期値のみきっちり合わせると結構正確な周波数を維持します。 ちなみに、この中国製SPXOの初期の周波数確度は-12ppmくらいですので、結構良い性能を持っていました。

使用しているPICは+5Vラインに誤って12Vが加わり、i/oポートが壊れた物でしたが、調べてみると、壊れたのは出力ポートのみで、入力ポートは生きていました。 この生きていたRA0,RA1ポートを入力ポートにする事で、このDDS回路も構成できました。

改造後の配線図 DDS_multi_VFO180929.pdfをダウンロード

改造後のソースコード DDS_100k-54M_VFO.cをダウンロード

スプリアスを検討してみました。 AD9833 スプリアス へ続く。

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2018年8月13日 (月)

PICkit3 の修理

<カテゴリー:PICマイコン

DDS VFOの検討中に5Vの三端子レギュレーターが壊れてしまい、+5Vラインに+12Vが現れ、接続してあったPICkit3が煙を出して壊れてしまいました。

壊れたのは、バストランシーバーと呼ばれるPICkit3と外部回路のインターフェースに使われるICでした。

これを修理すべく、まずPICkit3の回路図を探すと、結構多くの情報がありました。 インターネットで調べていくと、MicrochipはPICkit3のクローンを容認しているというか、推奨しているようで、Microchip自身が回路図を公開していました。

pickit3sch.pdfをダウンロード  

この配線図そのものはMicrochip 製なのかクローンを作った会社のものか判りませんが、現物照合すると抵抗値が一部異なる所はありますが、IC名や結線は合っていました。

壊れたICはSN74LVC1T45DBVRという品番のバストランシーバーである事が判りました。 このバストランシーバーのパッケージは何種類もありますが、PICkit3に使われているのは、最後の文字がDBVRという一番大きいサイズのものです。

東京出張の帰りに、このICを秋葉原で探しましたが、結局見つからず。 帰ってからRSで見つけましたので注文し、現物も入手していましたが、その間にクローンのPICkit3を入手していましたので、修理は手づかずの状態でした。

最近、このバストランシーバーを実験する機会があり、PICkit3の修理の事を思い出しましたので、修理にトライする事にしました。

壊れたICは完全に黒焦げで、下の基板も炭化し、一部銅箔も無くなっていました。 本来6個の半田ランドが必要なICですが、6番ピンのランドとストリップラインは消失し、4番ピンに接続するストリップラインも消失していました。 拡大鏡を駆使してなんとかハンダ付けし、出来上がった基板は以下です。

Picki3up

Pickitopen

左上が黒焦げの基板上に新しいICをマウントし、消失したストリップラインの代わりに0.18mmの銅線で配線した状態です。 この作業の後、テスターを使い導通テストを繰り返し、接続漏れや逆に端子間ショートが無い事を確認した後、通電し、PICのターゲットを接続すると、ターゲットのIDが返ってきて、プログラムも無事書き込む事が出来ました。

これから、電源電圧には最新の注意を払う事にします。

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2018年8月12日 (日)

50MHz AM受信機 (DSPラジオ)

<カテゴリ AM受信機 >

50MHzのAM送信機が出来ましたので、これとペアで使用する50MHz用AM受信機の製作です。

すでに7MHz用として、1KHzステップ可変のDSP受信機がありますので、これを親機とするクリスタルコンバーター(クリコン)をこのDSP受信機の中に内臓させる事にします。 DSP受信機は30MHzまで1KHzスパンで動作しますので、手に入る水晶振動子できりの良い32MHzを選定し、IF周波数が18MHz台となるクリコンにします。

このクリコン部分の配線図です。 50M_clicon.pdfをダウンロード

一般的にはシールドケースのかぶったインダクタンス可変式のトランスを使いますが、最近はほとんど入手不可能です。 生産はされていますがMOQ 10,000個とかの条件がつきますので、販売店もリスクが大きすぎるのでしょう。 そこで、現在量産中のチップインダクタと表面実装用トリーマーでこれを実現する事にしました。 これらの部品はRSとかDigi-keyで少量でも入手できます。

まずは、BPFの計算です。 ここで計算しました。 TKS.

50m_bpf_2

左は、チップインダクタとトリーマーで構成した50MHz用BPFです。 BPFの計算で、低いカットオフ周波数と高いカットオフ周波数を指定しますが、中心周波数がバンドの真ん中にくるように設定すると、インダクタンスの値が量産品のE12シリーズに一致しなく、かつ、全ての値のインダクタを手持ちしている訳では有りませんので、手持ちのインダクタが使えるようにこのカットオフ周波数を調整します。

手持ちのチップインダクタに1uHが有りましたので、これを使い計算した定数でBPFを作りました。

50m_bpfadj_3

アンテナアナライザをSSGの代用として、出力端にオシロをつなぎ調整する事にしました。

ところが、トリーマーを回してもピークポイントが見つかりません。 しかも挿入ロスが20dBくらいあります。 このインダクタの仕様を再確認すると、Q無管理品で、コイルのQが必要な場合、Qを管理したインダクタを使うようにとコメントがあります。

サイズが3216でかなり大きなチップインダクタでしたので、QはOKと考えたのですが、使用しているフェライトコアが50MHzまでは対応していないようです。

この1uHインダクタと同じメーカーでQがmin 30と管理されている太陽誘電製のインダクタLBM2612Tタイプを幸いにも手持ちしておりました。 手持ちしていたのは1.5uHのコイルでしたので、再度計算をやり直し、実装した結果、アンテナアナライザの周波数を可変し、その出力をオシロでみている限り、周波数特性は一応50MHzのBPFとして実用レベルであり、挿入ロスも6dB程度である事を確認できました。

IF周波数が18MHz帯ですので、このバンドのBPFも同じように作成しましたが、入出力インピーダンスの関係で直列共振回路によるBPFはうまく行かず、ミキサーの出力は18MHzのタンク回路と2次コイルによるトランス形式の回路としました。 トランスはカーボニルコアに0.28mmφのUEWを22ターン巻いて約5uHのインダクタンスを確保した後、2次側は5ターンとしてあります。

Cliconspeana

ミキサーは定番のジャンクションFET 2SK241ですが、最初、ソース抵抗の最適値と局発の主力レベルの最適値を探す為、オシロで波形をモニターしていましたが、周波数変換された18MHzのレベルが良く判りませんでした。 そこで、IF出力にスペアナを接続し、18MHzのレベルが最高になるよう定数を選定した結果が左のスペクトルです。

32MHzが局発レベル、50MHzが入力信号、18MHzがIFレベルとなります。 また、14MHzは局発の32MHzとIFの18MHzの差分で生じたイメージです。

18MHz以外の不要信号はDSPラジオの内臓フィルターで除去してもらう事にします。

Cliconpcb

左は、クリコンの全体構造です。 入力は右側の50MHz BPF側から加えられ、左側のトロイダルコアと、20Pのトリーマーで18MHzに共振させた後、18MHzのDSPラジオに繋ぎます。 中央上に32MHzの水晶発振回路、それに7MHzと50MHzを切り替えるPINダイオード回路と、マイコンからのクリコンON/OFFのコントロール信号により、全体をスイッチングする回路も実装しました。 PINダイオードは大量に手持ちしているインフィニオン製を使いましたが、ここはロームの1SSxxxでも使えると思います。

これを7MHz用AM受信機の基板上に実装した上で、PICのソフト変更を行わないと50MHzを受信しているのかも判りません。

DSPラジオの基板にこのクリコンの基板を2重構造で張り付けますが、DSPラジオの基板の裏側もクリコン基板の裏側も銅箔をべったり貼り付けてありますので、両方の銅箔を真鍮のボスとビスで導電的に結合しました。

50mrx_pcb

50mrx_inside

全体の配線図 DSP_50M_RX.pdfをダウンロード

次は、PICマイコンのソフト改造です。

一番の問題は、周波数を表示する文字フォントが大きすぎて、5ケタの数値を並べられないことです。 クリコンのハードをコントロールするソフトは簡単に改造出来るのですが、周波数を表示する為に一回り小さなフォントを作るのが最大の問題でした。

このフォントデータの生成器は以前アンテナアナライザの開発のとき、GIF画像をベースに自動生成するプログラムを作ってあったのですが、取説が有る訳でもなく、このTcl/TKのプログラムの復習からせねばなりませんでした。 操作案内は無く、作るフォントサイズやGIFデータの条件によりいちいちソースを手直ししながら操作する必要があるみたいで、GIF文字データを何度も作り代え、やっとフォントデータはできましたが、DSP受信機のプログラムで動かすと、まともに文字が出ません。 結局判った事は、フォントのX方向のピクセルは、8の倍数か8以下でなければ、うまく表示しないという、LCD表示ソフトのバグでした。

フォントコードジェネレーターにはバグは有りませんので、今回使用したソースを公開しておきます。

フォントコードジェネレーターCcord_Generator5.tclをダウンロード

バグの原因が判りましたので、バグを修正し、正しく文字が表示されるようソースコードを修正しました。 文字が表示できるようになると、50MHz受信機はあっと言う間に完成してしまいました。

完成して、その感度をFT450と比較すると20dBくらい感度が悪そうです。 そこで、50MHzのBPFの後に非同調のRFプリアンプを挿入しました。 このデュアルゲートFETのゲインは約20dBくらいです。

50mhzrx1

50mrxlcd

 

左上は動作確認中の50MHz AM受信機です。 右上は、アンテナアナライザからATTを介して信号を加えた時のSメーターの振れです。 同じようにFT450へ信号を加えるとSメーターはS9+30dBくらいまで振ります。 Sメーターの感度は自作が勝りますが、実用感度はFT450の方が良さそうな感じです。

自作の送信機にダミロードをつなぎ、音楽を変調したおこぼれ信号をこの受信機で受信すると、ブツブツと小さなノイズがでます。 信号強度がS5から9くらいの時が一番大きくなります。 原因はマイコンとDSP間の通信によるノイズです。 以前FM受信時でもあったノイズでこの時の原因はSメーターのデータ転送のノイズでしたので、FM受信の時だけはSメーター駆動を止めた経緯があります。 7MHz受信時はほとんど気になりませんでしたが、50MHz帯ではFMのときより大きなノイズとなっています。 原因は、DSP基板から出ているハーネスにノイズが乗っており、これをクリコンが拾うもののようです。 ハーネスを束ねたり、ケースの底に押し込むと少し改善しました。 

