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2023年4月26日 (水)

ATUのデバッグ(思い通りにいかない!)

<マルチバンドアンテナシステム2>ATU 自作 ループアンテナ 

アンテナの設置も仮状態ですが完了し、ATUのチューニングや試験電波を出せる状態になり、たちまちは、7MHzでの実地検証を始めました。

Newantop1

SWRが1.5以下の周波数で、SSBによるCQを出しても、ATUは何も異常の症状は出さないものの、どなたも応答はしてきません。 時間帯は午後7時ごろでしたが、垂直DPならこんなもんだろうと、諦めて、CWバンドへ移動。 出力2Wくらいで、チューンを取り、フルパワーのCWでCQを出すと、外付けのアナログ式SWRメーターがSWR5以上を示します。 

ATUの組み立て中に確認した出力電力に対する耐性(イミュニティと言います)は60W連続出力でもOKだったのにと焦ります。 詳しく調べると、SWR1.68程度の場合、連続キャリア60W及びSSB100Wpepでも問題有りませんが、10W CWモードで、NGとなります。 そしてATUを再TUNEしてSWR1.37まで落とすと、CW 100WでもOKとなります。 という事は、少なくとも、SWR1.8くらいの時でも、100W CWで問題無いようにしないと、ストレスが溜まるだけになってしまいます。 

翌日チェックすると、受信感度が30dB以上落ちていました。オーバーホール完了時点では、全く問題なかったのに。 ただ、机の上に有る、TS-850SもFT-450も同じように受信感度が落ちていますので、アンテナかATUの問題かも知れません。

10MHz帯のバンド分割が間違っていました。これは、ソフトだけで解決できそうです。

ATUが何らかの理由で電源OFFになっても、電源OFF直前のATUの設定条件をラストデータとして記憶させて置き、再度電源ONになった時は、この設定状態を再現するように改善するつもりです。

世の中、ゴールデンウィークに突入したようですが、こちらは、カレンダー通りです。

雨が上がり、仮設状態のアンテナとATUを降ろす事ができましたので、今までに発見された問題点を確認しました。

まず、受信感度が極端に落ちた原因。 ATUを外して、ATUの代わりに50Ωのダミー抵抗を取り付けて、シャック側からアンテナアナライザーでSWRを確認したところ、SWR1.00で同軸ケーブルは問題なし。 どうも原因はATUの中にありそうです。 ATUのリレーを全てリセットしてATUの出力に50Ωのダミー抵抗を付け、送信機側でSWRを測ると、1.00 これも問題なし。

ATUの出力にバランを付け、このバランの出力に50Ωの抵抗を付けると、SWRは10を超えます。 どうやら、バランがおかしい。 バランから引き出されたUEWを動かすと、時々SWRが良くなる事があります。 どうもバランのUEWがショートしているみたいです。

Remakebalan

バランをケースから取り出してみると、巻線の半田付け部分がお互いにショートしているところがありました。 対策は、この半田付け部分の裸線の間に絶縁テープを入れ、互いに絶縁するようにした上で、半田付け部分が動かないように絶縁テープでしっかり固定しました。

左が、その対策後のバランです。

この状態で、ダミー抵抗を繋いでTUNEテストをすると、チューニングは正常に動作するようになりました。

次は、10Wくらいの出力でマイコンが誤動作する件ですが、このバラン対策を行った後でも、10Wでの誤動作レベルは変わりません。 

雨が降り続いて、ATUを降ろせない間にひとつの問題点を発見いていました。 アンテナの同軸のGNDとマイコンのGNDは、フェライトビーズで高周波的に絶縁してあったのですが、マイコンをATUボードから分離し、別の金属ケースに移した際、マイコンのGNDを金属ケースにビス止めしてありました。 このビス止めの為、せっかく分離した、同軸のGNDとマイコンのGNDをショートしていました。

そこで、このマイコンのGNDがケースへ直接落ちないように、基板の裏側に張り付けてあった銅箔をはぎ取ってやりました。

Gnddelete

Addncf1

左上の黄色で示す部分の銅箔をはぎ取り、マイコンのGNDがケースに直接落ちないようにすると、100W CW送信でも問題なしです。 念の為、28.9MHz付近でテストを行いますと、SWRが2を超える状況でもCW 100W送信では問題有りませんが、キャリア連続出力70Wにて、マイコンがハングアップします。 そこで、みぎの写真のごとく、見えているワイヤーに、手持ちのフェライトコアを可能な限り巻き付けてやりました。 その結果、この28.9MHzでの連続キャリア70WもOKとなりました。 この時の実験は50Ωダミー抵抗で行っており、実際のアンテナでは28.9MHzでの整合は出来ませんでした。

さらに、もし、マイコンがハングアップしても、一度マイコンの電源をOFF/ONする事により、前回の整合条件を復帰できるようにソフト変更しましたので、やばそうな状況では、マイコンの電源をOFFする事により、リレーの設定は保持され、ATUの整合が崩れる事はなくなります。 これは、自作の200W機を送信する時に、役立ちそうです。

ATUのリレーはもくろみ通り、電源OFFでも状態を維持するのですが、付属で追加したインダクタやキャパシタをON/OFFするリレーはOFFモードに戻ってしまいます。 また、アンテナA以外を使用している場合、この切り替えリレーも全部OFFになってしまい、ATUの電源を切ると、使う事が出来ませんでした。

 

Reload


2023年のゴールデンウィークです。 コロナの束縛からも解かれ、皆さん開放的ですが、新作のATUが、思うように動作せず、連休も半分過ぎてしまいました。

超ナロー幅のスカイドアアンテナはほぼ完成したのですが、最高部まで上げたのは一晩で、ATUの問題の為、手の届く高さに置いておかねばならない日が2日間。 この間に、バグや機能向上の為に、マスト上にある、ATUにノートパソコンを繋ぎ、ソフトの再インストールを実施したのは数え切れませんが、なんとか、実用に耐える状態になりましたので、明日にでも、最高高さまで上げる事にします。

左は、ATUを手の届く所まで降ろし、ノートPCで、プログラムの書き換えを行っているところです。 

 

