2024年2月25日 (日)

160m用受信用アンテナ

<カテゴリ:アンテナ> ループアンテナ バーアンテナ

160m用のスローパーもどきや、高さ19.5mの垂直アンテナを設置したのですが、DXはCWですら全く聞こえません。 国内向けにSSBでCQを出しても、ノイズがS9+5dBくらいあり、せっかくコール頂いてもコールサインが取れないという状態が続いていました。 そこで、なんとか受信環境を改善できないものかと、電界シールドタイプの磁界ループアンテナを仮設して、改善できるかトライする事にしました。

インターネットで調べると、プリアンプ無しで使えるのは直径1.2m以上は必要とのことで、手持ちの同軸ケーブルを物色しましたが、約5m近くの同軸ケーブルは結構重く、支持材も大げさになりそうなので、昔、はしごフィーダーのワイヤーとして利用していました、3.5SQ相当の2芯シールド線がみつかりましたので、これをエレメントにして、ループアンテナを作る事にします。 電界シールドタイプのループアンテナは同軸ケーブルで作るというのが一般的ですが、インピーダンスは無関係で、単にシールド効果があれば良いだけでしょうから、同軸ケーブルの1/4以下の重さのこのワイヤーを4.8m用意し、この2芯のうちの1芯のみをループ状にして、グラスファイバー釣り竿を支持材料とした以下のような構造のアンテナを仮設する事にしました。

160mrxant160mrxantbox

この構造のアンテナを室内で組み立て、外来ノイズがS7くらいになるように方向と場所を選び設置しました。室内と言っても、木造、鉄筋、3階建てで、すでに地上高は9mくらいあります。

マッチングBOX内のバリコンは最大330Pのポリバリコンで、390Pの固定コンデンサと合わせて、約560Pくらいの時、1.840KHzに共振し、3対7の整合トランスで50Ωに整合しており、アンテナのSWRは1.05くらいです。

夜になるのを待って、国内のQSOを聞いてみました。 残念ながら、S/Nの改善は全く見られず、従来のスローパーモドキや、垂直アンテナの方が良く聞こえます。

2日目、場所と向きを変えて外来ノイズがS5くらいになる場所を選び、SSBで再確認してみました。 前日よりは、効果があり、S/Nの改善はできましたが、それでも送信アンテナで聞いた時の方が了解度はアップします。部屋の中で、ノイズのヌルポイントを探しましたが、見つかりませんでした。 住宅街で、周りを電線に囲まれている場所では、あまり効果は期待できないと悟った次第です。

 

次に検討したのは、AM用バーアンテナを使ったアンテナです。

160mant1

左の図のように、10φ 長さ100mmのフェライトバーの中央付近にAWG24の線を巻き、インダクタンスを約104uH確保し、max 430pFのエアバリコンで1830KHzに共振させ、コアの端っこに巻いた16ターンのリンクコイルから受信信号を取り出すようにしたもので、Mコネクターから見たSWRは約2.5くらいでした。 これを受信専用端子に接続し、送信用垂直アンテナとS/Nの比較を行いました。

受信出来た信号は国内のSSBでしたが、室内に置いたこのバーアンテナの方がS/Nは良く聞こえました。 ただし、受信音は垂直アンテナの方がノイズを含めて大きく聞こえます。 バーアンテナ側にプリアンプを入れると、音量が同程度で、S/Nの良い信号が聞けそうです。 ただ、この国内局が相手にしていたW6の局は聞こえませんでした。

この構成に至る前に、AMバーアンテナ用リッツ線を使ったアンテナも検討しましたが、入手した既成のコイルのDC抵抗が10Ωくらいあり、1.8MHzのQはかなり低く、受信しても何も聞こえませんでした。 

室内での受信で、かなり希望が持てる結果が得られましたので、最終的には屋外に出す予定ですが、10φ 100mmのフェライト棒を3本束にしたアンテナを作り、改善の度合いを確認する事にします。

160mbarant3

コイル部分は1φのUEWを約28ターン巻いて、約75uHのインダクタンスになりましたので、これにmax430PFのエアーバリコンを直列に入れ、1830KHzに共振させ、3対6のトランスで受信機へつなぎます。 バリコンの容量をLCメーターで確認すると、約95PFでした。 SWRは共振周波数で1.1くらいです。 

夜になるのを待って確認する事にします。

S/Nはバー1本の時と同じ様に聞こえますが、音量が足りません。 1本の時は並列共振をリンクコイルでピックアップしていましたが、3本の時は直列共振で1次側インピーダンスが12.5Ωとなていますので、Qが下がったのかも知れません。

  

160mbarant4

そこで、バー1本の時と同じように、リンクコイルを追加して、これで、受信機につないでみました。 音量は、バー1本の時と同等となり、S/Nもバー1本の時より、少しだけ改善したように思えますが、バーを3本にした時の期待値には届かないという感想です。

気になる所は、共振用のコイルの巻き数とリンクコイルの巻き数が同数という事です。 この状態でSWR1.1以下に収まっていますので、共振回路をQダンプしているに等しいのではないかと心配になります。 もう少し、改善を加えてみる事にします。

ちなみに、このバーアンテナでも、垂直アンテナでも、5W1SAのFT8信号は見えませんでした。

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バーアンテナの共振時のQを改善する目的で、2次コイルの巻き数を28Tから9Tに変えて、この9Tのリンクコイルを左右にスライド出来るように紙のボビンに巻いて、1830でSWR1.1以下に整合させました。

その状態で、1840KHzのFT8を受信したまま、風呂に入り、40分くらい経過した後、FT8の受信記録を見ると、AN8WAMがOP5QPIを呼ぶデータが残っていました。 モロッコの西、大西洋上のカナリー諸島からベルギーの局を呼んでいる信号です。 1.8MHzで初めてとらえたFT8のDX局がアフリカでした。 歓喜して、次の日、共振用コイルを75uHから119uHに変更し、リンクコイルはそのままで、1840KHzのSWRを1.1に整合させ、1.8MHzのFT8をワッチすると、今度はS79JZNという局が記録されました。セーシェル諸島というマダガスカルの北東約1000Km先のインド洋に浮かぶ島々からですが、表示された受信S/Nが-11dBとあまりにも良すぎます。 そこで、以前CWで交信した事のあるカナリー諸島のコールサインを調べてみました。 3局の記録が残っており、プリフィックスはEA8かEG8で、サフィックスは2文字でした。 セーシェル諸島の局とは交信した事はありませんが、過去のペディション記録から、フェイク臭いコールサインです。どうやら、UC局みたいですね。 喜んで損しました。 このアンテナの性能は、オレゴン州から-14dBから-17dBのQSBを伴いながら数十分間入感していたK7ZVの受信記録が、実力だろうと思われます。 アフリカからの信号の受信は出来ませんでしたが、室内に置いたバーアンテナでWの信号が見えましたので、屋外に設置する価値がありそうです。

屋外に設置する目的で、防水タイプのバーアンテナを作りました。とりあえずはベランダから2mくらいの高さ(地上高10m)に上げて様子をみます。

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左上が、食品タッパーの中に収納したバーアンテナ、右上がその回路図です。リンクコイルの位置を左右に動かして、1840KHzにて、SWR1.1に調整してあります。

 

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2024年2月11日 (日)

160m 垂直アンテナ 2024

<カテゴリ:アンテナ>

新マルチバンドアンテナを設置して、構想が未完成でした160m用のATUを使わない垂直アンテナをやっと上げる事ができました。

160mvant2024

構造は左の通りです。整合BOXも敷地内です。 頼りにしている調整池を取り巻く全長130mの金網のフェンスまで3m離れており、最初BOXと金網の間を2φのアルミ線2本で地中を通って接続していたのですが。共振時のインピーダンスが50Ωを超える為、試験的にBOXのGNDを10cm以下の1.25SQのワイヤーで金網に接続すると、32Ωまで下がります。 そこで、また、BOXを敷地内に移し、廃棄処分予定の5C2Vの同軸ケーブルの芯線と網線をショートして、アルミ線と同じように地中を経由して接続しましたら、共振時のインピーダンスは32Ωになりました。

以前、同じような構造で、フェンスのすぐ近くに整合BOXを置き、共振状態でのインピーダンスを調べた事があり、その時は18Ωでしたので、32Ωは気になりますが、これはどうしようもありませんので、このままです。

160mv19r5m

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Swr2024

整合BOXの等価回路は左の図のように、10:8のトランスを介して、約10.4uHのローディングコイル経由でアンテナへつなぎますが、BOXの中はトランスのみで、コイルはBOXの外に雨対策をして設置しました。

コイルを含めたアンテナのインピーダンスは32Ωで、この状態で1825KHzにSWR1.05で整合しています。 右上のSWR特性は、FTDX101Dから5Wの出力でチェックした時のリグ内蔵のSWR計で測定したデータになります。 実測したのは、1910KHzまでで、1920KHzの値は予想値です。 国内のCWバンドはSWR2を超えますので、ATUを使ったスローパーでカバーします。

左下は、整合BOXの中ですが、内蔵のコイルで1820KHzに共振するコイルのインダクタンスを調整した後、LCメーターでインダクタンスを測ると10.4uHでしたので、この内蔵のコイルは使用せずに、右下の写真のごとく、外形6cmの雨どい用パイプに3.5SQのワイヤーを18ターン巻き、線間のピッチを調整する事で、+/-0.5uHくらい可変出来るような構造とし、これをVP75塩ビパイプのキャップにぶら下げます。

Machingbox2024_3

Lordingcoil2024_3

160mbox2024

アンテナアナライザーで1820KHz付近で共振するようにコイルを調整した後、上の写真のごとく、VP75の塩ビパイプの中に収めました。キャップはパイプにかぶせているだけで、固定はしていませんが、ぴたりとかぶさり自然に脱落する事はありません。

出来上がった日の夜、1.8MHzをワッチしましたが、1エリアの局がW6と交信しているようですが、私のところでは、Wの信号は聞こえませんでした。 2日目もCQDXを出すJA局は599+で聞こえますが、DX局の入感は無しでした。

しばらく様子を見る事にします。

2024年3月になり、コンディションの低下はやむを得ないので、運用をFT8に切り替えました。とりあえず。近隣の3エンティティと交信できました。 また、受信だけですがWが-03dBで入感していました。 いつかQSOにトライです。

数日後、K7ZVと-17/-15dBでQSOできました。 -17dBが私が受信した彼の信号です。 相手は多分1KWでしょうから、私の100Wの信号を-15dBで受信したという事は、私の受信環境は、彼より12dBもノイズが多いという結論でしょうか。  その為、相手のCQを受信出来たら、ほぼ確実にQSOが可能というメリットは有りますが。

2024年6月

調整池の周辺を市が清掃するとの事で、小型のプルトーザーで、雑木を根こそぎはぎ取って行きました。その時、地中に埋めてあったアルミと同軸のグランド線も切れはしなかったものの、地表に出てしまいました。 地表に這わせたに等しい状態でしたので、やむを得ません。 アルミ線を撤去し、新たに5C2V2本を金属のイレクターパイプに通し、地中10cm下にパイプ毎埋めました。