スピーカーに接続される線に50MHzか18MHzの成分のノイズが乗っているようで、この線を動かすと、ノイズが増えたり、音量が変化します。 MWや7MHzでは異常は起こらないのですが、50MHzの時だけ起こります。 狭い空間にシールドなしでクリコンが同居していますので、対策としては、スピーカーケーブルを2芯シールドに変更しました。 この対策でスピーカーケーブルを動かしてもノイズや音量に変化はなくなりました。

プリアンプ付の回路図DSP_50M_RX2.pdfをダウンロード

残念ながら、完成したこの日の50MHzは実際のAM局はおろか、SSBの局すら聞こえませんでした。

ちゃんと使えるのか心配ですね。

AM_RX50MHz.cをダウンロード

fontF50.hをダウンロード

Font7.hをダウンロード

50MHzの受信が便利なように、ラスト状態をメモリーし、次に電源ONした場合、バンド、周波数、ボリュームレベル、IFバンド幅が復元するようにソフトを改造しました。

AM_RX50MHz_lastmemory.cをダウンロード

2018年11月の日曜日にFT450にて50MHzをワッチしていると、50.53付近でAMの信号が聞こえます。 RS52くらいです。 広島市の局らしい。 これは幸いと、このDSPラジオをONして聞いてみました。 残念ながらRS31です。 ゲインがまだ足りないようですので、ゲインアップの対策を行う事にしました。 50MHzのBPFの後にFETの非同調アンプを設けていますが、これを同調アンプにして10dBくらいのゲインアップになるように改造します。 ところが、ゲインが上がり過ぎ発振してしまいますので、同調回路にQダンプの抵抗を入れ、同調した時の最大感度でも発振しないようにしました。 アンテナアナライザとATTで確認した結果では6dB以上は感度アップしているようです。

当然、この改造が終わったころには、またしてもAMもSSBも聞こえませんので、改善したかどうかは判りません。 次の機会を待つしかないですね。 

改造後の配線図です。 DSP_50M_RX2A.pdfをダウンロード

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2018年8月 4日 (土)

50MHz PWM変調方式 AM送信機 3 (完成)

カテゴリー<6m AM >

PLL方式のVFOがなんとか完成しましたので、これを送信機に接続して最終調整です。

50mtxtopview

最終調整と言っても、すでにいじる所は調整済みですので、動作確認のみになります。

左がPLL VFOを送信機に接続した状態です。送信機のドライバー段の発熱が大きいので、シールドケースの天板は取り除いてあります。

50mtx12w

無変調時の送信出力は12Wでした。 この出力は1時間くらいエージングすると10Wくらいまでダウンします。ドライバー段を扇風機で冷やすと、ゆっくりと12Wまで回復します。

PLL VFOに変更した事によるスプリアスは以下のようになりました。

50mtx1mspan

50mtx100kspan

50mtx200mspan

左上が1MHzスパンのスペクトルで、DDS VFOの時有った240KHzのスプリアスは有りません。 また、PWM変調用の210KHzキャリア漏れも60dB以下まで減衰しています。 右上は、100KHzスパンですが、DDS VFOの時有ったキャリア近傍のノイズベースのスプリアスも改善され、スペック内です。

左のスペクトルは200MHzスパンで、第3高調波までノイズに隠れて判りません。 4次以上の高調波も確認し、ノイズレベル以下でした。 これで、安心してTSSへ保障願いを出す事が出来ます。

50mtxmaxmod

左は、400Hzの最大変調状態です。PWM変調器の出力は電源電圧0Vから12Vをフルスイングしていますが、ドライバー段からの漏れが1.5Wほどありますので、写真のごとくキャリアがゼロになりません。 左の波形で、キャリアの幅が一番狭くなっている部分が1.7Wくらいの出力状態です。 この時、変調度計は98%くらいをさします。 しかし、ピーク値は無変調の1.8倍くらいですので、39Wくらいしか出ていないようです。 (13.8Vの電源ですが、変調PWM終段の内部電圧降下と、LPFによる電圧降下でRF段にかかるmax DC電圧は12Vくらいです。)

この状態で音楽を変調してエージングを続けています。 変調度計の目盛が80%くらいまで振れる範囲では、歪感はほとんど有りません。 変調度計の針が90%を超えるくらいになると、聴感上の歪が感じられますが、音声としては全く問題ないレベルです。 この歪は、変調による歪ではなく、PWM発生器に内臓されている振幅制限回路(リミッター)の応答特性によるもののようです。 振幅変化が無い連続した正弦波の場合、オシロの波形で見ても、実際に音を聞いても歪感は有りません。 また、音量もSSB信号を聞いているときと同等ですので、交信には支障はないと思われます。

FT450のSメーターは変調がかかってもその振れは変わりませんが、FT991のSメーターは完全にプラス変調の振れを示します。 変調がかかると、Sひとつ分くらい大きく振れます。

50mtxfrontview

PLL VFOの側面をシールドする必要はなさそうですが、送信機の側面に近くなるPLL基板のみはシールドケースで覆うことにし、木製キャビネットに収納する事にします。 木製キャビネットは100円ショップで見つけた物入れです。

Pllvfosheeld

50mvfo

左上はシールドで覆われたPLL基板、右上は化粧パネルを張り付けたVFOの正面です。

50mvfotrimer

エージングが2時間を過ぎたころ、突然、出力がダウンし、1W以下になってしまいました。 調べてみると、VFOの出力が極端に小さくなっています。 VFOの逓倍回路の基板に衝撃を与えると時々正常になりますが、その内、また出力小になります。 逓倍回路の20PF トリーマーを回しても、同調点が有りません。 このトリーマーを取り外して、単体の容量をLCメーターで測定すると、2PFくらいを示し変化しません。 このトリーマーはセラミックの上に電極を蒸着したものでしたが、断線したみたいです。 代わりにPICの水晶発振周波数を微調整する為に手配しておいた20PFのトリーマーに交換しました。 このトリーマーは2個使っていますので、2個とも交換です。 新しいトリーマーで同調させた時、出力が12.5Wまで上昇しました。 左上がトリーマーを交換した逓倍回路の基板です。 今までの物は何か問題のあるトリーマーだったようです。 約30個、20年くらいジャンク箱の中にストックしていた物でしたが、全部廃棄しました。

ここまでの配線図 6m_AMTX_03.pdfをダウンロード

変調の周波数特性が、400Hzで-3dBと、低域をカットし過ぎた音質となっていましたので、100Hzで-3dBとなるようコンデンサC31とC51を変更しました。

PWM生成の為のキャリア(今回は210KHz)漏れを最少にする為の対策は、作成したインダクターの巻始めと巻終わりの距離をある程度確保するのが一番有効でした。少なくともコアの1/4くらい巻線なしの部分を作ると60dBの減衰量は容易に確保できる事が判りました。 その為にはなるべく直径の大きなコアが有利です。 

最終状態のVFO配線図 PLL_VFO_50MHz_2.pdfをダウンロード

TSSへ提出したブロックダイアグラム 6mAMTXblocgdiagram.pdfをダウンロード

TSSに申請してから2週間で承認が下り、総通に変更届を提出しました。 そして1週間後に審査終了となり、交信可能になりましたが。

50m90pctmod

2018年11月

ドライバー段からのキャリア漏れの為、深い変調がかけられない問題の対策として、ファイナルだけでなく、ドライバー段にも変調をかけてみました。

左がその時の1KHz変調波形です。 キャリア出力は7Wまで下がりましたが、かなり深い変調がえられ、見た目、聞いた感じの歪もそれほど大きくなりませんでした。 実際の交信は出来ていませんが、12W 52%変調の信号と、7W 87%の変調信号、どちらが聴きやすいかを、ダミー抵抗へ出力した送信信号にて聞き比べた感じでは、後者の方に軍配があがります。

7W出力を少しでも上げる為、VFOの出力を40mWから80mWまで増加させましたが、出力は8Wどまりでした。 そこで、電圧ロスが多そうなPWMキャリアのLPFとなっているインダクターをフェライトに変え、導線の直径を2倍くらいに増やしてみました。 導線のDC抵抗は確かに減少し、出力は9Wくらいまで上昇しましたが、音の歪は見た目も聞いた感じもかなり悪くなってしまいましたので、元に戻すハメに。

変調をドライバー段までかける、この変更でLPFの負荷抵抗が約半分になってしまいましたので、LPFの再計算を行い、得られたインダクタンスは33uHでしたが、カーボニルコアに1.25SQのりード線を巻けるだけ巻いたところ、27uHしか巻けませんでした。 コイルのインダクタを固定としてPWMのキャリア漏れを60dB以下にすべく、コンデンサの値を吟味しました。

吟味した結果、2段目のコイルの出力端に設けるコンデンサ容量は手持ちの関係で、7.7uFになりました。

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Lpfjissou

そして、左上のスペクトルのごとく210KHzのキャリアもれは-70dBくらいまで対策できました。 この対策の為に追加した3.3uFのマイラーコンデンサは取り付ける場所が無く、終段のシールドケースに貼り付けてあります。

最終的な無変調キャリア出力は、1.25SQワイヤーのLPFが効いて、13.8Vの電源で9.5Wとなりましたが、実際の移動運用で、電源電圧が常時13.8Vという事はありえず、良くて13Vくらいですから、実際の運用状態での出力は8.5Wくらいです。

目標とした10Wキャリア出力には若干不足しますが、これを元の12Wに戻す為には、ドライバーやファイナルのFETの選定からやり直す必要がありそうという事が判ってきました。 この送信機に使っているMOS-FETはIRFI510ですが、これより新しいFETが無いかRSで探しましたが、コストパーフォーマンスの良いFETは見つかりませんでした。 従い、現時点では、ここで、目標達成とする事にしました。 将来、入力容量が小さく応答速度が20nsec以下のFETが出るまで待つ事にします。  ちなみに、1石、40円のFET FKI10531はTonとToffの合計の応答速度は16.7nsecで私が見つけたMOS-FETの中で最高のコストパーフォーマンスを有しておりますが、入力容量Cissが1530PFも有り、50MHzでは使えませんでした。

