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2025年7月23日 (水)

PWM AM送信機のファイナルドライバーの改善

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

DDSによるVFOが出来ましたので、200W PWM AM送信機のドライバーの改善を行います。 従来のドライバーはFETドライバーTC4426で強制ドライブする出力7W程度のD級アンプ方式でしたが、デジタル方式AM送信機の開発時、そこそこの効率が得られる10W以上のE級アンプのノウハウをつかみましたので、今回は、12Vの電源で10W以上が得られるE級アンプに変更します。

200w_driver

上の回路図が今回製作したドライバー回路です。VFOの出力を2N7000プッシュプルで増幅する為に、CMOSゲートで180度極性の異なる信号を作った後、2N7000のゲートスレッシュホールド電圧のバラツキに合わせこむ為に半固定抵抗でDCバイアスを調整しています。 この2N7000プッシュプル回路はE級アンプとして動作し、約1Wの出力を得て次のMTA100N10プッシュプルE級アンプをドライブし、13Wの出力を得ています。 この回路の効率は79%くらいです。 オリジナルのデジタルAM送信機の時は最高で85%くらいの効率を得ていましたが、そこまでは届きませんでした。 それでも従来のドライバーの2倍近くの出力を得ることができました。 

Vfodriver

以下、2N7000のゲートに加わる信号

次段のMTA100N10のゲートに加わる信号

そして、MTA100N10の出力となる50Ωダミー抵抗の両端の電圧波形です。約76Vppくらいの電圧を発生させています。

Gate_2n7000

Gate_mta100n10

50load_output



これから実際の送信機に組み込み、終段をドライブしてみる事にします。

Finalgatedrive

上が、この新ドライバーで終段をドライブした時のゲート波形です。 終段には+Bはまだ加えていません。 このPWM方式AM送信機を作った2018年ごろは、終段のゲート電圧は10Vppくらいだったのですが、今回改造にかかる前のゲート電圧はピークで7Vくらいでしたので、製作当初のピーク10V以上の電圧値でドライブ出来るようになりました。

このドライブ状態で電源電圧25V(RF終段のドレイン電圧は1/2の12.5v)の時100Wの出力が得られました。これは、36Vくらいの電源電圧で200Wを得られる換算値ですが、出力が100Wを超えた途端、終段に供給されるドレイン電圧が急激にさがります。最近5年くらい使っていなかった事もあり、PWM変調段が故障しているみたいです。 そして、次の改善項目はPWM変調器と決め、以前より実験したかった、ハイサイドFETドライバーによるフローティング不要のPWM変調器の設計に移る事にします。 ただし、過去、実際に製作された文献を見たことがないので、かなり時間がかかりそうです。

そんな訳で、この改造計画は一旦休止します。

 

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PWM AM送信機 VFO改善

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

2018年に製作したPWM方式の200W AM送信機は、時々使っては、あっちこっち壊して出力が200W出なくなり、現在は120Wくらいです。 そこで、再度、200Wの出力が出るように改造する事にします。 当時の設計は、PWM方式のいろはも良く判っていない状態で、とにかく200Wというターゲットに突き進んだ結果、余裕がなく、補修部品が生産中止で手当て出来ず、壊れて修理する度にパワーが落ちるという状況でした。

まずはドリフトのあるVXOを止め、DDSにする事から始めます。

DDSのICは中華製のSI5351Aコピー品。 周波数表示は、これも中華製のTFT LCD

7mhz_vfo

このDDSに使われているICはSi5351Aで、秋月からモジュールとして購入したのですが、誤ってこのICに12Vを加えてしまい、壊れてしまいました。 そこで、中国から手配した、Si5351Aのコピー品にICだけ交換したもので、配線図では8pinのモジュールとして記載されています。

配線図 AMTX_VFO_with_LCD.pdfをダウンロード

このVFOの出力形態を最初正弦波にしていたのですが、例え、8Vppの電圧でも極性反転トランスを経由した場合2N7000のゲートをドライブできず、デジタル方式AM送信機に使ったCMOSゲートによる極性反転方式に戻さねばなりませんでした。

