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2018年8月13日 (月)

PICkit3 の修理

<カテゴリー:PICマイコン

DDS VFOの検討中に5Vの三端子レギュレーターが壊れてしまい、+5Vラインに+12Vが現れ、接続してあったPICkit3が煙を出して壊れてしまいました。

壊れたのは、バストランシーバーと呼ばれるPICkit3と外部回路のインターフェースに使われるICでした。

これを修理すべく、まずPICkit3の回路図を探すと、結構多くの情報がありました。 インターネットで調べていくと、MicrochipはPICkit3のクローンを容認しているというか、推奨しているようで、Microchip自身が回路図を公開していました。

pickit3sch.pdfをダウンロード  

この配線図そのものはMicrochip 製なのかクローンを作った会社のものか判りませんが、現物照合すると抵抗値が一部異なる所はありますが、IC名や結線は合っていました。

壊れたICはSN74LVC1T45DBVRという品番のバストランシーバーである事が判りました。 このバストランシーバーのパッケージは何種類もありますが、PICkit3に使われているのは、最後の文字がDBVRという一番大きいサイズのものです。

東京出張の帰りに、このICを秋葉原で探しましたが、結局見つからず。 帰ってからRSで見つけましたので注文し、現物も入手していましたが、その間にクローンのPICkit3を入手していましたので、修理は手づかずの状態でした。

最近、このバストランシーバーを実験する機会があり、PICkit3の修理の事を思い出しましたので、修理にトライする事にしました。

壊れたICは完全に黒焦げで、下の基板も炭化し、一部銅箔も無くなっていました。 本来6個の半田ランドが必要なICですが、6番ピンのランドとストリップラインは消失し、4番ピンに接続するストリップラインも消失していました。 拡大鏡を駆使してなんとかハンダ付けし、出来上がった基板は以下です。

Picki3up

Pickitopen

左上が黒焦げの基板上に新しいICをマウントし、消失したストリップラインの代わりに0.18mmの銅線で配線した状態です。 この作業の後、テスターを使い導通テストを繰り返し、接続漏れや逆に端子間ショートが無い事を確認した後、通電し、PICのターゲットを接続すると、ターゲットのIDが返ってきて、プログラムも無事書き込む事が出来ました。

これから、電源電圧には細心の注意を払う事にします。

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2018年8月12日 (日)

50MHz AM受信機 (DSPラジオ)

<カテゴリ AM受信機 >

50MHzのAM送信機が出来ましたので、これとペアで使用する50MHz用AM受信機の製作です。

すでに7MHz用として、1KHzステップ可変のDSP受信機がありますので、これを親機とするクリスタルコンバーター(クリコン)をこのDSP受信機の中に内臓させる事にします。 DSP受信機は30MHzまで1KHzスパンで動作しますので、手に入る水晶振動子できりの良い32MHzを選定し、IF周波数が18MHz台となるクリコンにします。

このクリコン部分の配線図です。 50M_clicon.pdfをダウンロード

一般的にはシールドケースのかぶったインダクタンス可変式のトランスを使いますが、最近はほとんど入手不可能です。 生産はされていますがMOQ 10,000個とかの条件がつきますので、販売店もリスクが大きすぎるのでしょう。 そこで、現在量産中のチップインダクタと表面実装用トリーマーでこれを実現する事にしました。 これらの部品はRSとかDigi-keyで少量でも入手できます。

まずは、BPFの計算です。 ここで計算しました。 TKS.