6mamtx

ドライバー段にも変調を掛けたことで、発熱量が減り、当初の予定通りシールドの天板も付ける事が出来るようになりました。 また、2時間くらいエージングしても出力の増減は有りません。

サンワサプライのマイクは中高域が全く伸びず、トランシーバー向きではない事が判りましたので、YAESUの無線機用のマイクに変更しました。 このマイクは、PTTスィッチ付でしたので、その機能を含めて回路変更を実施しています。

最終配線図 6m_AMTX_05.pdfをダウンロード

この送信機が完成しても、交信相手はいないのでは?という心配は現実になりそうです。 この送信機を製作し始めてから、度々6mをワッチしていますが、AMどころかSSBの局も聞こえません。 当地ではコンテスト以外の日に局を見つけるのは無理かも知れません。

平地では信号は聞こえませんので、いざこの送信機を持って山の上にでも移動するとき、受信用にFT450を持っていっても自作の意味が有りません。 そこでDC12Vで動作する、50MHzのAM専用受信機を作る事にしました。

ついでに移動用のアンテナも作りました。

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2018年7月25日 (水)

TH77 外部スピーカーマイク

Th77

購入してからすでに25年以上経過しておりますが、完璧に動作しているTH77があります。 最近車で走行中に交信をする必要が生じ、マグネット吸着式のノンラジアル2-Bandアンテナをこれに接続し、本体を持って交信しておりました。 ご存じの通り、このトランシーバーをカーバッテリーの13Vくらいで動作させると、その内、本体を握っていられなくなるくらい発熱し、最後にはプレストークSWを押す事さえできなくなります。

そこで、取説を読み直すと、外部スピーカーマイクで、本体を握らなくても送信できる事が判りましたので、この外部スピーカーマイクを手配する事にしました。

TH77の取説にはSMC31,SMC32,SMC33と言うスピーカーマイクのオプションがある事を説明していますが、さすがに25年以上前の商品ですので、ヤフオクで中古品を見つけるか、中古店で該当品を探すしかありません。しかし、ヤフオクはいつでもある訳はなく、常時販売している中古ショップでは4000円以上の価格がついています。 一方、中国製でKENWOODトランシーバー用のセカンドソースも通販で出回っており、こちらは新品ですが送料込で1280円とかの値付けです。 ただし、SMC32互換とは書いてありますが、実際は?です。

カスターマーレビューを頼りにダメモトで購入しました。 SMC32互換と書いてあるスピーカーマイクです。

さっそくTH77に挿入したのですが、送信モードにはなりますが、変調がかかりません。 また、時々送信も出来なくなります。 さっそく、マイクの裏ブタ止めてあるネジ3個を外して、怪しい所をチェックしました。

Micinside_2

線の半田付けの品質が悪いというレポートがありましたので、詳細調べると、矢印で示した黒色のGND線の半田がおかしく、カバーしてあったホットメルトを剥がすと、ハンダがポロリ。 時々送信にならないのはこのハンダ不良(イモハンダ)が原因。

シメシメと確実にハンダし直し、時々送信にならないという現象は出なくなりましたが、変調がかからない症状は改善されません。

動作確認済みのコンデンサマイク単体をTH77のMICジャックに差し込むと、ちゃんと変調がかかります。

Micinng

Micplugng

Micinok

マイクを差し込んだ状態で、マイクプラグの根本を押し込むと時々変調がかかります。 しかし、指を離すと変調がかからなくなります。 プラグのモールド部分のサイズが大きすぎるのではと、カッターナイフで削ってみた状態が左上の写真です。

このようにマイクプラグが完全に挿入されず、少し浮いています。 ちなみに、3.5φのマイクプラグのみ差し込むとちゃんと奥まで挿入され、マイクによる変調がかかります。 ただし、この場合、マイクのPTTスイッチは効きません。

原因はスピーカー用の2.5φプラグの長さが規格より長く、これがJackの底に当たり、これ以上挿入出来ていない事がわかりました。 対策はこの2.5φプラグの先端をヤスリで削り、約1mm低くしたところ、左の写真のごとく、MICプラグが奥まで差し込めるようになり、変調がかからないという問題は解決しました。

いざ、交信に使ってみると、本体の内臓スピーカーよりこのマイクスピーカーのスピーカー音質は悪く良く聞き取れません。 これは、もう少しまともなスピーカーに変更し、マイクとPTTスイッチのみを利用した方がよさそうです。 ただし、マイクとスピーカーをセパレートすると、GNDとPTTスイッチが接続されなくなり、送信できませんので、このスピーカーマイク側についているいるイヤホーン用の3.5φJackに別のスピーカーをつなぐ事になります。

一応、走行中でも交信できるトランシーバーシステムが出来ました。 私の車の中で2mトランシーバーは常時使用する事はなく、1年の内に数回しかその可能性は有りませんので、本格的なカートランシーバーシステムを装備する気はなく、この程度で十分です。

ちなみに、このTH77は新スプリアス非対応品でしたので、6mのAM送信機をTSSで保証認定してもらうついでに、新スプリアス認定処理をやってもらいました。 料金はAM送信機と合わせて3000円でした。

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2018年7月21日 (土)

50MHz PWM変調方式 AM送信機 2 (PLL VFO)

カテゴリー<6m AM >

50MHz AM送信機用のVFOの製作です。

以前、7MHz用に原発振周波数が14MHzのPLL VFOを作りましたが、200Wの出力がPLL回路に回り込み、PLLがロックしないという初歩的なトラブルで採用を諦め、ジャンク箱行となっていたユニットを探し出し、25MHzのVFOに再トライします。 25MHzを2逓倍して50MHzのVFOに仕上げるアイデアです。 25MHzは1KHzスパンで可変できますので、50MHzでは2KHzステップの周波数アップダウンですが、AMですので、不自由はないでしょう。 前回の失敗を繰り返さない為に、今度は送信機とはセパレートしたケースに収納し、シールドを確実にする事にします。

このPLLに使われているICは東芝のTC9256Pで、40MHzまで1KHzスパンで発振できます。 14MHzの周波数を25MHzに変更し、まずは、そのスペクトルを確認する事にしました。

25MHz用の回路図 PLL_VFO_25MHz.pdfをダウンロード

この回路による25MHzの信号スペクトルを確認しました。

25mvfo100mspan

25mvfo10mspan

左上が、スパン100MHzのスペクトルで左から25MHz基本波、真ん中が50MHzの第2高調波、右が75MHzの第3高調波です。 この出力の後で、2逓倍しますので、第3高調波はもう少し減衰させて置く必要がありそうです。 右上は10MHzスパンのスペクトルで余計なスプリアスは見えません。

25mvfo1mspan_2

25mvfo100kspan

左上が1MHzスパンのスペクトルで、DDSやPLL ICに有ったスプリアスは有りません。 右上は100KHzスパンで、隣接スプリアスも問題有りません。 原発振回路は純粋なクラップ発振回路で有り、チップインダクタのQは35くらい、バリキャップのQも100以上ありますので、余計なスプリアスは全くありません。

2multi_schema

PLL VFOの出力には、基本波より約10dB低い50MHzの第2高調波が含まれていますので、次の段でいきなり2逓倍し、50MHzを得る事にします。

左がこの逓倍回路です。ただし、50MHzのみを選択し、25MHzや75MHzの成分を抑圧する為には、タンク回路のQを確保してやる必要が有ります。

コイルはタップ付のインダクタンス可変式のケースに収まったトランスタイプがベストなのですが、残念ながら入手は無理ですので、カーボニルコア(型番不明)で作る事にしました。50MHzに共振させるLCは1uHと10PFくらいですから、1次側として13ターン巻くと1.02uHとなりましたので、電源側から2ターンのところにタップを出し、これをコレクタに接続しました。この回路の出力インピーダンスは370Ωくらいです。 出力は2ターンのリンクコイルからとりだしますので、出力インピーダンスも370Ωくらいです。

50mhzout1

50mhzout1sp

左上がトランスの2次側の50MHz波形。右上がそのスペクトルです。 50MHz以外のスプリアスで、送信機のLPFでは除去が困難な25MHzと75MHzが-30dB程度まで抑制出来ましたが、まだ不十分ですので、この二つの周波数成分だけは、送信機に送り込む前に対策が必要です。

対策として、この逓倍回路の後段に50MHzのみを増幅するバッファアンプを挿入します。

まずは、最高のQが得られる無負荷状態で、このバッファアンプの出力のスペクトルを見てみる事にします。 これがNGなら根本的な再検討が必要です。

Pllvfoout

Pllvfooutsp

Multi2

左上がVFO出力で少し歪んでいますが、10Vppあります。 右上はそのスペクトルで、25MHzの低調波はノイズに埋もれて見えません。 問題の75MHzは、-58dBくらいまで減衰しました。 それ以上の高次のスプリアスは送信機終段に挿入されるLPFで除去されますので、問題なしです。

左の基板はこの逓倍回路の実装状態です。コイルとコイルの間に見える半固定抵抗は50MHzバッファー段の動作バイアスを調整して、75MHzレベルが最少になるように調整するものです。

PLL VFOの全体の回路図 PLL_VFO_50MHz.pdfをダウンロード

一応、PLL VFOとしての基本動作はOKとなりましたので、 これを送信機に接続した時の実負荷をシュミレーションし、かつ送信機が送信状態になっても、回り込みによる障害が起こらないようにシールドケースを検討する事にします。

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50mhzvfocasing

左上が、25MHz PLL unit、真ん中が2逓倍回路、右上がこれらをケースの中に収納し、最終的には側面をシールド板で囲めるような構造にする予定です。

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PLL VFOのフロントパネル部分と木製のキャビネットに収納した状態です。 フロントパネルは基板の銅箔面がむき出しですので、完成した暁には化粧パネルを張り付ける事にします。

この完成状態での出力は以下のようになりました。 実際の送信機を負荷として接続すると、出力段のQも下がり、出力レベルもダウンしますので、エミフォロのバッファー段を追加し、かつ出力インピーダンスも50Ωとしました。 下はその状態で50Ωの入力インピーダンスであるスペアナに接続した時のスペクトルです。

