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2014年4月28日 (月)

144MHz用Jポールアンテナ

<カテゴリ:アンテナ>

アースのいらないベランダ用の垂直アンテナ、通称「Jポール」を紹介します。 普通のGPはラジアル部分が横にはみ出し、ベランダでは、これが以外と邪魔になりますが、釣竿か、物干し竿を垂直に立てた1本の竿にしか見えず、アースが不要で、設置が非常に簡単で、かつ、2段GPくらいの性能が得られるものです。

アルミパイプを使った本格的なアンテナではなく、グラスファイバー製の釣竿に導体となる1mmの銅線を添わせ、ビニールテープで巻いて固定したかなりいい加減なアンテナです。 

2mjp2

2mjp_2 

 左上が構造図、右上がMMANAによるシュミレーションデータです。

グラスファイバー釣竿を2段つないで2mのポールにした後、直径1mmの裸銅線を図のようにポールに添わせ、適当な間隔でビニールテープを巻き、固定します。給電は同軸ケーブルを直接ハンダ付けしますが、このハンダ付けの位置でインピーダンスが変わりますので、最初に、シュミレーションした寸法のままでハンダ付けし、SWR計かアンテナアナライザーを見ながら、145MHz、50Ωに合わせこみます。

149.2cmの長さを2cm長くすると約500KHz周波数が下がり、インピーダンスは約10%ダウンします。また給電部の3.3cmの所を5mm高くすると、インピーダンスが30%アップし、かつ約250KHz周波数が高くなります。 このふたつのパラメーターを頭に入れて調整するわけですが、電卓とメモ用紙を持っていても結構疲れます。 エレメントの調整はニッパでカットする方が簡単ですから、最初は少し長めにエレメントを作りますが、5cmも長くすると、もうどうなっているのかさっぱり分からなくなってしまいますので、シュミレーションで得た長さのままで作り、周波数が高すぎた場合、銅線ですから簡単にハンダ付けで延長した方が楽です。

2mjp3_3

最初は、少し長めで作った為、結局調整の方向性が判らず、3回くらい銅線の交換を行いました。次回作る時は以下の手順で行うときっとうまくいくと思います。

・MMANAのシュミレーション通りの寸法で作る。

・アンテナアナライザーで共振周波数と、共振状態のインピーダンスを知る。 インピーダンスは50Ωより高いか低いかだけをメモする。

・前述の法則をベースに145MHzでSWR1.0に追い込む。 ただし、インピーダンスは同軸ケーブルの長さにより増減が逆転する事もあるので、もし、前述の法則と逆に変化する場合、それに従う事。

今回は980円の4.5m釣竿で作りましたが、直径の異なる竿の場合、給電部分の2本の垂直銅線の幅1.2cmの部分が多分異なってくるはずです。この異なった寸法の場合、再度MMANAでシュミレーションする必要がありそうですが、どうせシュミレーションしても、現物とは合致しませんので、似たような寸法で作って、共振周波数とインピーダンスを先に把握する方が手っ取りばやいと思われます。 

このクリチカルな調整をやっても、アンテナにポールを継ぎ足し持ち上げると、SWRも共振周波数もずれてしまいますので、ずれの程度をあらかじめ確認しておき、その分だけずらして調整する事がコツです。共振周波数がバンド内にあるならSWR計だけでも判りますが、SWR最低周波数がバンド外に有る場合はアンテナアナライザーが有ると便利です。

自作してから、すでに5年経過していますので、銅線は真っ黒、ハンダは真っ白、テープははげかかっていますが、台風時も倒れずに初期の性能を維持しています。 銅線の固定の為に、1巻33円のビニールテープを使ったので、雨の時、SWRが悪化するのを心配しましたが、変化はあるものの、気になるレベルでは有りませんでした。

このアンテナは、ローカル交信が主目的ですが、10Wの出力で半径100KmくらいはOKなので、コンテスト時、マルチ獲得の為、重宝しています。このアンテナ作成のとき未使用になった先の細い竿は430MHz用の垂直ダイポールに流用されました。

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2014年10月

Jp1410_2

この2m用アンテナの同軸ケーブルに3.5MHzのコモンモード電流が流れ、時々火災報知器が誤動作するという問題がありましたので、同軸ケーブルの途中に3.5MHzでも十分効果のあるコモンモードフィルターをいれました。 火災報知器の誤動作は無くなりましたが、2mで、ある特定の方向にヌルポイントが生じ、その方向がちょうどいつも交信するローカル局と重なり、今までS9であった信号がS1以下になってしましました。

