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2020年11月21日 (土)

SDR用 7MHz 200Wリニアアンプ

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SDR用100Wのリニアアンプは完成し、すでにQSOに使っていますが、このアンプを収納するケースは200Wアンプも収納できるスペースを確保していました。 そこで、100Wリニアアンプと同様のスーパージャンクションFETを使ったリニアアンプにトライします。

スーパージャンクションFETを使ったリニアアンプの構造はすでに100Wリニアアンプの記事で紹介済みですが、今回は、整理を含めて、すべての工程を写真入りで紹介する事にします。

200Wアンプもコンベンショナルトランスを使いますが、まず、このトランス用のコアの選択です。 メーカーのカタログより、以下の3品種を候補に絞り、特性を取ってみました。

Coresform200w

Coreselect200w

左上が出力トランス候補の北川工業製GTFC-20-10-10で、これを8個並べた時のインピーダンス特性が左の茶色のグラフです。 真ん中はTDK製のZCAT2032で入力トランス用で、これを2個並べた時のインピーダンス特性が左の青色のデータです。 右上はトーキン製のESD-R-17S-1で、同じく入力用で、2個並べた時のインピーダンスと特性が左の紫のデータになります。 緑色のデータは、TS-930に使われているメガネコアの特性です。 これらのデータから、出力トランス用は北川工業に決めました。 一方、入力側は、従来の判定では、グラフデータが寝ていますので、ロスが多くて使用不可としてきたのですが、

Losstest200w

コアに左のような1ターンの1次及び2次巻線を施し、Vinに7MHzにセットしたアンテナアナライザーを接続し、Voutにハイインピーダンスのオシロのプローブを接続して、VinとVoutのレベル差を比較します。 すると、TDK製は-0.5dB以下の減衰に対して、トーキン製は、-6dB以上も減衰します。 いずれも、メーカー発表のデータシートからは優越が判定できなかったのですが、実測すると、はっきりとその差が判ります。 結局入力トランス用はTDK製で決まりです。(参考:コモンモードフィルターに使う場合、トーキン製が有利です)

トランスのコアがきまりましたので、コアをコンベンショナルトランスに組み立てます。

200wtrans

左上が入力用、右上が出力用です。 入力用も出力用もケーブルを挟める構造の分割コアでしたので、ふたつのコアをビニールテープで縛り、バラケないようにした上で、内側の穴に0.3tの銅板をパイプ状にして挿入し、両端をガラスエポキシ基板で挟み、半田付けしてあります。 これで、トランスのサイズが決まりましたので、アマゾンで手配したサイズW100 D80 H27の放熱板を含めて、構造設計をJW-CADで行いました。

200wamp_jw_2

基板サイズは150mm x 116mmとなり、アンプ部とBias温度補償回路をこの範囲にの中に実装します。

リニアアンプ部の回路図は以下です。

200wamp_schema

200Wの出力を確保する為、FETは東芝のTK12Q60W 3石パラレル、プッシュプルの6石構成とします。 このFETのPdは100Wありますので、全体のPdは600Wとなり、実力が半分としても300Wの放熱が可能です。 200W出力時の効率が50%とすると、熱損失は200Wですから、余裕でカバーします。 また、TSSが要求する定格出力200Wの4倍以下のPdをクリアーします。

パワーのロスを少なくする為、100Wの時、FETのソースに挿入した0.33Ωの抵抗は0.1Ωに変更しました。 この関係で、ダイオードをセンサーとした温度補償回路の能力が不足すると考えられるため、Bias温度補償回路のOPアンプのゲインを上げる事にします。

200wbaias_schema

ゲインは約2倍に上げ、Bias調整用VR1,VR2を最大にしてもBias電圧が6Vを超えないように、新たにVR5を追加してあります。 FET3石合計のIdをいくらにするかは、実際に動作させながら決める事にします。

次に3パラFETのマウント加工です。

Fetmount4_2

Fetmount2

左上は、FETを3石、横に並べて半田付けする1mm厚の銅板です。 サイズは20mm x 35mmです。 右上は、マウントするFETを整列させ両面テープで固定した上で、銅板の両端にこれも両面テーブで、左右の位置決めを行います。

Fetmount1

Fetmount0

左上は、FETのドレイン金属部分に予備半田をした状態。 右上は、FETを裏返し、銅板上に半田付けした状態です。 この銅板に半田付けする前に、銅板にも予備半田をして置き、100Wの半田こてで銅板を暖め、半田が溶けだしたら、3個のFETをその上に乗せ、位置決めしたい位置にすべらし、半田が冷えるのを待ちます。

この様にして、作ったFETマウントユニットが下の写真です。

Fetmount3

FETが少し傾いていますが、良しとします。

Raverset

Fetmount5

FETを放熱板に張り付ける前に、絶縁用のラバーシートを敷きます。複数のシートを敷く場合、多少隙間が有っても問題なしです。 そのラバーシートの上に、FETを張り付けた銅板をビス止めします。 この時、ビスにスプリングワッシャーを挿入しておきます。 熱により、絶縁ワッシャがつぶれて、銅板への密着が不足し、FETが熱破壊する事を防ぐ為です。