50m_bpf_2

左は、チップインダクタとトリーマーで構成した50MHz用BPFです。 BPFの計算で、低いカットオフ周波数と高いカットオフ周波数を指定しますが、中心周波数がバンドの真ん中にくるように設定すると、インダクタンスの値が量産品のE12シリーズに一致しなく、かつ、全ての値のインダクタを手持ちしている訳では有りませんので、手持ちのインダクタが使えるようにこのカットオフ周波数を調整します。

手持ちのチップインダクタに1uHが有りましたので、これを使い計算した定数でBPFを作りました。

50m_bpfadj_3

アンテナアナライザをSSGの代用として、出力端にオシロをつなぎ調整する事にしました。

ところが、トリーマーを回してもピークポイントが見つかりません。 しかも挿入ロスが20dBくらいあります。 このインダクタの仕様を再確認すると、Q無管理品で、コイルのQが必要な場合、Qを管理したインダクタを使うようにとコメントがあります。

サイズが3216でかなり大きなチップインダクタでしたので、QはOKと考えたのですが、使用しているフェライトコアが50MHzまでは対応していないようです。

この1uHインダクタと同じメーカーでQがmin 30と管理されている太陽誘電製のインダクタLBM2612Tタイプを幸いにも手持ちしておりました。 手持ちしていたのは1.5uHのコイルでしたので、再度計算をやり直し、実装した結果、アンテナアナライザの周波数を可変し、その出力をオシロでみている限り、周波数特性は一応50MHzのBPFとして実用レベルであり、挿入ロスも6dB程度である事を確認できました。

IF周波数が18MHz帯ですので、このバンドのBPFも同じように作成しましたが、入出力インピーダンスの関係で直列共振回路によるBPFはうまく行かず、ミキサーの出力は18MHzのタンク回路と2次コイルによるトランス形式の回路としました。 トランスはカーボニルコアに0.28mmφのUEWを22ターン巻いて約5uHのインダクタンスを確保した後、2次側は5ターンとしてあります。

Cliconspeana

ミキサーは定番のジャンクションFET 2SK241ですが、最初、ソース抵抗の最適値と局発の出力レベルの最適値を探す為、オシロで波形をモニターしていましたが、周波数変換された18MHzのレベルが良く判りませんでした。 そこで、IF出力にスペアナを接続し、18MHzのレベルが最高になるよう定数を選定した結果が左のスペクトルです。

32MHzが局発レベル、50MHzが入力信号、18MHzがIFレベルとなります。 また、14MHzは局発の32MHzとIFの18MHzの差分で生じたイメージです。

18MHz以外の不要信号はDSPラジオの内臓フィルターで除去してもらう事にします。

Cliconpcb

左は、クリコンの全体構造です。 入力は右側の50MHz BPF側から加えられ、左側のトロイダルコアと、20Pのトリーマーで18MHzに共振させた後、18MHzのDSPラジオに繋ぎます。 中央上に32MHzの水晶発振回路、それに7MHzと50MHzを切り替えるPINダイオード回路と、マイコンからのクリコンON/OFFのコントロール信号により、全体をスイッチングする回路も実装しました。 PINダイオードは大量に手持ちしているインフィニオン製を使いましたが、ここはロームの1SSxxxでも使えると思います。

これを7MHz用AM受信機の基板上に実装した上で、PICのソフト変更を行わないと50MHzを受信しているのかも判りません。

DSPラジオの基板にこのクリコンの基板を2重構造で張り付けますが、DSPラジオの基板の裏側もクリコン基板の裏側も銅箔をべったり貼り付けてありますので、両方の銅箔を真鍮のボスとビスで導電的に結合しました。

50mrx_pcb

50mrx_inside

全体の配線図 DSP_50M_RX.pdfをダウンロード

次は、PICマイコンのソフト改造です。

一番の問題は、周波数を表示する文字フォントが大きすぎて、5ケタの数値を並べられないことです。 クリコンのハードをコントロールするソフトは簡単に改造出来るのですが、周波数を表示する為に一回り小さなフォントを作るのが最大の問題でした。

このフォントデータの生成器は以前アンテナアナライザの開発のとき、GIF画像をベースに自動生成するプログラムを作ってあったのですが、取説が有る訳でもなく、このTcl/TKのプログラムの復習からせねばなりませんでした。 操作案内は無く、作るフォントサイズやGIFデータの条件によりいちいちソースを手直ししながら操作する必要があるみたいで、GIF文字データを何度も作り代え、やっとフォントデータはできましたが、DSP受信機のプログラムで動かすと、まともに文字が出ません。 結局判った事は、フォントのX方向のピクセルは、8の倍数か8以下でなければ、うまく表示しないという、LCD表示ソフトのバグでした。

フォントコードジェネレーターにはバグは有りませんので、今回使用したソースを公開しておきます。

フォントコードジェネレーターCcord_Generator5.tclをダウンロード

コードジェネレーターがGIF画像を読み込んだ状態のPC画面を添付して置きます。 0から9まで数字の後にスペースの部分がありますが、サンプルでは見えませんね。(スペースだから見えている?)

