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2025年9月15日 (月)

ポータブル赤道儀 モータードライバーの製作

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ポータブル赤道儀のギアBOXが完成したので、次はステッピングモーターのドライバーと、インターバルタイマーの作成です。 インターバルタイマーは前々回で完成済み。モータードライバーの基本プログラムはZマッチATUの制作で完成ずみで、1/64マイクロステップの動作が成功すれば完成になります。

まず、PICマイコンの選定ですが、32bitタイマーを使いたい為、16bit品の中からPIC24FV32KA302を選びました。 このICなら、まだ部品箱に1石有りましたので、追加で買う必要もありません。 ステッピングモータードライバーはSTSPIN220と言うSTマイクロ製のICを米国メーカーが金属基板の上にモジュールとしてマウント済みのユニットを使います。 秋月電子で扱っています。 モーターはすでに紹介した通り、17HS4023で、中華製です。 また、インターバルタイマーの機能をいれますが、これは、前々回の記事で紹介しましたユニットをそのまま、このモータードライバーに移植します。 プログラムの量のほとんどが、このインターバルタイマーの部分が占有し、モータードライバーのプログラムはほんのちょっとしかありません。

回路図 EQ_Mount_sch_1.pdfをダウンロード

Peqmount_pcb

上は出来上がった回路です。2.54ピッチのユニバーサル基板に組み込みました。 抵抗、コンデンサ(電解コンデンサは除く)は全てチップ部品で基板の裏側に半田付けしてあります。 電源は最大電圧16.4Vのリチウムイオン電池(電動リール用)に12V出力のDC/DCコンバーターを付けた10AHくらいの自作の電池を使います。 このモータードライバーは12Vの電圧供給を受けた後、それぞれの回路に必要な電圧を基板の中で作っています。 基板の中で大きく面積を占有しているのがこのDC/DCコンバーターです。 アマゾンで6台まとめて650円で売り出されていましたので、買ってあったものが役立ちました。 1台はステッピングモーターの電源用で、7Vに設定してあります。 もう一台はステッピングモーターのIC用とカメラの外部電源用の5Vをまかないます。 カメラの外部電源用として市販されているケーブルはUSB端子付きになっており、5Vの電圧を8.3Vに昇圧してカメラに供給するようになっている為です。 ただし、まだこのケーブルは入手していません。 PICマイコンやLCDは、この5VからLDOを使い3.3Vに落としています。

PICのシステムクロックとして24.576MHzの水晶を使う事はすでに紹介しましたが、PIC24FV32KA302の場合、OSCI及びOSCOに水晶と負荷コンデンサを付けても発振しませんでした。 20MHzなら発振するのですが、24MHzは発振しません。やむなく、トランジスターでコルピッツ水晶発振回路を作り、この出力をOSCIに加えてやることにしました。発振周波数は、24.576016MHzで規定値に対して+0.65PPMくらいでした。使ったセラミックコンデンサの温度特性は全てCG(温度係数0)。冬場でも周波数の安定が見込まれます。 モータードライバーからモーターまではLANケーブルの中にあった長さ2mのAWG24のワイヤー4本をツイスト状態でつないでいますが、問題なしでした。 ベースギアは1時間に15度回転しますが、それを待っていられないので、MSTARTキーを押しながら電源を入れると、60倍のスピードでモーターが回転します。この状態で1分間に15度回転する事を確認しています。 問題の1/64マイクロステップですが、これがいとも簡単にOKとなりました。 当初の心配はなんだったんだと思えるくらいあっさりと解決しました。

モーターの電圧は7Vにしておき、電流制限を450mAに設定しました。 この時の12V電源の消費電流は180mAくらいです。

ベースギアの回転方向はCWオンリーです。日本国内でしか使いませんのでCCWは不要です。

Peqmount_motor_test

上はモーターの回転テストを行っている状態です。1/64マイクロステップで動作しており、騒音は全くありません。ウォームギアにマジックインクで印をつけると60倍の速度では回転しているのがわかりますが、正規の回転の場合、動いているのか判りません。ウォームギアを指でつかむと、回転しているのはわかります。

とりあえあず、回転数については設計通りに仕上がりましたので、回路をケースに入れる事と、ウォームギアとホイールの遊びについて最適値を選ぶ必要がありますが、天板をかぶせた状態ではモーターの取り付け位置の調整が出来ないため、モーター位置調整の為の治具を作ります。

Peqmount_centerjig

上の写真はシャフトセンターが天板の位置と同じになるように作られたセンター出しの治具を天板の代わりに取り付けた状態です。 遊びが全くないと、シャフトが上下振動を起こし、カタカタと音をだします。この上下運動が起こらないようにかみあわせを緩くすると、シャフトの回転方向にガタが生じます。 このガタはカメラが一番上を向いた状態を境に、カメラの回転がガタの分だけ飛んでしまいます。 この頂点を過ぎた時のカメラの異常な動きを最小にしますが、この問題は避けては通れません。 対策としては、カメラが回転中に天頂を向いてガタが発生する時は撮影しないか、撮影は継続して、この時の画像は使わないなどの処理を行います。 今回の調整でこのガタ(遊び)は1度以内には収めましたが、この辺が限界でしょう。 ベアリングやウォームギアにグリスを塗布して置きました。

 

マイコンプログラム PEQ_Mount_01.cをダウンロード

フォントプログラム Font9.hをダウンロード

          Font12.hをダウンロード

いっしょに作ったインターバルタイマーは前回の仕様からマルチタイムタイマーの機能のみにしました。

コントローラーのケースを検討します。

 

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