一旦下げたATUの改善内容は以下です。

一度整合状態になったATUを再度TUNE動作させると、即SWR90状態になります。 その対策のひとつとして、最初にリレーをプラスかマイナス方向に増減する判定を追加しました。 これで、かなりの頻度で、即収束しますが、バンドによっては、SWRが1.6くらいの状態でいきないSWR90になってしまいます。 この原因がまだ判りません。

指定した周波数の整合が過去一度もない時は、一番近くの整合条件を拾ってきて、仮整合させる仕組みを構想しましたが、いざ実験すると、バグだらけで、全く機能しませんでした。 そこで、この機能のソフトはエクセルを使い、ワンステップごとに動作を確認したソフトに作り替えました。この作り替えたソフトでは、一応要求された動作は行いますが、次の再TUNEで、どこかへ飛んでいくという異常動作がまだかなり有ります。 アンテナを上げるのを諦めて、このSWR1.5くらいから再チューニング開始した途端、SWRが90以上になる現象を、リレーの切り替えタイミングを0.5秒まで落とし、SWRの変化を見ていると、リレーを2step変更しただけで、SWRが1.5よりいきなり90に跳ね上がります。 どうも、リアクタンスが反転するような限界ポイントでかろうじて整合している状態で、LやCが2step変化するだけで、リアクタンスが反転し、起こる現象のようです。 そこまで判ると、ATUが気長に3分間も最適値を探しているのを我慢しなければならないという事でした。

とりあえず、仮設置状態ですが、10MHzと18MHzでQSOは成功しました。 山梨県、沖縄、それに中国(B5)でしたが、一応期待通りのRSTでした。 中国局との交信の前後では、中国局を呼んでいるVKもかなり強力に入感していました。 HFのスカイドアアンテナは、昔から、相手の受信信号より、当局の信号を受信した相手局からの受信レポートが良いという現象は、今回も再現出来ました。

MMANAによるシュミレーションでは、SWR1.5の範囲の帯域幅は、21MHzで50KHz以下でしたが、実際に測定したSWR1.5の範囲は120KHzくらい有り、21MHzの場合、4ポイントの周波数でATUの同調を取って置けば、全バンドカバーできる事がわかりました。

7MHzのアンテナは、フルサイズの寸法に近いですので、1ポイントの周波数のみで、7MHzから7.2MHzまでSWR1.5以内でカバーしています。 ただし、各ポイントでSWR1.1以下に整合した時の話ですから、もし、SWR1.4くらいで収束した場合、SWR1.5以下の範囲は+/-10KHz以下と考えられますので、当初設定した全ポイントで整合を実施しておかねばんらない事には変わり有りません。

コントローラーの周波数アップダウンツマミによる誤動作がだんだんひどくなってきました。 デジタルオシロでI/Oの波形をチェックすると、割り込みがかかる端子のチャタリングが大きくなっていました。 ロータリーエンコーダーの固有の問題でエンコーダーを交換する必要がありますが、エンコーダーのB端子はまだましな波形をしていましたので、割り込みの発生する端子をAからBに変更しました。

5月6日 3.5MHzから50MHzまでのATUプリセットがほぼ完了しました。 ほぼの意味は、28,570以上と51.25MHz以上の周波数では、どうしてもATUが収束しません。 従って、28.51MHz以上の周波数を使用する場合、28.510で同調した状態でそのまま使う事にしました。 この場合、28.700くらいまでSWR1.5以内に収まります。SWR2まで許容すると28.800くらいまでは使えます。 50MHzの場合、51MHz以上で交信する事はないので、そのままです。

SWRの収束が悪いのは3.5MHzで最大でSWR1.8となります。7~24MHzはほぼすべてSWR1.15以下に収束しました。 28MHzと50MHzは、収束する範囲でSWR1.5以下になりますので、実用上は問題有りません。 1.8MHz はアンテナ端子Cにロングワイヤーを接続する予定ですが、まだワイヤーを張ってありませんので、ワイヤーが設置されたら確認する事にします。

2日間使った感想は、快適です。初日に、全周波数のプリセットを済ませましたので、2日目は、一度もプリ送信や、再チューニングをすることなく使用できました。 また、受信機のバンドを変えた後、ATUのバンドを指定すると、ノイズが急に大きくなり、整合状態になった事を実感できます。

Nbatuskydoor3

画面の右から5月の風を受けて少し傾いていますが、最終設置状態です。 最終設置状態での1st DX QSOはアンテナを上げたその日の午後、21MHzにて、ニューカレドニアとのQSOで59/59でした。

その後2日間の間に フィジー、インドネシア、ベラルーシ、ウルグアイ、ノルウェー、オランダと交信できました。ヨーロッパは全てロングパス、21MHz CWでの運用でした。 

しかし、その後、また受信感度が全バンド30dB以上落ちる現象が発生し、どのバンドもチューニング不可となってしまいました。 この現象は2回目です。 前回はバランの線間ショートでした。 ただし、UEWの絶縁が壊れてショートしたのでは無く、ハンダ付けの裸の部分がショートでしたので、修理対応としては、ハンダ付け部分に市販のビニールテープを挟み、絶縁確保しました。 今回、もし、同じ原因なら、ATUの出力にとんでもない高電圧が発生して絶縁破壊したのでは? そこで、ATUの出力端子で発生する電圧をTLWにてシュミレーションしてみました。

TLWの紹介資料 tlw.pdfをダウンロード

Balanvoltage

左の表が、電圧が高そうなバンドを抜粋したシュミレーションデータです。

いずれも100W出力時の値です。 1.8MHzと7MHzは200W出力になりますが、リアクタンスの値が高くないので、このデータより低くなります。

この表から、最大で5000V以上の電圧がバランに加わる事が判りました。 ATUを通した受信感度が急に落ちたのは、24MHzでCW 100W運用した後でした。 その前に21MHzで何回も運用していたのですが、シュミレーション上の出力電圧は24MHzより高い1030Vでした。まだ、3.5MHzや28MHzでCW運用した事が無いので、心配になります。 シュミレーションと実態が違う事を願うばかりです。 絶縁不良になった部分は4個の巻き線をお互いに接続する部分が絶縁テープ1枚で隔てられており、そのテープの厚みが0.1mmのものでした。材料がPVCとすると2KVくらいしか絶縁耐力が無く、バランの絶縁耐力を5KV以上に引き上げる必要があります。 

