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2012年10月29日 (月)

ケンプロ KR-400RCの修理

<カテゴリ:ローテーター>

現用中のアンテナは、ブロードな8の字の指向性を持ったスカイドアとかヘンテナであり、アンテナは必要に応じて、手で回転させていましたが、夜中に方向を変えたいときなど不便でしたので、頂き物のローテーターでこれを回転させることにしました。 

Krp400c  ローテーターは KR-400RCというケンプロ製のモデルですが、300度付近を向くように操作すると、コントローラーの針がストッパー位置まで移動し、ロックしてしまうという症状がありました。270度くらいまで戻してやると正常に動作します。 原因を調べると、ローテーター側に内臓されている可変抵抗器がガリオームになっており、300度付近の回転角度では、抵抗がときどき無限大になります。抵抗が無限大になると、コントローラーは回転角不足と判断して、ストッパー位置まで指針が回転します。しかし、指針はそれ以上回りませんので、モーターがロックされてしまいます。 たまにガリオームが無い位置に止まると、正常な位置で指針が止まるという症状です。

Krp400v ローテーターから取り外した可変抵抗器の捺印からメーカーを割り出し、インターネットで調べても、通販はしていないようです。仕方なく、似たような形状をした物を探し出し、注文しました。

物が届いて取り付けようとするとシャフトが短くてギアが止められません。再度シャフトの長いものを探して注文。今度はうまくいきました。結局送料を含めると4倍以上の高い部品になってしまいました。

コントロールケーブルは20mくらい必要です。手元に5mくらいのLANケーブルが有り、AWG24のより線が8本入っています。5m長のDC抵抗を実測し、20mになっても0.1Ω以下に収まりそうです。 3本の動力ラインはこのより線を2本パラにして6本使用し、2本の制御線は各1本でまかなえる事がわかりましたので、8本の芯線の構成はちょうど具合がよさそうです。 近くのホームセンターでも買えますが、その半額で売り出されている20mのLANケーブルをインターネットで見つけこれを注文しました。ケーブルが届いてコネクター加工を始めると、このケーブル、いやに細く、かつ導体に半田が付きません。どうやらアルミ線らしい。案の定、コントローラーとローテーターを接続しても、回転せず。電圧降下が大きくてモーター電圧が不足し、回転しないという症状です。 ケーブルの表面にはAWG24と印刷してあります。うそだろう! AWG規格は導体の断面積を決めるもので、AWG24とは、0.2SQ相当で、直径約0.5mmの銅線の断面積に相当します。このケーブルは直径0.2mmくらいのアルミ線が4本(0.125SQ)。 結局、このケーブルもローテーター用として販売されている正規品を再手配することに。

しばらく使用していましたら、今度はコントローラー側の可変抵抗器がガリオームになってしまいました。症状は、コントローラーの指針がいったりきたりして、なかなか止まらないといものです。 結局、コントローラー内の可変抵抗器も新品に交換しました。

KR-400RCの配線図をダウンロード

ローテーターの修理という技術的な部分は実に簡単なことですが、ローテーターに限らず、トランシーバーの修理の為の部品手配も、失敗は数多く、これが、修理完了までの期間を長引かせると共に、宅配業者の上お得意様になってしまいました。

地方に住んでいるのでしょうが無いですかね。

2014年9月

ローテーターを半時計方向に回すと、コントローラーの指針の動きが、シャクトリ状態で動いていました。 しかし、最近この現象がひどくなりましたので、改善できないものかとトライしました。  現物と配線図を見ながら考察していると、この回路はローテーターとコントローラー間のケーブル本数を1本ケチッタ為に、回路的にかなり無理をしている事が判りました。 ローテーター側の可変抵抗器を2本の線でしか結んでいない為、抵抗値が変化すると、当然電流も変化し、これがブリッジのバランスをくずしてしまいます。 この対策の為、Q5,Q6を使い、ブリッジ内の電流に負帰還をかけ、抵抗値が変わってもバランスが崩れないようにしています。 ところが、詳細を調べると、このQ6が可変抵抗の値に関係なく、いつも完全ONの状態で、この為、Q5はいつも完全OFF状態にあり、R16の電流は常に0となっていました。

これは、この負帰還回路が動作していない事にほかなりません。 何か間違いがありそうと、抵抗の値をチェックすると、R19が4.7Kとなっていました。配線図では33Kですから7倍近い差があります。 試に、手元にあった36Kに交換しましたら、シャクトリ現象がかなり改善されました。 この抵抗を56Kにすると、指針が半時計方向に回りだし、止まらなくなります。 47Kにすると、正常動作します。 相手がトランジスターですので、温度変化による影響などを考慮し、33KΩくらいが一番よさそうですが、あいにく手持ちが有りませんので36Kとしました。 

