« TS-930 腐ったスルーホール(表示トラブル) | メイン | Z-Match(Zマッチ)アンテナチューナー »

2012年11月13日 (火)

プリセット式MTU 4

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

プリセット式MTUをフルに使用して1年以上経過しました。この間に行われたDX、国内コンテストに参加して、それなりの成果が得られていますので、シンプル構成のアンテナシステムにしては、上出来と思っています。

Mtu111年以上も経過すると、色々とトラブルも発生します。 24MHzに使われているポリバリコンのPPシートが熔けて、アルミ板にくっついている事があります。運用上は特に問題はないのですが、何が原因か判りません。中国製A4サイズ20枚で100円のPPシートの品質なのか?

21MHzをアナライザーでSWR1.0に調整した後、実際に100Wで送信すると、SWRが2を超える時があります。この状態で、再度アナライザーでチェックすると、SWR2を超えています。絶縁破壊が起こった時の症状です。21MHzのPVCのPPシートを見ると、ごみがついたように汚くなっています。分解して調べると、ごみではなく、表面がすりガラス状に解けているものでした。 やはり、PPシートの品質の問題みたいです。

ホームセンターからブランド名が通った赤色のPPシートを買ってきてハイバンド側全部を交換して様子を見ることにしました。  途中で赤色のPPシートを使い切りましたので、趣きを変える為、黄色のPPシートに変えてみました。絶縁性能は赤も黄色も差はありませんが、黄色のPPシートは透明度が悪く、ポリバリコンのローターの羽をそろえるのに苦労します。 黄色を使い終わったら、また赤色に戻す予定です。  最初の中国製PPシートより、20倍くらいの価格のこのPPシート(アクリサンデー PPクラフトシート PF-12、三菱レーヨン製)は、とりあえず問題なしで使えそうです。

 ポリバリコンはローターとステーターの隙間管理はラフで良いのですが、一度絶縁破壊が起こると、絶縁材を交換するしか対応方法はありません。エアバリコンのように、絶縁破壊が起こっても、パワーを少し下げればすぐに使える便利さは有りません。


3.5MHzをTタイプで作成して、耐圧問題でπに変更しましたが、この時の絶縁破壊も安物のPPシートが原因だったのかも知れません。ただし、チューナー内部ロスはT型が大ですので、π型にしたのは正解でした。

Mtu12m_2 各MTUのコイルに使われているボビンは黒色のABS製です。黒色はカーボンで着色されているから、高周波では損失が増えそうだという話を聞き、透明アクリル製のボビンに交換してみることにしました。 たちまち、気が付くような効果は見られませんが、少し時間をかけて観察することにします。

アンテナのメンテナンスの為に何度も倒したり、立てたりする内に、ループと垂直ダイポールの支柱を兼用している鉄製のパイプが弓なりに曲がってしまい、見苦しくなったことと、この曲がりの癖の為にやや強い風でアンテナの向きが変ってしまうという問題が出てきました。アンテナチューナーの課題は収束しつつありますので、唯一不満のアンテナの帯域幅を改善したく、全面的に立て替えることにしました。と言っても、垂直ダイポールとワンエレループの構造は変えません。

Newskydoor 支柱の材料を10m長のグラスファイバー製ポールに変更した上で、細での釣竿を継ぎ足して11m長に変えることと、ループの横幅を2mから3mに変更して帯域幅を現行の1.5倍以上に広げることです。 横幅を広げた結果、縦横比が1.7くらいにしかなりませんので、もうスカイドアとは言えないかも知れませんね。 また、ローバンド用の垂直ダイポールは、線材を3.5mmSQのKIV線に変更し、上部エレメントの最高部は18mまで上げ、下部エレメントは、最下部で1mを折り返しています。 

当初、ループの線材も3.5SQのKIV線で作ったのですが、重くて、釣竿がピンと支えてくれません。やむなく、ループだけは2mmのアルミ線としました。

この変更工事が完了した時点で、MTUは全部再調整となりましたが、初期の頃あった経時変化も収まっていましたので、バリコンの角度調整だけで20mバンド以外は整合できました。 20mバンドは、リアクタンスの変化が大きかった為、コイルを含めて変更となりました。

プリセット式MTUが成功する前提として、同調フィーダー(又の名をハシゴフィーダー)の存在が欠かせません。ひとつのエレメントをマルチバンドで使用するとき、同調フィーダーというのは、とても便利なものであることが判りましたが、今までの試行錯誤の経過から、同調フィーダーはあくまでもアンテナの一部であると言う事を肝に命じる事になりました。
同調フィーダーは自由空間に置かないといけない。金属材料と平行したり、鴨居をくぐったり、天井裏を走ったり、ベランダの柵に束ねたりしたら駄目なんです。

同調フィーダーのセパレーターとして使っているトリカルネットは、4年でボロボロになりました。日光が当たらない所は問題ないので、ボロボロになった部分のみ取り替えました。 黒色のネットなら寿命が長いそうですが、残念ながら、当地のホームセンターには白色しか在庫がなく、取り寄せた場合、1巻(何mは不明)全部購入になるとの事で、今後4年に一度くらいは、定期的に交換するしかないようです。


 

3.5MHz ALC動作異常(RFフィードバック)に続く。

INDEXに戻る