Vfo2100mspan

Vfo210mhzspan

Vfo21mspan

Vfo2100kspan

100KHzスパンの中の+/-15KHz付近が多少騒がしくなっていますが、一応スペック内です。

ここまでの配線図 PLL_VFO_50MHz_2.pdfをダウンロード 

ここまでの特性を得る為に、まずトランジスタの変更を行いました。 最初2SC3110というftが4GHzくらいの石を使いましたが、50MHzでのゲインが若干不足しているようで、2逓倍回路や次段の緩衝増幅の安定度がイマイチでした。 そこで、手持ちのNXP製のPBR951(ftが8GHzくらいで50MHzでのゲインは20dB)に変更した上で、緩衝増幅の動作安定の為、エミッタのパスコンを廃止し、かつ抵抗も微調しました。

さらに、この緩衝増幅回路のバイアス電流調整回路に加え、入力レベルも可変できるように1KΩの半固定抵抗を設け、25MHzと75MHz最少状態を調整できるようにしました。

また、アッセンブリ過程で、LCD駆動ノイズがロータリーエンコーダーの入力ラインや基板間のRF信号ラインに乗り、マイコンの誤動作やスペクトルの悪化を引き起こしていましたので、LCDドライブのハーネスは他の回路からなるべく隔離するような線処理を行っています。

PLL VFOのソースファイルPLL_VFO_50MHz.cをダウンロード

機能的には、50MHzから54MHzまでを2KHzスパンでカバーします。受信時に、回路をOFFする事も実験しましたが、送信開始時にタイムラグがどうしても出るので、受信時は表示周波数に200KHzプラスした周波数へシフトする事にしました。 出力が40mWくらいありますので、アンテナが接続されていなくても受信機(FT450)のSメーターはS9まで振ってしまいますので、その対策です。

これから、実際の送信機に接続して微調する事にします。

50MHz PWM変調方式 AM送信機 3 (完成)   へ続く

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2018年7月 8日 (日)

50MHz PWM変調方式 AM送信機 1

カテゴリー<6m AM >

ブロック毎に作成してきた6m AM送信機ですが、一応ファイナルのLPF以外、全て出そろいましたので、これを移動でも使える送信機に仕上げる事にします。

6mamtx01

左上はMAX40W出力のPWM変調器、その右はPWM LPFで2個のカーボニルコアで構成されます。 この下に横たわるシールドBOX内の回路がDDS VFOの出力を10Wまで増幅するドライバー。 右側の放熱板を含むユニットがキャリア出力10W、最大ピーク電力40Wの50MHzアンプです。 その他に、コモンモード電源フィルター、50MHz LPF、スタンバイコントロール回路などがありますが、これらを一つのシャーシの上に組み立てていく事にします。

6mamtx_1

以前、7MHz用50W AM送信機に使ったシャーシの中に、50Wのパワーアンプだけが取り付けられた状態で物置に放置してありましたので、これから、50WのRFアンプを取り去り、今回の50MHzユニットを実装する事にしました。

実装した各ユニットは単体では、動作確認出来ていますが、結合状態での確認はこれからです。

シャーシのサイズが先に決まっていますので、この中に納まるように、現物による配置検討を行い、外気温37度の屋外で汗だくで加工を行い、やっと完成しました。

6mamtx_2

6mamtx_3

左上は、フロントパネル面ですが、電流計と変調度計は100uAの電流計をベースに目盛板を自作しました。 50MHz ドライバーやファイナルステージがかなり大きくなり、シャーシの中にうまく収まりません。 この為、電源入力部分に挿入した5Aのコモンモードフィルターの上に、送受信切り替えのリレー基板を載せなんとか、全部を収納しましたが、50MHz LPFは後日、そのサイズを含めて検討する事にします。

まだ、アンテナにはつなぎませんので、ダミー抵抗を接続して、変調の状態を調べる事にしました。

6mtx_400hz

6mtx_10w

6mtx_music

左上が400Hzの信号で変調した時の波形です。 この時の出力は10.6Wくらいを指しています。 この状態が最大変調度の状態で、 PWM ICのリミッターが効いて、いくら入力を上げても変調はこれ以上深くなりません。 波形的には、物足りない感じがしますが、実際に音楽を変調すると、受信機(FT-450)からは、SSBの時と同等の音量で聞こえますので、実用上の問題は有りません。 左が音楽信号による変調波形です。 一応リミッターが効いており、これ以上、変調度は深くなりません。

この送信機のファイナルの電源電圧を0Vにして、送信状態にすると、出力が1.5Wくらい出ます。 ドライバー段の10W出力がファイナルをスルーして漏れてくるもので、変調波形の最小値がこれ以上小さくならない原因にもなっています。 ただし、波形を見ている限り、大きな歪はなく、実際に音楽を変調した場合でも歪感はありません。

6mtx_vfo

6mtx_asing_2

左上は、この送信機の外部VFO、右上は、電源電流とエージング中の変調度です。 電流計は当初MAX15Aの目盛でしたが、実際の消費電流は13.8Vの電圧の時4Aくらいですので、MAX10Aの目盛に変更しました。 このアンプの計算上の効率はかなり悪いです。 その最大の原因はドライバー段が常時10Wで動作している事のようです。 現実に、ファイナルより、ドライバー段の発熱が大きくなっています。 この為、ドライバー段のシールドケースの天板は廃止しました。

ファイナルとアンテナ端子の間に挿入する50MHz用LPFを作成します。 いつものURLで計算した定数は次のようになりました。

50mhzlpf この計算結果から、両面基板を切り出して作成したLPFが以下になります。

6mlpfin

コイル毎に両面基板によるシールド板で個室化し、三つの部屋にそれぞれコイルを置きます。 各壁を貫通する導体とケースグランドの間の静電容量は平均して2.7PFくらいでしたので、入力と出力端の壁には約22PFのコンデンサを付け、真ん中のコイルの両端には100PFのコンデンサを接続しています。 

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50mlpfswr

当初、50.5MHzに於けるSWRは1.5くらいでした。 コンデンサはそのままで、コイルを伸ばしたり縮めたりして、SWR最少状態にカットアンドトライしました。 一応50MHz用のLPFですが、50MHz以下の周波数帯でのSWRは制限が有りませんので、とにかく50.5MHzでSWR最少になるよう調整します。 結果、SWR最少値が1.23となり、その時の真ん中のコイルは写真のごとくかなり小さいインダクタとなりました。 この状態でLPFのケースに蓋をかぶせ、導電糊の付いた銅箔テープで密閉しました。 この状態でのSWRは1.22となっていましたが、LPF無しの時のSWRが1.2くらいでしたので、ロスは少ないと思われます。 実際、LPF無のときの出力は10.5Wでしたが、このLPFを通すと、12Wになります。 多分、LPF無しのときの歪が上下非対称で、半端整流でレベルを検知していますので、上下非対称が改善された結果、真の出力を表示するようになったのでしょう。

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完成したLPFをファイナルとアンテナリレーの間に実装しました。 ファイナルのタンク回路のバリコンのすぐ横に縦に配置しましたが、その間にには気持だけの銅板によるシールド板を取り付けてあります。 その状態でのアンテナ出力の高調波レベルが右側になります。 第2高調波は-63dBくらいに収まり、3次は-58dBくらい、4次以上の高調波は-65dB以上の減衰となっております。 これは、LPFのケースやファイナルのケースのアースを検討し、全ての高調波が-60dB以下になるようにします。

次にPWM変調のキャリア漏れを確認しました。

Sprias1m

Vfoout

左上はアンテナ出力におけるPWMキャリア漏れです。 配線図通りの定数ですが、LPFの効果があまり出ていません。 それに、210KHzと240Khz付近に2本のスプリアスが有るのが気になります。 PWM変調回路のコイルとコンデンサを吟味したところ、RF段の電源インピーダンスが3.5Ωではなく5.5Ωである事がわかりましたので、コイルを少し大きくする必要が生じましたが、面倒なので、3次のLPFを4次LPFに変更したところ、右側のスプリアス特性となりました。 210KHzと420KHz付近の2本のスプリアスは無くなりましたが、240KHz付近のスプリアスは、しつこく残っています。 また、キャリア近傍の+/-15KHz付近もかなりのレベルのスプリアスが残り、明らかにスペックアウトです。

変調回路のGNDやパスコンを色々いじりましたが、この240KHz付近のスプリアスは一向に改善しません。

困り果てて、スプリアスがどこで発生しているか、終段から前段に向かってスペアナを接続替えしていくと、なんとDDS VFOの出力で、この240KHzのスプリアスが出ておいるではありませんか。

以前、DDS VFOのスプリアス検討を行いOKを出していましたが、240KHz付近と15KHz付近のスプリアスは未確認でした。

6mの送信機は多分OKレベルですが、DDS VFOがまだNGである事が判った次第です。

とりあえず6m送信機はこのままで、再度50MHz用DDS VFOを検討する事にします。

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左は、その再検討の初日に、見つけた7MHz付近の周波数をDDSが出力したスペクトルです。 約240KHzのスプリアスはPLL ICによるものとばかり考えていましたが、実は、DDSでも発生していました。 左の画像では+/-300KHz付近にスプリアスが見えますが、周波数を変えると、この300KHzの周波数もランダムに変化し、最もキャリアに隣接した場合200KHzを切る周波数で現れ、そのレベルはいつもキャリアのピークに対して-40dBくらいです。 この200-300KHz離れたスプリアスはDDSとPLLが原因していますが、キャリア近傍のスプリアスはPLL ICだけの原因のようです。 このようなスプリアスに対して、その技術力が信用できるアナログデバイス(アナデバ)の技術資料からも、PLL ICのキャリア近傍のスプリアスを-60dB以下に抑制するのは、かなり困難である事が、うかがえます。 

かくして、AD9833による送信機用原発振器は実用不可との結論に至りました。 送信機は出来ましたがVFOがNGとなりましたので、クリスタルOSCか手作りのPLL VFOを開発できるまで、オンエアどころか、TSSへの申請もお預けとなりました。

ここまでの配線図です。 6m_AMTX_02.pdfをダウンロード 

50MHz PWM変調方式 AM送信機 2 (PLL VFO) へ続く。

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2018年6月30日 (土)

6m AM用変調回路(PWM方式)

カテゴリー<6m AM >

6m AM送信機用のPWM方式変調回路を一から作ります。 7MHz用で最大ピーク出力800Wの変調回路を一度作っていますので、今回はピーク40Wであり、7MHz用をスケールダウンして作る事にします。 