SWRを再チェックしても異常はありませんでしたので、当分はこのGND状態で行くことにします。

 

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2023年11月22日 (水)

ADCの動作が時々おかしい

PIC18F47K42を使いATUを作成しましたが、SWRを計算する為に内蔵ADCで、CM結合器から取り出した進行波電圧と反射波電圧を読みだしています。 しかし、この読出し値が時々大きく狂う現象が有りました。 その原因が判らず5か月以上ああでもない、こうでもないと、悩んでいたのですが、やっとその原因が判明しました。 判ってしまえば当たり前の事なのですが、PICを使ったソフト開発を10年以上続けてきた後だけに、過去のADCを使った製作も全て間違っていたという事が判り、がっくりです。

今回問題が発生したのは、CM結合器から漏れる高周波がマイコンに混入しないようにCM結合器とマイコンのAD入力端子との間にバッファアンプやCRによるLPFを設けたのですが、このCRによるLPFのコンデンサがAD入力端子とGNDの間に直接接続され、かつその容量が0.1uFで有った事でした。

下のブロック図はPIC18F47K42のADC入力回路の原理図ですが、AD変換する為に必要なサンプルホールドコンデンサが入力端子に直接接続されています。

Pic19fadc

このPICの中に内蔵されたコンデンサの容量は5PFで、設定により最大31PFの容量を追加できますので、最大36PFの容量のときでも、正確なAD変換が行われるよう、クロックで必要なタイミングを確保していました。 この状態で、このADCの入力端子とGND間に36PFよりはるかに大きい0.1uF(100,000PF)のコンデンサを追加した事により、ADCがPICの仕様通り動作しなかったものです。

これが判った時点で、上のブロック図のごとくRs=1.2KΩのみにしたところ、今まで頻繁に起こっていた誤変換がぴたりと無くなりました。

常に誤変換するなら、調べようも有ったのでしょうが、時々誤変換する事と、他にバグが有ったりして、なかなか発見出来なかったのが実情でした。 また、この入力端子に0.01uFを追加した過去の事例も有ったのですが、ADCの動作頻度がATUの1/10か1/100くらいしかなく、実害が無かったのではと推測されます。

今、思い出せば、昔作成したバリコン式のATUがなかなか収束しない事が時々発生していましたが、その原因もこれでは無かったのかと推測します。 (この昔のATUはすでにお役御免でジャンク箱行きとなっています)

この事に気づいて、ADC入力とGND間にコンデンサを接続しているSSBジェネレーターはなぜうまく変換しているのかと、改めてデータシートを見てみると、下のブロック図のごとく、サンプルホールドコンデンサと入力端の間に、バッファアンプがあり、サンプルホールドコンデンサの容量が外付け部品で影響しないようになっていました。

Dspicadc

今後ADCを使う時は、注意する事にします。

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2023年11月13日 (月)

マルチバンドアンテナ 運用実績

<マルチバンドアンテナシステム2>

2024年5月

新マルチバンドアンテナをアップして1年運用してきました。50MHzは打ち上げ角の関係で、国内もDXもダメになってしまいました。 また、ワイヤーの経時変化で24MHz以上のバンドでATUのSWRが収束しにくくなりました。 もう少し様子を見て、状況が悪化するようなら、対策を考える必要がありそうです。 原因は、ループアンテナのエレメントに使用しているアルミ線の曲がり癖が直り、ループ長が長くなったのではないかと考えられます。

 

2024年9月

自作のATUのリレーの接触不良が多発しており、このLDGベースのATUをあきらめて、バリコン式のATUを製作し、これが完成しましたので、LDGのKT-100ベースのATUと交換を行いました。 ちょうど、この交換を行った日がALL ASIAコンテストの際中でしたので、受信の確認はできましたが、サイクル25のピーク付近なのかも知れません。 ただし、このバリコン式のATUもコイルのタップ位置により偽のSWRディップポイントが存在し、完全なATUとしては無理なようです。 真のSWRディップポイントを見つける為には最初、マニュアルでコイルのタップ位置とふたつのバリコンの角度を探してやり、その後で自動でディップポイントを探すという動作が必要でした。

その時期にたまたま高耐圧のMTUのバリコンを4個入手出来ましたので、これを使ってZマッチのATUを検討する事にしました。 その為、またON AIRのチャンスが少なくなってしまいDXCCのエンティティは全く増えません。

Dxccentity

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2023年9月14日 (木)

ATUにバグ有り(プリセットデータを時々間違う)

<マルチバンドアンテナシステム2>ATU 自作 ループアンテナ

160mバンドで200W運用が可能になって、2023年の9月に入り、DXシーズンを楽しむぞ!と期待していたら、ATUのプリセットデータを呼び出してもSWRが10を超える事が時々起こります。 特にバンド毎に傾向があり、7MHz以上ではあまり発生しませんが、3.5MHzや1.8MHzで頻度が高くなります。

ATUを降ろし、机上でダミー負荷をつないで試験しても同様に起こります。 どうもプログラムのバグ臭いです。 小手先の対策を行いましたが、異常の頻度は減少するものの、完全には無くなりません。 かくして、今一度原点に戻り、ソースファイルをじっくり見直す事にしました。

見直した結果、以下のバグが発見され、対策しました。

・リレーの駆動は、最初、これからセットしようとするリレー以外をリセットし、次に必要なリレーのみセットする方式になっていましたが、最初、全リレーをリセットし、次に必要なリレーをセットするように変更しました。 また、このリレーの仕様書を入手できたので、リレー駆動時間を仕様書通りの4.5msecに修正しました。 基本的には何も変わらないはずですが、変更後のリレー動作音に大きな差が生じましたので、以前の状態になにかバグが有った可能性があります。

・SWRのディップポイントを探す前に、LとCのリレー番号をゼロから粗いピッチで増加させ、おおまかな整合ポイントを探しにいきますが、このときSWRのリミット値以下を見つけても、粗いサーチ時の限度値(SWR20)以下が見つかったと言うリターン信号しか返していなく、次のルーチンでまた最初からディップポイントを探しており、外付けのSWR計がSWR1.5以下を示すのにサーチが停止しない原因となっていました。

・SWRのディップポイントを探す時、限度値を変更出来るようにしていましたが、一部のルーチンへこの変更された限度値が渡されていなく、常に一番厳しい限度値で判定し、なかなか整合OKになりません。 外付けのSWR計の値が一瞬SWR1.5以下になるのに、整合OKにならない原因のひとつになっていました。

・コントローラー側で6mのラストデータを誤って記憶し、リセットをかけると、データNGで1.8MHzの初期値に戻っていました。

・周波数からEEPROMのアドレスを検索する時利用する周波数スパンリストと周波数センターリストの一部が間違っていました。 一度整合OKで記憶したデータの読出しを周波数を切り替えた時、間違い、電源OFF/ONでラスト周波数を呼び出した時はOKになる原因がこれでした。

これらの対策済みATUをやっと正規の高さまで上げ、チューニングテストをすると、従来よりかなり早くSWR1.5以下に収束するようになりました。 まだ、バグがあるかも知れませんが、当分はこの状態で運用します。 ATUメインユニットの配線図にも誤りがありました。 

Heatupatu_2

10月に入ってもATUの調子が思うようにいかず、オリジナルのKT-100の基板をチェックする必要が生じ、なかを見えるように開けてみると、写真のごとくフェライトコアに巻き付けた電線ごと、黒焦げのコアが見つかりました。 多分200Wのリニアアンプにより損傷を受けたとおもわれますが、200W対策をした前の結果なのか、後の結果なのか判りません。 見ての通りコアも銅線も黒焦げですが、ちゃんと正常に動作しています。 ATUの調子が悪いのは、オリジナルのマイコンソケットに差し込んだコネクターの接触不良でした。 接点復活剤とグラグラのコネクター固定ネジをちゃんと閉めたら解決しました。

 

2023年11月

ATUとアンテナの調子を見る為に、JIDX Phoneに参加してみました。 BAND切り替えを行った時、どのBANDでもATUが最適整合状態にならず、一度電源OFF/ONのリセットでOKになる事が頻発しました。 また、プリセットコール要求OFFの状態で、たまたま、SWR1.05になっている時、TUNEを開始すると、即SWR90となり延々とATUが整合ポイントを探し出すという現象が数回発生しました。 結局、従来からのバグはまだ完全に収束していなく、この対応に悩む事になります。 次の CQ WW CWまでに解決出来るだろうか?

CQ WW CWの二日前の祭日になんとか対策出来ました。 時々SWRが大きくずれる原因はPICの端子からリレー駆動FETへの配線の半田付け不良でした。また、SWRが即90になるのは、マイコンのADC入力端子に接続したLPFのコンデンサでした。 このコンデンサが悪さしていた問題は、こちらで説明しています。

また、ATUのSWR限度値をTUNNING開始する度にランクを下げるようにソフトを組んでいましたが、一番厳しいSWR1.2以下が何度やっても適用されないバグもありました。 さらにCM結合器のバランスの問題で、1.8Mhzや3.5MHzが50Ωのダミー抵抗でもVrefがゼロにならない現象が有りましたので、これはソフトで補正しました。

この日はアンテナを2回も上げ下げし、ATUのソフトを7回も書き換えました。

ATUのデバッグをしながら24MHzで東チモールとソロモン島からのDXペディションをゲット。

CQ WW CWコンテストの当日、1.8MHzから28MHzまでオールバンドで運用しましたが、全部で141局。 その間、バンド切り替えの最初のメモリーデータが間違うという問題は解決していませんでした。 

2023年12月

12月に入っても、周波数変更後に呼び出されたプリセットデータが間違っており、ATUの電源をOFF/ONすると正常になるという問題がでていました。 この問題はバンドや周波数に関係なく出ますが、 ATUとコントローラーの通信の時、ATUが決定したEEPROMのアドレスをコントローラー側で確認できるようにしてみましたが、アドレスに間違いがありません。 プログラムを何度もチェックし、間違いは無いのですが。

もう、疑うところは、プリセットデータをEEPROMに記録する関数と、指定のEEPROMアドレスからデータを読み出す関数が正常に動作していないとしか思えません。

いままでのトラブルの中で、関数が受け取った仮引数に関数内での演算の結果を代入すると、動作がおかしくなる場合と異常が発生しない場合とがあり、私の作る関数では、このような演算結果を仮引数の変数に代入しないようにしていましたが、今回の関数では、この仮引数と整数を加算した結果をそのまま次の関数への実引数として与えていました。

例えば次のような記述です。

CTUN = eepdata_read(ead3 + 1);

次の関数呼び出しの実引数である(ead3 + 1)のead3は、この関数が受け取る仮引数そのものです。 このような記述はPIC16FやPIC24F用のプログラムでは多用していましたが、今回のPIC18Fではダメなのかも知れません。 そこで、この引数を一度ead30という変数に代入し、ead31=ead30+1;でead31という変数を作り

CTUN = eepdata_read(ead31);

とりあえず、2日間のデバッグで一度も間違いが起こらなかったので、安心していたのですが、年末年始の休みに入ってしばらくすると、また、同じ現象が起こり始めました。 そこで、あぶなそうなソフトの手直しとXC8とPacksのバージョンアップを行い、様子見です。