以前使っていたプリセットMTUの場合、T型アンテナチューナーでしたので、MTUの出力側の電圧は、この表よりもっと低かったのですが、それでもバンドによっては4000Vを超えていました。しかし、使用していたバランがソーターバランでしたので、ワイヤー間の絶縁はワイヤーの絶縁材の厚みだけ気にすれば良いものでした。 市販の屋外用ATUの出力端子が碍子になっているのは、数KVの電圧が発生する事を認識しているからでしょうが、取説の中で、ループアンテナ等に整合させる場合、1:4のインピーダンス比のバランを外付けする事を推奨していますが、耐圧の事は触れていなかったような。

Balanng

ATUに手が届く所まで、マストを縮め、ATUを取り外し、確認すると、NG部品は前回と同様、バランでした。 バランを取り出し、絶縁テープで覆った部分を観察すると、左の写真のごとく、絶縁テープを通り越して放電した場所が見つかりました。 結局、ATUとアンテナの間にバランを使う時は、その耐圧に十分注意する必要があるという事を理解しました。

対策はすでに、用意されており、以前プリセットMTUに使ったソーターバランを取り外し、このATUに実装するだけですが、今まで有った、インピーダンス変換機能が使えなくなりました。 そこで、このATUのコンデンサの分解能を2倍にして、整合確率を高める事にします。 このATUの最小容量は5PFですので、2,5PFのコンデンサを付けたり外したりしたら分解能が2倍になるのですが、あいにく耐圧5KV以上のコンデンサが有りません。 そこで、耐圧1KV 10PFのコンデンサを4個シリーズに接続し、耐圧4KV 2.5PFのコンデンサを作り、今まで使っていたバランのH/L切り替えリレーを使い、この2.5PFのコンデンサを付けたり外したりできるようにします。 使っているリレーは5000V耐圧品です。コンデンサは目標の5KVには届きませんが、なんとかもつだろうと期待します。

Sotorbalan

上の写真がソーターバランを取り付けたATUの内部です。このバランのワイヤーの絶縁厚みは1.5mmくらい有り、2本の隣り合ったワイヤー間の耐電圧は単純計算でも90KV以上有ります。 左側の青いものが2.5PFのコンデンサになります。 この状態で、50Ωのダミー抵抗を接続してチューニングテストを行うと、従来より早く収束する事を確認できました。

ATUの中の最小容量が10PFである事が判り、最終的に2.5PFのコンデンサは5.5PFに変更されました。

このATUをマストに取り付け、仮設状態でチューニングテストを行うと、28MHzと50MHzは、どうしてもSWR3以下に整合しません。 従来の強制バランは、耐圧ではNGでしたが、整合しやすさという点では良好だったようです。 MMANAとTLWを駆使して原因を調べたところ、28.5MHzでのATU整合条件はコイルが7.1uH、コンデンサが7.3PFと出ており、コイルもコンデンサもゼロからチューニング開始した場合、すぐにSWRディップを探すルーチンには入るのですが、SWR3.?くらいを見つけたけど、整合完了の最大SWR3.0以下に届かず、そのまま次のステップへ行ってしまい、SWR90を表示したまま数分間動作した後、エラーで停止してしまいます。 ここは、せめてコンデンサの値が20PF以上で整合するようなアンテナ特性にしてやらないと永久に整合出来ません。

ここで、ATUメーカーなら、ループ長や形状を変えて、整合出来るようにすると取説で説明するのですが、今回の私のアンテナは先にループ長と形状を決めてしまっているので、この対策はとれません。 TLWにてシュミ―レーションすると、バランの出力側に10PFのコンデンサを追加すると、ATU内部のコンデンサの容量が280PFくらいになります。そこで、10PFが無かったので、11PFを追加してみました。 50MHzはOKになりましたが、28MHzは29MHz以上はOKですが、それ以下はSWR3以下になりません。 そして、24MHzから下のバンドもNGでした。 TLWのシュミレートと実態はかなり違うみたいです。 

ループアンテナの形状を変えられないので、変えられるところを色々いじっていた時、ループへATUから給電する為に、無造作にワイヤーを接続してあったのを、平行フィーダーに変えてみました。 すると、バンド内でリアクタンスが反転したり、ローパスLタイプのチューナーでは整合しない範囲が変化する事が判りました。 MMANAとTLWでシュミレーションしていくと、このフィーダーの間隔を4mmくらいまで狭くすると、一番整合しにくい24MHzと28MHzのATUのLCの組み合わせが、SWRを1.8まで許容したら整合しそうな雰囲気になってきました。 そして、今までこのフィーダーの長さは成り行きで50cmくらいだったのですが、これを1mまで長くすると、シュミレーション上は14MHz以上の全バンド整合できそうです。

Feederuhf

左は、この結果を受けて、フィーダーをUHFのTVフィーダーに変更したものです。

このフィーダー状態で、24MHz以下は全てSWR1.5以下に整合しますが、28MHzと50MHzはなかなか整合しません。 コントローラー側に送られてくるSWRのデータの表示間隔を遅くしてみていると、SWR1.3くらいになるのに、それを無視して、次のステップへ飛んでいく状態が何回も再現します。 プログラムにバグがあるのかと色々調べましたが、おかしな部分は有りません。

そこで、SWRの測定間隔を0.5秒まで遅くし、時間はかかりますが、実際のSWRの変化をモニターする事にしました。 その結果、周波数やATUの設定条件を変えないのに、SWR値が不規則に変化する事が判りました。 どうも風によりワイヤーが揺れたり、マストがたわむと、当然SWRが変化し、そのレベルが小数点第1位まで及ぶ事が判りました。 今回のATUはまず、SWR1.15以下をねらいそのポイントを探しますが、そのポイントが見つからない場合、限度値をSWR1.5として再度さがしに行きます。 それも見つからないときはSWR1.8及び3まで限度値を落とし探しますが、これを全部自動で行っていました。 このとき、SWRの検出のバラツキは考慮されていませんので、ATUのコイルやコンデンサを変えた時、SWRが上がるかさがるかの判定を間違い、アルゴリズム通りの動作をせず、整合不能になるようです。