PWM変調ICは秋月で購入したPAM8012というICを使います。 このICは以前、AMラジオのパワーアンプとして利用した事がありました。 7MHz用で使用したTPA2006との違いは、基板の占有面積が小さいというメリット以外に、内部に振幅制限回路が内臓されており、リミッターアンプのTA2011が不要になる事です。 ゲイン配分を最適化すると、かなりの範囲のレベルでPWMアンプの出力端の波形のクリップは起こらない回路が実現できそうです。 実際の予備検討でも、PWMアンプの前段がクリップするくらいの大入力でもPWM出力はクリップしませんでした。

もうひとつ、フォトカプラ―のICを高耐圧品に変える事です。 7MHz用で使ったTLP552のVCCは5Vで、変調終段をフロートする回路内に5Vの電源が必要でしたので、8Vの3端子レギュレーターとLEDでかろうじて5Vの電源を実現出来ていましたが、この5V電源回路を廃止するのが目的です。

H11l2

選んだフォトカプラーはH11L2という品番で1MHzのクロックでも動作します。 そして、正弦波の1KHzを加えた状態では、オーディオ信号がクリップしない限り綺麗な波形をしていますが、一旦クリップすると、左の波形のごとく、かなりのスプリアスをまき散らす結果になりそうです。 原因は、ターンオンやタ-ンオフ時間が最大で4uSecもあり、これが為に、波形がクリップする状態での急激な変化に追い付いていけない事のようです。 フォトカプラ―を選定する時は、オーディオ信号がクリップする時のスプラッタを見ておかないとヤバイ事になります。 ところで、TLP552はすでに生産中止になっていますが、東芝は代替えとして、TLPN137を推奨しています。この代替え品の方がより高速です。 RSでバラ売りされています。

結局、H11L2は使えなくなりましたので、まだ手持ちしていたTLP552に戻し、5Vの3端子レギュレーターを追加しました。 FETドライバーはTC4422のままですが、このICの耐圧は16Vあり、変調終段のFKI10531のゲートソース間耐圧は+/-20Vありますので、安定化電源は5Vのみとして、従来あった8Vの3端子レギュレーターは廃止しました。

この変調回路の基板内に変調度計の回路も入れ込みましたので、回路図は一見複雑になった様に見えます。 6mAMTX_MOD180630.pdfをダウンロード

6mam_mod_top

6mam_mod_back

左上が変調回路全体の部品挿入面です。 右上がその裏側です。 小信号の部分は0.05mm厚の銅箔でGNDを結んでいますが、変調終段の大電流回路はGNDもホットも0.3mm厚の銅板を敷いて、回路が不安定にならないようにしています。

PWM出力のLPFですが、RFアンプの計算上のインピーダンスは3.45Ωとなりましたので、このインピーダンスで3次LPFを計算すると、以下のようになりました。

6mpwm_lpf

このLPFは計算通りに行かないと言う事は7MHzのAM送信機にて、経験済みですが、最初の取り掛かりが、どのくらいのインダクタンスが最良なのか判りませんので、まずは計算で得られた定数でコイルを作り、その後、聴感で決めていく事にします。

6mtx_pwmmodlpf_4

左は、計算通りに作成した2個の55uHのインダクターです。 LANケーブルから取り出したAWG24のツイスト線を、2重のままカーボニルコアに巻いたものです。 ほどけないようにビニールテープで巻いてありますが、実装段階では、もう少し綺麗に処理します。

計算上のコンデンサの値は9.2uFでしたが、手持ちの2.2uFマイラーコンデンサ4個をパラレルに接続し、8.8uFのコンデンサを実装しました。 RF回路が動作確認できるようになったら、LCの定数を吟味する事にします。

6mpwm_lpf_block

変調回路の周波数特性です。

Audio_f_responce_4

赤がRF段につながるLPFの出力端に於ける周波数特性です。 青色は変調度計の周波数応答特性です。 1KHzをピークとして、300Hzから3KHzまでお椀型の特性をしており、音楽の音質には向きませんが、音声の了解度は電話機並みの特性をしております。

現状の配線図6m_AMTX_01.pdfをダウンロード  (RF部は動作未確認)

今回、移動にも使えるという目標で、この送信機を設計していますので、ホームで使うダイナミックマイクは使えません。 そこで、携帯トランシーバー用のPTT付マイクをさがしましたが、これが以外と高価です。 インターネットショップを検索していると、サンワサプライのコンデンマイクで、MM-MC1というPC用のスタンドマイクが見つかりました。 価格は送料込で600円弱。 マイク出力に負荷抵抗となる2.2KΩ越しにDC4.5Vを加えると動作します。 感度は普通のダイナミックマイクと同じくらいですが、無指向性ですから、マイクボリュームを絞り気味にして使う事にします。 オシロをモニターとして、マイクから20cmくらいの距離から普通にしゃべって変調度計が80-90%くらいを指示するようにOPアンプのゲインを調整しました。

Mic_2

左は、この記事の中で紹介したサンワサプライのコンデンサマイクMM-MC1です。 このマイクは無線通信には向かないという事が判りましたので、レポートする事にします。

インターネットや単純に録音する高S/N環境で使う場合、周囲の高音域のノイズが邪魔になる為、高域カットを行うと了解度が向上する事は知られており、このマイクの周波数特性は、これを意識したもので、1KHz以上ではかなり高域カットを行っているようです。 ところが、この送信機では、3KHz以上の変調を極力抑える為に、3KHzのLPFを内臓させている事に加え、受信機のIFフィルターで高域をばっさりカットしていますので、マイク単体の高域カットと合わせて、了解度を著しく損なう音質になっています。 この為、S/Nの悪い無線環境では、かなり音量を上げないと、なに言っているのか良く判りません。 回路的に中高域を増強する手段をマイクアンプに追加して見ましたが、 この了解度の改善は不可能でした。 マイクを手で握りしめ、音響特性が変わるような細工をすると、中高域が出力されるようになるので、このマイクは構造的に中高域が減衰するような特性に設計されているようです。

以上のことから、このマイクはトランシーバー用には不向きと判りましたので、YAESUのトランシーバー用に設計されたハンドマイクに変更しました。 このYAESUのマイクもコンデンサマイクですが、音質は、トランシバーで使用したとき、最適な音質になるよう設計されています。 

変調器も出来ましたので、電源や、スタンバイ回路、50MHz LPFなどを実装する為に、シャーシ加工に取り掛かります。 50MHz PWM変調方式 AM送信機 1 へ続く。

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2018年5月27日 (日)

DDS VFO 逓倍回路付(1.8MHz - 50MHz)

<カテゴリー:DDS

PLLを使った逓倍用ICを入手し、そのスプリアス特性も良好でしたので、作成済みのDDS VFOの中に組み込む事にしました。 (その後、後述のごとく、スプリアスは送信機には使えないレベルである事が判りました。)

PLL逓倍IC ICS501は、最少出力周波数が13MHz以上という条件がありますので、今まで10MHzは5MHzから2逓倍としていたのがNGとなりました。 従い、10MHzもDDSから直接出力させる事にし、LPFを作り代えました。

10mhzlpf

手持ちの部品から、そこそこ使える定数を決めたのが上のLPFグラフとLC定数です。 PLL ICのクロック入力レベルが3.5VPP以上必要なため、アナログ回路のゲインの調整を行い、各定数を見直しました。

回路図 DDS_multi_VFO180709.pdfをダウンロード

Dds_pll_vfotop

Dds_pll_vfo

左上がDDS VFO基板にPLL回路を追加し、PLL回路をバイパスしてDDSからのダイレクトに出力する為にリレーで信号の流れを変えています。 右上はその基板の裏側ですが、しばらく時間が経つと、判らなくなるくらい混んできました。

Dds_pll_vfoin

なんとか、シールドBOXの中に全てが収まりました。

PLL ICの逓倍倍率を指定するのは、S0とS1の2本の端子を使用しますが、この端子の入力仕様は少し特殊になっています。通常のH(5V)とL(0V)の他にトライステートモードがあり、HでもLでも無いというポジションがあります。データシートでは、Mという表示がされています。 このモードをPICマイコンで作り出すには、PICマイコンの端子を入力モードにしてやれば実現できます。 このような仕様なので、通常2本のi/oの場合、4モードしか実現できませんが、このICは9モードを実現しています。 使用可能な逓倍倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍と、ハムが送信機を作るときとても便利です。 今回のDDS VFOには、2倍、3倍、4倍、8倍だけを使いました。

ソースコードDDS_multi_VFO_ICS501.cをダウンロード

7mhzlpfout

50mhzpllout

左上が7MHzの出力波形。LPFのカット周波数を10MHzくらいまで上げましたので、線が太く表示されています。 右上は50MHzの出力波形です。 その他のハムバンドの周波数も出力可能ですが、これほど綺麗では有りません。 当初から7MHzと50MHzのAM、CW送信機を想定していますので、他の周波数が必要になった場合、都度検討する事にします。

たちまちは、50MHz AM送信機のVFOとして使用します。 このVFOを使った50MHz用AM送信機の製作はこちらを参照下さい。

50MHz用AM送信機に使った結果、キャリア+/-240KHz付近のスプリアスと、キャリア近傍のスプリアスが新旧スプリアス規制いずれも不適合となる事が判りました。 結局このDDSとPLL逓倍ICは送信機には使えないという事が判った次第です。

Vfoout

Dds7mhzout_2

左上はDDS 6.25MHz出力をPLL ICで8逓倍したときのVFO出力。 右上は7MHz付近をDDS単体で出力した時の出力です。いずれも、送信機に要求されるスプリアスは不適合で、これらのスプリアスは後段のフィルターで取り除く事は出来ません。

このDDSの出力に現れる+/-300KHzのスプリアスについて検討を始めました。

DDS VFO AD9833 名誉挽回  に続く。

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2018年5月18日 (金)

8倍 逓倍回路

カテゴリー<6m AM >

6m AM用の終段ステージはドライバー及びプリドライバーの検討が終わりましたので、次にDDSで作られた6.25MHzの信号を8逓倍して、50MHzを得る回路の検討です。

