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2012年12月 6日 (木)

TS-930S 電源レギュレーター破損

<カテゴリ:TS-930>

話題は、私が再開局した4年前に遡ります。 壊れたTS-930Sを貰い受け、動作チェックを始めました。 受信は出来るようだけど、AMが全く音なし。送信モードには切り替わるけど、POWERメーターは全く振れない。ICもほとんど振れない。VCに切り替えたら、メーター振り切れ。あわてて送信中止。 受信状態で+Bラインをチェックすると、28Vの電源が安定化されていなく38Vくらいになっていました。 今のチェックでファイナルが壊れていないかな? とにかく、ファイナルへ電源を供給する赤と黒のワイヤーにつながれたギボシ端子を抜くことにしました。

(電源修理完了後、改めてファイナルをチェックしたところ、トランジスタはすべて生きてました。ただし、出力は出ませんでしたけど。)

電源OFF状態でこの安定化電源用のQ1とQ2をテスターで導通テスト。コレクタ・エミッタ間が通通でした。2石ともNGです。このトランジスタの品番は2N5885。スペックを調べると

  • IC max 20A
  • VCEO max 60V
  • hFE 20-100
  • PC max 200W

Ts930ps この程度のスペックなら、いくらでも代替があると、その他の補修部品を含めて広島市内にある量販店系列のパーツ屋に部品探しに出かけました。 トランジスタ売り場には、CQ出版社のトランジスタデータブックが紐でつるしてあります。部品棚にある現物の形状からPC=200Wくらいのトランジスタを見つけては、データブックでスペックを確認していましたら「サンケン」の2SC2922という馬鹿でかいトランジスタが見つかりました。IC maxが17Aですが、その他の規格はすべてOK。TS-930Sのファイナルの最大電流は12A以下であり、その他の電流を入れても15A以下。これを2個パラに使えば余裕がいっぱい。しかし、値段が1個1500円。他を探しましたが、使えそうなトランジスタはこれしかありません。結局これを2個買いました。今、このトランジスタを通販で買うと840円ですから、かなり高い買い物でした。

代替のトランジスタの形状は全く無視です。既存の壊れたトランジスタを放熱板から取り除き、代替のトランジスタが貼り付けられるように放熱板に新たにタップを切ります。タップは製品開発の過程で、追加するのは当たり前で、昔使ったタップが、工具箱の中に、ごろごろ転がっています。電動ドリルで下穴をあけ、3ミリのタップを切っていくと途中で動かなくなりました。駄目だア、と逆回転させたとたん、タップが折れてしまいました。しかも、アルミの表面から0.数ミリの高さで折れてしまい、抜く事も出来ません。

やむなく、折れたタップはそのままにして、このタップを避けながら、また別の位置に穴を開け、タップを切ります。今回は下穴の直径を2.8ミリにしました。最初は2.7ミリの下穴でしたので0.1ミリアップです。タップが折れてから2.7ミリの下穴は1ミリ厚の鉄板用だったと後悔。

レギュレーターのトランジスタの交換というのは、タップ切りがうまく出来るかだけが難題であり、それ以外は楽勝です。回路図通り配線したら簡単に安定化電源は復帰しました。しかし、まだ問題が。 電圧を28Vに調整しようと、半固定抵抗を回すと、この半固定抵抗がバラバラに壊れてしまいました。半固定抵抗を、又買いに行かねばなりません。しかし、面倒なので180Ωの抵抗を3本シリーズに接続し、その接続部分からタップを出し、固定抵抗にしてしまいました。調整はできませんが、電圧は28.2Vとなり問題なしです。

930pwrtr_2  930pwrsvr_2

シリコングリスたっぷりのサンケントランジスタ(左)  180Ω3本で代用した半固定抵抗(右)

2SC2922のデータシートをダウンロード

同じように、タップを切り直してでも、トランジスタを交換しようと、お思いでしたら、トランジスタの外形がプラスチックモールドで、絶縁シートや特殊なワッシャを必要としない物を選べば楽勝ですよ。 2SC2922のコレクタは、絶縁されていなかったような。・・・・ 忘れました。

別件の用事で、Digi-Keyを覗いたら、2N5885Gが356円で売られていました。3000円+交通費もかけて買い、タップを折りながら苦労したのは何だったん! これぞ、ほんとのタップ折り損のくたびれ儲け。  ただし、Digi-Keyの送料は一律2000円です。ご参考まで。

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