これらの検討中に配線図と実際の抵抗値がかなり違っている箇所の有る事もわかりました。 R1,R2は配線図は220Ωですが実際は120Ωです。配線図の通り220Ωに変更すると、温度が下がると指針モーターが起動しなくなりますので、これはまた、120Ωに戻しました。

結果的にはR19の抵抗が不適切だったのが原因ですが、元から4.7Kだったのか、誰かが修理したとき間違ったのか不明のままです。

2017年8月

とうとう、アンテナの方向とアジマスメーターの指示が一致しなくなりました。 このままでは不便ですので、回路を丸ごと入れ替える事にしました。 改造内容はこちらを参照下さい。

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2012年10月21日 (日)

7MHz用逆Vアンテナ(国内用)

<カテゴリ:アンテナ>

7メガ用逆Vアンテナと垂直ダイポールを比較しました。使用する目的により優越が異なります。両方設置したほうが良いという話です。

高さが十分に取れない為、下側のエレメントは折り返して設置した、かなりいい加減な7MHz用垂直ダイポールですが、給電方式を最適化するにつれ、打ち上げ角が下がり、国内QSOが非常にやりにくいアンテナになっていきました。と言って、すでに、7MHzで82、10MHzで100エンティティーもwork済みのこのアンテナを、元の状態に戻す気はありませんので、国内QSO用に打ち上げ角の高いアンテナが欲しくなってきました。 私の家は狭い敷地で7メガ用の水平ダイポールすら張れないところです。 そんな環境で給電点の高さが屋根より低く、家の壁に近接平行した逆Vアンテナなら、常設しない限り設置できそうです。MMANAでシュミレーションしながら、寸法を決め、国内コンテストのときだけ仮設する逆Vアンテナを使ってみました。

給電点の高さは7m。左右のエレメントは一方が8m、もう片方が12mのオフセット給電の逆Vで、両端は高さ1.8mくらいまで下ろしています。 長さがラフなのは、給電点のすぐ近くにMTUがあるので、適当で良いのです。

Mmanavdp_2 Mmanainv_2

左が垂直ダイポール、右は逆Vの垂直面指向性シュミレーションデータです。

MMANAによるシュミレーションでは、 真上方向のゲインは、 垂直ダイポールが-12.5dBiで有るのに対して、逆Vは+5.3dBiとなりその差は18dB近くも有ります。 両方のアンテナをスイッチで切り替え比較すると、4エリアや5エリアの局はTS-850のSメーターで最大で20dBくらいの差がついて逆Vが有利です。1エリアはどちらに切り替えてもあまり変らず、7エリア以遠は垂直ダイポールが有利というシュミレーション通りの結果が得られます。ただし、近隣以遠の局では、コンディションにより状態が逆転することもあります。  また、逆Vによる受信信号は、垂直ダイポールよりS/Nが良く、昔から、垂直系はノイズが多いと言われる通りに聞こえます。  これは、打ち上げ角に関係しているのでしょう。   昔、衛星通信を行ったとき、衛星が天頂になるほど、ノイズが減ったのを思い出しました。

送信もこの受信の差と同等の差があるようで、パイルを受けている4エリアや5エリアの局を垂直ダイポールで呼ぶと、パイルも終わってCQを出していた事もありましたが、逆Vで呼ぶと、一発で応答があり、その差は歴然です。

Ex40l

このフルサイズの逆Vのインピーダンス整合の為、TタイプのMTUを使っていますが、Tタイプの一方のバリコンは890PFの固定コンデンサにして、限りなくL型に近くなるようにしました。TLWによるシュミレーションではMTU内のロスが1%以下に収まっています。

アンテナは通常、いかに打ち上げ角を下げるかがひとつのポイントになりますが、事、国内QSOに限れば、いかに打ち上げ角を高くして、かつゲインを高くするかが勝負となります。アンテナは高ければ高いほど良いという説は国内QSOには通用しませんでした。MMANAでシュミレーションすると、地上高をどんどん低くするに従い、真上へのゲインはどんどん上がっていきます。地上高1mでゲインは10dBiを越えます。しかし、同時にインピーダンスもどんどん下がっていきます。インピーダンスが下がると、整合回路や、エレメント自身によるロスも増えますので、どこかに最適地上高がありそうです。どうも1/8λ付近の高さが一番良さそうだというのはシュミレーションで判りましたが、実際に1/8λの高さに張ったダイポールは、それほどの効果は出してくれませんでした。(隣の空き地に臨時に仮設したもので、実験終了後撤去) 地面の電気的特性や周囲の建物などが影響してシュミレーション通りにはいかないみたいです。 こういう事が判ってくると、また、次のコンテストまでに、なにがしか改良出来ないかと、課題が出てきました。 同時に垂直系アンテナは、国内QSO向けではないという事もはっきりしました。未交信のJCCやJCGは中国、四国地方に集中しているのがアンテナの特性を物語っています。