Fontgeneratorsmpl

バグの原因が判りましたので、バグを修正し、正しく文字が表示されるようソースコードを修正しました。 文字が表示できるようになると、50MHz受信機はあっと言う間に完成してしまいました。

完成して、その感度をFT450と比較すると20dBくらい感度が悪そうです。 そこで、50MHzのBPFの後に非同調のRFプリアンプを挿入しました。 このデュアルゲートFETのゲインは約20dBくらいです。

50mhzrx1

50mrxlcd

 

左上は動作確認中の50MHz AM受信機です。 右上は、アンテナアナライザからATTを介して信号を加えた時のSメーターの振れです。 同じようにFT450へ信号を加えるとSメーターはS9+30dBくらいまで振ります。 Sメーターの感度は自作が勝りますが、実用感度はFT450の方が良さそうな感じです。

自作の送信機にダミロードをつなぎ、音楽を変調したおこぼれ信号をこの受信機で受信すると、ブツブツと小さなノイズがでます。 信号強度がS5から9くらいの時が一番大きくなります。 原因はマイコンとDSP間の通信によるノイズです。 以前FM受信時でもあったノイズでこの時の原因はSメーターのデータ転送のノイズでしたので、FM受信の時だけはSメーター駆動を止めた経緯があります。 7MHz受信時はほとんど気になりませんでしたが、50MHz帯ではFMのときより大きなノイズとなっています。 原因は、DSP基板から出ているハーネスにノイズが乗っており、これをクリコンが拾うもののようです。 ハーネスを束ねたり、ケースの底に押し込むと少し改善しました。 

スピーカーに接続される線に50MHzか18MHzの成分のノイズが乗っているようで、この線を動かすと、ノイズが増えたり、音量が変化します。 MWや7MHzでは異常は起こらないのですが、50MHzの時だけ起こります。 狭い空間にシールドなしでクリコンが同居していますので、対策としては、スピーカーケーブルを2芯シールドに変更しました。 この対策でスピーカーケーブルを動かしてもノイズや音量に変化はなくなりました。

プリアンプ付の回路図DSP_50M_RX2.pdfをダウンロード

残念ながら、完成したこの日の50MHzは実際のAM局はおろか、SSBの局すら聞こえませんでした。

ちゃんと使えるのか心配ですね。

AM_RX50MHz.cをダウンロード

fontF50.hをダウンロード

Font7.hをダウンロード

50MHzの受信が便利なように、ラスト状態をメモリーし、次に電源ONした場合、バンド、周波数、ボリュームレベル、IFバンド幅が復元するようにソフトを改造しました。  また、激しいQSBやオーバー変調の信号を聞くと、パチパチノイズが連続して、了解度が落ちるのを少しでも改善する為、DSPのAM AGCのパラメーターを少しいじっています。

以下、改善部分の関数です。

void DSPinit() {
    unsigned int Rdata;

 writeDSP(0x04,VOLUME);
 writeDSP(0x05,DSPCFGA);

 writeDSP(0x0F,RXCFG);

    writeDSP (0x2E,SOFTMUTE);
    Rdata=readDSP(0x22);
//    writeDSP(0x22,(Rdata & 0xFCFF) | 0x0200);
    writeDSP(0x22,(Rdata & 0xF0FF) | 0x0200);
    Rdata=readDSP(0x0A);
    writeDSP(0x0A,Rdata & 0x0400);
    Rdata=readDSP(0x22);
//    writeDSP(0x22,Rdata & 0xF3FF);
    writeDSP(0x22,Rdata & 0xF0DF | 0x0240);
//     Rdata=readDSP(0x23);
//    writeDSP(0x23,Rdata & 0xE3FF | 0x1C00);
    Rdata=readDSP(0x3F);
    writeDSP(0x3F,(Rdata & 0xFF88) | 0x0013);
}