XC8 V2.45   Packs PIC18F-K_DFP1.13.292

しかし、変更した2日目にまた同じ現象が発生しました。 ただし、発生頻度はかなり減少していました。 そして、原因がハードかも知れないと思っても、その対策が面倒なので、ここ数か月間はソフトで改善できないかとやってきた事を諦め、ハードのどの部分で発生しているのか、ATUを降ろし、机上で再現テストをすると、ATU本体のリレーの接触不良が原因であるとの証拠をつかみました。 ただ、16個あるリレーのどれがNGなのかは判りません。 どのリレーがNGかは判らないものの、2回連続してリレーをセットすると、99%くらいの確率でOKになります。 今まで、電源OFF/ONでOKになっていたのは、ATU本体の電源立ち上がり時にラストデータを使い、一度リレーをセットした後、約350m秒後に、コントローラーから同じくラストデータが送信され、再度リレーをセットしていましたので、この連続2度セットが接触不良を解消していたことも判りました。 そこで、ATUのリレーをプリセットデータから再セットする時だけ、回数と再セットの時間間隔をコントローラーから指定できるようにプログラムを変更しました。

とりあえずは、リレーは3回連続してセットし、その間隔は200m秒として様子を見る事にします。

2024年1月

対策できたと思ったのは3日間だけ、電源OFF/ONの時とほぼ同じタイミングとなる、間隔360msecでリレーを2回駆動してみましたが、やはり駄目。 接触不良が起こったら、電源をOFF/ONして手動で回復するので、あきらめムードになり、すでに3週間過ぎましたが、最近あまり発生しなくなりました。

以下のファイルは最終状態です。

 

 

ATU本体回路図 NB-ATU_main9.pdfをダウンロード

コントローラー配線図 NB-ATU_contoroller6.pdfをダウンロード

ATU本体  NB-ATU-main_10.cをダウンロード

ATUコントローラー NB-ATU-controller_9.cをダウンロード

本体ヘッダーファイル FREQ_Span8.hをダウンロード

コントローラーヘッダーファイル FREQ_Center8.hをダウンロード

 

2024年5月

アンテナを上げて1年が経過しました。最近、24MHzと28MHzがSWR3以下に収束しなくなりました。 ループエレメントであるアルミ線が伸びてしまい、ループ長が少し長くなったのが原因のようです。 そこで、アンテナに直列に入るコンデンサを150Pから22Pに変更しました。 24MHzはOKになりましたが、28MHzはSWR2.9くらいがベストです。 アンテナエレメントを少しカットする必要があるかも知れません。

 

2024年6月

最近、リレーの接触不良と思われる不整合が続発するようになりました。 この現象は特定のバンドに集中し、特に18MHzや7MHzで頻繁に起こるようになり、安心して送信できるのは21MHzのみとなってしまいました。 対策を考えねば。

  

その後の運用実績はこちら

 

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2023年8月23日 (水)

ATUの挿入位置とケーブルロス

<カテゴリ:アンテナ>

最近のSSBトランシーバーには、ほとんどATUが内蔵され、リニアアンプ等を接続する場合、なくてはならない装置になっておりますが、このATUとは別に外付けの、アンテナ直下に接続する屋外用ATUも多数商品化されております。 本来のATUは共振状態にないアンテナを共振状態にして、かつインピーダンスマッチングを行う事を目的としており、1本のワイヤーアンテナやループアンテナを多バンドで使用したい時、重宝する事になります。 しかし、トランシーバー内蔵のATUの先に同軸ケーブルを接続し、そのケーブルの先にミスマッチのアンテナを接続してON AIRされている方も一部見られます。

OMさん方がATUはアンテナの給電点に接続するもので、送信機と同軸ケーブルの間につなぐものでは無いと言っても、なかなか信じてもらえないのが実情です。

そこで、送信機-ATU-同軸ケーブル-アンテナと接続した時の送信出力のロスを計算する機会がありましたので、いかに損失が大きいか紹介する事にします。

このデータはTLWというARRL監修のアンテナチューナーの解析アプリで計算しただけのもので、トランシーバー内蔵のATUだけでマッチングを取った時に起こるその他の問題点は加味していません。 また、TLWの中に5D2Vのデータが無かったので、RG規格の似たような同軸ケーブルのデータを使い近似しました。

TLWの紹介資料 tlw.pdfをダウンロード

21mhzap_comp

比較を簡単にするために21MHz用寸足らずのダイポールを地上高10mに上げ、アンテナエレメントの中央に接続したバランと5D2Vの同軸ケーブル経由で送信機に接続した状態で、ATUを送信機の根元にいれた場合とアンテナの給電点に入れた場合の、ケーブルロスとATUのロスを計算比較しました。 また、参考として、アンテナの長さを調整して、ほぼ共振状態にした時のロスも計算してみました。

Cableloss_2

アンテナの長さが5mのデータは、長さが寸足らずの結果です。 送信機出力100Wのとき、アンテナ直下のATUの場合、アンテナに供給される電力は80.3Wほどですが、トランシーバー内蔵ATUの場合、34.3Wしか供給されません。

アンテナの長さが6.8mの場合、ほぼアンテナ単体で共振していますので、ATUの目的は、66Ωの抵抗分を同軸や送信機の50Ωに合わせることのみに利用されます。 アンテナ直下のATUが有利である事は変わりませんが、トランシーバー内蔵のATUの場合でも大きな差は無くなっています。 ただし、この状態は、シングルバンドの時だけの話で、バンドを18MHzや24MHzと兼用した場合、21MHz以外は大きくロスが増える事になります。

この記事ではATUとして説明しましたが、外付けのMTUを送信機のすく横に置き、MTUから同軸ケーブルでアンテナに接続した場合も同じ事が起こります。

次に7MHzで良く使われる5mの釣り竿アンテナを計算してみました。釣り竿アンテナをhoipとして使う場合、条件の設定が難しいので、全長10mの釣り竿(5mの竿を2本用意し、水平に張ったアンテナ)で計算してみました。 この条件なら、5m釣り竿によるアンテナとしては最高の効率が得られますので、5mの釣り竿とカウンターポイズや住宅の鉄筋にアースを取ったアンテナの場合、この数値より良くなる事はないでしょう。

Cableloss7mhz

結果は上のようになりました。ATUがリグ内蔵だけの場合、多分相手は拾ってくれないと思われます。

21mhzap_comp3

どうしても、内臓ATUだけでしかON AIR出来ない場合、はしごフィーダーとバランの組み合わせで対応する事が出来ます。

左の図3のように同軸ケーブルを600Ωのはしごフィーダー(ラダーライン)に変更し、従来、ダイポールの給電部に有ったバランはATUの出力側に移動します。

この時、ラダーラインはなるべく建物や金属と平行して設置するのを避け、壁や窓枠を貫通する場合、金属の支持物を避けてATU(MTUも同じ)の出力端子に接続したバランの平衡出力に接続します。 理想的には壁に2個穴を開け、そこに貫通碍子を通し、ラインを部屋の中に引き込みますが、他にも方法がありますので、調べてみてください。

600Ωのラダーラインは市販されていなく、自作するしかありません。昔は割りばしをテンプラにして、防水対策しましたが、今では、プラスチックの棒がホームセンターで手にはいりますし、導線をプラスチック棒に縛るのも、ロックタイを使えば簡単にできます。

下のデータは自由空間に置かれた600Ωのラダーラインを使い21MHzで計算したものです。

Cableloss3

600Ωのラダーラインの場合、ケーブルロスが0.8dBですが、市販の450Ωのラダーラインの場合、ケーブルロスは1.03dBとなります。 また、市販のUHF TV用200Ωリボンフィーダーの場合、残念ながらデータが有りませんが、推定で2dB以内に収まるかも知れません。

リボンフィーダーの場合、昔のUHFテレビを考えると、その取扱いが簡単ですから、同軸ケーブルよりロスがかなり少なく、利用価値はあると考えられます。

ラダーラインを使った場合、ATUやMTUがそのインピーダンスをカバー出来る限り、マルチバンドで使えます。

TLWのソフトは「Arrl Antenna Book」という本の中に付録として挟まっているCD-ROMの中に収録されており、アマゾンでも買う事が出来ます。 

TLWで計算していると、ATUやMTUは使わなくて済むなら、それが一番だと判りますが、結局ATUやMTU頼みになってしまいますね。

そのATUのソフトを一から書いて自作した記事はこちらにあります。

    

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2023年8月 6日 (日)

160mバンド 200W対応

<マルチバンドアンテナシステム2>ATU ループアンテナ 電界強度計算

新マルチバンドアンテナシステムが順調に運用できるようになりましたが、コンディションは最悪で、DX局はFT8しか聞こえないという日々が続いています。 この状況で唯一夜中に交信が楽しめるのは160mのみとなっていましたが、あいにく、ATUの基本性能がMAX150Wに制限されていることから、せっかくの200Wリニアアンプの出番は有りませんでした。 (前々回の記事)

ちょうど、台風6号が向きを変えて当地へ近づきつつあり、上げたばかりのアンテナを壊されないように降ろす事にしました。 そのついでに、ATUを200W対応に改造しようともくろみます。

改造方法は、ATUの中にあるコイルに流れる電流を減らして、その反対に電圧は上がりますが、コイルのコアが発熱するのを抑えようとするものです。 この電流を減らす方法は、現在使われているスカイドアアンテナ用の9対4のインピーダンス変換トランスを160mバンドのアンテナでも使う様にする事で実現できます。 このトランスは不平衡/不平衡変換トランス(UNUN)ですので、160mバンド用のスローパーモドキでも問題有りません。 

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左上が巻き数比3:2のUNUNの挿入場所を変更した改造後のATUの内部です。 右上は、今までTUNEの微調の為に付けていました2.5PFのコンデンサを5.5PFに変更したものです。 このコンデンサの容量はATUの内部コンデンサの最小容量の半分でなければなりませんが、この最小容量を5PFと勘違いしていたものでした。 改めて現物を見ると、ATUの最小容量は10PFでした。 そこで22PFのコンデンサを4個直列に繋ぎ、12KV5.5PFを作り交換しました。 今まで、このコンデンサのON/OFFでの差がそれなりの効果を示さないと思っていましたので、これで多少は改善する事を期待する事にします。

台風6号が西へそれ通過した後、今度は台風7号が初期の予想に反して、西寄りに進んでくるため、改造の終わったATUを乗せたアンテナを上げられない状態が続いていましたが、10日過ぎて、やっと上げる事ができました。 そして、1.8MHzのSSB 200Wによる20分間のQSOも終始SWR1.02という状態で成功しました。

改造したATUの配線図 NB-ATU_main8.pdfをダウンロード

15年間使ってきたTS-930Sの故障が連続する事から、売り払って、新たにFTDX-101Dを導入しました。 せっかく、新規導入したのに、DXはまださっぱりです。 FTDX101Dの入荷待ちの間に、移動運用用50WのFT-991の21MHz CWモードで、この新マルチバンドアンテナを使い、DXCC NEWエンティティ(4U1)をゲットしたのですが、この新しいリグではまだです。 サイクル25のピークに期待する事にします。

 