Fetsorcer

Tempsencer

FETのソースに0.1Ωの抵抗を配線し、3石のFETのゲートに直列に入る抵抗は、3.3Ωのチップ抵抗を3本パラにして、合計抵抗値を1.1Ωとしてあります。この基板の裏側の銅箔を使い、3石のドレインを結合します。 そして、銅板に巻き付けた温度センサー用のダイオードをセンターFETのドレイン部分に半田付けします。 これらの作業は100Wアンプと同じです。

Pwbmount

200wamptesting

左上が、マウント完了したパワーアンプ基板です。 この基板の左上に半固定抵抗が乗った小基板がありますが、これがOPアンプによるBias温度補償回路です。 右上は、実際にTS-930から7MHzのキャリアを加え、動作確認をしている状況です。

動作確認中に放熱板を冷やす、扇風機の電源を入れ忘れ、FETが熱破壊するという事故もありましたが、20Vくらいの電源電圧から、徐々にDC電圧を上げていき、35Vの時、最大出力225Wを確認できました。

以下、動作確認と効率アップの検討内容です。 ただし、まだ出力端にはLPFが入っていません。

200wampadj

上の表は、出力トランスの2次側巻き数、C14やアイドリング電流を変えた時の出力と効率です。 まだ、基板単体をバラック状態で動かしただけですが、電源電圧35Vにて、最大225Wの出力が得られ、その時の効率が52.1%でした。 ただし、10W入力時の出力は、完全につぶれた波形ですので、リニアアンプの出力としては使えません。 35Vの電源で、140Wがリニアアンプとしての実力です。

200wamptest1

そこで、100Wアンプのシャーシ加工を行い、200Wアンプユニットを収納できるように改造し、出力テストを実施しました。 残念ながら、35Vの電源で140Wしか出ません。 原因を確かめると、リニア電源の能力不足と、アンプユニット内の電源回路網に於ける電圧降下で、10W 入力の状態で、ファイナルのドレイン電圧が27Vまで下がっていました。 この内訳はリニア電源の出力が5Vダウンし、30Vしかない事、アンプの電源回路で3Vも落ちていました。 ユニット単体の時は、リニア電源はアンプユニット専用で、ファンやバイアス回路は別電源でしたが、これらの別電源をリニア電源からとったら、たった0.5Aの電流増加で、リニア電源のフの字特性が働き始めたものでした。 また、LPFの損失が10%くらいありました。 電源回路の再検討が必要になりましたので、しばらく休止です。

Acdc36v20a

電源容量不足が判明してから、1週間経ちました。 色々検討した結果、既成のACDCスィッチング電源を用意する事がコスト的に最良で有る事が判りましたので、今回、24V20Aの電源をアマゾンで手配しました。 価格は3600円弱でした。 これに、以前、AM200W機用に手配していました、12V30Aの電源をシリーズに接続し、36Vの電源を確保します。 電源をシリーズに接続した場合、合成電圧は、各電源の合計値になりますが、電流は、その中の最小定格電流に依存します。 12Vの電源の最大定格は30Aですが、24Vの最大定格が20Aなので、36Vの時でも、最大電流は20Aとなります。 2台のACDCを写真のごとく結合し、12V出力端子と24V出力端子を設け、QRPの親機は12V電源から、リニアアンプは36V電源から電力供給する事にしました。

200wamp_inputswr

電源の準備が完了しましたので、36Vの電源で、バイアスを再調整、アイドル電流を6石合計で500mAにしておき、今まで無かった、リニアアンプの入力部分に3dB ATTを追加した状態での入力SWRをチェックしてみました。 左の写真がCAA-500MK2による測定状態で、1.5くらいになりました。 また、今までの検討の中で、FANの風量に不足を感じましたので、FANモーターに加わるDC電圧を少し上げました。

36Vの電圧でリニアリティを確保した出力は150Wでした。、もちろん、入力を上げると180Wくらいはでますが、完全につぶれた波形です。 このACDC電源は最大で40Vまで電圧を上げる事ができます。 そこで、26V+14Vという組み合わせで、トライしてみました。 残念ながら、出力を確認する前に、26Vの電源を誤ってショートさせてしまい、バリバリという音と、煙が出て、26V電源は壊れてしまいました。 そこで、26Vの電源を従来のアナログ電源に変更し、acdcの14Vとアナログ電源の26Vで40Vの電圧を確保し、トライしました。 しかし、最大出力を得る前に、アナログ電源がショートモードで壊れてしまい、いきなり、57V+14Vの電圧がリニアアンプに加わり、アンプもショートモードで壊れてしまいました。  

200Wのアンプの前に、電源をちゃんと確保しないと先へ進めなくなりましたので、アンプは一旦休止し、電源を検討する事にします。 

40Vで10A確保できる電源が出来たので、この電源でトライしました。 残念ながら、半田付けした温度検出用のダイオードが溶けて外れるという事故が2回も発生し、当然、外れた時点で、FETは熱暴走し、壊れました。 小さな銅板に3石のFETを置いた事により、放熱容量が不足し破壊に至ったものでした。 スーパージャンクションのFETの限界が見えた状態でした。 結論として、スーパージャンクションのFET3石を1枚の銅板に張り付けるやり方では、リニアアンプは150Wくらいが限界と思われます。

200Wリニアアンプは、しばらく休止します。

 

配線図 PWR-AMP200W_1.pdfをダウンロード

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