全体のソフト AM_RX50MHz_lastmemory.cをダウンロード

2018年11月の日曜日にFT450にて50MHzをワッチしていると、50.53付近でAMの信号が聞こえます。 RS52くらいです。 広島市の局らしい。 これは幸いと、このDSPラジオをONして聞いてみました。 残念ながらRS31です。 ゲインがまだ足りないようですので、ゲインアップの対策を行う事にしました。 50MHzのBPFの後にFETの非同調アンプを設けていますが、これを同調アンプにして10dBくらいのゲインアップになるように改造します。 ところが、ゲインが上がり過ぎ発振してしまいますので、同調回路にQダンプの抵抗を入れ、同調した時の最大感度でも発振しないようにしました。 アンテナアナライザとATTで確認した結果では6dB以上は感度アップしているようです。

当然、この改造が終わったころには、またしてもAMもSSBも聞こえませんので、改善したかどうかは判りません。 次の機会を待つしかないですね。 

改造後の配線図です。 DSP_50M_RX2A.pdfをダウンロード

2019年1月

約10Km離れたローカル局に協力頂き、AM 2way QSOが成功しました。 相手局は40Wキャリアにて59+10dB、私の方は8Wキャリアにて57でした。 受信音は正常で、ゲインも十分という事を確認できました。

この受信機は7MHzも使用できますので、このままにしておき、50MHzトランシーバー用DSP受信機を新たに作る事にしました。 こちらをご覧下さい。

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2018年8月 4日 (土)

50MHz PWM変調方式 AM送信機 3 (完成)

カテゴリー<6m AM >

PLL方式のVFOがなんとか完成しましたので、これを送信機に接続して最終調整です。

50mtxtopview

最終調整と言っても、すでにいじる所は調整済みですので、動作確認のみになります。

左がPLL VFOを送信機に接続した状態です。送信機のドライバー段の発熱が大きいので、シールドケースの天板は取り除いてあります。

50mtx12w

無変調時の送信出力は12Wでした。 この出力は1時間くらいエージングすると10Wくらいまでダウンします。ドライバー段を扇風機で冷やすと、ゆっくりと12Wまで回復します。

PLL VFOに変更した事によるスプリアスは以下のようになりました。

50mtx1mspan

50mtx100kspan

50mtx200mspan

左上が1MHzスパンのスペクトルで、DDS VFOの時有った240KHzのスプリアスは有りません。 また、PWM変調用の210KHzキャリア漏れも60dB以下まで減衰しています。 右上は、100KHzスパンですが、DDS VFOの時有ったキャリア近傍のノイズベースのスプリアスも改善され、スペック内です。

左のスペクトルは200MHzスパンで、第3高調波までノイズに隠れて判りません。 4次以上の高調波も確認し、ノイズレベル以下でした。 これで、安心してTSSへ保障願いを出す事が出来ます。

50mtxmaxmod

左は、400Hzの最大変調状態です。PWM変調器の出力は電源電圧0Vから12Vをフルスイングしていますが、ドライバー段からの漏れが1.5Wほどありますので、写真のごとくキャリアがゼロになりません。 左の波形で、キャリアの幅が一番狭くなっている部分が1.7Wくらいの出力状態です。 この時、変調度計は98%くらいをさします。 しかし、ピーク値は無変調の1.8倍くらいですので、39Wくらいしか出ていないようです。 (13.8Vの電源ですが、変調PWM終段の内部電圧降下と、LPFによる電圧降下でRF段にかかるmax DC電圧は12Vくらいです。)

