« TS850 スピーカー出力小(低域出ず) | メイン | DDS VFOの実験(AD9833) 3 »

2018年1月 8日 (月)

DDS VFOの実験(AD9833) 2

<カテゴリー:DDS

1回転24パルスの機械式ロータリーエンコーダーによるVFO周波数可変機構の改善をテーマに実験を続けております。

前回までの実験で、時々周波数が1KHzや2KHzいきなり飛ぶという現象があり、その原因が不明でした。 数日置いて再考察した結果、エンコーダーのチャタリングではないか?とデジタルオシロを物置から引っ張りだして、波形を観測する事にしました。

Dds_slow103k

Dds_mid03k

左上はゆっくり操作中に発生しているチャタリングです。右上は中速操作時に発生したチャタリングです。 時々、数KHzで周波数が飛ぶのはこのチャタリングの性です。一度割込みが掛かったら3ミリ秒間は次の割込みを禁止していますが、左上の例では、この禁止期間が過ぎても、まだチャタリングが発生し続けていますので、この時、周波数飛びが起こるようです。 右上の例でもチャタリングの長さが3.5msecくらいで、この時も、周波数飛びを起こしています。

Dds_slow333k

そこで、現在、チャタリング対策として挿入しているコンデンサを0.01uFから0.033uFに変更しました。  左はその時のロータリーエンコーダーの波形です。 かなりのチャタリングを押さえた波形です。

この状態でテストを行うと、周波数が数KHz飛ぶ現象が大幅に減少しました。

TS930やFT991のメインダイヤルを回すと、ビート音がスムースに変化しますが、1回転24パルスでは段階的に変化し、とても「スムース」という表現が当たりません。 そこで、最少可変ステップを10Hzから20Hzに変更し、その上のステップも100Hzから200Hzに変更しました。 これで、周波数の変化速度は速くなりましたが、当然ながら1回転100パルスのFT991のフィーリングには及びません。

現在エンコーダーのA端子で割込みをかけ1ステップ変化させている状態ですが、さらに、B端子がHからLになった時も割込みをかけ、1回転で48回割込みが発生するようにPICのi/oを変更しました。 これで、エンコーダーが1回転すると周波数は960Hz変化し、FT-991の1回転1000Hzとほぼ等しくなります。

Dds_high333k左はかなり高速で一気に回した時のエンコーダー出力です。A相またはB相だけのパルス間隔は最少で約2.6msecくらいあり、AからBへの最少間隔は1.3msecしか有りません。 一度割込みが掛かると3msec割込みを禁止していますので、この例では、カウントしていない事になります。  

この状態でテストしていますが、現在のエンコーダーはクリック付の為、ワンクリックで40Hz変わってしまいます。 クリックとクリックの中間点で20Hz変わっていますので、1回転960Hzを20Hzステップでカバーしている事は確かです。 そのため、実験の途中でノンクリックタイプに変更しました。結構スムースになりました。

Dds_chata_333k

しかし、この状態でも時々チャタリングが発生し、周波数飛びが起こります。 左の画像はコンデンサを0.033uFにした時に起こった摺動ノイズ波形です。 摺動ノイズはチャタリングとは言いませんが、スイッチの摺動面の接触が悪い時に発生し、メカニカルタイプのエンコーダーでは宿命的なものです。 コンデンサ0.033を0.047とか0.1とかに変更するアイデアもありますが、ここら辺がメカニカルエンコーダーの限界かも知れません。

同調操作のフィーリングは、市販のトランシーバーにはとても及びませんが、エンコーダーのコストを考えると、そこそこ使えるダイヤル機構が出来上がってきました。 前回の記事で紹介した通り、これはKENWOODの特許でした。 いまでも有効かどうかは調べていません。 個人で使う場合、問題ないでしょうが、商品に組み込んで商売をすると抵触する可能性があります。

Dds_pcb_a

Dds_pcb_b

Dds_rfout

RF出力レベルが小さいので、ポストアンプの回路を変更し、コレクタ側に共振回路を設け、出力は2次コイルから取り出す方式としました。 出力端子に5Vppの信号が得られるようになりました。 下側が多少歪んでいるのは、振幅の最大付近でクリップしているもので、高調波は増えますが、信号の濁りとは関係ありません。 

このDDSの信号がKEMのトランシーバーに使われているAD9834より濁っていますので、両方のスペクトルを確認してみました。

左下がAD9833、右下がAD9834です。 新スプリアス規制は両方ともクリアーしていますが、左側(AD9833)がノイズぽく見えます。 多分、ICの問題では無く、基板のパターンの性と思われます。

AD9834の方は、それほど濁りは感じませんが、以前作ったPLLによるスペクトルに比べると、両方のDDSともノイズフロアがはっきりと汚いですね。 これが濁りが多い原因でしょう。

今回採用した中国製の基板を使わず、ユニバーサル基板上にデジタル/アナログGNDを分離したパターンを描けば改善されるかも知れません。

Ad9833

Ad9834

 

ここまでの配線図7MHzDDS180113.pdfをダウンロード

アナデバの推奨回路定数では、C1は104と106のパラ接続となっておりますので、現在の104に106をパラに追加してみましたが、キャリアの濁りは少しは改善したようなトーンになりましたが、アナデバがデータシートで表示しているノイズフロア-80dBくらいの音にはなりませんでした。

ロータリーエンコーダーのB端子からの割込みを受け付けるようにしたソフトは以下です。

INT2からの割込みルーチンが残っていますが、LPFの特性検討の為に残してあり、現在はこのコネクターには何も接続していませんので、INT2からの割込みはかかりません。

DDS_7MHz180108.cをダウンロード

割込みエッジを選択可能な外部割込端子を後2つ確保できるPICがあれば、1回転96割込みのエンコーダーが実現できます。 しかし、チャtリングの吸収の為、この短い周期では、アップダウンしないと思われます。 1回転96パルスの場合は、エンコーダーを2個用意して、FT991と同様な方法が操作性はよさそうです。 エンコーダーを1個にこだわるなら、48パルスで20HzステップのVFOが妥当なところかも知れません。 

その後、TS930をLSB受信モードにして、同調操作を何回もトライしました。 その結果は私の判定としてNGでした。 チャタリングと高速回転の切り替えタイミングがどうしてもうまくいかず、そこそこの操作フィーリングが得られるように設定すると、周波数飛び(チャタリング)が発生します。 3週間くらい、パラメーターをいじくりましたが、結局妥協点すら見つけられませんでした。

Kenwoodのトランシーバーでの採用実績が無い事、TS-850でも2つのエンコーダーでこの問題を解決している事などから、この特許はアイデア倒れのしろものでした。 今後、DDSを使った同調システムは2つのエンコーダーで対応する事にします。 

ビート音の濁りの改善に続く。

INDEXに戻る