2012年11月13日 (火)

Z-Match(Zマッチ)アンテナチューナー

<カテゴリ:アンテナチューナー>

リレーを使わないオートアンテナチューナーを模索しておりましたら、バンド切り替えなしで1.8MHzから28MHzまでカバーできるアンテナチューナーの存在を知りました。 バンドSWが無いのなら、少なくともメカニカルSWが不要ということで、バリコンをモーターで回転させるだけで、HFを全てカバーするオートアンテナチューナーが実現できます。 「Z-Match」と呼ばれるこのチューナーについての実験記です。

「Z-Match」をGoogleで検索すると、いっぱい出てきました。

・1組のコイルで1.8MHzから28MHzまで、バンドSW無しでカバー。

・バリコンに2連タイプが必要になるけど、耐圧は半分で良い。

・構造が簡単で再現性が良い。

など、世界中のハムが実際に製作して使っているレポートが存在します。さすがに、1.8MHzはローディングコイルを追加する構造がほとんどでしたが、ここはリレーを1個追加してやれば済むことで、AH-4みたいなリレー式ATUでは実現出来ない、無段階調整が可能なATUの可能性を秘めています。 そんなに良いチューナーなら、すぐにでも作ってみようと実験を始めました。

Zmtch1 左がZマッチチューナーの基本回路です。1次コイルと2次コイルで構成される極普通の高周波コイルの1次側に500PFくらいの2連バリコンと300PFくらいのシングルバリコンを接続し、シングルバリコンから送信信号を送り2次コイルにアンテナをつなげばOKというしろものです。1次コイルの巻き数も、10数ターンと、逆に簡単すぎて驚く構造です。

本当に、ちゃんと整合するのか?作ってみることにしました。いい加減に作ったのにちゃんと1.8から28メガまで整合します。2連バリコンが曲者かもと、これをシングルバリコンに交換してみてもちゃんと動作します。2次コイルと1次コイルの結合構造が難しそうなので、2次コイルでなく、1次コイルにタップを立ててそこからアンテナに接続しても問題なし。

Z_mutch1 Z_mutch

実験中のZマッチアンテナチューナー

一応、動作確認は終えたので、かなりきつい負荷条件で、チューナー内にどれだけロスが発生するか調べてみました。送信機から1Wくらいの出力を加え、抵抗とリアクタンスを直列に接続したダミーアンテナをチューナーに接続しSWRが1.0になる様に調整します。次にチューナーの入力(50Ω)端でのRF電圧をオシロで測ります。また、ダミーアンテナの抵抗部分の両端電圧を測り、それぞれ電力計算したのち入力電力とダミー抵抗電力の差がチューナー内部でロスした電力とします。その結果を次の表(ロス比較 1)に示します。Zマッチのデータは実測値です。その他はシュミレーターによる計算値です。シュミレーターの計算と実際の数値はほぼ一致している事は別の検討で確認済みです。 Zマッチはチューナー内のロスが非常に大きい事が判りました。7MHzでもインピダンスが4.7Ωのアンテナの場合、45%がチューナーの中で消費されています。1.8MHzで4.7-j800の負荷の場合、実際の測定では、4.7Ω両端のRF電圧を見る事ができませんでした。さらにこの状態で、ダミーアンテナを取り去っても、SWRは1.0を示したままでした。これは、50Ωで捕らえた送信電力をきれいにチューナーの中で消費し、空中へは一切放射しません。反射電力も一切返しませんというダミー抵抗と同じです。 別の見かたをすれば、どのような負荷に対しても、見かけ上、整合できたように調整できると言うことですから、SWR計が1.0を指しているのに、電波は一切放射されないという事が起こりかねません。

色々と実験の結果、7MHz以上のバンドで使う場合、Tマッチ同様、使いやすさを天秤にかけたらコンパクトで簡単に使えるチューナーと思いますが、今回は160mや80mバンドがターゲットでしたので、採用は諦めました。

以下のZ-Matchのデータは、1次側14ターン、2次側4ターンのコイルで1次、2次間は絶縁状態で測定したもので、1.8MHzの場合、ローディングコイルを挿入しましたがインダクタンスがいくらだったのかデータが有りません。

Zmtch2

上の表の「ロス比較 2」は私が良く使う、クラニシのNT-636を実測した時のロス値です。クラニシ以外の数値はシュミレーションした値です。NT-636はTマッチ式ですから、シュミレーションで設定したコイルのQ=100より、NT-636のコイルのQは良いみたいです。 3.5MHzで2.5-j529というアンテナは接地抵抗が良好な 全長7mの垂直ホイップに相当します。カバーするインピーダンスの広いアンテナチューナーは総じてロスが多いのですね。πマッチは整合しませんでしたが、パイマッチの一方のバリコンを取り去るとLマッチになりますので、パイマッチ回路が持つ、浮遊容量を減らす必要がありそうです。

しかしながら、このようにデータを取り始めると、アンテナチューナーは使わずに済むものならそれに越した事は無いという事が良くわかります。また、例え、使うにしても、Lマッチで使う連続可変インダクタが欲しくなります。

2024年8月追記

その後、160mのアンテナをいくつか実験しましたが、この比較表で確認したアンテナのインピーダンスの抵抗分は全てMMANAでの計算値であり、実際のアンテナではありえない数値である事が判りました。 1.8MHzで実際に実測したアンテナインピーダンスの抵抗値の最小値は12.5Ωでした。 原因はローディングコイルによる高周波抵抗の増加と、接地抵抗はゼロにはならない事のようです。 この抵抗値は他のOMもWEB上で15Ω以下になる事はないと述べていますので、実際のアンテナでは比較表のような結果にはならない事を追記して置きます。 

Z-Matchのアンテナチューナーのもう一つの課題が高耐圧の2連バリコンの入手ですが、最近、3Dプリンターの市場が広がり、これに使われる、ステッピングモーターやタイミングベルト、タイミングプーリーが簡単に入手出来るようになりました。 これらを利用して、2個のバリコンをタイミングベルトをかけて同期して動かす事ができそうです。 このヒントをベースにコメットのMTUに使われていた高耐圧のバリコンを4個入手し、連続可変のインダクターが不要のこのZ-MatchアンテナチューナーのATU化に再度挑戦すべくトライ中です。

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プリセット式MTU 4

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

プリセット式MTUをフルに使用して1年以上経過しました。この間に行われたDX、国内コンテストに参加して、それなりの成果が得られていますので、シンプル構成のアンテナシステムにしては、上出来と思っています。

Mtu111年以上も経過すると、色々とトラブルも発生します。 24MHzに使われているポリバリコンのPPシートが熔けて、アルミ板にくっついている事があります。運用上は特に問題はないのですが、何が原因か判りません。中国製A4サイズ20枚で100円のPPシートの品質なのか?

21MHzをアナライザーでSWR1.0に調整した後、実際に100Wで送信すると、SWRが2を超える時があります。この状態で、再度アナライザーでチェックすると、SWR2を超えています。絶縁破壊が起こった時の症状です。21MHzのPVCのPPシートを見ると、ごみがついたように汚くなっています。分解して調べると、ごみではなく、表面がすりガラス状に解けているものでした。 やはり、PPシートの品質の問題みたいです。

ホームセンターからブランド名が通った赤色のPPシートを買ってきてハイバンド側全部を交換して様子を見ることにしました。  途中で赤色のPPシートを使い切りましたので、趣きを変える為、黄色のPPシートに変えてみました。絶縁性能は赤も黄色も差はありませんが、黄色のPPシートは透明度が悪く、ポリバリコンのローターの羽をそろえるのに苦労します。 黄色を使い終わったら、また赤色に戻す予定です。  最初の中国製PPシートより、20倍くらいの価格のこのPPシート(アクリサンデー PPクラフトシート PF-12、三菱レーヨン製)は、とりあえず問題なしで使えそうです。

 ポリバリコンはローターとステーターの隙間管理はラフで良いのですが、一度絶縁破壊が起こると、絶縁材を交換するしか対応方法はありません。エアバリコンのように、絶縁破壊が起こっても、パワーを少し下げればすぐに使える便利さは有りません。


3.5MHzをTタイプで作成して、耐圧問題でπに変更しましたが、この時の絶縁破壊も安物のPPシートが原因だったのかも知れません。ただし、チューナー内部ロスはT型が大ですので、π型にしたのは正解でした。

Mtu12m_2 各MTUのコイルに使われているボビンは黒色のABS製です。黒色はカーボンで着色されているから、高周波では損失が増えそうだという話を聞き、透明アクリル製のボビンに交換してみることにしました。 たちまち、気が付くような効果は見られませんが、少し時間をかけて観察することにします。

アンテナのメンテナンスの為に何度も倒したり、立てたりする内に、ループと垂直ダイポールの支柱を兼用している鉄製のパイプが弓なりに曲がってしまい、見苦しくなったことと、この曲がりの癖の為にやや強い風でアンテナの向きが変ってしまうという問題が出てきました。アンテナチューナーの課題は収束しつつありますので、唯一不満のアンテナの帯域幅を改善したく、全面的に立て替えることにしました。と言っても、垂直ダイポールとワンエレループの構造は変えません。

Newskydoor 支柱の材料を10m長のグラスファイバー製ポールに変更した上で、細での釣竿を継ぎ足して11m長に変えることと、ループの横幅を2mから3mに変更して帯域幅を現行の1.5倍以上に広げることです。 横幅を広げた結果、縦横比が1.7くらいにしかなりませんので、もうスカイドアとは言えないかも知れませんね。 また、ローバンド用の垂直ダイポールは、線材を3.5mmSQのKIV線に変更し、上部エレメントの最高部は18mまで上げ、下部エレメントは、最下部で1mを折り返しています。 