このFTDX-101Dを使えるように総通へリグの取り換え申請をしましたが、今年の4月以降、固定運用の局は電界強度の計算書を一緒に提出する必要がありました。 (リンクした「総務省電波利用ホームページ」の中の参考3,4,5をダウンロード。実際に提出したのは参考5のエクセルと自宅周辺半径50mの平面図、アンテナと周辺建物の位置関係を示す南北方向及び東西方向のpdf図面)

自宅のアンテナ位置を中心に半径50mの地図と、自宅の境界地点に於けるアンテナワイヤーからの最短距離が判る図面を添付し、総通からダウンロードした参考5のエクセルに必要事項を記入していくと、許容値以内なら〇印が、NGならX印が自動的に付くもので、もちろん全バンド〇でなければなりません。 この記入に当たって、アンテナのゲインをMMANAを使い、リアルグランド条件で算出し、同時に得られる給電点インピーダンス(R+JX)を使い、ATUの内部ロスをTLW(ARRL)で計算し、提出しましたら、ノーコメントで審査終了になりました。 メーカー製のビームアンテナなら、ゲインが公表されていますので、簡単に記入できますが、ワイヤーアンテナアの場合、標準寸法のダイポール以外、ゲインが判りませんので、MMANAで計算させた数値を使うのが一番良いようです。 MMANAで出力されるゲインの単位はdBiですから、そのままエクセルに記入できます。 また、ATUやMTUを使う場合、この内部ロスを加味して、同軸の減衰量に加算してやれば、〇になる確率が上がります。 例えば、1.8MHzの場合、ATUの内部ロスが3.3dBくらいになりますので、200Wの送信機で空中線やカウンターポイズとの距離が2mしか無いときでも結果は〇になりました。

さらに、リアルグランドで計算した場合、大地反射波を考慮済みのゲインですので、エクセルの中にある、大地反射波の有無の項目は無しにしておけばOKです。(大地反射波を考慮するとした場合、電界強度が自動的に2倍に設定されますので、これを避ける必要が有ります)

これらの条件をエクセルの表の下側の注釈の欄に追記して提出しました。 この変更は「届け」の処理ですが、審査終了まで1週間かかっていました。 多分、総通も内部で検証作業をしたのだと思われます。

エクセルには同軸ケーブルのロスを記入する箇所がありますが、同軸ケーブルメーカーが発表するロスのデータはハムバンドをカバーしていませんので、実際のハムバンドでいくらのロスになるかは推測するしかありませんでした。 そこで、フジクラが公表している1,10,30,200MHzのデータを使い周波数補間法で各ハムバンドに於ける1m当たりの減衰量を推定しました。 誤差は+/-5%くらいに収まっていると思っています。 ベランダアンテナの固定局の場合、同軸ケーブルをサイズダウンしたらOKになるかも知れません。

私の申請時はこのデータが無かったので、同軸ケーブルロスはゼロ、ATUのロスのみ記入して提出しました。 また、この規定の中に出てくる「一般の人」は免許人や家族以外の人と解釈して資料を提出しましたが、コメントはありませんでした。  また、背の高さが2mの人とアンテナの距離を求めますが、アンテナの位置は給電点ではなく、アンテナエレメントやカウンターポイズのワイヤーと一番近い距離になります。 私のアンテナでは、垂直ダイポールの先端が地上高1mとなていますが、この位置は、隣家と自宅の境界となる石垣の上にあり、隣家の土地から3.2mの高さにあります。

TLWの紹介資料 tlw.pdfをダウンロード

TLWのソフトは「Arrl Antenna Book」という本の中に付録として挟まっているCD-ROMの中に収録されており、アマゾンでも買う事が出来ます。

Coaxlatt

Newrig230816

ATUに致命的なバグが発見されました。 ここで対策を紹介しています。

 

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2023年7月16日 (日)

とうとう売却処分になりました。

<カテゴリー:TS-930S>

1週間前、T-F SET機能がNGとなったのを修理したばかりでしたが、今度は、CWのブレークインが動作した後、自動的に受信に戻らないという問題に遭遇しました。 どこが怪しいのかと、配線図を頼りにコネクター周りを追いかけていると、コネクターに触れただけで、ワイヤーの断線が発生します。 切れたワイヤーをコネクターのコンタクトに半田付けして、さらに調査をつづけると、今度は別のコネクタのワイヤーが断線します。 結局、ブレークインの原因を対策出来るどころか、さらにいろいろな症状が現れ、いたちごっこになってしまいました。

このTS-930Sを修理しながら15年間も使ってきましたが、今回の故障で、修理を諦めました。 ただ、CWのブレークインだけがNGでSSB運用は全く問題ありませんので、中古無線機を買い取っている店に相談し、買い取り価格ゼロ円で引き取ってもらいました。 (実際は送料約2000円を着払いで処理頂いたので、実質買取価格は2000円)

これでメイン機が無くなりましたので、TS-850Sをメインに代えようと思いましたが、こちらも古いリグですので、最新のリグに買い替える事にします。 それまでは、移動運用に用意しているFT-991で50W運用です。

 

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2023年7月 1日 (土)

T-F SET SW 動作せず

<カテゴリー:TS-930S>

CWブレークイン機能が直ったと思ったら、今度はスプリット運用で使うT-F SETスィッチが受信状態では機能するのですが、送信時に周波数が切り替わりません。 またSWの接触不良だろうとチェックすると、案の定、SWがONされても、ON端子が接触しないという現象です。 ただし、このSWの接点部分には、接点復活剤は届きませんので、現在遊んでいる回路に配線を移しました。

Tfsw

上の回路図の赤丸で囲ったSWです。 この改造を行った後、動作が正常になったのを確認し、その日はそのままでケースインは次の日に行う事にしました。 そして翌日、ケースインをする前に念の為と確認すると、また送信時周波数が変わりません。 ここから悪戦苦闘の連続で、1週間過ぎた次の土曜日、原因が判りました。

Cnwcut

デジタル基板の赤枠で囲んだコネクターのワイヤーがカシメ部分で折れていました。 修理の為、折れたワイヤーをコネクターのコンタクトに直接半田付けし、いざ動作テストしても、時々OKになる事は有りますが、T-F SET機能以外のFLブラックアウトとか、ピーという連続音が発生するとかの症状です。 困りはてて、コネクターを抜いたり挿したりしている内に全部のワイヤーが断線してしまいました。 対策は、部品取り用に置いてあった動作しないTS-930Sより該当するコネクターをワイヤーごと切り取り、このコネクターと断線しまくっているコネクターを根元から切断し、コネクターごと交換しました。 これで不安定現象は全て解消し、また、メイン機として使う事が出来るようになりました。

 

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2023年6月19日 (月)

40m バンド 国内用ベントDP追加

<マルチバンドアンテナシステム2>ATU ループアンテナ 

前回の記事までにて、ほぼマルチバンド対応のアンテナ設置は完了していましたが、取り残されていた40mバンド国内向けアンテナの検討を行いました。 当初、すでに完成状態にあるツェップアンテナを候補に上げましたが、このアンテナは自宅の敷地内からはみ出す為、常時展開して置く事が出来ないアンテナでした。 そこで、裏庭と燐家の間に張って、実用していましたベントDPを再登場させる事にします。

このベントDPは家に近接している事もあり、MTU無しでは使用できないアンテナでしたが、廃棄処分予定のプリセットMTUから7MHzのT型MTUを1台だけ取り出し、これを小さなBOXに入れベランダで整合が出来るように改造して実現する事にします。 また前回のワイヤーは0.2SQでしたが、今回は1.25SQワイヤーに変更しました。

7mhzbentrstailjpg


Balan_schema

  

 

 

 

40mtu

構造も前回と同じです。 使用するバランは以前作って、耐圧でNGとなった4巻線式バランの構造で、1:1に固定した物を、耐電圧特性を改善して、新たにつくりました。 

左のような1台だけのMTUを防水BOXに入れ、左から同軸で送信電力を入れ、T型MTUを通った後、1:1のバランを経由して、平行フィーダーでアンテナへつなぎます。

バランのコアはFT-140#43です。 SWRの記録は残しておりませんが、1.2以下でした。

日曜日の午後4時ごろ完成して、先に出来上がっている40m用垂直DPと比較しようとしましたが、コンディションが悪く、数局しか聞こえません。 聞こえていた大分の局はベントDPの方が10dBくらいSがUPしました。 後日、4エリアの広島と岡山の局のラグチューが聞こえましたので、同様に比較すると、両方の局とも20dBから25dBくらいの差が付いてベントダイポールが有利でした。

MMANAによる指向性のシュミレーションデータです。 国内向けとして使えます。

40mbentdp

このベントDPの目的は7195のAM交信がメインなのですが、どなたもQRVしていないのか、QRVしているけどコンディションが悪く聞こえないのか、しばらく様子を見る事にします。 1週間くらい後、7195でAMによるCQを出していると、1エリアの局からコールがあり59+10dB以上で聞こえているとの事。この時のキャリア出力は60Wで、AMによる1エリアとの1st QSOでした。

 

このアンテナは国内用でして、例え、このアンテナでDXが聞こえても、交信はしてもらえません。DXとの交信は垂直DPが断然有利です。南太平洋の島からCQが聞こえ、他に呼ぶ局がなければ、垂直DPなら一発で応答があります。 のはずなのですが、10月末に行われたWW PHONEの時、垂直DPでコールしても全く応答が有りませんでした。逆にこのベントDPでコールするとWもBYもYCもDUも一発で応答が有り、どうなっているんだろう??    調査した結果、垂直DPの上部エレメントがATUの内部で断線していました。  この状態でもATUはSWR1.2以下に整合させていましたので、受信感度が下がったとは認識していましたが、断線までは気付かなかったのが実態でした。 これを修理した結果、7MHzでは初となるカリブ海の西側に位置するベリーズとQSOできました。 垂直DPバンザイ!