8倍逓倍はダイオードダブラーを3段シリーズに接続して8倍を得るつもりです。 回路は以前作成した、7MHzのVXO出力を14MHzに2逓倍する回路をベースに定数を最適化して実現します。

8multi_top

8逓倍回路の回路図 6mTX_multi8.pdfをダウンロード

この回路図の各定数は50MHzを得るQ3までは、実際の値を示します。Q3から後段のプッシュプル回路はまだ実装されていません。

50Mhzで十分なゲインを得ようとすると、低周波用の2SC2712のようなftが80MHzくらいのトランジスターでは、不十分で、ftがGHz台のトラジスターが必要となってきます。 GHz台のftを有する小信号用トランジスタのVCEは12Vかそれ以下の事が多く、後日、入手で困らないように5Vの電圧で動作させ、最後にファイナルステージの必要出力0.5Wを確保するようにします。

実験回路では、12.5MHzまでは、低周波用の2SC2712ですが、25MHz以上はNXP製のftが8GHzのトランジスターを使用しています。 このトランジスタは東芝やルネサスのGHz台のトランジスターに置き換えるのは簡単です。 各逓倍段で、ダイオードの負荷抵抗とエミッタ抵抗を吟味し、ベース抵抗は可変抵抗器で最適値を求め、固定抵抗に置き換えるとい作業で完結します。

各ステージの波形を以下に示します。

625mby2a

125mby2a

左上がDDSの出力の周波数6.25MHzでQ1のコレクタ波形です。 右上が、2逓倍した12.5MHzのQ4のコレクタ波形です。

25mby10a

50mhza

50mby10a左上がさらに2逓倍して25MHzになったQ2のコレクタ波形、右上が、最後の2逓倍で50MHzになったQ3のコレクタ波形です。

左はこのQ3のコレクタ波形のスイープ時間を10倍にしたもので、周期的に振幅が変化するAM変調がかかっています。 オシロのトリガは、一定のレベルでかかりますので、拡大すると、FM変調がかかっているように見えます。 この50MHzの信号を受信機で聞いた感じはCWやFMを含めた全モードで違和感はありませんでした。

6x8multiこの波形の状態の時の周波数スペクトルを見たのが左の画像です。

確かに50MHzの信号は生成されていますが、基本波となる6.25Mhzおきに、きれいにスプリアスが生じています。 これをフィルターで除去するのは、至難の業です。 ダイオードダブラーでは、効率よく逓倍ができますが、その波形をみている限り、2倍1段が実用レベルで、今回みたいに3段もシリーズに接続すると、手の付けようが有りません。

8倍逓倍の方法は、もっとスプリアスの少ない、PLL方式に切り替える事にし、PLL8倍逓倍ICを手配する事にします。

選んだPLL ICは ONセミコン(台湾)のNB3N2302。 RSで入手出来ます。

Pllx8

Pllx8_amp

上が、このPLL ICの回路図です。 4番ピンと5番ピンをH(5V)にすると、8倍の逓倍回路として動作します。

データシートを見ながら、ピッチ変換基板と蛇の目基板上に組み立て、テスト開始。

全く動作しません。 消費電流が60mAくらいになっています。データシートではMax50mA。 異常動作です。配線が間違っているのか、何度もテスターを使いチェックしましたが、異常は有りません。 しかし、入力をゼロにすると消費電流はゼロになります。 出力端子をオシロで見ていると、かなり小さいレベルでRF信号が見え、拡大すると、ロックしていないVCOの発振波形です。 かなり悩んだ末、判った事は、入力レベル不足であったという事です。データシートでは、入力Hレベルは2V以上となっていましたので、オシロで入力レベルをチェックしたのですが、オシロのレンジの読み間違いで、実際は2Vppしかなく、これに気付かなかったのが原因でした。

入力を4Vppまで上げると、PLLの出力レベルが大きくなり、ロックし、消費電流も13mAくらいに下がります。

50MHzのSSB受信機でビート音が綺麗に聞こえます。

Pllx8_50m

Pllx8_50ma

上の左も右も50MHzで、オシロのsweepを変えただけです。 この状態でスペアナを接続してみました。

Pll50mout

Dds6mout

左上が50MHz出力のスペクトルです。右上はこのPLLの入力となるDDSの6.25MHz出力です。

50MHzのスプリアスに問題があります。50MHzのキャリアの両脇に約4MHzくらい離れてスプリアスが出ています。そのレベル差は-40dBくらいで、スプリアス規定でアウトです。 入力の6.25MHzにはこのようなスプリアスは無く、これは、PLLの内部で発生しているものです。

せっかく、ICを手配しましたが、このPLL ICは使えない事が判りました。 RSで入手可能なPLL逓倍ICでMOQが2で1個260円というIDT(USA)製のICS501というのが見つかりました。 海外在庫との事で、日曜日の夜注文して、木曜日に届きました。 今回は緊急という事でこのICのみにしましたので、送料450円により、単価は約2倍になってしまいました。

Ics501schema このICの周辺回路図です。パスコン以外何も有りません。

Ics501_50mhzout

Ics501_x850mhz

左上がエミフォロの出力波形で50MHzです。 右上は第3高調波まで見えるスペアナ画像です。センターが100MHzですから、左側の1本のスペクトルが50MHzで余計なスプリアスも、低調波も有りません。 第2、第3高調波がかなりのレベルでありますが、これは、終段のLPFで綺麗に除去できますので、全く問題有りません。

やっと8倍逓倍のVFOの目途が立ちましたので、これから、PWM変調回路の作成に移ります。

6m AM用変調回路(PWM方式) に続く。

キャリア周波数+/-500KHzのスプリアスを未確認でした。 これを確認した結果、AD9833を使ったDDS VFOとPLL逓倍ICを使ったVFOは送信機には使えない事が判りました。 

Ddsvfo_ng

左のスペクトルは、改めてDDS VFOの50MHz出力を1MHzスパンで見た状態です。 キャリアから約250KHzの周波数でスプリアスが有り、かつこのレベルが送信機のスプリアス規定を満足しません。 また、キャリア近傍のノイズ状態のスプリアスもスペックが-60dBですから、これもNGです。

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2018年4月 9日 (月)

6m AM パワーアンプの検討

カテゴリー<6m AM >

7MHzの200W AM送信機が完成し、1st QSOも終わりましたので、次のテーマとして6m用PWM AM送信機と決めました。 技術的に目途が有る訳ではありませんが、途中で投げ出す事も可という条件で始める事にします。 ただ、このテーマの最大の問題は、もし首尾よく送信機が完成しても、交信する相手がいないという事ですが。 

目標は移動運用可能なキャリア出力10WのAM送信機とします。

まず最初に、7MHzで実験したMOS-FETによるパワーアンプです。 以前私が勝手に定義した周波数限界(仕様書上で規定される総遅延時間の逆数)はとても50MHzには及ばず、せいぜい半分くらいしか確保できないようなFETでも50MHzのパワーアンプが可能なのかの実験です。

実験用のパワーアンプ回路図でず。AMTX_6m_PAmp.pdfをダウンロード

私が手持ちしているFETで、入力容量が小さく、最高の限界周波数、約21MHzのスペックを持つIRFI510(VISHAY製)のプッシュプル(PP)で回路を組みました。

6mam_amp_irfi510x2

6mam_amp_irfi510x2back

左上がパワーアンプの部品挿入面、右上がそのチップ部品装着面です。部品実装状態は2パラプッシュプルですが、実際はシングルプッシュプルで配線されています。

限界周波数が目標50MHzの半分にも満たないFETですが、出力ゼロではなく、なにがしかの出力が得られます。 ただし、E級増幅はおろかC級増幅もできず、かろうじてB級増幅が位相遅延を起こしながら実現できているアンプです。

この状態でDC電源が供給可能な最大18.4Vで出力を測定してみました。

6mam_pamp

入力はFT450からキャリア注入しますが、シングルPPと2パラPPでは入力容量が異なりますので、そこは直列に挿入したトリーマーで調整し、いずれもSWR1.3以下で、2.2Wのドライブです。 ゲートにDCオフセットを加えて、無信号時のドレイン電流がゼロの範囲で、ゲート電圧が少しでも高くなるように半固定抵抗を調整する事にします。 

FETシングルのPPドライブで8Wの出力が得られました。 動作モードとしてはB級に近い状態です。 この動作モードのままで、2パラプッシュプルにしたら同じVDDで5Wしか出ません。 多分、入力回路や出力回路の容量が2倍になった事で、インピーダンス不整合と最大回路効率の条件のアンマッチから出力不足になった為と考えられます。 ここで、入力レベルを上げても出力は頭打ちでした。

次に、ゲートDCバイアスを調整して、アイドル電流が2石で190mAになるようなAB級動作にすると10Wの出力が得られました。 この動作モードはリニアアンプの世界ですが、目標とする40Wの出力はVDDを37Vくらいまで上げないと実現できません。 出力トランスの2次側巻き数を2ターンから3ターンに増加させると、かえって出力が落ちてしまいました。

1個60円弱の安いMOS-FETで50MHzのリニアアンプが出来る事は判りましたが、その時のVDDは車用バッテリーの13,8Vとはかけ離れており、今回のテーマである50MHzアンプは無理と諦める事にしました。 やはりここは移動運用が主になるカーバッテリーで、10WのAM送信機(ピーク40W)の実現に向けて再検討する事にします。

再検討するFETはFT450のドライバー段に使用されている三菱のRD16HHF1というHFパワーアンプ用FETです。 

6mamp_rd16hhf1pp

データシートによれば、30MHzに於いて、DC12Vで16Wくらいの出力が得られると書かれており、何よりも現在量産中のFETであるという事です。 それに、価格が370円くらいと、この種のFETにしては、安く売られています。 これを4個ゲットし、今までの基板に実装してみる事にしました。

AMTX_6m_PAmp_RD16HHF1.pdfをダウンロード

左は、このFETをプッシュプル回路にして、実装した状態です。 このFETのフィンはソースになっており、放熱板に取り付ける時、絶縁の必要が有りません。もちろん、基板上でソースはGNDに接続しますが、3本足のセンターがソースに割り当てられていますので、基板内の配線も楽です。