この2m用Jポールから2.5m離れたところにHF用のスカイドアアンテナが有り、このスカイドアの一方のエレメントが、2m用Jポールに最接近したときこのヌルポイントが発生するようです。 最接近した時の距離は1.2mしかありません。 数か月間、2mで交信する際、スカイドアのエレメントを、Jポールから一番遠くなるように回転させていましたが、そのうち面倒になり、現在と反対側にあるベランダに、2m用Jポールを新設する事にしました。 この新しいJポールとHFのスカイドアアンテナは、8mくらい離れましたので、ヌルポイントは解消されました。 新旧ふたつのJポールを1週間くらい併用し、新Jポールが旧Jポールより受信感度が良いという事が判りましたので、旧Jポールは撤去されました。

なお、この新Jポールを作るに当たり、ポールは4.5m長の釣竿をそのまま使いました。 ポールの直径が小さくなりましたが、当初のシュミレーション通りの寸法のままで作ったら142MHz付近で共振していましたので、50.7cmの部分の上部を約8mmカットしたら、ちょうど145MHzに共振するようになりました。共振状態でのSWRは1.1くらいでしたので、これ以上トリミングする事はやめました。

このアンテナは防水していないので、雨が降るとSWR3くらいまで悪化しますが、トランシーバーにプロテクトがかからないので、そのまま使っています。

2020年春

いまだに使い続けているJポールですが、最近、雨が降ると、トランシーバーにプロテクトがかかるほど、SWRが悪化していました。 新コロナウィルスで外出自粛の折、暇ですので、この原因を確かめ、改善できないか、検討しました。 アイロンかけに使う霧吹きを、持ち出し、アンテナのエレメントに場所を選びながら、霧を吹きつけていると、正常時SWR1.1しかないのに、一気にSWRが3以上に上がる部分がありました。 それは、Jの字に折り返した部分の先端付近です。

構造図で50.7cmとある先端部分です。 それ以外は多少の変動はありますが、SWR2を超える事はありません。 そこで、この先端部分を含め、Jの折り返しの部分全てをビーニールテープで巻き、雨が直接銅線に当たらないようにしました。すると、共振周波数が143MHzまで、落ちてしまいましたので、また、このJ字の先端部分をカットして、145MHzに合わせました。

2m_j_rain

これで、SWRは144から146まで1.5以下です。 ただし、まだ雨が降っていません。 雨が降ったら、またレポートします。

雨が降りましたが、SWRは2.5くらいで頑張っていました。 ところが、梅雨に入り、連日雨が降って、その合間に晴れても、SWRが5を超え、トランシーバーにプロテクトがかかるようになりました。 そして、とうとう、晴天が2日以上続いても、このSWR悪化は解消しません。

原因は、テープでぐるぐる巻きにして、雨が入り込まないときは問題ないのですが、一度、雨がテープの内側に入り込むと、これが、晴れても蒸発しなくなり、共振周波数が110MHzくらいまで落ちてしまうようです。

対策として、テープをやめ、左の写真のごとく、J 部分の短い銅線を、ロックタイを使って、釣り竿から2cmくらい浮かしました。 この変更で、共振周波数が150MHzを超えてしまいましたが、そこは、銅線ですから、約10cmくらいの銅線を半田付けして延長し、145MHzでSWR1.1くらいまで調整しました。

Jpole_swr_2

 

バンド全体で、SWR1.3以下です。 そして、雨が降っている場合、SWR2くらいまで上がりますが、晴れると元に戻ります。 雨の影響を大きく受けるところは、2本の銅線が平行する部分の内、短い方の先端から下へ30cmくらいですので、対策としては、同軸を半田付けしたところから、上の方は、可能な限り、支柱からも浮かす事のようです。

 

2023年10月

Blacktay_2

突然SWRが5以上となり、送信も受信もNGになりました。 何が起こったのかと、次の休日にアンテナを倒して見ると。給電部分の絶縁材に使ったロックタイが折れてバラバラになっていました。 この為、マッチング機構が完全に壊れてしまったものでした。 使ったロックタイは白色の耐候性無し品。 製作してから2年半で寿命が尽きました。

やむなく、近くのホームセンターで黒色の耐候性ロックタイを買ってきて、修理です。 雑に修理したので、145MHzでSWRは1.4くらいにしかなりませんでしたが、これで又当分使っていきます。

 

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2014年4月26日 (土)