 

160mバンドで200W運用できるようにATUを改造しました。

 

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2023年6月10日 (土)

ATUによるマルチバンド運用開始 

<マルチバンドアンテナシステム2>ATU 自作 ループアンテナ 

当初の目標に対して、一部未完成の部分はありますが、仮運用を始めて1か月経過しました。 その間に見つかった問題点と対策を紹介します。

3.5MHzでフルパワー運用すると、ATUのTUNE LED(緑)とRESET LED(赤)が出力レベルに応じて点灯します。 ATUのマイコンには異常が有りませんので、コントロールケーブルのLEDラインがRF信号をピックアップし、そのRF信号をLEDが半波整流して点灯するもののようです。 コントローラーのLEDに直列に1mHのチョークコイルを入れ対策出来ました。

 

シャックの電源をONする度に、コントローラーは初期化され、プリセットコール要求はデフォルトのOFFになっていました。 まだ、ATUのプリセットが済んでいない状況では、これで良いのですが、ほぼまんべん無くプリセットが完了すると、最初にキャリアを出して、チューニングを行うというアクションが不要になり、シャックの電源をONした後、プリセットコール要求がOFFの状態で送信してしまい、SWRが90を超えるという事が頻発しました。 そこで、このプリセットコール要求は初期値としてONに設定しました。 

 

21MHzでラグチューを始めると、最初SWR1.1くらいで有ったのが10分以上過ぎるとSWR2.8くらいまでアップします。 こちらが受信状態になり、再度送信状態になると、ほぼSWR1.1近くに戻っていますが、また数分すると、SWRが2.0を超えます。 症状的にはフェライトが発熱するような現象ですので、ソーターバランを廃止してありますが、送信時間が長くなると、はっきりとこの症状が現れます。 また、24MHzではCWの短時間送信でも同様な現象が発生します。 どうやら、ATU内部のコイルのコアが発熱しているようです。 スカイドアアンテナの横幅を従来の半分にしたことにより、アンテナのインピーダンスが下がったのが原因と考えられます。 このままでは、いつかATUが壊れてしまいますので、電流を減らす対策が必要です。 結局、耐圧でNGとなったインピーダンス変換トランスを再登場させねばならなくなりました。 

Unun3by2


そこで、3:2の巻き数比(インピーダンス比 1:0.44)のトランスの耐電圧改善品を作り、ループアンテナだけに使用する事にします。 ループアンテナ専用なら、バラン形式の不平衡/平衡変換は必要ないので、このトランスは不平衡/不平衡トランスとして、トランス自身のSWR悪化を改善します。

3by2unun

Ununswr

左上がフェライトコアを2個使った不平衡/不平衡 巻き数比3:2のトランスで通称UNUNです。 コアはトーキンのESD-R-17S-1です。 3本のAWG22相当のリード線をねじり状態でコアのなかを2ターン通していいます。 全体の巻き数は1次側が6ターン、2次側が4ターンでインピーダンス比は50:22となります。 右上が1MHzから60MHzまでのSWR特性で、初期のころ作ったバランよりはSWRが改善しております。

Atuununadd

このUNUNをアンテナ端子Aとリレーの間に追加し、コアを両面テープで止めただけの状態に置き、空中配線で絶縁距離を確保しながら追加しました。 そして、アンテナは仮設状態ですが、14MHzから50MHzまでSWR1.5以下に整合出来、一番厳しかった24MHzでCW 100W連続送信しても、SWRの増加は有りません。 ただし、増加は無いのですが、減少があります。 この現象がたまたまなのか、周波数によっては増加になるのかは、実際の運用で確かめていますが、今のところ問題無いようです。

 

3.5MHzや7MHzの国内向け高打ち上げ角のアンテナを160m用のワイヤーを使って作ろうともくろみましたが、3.5MHzはワイヤーの長さがほぼ1/2波長になってしまい、整合出来ませんでした。 また、7MHzは整合出来るものの、打ち上げ角が期待通りに上がらず、国内向けとしてはNGでした。 この状態を改善する為に、160m用の性能が変わらない範囲で、3.5MHzの整合が可能な条件を探す必要が有りました。 MMANAのシュミレーションでは、現在の160m用アンテナの反対側へ10mのワイヤーを追加すれば、3.5MHzでリアクタンスが+2800Ωくらいあったのを+300Ωくらいまで落とす事ができます。 ATUを降ろしたついでに、この10mのワイヤーを追加し、アンテナを正規の高さまで上げた後、確認すると、SWR3.1くらいが最低で整合できませんでした。 そこで、10mのワイヤーを12mにすると、めでたく1.04まで下がり整合出来ました。 3.5MHzから3.8MHzまで最大SWR1.5、平均SWR1.14でした。

 

1.9MHzの周波数設定が間違っていました。 周波数リストを修正しました。

ANT-D端子を使う時は、ATUの電源をOFF出来るように、各アンテナ切り替えリレーのON/OFFを修正しました。 ATUに通電していない時にD端子が有効とし、かつ、ATUが生きている時でもアンテナをDに指定できるように修正しました。

 

アンテナの設定に目途が出てきたので、シャック内のリグも以前のように運用出来るように整備し、1.8MHzの200Wリニアも使えるようにしました。 そして、SSBでCQを出したところ、最初SWR1.1くらいで有ったのが数秒で4以上に悪化します。 しばらく休止して、再度送信すると同じように繰り返されます。 どうもATUの中のコイルが発熱しているみたいです。 このATUの最大通過電力は150Wでしたので、やむなしと諦め、200W運用する為の検討を後日する事にします。

 

この後、ATUのバグが沢山発見され、修正しました。最終状態はこちらをご覧ください。

下のファイルは最新状態に差し替えてあります。

 

メインユニット配線図  NB-ATU_main9.pdfをダウンロード

コントローラー配線図 NB-ATU_contoroller6.pdfをダウンロード

ATU本体  NB-ATU-main_10.cをダウンロード

ATUコントローラー NB-ATU-controller_9.cをダウンロード

本体ヘッダーファイル FREQ_Span8.hをダウンロード

コントローラーヘッダーファイル FREQ_Center8.hをダウンロード

これで、当初の目標はほぼ達成できましたが、最後まで残った7MHzの国内用アンテナはどうしても実現出来ませんでした。 これは、以前作成したツェップアンテナを展開するか、ベントダイポールをこのATUとは別に独立して後日検討する事にします。

今回のマルチアンテナシステムの全体構造図と各バンドに於ける指向性(水平、垂直)のシュミレーションデータを残しておきます。

Antdrwg2_2

6mptern

10mptern

12mptern

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17mptern

20mptern

30mdpptern

40mdpptern

40mlwtptern

80mdpptern

80mlwtptern

160mspptern

  
160m用 DX向けは、以前検討した事のある7MHzの垂直エレメントとスカイドアエレメントを使った垂直アンテナをアンテナD端子に接続し、地上に置いたマッチングBOXで整合させる予定ですが、これをMMANAでシュミレーションすると、ゲイン最大の打ち上げ角は25度くらいになり、その位置でのゲインは+1.5dBiくらいになります。

両者のSメーターの振れ差は0.3くらいしかなく、ほんとに改善出来るのか????です。

2023年の12月初め、ARRLの160mコンテストが有りましたので、聞いてみました。聞こえてくるのはJAばかりで、Wは1局も聞こえません。 垂直方向の指向性はシュミレーションとかなり異なるみたいです。 やはりATUを使わない垂直アンテナは必要と判りましたが、いつ建てるか未定です。

 

7MHzの国内用アンテナ設置へ続く。

 

2024年2月

 ATUを使わない160mバンド用垂直アンテナを作りました。

 

2024年3月

160mバンド用受信専用アンテナの実験をしています。

 

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2023年4月26日 (水)

ATUのデバッグ(思い通りにいかない!)

<マルチバンドアンテナシステム2>ATU 自作 ループアンテナ 

アンテナの設置も仮状態ですが完了し、ATUのチューニングや試験電波を出せる状態になり、たちまちは、7MHzでの実地検証を始めました。

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SWRが1.5以下の周波数で、SSBによるCQを出しても、ATUは何も異常の症状は出さないものの、どなたも応答はしてきません。 時間帯は午後7時ごろでしたが、垂直DPならこんなもんだろうと、諦めて、CWバンドへ移動。 出力2Wくらいで、チューンを取り、フルパワーのCWでCQを出すと、外付けのアナログ式SWRメーターがSWR5以上を示します。 

ATUの組み立て中に確認した出力電力に対する耐性(イミュニティと言います)は60W連続出力でもOKだったのにと焦ります。 詳しく調べると、SWR1.68程度の場合、連続キャリア60W及びSSB100Wpepでも問題有りませんが、10W CWモードで、NGとなります。 そしてATUを再TUNEしてSWR1.37まで落とすと、CW 100WでもOKとなります。 という事は、少なくとも、SWR1.8くらいの時でも、100W CWで問題無いようにしないと、ストレスが溜まるだけになってしまいます。 

翌日チェックすると、受信感度が30dB以上落ちていました。オーバーホール完了時点では、全く問題なかったのに。 ただ、机の上に有る、TS-850SもFT-450も同じように受信感度が落ちていますので、アンテナかATUの問題かも知れません。

10MHz帯のバンド分割が間違っていました。これは、ソフトだけで解決できそうです。

ATUが何らかの理由で電源OFFになっても、電源OFF直前のATUの設定条件をラストデータとして記憶させて置き、再度電源ONになった時は、この設定状態を再現するように改善するつもりです。

世の中、ゴールデンウィークに突入したようですが、こちらは、カレンダー通りです。

雨が上がり、仮設状態のアンテナとATUを降ろす事ができましたので、今までに発見された問題点を確認しました。

まず、受信感度が極端に落ちた原因。 ATUを外して、ATUの代わりに50Ωのダミー抵抗を取り付けて、シャック側からアンテナアナライザーでSWRを確認したところ、SWR1.00で同軸ケーブルは問題なし。 どうも原因はATUの中にありそうです。 ATUのリレーを全てリセットしてATUの出力に50Ωのダミー抵抗を付け、送信機側でSWRを測ると、1.00 これも問題なし。

ATUの出力にバランを付け、このバランの出力に50Ωの抵抗を付けると、SWRは10を超えます。 どうやら、バランがおかしい。 バランから引き出されたUEWを動かすと、時々SWRが良くなる事があります。 どうもバランのUEWがショートしているみたいです。

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バランをケースから取り出してみると、巻線の半田付け部分がお互いにショートしているところがありました。 対策は、この半田付け部分の裸線の間に絶縁テープを入れ、互いに絶縁するようにした上で、半田付け部分が動かないように絶縁テープでしっかり固定しました。

左が、その対策後のバランです。

この状態で、ダミー抵抗を繋いでTUNEテストをすると、チューニングは正常に動作するようになりました。

次は、10Wくらいの出力でマイコンが誤動作する件ですが、このバラン対策を行った後でも、10Wでの誤動作レベルは変わりません。 

雨が降り続いて、ATUを降ろせない間にひとつの問題点を発見いていました。 アンテナの同軸のGNDとマイコンのGNDは、フェライトビーズで高周波的に絶縁してあったのですが、マイコンをATUボードから分離し、別の金属ケースに移した際、マイコンのGNDを金属ケースにビス止めしてありました。 このビス止めの為、せっかく分離した、同軸のGNDとマイコンのGNDをショートしていました。

そこで、このマイコンのGNDがケースへ直接落ちないように、基板の裏側に張り付けてあった銅箔をはぎ取ってやりました。

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左上の黄色で示す部分の銅箔をはぎ取り、マイコンのGNDがケースに直接落ちないようにすると、100W CW送信でも問題なしです。 念の為、28.9MHz付近でテストを行いますと、SWRが2を超える状況でもCW 100W送信では問題有りませんが、キャリア連続出力70Wにて、マイコンがハングアップします。 そこで、みぎの写真のごとく、見えているワイヤーに、手持ちのフェライトコアを可能な限り巻き付けてやりました。 その結果、この28.9MHzでの連続キャリア70WもOKとなりました。 この時の実験は50Ωダミー抵抗で行っており、実際のアンテナでは28.9MHzでの整合は出来ませんでした。

さらに、もし、マイコンがハングアップしても、一度マイコンの電源をOFF/ONする事により、前回の整合条件を復帰できるようにソフト変更しましたので、やばそうな状況では、マイコンの電源をOFFする事により、リレーの設定は保持され、ATUの整合が崩れる事はなくなります。 これは、自作の200W機を送信する時に、役立ちそうです。