対策としては、この自動で、段階的に限度値を緩めていく仕様をやめ、手動で限度値を変えるようにし、プログラムが勝手に限度値を変更しないようにしました。 限度値はTUNE開始する都度、ワンランクづつ緩め、ランク3の次はまたランクゼロに戻るようにしました。 その結果、風によりSWRの変化が異常になった場合、相変わらず誤動作はしますが、限度値を変更しないので、数秒のうちにエラーになります。 エラーになったら何回もTUNE開始を行うとその内、どれかの限度値で整合成功しますので、その状態で再TUNE動作させると、ほとんどSWR1.5以下に落ち着きます。 また、隣の周波数でSWR1.3くらいになっている状態でTUNE操作すると、1.15以内に収束する確率も高くなりました。 UHFフィーダーに変更した状態で、21MHz以下はほとんど1回でSWR1.15以下、24MHz以上は3~4回のTUNE操作でSWR1.8以下にしかならない周波数もありますが、ほとんどのの周波数で1.5以下に整合するようになりました。 また、高速で荒くスキャンさせる時、従来SWR6以下を見つけたら、SWRディップ条件を探すルーチンへ遷移させていましたが、SWR20以下を見つけたら、SWRディップ条件を探しに遷移するように変更しました。

下の写真は、ATU内部の最終状態です。

Atu_in_2

 

スカイドアの全バンドで整合出来るようになりましたので、正規の高さまで上げ、21MHzで2Wくらいの出力で整合を取り、SWR1.1くらいを確認した後、QSOを始めるとだんだんSWRが上がっていきます。しゃべり終わるころになるとSWR8くらいまで悪化し、相手の方が送信終了後に、再度送信開始した時点では、SWR1.3くらいまで戻っていますが。10秒もたたない内にまたSWR8とか9になります。 QRTした後、バンドの端でCWによるテストを行うと、21MHzが一番影響が大きくい事が判りました。 ATUの中で、コンデンサやインダクターを追加したり外したりしていますので、これらが悪さしているのか確認しましたが、関係なしでした。 初期のころ、強制バランを使用して21MHzで運用しましたが、このような現象は有りませんでした。 また、難問が出てきてしまいました。

SWRが高くなった直後にベランダへ走り、ATUの中のソーターバランのコイルとフェライトコアを握るとほんのりと温かくなっていました。 試しに、このバランを廃止してみました。 21MHzで5分間くらいのQSOをしても、その間、SWRは増えたり減ったりしますが、SWRが1.5を超える事は有りませんでした。 SSBでQSO中のSWRは、FWDとREVの電圧の測定が同時ではないので、上がったり下がったりします。  下はソーターバランを廃止したATU内部です。

 

今回のATUに限った事では有りませんが、ATUに接続する給電用同軸ケーブルとATUをコントロールする8芯のケーブルには、3.5MHzでも十分効果のあるコモン電流阻止用のFT240#43コアにケーブルを10回巻き付けたチョークが挿入されています。 この効果で、ソーターバランを廃止しても問題が生じません。

Balanless

結局、ソーターバランもNGとなりました。 以前のプリセットMTUでは、スカイドアの横幅が今回の2倍になる2mでしたので、バランの中を流れる電流もギリギリでOKだったのが、横幅が半分になり、その分インピーダンスも下がり、電流が増えた事により、バランが飽和したものと推定します。 幸い、バランはNGとなりましたが、ATUその物は大丈夫な様です。 普通はこのような問題を防ぐ為に電流制限用の抵抗を追加しますが、なるべくなら抵抗は入れたく有りません。 バランを外すと3.5MHzが整合しなくなりました。 また、垂直DPを使ったときのノイズが増えました。 ループアンテナの場合、ノイズはほとんど変わりません。 3.5MHzが整合しないのは、困りますので、垂直DPだけに効果がありそうな対策案を考える事にします。 MMANAとTLWでシュミレーションすると、バランが無い時の整合条件は7MHzと3.5MHzはNGと出るのですが、7MHzはかろうじて整合しますので、シュミレーションと実態は異なるのは理解できますが、それを加味しても3.5MHzはとても整合出来る条件では有りません。

Balun3

そこで、ノイズ対策を兼ねて、垂直ダイポールにだけ接続する強制バランを追加して見る事にしました。 今回作る強制バランはここで紹介している構造にしますが、パワーは最大200Wですので、フェライトコアはFT-140#43 2枚重ねとし、使用するワイヤーはAWG24の平行線を使います。

左がその完成状態で、ワイヤーをコアに密着させる為に、外周はロックタイで締め上げ、引き出された各端末は、ばらけないようにロックタイで結束しました。

完成した状態で測定したSWRは以下のようになりました。

Newbalun1

このバランを使用する最高周波数は10MHzですからSWRは問題ないでしょう。

Antbbalun

上の写真が強制バランを実装した状態です。 同時に、リレーで付けたり外したりしていたコイルとコンデンサはHOT側のみとし、GND側は常時ショートする事にしました。 垂直DPは3.5MHzから10MHzまでSWR1.5以下に整合するようになりました。 しかし、3.5MHzで10W出すと、マイコンがハングアップします。 7MHzや10MHzでは100WのCW送信でも問題有りませんが、3.5MHzのみNGです。 2日間、色々検討しましたが、対策の決め手が見つからず、7MHz垂直ダイポールに3.5MHzを乗せるのは諦め、3.5MHzのDX用アンテナは、垂直DPの上側エレメントのみ共用した垂直アンテナを別途用意する事にしました。 この別途追加予定のアンテナはATUを使わず、MTUで整合させます。 この為、垂直DPの上部エレメントをATUから切り離す為にANT-D用のリレーを追加し、専用の端子だけ用意し、後日検討する事にしました。 下は、このANT-D用のリレーを追加したATU内部です、

Antd_add

 