この状態で音楽を変調してエージングを続けています。 変調度計の目盛が80%くらいまで振れる範囲では、歪感はほとんど有りません。 変調度計の針が90%を超えるくらいになると、聴感上の歪が感じられますが、音声としては全く問題ないレベルです。 この歪は、変調による歪ではなく、PWM発生器に内臓されている振幅制限回路(リミッター)の応答特性によるもののようです。 振幅変化が無い連続した正弦波の場合、オシロの波形で見ても、実際に音を聞いても歪感は有りません。 また、音量もSSB信号を聞いているときと同等ですので、交信には支障はないと思われます。

FT450のSメーターは変調がかかってもその振れは変わりませんが、FT991のSメーターは完全にプラス変調の振れを示します。 変調がかかると、Sひとつ分くらい大きく振れます。

50mtxfrontview

PLL VFOの側面をシールドする必要はなさそうですが、送信機の側面に近くなるPLL基板のみはシールドケースで覆うことにし、木製キャビネットに収納する事にします。 木製キャビネットは100円ショップで見つけた物入れです。

Pllvfosheeld

50mvfo

左上はシールドで覆われたPLL基板、右上は化粧パネルを張り付けたVFOの正面です。

50mvfotrimer

エージングが2時間を過ぎたころ、突然、出力がダウンし、1W以下になってしまいました。 調べてみると、VFOの出力が極端に小さくなっています。 VFOの逓倍回路の基板に衝撃を与えると時々正常になりますが、その内、また出力小になります。 逓倍回路の20PF トリーマーを回しても、同調点が有りません。 このトリーマーを取り外して、単体の容量をLCメーターで測定すると、2PFくらいを示し変化しません。 このトリーマーはセラミックの上に電極を蒸着したものでしたが、断線したみたいです。 代わりにPICの水晶発振周波数を微調整する為に手配しておいた20PFのトリーマーに交換しました。 このトリーマーは2個使っていますので、2個とも交換です。 新しいトリーマーで同調させた時、出力が12.5Wまで上昇しました。 左上がトリーマーを交換した逓倍回路の基板です。 今までの物は何か問題のあるトリーマーだったようです。 約30個、20年くらいジャンク箱の中にストックしていた物でしたが、全部廃棄しました。

ここまでの配線図 6m_AMTX_03.pdfをダウンロード

変調の周波数特性が、400Hzで-3dBと、低域をカットし過ぎた音質となっていましたので、100Hzで-3dBとなるようコンデンサC31とC51を変更しました。

PWM生成の為のキャリア(今回は210KHz)漏れを最少にする為の対策は、作成したインダクターの巻始めと巻終わりの距離をある程度確保するのが一番有効でした。少なくともコアの1/4くらい巻線なしの部分を作ると60dBの減衰量は容易に確保できる事が判りました。 その為にはなるべく直径の大きなコアが有利です。 

最終状態のVFO配線図 PLL_VFO_50MHz_2.pdfをダウンロード

TSSへ提出したブロックダイアグラム 6mAMTXblocgdiagram.pdfをダウンロード

TSSに申請してから2週間で承認が下り、総通に変更届を提出しました。 そして1週間後に審査終了となり、交信可能になりましたが。

50m90pctmod

2018年11月

ドライバー段からのキャリア漏れの為、深い変調がかけられない問題の対策として、ファイナルだけでなく、ドライバー段にも変調をかけてみました。

左がその時の1KHz変調波形です。 キャリア出力は7Wまで下がりましたが、かなり深い変調がえられ、見た目、聞いた感じの歪もそれほど大きくなりませんでした。 実際の交信は出来ていませんが、12W 52%変調の信号と、7W 87%の変調信号、どちらが聴きやすいかを、ダミー抵抗へ出力した送信信号にて聞き比べた感じでは、後者の方に軍配があがります。