ATUのリレーはもくろみ通り、電源OFFでも状態を維持するのですが、付属で追加したインダクタやキャパシタをON/OFFするリレーはOFFモードに戻ってしまいます。 また、アンテナA以外を使用している場合、この切り替えリレーも全部OFFになってしまい、ATUの電源を切ると、使う事が出来ませんでした。

 

Reload


2023年のゴールデンウィークです。 コロナの束縛からも解かれ、皆さん開放的ですが、新作のATUが、思うように動作せず、連休も半分過ぎてしまいました。

超ナロー幅のスカイドアアンテナはほぼ完成したのですが、最高部まで上げたのは一晩で、ATUの問題の為、手の届く高さに置いておかねばならない日が2日間。 この間に、バグや機能向上の為に、マスト上にある、ATUにノートパソコンを繋ぎ、ソフトの再インストールを実施したのは数え切れませんが、なんとか、実用に耐える状態になりましたので、明日にでも、最高高さまで上げる事にします。

左は、ATUを手の届く所まで降ろし、ノートPCで、プログラムの書き換えを行っているところです。 

 

一旦下げたATUの改善内容は以下です。

一度整合状態になったATUを再度TUNE動作させると、即SWR90状態になります。 その対策のひとつとして、最初にリレーをプラスかマイナス方向に増減する判定を追加しました。 これで、かなりの頻度で、即収束しますが、バンドによっては、SWRが1.6くらいの状態でいきないSWR90になってしまいます。 この原因がまだ判りません。

指定した周波数の整合が過去一度もない時は、一番近くの整合条件を拾ってきて、仮整合させる仕組みを構想しましたが、いざ実験すると、バグだらけで、全く機能しませんでした。 そこで、この機能のソフトはエクセルを使い、ワンステップごとに動作を確認したソフトに作り替えました。この作り替えたソフトでは、一応要求された動作は行いますが、次の再TUNEで、どこかへ飛んでいくという異常動作がまだかなり有ります。 アンテナを上げるのを諦めて、このSWR1.5くらいから再チューニング開始した途端、SWRが90以上になる現象を、リレーの切り替えタイミングを0.5秒まで落とし、SWRの変化を見ていると、リレーを2step変更しただけで、SWRが1.5よりいきなり90に跳ね上がります。 どうも、リアクタンスが反転するような限界ポイントでかろうじて整合している状態で、LやCが2step変化するだけで、リアクタンスが反転し、起こる現象のようです。 そこまで判ると、ATUが気長に3分間も最適値を探しているのを我慢しなければならないという事でした。

とりあえず、仮設置状態ですが、10MHzと18MHzでQSOは成功しました。 山梨県、沖縄、それに中国(B5)でしたが、一応期待通りのRSTでした。 中国局との交信の前後では、中国局を呼んでいるVKもかなり強力に入感していました。 HFのスカイドアアンテナは、昔から、相手の受信信号より、当局の信号を受信した相手局からの受信レポートが良いという現象は、今回も再現出来ました。

MMANAによるシュミレーションでは、SWR1.5の範囲の帯域幅は、21MHzで50KHz以下でしたが、実際に測定したSWR1.5の範囲は120KHzくらい有り、21MHzの場合、4ポイントの周波数でATUの同調を取って置けば、全バンドカバーできる事がわかりました。

7MHzのアンテナは、フルサイズの寸法に近いですので、1ポイントの周波数のみで、7MHzから7.2MHzまでSWR1.5以内でカバーしています。 ただし、各ポイントでSWR1.1以下に整合した時の話ですから、もし、SWR1.4くらいで収束した場合、SWR1.5以下の範囲は+/-10KHz以下と考えられますので、当初設定した全ポイントで整合を実施しておかねばんらない事には変わり有りません。

コントローラーの周波数アップダウンツマミによる誤動作がだんだんひどくなってきました。 デジタルオシロでI/Oの波形をチェックすると、割り込みがかかる端子のチャタリングが大きくなっていました。 ロータリーエンコーダーの固有の問題でエンコーダーを交換する必要がありますが、エンコーダーのB端子はまだましな波形をしていましたので、割り込みの発生する端子をAからBに変更しました。

5月6日 3.5MHzから50MHzまでのATUプリセットがほぼ完了しました。 ほぼの意味は、28,570以上と51.25MHz以上の周波数では、どうしてもATUが収束しません。 従って、28.51MHz以上の周波数を使用する場合、28.510で同調した状態でそのまま使う事にしました。 この場合、28.700くらいまでSWR1.5以内に収まります。SWR2まで許容すると28.800くらいまでは使えます。 50MHzの場合、51MHz以上で交信する事はないので、そのままです。

SWRの収束が悪いのは3.5MHzで最大でSWR1.8となります。7~24MHzはほぼすべてSWR1.15以下に収束しました。 28MHzと50MHzは、収束する範囲でSWR1.5以下になりますので、実用上は問題有りません。 1.8MHz はアンテナ端子Cにロングワイヤーを接続する予定ですが、まだワイヤーを張ってありませんので、ワイヤーが設置されたら確認する事にします。

2日間使った感想は、快適です。初日に、全周波数のプリセットを済ませましたので、2日目は、一度もプリ送信や、再チューニングをすることなく使用できました。 また、受信機のバンドを変えた後、ATUのバンドを指定すると、ノイズが急に大きくなり、整合状態になった事を実感できます。

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画面の右から5月の風を受けて少し傾いていますが、最終設置状態です。 最終設置状態での1st DX QSOはアンテナを上げたその日の午後、21MHzにて、ニューカレドニアとのQSOで59/59でした。

その後2日間の間に フィジー、インドネシア、ベラルーシ、ウルグアイ、ノルウェー、オランダと交信できました。ヨーロッパは全てロングパス、21MHz CWでの運用でした。 

しかし、その後、また受信感度が全バンド30dB以上落ちる現象が発生し、どのバンドもチューニング不可となってしまいました。 この現象は2回目です。 前回はバランの線間ショートでした。 ただし、UEWの絶縁が壊れてショートしたのでは無く、ハンダ付けの裸の部分がショートでしたので、修理対応としては、ハンダ付け部分に市販のビニールテープを挟み、絶縁確保しました。 今回、もし、同じ原因なら、ATUの出力にとんでもない高電圧が発生して絶縁破壊したのでは? そこで、ATUの出力端子で発生する電圧をTLWにてシュミレーションしてみました。

TLWの紹介資料 tlw.pdfをダウンロード

Balanvoltage

左の表が、電圧が高そうなバンドを抜粋したシュミレーションデータです。

いずれも100W出力時の値です。 1.8MHzと7MHzは200W出力になりますが、リアクタンスの値が高くないので、このデータより低くなります。

この表から、最大で5000V以上の電圧がバランに加わる事が判りました。 ATUを通した受信感度が急に落ちたのは、24MHzでCW 100W運用した後でした。 その前に21MHzで何回も運用していたのですが、シュミレーション上の出力電圧は24MHzより高い1030Vでした。まだ、3.5MHzや28MHzでCW運用した事が無いので、心配になります。 シュミレーションと実態が違う事を願うばかりです。 絶縁不良になった部分は4個の巻き線をお互いに接続する部分が絶縁テープ1枚で隔てられており、そのテープの厚みが0.1mmのものでした。材料がPVCとすると2KVくらいしか絶縁耐力が無く、バランの絶縁耐力を5KV以上に引き上げる必要があります。 

以前使っていたプリセットMTUの場合、T型アンテナチューナーでしたので、MTUの出力側の電圧は、この表よりもっと低かったのですが、それでもバンドによっては4000Vを超えていました。しかし、使用していたバランがソーターバランでしたので、ワイヤー間の絶縁はワイヤーの絶縁材の厚みだけ気にすれば良いものでした。 市販の屋外用ATUの出力端子が碍子になっているのは、数KVの電圧が発生する事を認識しているからでしょうが、取説の中で、ループアンテナ等に整合させる場合、1:4のインピーダンス比のバランを外付けする事を推奨していますが、耐圧の事は触れていなかったような。

Balanng

ATUに手が届く所まで、マストを縮め、ATUを取り外し、確認すると、NG部品は前回と同様、バランでした。 バランを取り出し、絶縁テープで覆った部分を観察すると、左の写真のごとく、絶縁テープを通り越して放電した場所が見つかりました。 結局、ATUとアンテナの間にバランを使う時は、その耐圧に十分注意する必要があるという事を理解しました。

対策はすでに、用意されており、以前プリセットMTUに使ったソーターバランを取り外し、このATUに実装するだけですが、今まで有った、インピーダンス変換機能が使えなくなりました。 そこで、このATUのコンデンサの分解能を2倍にして、整合確率を高める事にします。 このATUの最小容量は5PFですので、2,5PFのコンデンサを付けたり外したりしたら分解能が2倍になるのですが、あいにく耐圧5KV以上のコンデンサが有りません。 そこで、耐圧1KV 10PFのコンデンサを4個シリーズに接続し、耐圧4KV 2.5PFのコンデンサを作り、今まで使っていたバランのH/L切り替えリレーを使い、この2.5PFのコンデンサを付けたり外したりできるようにします。 使っているリレーは5000V耐圧品です。コンデンサは目標の5KVには届きませんが、なんとかもつだろうと期待します。

Sotorbalan

上の写真がソーターバランを取り付けたATUの内部です。このバランのワイヤーの絶縁厚みは1.5mmくらい有り、2本の隣り合ったワイヤー間の耐電圧は単純計算でも90KV以上有ります。 左側の青いものが2.5PFのコンデンサになります。 この状態で、50Ωのダミー抵抗を接続してチューニングテストを行うと、従来より早く収束する事を確認できました。

ATUの中の最小容量が10PFである事が判り、最終的に2.5PFのコンデンサは5.5PFに変更されました。

このATUをマストに取り付け、仮設状態でチューニングテストを行うと、28MHzと50MHzは、どうしてもSWR3以下に整合しません。 従来の強制バランは、耐圧ではNGでしたが、整合しやすさという点では良好だったようです。 MMANAとTLWを駆使して原因を調べたところ、28.5MHzでのATU整合条件はコイルが7.1uH、コンデンサが7.3PFと出ており、コイルもコンデンサもゼロからチューニング開始した場合、すぐにSWRディップを探すルーチンには入るのですが、SWR3.?くらいを見つけたけど、整合完了の最大SWR3.0以下に届かず、そのまま次のステップへ行ってしまい、SWR90を表示したまま数分間動作した後、エラーで停止してしまいます。 ここは、せめてコンデンサの値が20PF以上で整合するようなアンテナ特性にしてやらないと永久に整合出来ません。

ここで、ATUメーカーなら、ループ長や形状を変えて、整合出来るようにすると取説で説明するのですが、今回の私のアンテナは先にループ長と形状を決めてしまっているので、この対策はとれません。 TLWにてシュミ―レーションすると、バランの出力側に10PFのコンデンサを追加すると、ATU内部のコンデンサの容量が280PFくらいになります。そこで、10PFが無かったので、11PFを追加してみました。 50MHzはOKになりましたが、28MHzは29MHz以上はOKですが、それ以下はSWR3以下になりません。 そして、24MHzから下のバンドもNGでした。 TLWのシュミレートと実態はかなり違うみたいです。 