160m用アンテナ追加

<カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

常設ではありませんが、160mバンド用としてマルチバンドアンテナシステムの中に加える事にします。 

<2017年2月書き換え>

160mvertical201702

ペットボトルに巻いたローディングコイルを使ったホイップアンテナから長さが40mもあるロングワイヤーまで、色々と実験しましたが、展開できる環境のなかで、一番良かった、現用スカイドアループや垂直ダイポールのエレメントを共用した垂直アンテナに落ち着く事になりました。 ただし、このアンテナは160m用ロングワイヤー(LW) 1 にて紹介の通り、出力によりアンテナの共振周波数が変わるという問題を抱えていましたが、その後、160m垂直アンテナ にて紹介の通り、この問題も解決しました。

左のSWRカーブは2017年2月に広島WASコンテストに向け再セットアップしたときのSWR特性です。結構広帯域です。

160mにQRVする時は、アンテナワイヤーの大がかりな接続変更を伴いますので、手軽にQSYは出来ませんが、160mバンドのコンテストの時は期待ができそうです。

アンテナの整合BOXを置いた場所は、猫のいい遊び場です。 時々、このBOXの上に乗っている事もあります。(画像は2014年1月のものです)

160m_box_cat

2008年10月から同調フィーダーによる給電方式で使い始め、2011年5月にプリセット式MTU方式に変更し、台風で壊れたりした、このアンテナシステムで、2017年11月時点に於いて交信出来たDXCCエンティティーは、全バンドで238。 各バンド毎では、

160m 80m 40m 30m 20m  17m 15m  12m 10m  6m

   8      34    94   108  141  181  195   149  124   19

 

このアンテナシステムを降ろすまでは交信記録を更新していきます。   最近はコンディションの悪化とON AIR回数の減少でなかなかエンティティーが増えません。

2017年12月16日  久々に 40m Bnd New(OJ9X)をゲット。

現在のマルチバンドアンテナシステムの全容は以下の通りです。

2017年1月末にスカイドア部分のアルミ線が金属疲労で断線しましたので、スカイドアのループのワイヤーは全て入れ替えました。

Mutiantsys2_2  

プリセットMTU作り変え へ続く

7MHz用垂直ダイポールと最高高さ7mの逆Vとの比較はこちらにあります。

Skydoor180120

2018年1月、風圧面積を少しでも少なくする為、HFスカイドアの横幅を2.6mから2mに変更しました。 これで、初期の回転半径1mのHFループアンテナに戻りました。

このアンテナを上げてしまってから、6m用のヘンテナの向きが傾いている事に気が着きましたが、ポールの各ジョイントの部分にパイプストッパーの仕掛けをしてありますので、これを分解しないと下げる事が出来ません。 面倒なので、次の上げ下げの機会までこのままです。 

2018年9月

ハイバンドのコンディションも悪化し、色々な事情でアクティビティも下がってきましたので、台風シーズン中であった事もあり、18MHz用スカイドアを撤去し、身軽にしました。 2022年を過ぎたころ、可能なら再度アップするまで、垂直ダイポールと6mヘンテナのみとなりました。

 

2023年1月~3月

家のメンテの為に、足場を組んで、幌で家を囲む事になり、とうとう、全てのアンテナを撤去しました。 ただし、無線を止めてしまうのではなく、常設の1.8MHzを含めたHFアンテナを再構築します。まずは、構想からです。

 

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2014年4月25日 (金)

160m用ロングワイヤー(LW) 2

<カテゴリ:アンテナ>

既存の7メガ用垂直ダイポールやスカイドアのエレメントを共用した160m用LWは、出力により共振周波数が変化すると言うトラブルに遭遇し、解決策が見いだせませんでした。(パワーでSWRが変わる 参照) 仕方なく、これらの既存アンテナから数メーター離した所に独立したLWを臨時に設置し、コンテストの時だけ使う方法に変更しました。

LWの形態は8mの釣竿に電線を添わせ、そのてっぺんから18mのビニール線を2mの高さまで引き降ろしたもので、全長は26mになります。このエレメントが1.910で共振するように、ローディングコイルを調整した結果、給電点のインピーダンスは前回のアンテナよりかなり下がり12.5Ω付近になってしまいました。 整合トランスは10個目のタップに同軸を繋ぎ、5個目のタップからローディングコイルを経由してアンテナに接続されます。

