« リミッターアンプ追加 | メイン | パワーアップ40W(E級プッシュプルパワーアンプ) »

2016年3月12日 (土)

LDG KT-100の改造(失敗)

カテゴリ<ATU LDG KT-100

今まで、移動する時はMTUを持参して手動でチューニングしていました。

ATU自作の前に検討し、使い物にならなかったので、物置行きとなっていたLDGのKT-100ですが、このATUのリレーはラッチタイプで、一度チューニングが成功すると、リレーに電流が流れないので、乾電池で動くトランシーバーでも使う事ができます。 そこで、このATUを引っ張りだし、改造して実用出来るようにする事にしました。

Kt100open

改めて、ダミー抵抗を接続し、7MHzでチューニングテストをしてみました。

50Ωのダミー抵抗ではSWR1.1以下に収束します。(当たり前)

100Ωの抵抗ではSWR1.5くらいで収束します。しかし、時々一度SWR1.5くらいで停止した後、すぐにSWR2くらいに跳ね上がり停止します。このとき、グリーンのLEDは点灯しません。

25Ωの抵抗ではSWR3くらいでチューニングし、SWR OKの印であるグリーンLEDが点灯します。外付けのSWR計を見ていると、時々SWR1.5以下になる事もありますが、そこで停止せず、SWRが4くらいまで上がってから停止します。

中を開けると、CM結合器の部分にREVとFWDという名前のテストポイントがありますので、ここに電圧計を接続して、ダミー抵抗を変えて電圧を計って見る事にしました。

Cmc_test1original

 

上の表はKT-100に送信機とダミー抵抗を接続して、通常の入出力関係で接続した「正接続」と送信機とアンテナの端子を反対にした時の「逆接続」時のCM結合器が検出したFWDとREFの電圧値と、その電圧値から計算したSWR値です。 正接続と逆接続時の電圧値が大きく異なるデータがありますが、出力の設定をアナログメーターでやっている為、正確に2Wや5Wになっていない為です。出力が異なる場合の目安として見て下さい。

50Ωのダミー抵抗の時は、素晴らしいバランスです。

100Ωのダミー抵抗の場合、2Wのときも5Wの時も少し甘く出ていますが、まあ、許せる範囲です。

25Ωのとき、最初デジタルテスターを疑いました。なんでREFがマイナスになるのか?デジタルテスターが2台有りましたので、確認しましたが、2台ともマイナスを示します。高周波が漏れて悪さしてるかも知れないと、アナログテスターを持ってきて測りましたが、マイナスはマイナスの電圧です。

このATUのSWR測定が甘く誤差が大きいのは、50Ω以下のインピーダンスの時に発生するのではないかと思います。 生産工程で、調整がずれている可能性もありましたので、25Ωのダミー抵抗でSWRが2くらいになるよう再調整して、再度データを取る事にしました。

 Cmc_test2readj_2

 

Kt100cmc_schema

50Ωのダミーの時のSWRは、まあまあです。25Ωで調整しましたから、25Ωの時のSWRも、こんなものでしょう。しかし、今度は100ΩのときにREFがマイナスになります。 REFがマイナスというSWRの定義は有りませんから、これは、SWR1.00と解釈されます。

左はKT-100に使われているCM結合器の配線図です。 ()内の定数は推定値です。 配線図で見る限り、バランスして方向性結合器を構成していますが、実際はバランスが非常にクリチカルのかも知れません。

Ldgcmc_coil_2

CM結合器のコイルの部分を良く観察すると、2重に巻かれたコイルの端末処理がかなりラフであることと、コイルが等間隔で巻かれていない所に、静電シールドのない芯線がコイルの中心から外れたところを貫通していますので、かなりバランスは崩れていると思われます。

過去何台もSWR計用のCM結合器を作ってきましたが、ファラデーシールドが無い場合、芯線の位置が変わると、ころころREF電圧最少ポイントが変化した記憶があります。 このセンタータップの電位を1個のトリマーでバランスさせるCM結合器は、その動作がかなりクリチカルになることから、日本製のATUやSWR計ではほとんど見かけません。

結局、ATUの品質を左右する一番重要なCM結合器が貧弱で、使い物にならないATUに仕上がっていると考えられます。

そこで、この内臓のCM結合器を止めて、日本製のSWR計に使われているCM結合器に付け替えてみる事にしました。

Cmc_test3_newcmc_2 

上の表は、日本製のSWR計に使用されていたCM結合器を仮接続して、同じようにSWRを測定したものです。 さすがに日本製CM結合器でも正接続と逆接続でSWRの違いがあり、今回のテストでは、逆接続の方がまともな数値を出しています。 そこで、逆接続の状態が正接続になるよう、入出力を入れ替えて、実際にATUの動作をさせてみました。

ところが、50Ωの時は問題なしですが、100Ωや25Ωの場合、SWR1.5以下に一瞬整合するのに、最後のリレー動作でSWR5以上になります。 何度やっても同じ事でした。

ここから推測ですが、CM結合器のバランスが傾斜しているので、マイコンソフトで最良値を求めても、最後に、補正として、LCの組み合わせを少しずらしているのではないかと思われます。 LDG製のATU全てがそうとは思いませんが、少なくともこのKT-100はそうとしか思えません。 なぜなら、実際のアンテナでは、ダミー抵抗ほど、おおきくSWRが狂うことはなく、なんとなくSWR3以下にはなります。ただし、半数以上のバンドでSWR2以上です。

CM結合器がおかしいなら、CM結合器を変更すればよかろうと思って始めた実験でしたが、いいかげんなCM結合器と、それをカバーする為のソフトウェアーの為、またしても、このATUはお蔵入りとなってしまいました。

LDG KT-100の改造(マイコン)に続く

INDEXに戻る