当初、ループの線材も3.5SQのKIV線で作ったのですが、重くて、釣竿がピンと支えてくれません。やむなく、ループだけは2mmのアルミ線としました。

この変更工事が完了した時点で、MTUは全部再調整となりましたが、初期の頃あった経時変化も収まっていましたので、バリコンの角度調整だけで20mバンド以外は整合できました。 20mバンドは、リアクタンスの変化が大きかった為、コイルを含めて変更となりました。

プリセット式MTUが成功する前提として、同調フィーダー(又の名をハシゴフィーダー)の存在が欠かせません。ひとつのエレメントをマルチバンドで使用するとき、同調フィーダーというのは、とても便利なものであることが判りましたが、今までの試行錯誤の経過から、同調フィーダーはあくまでもアンテナの一部であると言う事を肝に命じる事になりました。
同調フィーダーは自由空間に置かないといけない。金属材料と平行したり、鴨居をくぐったり、天井裏を走ったり、ベランダの柵に束ねたりしたら駄目なんです。

同調フィーダーのセパレーターとして使っているトリカルネットは、4年でボロボロになりました。日光が当たらない所は問題ないので、ボロボロになった部分のみ取り替えました。 黒色のネットなら寿命が長いそうですが、残念ながら、当地のホームセンターには白色しか在庫がなく、取り寄せた場合、1巻(何mは不明)全部購入になるとの事で、今後4年に一度くらいは、定期的に交換するしかないようです。


 

3.5MHz ALC動作異常(RFフィードバック)に続く。

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TS-930 腐ったスルーホール(表示トラブル)

<カテゴリ:TS-930>

TS-930の故障で、その頻度がかなり多いのが、デジタル基板です。 VFDの表示やキー操作の異常が発生したら、大抵の原因は、このデジタル基板にあります。しかも、その異常の原因は両面基板の裏表の銅箔パターンを接続するスルーホールと言われる、両面をつなぐジャンパーみたいのものですが、これが、経時変化と熱で時々断線するというものです。現在のスルーホール技術はこのような問題は解決済みですが、このモデルが発売された時代での民生機用両面基板のスルーホール技術は未熟で、10年もすると、あっちこっちで問題が多発しました。

VFD(蛍光表示管)の表示がおかしいとか、操作に同期して異常な音がするとか、全く表示しないとか、キー操作して異常が認められる様な場合、真っ先に、このデジタル基板を疑った方が、修理が早く済むというものです。しかも、個々の部品不良は一切なく、基板を再ハンダするだけで直ってしまいます。

この、スルーホールが原因による故障は、世界中の修理者の間では既知であり、KENWOODは、どこのスルーホールが非道通になったら、どんな症状が発生すると、書かれたサービス資料を配布していました。

「TS-930S Digital Unit through-plated hole defects and their symptoms」で検索すると見つかるでしょう。

Ts930digitalpcb ところが、私が修理した3件のVFD表示異常は、いずれも、このリストに記載されていない箇所のスルーホールが原因でした。特に、交信中に発生する異常は困りもので、この異常の為に、交信が中断し、尻切れQSOで終わったのも数回。

修理しようと、電源を入れたり切ったりしている内に症状が出なくなり、万事休す。

とうとう我慢できなくなり、サービスマニュアルの基板図から調べつくした、全てのスルーホールをジャンパー線でショートしてやりました。     

この対策をして、すでに2年経過してますが、表示に関する故障は皆無になりました。  このブログで、パワーアンプのスルーホール対策を紹介していますが、それより2年前の出来事です。

4年目で問題が再発しました。ただし、今回はスルーホールではなく、コネクターの接触不良でした。デジタル基板につながるコネクターを全て抜き、オス、メス両方を接点復活剤で清掃しました。 すでに半年経過しましたが安定しています。

930th2 2013年4月に、電源ONして5分もしない内に表示が出なくなるというTS-930Sが持ち込まれました。調べると、ON後、2分くらいで表示が全部消えます。36.1MHzは異常なし。ダイヤルを回すと、表示が復帰します。この症状はKENWOODのサービス資料の中に出てきます。原因はスルーホール不良です。症状から問題のスルーホールはすぐに特定でき、対策完了しましたが、このまま持ち主に返しても、また別の問題で舞い戻ってくる事は、目に見えていますので、今回も全スルーホールをショートしてやりました。多分これで、スルーホールが原因の故障は皆無になることでしょう。

デジタル基板の不良でもVFDが全く表示しないという症状が発生しますが、この一切VFD表示せずの原因で最も多いのはPLLアンロックです。さらにPLLアンロックの原因で一番多いのが36.1MHzの局発停止です。

Ts930back2 特に、長い間、放置してあったTS-930を通電したときレベルメーターのバックライトはつくけど、VFDに何も表示されない。当然受信も出来ないという症状に遭遇しましたら、まず最初にこの局発停止を疑って下さい。36.1MHzのキャリアが発振停止しているかいないかは、オシロがあったらすぐに判ります。無い場合でもセットのフロントパネルを手前にして裏返したら、左手前に配置されているL77のコアを割らないようにしてグリグリと回してみてください。表示が戻り受信できるようになる事が多いですよ。 コアを割らない為に、私は、いつもツマヨウジをマイナスドライバーの先端の形状になるようにナイフで削ってから使用しています。

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2012年10月29日 (月)

ケンプロ KR-400RCの修理

<カテゴリ:ローテーター>

現用中のアンテナは、ブロードな8の字の指向性を持ったスカイドアとかヘンテナであり、アンテナは必要に応じて、手で回転させていましたが、夜中に方向を変えたいときなど不便でしたので、頂き物のローテーターでこれを回転させることにしました。 

Krp400c  ローテーターは KR-400RCというケンプロ製のモデルですが、300度付近を向くように操作すると、コントローラーの針がストッパー位置まで移動し、ロックしてしまうという症状がありました。270度くらいまで戻してやると正常に動作します。 原因を調べると、ローテーター側に内臓されている可変抵抗器がガリオームになっており、300度付近の回転角度では、抵抗がときどき無限大になります。抵抗が無限大になると、コントローラーは回転角不足と判断して、ストッパー位置まで指針が回転します。しかし、指針はそれ以上回りませんので、モーターがロックされてしまいます。 たまにガリオームが無い位置に止まると、正常な位置で指針が止まるという症状です。

Krp400v ローテーターから取り外した可変抵抗器の捺印からメーカーを割り出し、インターネットで調べても、通販はしていないようです。仕方なく、似たような形状をした物を探し出し、注文しました。

物が届いて取り付けようとするとシャフトが短くてギアが止められません。再度シャフトの長いものを探して注文。今度はうまくいきました。結局送料を含めると4倍以上の高い部品になってしまいました。

コントロールケーブルは20mくらい必要です。手元に5mくらいのLANケーブルが有り、AWG24のより線が8本入っています。5m長のDC抵抗を実測し、20mになっても0.1Ω以下に収まりそうです。 3本の動力ラインはこのより線を2本パラにして6本使用し、2本の制御線は各1本でまかなえる事がわかりましたので、8本の芯線の構成はちょうど具合がよさそうです。 近くのホームセンターでも買えますが、その半額で売り出されている20mのLANケーブルをインターネットで見つけこれを注文しました。ケーブルが届いてコネクター加工を始めると、このケーブル、いやに細く、かつ導体に半田が付きません。どうやらアルミ線らしい。案の定、コントローラーとローテーターを接続しても、回転せず。電圧降下が大きくてモーター電圧が不足し、回転しないという症状です。 ケーブルの表面にはAWG24と印刷してあります。うそだろう! AWG規格は導体の断面積を決めるもので、AWG24とは、0.2SQ相当で、直径約0.5mmの銅線の断面積に相当します。このケーブルは直径0.2mmくらいのアルミ線が4本(0.125SQ)。 結局、このケーブルもローテーター用として販売されている正規品を再手配することに。

しばらく使用していましたら、今度はコントローラー側の可変抵抗器がガリオームになってしまいました。症状は、コントローラーの指針がいったりきたりして、なかなか止まらないといものです。 結局、コントローラー内の可変抵抗器も新品に交換しました。

KR-400RCの配線図をダウンロード

ローテーターの修理という技術的な部分は実に簡単なことですが、ローテーターに限らず、トランシーバーの修理の為の部品手配も、失敗は数多く、これが、修理完了までの期間を長引かせると共に、宅配業者の上お得意様になってしまいました。

地方に住んでいるのでしょうが無いですかね。

2014年9月

ローテーターを半時計方向に回すと、コントローラーの指針の動きが、シャクトリ状態で動いていました。 しかし、最近この現象がひどくなりましたので、改善できないものかとトライしました。  現物と配線図を見ながら考察していると、この回路はローテーターとコントローラー間のケーブル本数を1本ケチッタ為に、回路的にかなり無理をしている事が判りました。 ローテーター側の可変抵抗器を2本の線でしか結んでいない為、抵抗値が変化すると、当然電流も変化し、これがブリッジのバランスをくずしてしまいます。 この対策の為、Q5,Q6を使い、ブリッジ内の電流に負帰還をかけ、抵抗値が変わってもバランスが崩れないようにしています。 ところが、詳細を調べると、このQ6が可変抵抗の値に関係なく、いつも完全ONの状態で、この為、Q5はいつも完全OFF状態にあり、R16の電流は常に0となっていました。