7W出力を少しでも上げる為、VFOの出力を40mWから80mWまで増加させましたが、出力は8Wどまりでした。 そこで、電圧ロスが多そうなPWMキャリアのLPFとなっているインダクターをフェライトに変え、導線の直径を2倍くらいに増やしてみました。 導線のDC抵抗は確かに減少し、出力は9Wくらいまで上昇しましたが、音の歪は見た目も聞いた感じもかなり悪くなってしまいましたので、元に戻すハメに。

変調をドライバー段までかける、この変更でLPFの負荷抵抗が約半分になってしまいましたので、LPFの再計算を行い、得られたインダクタンスは33uHでしたが、カーボニルコアに1.25SQのりード線を巻けるだけ巻いたところ、27uHしか巻けませんでした。 コイルのインダクタを固定としてPWMのキャリア漏れを60dB以下にすべく、コンデンサの値を吟味しました。

吟味した結果、2段目のコイルの出力端に設けるコンデンサ容量は手持ちの関係で、7.7uFになりました。

Newlpf1r6_2

Lpfjissou

そして、左上のスペクトルのごとく210KHzのキャリアもれは-70dBくらいまで対策できました。 この対策の為に追加した3.3uFのマイラーコンデンサは取り付ける場所が無く、終段のシールドケースに貼り付けてあります。

最終的な無変調キャリア出力は、1.25SQワイヤーのLPFが効いて、13.8Vの電源で9.5Wとなりましたが、実際の移動運用で、電源電圧が常時13.8Vという事はありえず、良くて13Vくらいですから、実際の運用状態での出力は8.5Wくらいです。

目標とした10Wキャリア出力には若干不足しますが、これを元の12Wに戻す為には、ドライバーやファイナルのFETの選定からやり直す必要がありそうという事が判ってきました。 この送信機に使っているMOS-FETはIRFI510ですが、これより新しいFETが無いかRSで探しましたが、コストパーフォーマンスの良いFETは見つかりませんでした。 従い、現時点では、ここで、目標達成とする事にしました。 将来、入力容量が小さく応答速度が20nsec以下のFETが出るまで待つ事にします。  ちなみに、1石、40円のFET FKI10531はTonとToffの合計の応答速度は16.7nsecで私が見つけたMOS-FETの中で最高のコストパーフォーマンスを有しておりますが、入力容量Cissが1530PFも有り、50MHzでは使えませんでした。

6mamtx

ドライバー段にも変調を掛けたことで、発熱量が減り、当初の予定通りシールドの天板も付ける事が出来るようになりました。 また、2時間くらいエージングしても出力の増減は有りません。

サンワサプライのマイクは中高域が全く伸びず、トランシーバー向きではない事が判りましたので、YAESUの無線機用のマイクに変更しました。 このマイクは、PTTスィッチ付でしたので、その機能を含めて回路変更を実施しています。 また、サンワサプライのマイクの中高域を伸ばす定数変更も実施していましたが、マイクを変更した後も、この定数変更はそのままにしてあります。

最終配線図 6m_AMTX_05.pdfをダウンロード

この送信機が完成しても、交信相手はいないのでは?という心配は現実になりそうです。 この送信機を製作し始めてから、度々6mをワッチしていますが、AMどころかSSBの局も聞こえません。 当地ではコンテスト以外の日に局を見つけるのは無理かも知れません。

平地では信号は聞こえませんので、いざこの送信機を持って山の上にでも移動するとき、受信用にFT450を持っていっても自作の意味が有りません。 そこでDC12Vで動作する、50MHzのAM専用受信機を作る事にしました。

ついでに移動用のアンテナも作りました。

2019年1月

念願のAM 2way 1st QSOが実現しました。 約10Km離れたローカル局で、途中に山が有り、見通し距離では有りませんが、相手が59+、当局の信号は57で届いているとの事。 Sの差はキャリア出力の差です。 了解度が確保できていますので、やっと交信成功となりました。

このバンドで、セパレート式リグは使いにくい事を実感しましたので、この送信機と別に作成したDSPラジオ+クリコンによるトランシーバー化へトライする事にします。

50MHz AMトランシーバー(PLL VFO)へ続く。

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