この実験基板で、VDDを12Vに固定し、50MHzの入力を加えた場合、C級やB級の動作では、出力はほとんど出ません。 データシートでは30MHzの0.6Wの信号でドライブし16W以上出力が出るとなっていますが、その時のIidleは0.5Aとなっています。 ただし、このデータシートの数値はシングル動作でプッシュプル動作ではありません。

これらの事を加味して、50MHzなら多少パワーは下がるだろうが、プッシュプルにしたら、16W以上は出るかも知れないと実験を開始したのでした。

結果は以下のようになりました。

Pa_rd16hhf1

三つのデータが有りますが、変更したパラメーターは出力トランスの巻き数比のみです。 そして、出力は2次側を2ターンの時が一番大きくなっていますが、2次側を1ターンにした時が効率が良いという結果が出ています。 これは、写真でも判るように、終段1次側コイルを通常のAWG24ワイヤーで作ってあり、パワーアンプで良く使うパイプ状のコイルになっていません。 コイルをパイプ状にする理由は表皮効果による高周波抵抗を小さくするのが目的ですので、現在の1次コイルの高周波抵抗はかなり大きく、効率最大と出力最大が大幅にずれてしまっているのでは思われます。

 

ここで、ひとつヒントが得られましたので、7MHzのパワーアンプで採用したような、パイプ構造のメガネコアを作る事にします。

Imeganecore6m

Imeganecore6mcomp

この6m用メガネコアは銅パイプとガラエポ両面基板で作る事にしました。銅パイプも基板もフェライトコアをビニールテープで固めた後、寸法を測り加工しています。 コアは手持ちの分割コアで、プラスチックカバーにはKRFC-6というマーキングが有りましたので、北川工業の10MHz~50MHz用のコアでした。

Meganecore_amp

左はこのメガネコアを基板上に実装した状態です。 出力トランスの2次側に従来直列共振によるタンク回路を挿入していましたが、トランス1次側のインピーダンスが低下した事が影響して、直列共振状態の時のミスマッチが増大し、共振ポイントが判らなくなりましたので、出力はT型インピーダンス変換回路に変更しました。

AMTX_6m_PAmp_RD_PiOut.pdfをダウンロード

また、出力トランスの2次側を1,2,3ターンと変化させますが、都度、最大出力になるようTマッチ回路を調整しました。

結果は下の表の通りで、パイプによる高周波抵抗の抑制がかなり効いて、やっと、2次側3ターンの時の出力が最大となりました。

Pa_rd16hhf1_megane

この回路構成でRF入力を2Wまで大きくしても出力は変化なしです。 ちなみに、2次側巻線を3ターンとした状態で、VDDを6.9Vまで下げると、出力は6Wとなりました。 AM送信機の場合、VDDの2乗に比例して、出力が変化する必要がありますが、現在の状態では、AM送信機にはなりません。 目標は6.9VのVDDで10W、13.8Vのとき40Wの出力ですから、まだまだ目標には遠いです。

FETそのものの限界なのか? 回路構成が悪いのか? 試に周波数を28MHzして実験してみました。

Pa_rd16hhf1_28mhz VDD 12Vにて17Wが最高でした。 このFETのデータシートにあるのは、かなり大きなストリップラインを使ったQの高い30MHzオンリーの回路でのテストケースであり、私が手配できる汎用のフェライトコアを使った広帯域アンプでは、やっとこれくらいが最高出力なのかも知れません。 もちろん、VDDを上げて、放熱効果も良くすれば、50W以上の出力も簡単にだせそうですが、12Vではここまでが限界のようです。

また、50MHzに戻し、出力トランスの2次側を3ターン、ドレインの電圧波形が最適になるように、ドレインソース間に470PFを追加、かつアイドル電流を2石合計にて0.55Aまで増加させたら

6.9V : 8W   8V : 10W  12V : 16W となりましたが、VDDに対するリニアリティは全くダメでした。 三菱が公開しているVd対Poのデータを見ても、これはもう改善の見込みはなさそうです。 結局、この三菱のFETによるAM用パワーアンプは諦める事にします。

この検討を行った時の回路図です。 AMTX_6m_PAmp_RD_180428.pdfをダウンロード

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今回の検討で、メガネコアのパイプ状の1次コイルは、かなりロスを改善する事が判りましたので、一度諦めた、IRFI510によるプッシュプルアンプを再検討する事にします。 

再検討のIRFI510による回路図AMTX_6m_PAmp_IRFI510_180503.pdfをダウンロード

Megane_esd

このFETのゲートに関する制限はVgが+/-20V以下という以外、三菱のFETのような入力パワーの制限は有りませんので、入力のATTは廃止し、入力も出力もパイプ導体のメガネコアとする為、出力側のコアはNECトーキンのESD-R-17S-1、入力側は同じくNECトーキンのESD-R-12C-2(入力側に塗装品を使ったのは手持ちの関係で他意はありません)をそれぞれ2個づつ使用し、0.3mm厚の銅板を丸めてパイプ状にしてあります。 このNECトーキンのコアは10MHz~100MHz用ですので、50MHzでは、最もロスが少なくなる事を期待したいと思います。

当初、入力側に付いていたトリーマーはショート状態の方が良いので、ショートしてあります。この状態での入力のSWRは1.2以下です。 出力側の2次巻線は2ターンより3ターンの方が良くなりました。 また出力ラインの直列共振コイルは0.1uHくらいまで小さくしました。

Img_4652

左は、FETとメガネコアを載せ替え、検討を行っている状態です。

電源電圧対出力のデータを取り始めると、アイドル電流を増やした場合、高いVddの時の電圧対出力の関係が崩れやすくなる事が判りましたので、アイドル電流が流れている状態から、次第にゲートバイアス電圧を下げ、ちょうど流れなくなる電圧に設定してあります。 ゲートバイアスは約2Vで、動作的にはB級アンプとなります。

検討をしていく中で、電源ONした直後は大きな出力になり、次第に出力が下がる現象が起こります。 熱の影響があるかも知れないと扇風機で仰ぎながらデータ取りを行いましたが、得られたデータはこの下がって一定になった時のパワーです。

Irf510_megane

上のデータの中で、上2段分は、トランスによる損失が有るかも知れないと、出力回路をトランスではなくチョークコイルとして、C結にて出力を取り出した時のものです。 初回の時より大幅に改善していますが、流れているIdの値から、出力インピーダンスがかなり高い状態での動作になっており、FETがもつドライブ能力ぎりぎりを引き出している状態ではなさそうです。

メガネコアと書かれた段が、入力も出力も前述のメガネコアに換えたもので、18.4VのVddで34Wも出ています。 13.8Vで40Wは無理のようですので、最悪、DC/DCコンバーターによる電圧アップで解決する事も視野にいれます。

Irf510_linier

上のグラフは、メガネコアを使った状態で、電源電圧を変化させた時の出力データです。青色が入力2.2W固定、赤色が入力5W固定です。 緑の線は、電源電圧の2乗に比例した出力のカーブです。 本来は赤も青の線も緑の線に重なる必要がありますが、そうなっていません。 ただ、入力レベルを上げると理想カーブに近づくのではないかと思われます。 そこで、入力を10Wまで上げてみました。

Irf510_10win_2

電源の関係でVdd 6.9Vと13.8Vのデータしかありませんが、 13.8Vで31Wの出力があり、かつこの時の効率が75%まで向上しています。 5W入力時のVdd 13.8Vのときの出力は23Wでしたので、かなり理想に近づいて来ました。 現在、シングルプッシュプルですので、2パラプッシュにしたら、もしかしたら?と実験しましたが、13.8Vで30Wしか出ませんでした。 しかも電流は3.5Aくらい流れていましたので、効率も出力もダメと言う事でした。

平均出力10WのAM送信機のファイナル段の入力ドライブ電力を10Wまで上げると安い、10石で820円弱(82円/1石)の、DCDC電源用FETでも50MHzでPWM変調のAM送信機を作るれる可能性が出てきました。 これは面白くなってきました。 終段ドライブ用として10Wのアンプを検討する事にします。

ドライバーとしての10Wアンプは、リニアリティは必要ありませんので、ゲインだけは稼げるRD16HHF1にしました。

6mpa_with_10wdriver

7MHzの時のパワーアンプと同様に放熱板の上に、両面基板を敷いて、その上に立体的に回路を組みました。 この状態で、初段のドライバは12V駆動ですが、電流は1.5Aくらい流れて、終段のゲート電圧の波高値が+/-10Vくらいありますので、終段はほぼ10W近くでドライブされているようです。 

終段の電源電圧を6.9Vとした時の出力は10Wで電流は2.72A流れていました。効率は53%くらいです。

当初、ドライバー段に入力を加えた後、入力をOFFとしても、電流が流れ続きます。自己発振を起こしている状態でしたので、ドライバー段のドレインからゲートへCRによる負帰還をかけ、発振防止を施しています。

この状態での配線図です。AMTX_6m_PAmp_IRFI510_180509.pdfをダウンロード

期待しながら、13.8vの電源を確保し、送信ONすると、15Wしか出ません。 オシロでゲートやドレインの波形をチェックすると、もう50MHzの信号はどこへ行ったんだと言わんばかりのリンギング波形です。

ドライバー単独の場合、きれいな波形を見る事ができますが、終段回路が動作した途端、第2か第3高調波だらけの波形で、完全に増幅動作は麻痺していました。 やはり、50MHzともなると、7MHzのようにはいかないという事が良く判りました。 パワーアンプの構造を最初からやり直す事にします。

6mam_pa40w

6mam_pa10w

上のアンプが40W出力を狙う終段ステージです。 13.8Vの電源を使い、8W入力で35Wくらいを出力できます。 ただ、出力段の直列共振回路がうまく機能しません。10Wくらいの出力では、バリコンの回転に応じて出力が変化し、それなりの共振ポイントが得られますが、35W出力では、10Wの時の同調ポイントは変わらないのですが、ほとんどピークが判りません。極端にQが下がった状態です。

下の写真は、10W出力を狙うドライバーステージです。 最大出力は12V電源で12Wくらい有り、この時の入力は0.5Wくらいです。 ただし、入力のSWRは3くらいでアンマッチですが、実際の回路では、この前にDDSからの信号を8倍する逓倍回路が挿入されますので、問題ないでしょう。 このドライバーも出力が3Wくらいの場合、出力の直列共振回路は正常に機能しますが、12W出力の場合、終段ステージと同様、共振ポイントが見つかりません。