これは、この負帰還回路が動作していない事にほかなりません。 何か間違いがありそうと、抵抗の値をチェックすると、R19が4.7Kとなっていました。配線図では33Kですから7倍近い差があります。 試に、手元にあった36Kに交換しましたら、シャクトリ現象がかなり改善されました。 この抵抗を56Kにすると、指針が半時計方向に回りだし、止まらなくなります。 47Kにすると、正常動作します。 相手がトランジスターですので、温度変化による影響などを考慮し、33KΩくらいが一番よさそうですが、あいにく手持ちが有りませんので36Kとしました。 

これらの検討中に配線図と実際の抵抗値がかなり違っている箇所の有る事もわかりました。 R1,R2は配線図は220Ωですが実際は120Ωです。配線図の通り220Ωに変更すると、温度が下がると指針モーターが起動しなくなりますので、これはまた、120Ωに戻しました。

結果的にはR19の抵抗が不適切だったのが原因ですが、元から4.7Kだったのか、誰かが修理したとき間違ったのか不明のままです。

2017年8月

とうとう、アンテナの方向とアジマスメーターの指示が一致しなくなりました。 このままでは不便ですので、回路を丸ごと入れ替える事にしました。 改造内容はこちらを参照下さい。

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2012年10月21日 (日)

7MHz用逆Vアンテナ(国内用)

<カテゴリ:アンテナ>

7メガ用逆Vアンテナと垂直ダイポールを比較しました。使用する目的により優越が異なります。両方設置したほうが良いという話です。

高さが十分に取れない為、下側のエレメントは折り返して設置した、かなりいい加減な7MHz用垂直ダイポールですが、給電方式を最適化するにつれ、打ち上げ角が下がり、国内QSOが非常にやりにくいアンテナになっていきました。と言って、すでに、7MHzで82、10MHzで100エンティティーもwork済みのこのアンテナを、元の状態に戻す気はありませんので、国内QSO用に打ち上げ角の高いアンテナが欲しくなってきました。 私の家は狭い敷地で7メガ用の水平ダイポールすら張れないところです。 そんな環境で給電点の高さが屋根より低く、家の壁に近接平行した逆Vアンテナなら、常設しない限り設置できそうです。MMANAでシュミレーションしながら、寸法を決め、国内コンテストのときだけ仮設する逆Vアンテナを使ってみました。

給電点の高さは7m。左右のエレメントは一方が8m、もう片方が12mのオフセット給電の逆Vで、両端は高さ1.8mくらいまで下ろしています。 長さがラフなのは、給電点のすぐ近くにMTUがあるので、適当で良いのです。

Mmanavdp_2 Mmanainv_2

左が垂直ダイポール、右は逆Vの垂直面指向性シュミレーションデータです。

MMANAによるシュミレーションでは、 真上方向のゲインは、 垂直ダイポールが-12.5dBiで有るのに対して、逆Vは+5.3dBiとなりその差は18dB近くも有ります。 両方のアンテナをスイッチで切り替え比較すると、4エリアや5エリアの局はTS-850のSメーターで最大で20dBくらいの差がついて逆Vが有利です。1エリアはどちらに切り替えてもあまり変らず、7エリア以遠は垂直ダイポールが有利というシュミレーション通りの結果が得られます。ただし、近隣以遠の局では、コンディションにより状態が逆転することもあります。  また、逆Vによる受信信号は、垂直ダイポールよりS/Nが良く、昔から、垂直系はノイズが多いと言われる通りに聞こえます。  これは、打ち上げ角に関係しているのでしょう。   昔、衛星通信を行ったとき、衛星が天頂になるほど、ノイズが減ったのを思い出しました。

送信もこの受信の差と同等の差があるようで、パイルを受けている4エリアや5エリアの局を垂直ダイポールで呼ぶと、パイルも終わってCQを出していた事もありましたが、逆Vで呼ぶと、一発で応答があり、その差は歴然です。

Ex40l

このフルサイズの逆Vのインピーダンス整合の為、TタイプのMTUを使っていますが、Tタイプの一方のバリコンは890PFの固定コンデンサにして、限りなくL型に近くなるようにしました。TLWによるシュミレーションではMTU内のロスが1%以下に収まっています。

アンテナは通常、いかに打ち上げ角を下げるかがひとつのポイントになりますが、事、国内QSOに限れば、いかに打ち上げ角を高くして、かつゲインを高くするかが勝負となります。アンテナは高ければ高いほど良いという説は国内QSOには通用しませんでした。MMANAでシュミレーションすると、地上高をどんどん低くするに従い、真上へのゲインはどんどん上がっていきます。地上高1mでゲインは10dBiを越えます。しかし、同時にインピーダンスもどんどん下がっていきます。インピーダンスが下がると、整合回路や、エレメント自身によるロスも増えますので、どこかに最適地上高がありそうです。どうも1/8λ付近の高さが一番良さそうだというのはシュミレーションで判りましたが、実際に1/8λの高さに張ったダイポールは、それほどの効果は出してくれませんでした。(隣の空き地に臨時に仮設したもので、実験終了後撤去) 地面の電気的特性や周囲の建物などが影響してシュミレーション通りにはいかないみたいです。 こういう事が判ってくると、また、次のコンテストまでに、なにがしか改良出来ないかと、課題が出てきました。 同時に垂直系アンテナは、国内QSO向けではないという事もはっきりしました。未交信のJCCやJCGは中国、四国地方に集中しているのがアンテナの特性を物語っています。

良く、初心者向けに、マルチバンド対応GPなどの宣伝を見かけますが、少なくとも垂直に設置したGPは国内QSOには向かず、例え同じ短縮率でも、地上高の低い水平系のアンテナの方が国内QSOは楽しめそうです。小型マルチバンドGPでDX QSOも出来ますよ!と言うのは間違いで、DX QSOしか出来ませんョ、と言うのが正しいのかも知れません。 しかし、アンテナの短縮率以上に効率がダウンし、DXも聞こえないというのが実態ですが。

この逆Vは、もっぱら、国内コンテストだけに使用しておりますが、沖縄から北海道までの距離なら、これ1本でも十分ですね。 ただし、常設しない条件で、設置していますので、コンテストの始まる前に展開し、終わったら、さっさと片付けしまいます。設営に10分、撤去は15分です。

比較しました、垂直ダイポールについては、カテゴリ「マルチバンドアンテナシステム」の中で紹介しています。

コンテストに使う臨時逆Vは、7MHzだけでなく、3.5MHz用も用意しています。   このフルサイズ逆Vも、片方が12m、もう一方が27mのオフセット給電で、給電点の高さは7mしかありませんが、7MHz用垂直ダイポールを、アンテナチューナーで強制同調させた時と、臨時逆Vとの真上方向のゲイン差は、MMANAとTLWのシュミレーションによると約26dBの差があります。実際にTS-930SのSメーターで確認すると、国内の信号は30dBくらいのレベル差がついて逆Vが有利です。 しかし、逆Vでは、DX信号は全く聞こえません。 

Ex80l 

このフルサイズ逆Vにも上のようなパイ型MTUを使用しています。このMTUも限りなくL型に近づけましたので、MTUの内部ロスは1.2%以下です。

一方、7MHz用垂直ダイポールをMTUで3.5MHzに強制同調させた場合、最近、DX信号が聞こえるようになりました。そして、初めてヨーロッパとも交信できました。 他のバンド用の同軸ケーブルやMTU、ローテーターのコントロールケーブルを整理した結果、3.5MHzの打ち上げ角が下がったみたいです。 しかし、まだシュミレーション通りの打ち上げ角にならない原因がありそうです。

アンテナから垂直に引き下ろした、同軸ケーブルは地中を通ってリグにつながるというのが理想のようですね。  しかし私のアンテナは地上高8m付近を水平に伸びていますので、せっせとコモンモードフィルターを追加するくらいが唯一の改善策です。 その介もあってか、垂直ダイポールによるDXCCのエンティティは

3.5MHzで34、 7MHzで94、 10MHzで108

まで増えました。(2017年12月)

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国内QSOを存分に楽しみたいなら、最大地上高7mくらいの逆Vが一番というのが私の結論です。 2016年になってから、7MHzのAMを始めましたが、出力18WのAM送信機で運用する時は、朝から臨時逆Vを仮設して楽しんでいます。 AMの周波数は夜になると、放送局の側波帯による混信で使えなくなりますので、夕方には逆Vを撤去しています。

 

2020年9月

国内交信用として、ツェップアンテナを作りました。 このアンテナは架設がダイポールより楽ですがアンテナチューナーで好きなバンドに出る事は出来ません。

 

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2012年10月12日 (金)

AA-170 インピーダンス指示不良

<カテゴリ:アンテナアナライザー>

コメットのアンテナアナライザーAA-170にて、50Ωのダミー抵抗を接続しても35Ωくらいしか指示しないという故障品の修理を頼まれました。

また、検波ダイオードの不良だろうと、簡単に考え、インピーダンス検出用のダイオードをテスターで当たると、逆方向の抵抗が正常なダイオードの1/10くらいしかありませんでしたので、手持ちの1SS108に交換して、一件落着と思いきや、HFはOKになりましたが、バンドEやFの症状が改善しません。

簡単に直るだろうと思って軽く引き受けた修理でしたが、さあ、困りました。

物置から、借用中のタケダ理研の重さ30kgもありそうな古いスペアナを引っ張りだし、AA-170のアンテナ端子とスペアナの入力を同軸ケーブルで直結してみました。  以前チェックした、まともなAA-170はバンドFで-1.5dBmくらいを指していましたが、今回は-6dBmくらいです。一応インピーダンス表示が正常になったバンドAでは-2dBmくらいの表示となっています。