ループアンテナの形状を変えられないので、変えられるところを色々いじっていた時、ループへATUから給電する為に、無造作にワイヤーを接続してあったのを、平行フィーダーに変えてみました。 すると、バンド内でリアクタンスが反転したり、ローパスLタイプのチューナーでは整合しない範囲が変化する事が判りました。 MMANAとTLWでシュミレーションしていくと、このフィーダーの間隔を4mmくらいまで狭くすると、一番整合しにくい24MHzと28MHzのATUのLCの組み合わせが、SWRを1.8まで許容したら整合しそうな雰囲気になってきました。 そして、今までこのフィーダーの長さは成り行きで50cmくらいだったのですが、これを1mまで長くすると、シュミレーション上は14MHz以上の全バンド整合できそうです。

Feederuhf

左は、この結果を受けて、フィーダーをUHFのTVフィーダーに変更したものです。

このフィーダー状態で、24MHz以下は全てSWR1.5以下に整合しますが、28MHzと50MHzはなかなか整合しません。 コントローラー側に送られてくるSWRのデータの表示間隔を遅くしてみていると、SWR1.3くらいになるのに、それを無視して、次のステップへ飛んでいく状態が何回も再現します。 プログラムにバグがあるのかと色々調べましたが、おかしな部分は有りません。

そこで、SWRの測定間隔を0.5秒まで遅くし、時間はかかりますが、実際のSWRの変化をモニターする事にしました。 その結果、周波数やATUの設定条件を変えないのに、SWR値が不規則に変化する事が判りました。 どうも風によりワイヤーが揺れたり、マストがたわむと、当然SWRが変化し、そのレベルが小数点第1位まで及ぶ事が判りました。 今回のATUはまず、SWR1.15以下をねらいそのポイントを探しますが、そのポイントが見つからない場合、限度値をSWR1.5として再度さがしに行きます。 それも見つからないときはSWR1.8及び3まで限度値を落とし探しますが、これを全部自動で行っていました。 このとき、SWRの検出のバラツキは考慮されていませんので、ATUのコイルやコンデンサを変えた時、SWRが上がるかさがるかの判定を間違い、アルゴリズム通りの動作をせず、整合不能になるようです。

対策としては、この自動で、段階的に限度値を緩めていく仕様をやめ、手動で限度値を変えるようにし、プログラムが勝手に限度値を変更しないようにしました。 限度値はTUNE開始する都度、ワンランクづつ緩め、ランク3の次はまたランクゼロに戻るようにしました。 その結果、風によりSWRの変化が異常になった場合、相変わらず誤動作はしますが、限度値を変更しないので、数秒のうちにエラーになります。 エラーになったら何回もTUNE開始を行うとその内、どれかの限度値で整合成功しますので、その状態で再TUNE動作させると、ほとんどSWR1.5以下に落ち着きます。 また、隣の周波数でSWR1.3くらいになっている状態でTUNE操作すると、1.15以内に収束する確率も高くなりました。 UHFフィーダーに変更した状態で、21MHz以下はほとんど1回でSWR1.15以下、24MHz以上は3~4回のTUNE操作でSWR1.8以下にしかならない周波数もありますが、ほとんどのの周波数で1.5以下に整合するようになりました。 また、高速で荒くスキャンさせる時、従来SWR6以下を見つけたら、SWRディップ条件を探すルーチンへ遷移させていましたが、SWR20以下を見つけたら、SWRディップ条件を探しに遷移するように変更しました。

下の写真は、ATU内部の最終状態です。

Atu_in_2

 

スカイドアの全バンドで整合出来るようになりましたので、正規の高さまで上げ、21MHzで2Wくらいの出力で整合を取り、SWR1.1くらいを確認した後、QSOを始めるとだんだんSWRが上がっていきます。しゃべり終わるころになるとSWR8くらいまで悪化し、相手の方が送信終了後に、再度送信開始した時点では、SWR1.3くらいまで戻っていますが。10秒もたたない内にまたSWR8とか9になります。 QRTした後、バンドの端でCWによるテストを行うと、21MHzが一番影響が大きくい事が判りました。 ATUの中で、コンデンサやインダクターを追加したり外したりしていますので、これらが悪さしているのか確認しましたが、関係なしでした。 初期のころ、強制バランを使用して21MHzで運用しましたが、このような現象は有りませんでした。 また、難問が出てきてしまいました。

SWRが高くなった直後にベランダへ走り、ATUの中のソーターバランのコイルとフェライトコアを握るとほんのりと温かくなっていました。 試しに、このバランを廃止してみました。 21MHzで5分間くらいのQSOをしても、その間、SWRは増えたり減ったりしますが、SWRが1.5を超える事は有りませんでした。 SSBでQSO中のSWRは、FWDとREVの電圧の測定が同時ではないので、上がったり下がったりします。  下はソーターバランを廃止したATU内部です。

 

今回のATUに限った事では有りませんが、ATUに接続する給電用同軸ケーブルとATUをコントロールする8芯のケーブルには、3.5MHzでも十分効果のあるコモン電流阻止用のFT240#43コアにケーブルを10回巻き付けたチョークが挿入されています。 この効果で、ソーターバランを廃止しても問題が生じません。

Balanless

結局、ソーターバランもNGとなりました。 以前のプリセットMTUでは、スカイドアの横幅が今回の2倍になる2mでしたので、バランの中を流れる電流もギリギリでOKだったのが、横幅が半分になり、その分インピーダンスも下がり、電流が増えた事により、バランが飽和したものと推定します。 幸い、バランはNGとなりましたが、ATUその物は大丈夫な様です。 普通はこのような問題を防ぐ為に電流制限用の抵抗を追加しますが、なるべくなら抵抗は入れたく有りません。 バランを外すと3.5MHzが整合しなくなりました。 また、垂直DPを使ったときのノイズが増えました。 ループアンテナの場合、ノイズはほとんど変わりません。 3.5MHzが整合しないのは、困りますので、垂直DPだけに効果がありそうな対策案を考える事にします。 MMANAとTLWでシュミレーションすると、バランが無い時の整合条件は7MHzと3.5MHzはNGと出るのですが、7MHzはかろうじて整合しますので、シュミレーションと実態は異なるのは理解できますが、それを加味しても3.5MHzはとても整合出来る条件では有りません。

Balun3

そこで、ノイズ対策を兼ねて、垂直ダイポールにだけ接続する強制バランを追加して見る事にしました。 今回作る強制バランはここで紹介している構造にしますが、パワーは最大200Wですので、フェライトコアはFT-140#43 2枚重ねとし、使用するワイヤーはAWG24の平行線を使います。

左がその完成状態で、ワイヤーをコアに密着させる為に、外周はロックタイで締め上げ、引き出された各端末は、ばらけないようにロックタイで結束しました。

完成した状態で測定したSWRは以下のようになりました。

Newbalun1

このバランを使用する最高周波数は10MHzですからSWRは問題ないでしょう。

Antbbalun

上の写真が強制バランを実装した状態です。 同時に、リレーで付けたり外したりしていたコイルとコンデンサはHOT側のみとし、GND側は常時ショートする事にしました。 垂直DPは3.5MHzから10MHzまでSWR1.5以下に整合するようになりました。 しかし、3.5MHzで10W出すと、マイコンがハングアップします。 7MHzや10MHzでは100WのCW送信でも問題有りませんが、3.5MHzのみNGです。 2日間、色々検討しましたが、対策の決め手が見つからず、7MHz垂直ダイポールに3.5MHzを乗せるのは諦め、3.5MHzのDX用アンテナは、垂直DPの上側エレメントのみ共用した垂直アンテナを別途用意する事にしました。 この別途追加予定のアンテナはATUを使わず、MTUで整合させます。 この為、垂直DPの上部エレメントをATUから切り離す為にANT-D用のリレーを追加し、専用の端子だけ用意し、後日検討する事にしました。 下は、このANT-D用のリレーを追加したATU内部です、

Antd_add

 

Slowper160

1.8MHzのアンテナ用として、アンテナ端子Cを設けておりましたが、ここに接続する160m用のアンテナは、家の鉄骨をタワーに見立てた、スローパーとする事にしました。 スローパーは以前実験した事が有り、国内の近距離ならOKでしたが、2エリア以遠との交信は不可能でした。 前回は給電点の高さが8mでしたが、今回は11mにします。 ただし、打ち上げ角はほとんど下がらず、かつ若干の指向性を持つようですから、国内専用となりそうです。 一方、7MHzの垂直ダイポールは30m、40mと80mバンド用として使いますが、その打ち上げ角の問題から、国内用としては、かなり性能が落ちますので、この160m用スローパーを3.5MHzは国内用に使えるようにしますが、7MHzはまだ無理かも知れません。 その為、スローパーのワイヤー長はシュミレーションで決めた42mとし、80mと40mは、スローパー用と垂直ダイポール用に二組のプリセットメモリーを確保し、同じ周波数でも、2種類のアンテナを使い分ける事が出来るようにします。 次の休日にアンテナを張ろうと 160m用のワイヤーだけ、ATUにネジ止めし、ベランダに置いたままですが、次から次へと出てくる問題点の為、なかなか手が付けられません。

垂直ダイポールに3.5MHzを載せられない事が判った時点で、やっと160mのアンテナの実験に取り掛かれました。 42mのワイヤーを張ろうと意気込みましたが、池の周りの雑木に阻まれ、結局張れた全長は39mでした。 このワイヤーに1.825MHzを整合させようとすると、出力2Wでマイコンがハングアップします。 机上で、160m用スローパーの定数をコンデンサと抵抗でシュミレーションする場合、100W送信でも問題ないのに、ATUを11mの高さまで上げると、たった2Wでハングアップしてしまうものです。 

広島県も梅雨に入った模様で、連日雨が続いており、先週の日曜日に上げたATUを降ろせない日が続いていますが、ローバンドでマイコンがハングアップする原因がかすかに見えてきました。 机上でOKなのに屋外でNGになるのは、長い25mのコントロールケーブルが原因かも知れません。 TUNEスタートとRESETのSWはKT-100のオリジナル通り、割り込みで処理し、このI/Oに高周波が回り込まないようにフェライトビーズをシリーズに挿入しています。 しかし、チップタイプのビーズのインピーダンスは100MHzで470Ωの物を使っていますが、7MHzで120Ωあっても、3.5MHzや1.8MHzでは7MHzの半分、もしくは1/4しかありません。 ここに気づてKT-100の回路を見直すと、このビーズの位置には100uHのコイルが挿入されていました。 1.8MHzの場合、100uHのインピーダンスは1KΩを超えます。 ビーズのインピーダンス不足なら、TUNRやRESETキーに限らず、シリアル通信ラインやLEDラインも該当する事になります。 このインピーダンスの差が今回のローバンドに於けるマイコンのハングアップの原因かも知れません。 ここまで判ったのですが、雨でATUを降ろせないという歯がゆい状態です。 雨が止むのを待つしかないです。