良く、初心者向けに、マルチバンド対応GPなどの宣伝を見かけますが、少なくとも垂直に設置したGPは国内QSOには向かず、例え同じ短縮率でも、地上高の低い水平系のアンテナの方が国内QSOは楽しめそうです。小型マルチバンドGPでDX QSOも出来ますよ!と言うのは間違いで、DX QSOしか出来ませんョ、と言うのが正しいのかも知れません。 しかし、アンテナの短縮率以上に効率がダウンし、DXも聞こえないというのが実態ですが。

この逆Vは、もっぱら、国内コンテストだけに使用しておりますが、沖縄から北海道までの距離なら、これ1本でも十分ですね。 ただし、常設しない条件で、設置していますので、コンテストの始まる前に展開し、終わったら、さっさと片付けしまいます。設営に10分、撤去は15分です。

比較しました、垂直ダイポールについては、カテゴリ「マルチバンドアンテナシステム」の中で紹介しています。

コンテストに使う臨時逆Vは、7MHzだけでなく、3.5MHz用も用意しています。   このフルサイズ逆Vも、片方が12m、もう一方が27mのオフセット給電で、給電点の高さは7mしかありませんが、7MHz用垂直ダイポールを、アンテナチューナーで強制同調させた時と、臨時逆Vとの真上方向のゲイン差は、MMANAとTLWのシュミレーションによると約26dBの差があります。実際にTS-930SのSメーターで確認すると、国内の信号は30dBくらいのレベル差がついて逆Vが有利です。 しかし、逆Vでは、DX信号は全く聞こえません。 

Ex80l 

このフルサイズ逆Vにも上のようなパイ型MTUを使用しています。このMTUも限りなくL型に近づけましたので、MTUの内部ロスは1.2%以下です。

一方、7MHz用垂直ダイポールをMTUで3.5MHzに強制同調させた場合、最近、DX信号が聞こえるようになりました。そして、初めてヨーロッパとも交信できました。 他のバンド用の同軸ケーブルやMTU、ローテーターのコントロールケーブルを整理した結果、3.5MHzの打ち上げ角が下がったみたいです。 しかし、まだシュミレーション通りの打ち上げ角にならない原因がありそうです。

アンテナから垂直に引き下ろした、同軸ケーブルは地中を通ってリグにつながるというのが理想のようですね。  しかし私のアンテナは地上高8m付近を水平に伸びていますので、せっせとコモンモードフィルターを追加するくらいが唯一の改善策です。 その介もあってか、垂直ダイポールによるDXCCのエンティティは

3.5MHzで34、 7MHzで94、 10MHzで108

まで増えました。(2017年12月)

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国内QSOを存分に楽しみたいなら、最大地上高7mくらいの逆Vが一番というのが私の結論です。 2016年になってから、7MHzのAMを始めましたが、出力18WのAM送信機で運用する時は、朝から臨時逆Vを仮設して楽しんでいます。 AMの周波数は夜になると、放送局の側波帯による混信で使えなくなりますので、夕方には逆Vを撤去しています。

 

2020年9月

国内交信用として、ツェップアンテナを作りました。 このアンテナは架設がダイポールより楽ですがアンテナチューナーで好きなバンドに出る事は出来ません。

 

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2012年10月12日 (金)

AA-170 インピーダンス指示不良

<カテゴリ:アンテナアナライザー>

コメットのアンテナアナライザーAA-170にて、50Ωのダミー抵抗を接続しても35Ωくらいしか指示しないという故障品の修理を頼まれました。

また、検波ダイオードの不良だろうと、簡単に考え、インピーダンス検出用のダイオードをテスターで当たると、逆方向の抵抗が正常なダイオードの1/10くらいしかありませんでしたので、手持ちの1SS108に交換して、一件落着と思いきや、HFはOKになりましたが、バンドEやFの症状が改善しません。

簡単に直るだろうと思って軽く引き受けた修理でしたが、さあ、困りました。

物置から、借用中のタケダ理研の重さ30kgもありそうな古いスペアナを引っ張りだし、AA-170のアンテナ端子とスペアナの入力を同軸ケーブルで直結してみました。  以前チェックした、まともなAA-170はバンドFで-1.5dBmくらいを指していましたが、今回は-6dBmくらいです。一応インピーダンス表示が正常になったバンドAでは-2dBmくらいの表示となっています。