Slowper160

1.8MHzのアンテナ用として、アンテナ端子Cを設けておりましたが、ここに接続する160m用のアンテナは、家の鉄骨をタワーに見立てた、スローパーとする事にしました。 スローパーは以前実験した事が有り、国内の近距離ならOKでしたが、2エリア以遠との交信は不可能でした。 前回は給電点の高さが8mでしたが、今回は11mにします。 ただし、打ち上げ角はほとんど下がらず、かつ若干の指向性を持つようですから、国内専用となりそうです。 一方、7MHzの垂直ダイポールは30m、40mと80mバンド用として使いますが、その打ち上げ角の問題から、国内用としては、かなり性能が落ちますので、この160m用スローパーを3.5MHzは国内用に使えるようにしますが、7MHzはまだ無理かも知れません。 その為、スローパーのワイヤー長はシュミレーションで決めた42mとし、80mと40mは、スローパー用と垂直ダイポール用に二組のプリセットメモリーを確保し、同じ周波数でも、2種類のアンテナを使い分ける事が出来るようにします。 次の休日にアンテナを張ろうと 160m用のワイヤーだけ、ATUにネジ止めし、ベランダに置いたままですが、次から次へと出てくる問題点の為、なかなか手が付けられません。

垂直ダイポールに3.5MHzを載せられない事が判った時点で、やっと160mのアンテナの実験に取り掛かれました。 42mのワイヤーを張ろうと意気込みましたが、池の周りの雑木に阻まれ、結局張れた全長は39mでした。 このワイヤーに1.825MHzを整合させようとすると、出力2Wでマイコンがハングアップします。 机上で、160m用スローパーの定数をコンデンサと抵抗でシュミレーションする場合、100W送信でも問題ないのに、ATUを11mの高さまで上げると、たった2Wでハングアップしてしまうものです。 

広島県も梅雨に入った模様で、連日雨が続いており、先週の日曜日に上げたATUを降ろせない日が続いていますが、ローバンドでマイコンがハングアップする原因がかすかに見えてきました。 机上でOKなのに屋外でNGになるのは、長い25mのコントロールケーブルが原因かも知れません。 TUNEスタートとRESETのSWはKT-100のオリジナル通り、割り込みで処理し、このI/Oに高周波が回り込まないようにフェライトビーズをシリーズに挿入しています。 しかし、チップタイプのビーズのインピーダンスは100MHzで470Ωの物を使っていますが、7MHzで120Ωあっても、3.5MHzや1.8MHzでは7MHzの半分、もしくは1/4しかありません。 ここに気づてKT-100の回路を見直すと、このビーズの位置には100uHのコイルが挿入されていました。 1.8MHzの場合、100uHのインピーダンスは1KΩを超えます。 ビーズのインピーダンス不足なら、TUNRやRESETキーに限らず、シリアル通信ラインやLEDラインも該当する事になります。 このインピーダンスの差が今回のローバンドに於けるマイコンのハングアップの原因かも知れません。 ここまで判ったのですが、雨でATUを降ろせないという歯がゆい状態です。 雨が止むのを待つしかないです。

台風2号が近づこうとしていますが、一瞬の晴れ間を狙い、ATUを降ろし、コントローラーとATUを結ぶ、ライン上にチョークコイルを追加しました。 追加するチョークコイルは100uHでしたが、あいにく手持ちが有りません。やむなく20個くらい手持ちしていました1mHのコイルで代用する事にしました。

Sirial1mh

左はシリアル通信ラインの波形です。上が送信側の波形で下が受信側の波形です。 1mHのコイルを入れたにも関わらず、送信側より受信側の波形が綺麗になっています。 これで、1.8MHの送信信号がマイコンのi/oに直接加わらないように期待したいと思います。

回路を改造し、いざATUをマストに括り付けようとしても連日の雨です。 天気予報では、中国、四国地方に線状降水帯が出来ると警告されていましたが、幸い、予報が外れて、夕方つかの間の晴れ間が出来ましたので、改造済みのATUをマストに括り付け祈る気持ちで1.8MHzの整合テストをすると、なんとか1.8以下で整合でき、かつ100W CW送信でもマイコンがハングアップしなくなりました。  その日の晩に1.8MHzをワッチしましたが、CWもSSBも聞こえませんでした。 翌日、SSBで三重県とQSO出来ました。

垂直DPが3.5MHzで整合しない事に対する対策として、現在、下側のエレメントを地上高3mの位置で止めているのを、地上高1mまで伸ばしてみました。 すると、3.5MHzから3.8MHzまで全周波数で整合出来るようになりました。 この地上高を3mに留めたのは7MHzでの打ち上げ角が上昇するのを避ける目的でした。 改めて、最低地上高3mと1mの時の打ち上げ角を確認すると1mの方が1度ほど高くなります。 打ち合上げ角と3.5MHzの整合を天秤にかけると、3.5MHzが整合する方が良いですから、打ち上げ角の上昇は諦めました。

Skydoorwith160mslowper

ローバンドのアンテナの設定に難儀しましたが、21MHzでイタリア、フレンチギアナ、7MHzでウルグアイとSSBで交信出来ています。 また、18MHzで国内向けにSSBでCQをだしているとカリフォルニアのサンディエゴから呼ばれるというラッキーも有りました。 正規の高さに上げた状態に於いて21MHz CWでネパール,タイ、ドイツ、アイルランド、クロアチア、モロッコの西側大西洋上のポルトガル領マディラ島とQSOできました。

当初の予定では、160m用スローパーを80mのLWとして利用する計画でしたが、予定の42mを展開できなかった為、80mはほぼ1/2波長の長さになってしまい、整合出来ませんでした。 このバンドに整合するには、ワイヤー長39mは伸ばせませんので、短くカットするしかないのですが、当面は現状のままで、80m用国内向けアンテナは、時間をかけて再検討する事にします。 

 

ATU本体の配線図 NB-ATU_main5.pdfをダウンロード

コントローラーの配線図 NB-ATU_contoroller5.pdfをダウンロード

ATUソフト NB-ATU-main_6.cをダウンロード

コントローラーソフト NB-ATU-controller_6.cをダウンロード

ATUヘッダーファイル FREQ_Span5.hをダウンロード

コントローラーヘッダーファイル FREQ_Center5.hをダウンロード

未解決の問題点については次の記事で紹介します。
 

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2023年4月25日 (火)