この出力は半固定抵抗で調整できるようになっておりますが、半固定抵抗を回しても、これ以上出力は上がらないという状態です。

このアナライザーは+5V、+12V、-12Vの3系統の電源ラインを持ちますが、いずれも正常。

発振段からバッファを経由してブリッジ回路に出力するFETやトランジスタのDC電圧をチェックしても異常は見られません。ただし、異常が無いだけで、チェックした電圧が正しいのかどうかは判りません。手元に動作異常なしのAA-170があればすぐに比較できますが、あいにくこの故障した1台しかありません。

色々調べていくにつれ、発振回路そのものの、レベルが不足しているようにしか思えません。 手がかりは、バンドFの時の、Q1,Q2のソース直流電圧がかなり低く、すでに電源電圧フルスイングで動作している事でした。

発振段のFET Q1,Q2は2SK241GR。幸い手持ちがありましたので2個とも交換しましたら、出力レベルが大幅にアップ。50Ωダミー接続時100Ωくらいを指示するようになりました。

これで多分直ったと思いますが、検討している間に半固定抵抗をいじってしまいましたので、ちゃんと調整作業をしておかねばなりません。

調整の仕方は以下です。(コメットに教えてもらった訳ではありません。自我流です)

調整はOSC基板上と電源基板上の半固定抵抗を調整しますが、REF No.が重複していますので、間違わないように。バンドSWはCとして14MHz付近に周波数を設定して、かつ50Ωのダミー抵抗を接続しておきます。

  1. インピーダンスメーターが最大に振れるように、電源基板のVR1を回しきります。
  2. OSC基板のVR2を目視でほぼセンターにします。(これは発振出力の微調整用)
  3. メーター指示が70Ωを指すようにOSC基板のVR1を調整します。(100Ωに調整するという説もあるが、あまり変らなかった)
  4. 電源基板のVR1を調整してメーター指示が50Ωになるようにします。

Aa170pcb1

バンドSWをAからFまで切り替え、どのバンドでもほぼ50Ωを指示するようになりました。

故障の原因はFETの劣化でした。通常、FETの劣化という現象は製品寿命に比べて頻度が低いのですが、それはメーカーが保障する動作環境の中だけの話。2SK241はVdsが10Vで色々な特性を規定し管理されていますが、AA-170は2Vくらいで使っています。2VのVdsはFETのメーカーにとっては管理範囲外でしょうから、FETの劣化という現象が生じたものと思われます。  後日、東芝の他の品種のFETデータシートを読んでいると、劣化すると書いてありました。

50Ωのダミー抵抗を接続しても、インピーダンスメーターの指示が50Ωにならない。不足するという症状で検波ダイオード以外の原因の一例として紹介しました。

なお、調整用半固定抵抗でオフセット用とかSWR用というのがありますが、今回は全く動かしませんでした。

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2012年10月 2日 (火)

SX-200 SWRメーター修理

<カテゴリ:SWR計>

SX-200のメーター指示がおかしいという事をブログで紹介した以上、おかしい原因を調べて、名誉回復をしておかねばなりません。

Sx200diodevr 内部をチェックした結果、REF側検波ダイオードの逆方向インピーダンスがかなり低下していました。SWRが通常より良く表示されたり、電圧対電流の関係が正常値とは異なる状態になっている事の原因でした。 1年以上6mのアンテナとFT-450のアンテナ端子の間につなぎぱなしでしたので、静電気で劣化したものと思われます。

正規品はチップタイプのショットキーダイオードですが、品番は判らないので、手持ちのダイオードで代用する事にしました。ジャンク箱をひっくり返したらリード線を短く切ったショットキーダ イオードが見つかりました、テスターでVFをチェックすると0.15V。 1N60を同じテスターでテストすると0.23V。 テスターの電流は0.4mAですから、見つかったショットキーダイオードはかなり優れもののようです。 このSWRメーターに使われていたダイオードのVFを確認していなかったことが悔やまれます。

ちょうど「ローデ・シュワルツ」の通過型電力計を別の目的で借用中でしたので、これで校正することにしました。この通過型電力計の周波数帯は25MHzから1GHzとなっていましたので、校正はTS-850Sから28MHzのキャリアーを出して行いました。

5W、20W、100Wの出力で各半固定抵抗を調整して、目盛りに合わせこみましたが、50W、10Wや、5W以下1Wまでの目盛り合致度はおおむね誤差10%以内に収まっていました。  多分、正規のダイオードなら5%以内に収まると思われます。

Sx200cal

この状態で30Ωの抵抗負荷をつなぐと、SWRは

  • 1W出力時  1.4 
  • 5W出力時  1.7
  • 10W出力時 1.7
  • 50W出力時 1.7

の表示となりました。本来のSWR値は1.67ですから5W以上では正常になりました。

SWR測定時のCALは1Wでも十分フルスケールを振りますので、1Wでも誤差の少ない指示が出来るように改善して欲しいですね。 KWレンジが付いたメーターで10Wでもまともに測れないSWR計よりはましですが。

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2012年9月23日 (日)

TS-930 受信感度小

<カテゴリ:TS-930>

長い時間放置していたTS-930に久しぶりに電源を入れると受信感度が大幅に低下している場合があります。過去の修理事例をまとめて紹介します。

1.アンテナなし時のノイズも受信信号も非常に小さい。Sメーターもほとんど振れない。

電解コンデンサが劣化し、各回路が正常に動作していないもの。 通電を3時間くらい続けると自然に治ってきます。20年以上通電しなかったら、この症状がまず発生します。

2.アンテナを接続していない時のノイズは正常のようだけど、受信感度が悪い。Sメーターの振れも正常時の半分以下。

メカニカルスイッチの接点接触不良。

930rx1 アンテナ端子から入力された信号はふたつのメカニカルSWを通った後、BPF回路に接続されます。ひとつは受信用アンテナの切り替えSW。もうひとつはトランスバーターなどを接続したとき、アンテナ系の切り替えの為に設けられたSWです。いずれもスライドSWですが、このSWの接触不良が結構多く発生していました。SWの端子をピンセットなどでショートすると、受信感度が大幅に改善しますので、すぐに判断できます。SWをカチカチと何度も切り替えると良くなる事もありますが、完全ではありません。接点復活剤を注入して何度かSWを切り替えると直ります。  このようにして修理して3年以上経過していますが、問題の再発はありません。

Kure_splay_3

接点復活剤として、最近、あるOMさんから紹介していただいたスプレーを紹介します。 左の「KURE」印のスプレーです。 従来品よりベトツキが無く、他の部品への悪影響もかなり少ないようです。 基板の清掃にも使えると言うことから、64QFPのマイコンをはぎ取り、フラックスだらけの基板に吹きかけて、布でふき取るとフラックスを含めて除去でき、簡単に基板がきれいになります。 新しいマイコンをハンダ付けする時など、重宝しております。 サイズも2種類あり、価格もリーズナブルです。 多分、近くのホームセンターで手に入る事でしょう。

(2015年9月追記)

BPF回路のスイッチングダイオードの劣化。

各BPFをバンドSWにより切り替えますが、この切り替えはBPFの入力と出力に設けられたダイオードスイッチで行っています。このダイオードが劣化すると、感度ダウンやイメージ妨害排除能力のダウンが起こります。感度のダウンは聞いていたら判りますが、イメージ妨害排除能力のダウンは、単純に聞いていても判りません。受信感度をチェックしようと思い立ったときは、このスイッチングダイオードのチェックをお勧めします。私のチェックでは4台の修理品のうち2台に劣化したダイオードが有りました。海外の修理情報では、かなり頻繁に発生しているみたいです。

930rx2 感度がダウンしている場合、全バンドだったり、特定のバンドだったりします。感度が足りないと思われるときは、RFプリアンプ入力に、アンテナ信号を直接加えてみると判ります。左の写真に示すようにアンテナ入力線のコネクターとRFプリアンプの入力線のコネクターを基板から抜き取り、このふたつをお互いに接続すると、受信感度が大幅に改善する場合、ダイオードが劣化している可能性があります。 ただし、このテストの場合、BPFを通りませんのでダイオードが正常でも感度が少し良くなります。ほんとうに原因がダイオードであるかは、ダイオードをチェックしなければ判りません。

電源OFF状態で、すべてのダイオードの導通テストをします。BPFの周囲にあるダイオード全てを当たれば安心です。順方向の抵抗分が大きくなっている場合、そのバンドで感度小が発生します。逆方向の抵抗分が小さくなっていたり、ショートしている場合、イメージ妨害排除能力が著しく低下していると思われます。対象となるダイオードはD15からD35までです。

ダイオードの不良を発見したら、交換することになりますが、正規のダイオードは多分入手できないでしょうから、代替品としてロームの1SS133をお勧めします。このダイオードは名前はショットキーダイオードですが、VFが一般のシリコンダイオードとほぼ同じ0.6Vくらです。ロームのデータシートでは汎用品で高周波用とは書いてありませんが、構造がショットキーダイオードであることから、実際の接合容量値は0.8PFくらいしかありません。 値段も安いですから、大量に買い込んで色々なところで使用しています。日立の1S2076Aか東芝の1S1555Vかで市場が2分されていた時代にロームが殴りこみをかけてきたダイオードですねェ。

(参考:表面実装の場合1SS400がお勧め。)

