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2022年10月23日 (日)

デジタル方式 AM送信機 動作確認

<カテゴリ AM送信機(デジタル方式) >

デジタル方式AM送信機の配線が終わりましたので、いよいよ動作確認です。

まずは、オーディオ部分から。 マイクを繋ぎ、普通にしゃべってみて、変調度計のバーグラフの動きをチェックしました。 これが、さっぱりで、まともに動作しません。 

Meterdrive_c

ピークホールド機能をマイコンのソフトでやったのですが、このソフトの出来が悪く、思ったような動作をしません。 結局、左の回路図に示す通り、OP-AMPを追加する大幅改造になってしまいました。 ピークホールド機能は、ハードで構成し、マイコンは単純に出てきたDC信号をAD変換するだけにしたら、うまくいきました。

 

37decoder

電力合成回路のマイコンによるデコーダーの動作確認をしている時、間違って、RA1端子に12Vの電圧をかけてしまい、このI/Oが壊れました。 やむなく、今まで、RA0,RA1,RA2の3bitでデコードしていたものを、RA2,RA3,RA4の3bitへ変更し、PORTAを読み取った後、右へ2bitシフトして、解決しました。 12Vを間違って印加したのは、7pinのコネクタが二つあり、これを間違ってしまったもので、今後同じような事故が起こらないように、CNP13を7pinから6pinに変更しました。

 

3r3vreg

次に、RFパワーアンプへの信号接続と、電源供給をチェックです。信号系統は、一応設計通りデコードされた7MHzのキャリアが供給されるようになっていましたが、12Vの電源を接続すると、焦げ臭いにおいがして、煙がでます。 発煙箇所は3.3Vの安定化電源。 スペックを調べてみたら、最大入力電圧は6Vとの事で、ここに12Vを加えた為でした。 やむなく、3.3Vの3端子レギュレーターの前に5V1Aの3端子レギュレーターを追加して、対応しました。 すでに2石のICを壊していますので、手持ちのIC在庫が気になります。

10月の最後の日曜日。 電力合成回路がうまくいきません。 ステップ出力はなんとか理屈通りでるのですが、パワーが全然足りない。 消費電流が2A近くあるのに、0.1Wも出ない。

この原因を調べていましたら、RFパワーアンプの出力の歪が各アンプでまちまちで、合成したときうまくかさならないんか? 位相がバラバラなのか? そうこうしている内に、FETが死にます。 結局、真の原因は判らずじまいでした。

特定のパワーアンプが何回も煙を出して、FETが死んでしまう原因が判りました。 プッシュプルアンプの2石のFETを同時にONする、いわゆる、貫通現象が発生しているのが原因でした。 終段のゲートをクランプ回路で構成した事により、2石のFETが同時にONする可能性が大きくなり、その状態でドライバー段の出力波形がバイアス電流の調整の仕方で変った時、貫通電流が発生し、この原因を取り除かないまま、壊れたFETのみを交換する為、何度も煙を出して壊れるというのが真相でした。対策を検討する必要になるかも。

7195KHzで送信状態にして、受信機でこのキャリアを受信しようとしますが、ハムバンドの中を探しても、キャリアが見つかりません。 送信波形をオシロでモニターして7MHz付近にある事は間違いありませんので、周波数カウンターを接続してみると、なんと6935KHz付近なっているではありませんか。 どこかでPLLの計算を間違ったみたいです。 さらに、オシロで波形を見ながら、パワーアンプの出力ラインに指が触れると、周波数が低い方へ動きます。 また、パワーアンプ基板のGNDをシャーシに接触させても、周波数が動きます。

かくして、簡単なアンプで済まそうと作成した12台のアンプは、その出力が正弦波より大きく歪、計算通りの電力合成が出来ないという事が判り、12台のパワーアンプは再検討せざるを得なくなりました。 また、PLL VFOも不安定で、これも改善が必要です。

しばらくこのプロジェクトは休止します。

 

 デジタル方式 AM送信機 再設計 へ続く。

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2022年10月10日 (月)

デジタル方式 AM送信機の組み立て

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主な回路ブロックが出来上がってきましたので、いよいよ組み立てに入ります。

Rfdac_front

Rfdac_back

Rfdac_left

Rfdac_right

7mhzbpf_2

C4080rev_001bk_3

左上は、50MHz LPFから改造した7MHz BPFです。 右上は、その特性をネットワークアナライザーで測定したデータになります。 第2高調波帯については、7次LPFと同等ですが、3次以上の高調波に対しては、7次LPF以上の減衰を確保しております。 低調波領域では、急激な減衰は期待できませんが、RFADCのサンプリング周波数500KHzがどのように影響するかはまだ分かりません。