この出力は半固定抵抗で調整できるようになっておりますが、半固定抵抗を回しても、これ以上出力は上がらないという状態です。

このアナライザーは+5V、+12V、-12Vの3系統の電源ラインを持ちますが、いずれも正常。

発振段からバッファを経由してブリッジ回路に出力するFETやトランジスタのDC電圧をチェックしても異常は見られません。ただし、異常が無いだけで、チェックした電圧が正しいのかどうかは判りません。手元に動作異常なしのAA-170があればすぐに比較できますが、あいにくこの故障した1台しかありません。

色々調べていくにつれ、発振回路そのものの、レベルが不足しているようにしか思えません。 手がかりは、バンドFの時の、Q1,Q2のソース直流電圧がかなり低く、すでに電源電圧フルスイングで動作している事でした。

発振段のFET Q1,Q2は2SK241GR。幸い手持ちがありましたので2個とも交換しましたら、出力レベルが大幅にアップ。50Ωダミー接続時100Ωくらいを指示するようになりました。

これで多分直ったと思いますが、検討している間に半固定抵抗をいじってしまいましたので、ちゃんと調整作業をしておかねばなりません。

調整の仕方は以下です。(コメットに教えてもらった訳ではありません。自我流です)

調整はOSC基板上と電源基板上の半固定抵抗を調整しますが、REF No.が重複していますので、間違わないように。バンドSWはCとして14MHz付近に周波数を設定して、かつ50Ωのダミー抵抗を接続しておきます。

  1. インピーダンスメーターが最大に振れるように、電源基板のVR1を回しきります。
  2. OSC基板のVR2を目視でほぼセンターにします。(これは発振出力の微調整用)
  3. メーター指示が70Ωを指すようにOSC基板のVR1を調整します。(100Ωに調整するという説もあるが、あまり変らなかった)
  4. 電源基板のVR1を調整してメーター指示が50Ωになるようにします。

Aa170pcb1

バンドSWをAからFまで切り替え、どのバンドでもほぼ50Ωを指示するようになりました。

故障の原因はFETの劣化でした。通常、FETの劣化という現象は製品寿命に比べて頻度が低いのですが、それはメーカーが保障する動作環境の中だけの話。2SK241はVdsが10Vで色々な特性を規定し管理されていますが、AA-170は2Vくらいで使っています。2VのVdsはFETのメーカーにとっては管理範囲外でしょうから、FETの劣化という現象が生じたものと思われます。  後日、東芝の他の品種のFETデータシートを読んでいると、劣化すると書いてありました。

50Ωのダミー抵抗を接続しても、インピーダンスメーターの指示が50Ωにならない。不足するという症状で検波ダイオード以外の原因の一例として紹介しました。

なお、調整用半固定抵抗でオフセット用とかSWR用というのがありますが、今回は全く動かしませんでした。

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2012年10月 2日 (火)

SX-200 SWRメーター修理

<カテゴリ:SWR計>

SX-200のメーター指示がおかしいという事をブログで紹介した以上、おかしい原因を調べて、名誉回復をしておかねばなりません。

Sx200diodevr 内部をチェックした結果、REF側検波ダイオードの逆方向インピーダンスがかなり低下していました。SWRが通常より良く表示されたり、電圧対電流の関係が正常値とは異なる状態になっている事の原因でした。 1年以上6mのアンテナとFT-450のアンテナ端子の間につなぎぱなしでしたので、静電気で劣化したものと思われます。

正規品はチップタイプのショットキーダイオードですが、品番は判らないので、手持ちのダイオードで代用する事にしました。ジャンク箱をひっくり返したらリード線を短く切ったショットキーダ イオードが見つかりました、テスターでVFをチェックすると0.15V。 1N60を同じテスターでテストすると0.23V。 テスターの電流は0.4mAですから、見つかったショットキーダイオードはかなり優れもののようです。 このSWRメーターに使われていたダイオードのVFを確認していなかったことが悔やまれます。

ちょうど「ローデ・シュワルツ」の通過型電力計を別の目的で借用中でしたので、これで校正することにしました。この通過型電力計の周波数帯は25MHzから1GHzとなっていましたので、校正はTS-850Sから28MHzのキャリアーを出して行いました。

5W、20W、100Wの出力で各半固定抵抗を調整して、目盛りに合わせこみましたが、50W、10Wや、5W以下1Wまでの目盛り合致度はおおむね誤差10%以内に収まっていました。  多分、正規のダイオードなら5%以内に収まると思われます。

Sx200cal

この状態で30Ωの抵抗負荷をつなぐと、SWRは

  • 1W出力時  1.4 
  • 5W出力時  1.7
  • 10W出力時 1.7
  • 50W出力時 1.7

の表示となりました。本来のSWR値は1.67ですから5W以上では正常になりました。

SWR測定時のCALは1Wでも十分フルスケールを振りますので、1Wでも誤差の少ない指示が出来るように改善して欲しいですね。 KWレンジが付いたメーターで10Wでもまともに測れないSWR計よりはましですが。

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