ダイオードのチェックや交換が終わりましたら、次は全局発の周波数を正確に合わせなおします。 周波数の詳細はサービスマニュアルに記載されています。日本語のサービスマニュアルはWEB上で見つける事はできませんでした。英語版なら見つける事ができます。

「Welcome to the Kenwood Hybrid File page of N6WK」で検索すると、色々な資料をダウンロードできるページを見つけられるでしょう。 

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2014年5月追記

メイン機として使用中のTS930Sの受信感度がかなり低下しているようで、先日のWPXコンテストでも、SメーターがS9以上振れるのは野呂山山頂からの信号のみで、全てのDX局がS7以下でした。サイクル24も下り坂だからと諦めていましたが、どうもリグの故障みたいです。サブ機のTS850SでS5で聞こえる信号が930ではS1以下です。

ダイオードが壊れたのかとチェックすると、案の定、D22の逆方向インピーダンスが300Ωくらいしかありません。D22は14-18MHz用のダイオードですから、21メガ受信時、イメージ妨害排除能力はかなりダウンしていた模様ですが、これを1SS133に交換した後も、受信感度は、Sひとつくらいは改善したものの、TS850Sにはまだ及びません。 BPFとIF回路のトランスの同調ポイントがずれている可能性もありましたので、サービスマニュアルを頼りにこれらのコイルを再調整することにしました。

SSGが有りませんので、14MHz付近の周波数にセットしたアンテナアナライザーと急きょこの為に手作りしたATTをアンテナ端子との間に入れ、かつ930のATTを30dBに設定すると、SメーターがS7くらい振れています。この状態で、IFトランスのT3,T4,T5,L125,L126,L127のコアを回してSメーターが最大に振れるように調整した結果、SメーターはS9+10dBくらいまで振れるようになりました。

930rx1

930rf_2

次に、周波数を29MHz付近にして、Sメーター最大になるようL43を調整。周波数を21MHz付近にしてL45を調整、最後に周波数を25MHz付近にしてL44を調整しSメーターが最大に振れるようにしました。この状態でSメーターはS9+20dBまで振れるようになりました。  BPF回路の調整はスィープジュネレーターを使い、バンド全体がフラットになるように調整するのが正しいやり方ですが、私の場合、21MHz、24MHz、28MHzの各ハムバンドで感度最高になれば、ハムバンド以外はどうでも良いので、スィープジュネレーターが無くても問題ありません。

なお、プリント基板に印刷されているシルクプリントの間違いが結構あります。D32とD33は逆ですね。

この再調整で、比較したTS850Sより感度は良くなりました。 結局、オリジナル状態より30dBくらい感度ダウンが起きていたようです。  

今回、コメットのアンテナアナライザーCAA-500をSSG代わりに使いましたが、周波数はかなり安定しており、通電後30分以上たつと、受信時のビート音の変化は感じられなくなりました。受信機の調整は、この周波数安定度と、いかにして弱い振幅一定の信号を作るかにかかっております。 CAA-500のアンテナコネクター部分の出力レベルは全バンドでほぼ一定で約-2dBmくらいです。 これとATTがあればSSGの代用ができます。このTS-930Sは受信感度の劣化が定期的におこりますので、-20dBから-90dBくらいを連続可変できるATTを作ってしまいました。ジャンク箱の中にあった部品だけで作りましたので、ATTの絶対値は判りませんせんが、受信機能の調整道具としては、28MHz帯まで十分実用になります。

930att

 

930attschema_2

 

 

 

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2012年9月11日 (火)

TS-850S 28MHz 100WのTSS保障認定

<カテゴリ:TS-850>

古いTS-850Sを頂きましたので、修理して、使えるようになった事からこれを現行モデルとして工事設計書に追加申請することにしました。TSSに申請したところ、「28MHz帯は50W出力のはず。100Wにする為の具体的改造内容を説明しなさい」とコメントが付きました。

Img_0873tところが、私のTS-850Sはメーカー出荷時点ですでに100W出力に設定されており、改造したところはありません。メーカー出荷時点より100Wであるという証拠は付属している取説の中にあります。

取説の最後の方に、製品の仕様や、当時JARLの保障認定で局免許を受ける為の事項書と工事設計書の書き方見本があり、これらの記述はすべて28MHz帯は最大出力100Wと記載されています。

TSSには、メーカー出荷時点より100Wに設定されていた旨の説明と、この取説の抜粋をpdfファイルにコピーし添付しました。

結果、申請通り、TSSの保障認定を得る事ができました。

28MHzの最大出力が100Wで許可されるようになったのは1992年1月6日よりで、私のトランシーバーは1992年12月に製造されたもののようです。推定ですが、KENWOODは法律が施行された日以降の生産出荷分から最大出力を100Wに変更したみたいです。しかし、それ以前の生産品は50W仕様だったことから、TSSから前述のごとくコメントが付いたものと思われます。

貴方のTS-850Sの28MHzがすでに100W出力になっている場合、取説のコピーを添付するだけで、TSSは承認してくれるでしょう。

TS850S 28MHz 100W出力に関連する抜粋取説をダウンロード

もし、28MHzが50Wのままでしたら、周波数を29MHzにして、CWモードでCARをmaxにしておき、RFユニットのVR4を回して、100Wになるよう調整します。 (取説に記載済み)

100W機を移動に使うために50Wにしたい場合、裏側のスイッチを切り替える方法が取説の中で説明されています。  回路図を追いかけると、50W設定の時もVR4が機能するようになっていますので、28MHzを100Wに調整した後の場合、VR4で50Wに再調整する必要があるようです。   50W機として、TSSの保障認定を受ける場合、多分スイッチを50Wに設定したと説明するだけで、承認されるかも知れません。 以前、同じような設定ができるモデルで50Wの承認を取った事がありました。 (ただし、申請人の資格が2アマ以上でないと、却下されるという情報もあります。)  なお、この場合、すでに固定局で免許を得ているTS-850Sを50Wに改造して、移動局の免許を得る事はできません。移動局用にもう1台のTS-850Sを用意するか、固定局で免許を受けていたTS-850Sを撤去してから申請するしかありません。

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2012年9月 5日 (水)

CAA-500 検波ダイオード修理交換

<カテゴリ:アンテナアナライザー>

プリセット式アンテナチューナーの調整の為、アンテナアナライザーを多用しています。この為、故障も何回も経験しました。

私のアナライザーはコメットのCAA-500ですが、ブリッジ部分に配置された検波ダイオードの破壊が何回か発生しました。破壊が発生すると、その再現テストをして原因を突き止め、2度と同じ環境では使用しないことにしましたので、すでに2年以上経過していますが、以降、故障はありません。

コメットのアナライザーに限らず、全メーカーのアナライザーに共通する事ですので、参考になれば幸いです。

故障の症状:

アンテナ端子に、アンテナを接続していない時インピーダンスもSWRも無限大を指しますが、特にインピーダンスの指示が無限大(スケールオーバー)を指さなくなったり、50Ωのダミー抵抗をつないでSWRは1を示しますが、インピーダンスは、40数Ωしか指さないとか、ひどい時は、ほとんどゼロ付近しか指示しない。

このような症状になった場合、それは調整不良ではなく、検波ダイオードの劣化もしくは破壊です。 (SWRが1.0ではなく1.1以上を示している場合はダミー抵抗が原因の場合が多い。)

修理の仕方:

Caa500sensor 内部を開け、検波ダイオードを見つけて、テスターで導通テストします。検波ダイオードは通常3個ないし4個付いていますので、それら全てをチェックすると、逆方向での抵抗が異常に低いとか、両方向で導通がないとかなどの異常ダイオードを発見できます。

不良のダイオードが特定できて、かつ、その製品に使われている検波ダイオードと全く同じ品番のダイオードが入手できるなら、異常のあるダイオードだけ交換すればOKです。しかし、このモデルの検波ダイオードの品番は公開されていませんので、コメットに聞かない限り判りません。

とりあえずHFだけでも使えるようにと考えるなら1N60で代用できました。しかし、この場合、異常のあるダイオードだけでなく、問題のないダイオードも一緒に交換する事が必要でした。ただし、サイズが大きいのでハンダ付けに苦労します。あまりお勧めしません。

代替を探すときは、「高周波ショットキーダイオード」で検索をかけると見つかります。順方向電圧と端子間容量がなるべく小さいUHF帯以上で使用可能な物を選べば代用可能です。 私は手持ちのHSC285で代用しましたが、個別販売しているところが無く入手に苦労します。

HSC285の代替え品の情報はこちらにあります。

代替品の場合、VHFもUHFも高い周波数でインピーダンス表示が不正確になったり、3.5MHzなのに50Ω以外のインピーダンス指示が不正確になったりします。我慢できない人は正規品のダイオードに交換するしかありません。 

HSC285の場合、不良のダイオードのみ交換すれば、再調整は不要でした。

検波ダイオードが破壊する原因:(実際に発生した事例です)

  • 雷はまだ鳴らないけど、雷雨が始まる直前まで調整作業をしていた。受信機から時々放電時のノイズらしきものが出ていました。

  • アンテナ調整作業中に雪が降り出したとき、インピーダンスメーターの指示がどんどん下がっていくのを目撃した。そして約2分後にメーターは完全に振れなくなりました。ダイオードが完全に死んだみたいです。雪が降り続いている時より、降り始めのときが壊れ安い。

  • 黄砂がまっている日にアンテナ調整をした。信じられないかもしれませんが、この日、ダイポールから引き込んだオープン状態の同軸ケーブルのコネクター付近でパチ、パチという音が10数秒置きに発生し、アンテナをつながない受信機からその音に合わせて小さなノイズが出ていました。