7mhz_backpannel

上の画像は、BPFと出力レベル検出回路、同軸リレー、アンテナ端子と、受信機へのアンテナ入力端子をまとめたものです。

7mhz_pwr_mix_top

デコーダーから、12台のRFアンプへの配線が完了し、そして、12台のアンプから電力合成回路への配線も完了しました。 やっと完成です。 ここまで、2週間かかりました。

Rfdac_tx_comb

ベースになっているシャーシーはTS-700ですが、なんとかこのサイズに収まりました。

  

デジタル方式 AM送信機 動作確認 へ続く

 

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2022年10月 1日 (土)

RF DA変換回路(高周波デジタルアナログ変換)& 出力合成回路

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dsPICを使ったAD変換と、プリディストーション機能付きの回路が出来上がりましたので、次は、8bitのデジタル信号を7MHzのキャリア信号に変え、この8bitの7MHzキャリア信号を高周波のままデジタルアナログ変換を行います。 

今回のパワーアンプの基準出力は1台当たり、15Wに設定しましたので、ピーク出力は計算上は約109Wですが、ロスがありますので、目標ピーク100Wとして、 キャリア出力はその1/4の25Wとします。

構成としては、LSB側のアンプをバイナリ駆動する5台のアンプと、MSB側の3bitをデコードして、駆動する7台のアンプ、合計12台のアンプの出力を、直列電力合成を行い、この合成の過程でDA変換を実現します。 電力合成回路に残る浮遊リアクタンスを直列共振回路でキャンセルした後、7MHzのBPFを通して、アンテナへ出力させます。

デジタル回路の基本としては、8bitの信号をDA変換する為には、重みづけした電力増幅器が8台あれば良いのですが、その場合、最上位ビットの出力は、最大ピーク電力の1/2必要です。 今回、作成しているAM送信機の最大出力はピーク時100Wであり、最上位ビットは50W必要です。 50Wなら簡単に1台のアンプで実現できますが、放送局の場合、最大ピーク電力1000KWとかという数値になりますので、その1/2の出力でも、半導体によるアンプでは実現不可能であり、100Wから200Wくらいのアンプを沢山同時ドライブして作る必要がある為、わざわざデコードして、数多くのアンプをドライブする事になります。 今回のAM送信機は、あえて、小電力のアンプを並べて、高周波のままデジタルアナログ変換を行う実験と、電力合成の時に発生する非直線性を改善するプリディストーション効果を確認する事をメインにしておりますので、コストパフォーマンスは甚だ悪い物になっております。 

このように、交信を行う目的だけなら、あまりメリットは無いのですが、すでに、複数のOMさんが、この方式でON AIRされており、その受信音は、PWM方式や、プレートスクリーン同時変調の音よりも、明らかに了解度が良く、その理由を確かめる事も一つの目的となって、製作を始めたものです。

 

配線図 RFADC_AMPx12.pdfをダウンロード

8bitencorder

左は、dsPICからの8bitデジタル信号(オーディオ)をLSB側のバイナリー駆動回路で、5bitの7MHzのキャリア信号に変える回路と、MSB側、3bitのデコーダーです。 このデコード機能は、標準ロジックICのなかでは、見つける事が出来ませんでしたので、ジャンク箱に眠ていた、古い初期のPICを使い、ソフトで必要な7chのデコードを行っています。

今では標準となっている内蔵のCR発振回路は、初期のPICには内蔵されていなく、外部発振回路オンリーですので、手持ちのクリスタルを使い、最高周波数の20MHzで動作させ、デコードの時間遅れを最小にしようとしています。 7個のLEDはデコーダーのデバッグと、のちのち、RFアンプが接続された時のモニターとして使います。 ロジックICの74HC00は本来3個で良いのですが、トラブルが発生した時の為に、予備として1個追加してあります。 この予備は電源以外は接続はされておりません。

Msbdecorder_2

ひだりの真理値表は、このPICが3bitのデータをどのように変換するかを示したものです。

ソフト的には、非常に簡単で、この変換を高速で繰り返す以外、何もしないマイコンになっております。

これらのドライブ信号により、以前、完成した12台のパワーアンプを駆動し、その出力を直列合成して、DA変換する回路が下の基板になります。 一応位相関係の動作チェックは完了しております。コアサイズが2種類ありますので、青色のコアはMSB側、黒色のコアはLSB側で使います。 理由は同じタイプのコアを12個確保出来なかった為で、他意は有りません。

Powrmix

バラックの状態で動作確認ができたら、次のステップとして、送信機としての組み立てに進む事にします。

 

 デジタル方式 AM送信機の組み立てへ続く

 

 

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