160mlwtrans

160mlwbox

160mlwpole_2

8mの釣竿に沿った垂直部分のワイヤーは1.25SQのKIV線ですが、水平方向のワイヤーはUL1007タイプのAWG24サイズです。 この水平部分のワイヤーは自重の為、直線に引っ張る事ができず、10mくらいの部分で地上高3mくらいまで落ちています。 ただ、このワイヤーの下は即地面ではなく、深さ5mの水の無い池となっている事から、ワイヤーから実際の地面までは8mくらいはあります。これがどのように影響するのかは、やってみないと判らない状態です。 このアンテナを仮設してある場所は、全長40mのLWも実験できる広さがありますが、支柱が釣竿であることから、ワイヤーの重さに制限があり、軽量ワイヤーが手に入るまでは、この長さで実験する事にします。

アンテナアナライザーで、このアンテナの共振周波数を1.910MHz、SWR1.05に調整した後、実際に60W出力してSWRをチェックしても、SWR最少周波数は1.910MHzぴったりで、SWRも1.05以下となり、ずれは有りません。また、シュミレーション上のゲインも-2dBiくらいになっており、前回のLWと同等です。  ただし、前回のアンテナの打ち上げ角は30度くらいで、曲りなりにもDXは狙える状態でしたが、今回のアンテナは、高さが低くなり、かつ水平部分が増えた為、MMANAでのシュミレーションでは真上方向のヌルポイントがなくなり、かなり輻射するようになってしまいました。 多分、国内QSOしかできないと思われますが、やむなしです。

とりあえず、仮設した晩に2局と交信できましたが、2,3エリアでした。 また、従来S7くらいであったノイズがS9まで上がってしまいました。 そうこうしている内に、夏になり160mバンドの出番はなくなってしまいました。 そして、かなり時間がたった2014年CQ WWコンテストで使ってみました。最長距離はハバロスクの約2500Kmでした。 サハリンが+40dBで聞こえます。 また、CQを出しているJA局はのきなみ+40dBで聞こえます。 このコンテストでのJA局同士の交信は無得点ですから、交信しておりませんが、多分国内交信は問題ないと思われます。

MMANAでシュミレーションした結果は、水平面の指向性はいびつですが、垂直面は真上ではなく、多少打ち上げ角が下がっているようです。これが2500Kmをカバーした理由かもしれません。 ちなみにハバロスクの方向は下の水平面指向性のマイナスY(下向き)方向でした。 

160m25mmana

もう少し改善したく、全長40mのLWにトライしました。

160m用ロングワイヤー3に続く。

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2014年4月21日 (月)

パワーでSWRが変わる (出力を上げるとSWRも上がる)

<カテゴリ:アンテナ>

その1

今までの160m用のアンテナは、HF用スカイドアループをエレメントとした、つぎはぎエレメントを使用し、このつぎはぎの部分にはギボシ端子を多用していました。

アンテナアナライザーでSWR1.1以下に調整した後、実際の送信機とSWR計で確認すると、共振周波数が大きくずれます。また、出力を1W、10W、40Wと変化させても、SWR値が変わります。 アンテナアナライザーとの差は良くあることなのですが、出力10WでSWR1.1に調整した後、出力を60Wまで上げると、SWRが2くらいまで跳ね上がります。出力を10Wまで下げると、またSWR1.1に戻ります。 この原因は最初、マッチングトランスのフェライトコアの問題かも知れないと、SWRが悪化するのは我慢して、トランスを外してみました。少しは改善しますが、ほとんど同じという状況でした。

ギボシ端子は電流により接触抵抗が変わりやすいという情報を以前聞いていた事もあり、試しにギボシ端子を2~3回抜き差しして、再度SWRをチェックすると、SWR値と最低SWRになる周波数が変化します。単純な抜き差しで状態が変わるような不安定な接続状態になっている事は事実のようです。

そこで、このギボシ端子を全て廃止し、つぎはぎすべき場所が2か所のみになるよう、その他の接続部分はハンダ付けに変えてやりました。 そして、2か所の接続部分は丸端子とY端子をハンダ付けし、これをステンレスのビス、ナットで締め上げる構造にすると、アンテナアナライザーと10W出力の時のSWR差はかなり改善しましたが、10W時、SWRが1.1になるように再調整した後、60W出力で確認すると、依然としてSWRは2くらいです。

Giboshi

Nutt

左上は切り取ったギボシ端子。右上はビスナットに変更した接続部分。 なお、ギボシ端子の影響を確認できたのは、160mバンドのみで、80mバンド以上では影響なしでした。