壊れるのは、決まって、インピーダンス検出用のダイオードです。ダイオードを交換して、50Ωのダミー抵抗で確認すると、全バンド50Ωを指しますので、再調整はやっていません。

これらの事故は、ダイポールの調整を行っている時発生しました。ループアンテナの調整時は問題なしでした。 ダイポールの場合、 アンテナが帯電始めると、受信機から周期的に放電ノイズが聞こえます。このノイズが聞こえ始めたら、アンテナアナライザーをアンテナにつながないことです。

<後日談です>

受信機のTS-930のスピーカーから、いかにも放電ノイズらしき音が聞こえます。TS-930の電源をOFFしてもその放電ノイズは継続しています。 そして同じ机の上に置いてあるPC VAIOのUSB認識音が継続して聞こえます。アンテナチューナーコントローラーのSWノブに触ったら、静電気による感電を起こしました。急いで窓のカーテンを開けると、雪が降り出していました。雪による帯電は雷より怖いですね。

せっかくの便利グッズです。上手に使って長持ちさせましょう。

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2012年8月25日 (土)

TS-850S RFフィードバック

<カテゴリ:TS-850>

マイクアンプへRFが回り込みフルパワー運用が出来ないという問題の対策です。

時々動作しなくなるというTS-850SをローカルのOMさんから頂きました。約1ヶ月かけてオーバーホールを行い、異常が発生しなくなりましたので、現用のTS-930Sを差し置いてメイン機にならないかともくろみました。

時期は、同調フィーダーによる給電システムのアンテナで日夜DXに励んでいるころです。10MHz以下では何も問題ないのですが、14MHz以上のバンドでRFの回り込みが激しくSSBでの運用が思うように出来ません。24MHz以上では、CWモードでもRFの回り込みがあります。

このモデルは、RFフィードバックに弱いという情報がインターネット上にも存在しますが、これほどひどいとは思いませんでした。TS-930SよりRFの回り込みをおこしやすいところに、追い討ちをかけるように、同調フィーダーシステムによる給電方式をとっている事が、このトランシーバーを使えない状態にしてしまっているようです。

CW時の回り込み対策はパワーを下げるしかなく、50Wまで下げると全バンドOKになります。

しかし、SSBは20Wくらいしか出ていないのに変調がにごり、何を言っているのか判らなくなるほどの回り込みが発生します。

せめて、SSBでも50Wくらいまでは持ちこたえて欲しいと、昔取った杵柄で、RFの回り込み対策をすることにしました。

対策の方法は実に簡単で、オーディオアンプのベース・エミッタ間に1000PFを追加すると言う手法です。

この方法は、オーディオ製品を設計する上では常識で、いわゆる「AMP- i」対策です。当然KENWOODのオーディオ製品にも実施されています。しかし、同じKENWOODでもトランシーバーを開発する部門のエンジニアはご存知無かったようです。

マイクアンプの出力をショートすると、RFのフィードバックが無くなりますから、マイクアンプのトランジスタが拾っている事はあきらかです。そこで、マイクアンプのQ1とQ2のベース・エミッタ間にそれぞれ1000PFのコンデンサを追加します。

Ts850mic2 Ts850mic1

1000PFを追加した結果、マイクボリュームをMAXにしてもマイクアンプへのRFの回り込みは起きなくなりました。しかし、モジュレーター段への回り込みは相変わらず発生します。モジュレーター段への回り込み対策は回路をシールドしたり、基板を書き直すしか方法がありませんので、対策はとりあえずここまで。

一応対策の効果もあり50W出力なら全バンド運用できるようになりました。

このTS-850Sが晴れてフルパワーで運用できるようになるのは、「マルチバンドアンテナシステム」でも触れましたが、同調フィーダーによる給電を同軸ケーブルに変更した時からでした。それでもメイン機のTS-930Sにとって代わる事にはならず、現在はRTTYの専用機として使用しています。

Ampiic 回り込みを起こすオーディオ回路がICの場合、ICのプラス入力とマイナス入力の間に1000PFを追加しますが、トランジスタより対策効果が小さくなります。その為、入力ラインに1KΩのシリーズ抵抗を追加したり、もし、NF抵抗に発振止めのコンデンサがパラに入っている場合、このコンデンサにシリーズに1KΩの抵抗を追加したりして出力側からRFが入力に回り込むのを阻止したりします。 入力端子に追加するコンデンサは、アンプがトランシーバー用のマイクアンプなら1000PFで良いのですが、アンプがステレオアンプなどのように数10KHzまで扱う必要が有る場合、周波数特性に影響がでますので、100PFくらいで我慢します。

追加する抵抗やコンデンサはチップタイプにして、ICの足のすぐ近くに実装すると、いっそう効果が増します。

この対策はTS-850に限らず、全てのオーディオアンプに有効ですから、マイクアンプへRFが回り込んで困っている方、アンプ- i で困っている方、一度、試してみてください。

追加情報(2016/07)

RFが回り込んで変調が濁る対策として、受け身の対策ではなく、マイクやマイクアンプの周囲に強電界が発生しないようにすれば、回り込みの対策にもなります。  今までで一番効果が有ったのは、アンテナの根本にコモンモードチョークを挿入する事でした。

同軸ケーブルの長さが、使用周波数の1/4波長に近い場合、アンテナの根本から流出したコモンモード電流が送信機へ逆流し、送信機付近で電圧腹になる事があります。 このような場合、回り込みが発生しやすくなります。 この同軸はなにも、送信に使っている同軸ケーブルに限らず、ローテーターのケーブルだったり、他のバンドのアンテナ用ケーブルだったりします。  アンテナの根本と言っても、給電部のすぐ近くにいれた訳ではなく、ベランダの手の届くところにこのように手当り次第にコモンモードチョークを挿入しました。

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2012年8月23日 (木)

SWRメーターとアンテナのリアクタンスの関係

<カテゴリ:SWR計>

アンテナは共振状態で使いましょう。という話です。

アンテナのインピーダンスが純抵抗でなく、リアクタンスを含む場合のVSWRはどのようになるのか? 

一般にSWRと言われているのは、電圧定在波比 (Voltage standing wave ratio - VSWR)
の事で、伝送線路上の波(定在波)の最大電圧の絶対値VMAXを最小電圧の絶対値VMINで割った値と定義されており、複素数は含みません。

出力インピーダンスがZoの純抵抗で、アンテナ負荷がRaの純抵抗ならVSWRはZo/RaまたはRa/Zoで表すことが出来ます。 この計算式を、アンテナ負荷がZa=Ra+jXaの様にリアクタンスXaを含む複素数の場合でもそのまま、このZaの絶対値で現せると考えている人が意外に多くいます。果たしてそうでしょうか。

50Ωの特性インピーダンスを持つ同軸ケーブルに接続されたアンテナが、仮に純リアクタンスの50Ωであったとすると、このアンテナは電力の消費がありませんので、送り込まれた全ての電力が反射されてしまいます。交流理論を理解されている方なら、納得の結論です。すなわちSWR無限大になると言う事です。そして、このリアクタンスだけのアンテナに少しづつ純抵抗を加え、リアクタンスを少しづつ減少させていくと、次第にSWRは下がってくるのも納得できます。ご存知の通り、50Ωの純抵抗のみになったときSWRは1.0です。

では途中はどんなSWRを示すのでしょうか。進行する波に対し反射して戻ってくる波の電圧振幅の割合を「電圧反射係数」と呼び、ギリシャ文字のΓ(ガンマ)で表しますが、この反射計数は複素数です。そして、VSWRの定義の部分で絶対値に変りますので、かなり面倒な計算を必要とします。

アンテナが、50Ωのリアクタンスだけの場合、SWR無限大ですから、抵抗分とリアクタンス分を含んだアンテナインピーダンスの絶対値が50Ωの場合、SWR1.0にはならないと予想できます。

そこで、市販のSWRメーターはこれをどう現しているか実測することにしました。

比較したのはDIAMONDのSX-200、クラニシ アンテナチューナーNT-636に内蔵のSWRメーター、コメットのアナライザーCAA-500、それに自作のSWRメーターです。

Swr3


これらに同じR+C又は、R+Lの直列負荷を接続し、SX-200のみは1W出力と5W出力、クラニシと自作SWRメーターは1W出力でドライブして表示したSWRを読んでいます。CAA-500は内臓発振器の出力でのドライブです。SX-200は現行モデルで生産販売中の物ですから、一番信頼性が高いだろうと考え、比較メーターの中に加えましたが、見ての通り、通過させる出力レベルで大きくメーター指示が変ります。1W出力時の誤差は、しょうがないと諦める範囲ですが、5W出力で33Ω時のSWR値が実際よりオーバーし、100Ω時のSWR値が実際値以下という誤差は異常です。私の製品だけの問題と思いますが。

SX-200は故障していました。詳細は SX-200 SWRメーター修理を参照下さい。修理した結果、5W以上のパワーがあり、負荷が純抵抗なら、ほぼ正確にSWRを表示できるようです。

この中で、純抵抗の時の信頼度が一番高いのはCAA-500でした。

Tlw結果は純リアクタンス時、無限大を指しました。また、33Ω+560PFの負荷は7.1MHzで約52Ωの絶対値のインピーダンスになりますが、この場合平均でSWR2付近を指しました。 一般的に、SWR計やアンテナアナライザーの校正は純抵抗で行いますので、リアクタンスが含まれた負荷に対するSWR値は誤差が大きいようです。