台風2号が近づこうとしていますが、一瞬の晴れ間を狙い、ATUを降ろし、コントローラーとATUを結ぶ、ライン上にチョークコイルを追加しました。 追加するチョークコイルは100uHでしたが、あいにく手持ちが有りません。やむなく20個くらい手持ちしていました1mHのコイルで代用する事にしました。

Sirial1mh

左はシリアル通信ラインの波形です。上が送信側の波形で下が受信側の波形です。 1mHのコイルを入れたにも関わらず、送信側より受信側の波形が綺麗になっています。 これで、1.8MHの送信信号がマイコンのi/oに直接加わらないように期待したいと思います。

回路を改造し、いざATUをマストに括り付けようとしても連日の雨です。 天気予報では、中国、四国地方に線状降水帯が出来ると警告されていましたが、幸い、予報が外れて、夕方つかの間の晴れ間が出来ましたので、改造済みのATUをマストに括り付け祈る気持ちで1.8MHzの整合テストをすると、なんとか1.8以下で整合でき、かつ100W CW送信でもマイコンがハングアップしなくなりました。  その日の晩に1.8MHzをワッチしましたが、CWもSSBも聞こえませんでした。 翌日、SSBで三重県とQSO出来ました。

垂直DPが3.5MHzで整合しない事に対する対策として、現在、下側のエレメントを地上高3mの位置で止めているのを、地上高1mまで伸ばしてみました。 すると、3.5MHzから3.8MHzまで全周波数で整合出来るようになりました。 この地上高を3mに留めたのは7MHzでの打ち上げ角が上昇するのを避ける目的でした。 改めて、最低地上高3mと1mの時の打ち上げ角を確認すると1mの方が1度ほど高くなります。 打ち合上げ角と3.5MHzの整合を天秤にかけると、3.5MHzが整合する方が良いですから、打ち上げ角の上昇は諦めました。

Skydoorwith160mslowper

ローバンドのアンテナの設定に難儀しましたが、21MHzでイタリア、フレンチギアナ、7MHzでウルグアイとSSBで交信出来ています。 また、18MHzで国内向けにSSBでCQをだしているとカリフォルニアのサンディエゴから呼ばれるというラッキーも有りました。 正規の高さに上げた状態に於いて21MHz CWでネパール,タイ、ドイツ、アイルランド、クロアチア、モロッコの西側大西洋上のポルトガル領マディラ島とQSOできました。

当初の予定では、160m用スローパーを80mのLWとして利用する計画でしたが、予定の42mを展開できなかった為、80mはほぼ1/2波長の長さになってしまい、整合出来ませんでした。 このバンドに整合するには、ワイヤー長39mは伸ばせませんので、短くカットするしかないのですが、当面は現状のままで、80m用国内向けアンテナは、時間をかけて再検討する事にします。 

 

ATU本体の配線図 NB-ATU_main5.pdfをダウンロード

コントローラーの配線図 NB-ATU_contoroller5.pdfをダウンロード

ATUソフト NB-ATU-main_6.cをダウンロード

コントローラーソフト NB-ATU-controller_6.cをダウンロード

ATUヘッダーファイル FREQ_Span5.hをダウンロード

コントローラーヘッダーファイル FREQ_Center5.hをダウンロード

未解決の問題点については次の記事で紹介します。
 

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2023年4月25日 (火)

CWのブレークイン機能動作せず

<カテゴリー:TS-930S>

久しぶりの修理です。

2018年に旧スカイドアアンテナを降ろし、同時に、このTS-930Sでの交信も途絶え、自作無線機の実験以外、電源ONした事が無かったのですが、2023年の4月に、新スカイドアンテナを上げて、HF交信を楽しもうと、電源を入れ送信テストをすると、SSBはOKですが、CWの電波が出ません。 電波が出ないだけで無く、CWのモニタートーンも聞こえず、かつ受信の音も聞こえません。 再開するHF交信のメインはCWですので、修理するか、廃棄して、隣に鎮座するTS-850Sにメインの座を渡すかの選択となりました。

とりあえず、カバーを外し、操作SWの裏側が見えるようにして、スィッチの端子間の導通を確認する事にしました。

CWのモニタートーンが出ないのは、VOXとMONITOR SWの接触不良でした。 いずれも何度もON/OFFを繰り返すと、時々OKになったり、NGになったりでしたので、KURE印の接点復活剤を吹き付けてやりましたら、OK状態になりました。

次に、CWやTUNEの時、受信音が聞こえないという問題です。 詳しく調べると、NAR(ナロー)とWIDEの切り替えSWの接触不良です。 このSWの接点に接点復活剤を吹き付けるのは、ほとんど不可能なので、パネル面のSWをNAR方向に倒し、基板の裏側の、NARモード時、ONするSWの端子間をワイヤーでショートしてやりました。 WIDEで交信する事は全くないので、これで不都合は生じません。 ほかにPROC ON/OFFのSWも接触不良で、PROCがONになりません。 このSWもPROC ON状態にワイヤーでSWの端子をショートし、常にPROC ON状態としました。

次は、サービスマニュアルを片手に、送受信系統の再調整を行います。

周波数関係は最大で80Hzくらいのずれが有りましたので、これを+/-20Hz以内に調整しました。 また、コイルのコアをレベル最大にする指定のあるコイルは全て、最大付近に調整されており、問題なしでした。 受信感度も送信レベルも9年前にオーバーホールした時から、ほとんど変わっていなく、特に受信感度は、追加したプリアンプの為、常時20dBくらいのATTをONしておきたいくらいでした。

約2時間で、SW不良対策とオーバーホールが完了し、CWの送受信も問題なくできる状態になりましたので、まだ当分はメインの座に留まる事ができそうです。

TS-930が正常になりましたので、新マルチバンドアンテナシステムの確認に戻ります。

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2023年4月23日 (日)

PIC18F25K42 IOC異常

PIC18F25K42のバグ情報です。

IOCによる割り込みにて、立下りでの割り込みを設定したとき、IOCIEの設定に関係なく、立下りで割り込みフラグがセットされるのは正常ですが、IOCIE=0でも割り込みが発生する。

立ち上がりでの割り込み設定の場合、異常なし。

対策は、立ち下がりによる割り込みを使わない事。 この割り込みの使用場所がロータリーエンコーダーによるアップ・ダウンの検出ですので、どっちでもソフト対応できました。

平行して、ソフト開発をしているPIC18F47K42は、異常なしです。

確認したXC8のバージョン:V2.40  PIC18F-K_DFP 1.8.249

 

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2023年4月16日 (日)

アンテナ建設

<マルチバンドアンテナシステム2>ATU ループアンテナ 

ATUがほぼ完成したので、アンテナを実際に建てる事にします。 

まずは、ベランダから撤去したローテーターの設置です。 ローテーター台は、板厚4cmの2x4(ツーバイフォー)材に防腐処理をしてありましたので、15年経っても、大きな損傷が無く、そのまま使う事にしました。 ベランダの床は排水の為に、傾斜して作られており、前回は、ローテーターを垂直に取り付けるのに大変苦労しましたので、今回は、M8のボルトを板に差し込み、このボルトを回転させ、水準器を使いながら、垂直を出す事にしました。

Rtr01

木製の板に穴を開けただけでは、ねじ山がすぐにつぶれてしまいますので、板の下の面にM8の鬼目ナットを埋め込み、これにM8のボルトを通して、傾きの調整が出来るようにしました。 ボルトが床面と接する所に、厚さ2mmのアルミ板を敷き、床が傷つくのを防止しています。

Rtr02

上は、水準器を使い、板の水平度を見ているところで、水準器を90度振ってみて、いずれも水平が確認できるように左奥のボルトを固定しておき、残り3本のボルトの高さを調整し、約15分で調整完了しました。 右側にストッパーの木片をねじ止めしたのですが、ローテーターを回転させると、ローテーターの凸部が壁に当たります。この木製の台は右側に寄せないとダメみたいで、木片は左側に移しました。 

Rtr0_comp1

後は、実際にマストを取り付け、傾きが無いかを確認したら完了です。

  

 風の強い日でしたが、天気は晴れでしたので、ナロースカイドアアンテナと7MHz垂直ダイポールアンテナをアップしました。

Nbantrotor

Bnbatucomp

ローテーターをベランダ床に動かないように固定し、ベランダの手すりの位置に首振り防止の支持材を取り付けて、マストを自立させ、ベランダ床から約3mの高さまでステーベアリングを上げ、固定しました。 本来のステーベアリングの位置は4mまで上げる必要がありますが、マストの継ぎ目の回転ストッパーが手配漏れで、かつ風も強いので、この日は、この高さです。

Nbantcomp

左が、回転半径50cmのスカイドアと垂直dpの完成状態です。 DPの最上部の地上高は19.5mとなります。

アンテナの水平面指向性が8の字ですので、ローテーターの回転角度は180度あれば良く、その範囲でケーブルやステーが絡まないように配置すれば良いのですが、どうせ、これから何回も、ATU-BOXを下ろさねばならなくなるはずですので、それまでは、この仮状態で、ATUの機能確認とデバッグを行います。

従来の7MHz用垂直DPは地上高8m付近で給電していましたので、上部エレメントがλ/4より長い状態でしたが、今回のアンテナでは、上部エレメントの長さが、8.5mとなり、オフセット給電の位置が上下逆転しますが、ATUでごまかしますので、大きな特性の差は無いと予想しています。

相変わらず、昼間のコンディションは7MHzも14,18,21MHzも良くないですね。 21MHzではVKが59+で入感していましたが、国内を含めて、さっぱりでした。 唯一まともに信号が入感していたのは国内の10MHzだけで、まだ当分はノイズだらけの状態が続くのでしょうか?

後日判った事ですが、この日(2023年4月23日)は4月24日まで続く磁気嵐の最初の日だったそうです。

アンテナが5月連休の1週間前に、曲がりなりにも、ON AIR出来る体制が整いましたので、今度は、5年近く使っていなかった、HF用運用グッズの確認です。

Rotatorlamp

まずは、ローテーターコントローラーの照明ランプが切れていましたので、これの修理です。 ランプをLED照明に変更します。 3φの白色LED 2個を直列に接続し、11mA流しました。写真のごとく、光り輝いています。 

夕方、21MHzをワッチすると、インドネシアからのCQがSSBとCWで聞こえます。 SSBは57くらい、CWも579くらいです。 久しぶりに、CWでQSOにトライしようとしましたが、CW送信が出来ません。 CWのモニタートーンも聞こえません。 スピーカーに耳を近づけると、歪んだ音でかすかにキーイングのトーンが聞こえますが、ブレークインが機能しません。 送信モードでキーインするとちゃんと電波は出ますので、VOXとブレークイン機能が動作しないようです。

かくして、5年ぶりにCW送信しようとしたTS-930Sのオーバーホールが必要で有る事が判りました。 5月連休はCWでDXingが楽しめるかも知れないと、アンテナ設営を1週間前倒ししたのに、当てが開ずれました。

TS-930Sのオーバーホールは、こちらです。

 

7MHzや1.8MHzの水平系のアンテナは、本命のスカイドアと垂直DPが落ち着いたら、考える事にします。 

 

次は、実際のアンテナを使い、ATUの動作テストです。

 



 

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