10Wでは依然、SWR1.1ですから、まだ、高周波電圧の大きさで、共振周波数やSWRが変化する要因が隠れているようです。 整合回路のアース接続や、コイルのタップ切り替えにミノムシクリップを使っていますので、これが原因かも知れません。そこで、ミノムシクリップをハンダやナットによる締め付けなどの接続に変えてみましたが、あまり改善効果はありません。

この接続状態で、使っていない、7メガ用垂直エレメントの共振周波数をMTUで可変してやると、160mのアンテナの共振周波数が変わります。  普通、近接している他のバンドのエレメントとの干渉は有ります。しかし、干渉が送信出力で変化するのはあまり聞いた事がありません。そこで、160mのアンテナエレメントとして使っているHF用スカイドアのループを切り離し、短くなったエレメントが1.8MHzに同調するようローディングコイルを調整してやると、出力によって変化するSWRがかなり改善しました。60Wでも1.2以下です。 スカイドア用の同調フィーダーと7MHz用エレメントとの距離は5mmくらいで、この間の絶縁はポリ塩化ビニール(PVC)です。一応、専門書を読んでもPVCは10MHz以下なら使用可能となっていますが、この判定はPVCのtanδの変化からのみの判断であり、高周波の高電圧が加わると、誘電率が変わるのかも知れません。 そこで、LCRの共振回路を作り、このCの絶縁材料をPVCにして、出力で共振周波数が変わるかテストしてみました。出力を大きくするに従い、共振周波数は下がりますが、その差は1.8MHzで5KHzくらいで、内訳は1mWと1Wの差が4KHzで1Wと60Wの差は1KHzでした。1mWはアンテナアナライザーによるドライブですから、浮遊容量などが影響している可能性が大きいので、1Wと60Wの差だけが事実かもしれません。しかし、実際は1Wと60Wで10KHz以上のずれが発生していますので、これだけでは説明できません。

結局、原因は判らず、160m用ロングワイヤー(LW) 2に紹介の様に160m用の専用エレメントを6メーターくらい離して設置する事で解決しました。

後日、この真の原因が判りました。 その2の例でも説明していますが、絶縁ワイヤーの耐電圧の問題でした。 ビニール被覆の耐電圧以上の高周波電圧が加わると、そこでリークが発生し、電気定数が変わってしまうのが原因です。 しかも、この高周波耐電圧値は通常公表されていなく、かつ、継時変化により劣化する速度がかなり早く、屋外では1年もしない内にパワーでSWRが変化するような現象が発生するようです。

その2

1本のグラスファイバーポールにHF用スカイドアと6m用ヘンテナを架設し、それぞれ、約4mの長さの平行フィーダーで垂直に降ろし、別々のアンテナチューナーに接続していました。 この平行フィーダーの途中は束ねられ、風でフラフラしないようマストにしばりつけてありました。 建設してから2年が過ぎたころから、21MHzでパワーによりSWRが変わるという現象が出始めました。 

Multifeeder

具体的には、アンテナの4m下に置いてあるMTUのTX端子側で、アンテナアナライザーを使い、SWR1.1以下になるよう調整した後、実際に10Wの出力を出し、SWR計で測るとSWRが2付近になってしまいます。 そこで、10WのときSWRが1.1以下になるように再調整した後、アンテナアナライザ-で測るとSWRが2を超えます。 数か月悩んでいましたが、別件で6mの平行フィーダーを外したところ、このパワーでSWRが変わるという現象が起こらなくなりました。 HFと6mの平行フィーダーの結合状態がパワーで変わるという160m用アンテナのときと同じ原因でした。 建設当初からこの平行フィーダーの架設状態はあまり変化はないので、原因はワイヤーの塩化ビニールの被覆が劣化して、耐電圧が極端に劣化し、高周波電圧がこの限界を超えると絶縁破壊を起こすのが原因のようです。

対策は、左の写真のように、ふたつの平行フィーダーをマストを挟んで、MTUまで引き降ろす事にしました。 この対策で、完璧ではありませんが、10W出力でもアンテナアナライザ-でもSWR1.2以下に収まります。  恒久的には、他の方法を考えねばなりません。

送信機のパワーでSWRが大きく変わるような現象が発見されましたら、普通は最初にフェライトコアを疑いますが、ギボシ端子もかなり悪さするようです。さらに他のエレメントと極小間隔で接近している場合も互いに影響を与えるようです。同じような問題でお困りの時、参考にしていただけたら幸いです。

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