「TLW」というアンテナチューナーのシュミレーターソフトがあります。これに33Ω+560PFのインピーダンス33-J40.05と周波数7.1MHzをセットすると、SWRは約2.8と出ます。多分これが正しいSWR値なのでしょう。

なお、容量性リアクタンスが含まれる時のSWR値が、計算値に近いのは、SX-200で、誘導性リアクタンスが含まれる時のSWR値が計算値に近いのはNT-636ですが、これは、電流、電圧の検出方式の違いによるものです。NT-636はCM結合器と言われる、コンデンサとトランスでピックアップしていますが、SX-200はいわゆるMM結合器(ARRLの技術資料では Cross-connected transformers タイプとして紹介されている)で電流も電圧もトランスでピックアップしている事からこの差が生じたものです。

SWRメーターやアンテナアナライザーのSWR値が1.0を指したら、その時のアンテナは間違いなく共振していて、かつその時のインピーダンスが50Ωであると理解してよさそうです。共振していないアンテナのインピーダンスの絶対値が50Ωになっても、SWRメーターは決してSWR1.0を指示しないと。

この記事の中で紹介しているリアクタンスを含んだ負荷に対するSWR計算シート で、抵抗を一定にしておき、リアクタンスを-100から+100まで少しずつ増加させて、SWRをチェックすると、例え抵抗が50Ωでなくても、リアクタンスゼロの時がSWR最少になる事が判ります。 ただし、実際のアンテナの場合、周波数を可変すると、抵抗分も少なからず変化しますので、リアクタンスゼロの周波数とSWR最少周波数は微妙にずれます。 アンテナの帯域幅が狭い場合、その差は測定誤差の範疇ですが、帯域の広いアンテナの場合、かなりずれます。 しかし、それは、アナライザが表示したリアクタンスゼロの周波数とSWR最少の違いほどの差は無く、真の共振周波数とSWR最少の周波数が違うと、目くじら立てるほどのものでは有りません。

これらの事から、周波数を広範囲に可変できるアンテナアナライザーで、SWR最少の周波数を検知できたら、例えその最少のSWR値が1.0で無くても、その周波数はアンテナの共振周波数であると言う事ができます。(ただし補足のごとく例外も有ります)

バンド内にSWRの最少の周波数があるなら、例え最少のSWR値が2であっても、そのアンテナは共振していますので、SWR1.0の時と同じくらい、よく飛ぶと考えられます。

良く、SWR2でも3でも飛びはほとんど変わらないと言いますが、それは、共振しているときの話で、共振していない、リアクタンスの多い状態では、SWR計が2とか3を指していたら、その時の実際のSWRは4以上かも知れません。 SWR最少周波数がバンド外にあり、そのときのSWRが1.0に近いなら、リアクタンスだけのアンテナをドライブしているに等しいかもしれませんね。

リアクタンスを含んだ負荷に対するSWR計算シート.xlsをダウンロード

リアクタンスを含んだ、アンテナ負荷のインピーダンスの絶対値とSWRが判っていれば、抵抗分Rと、リアクタンス分Xを分離して計算できます。この時のリアクタンス分の極性(プラスかマイナスか?)は判りません。 一般的には、周波数を少しずらす事により、誘導性(プラス)なのか、容量性(マイナス)なのかは判りますが、同軸ケーブル越しに見たアンテナの場合、この判定は出来ません。

Swrrxz


この計算式を利用して、一部のアンテナアナライザーは抵抗分Rと、リアクタンス分Xをデジタル表示させています。 しかしながら、リアクタンスが含まれた途端、SWRやインピーダンスの絶対値は怪しくなってきますので、これをベースに計算されたRやXはもっと怪しいと考えねばなりません。 ただし、怪しいと認識した上で使う場合、表示が無いより価値はあります。   SWRメーターやアンテナアナライザーの表示で唯一信じていいのは、周波数を可変して、SWRが1.0を示したときのみでしょう。

 

 

補足です。

実際にアンテナに接続された同軸ケーブル越しにアンテナアナライザーやSWR計を接続すると、本来のアンテナの共振周波数以外でも、SWRのディップ周波数が存在します。 これは、アンテナを含めた被測定系内に存在する浮遊インダクタや容量が影響して、疑似共振回路を構成している場合と、周波数を可変すると、リアクタンス以外に抵抗分も変化しますので、このリアクタンスと抵抗分の比率により、SWRがディップしたように見える場合です。 そして、正規の共振周波数付近でもデイップしますので、ディップ周波数が複数現れます。 その中でSWRがより1.0に近いディップ周波数が正規の共振周波数に最も近いと考えられます。 この現象はフルザイズや超短縮アンテナではあまり見かけませんが、50%くらいの短縮率のとき時々見られます。 なお、多素子で構成される八木アンテナやキュビカルクワッドのようなアンテナの場合、設計的に共振周波数が2か所出来るようにして広帯域化したアンテナもあります。

また、フルサイズのアンテナでも抵抗成分は周波数により変化しますので、共振時の抵抗成分が50Ωより離れるほど、SWR最少の周波数とリアクタンスゼロの周波数はずれてきます。しかし、この状態のときのSWR変化カーブはブロードで真のSWR最少値とリアクタンスゼロの時のSWR値に大きな差は出てきません。 従い、このような場合、真の共振周波数でもSWR最少の周波数でも、そのSWRの差は極わずかであり、飛びという面ではほとんど変わりません。

合わせこんだSWR最良状態が共振状態であるかどうかは、アンテナのリアクタンスがゼロであるかどうかで判断できますが、SWR1.0でない時は、リアクタンス表示のついたアンテナアナライザーでは判定できません。   長さの長短にかかわらず、同軸ケーブルを介して接続されたアンテナアナライザーでは、アンテナの共振インピーダンスが50Ωなら、アンテナの共振周波数とアナライザーが検出したリアクタンスゼロの周波数は一致しますが、50Ω以外の場合、一致しません。  もし、この不一致が発生しましたら、リアクタンスゼロの周波数と、SWR最少の周波数も一致しません。 この状態の時、より正しい共振周波数に近いのはリアクタンスゼロではなく、SWR最少の周波数となります。(詳細はここで説明しています)

Delicagdm

アンテナの共振周波数を測る測定器として、昔から有るのがグリッドディップメーターです。 左の写真は、真空管をトランジスターに変えて、同じような機能を持つ三田無線の「トランスディッパー」です。

この計器は、理屈的に、アンテナの共振周波数を正確に測る事ができますが、最大の難点は、この計器の発振コイルを電磁的にアンテナエレメントに結合しなければならない事です。 その結合の方法はアンテナエレメントの中央付近にワンターンコイルを設け、そのコイルとこの計器の発振コイルを結合させます。

この状態とは、グリッドディップメーターを手に持ち、アンテナエレメントに結合するわけですから、空中高く張ったアンテナエレメントまで、絶縁材で出来た梯子を用意し、ディップ周波数を探す必要があります。 当然、アンテナエレメントの直下にディップメーターを操作する人が居る訳であり、この人体が導体や誘電体となり、実際の共振周波数より共振周波数が下がってしまいます。

もし、梯子を使わずに、アンテナエレメントを手の届くところまで、降ろしてきた場合も、アンテナの共振周波数は下がってしまいますので、人体の影響と合わせて、もっと周波数は低い方へずれる事になります。

結局、グリッドディップメーターでは、確かに正確な共振周波数は測れますが、実際にアンテナを空中へ張り、そこから給電線となる同軸ケーブルを引き降ろした状態での共振周波数は判らないのです。

SWR計やアンテナアナライザーでSWR最良のディップ周波数が、アンテナの共振周波数とは限らない事は説明しましたが、ディップメーターで測った周波数と実際のアンテナの共振周波数のずれは、SWR最少周波数と共振周波数とのずれよりかなり大きく、アンテナアナライザーを入手した後は、このトランスディッパーは、お蔵入りになってしまったのでした。

プロ、アマチュアを問わず、実際に架設されたアンテナのインピーダンスやリアクタンスを測るのは至難の業です。 結局、ハムバンド以外の周波数範囲までSWRを測定し、 SWR 最小値を確認した上でSWR1.0を追及するしかないのでしょうね。

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2012年8月22日 (水)

TS-930S シリコングリス

<カテゴリ:TS-930>

TS-930も修理が4台目ともなると、電源を入れただけで、どこが一番怪しいか判るようになります。今回も、VFDが一切表示しないという症状から、36.1MHzが発振停止しているのだろうとテストポイントにオシロをつなぐと、出力無し。L77のコアをグリグリと回すと、発振開始。電源を切って10分以上経過してからも確実に発振が開始する位置にコアを固定して、とりあえず致命傷は解決。

サービスマニュアルを片手に全局発のチェックと再調整。各CARの周波数はかなりずれていましたが、すべて、調整の範囲内でした。受信感度もそこそこで問題なし。調整完了後、ダミー抵抗を接続して送信テスト。

TUNEモードで50W出る。CWモードで100Wでる。PROCをONすると、SSBが送信できない。PROC OFFではOKゆえ、7MHzで交信テスト。

JCC移動局と1局交信。問題なし。湯けむりアワードの移動局を見つけ、2局目の交信。ファイナルを送るころ、突然、湯けむりならぬ、白煙がファイナル付近からもくもくと舞い上がり、送信不能に。慌てて、別のトランシーバーでファイナルだけは送り交信終了。

ここから、悪戦苦闘の始まりです。

930fu1_2 送信できなくなった、ファイナルを取り外してみると、ドライバー段Q2,Q3のベースとGND間にはいっている22オームの抵抗が黒こげ。Q2,Q3のMRF485のベース、エミッタ間、ベース、コレクタ間がオープン状態。 22Ωのこげ状態からベースにかなり高い電圧がかかったみたいです。 海外の修理情報ではMRF485の耐圧が25Vしかなく、28Vを印加しているこのモデルは設計ミスであると。 さては、耐圧オーバーでトランジスターがショートしたのか? 

