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2012年7月 9日 (月)

アンテナチューナー(MTU)の自作

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

18MHz用スカイドアアンテナと7MHz用垂直ダイポールをベランダに設置し、ATUでオールバンド対応できるアンテナを、あえてMTUでトライするマルチバンドアンテナの実用記です。

L型アンテナチューナーは挿入ロスが少ない反面、コイルもコンデンサも可変でないと使いこなすのに苦労します。特にコイルの可変は高度の工作技術が必要ですので、手におえません。せいぜい、バリコンを自作して実現できそうなチューナー回路としてハイパス型Tタイプとローパス型π(パイ)タイプがあります。広範囲のインピーダンスに整合するには、Tタイプの整合回路が適しますが、整合状態での帯域幅が狭く、バリコンに高耐圧が要求されます。また、アンテナインピーダンスが50Ωより低い程、容量性リアクタンスが大きい程、ロスがπタイプより大きいという欠点があります。πタイプはTタイプと反対の特性を持ちますが、対応するインピーダンスの範囲が狭く、かつ、バリコンに要求される容量が比較的おおきくなり、バリコンを自作する場合ネックになりそうです。

Mtu0

色々検討して、7MHzでも100PFのバリコンがあれば整合可能で、ロスも5%くらいと思われるTタイプでMTUを試作することにしました。

バリコンはポリプロピレンシート(PPシート)を絶縁に使ったポリバリコンで110PFくらいの最大容量とAC4KV以上の耐圧を目標とします。
0.1mm厚のPPシートはDC4KVの耐圧がありますので、0.2mm厚のPPシートを使用します。DCで規定された耐圧を単純に√2で割ってもAC時の耐圧にはならないらしい。実測するしかないみたいです。 また、空間距離1mm当たり、インパルス2KVの耐圧ですから、最低3mmの空間距離や沿面距離があれば、AC4KVを超える事ができそうです。

JW CADでバリコンの部品図を作成し、実物大の大きさでプリントアウトした紙をアルミ板やPPシートに貼り付け、ハサミで切り取っていきます。

Pvcjw Pvc2

左がJW-CADで作成した紙型。 右は切り取ったPPシート。
PPシートセンターは8mmの「穴あけポンチ」と言われる工具できれいに抜きます。

これらの部品をプラスチックの板上に組み立てます。

Pvc3a

出来上がった部品をタッパーの中に組み込んで、28MHzで実験できる試作品をつくりました。

Img_2893 Img_2894

実際のアンテナやダミー負荷で、いとも簡単に整合できることを確認できましたので、いよいよ同様なMTUを各バンドごとに作り、これをリレーで切り替える、いわゆる、「プリセット型マニュアルアンテナチューナー」の製作開始です。

Pvcdrg 

カテゴリ<マルチバンドアンテナシステム>の「プリセット式MTU 1」 に続く。

MTUではなくATU(オートアンテナチューナー)の製作はこちらを参照ください。

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