ふたつのアンプで出力の差があるにせよ、フルパワーの時、出力共振回路のQが大幅に落ちるのは、メガネコアの直流重畳による飽和ではないかと思われます。 丸1日かけて、作り直した終段とドライバーのステージですが、再度メガネコアから作り直す事にします。 

ドライバー段のメガネコアは現在終段に使っているESD-R-17S-1 のコアをドライバー段に移し替え、0.5W入力で12Wの出力を確保しました。 終段には、新たに、ESD-R-26Sというコア2個でメガネコアを作り実装し、40Wの出力を確保しました。 いずれの最大出力の状態でも、50MHzの共振動作が得られます。

6mdriver12w

6mfinal40w 

上の写真がメガネコアを載せ替えた12Wドライバー。 下の写真が新たにメガネコアを作った40Wファイナルです。 この回路では、電源ON直後に出力が大きく、時間が経つにつれ出力が下がる現象は有りません。 以前、この現象が顕著に生じていましたが、今は反対に電源ON直後数秒間は出力が増加しています。 出力が増加するのは、回路全体の調整ポイントが多少ずれているのが原因と考えられますが、最大の原因であった出力トランスの磁気飽和(DC電流とコアの発熱が最大の原因)は解消されたようです。

回路図6mpd180520.pdfをダウンロード

次に、このドライバーをDDS VFOからドライブするプリドライバーの検討です。 DDS VFOの出力は50Ωの出力インピーダンスで40mWしか有りませんので、これを0.5W近くまで増幅する必要があります。 この回路として、Pcが2WクラスのRFトランジスタを探しましたが、いいのが見つかりません。 よって、このプリドライバーもRD16HHF1を使用しますが、シングルアンプとする事にしました。 このアンプで出力0.4Wほど確保するにはA級増幅するしかなく、放熱板が無い状態で、フィンがあっちちになります。 結局このプリドライバーもドライバー段と同じような構造で、下の写真のようになりました。

50m_40w_amp

左下の横向き基板がDDS VFOの出力を0.4Wまで増幅するプリドライバー。 真ん中の横向き基板が0.4Wの入力を10Wまで増幅するドライバー。 右側の縦向きの基板がファイナルで10Wを40Wまで増幅します。 この回路が40W出力している時の全体の消費電流は10Aくらいになっています。

上の写真は、とりあえず、アルミシャーシの上に並べただけで、手を近づけたり、物を動かすと出力レベルや高調波レベルが変わり不安定ですので、これら3つの回路をシールドケースの中に収めるようにします。

50mhzvddpo

出力はVDD=6.9Vのとき、12W。VDD=13.8Vのとき、41Wとなりました。

肝心な電源電圧対出力特性ですが、左のグラフのようになりました。 緑の線が、完全なリニアリティ曲線で、赤の曲線がこのアンプの実測値です。 33W出力当たりまでは、ほぼ理想のカーブをしておりますが、それ以上の出力になると、パワーが伸びません。 また、低いVDDの場合、ゲートからドレインへのパワーの漏れが影響して、理想より大きい出力となっています。

この特性のアンプにAM変調を掛けたとき、約85%の変調度までは、ほぼリニアですが、最大変調度は92%程度となり、85%から92%までの波形は次第につぶれるようになります。 また、いくら変調度を上げても、キャリアはゼロにはならないというデータです。 このような特性のRFアンプにAM変調を掛けた場合、どのくらいの音質になるかは、PWM変調器を作ってから確認する事にします。 一応の目標は、80%くらいの変調度で、音楽がちゃんと聴ける程度とします。

RFブロックの回路図AMTX_6m_PAmp_40W180610.pdfをダウンロード

次は、DDS VFOから、このプリドライバーをドライブする8倍逓倍回路の製作にかかります。

6.25MHzのDDS出力を50MHzまで逓倍し、このパワーアンプをドライブする8倍 逓倍回路へ続く

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2018年3月10日 (土)

DDS VFOの製作 (AD9833)

<カテゴリー:DDS

アマゾンで安い中華製のAD9833ユニットを見つけ、HF送信機のVFOに使えないか事前検討をした結果、そこそこ使えるめどが立ちましたので、CW、AM送信機の外部VFOに仕上げる事にしました。

回路構成は、DDS VFOの実験の経緯から、16bit PICマイコンと、中華製基板をそのまま使って、パスコンの移動と、SPXOの電源を独立した回路を基本とし、10Hzスパンで1回転96パルスのロータリーエンコーダーと、1KHzスパンで1回転24パルスのサブエンコーダーによる周波数可変手段を持った1.8MHzから50MHzまでのハムバンドをカバーするVFOとします。

まずは、回路図です。

DDS VFO の回路図 DDS_multi_VFO180309.pdfをダウンロード

DDSはAD9833、 コントローラーはPIC24FV32KA302、LCDは新規に手配した16x2のパラレルドライブです。 25MHzのSPXOの電源を専用の3端子レギュレーターからドライブし、マイコンやDDSのデジタル回路電源から侵入するノイズを遮断しました。 また、DDSの3番ピンからAGNDへ落ちるパスコンC1は4番ピンへ最短で接続し直しています。 PICマイコンは、前回の実験で使用したものをそのまま使用しますが、前回の実験中に3端子レギュレーターが壊れた際、破壊されたRA0,RA1,RB0のI/Oは使用不能となっていますので、増加したLCDドライブ用端子を含め再配置しています。 

LCDは4bitパラレル駆動ですので、RB4~RB7へ割り付け、同一ポートの他の端子に影響が出ないようソフト面で配慮しました。

ロータリーエンコーダーは10Hzステップと1KHzステップを用意し、バンドによってはステップ数を変更しています。 バンドは1.8MHzから50MHzまでの10バンドですが、このセレクタとしてロータリーエンコーダーを使っていますので、IF周波数を考慮したオフセット周波数のバンドが増加しても、ソフト対応のみで、最大63バンドまで確保できるようになっています。

最高周波数を8MHzくらいと置きましたので、50MHzの場合、8逓倍必要です。 少しでも周波数の分解能を上げる為、周波数指定は0.1Hz単位とし、DDSのレジスターに書き込む場合の乗数kdは一桁落とし、1.073741824を使っています。 LCDへ周波数表示する場合、1/10してから表示します。

 Multivfo

上の写真はバラック状態の全回路です。

Multivfo1

Multivfo2

左上が基板の表側、右上がチップ部品装着面です。 私の基板は日圧のコネクターを多用しますが、ほとんどが、2mmピッチのPHタイプです。蛇の目基板の2.54ピッチと合わないので、ドリルで2mmピッチの穴を明け直して実装しています。 最近、秋月で2.54x2mmの基板が発売されるようになりましたので、今後、この基板を採用する機会が増えそうです。

DDSの出力の後にポストアンプと5次のLPFを実装してあります。 LPFは8MHzくらいをターンオーバーとするLPFですが、特性から算出した定数の場合、要求される値の部品を手持ちしていない事が普通です。 そこで、手持ち部品から特性を計算させ、そこそこの特性が得られるように定数を吟味するソフトを探したところ、以下のURLが見つかりました。

 
ここの計算シートを使い得られたLPFの特性は以下のようになりました。

8mhz_lpf

8mhzlpf

4.5MHz付近で5dB近く減衰が増えていますが、ちょうどDDSのDAC出力もこの付近の周波数から、周波数が高くなるほど、減衰していますので、出てくる出力は補正され、フラットに近くなっています。

このLPFを実際に構成した状態は、左の写真に示すように3個のチップコイルと2個のコンデンサです。実際の回路ではコンデンサが368PFという特殊値ですから、それぞれ3個のコンデンサを積み上げて作っています。 基板の占有面積は7.5mm x 5mmくらいで、ちゃんと使える特性を得ています。使ったコイルは太陽誘電製のLBM2016という型番のチップインダクタです。(RSでMOQ (Minimum  Order  Quantity) 25の条件で1個13円)

基本動作はOKとなっていますので、これから、ケースに収納する事にします。

ケースは生両面基板で箱を作りシールド構造とし、AM送信機が200Wフルパワーでも、異常が起きないようにします。

Ddsvfofrontpback

Ddsvfofrontptop

プリント基板の板を互いにハンダ付けして四角い箱を作るわけですが、メンテの為、箱の裏板はビスで止め取り外しができるようにします。

Img_4469

Ddsvfoback

左上はbox内の配線状況、上の方に裏板が見えます。この裏板でboxに蓋をした状態が右上です。VFO出力は左中央の小さな同軸コネクタから取り出します。右中央のコネクタは電源とTX側からのstand-by処理をするコネクタです。

Ddsvfoback2case

Ddsvfobackcase

シールドboxからケースの端子へコネクタで配線とケース後側の端子類です。DC Jackとスタンバイ用Jack及びRF出力用のBNC端子です。

Ddsvfofront

全体を100円ショップのプラスチックケースに収納した状態です。 見栄えを確保する為、インクジェットプリンターでレタリングをフォト印刷紙へ印刷し、フロントパネルの両面基板に貼り付けてあります。

この状態での信号出力波形とそのスペクトルは下の写真の通りです。 第2高調波レベルは-30dBくらいですが、これは特に問題は有りません。

信号純度に関係するスペクトルですが、今までのDDS実験記事で紹介したどれよりもきれいに見えます。 そして、実際のビート音も、CW送信機でも使用できるレベルです。

Ddsvfo7mhz

Ddsvfo7mhzspctr_2

最終配線図DDS_multi_VFO180406.pdfをダウンロード

ラスト周波数メモリー付のソースリスト DDS_multi_VFO_ACM1602K.cをダウンロード

CALスイッチがONの時、LCDで表示された周波数の信号が出力され、OFFの場合は出力なしとなります。 LCD表示は、送信の時も受信の時も常時周波数を表示していますが、送信及びCALオンの時だけDDSが指定周波数の信号を発生させ、受信時は周波数が0Hz(信号なし)となります。

DDS VFO 逓倍回路付(1.8MHz - 50MHz)  へ続く

キャリア周波数+/-500KHzのスプリアスを未確認でした。 これを確認した結果、AD9833を使ったDDS VFOとPLL逓倍ICを使ったVFOは送信機には使えない事が判りました。

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