しかし、信頼のKENWOOD。 まさかそのような設計ミスは無いだろうと、MOTOROLAが正式に発行しているMRF485の英文データシートを確かめるとVCEOは最大で35V。なんにも問題なし。先の修理情報が間違っていることに。人の話は鵜呑みにせずに自分で確かめるに限ります。では、今回どうして壊れたのか。

930fu2 原因は放熱板からファイナルユニットの基板を取り外して判りました。放熱板とトランジスタの間に塗布するシリコングリスが蒸発してしまい、全くと言っていいほどありません。結局、この状態で100W運用した為にドライバートランジスタが熱破壊したのが原因でした。

MRF485は入手が難しい為、定番の代替トランジスタ2SC1969に交換すべく通販で注文を行い、その待ち時間の間に、他に問題が無いかチェックする事に。 とりあえず手持ちの2SC1909を取り付け、22Ωは手持ちの1/4Wを取り付けました。

ファイナルユニットの無信号電流が3Aを越えています。相当長い間、放置されていた為バイアス設定がずれているみたいです。これはVR1を調整して1.3Aに設定しなおしました。

次に、ドライバー段のドライブ電流はと、L7を外して電流計(テスター)を挿入し、SENDにしたらテスターがピクリと動いて以後応答なし。テスターが壊れたみたいです。別のテスターでQ2,Q3のベース電圧をチェックしたら0V。何が原因か? 調べたら、D5のBZ192がショートしていました。22Ωの抵抗が燃えた時は、少なくともこのD5は生きていたはず。そして先ほどSENDにしたとたんショートしたみたいです。D5を交換しなければなりませんが、なぜこのD5が19Vのツェナーダイオードなのか判りません。この部分の最大電圧は1.4Vくらいですので、安全を見ても1.9VのZDで十分なはずなのに。

いずれにしても19VのZDなど手持ちがありませんので5.1VのZDで代用することに。

ZDを取り替えて再びドライバー段の電流を調整することに。もちろん、壊れたテスターは内部のヒューズを交換してまた復活。しかし、こんども全く電流が流れません。まだ壊れた部分があるようです。

ここまで来て、関係するパーツを全部チェックすることにしました。結果、さきほど交換したD5は再びショート。Q6 2SC496Yはショート。L6の150μHはオープン。 仮付けした2SC1909もオープン。

L6は手持ちの100μHのコイルで代用し、手持ちの無い2SC496Yはまた通販で注文。

930fu3_2 全ての部品がそろい、各トランジスタの絶縁用マイカシートの裏表にシリコングリスをたっぷりと付けて基板と放熱板を固定します。写真では雑に塗ってあるように見えますが、厚く塗ってあり、この状態で基板を密着させると、自然に均一状態になります。現役時代のノウハウです。 また、ドライバー段の発熱を検出して、アイドリング電流を調整するサーミスタD2とQ2の止めビスの間にもたっぷりとシリコングリスを塗り、かつD2がビス頭に常に接触するようD2の足を成型しました。その上でドライバー段のアイドリング電流を70mAに、ファイナルのアイドリング電流を1.3Aに再調整。この状態で十数分間放置し、アイドリング電流がドリフトしない事を確認。

もちろん、Q2,Q3のベース、エミッタ部分のスルーホールには銅線を挿入してハンダ割れ対策も実施。

最後にバラック状態で10Wの送信テストを行い異常なしを確認。

930fu4 930fu5

放熱板を最終状態に取り付けて7MHzフルパワーで交信テストもOK。

PROC ONでSSBが発射できないのはPROC SWの接触不良。接点復活剤を注入してSWも復活しました。

チェックし始めてから1週間。晴れて、修理4台目のTS-930Sは復活しました。

ファイナル段のような大電力を扱う回路の修理は最初に全部品の異常有無を確認すること。半田付けされていて、テスターだけでは判断が付かない半導体は取り外してでも確認する必要があると理解できたところです。確認不足なら今回みたいに、OKの部品を次々に壊してしまいます。

また、かなりの期間、未使用のトランシーバーは、例え短時間の送信テストがOKでも、基板をめくって、シリコングリスの状態をチェックすることですね。

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2012年7月21日 (土)

FT-450送信トラブル(落雷による誘導雷)

<カテゴリ:FT-450>

受信感度大幅低下でダイオードを交換し、6mで交信まで行って、故障が直ったことを確認したのですが、一夜明けて、次の朝、6mで交信をしようとすると、SWRが無限大を指します。 アンテナにトラブル発生とバランをチェックすると線が1本宙ぶらりん。 よし、これこれと修理して再度送信しても、まだ、SWRは3くらいを示します。 アンテナアナライザーでチェックしても問題なし。アンテナを外して、アンテナの代わりに50Ωのダミー抵抗をつなげば、SWRは1.0。ケーブルも異常なし。

そうこうしている内に、FT-450の出力調整が効かない事がわかりました。Modeに関係するかとモード変更している内に、つい、さっきまでOKだったSSBで、変調かからず、キャリアーのみ送信。CWのキーイングがしなくなった。 50MHzのFM送信時150Wの出力になった。 7MHzのAMでPTTをONしてもキャリアが大きくならず、最大になるまで7秒もかかる。

色々いじっている間にどんどん症状が悪化していきます。

これ以上いじっても壊していくばかりなので、近くのハムショップへ修理依頼。

故障の原因で思い当たるのは、前日の雷。HFのアンテナは全部トランシーバーから外したのに。FT-450は6mのアンテナをつけたままで外し忘れ。 案の定、修理完了した結果、壊れたのはアンテナ入力関連部品とダイオードSW用電源ラインに入ったタンタルコンデンサのリーク。

Ft450schema

上の配線図の赤文字のパーツが交換対象になりました。

最初SWRが無限大になったのは誘導雷の電流でバランのハンダ付け部分が熔けて線が外れた為。ここを修理してもSWRが3くらいにしかならなかったのは、送信周波数のコントロールが効かなくなり、53MHz当たりの周波数で送信されていたことが原因でした。

修理から返ってきたセットに同梱されていた修理明細書には、前回壊れて代用したダイオードも正規品に変更されていました。これは、修理依頼書に過去の修理履歴を書いておいたのでサービス担当者が親切に正規品の1SV271に交換してくれたようです。

雷がなったら、アンテナを外す。電源コードを抜く。今後徹底することにします。

ところで、このトラブルを再度検証してみると、プログラミングの未熟さがにじみ出ていますね。 ハードトラブルが発生した結果、プログラミング上の想定外が発生したため、それに対応する処理がされていなく、表面上の動作がめちゃくちゃになったのが実態のようです。 プログラミングのプロは想定外が起こったら無視するというプログラムをつくり、ユーザークレームが有ったら、対策するという方法を取ります。(私の意見ではなく、NEC系列のさるソフト開発者の言葉でした) ”D”以降のモデルは対策されているかも知れませんね。

 

 

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2012年7月18日 (水)

TS-930S 送信不能(ファイナルユニット不良)

<カテゴリ:TS-930>

930pwrunit_4送信不能の原因は、ファイナルアンプのドライバー付近のスルーホールが、熱でひび割れし導通不能となっていることです。これは、初回の修理で判っており、疑わしいスルーホールのハンダを再度熔かして修理してきました。その後3年以上経過する内に、ここ1年くらいの間で、たまに送信不良が発生し、フルパワー送信を行うと直ってしまうという状態でした。しかし、最近送信不能の発生の頻度が増えてきましたので、スルーホールを銅線で結んでしまおうと、ファイナルユニットの分解修理をする事にしました。

サービスマニュアルの基板図に、部品の足が貫通せずに、ハンダだけで両面を結んでいるところを見つけ、印を付け、スルーホールの穴のハンダを熔かしながら、銅線を貫通させ両面で再ハンダしていきます。

この作業を始めていたら、ドライバートランジスターQ2,Q3のコレクターからファイナルまでの大電流が流れるスルーホールには、すでにワイヤーが埋め込まれており、両面の銅箔パターンに、ワイヤーがハンダ付けされている事が判りました。設計的に予め対応したのか、修理の途中で誰かが処理したのかは不明ですが、ハンダだけでなく、銅線でも両面をつなぐという処置は有効なようです。なぜなら、発熱はこれら銅線入りスルーホールの方が大きいのですが、ここでの導通不良は一度もありません。

930pwrunit2_3 930pwrunit3_2 

過去何回となく、送信不能となり、その都度、Q2とQ3のコレクタ、ベース、エミッタの各ハンダ付け部分を、再ハンダして対応した訳が判りました。このQ2とQ3のコレクタ側はワイヤーで両面をつないでいますが、ベースとエミッタはハンダだけでつながっています。設計的にはここの穴にトランジスタの足を貫通させて、両面でハンダ付けするつもりだったかも知れませんが、実際のセットではトランジスタの足を短く切り、貫通させていません。今回この部分の穴にワイヤーを貫通させ、両面で結びました。もちろん、その他のハンダだけのスルーホールにもワイヤーを貫通させて修理完了。

この状態で様子をみようと思います。

3年経過しましたが、問題の再発はありません。

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