CWのブレークイン機能動作せず

<カテゴリー:TS-930S>

久しぶりの修理です。

2018年に旧スカイドアアンテナを降ろし、同時に、このTS-930Sでの交信も途絶え、自作無線機の実験以外、電源ONした事が無かったのですが、2023年の4月に、新スカイドアンテナを上げて、HF交信を楽しもうと、電源を入れ送信テストをすると、SSBはOKですが、CWの電波が出ません。 電波が出ないだけで無く、CWのモニタートーンも聞こえず、かつ受信の音も聞こえません。 再開するHF交信のメインはCWですので、修理するか、廃棄して、隣に鎮座するTS-850Sにメインの座を渡すかの選択となりました。

とりあえず、カバーを外し、操作SWの裏側が見えるようにして、スィッチの端子間の導通を確認する事にしました。

CWのモニタートーンが出ないのは、VOXとMONITOR SWの接触不良でした。 いずれも何度もON/OFFを繰り返すと、時々OKになったり、NGになったりでしたので、KURE印の接点復活剤を吹き付けてやりましたら、OK状態になりました。

次に、CWやTUNEの時、受信音が聞こえないという問題です。 詳しく調べると、NAR(ナロー)とWIDEの切り替えSWの接触不良です。 このSWの接点に接点復活剤を吹き付けるのは、ほとんど不可能なので、パネル面のSWをNAR方向に倒し、基板の裏側の、NARモード時、ONするSWの端子間をワイヤーでショートしてやりました。 WIDEで交信する事は全くないので、これで不都合は生じません。 ほかにPROC ON/OFFのSWも接触不良で、PROCがONになりません。 このSWもPROC ON状態にワイヤーでSWの端子をショートし、常にPROC ON状態としました。

次は、サービスマニュアルを片手に、送受信系統の再調整を行います。

周波数関係は最大で80Hzくらいのずれが有りましたので、これを+/-20Hz以内に調整しました。 また、コイルのコアをレベル最大にする指定のあるコイルは全て、最大付近に調整されており、問題なしでした。 受信感度も送信レベルも9年前にオーバーホールした時から、ほとんど変わっていなく、特に受信感度は、追加したプリアンプの為、常時20dBくらいのATTをONしておきたいくらいでした。

約2時間で、SW不良対策とオーバーホールが完了し、CWの送受信も問題なくできる状態になりましたので、まだ当分はメインの座に留まる事ができそうです。

TS-930が正常になりましたので、新マルチバンドアンテナシステムの確認に戻ります。

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2023年4月23日 (日)

PIC18F25K42 IOC異常

PIC18F25K42のバグ情報です。

IOCによる割り込みにて、立下りでの割り込みを設定したとき、IOCIEの設定に関係なく、立下りで割り込みフラグがセットされるのは正常ですが、IOCIE=0でも割り込みが発生する。

立ち上がりでの割り込み設定の場合、異常なし。

対策は、立ち下がりによる割り込みを使わない事。 この割り込みの使用場所がロータリーエンコーダーによるアップ・ダウンの検出ですので、どっちでもソフト対応できました。

平行して、ソフト開発をしているPIC18F47K42は、異常なしです。

確認したXC8のバージョン:V2.40  PIC18F-K_DFP 1.8.249

 

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2023年4月16日 (日)

アンテナ建設

<マルチバンドアンテナシステム2>ATU ループアンテナ 

ATUがほぼ完成したので、アンテナを実際に建てる事にします。 

まずは、ベランダから撤去したローテーターの設置です。 ローテーター台は、板厚4cmの2x4(ツーバイフォー)材に防腐処理をしてありましたので、15年経っても、大きな損傷が無く、そのまま使う事にしました。 ベランダの床は排水の為に、傾斜して作られており、前回は、ローテーターを垂直に取り付けるのに大変苦労しましたので、今回は、M8のボルトを板に差し込み、このボルトを回転させ、水準器を使いながら、垂直を出す事にしました。

Rtr01

木製の板に穴を開けただけでは、ねじ山がすぐにつぶれてしまいますので、板の下の面にM8の鬼目ナットを埋め込み、これにM8のボルトを通して、傾きの調整が出来るようにしました。 ボルトが床面と接する所に、厚さ2mmのアルミ板を敷き、床が傷つくのを防止しています。

Rtr02

上は、水準器を使い、板の水平度を見ているところで、水準器を90度振ってみて、いずれも水平が確認できるように左奥のボルトを固定しておき、残り3本のボルトの高さを調整し、約15分で調整完了しました。 右側にストッパーの木片をねじ止めしたのですが、ローテーターを回転させると、ローテーターの凸部が壁に当たります。この木製の台は右側に寄せないとダメみたいで、木片は左側に移しました。 

Rtr0_comp1

後は、実際にマストを取り付け、傾きが無いかを確認したら完了です。

  

 風の強い日でしたが、天気は晴れでしたので、ナロースカイドアアンテナと7MHz垂直ダイポールアンテナをアップしました。

Nbantrotor

Bnbatucomp

ローテーターをベランダ床に動かないように固定し、ベランダの手すりの位置に首振り防止の支持材を取り付けて、マストを自立させ、ベランダ床から約3mの高さまでステーベアリングを上げ、固定しました。 本来のステーベアリングの位置は4mまで上げる必要がありますが、マストの継ぎ目の回転ストッパーが手配漏れで、かつ風も強いので、この日は、この高さです。

Nbantcomp

左が、回転半径50cmのスカイドアと垂直dpの完成状態です。 DPの最上部の地上高は19.5mとなります。

アンテナの水平面指向性が8の字ですので、ローテーターの回転角度は180度あれば良く、その範囲でケーブルやステーが絡まないように配置すれば良いのですが、どうせ、これから何回も、ATU-BOXを下ろさねばならなくなるはずですので、それまでは、この仮状態で、ATUの機能確認とデバッグを行います。

従来の7MHz用垂直DPは地上高8m付近で給電していましたので、上部エレメントがλ/4より長い状態でしたが、今回のアンテナでは、上部エレメントの長さが、8.5mとなり、オフセット給電の位置が上下逆転しますが、ATUでごまかしますので、大きな特性の差は無いと予想しています。

相変わらず、昼間のコンディションは7MHzも14,18,21MHzも良くないですね。 21MHzではVKが59+で入感していましたが、国内を含めて、さっぱりでした。 唯一まともに信号が入感していたのは国内の10MHzだけで、まだ当分はノイズだらけの状態が続くのでしょうか?

後日判った事ですが、この日(2023年4月23日)は4月24日まで続く磁気嵐の最初の日だったそうです。

アンテナが5月連休の1週間前に、曲がりなりにも、ON AIR出来る体制が整いましたので、今度は、5年近く使っていなかった、HF用運用グッズの確認です。

Rotatorlamp

まずは、ローテーターコントローラーの照明ランプが切れていましたので、これの修理です。 ランプをLED照明に変更します。 3φの白色LED 2個を直列に接続し、11mA流しました。写真のごとく、光り輝いています。 

夕方、21MHzをワッチすると、インドネシアからのCQがSSBとCWで聞こえます。 SSBは57くらい、CWも579くらいです。 久しぶりに、CWでQSOにトライしようとしましたが、CW送信が出来ません。 CWのモニタートーンも聞こえません。 スピーカーに耳を近づけると、歪んだ音でかすかにキーイングのトーンが聞こえますが、ブレークインが機能しません。 送信モードでキーインするとちゃんと電波は出ますので、VOXとブレークイン機能が動作しないようです。

かくして、5年ぶりにCW送信しようとしたTS-930Sのオーバーホールが必要で有る事が判りました。 5月連休はCWでDXingが楽しめるかも知れないと、アンテナ設営を1週間前倒ししたのに、当てが開ずれました。

TS-930Sのオーバーホールは、こちらです。

 

7MHzや1.8MHzの水平系のアンテナは、本命のスカイドアと垂直DPが落ち着いたら、考える事にします。 

 

次は、実際のアンテナを使い、ATUの動作テストです。

 



 

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2023年4月 5日 (水)

屋外設置用ATUの組み立て

<マルチバンドアンテナシステム2>ATU 自作 ループアンテナ 

ATU本体はなんとか完成しましたので、これを屋外に設置する為に、防水加工したBOXに収納し、アンテナマストに括り付けられるようにします。

防水BOXの加工を始める前に、強制バランの作成です。このバランはATUとアンテナの間に挿入する為、インピーダンスは50Ω標準にはならないのですが、まともに不平衡ー平衡変換ができているかを簡単に調べる為に、50Ω/50Ωのバランとして作り、後は、その時のアンテナのインピーダンスに任せるという事にします。 ステップダウンの目標インピーダンスを22Ωにしたのは、過去実際に作ったアンテナで実測値が10Ω以下になった事はなく、平均的に15~35Ωで、1.8MHz用でも、最低12Ω、平均25Ωだった事によります。 この値は、シュミレーションと、実態は異なるみたいです。

強制バランは、FT-140 #43のコアを使い。負荷抵抗が50Ωと22Ωを切り替えられるようにしたい為、以前インピーダンスステップダウンの検討をした4層並列接続のUN-UNをベースにUN-BLNを作成する事にしました。 今回はAWG26のビニール電線が手元になく、やむなく、LANケーブルの中に有るAWG24の電線を使ったのですが、線が固くコアに密着しません。 結果的に1:1のバランでも7MHzでSWR3を超えてしまい、うまくいきませんでした。 そこで、再現性がよさそうなバランの記事を見つけ、最初に1mmのUEWで製作しましたが、これも線がコアに密着せず、前述のAWG24ワイヤーと同じような結果となり失敗に終わりました。

そこで、最大パワーが少し落ちるかもしれませんが、0.6mmのUEWで作り直したところ、我慢できるレベルまで改善しましたので、最終的にこのバランで進行する事にします。

 

バランの接続は下のようになります。

Balan_schema

左下が巻線加工完了状態。ワイヤーの接続部分は半田が裸状態ですので、これとコアが接触した時の絶縁が心配でしたので、紙製のマスキングテープをコアに巻いた後、ワイヤーを巻いてあります。 紙を選んだのは、半田付け作業中に溶けてしまわないように配慮したものです。そして、右下のように丸いタッパーの中に収納し、後々、ワイヤーがばらけないようにしました。

Blan_0

Blan_1

この完成したバランをネットワークアナライザでSWRを測定してみました。 左下が、2:2の特性です。 青色のカーブが補正コンデンサなし、赤色が50MHzで補正コンデンサを挿入したものです。 ただし、補正コンデンサを入れても、50MHzで1.7程度までしか改善せず、逆に21MHzが2を超えてしまいます。 挿入する位置がATUとアンテナの間ですから、補正コンデンサなしにしておき、浮遊インダクタンス分はATUで補正した方がよさそうです。 右下のグラフは、3:2のステップダウンバランですが、補正コンデンサなしの状態です。 以前の検討で、ステップダウンのトランスだけでも難しいところで、バラン形式の場合、もっと難しいようです。 使うアンテナのインピーダンスが28MHzで20数オームですから、28MHzまでステップダウンバランを使いたいのですが、 SWR3.5くらいを示しています。 このステップダウンバランが実際に使えるものかは、アンテナ建設が完了してから判断します。

Blan11

Blan32

1:1であろうが、ステップダウンであろうが、うまくいかない時は、以前、プリセットMTUで使った、ソーターバランに変更しますが、このバーアンテナ3本を束にしたソーターバランは結構大きく、実装が難しい為、まずは強制バランでトライするものです。

 

これらの部品を収納する為に防水BOXを手配しました。 内外電気のプラボックスという商品で、品番がPNB283013XL 外形が301x280x130です。 それにステンレスの外部端子や、リレーを取り付け、最終的にはマストに括り付けますが、今回は、全機能部品を内蔵させ、机上でのシュミレーションを行うところまで実行します。

Nbatucomp1

Nbatucomp3

手配したBOXは防水等級が有りませんが、従来のコンテナBOXも防水等級の設定は無く、10年以上問題無く動作しましたので、多分問題ないと判断しました。

この組み立て状態で実働テストをすると、2Wくらいの通過電力でマイコンが誤動作します。箱入れする前は60WまではOKだったのにと焦ります。 原因はBOXの中に追加した5個のリレーのラインを通って、マイコンに高周波が流入しているもので、このリレー用のコネクタを外して、シールドBOXの外に置くと、問題有りません。 対策は、フェライトビーズとコンデンサによるフィルターと、コモンモード対策としてのシールドBOX内へのコモンモード対策コネクターを設ける事とリレーワイヤーへ、フェライトコアの追加です。 左下が、シールドしたマイコンBOXの周辺のフェライトコアで、右下がマイコンBOXの中のアクセスコネクター追加状態です。写真では良く見えませんが、フェライトビーズの後に接続されるコンデンサはBOXのシャーシに直接落とす事により、アクセスコネクタとして動作します。 この状態で連続出力60W、SSBで100Wpep出力でも誤動作は有りませんでした。

Nbatu04

Nbatu03

一応この状態で、1.8MHzから24MHzまで10,25,50,100,500Ωのダミー抵抗にSWR1.5以下で整合しています。 28MHzは10Ωだけはどうしても整合出来ず、25,50,100,500ΩがSWR1.5以下に整合しました。 50MHzは10Ωから500Ωまで一応は整合出来るのですが、ATUの通過損失が極端に大きくなります。 この原因は、ATUのLやCが大きい場合、負荷の状態に関係なく、整合する定数を選んでしまう事のようです。 この状態に陥らない為に、27MHz以上は周波数帯ごとに、最大LとCを制限し、LCの可変ステップを通常の8倍から、4倍、2倍と変更する事にしました。

実際のアンテナは抵抗以外にリアクタンスが含まれますので、整合しやすい時もあれば、しにくい場合もあります。 その場合、バランや追加のコイルやコンデンサを見直す事にします。

 

このAUTを作る上で、今回、送信せずとも、指定した周波数のプリセット条件を呼び出す機能を追加しましたが、その動作仕様の詳細は、以下のようにしました。 

・一度も整合動作をした事の無いバンドの場合、プリセットコール要求をOFFにして、キャリアを出力し、チューニング開始させます。

・すでに整合済みか、整合済みかが不明な周波数だが、少なくとも1回は整合した事のあるバンドの場合、プリセットコール要求をON(白色LED点灯)にして、キャリアを出さずに、コントローラーから周波数のみ指定します。 

・もし、整合済みの周波数なら、青LEDが点灯し、いきなり送信可能となります。 この送信がSSBの場合でも、SWRは表示されますが、FWDとREVの電圧検出に時間のずれがある為、正確な表示にはなりません。 

・青LEDが点灯しない場合、ATUは一度整合した周波数のデータを読み出し、リレーの設定だけは済ませておりますので、キャリアを出して、チューニング開始します。チューニング中は約0.3秒間隔で緑色のLEDが点滅し、現在のSWRを表示します。 

・SWRが6以下になったら、SWRを連続して表示し、SWR1.15以下で停止します。 もし、1.15が不可の場合、1.5以下で停止します。 さらに不可の場合、1.8以下で停止しますが、今までの実験では1.5以下に収まっています。 

・SWRのディップポイントを探し始めるのは、SWR6以下になった時からで、SWR6以下を見つけたらかなりの頻度で、1.5以下まで収束します。 SWR1.8 以下に整合出来なかった場合、SWR1.8以上を表示したまま、整合成功の青色LEDが点灯せずに停止しますが、この状態で、インピーダンス変換トランスの切り替えや、インダクターやキャパシターの設定を変更して、再度TUNEを開始すると、SWR1.8以下に整合出来る事があります。 今までのテストでも、この方法でSWR1.5以下に出来ました。 また、SWR1.5から1.8以上の状態でも、再度TUNE動作をすると、SWR1.15以下になる事もあります。

25mのコントロール用ケーブルを使った実験も行いました、特に異常は有りませんでした。

このコントローラーのTUNEスィッチのチャタリングと思われる現象で、TUNE開始のプッシュSWの感触に問題が付きまとっていました。 とにかく、プッシュ操作にATUの動作が思うように追従しないのです。 ずうっとチャタリング対策のみを追求してきましたが、思うように改善しません。 インターネットでチャタリング対策を見つけては改善し、もうこれ以上対策のしようが無いところまで実施しましたが、かなり改善はしたものの、10回の操作で3回は無視されるという状況でした。 デジタルオシロをマイコンの入力端子に接続して、波形をモニターしても、正常な時と異常時の波形の差異が判りませんでした。 2週間くらい悩んだ末、思い出したのが、タクトSWによる、i/oのラッチアップです。 そのように意識してデジタルオシロの画面を見ると、約0.5Vくらいですが、プッシュONの時、入力端子の電圧が一瞬マイナスに振れます。 よおく観察すると、このマイナス電圧が0.5Vから0.6Vくらいマイナス方向にバラツキ、マイナス0.6V付近になった時、誤動作を起こす事がわかりました。 ここまで判ると、対策は簡単です。プッシュSWは現在ゼロΩでGNDへ落ちるようになっていましたが、このゼロΩを220Ωにしたところ、誤動作は完全になくなりました。 

コントローラー側にも沢山のプッシュSWがありますが、こちらは、全てダイオードを介してGNDへ落すようになっているので、ダイオードの内部抵抗の為、問題にならなかったようです。

 

次は、実際にアンテナを建設し、評価を行いますが、アンテナが建つのは5月連休になりそうです。

MAINユニットの配線図 NB-ATU_nain2.pdfをダウンロード

コントローラーの配線図 NB-ATU_contoroller2.pdfをダウンロード

MAINユニットのマイコン NB-ATU-main_2.cをダウンロード

コントローラーのマイコン NB-ATU-controller_2.cをダウンロード

周波数リスト FREQ_Span.hをダウンロード

       FREQ_Center.hをダウンロード

Nbatuconttollorcmp

  

アンテナ建設へ続く

 

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