VFOプログラム AMTX_VFO_03A.cをダウンロード

Font7.hをダウンロード

Font9.hをダウンロード

Font22.hをダウンロード

AM送信機のフロントパネルに実装した状態は以下です。

Pwm_am_driver


最近、秋月で購入できるALPS製のロータリーエンコーダーの品質が落ちていますね。 チャタリングがひどく、ソフトやハードで対策しても15年前くらいの品質は確保できていないようで、ロータリーエンコーダーを選別しながら使っている状態でした。 そこで、外見がいかにも高級そうな24クリックの、送料無料、5個で合計350円という中華製のロータリーエンコーダーを入手し、使いだしたところ、これが意外と安定して動作し、フィーリングも問題ありません。 いつの間にか、天下のALPSの品質レベルを超えていました。 ただし、外形がALPS製よりも大きく、上のアルミパネルに取り付けるとき、隣のLCDに当たる為、従来の取り付け穴を楕円形に広げて、ロータリーエンコーダーの中心位置を1.5mmほど移動せねばなりませんでしたが。

 

PWM AM送信機のファイナルドライバーの改善 に続く。

 

 

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2025年7月 6日 (日)

2.25 inch TFT 76*284 LCDをPICで表示

AliExpress経由で76x284ピクセルしかない細長いTFT LCDがかなり安く販売されており、これを、ついでの買い物時買ったのが始まりです。 中国から到着して、予め作成して有った実験用回路に接続したのですが、肝心なバックライトが点灯しません。 販売店には、評価1のレポートを送付しましたが、なんとか動作させられないか、気になればつついていました。

Tft_lcd_225inch

左がそのLCDですが、ST7789を使ったSPIインターフェースとの事で、すでに240x320ピクセル用は実用していましたので、あまり気にする事なく購入したのですが、前述のごとくバックライトLEDが点灯しません。 今までのLCD基板ではBL端子を+3.3Vにつないでいましたので、同じように接続した結果です。

通電状態でBL端子の電圧をアナログテスターで測ると3V以上あり、どうやらVCCに接続したのは間違いだったようです。

そして、このテスターを当てているとき、LCD面がかすかに明るくなります。 テスターの内部抵抗は約200KΩですので、1KΩの抵抗でBL端子をGNDへ接続しましたが、明るさは全く変わりません。100Ωくらいまで小さくしてみたのですが、変化は有りませんでした。

広告の中で使われているプリント基板のバージョンはVER 2.0なのですが送られてきた現物のバージョンはVER:tft 2.25 2.0 と書かれており、写真で見る限り表面上は同じようにみえますが、なにかが違うのでしょう。 3週間くらいいじった後、なんらかの拍子に一瞬バックライトが点灯しました。 どうやら、まだ壊れていないみたいですので、一から再検討する事にしました。

このLCDは色々のショップが販売していますが、使用しているフレキの基板は皆同じで、その品番はFP-225TSP-09A。そこで、このフレキの仕様を調べてみると、8pinのフレキの端子番号に対する信号名とプリント基板に書かれた信号名の並びが合致しません。 基板のなかで、信号の順番を変更してあります。

そこで、ほんとうに、基板の端子に書かれた信号が実際のフレキの端子までつながっているか確認する事にしました。 まず最初にGNDを確認したのですが、導通が有りません。スルーホールが切れているみたいですので、この部分をリード線でショートしてやるとバックライトが点灯しました。 この時のBLとGND間の抵抗は6.8KΩでした。 後で確認しましたが、3.3KΩくらいがベターかも知れません。

さらにVCCの接続を確認すると、これは正常。 その他の端子は、実際にマイコンからLCDドライブ信号を出して、その信号がフレキの端子までつながっているかをオシロを使いながら確認した結果、SCL以外は全て正常につながっていました。 SCLラインだけは、どこかで断線しているみたいです。 そこで、このSCLもリード線で接続してやると、やっとLCD画面に目的の表示が現れました。 この基板のカラー構成はST7789の仕様書通りのRGB構成でした。

多分、出荷する時点では正常に動作していたのでしょうが、輸送の振動で、どこかにクラックが生じ、それが原因で断線状態になったのでは推測します。

Tft225lcd01

上が表示成功の状態です。 この表示は200W AM送信機の周波数表示と電源電圧の表示につかいます。下の写真はこのディスプレーが正常に表示出来るように改造した内容です。

Tft225lcd02_2

このLCDの評価を見ていると、全く動かなかったという評価は有りませんので、私に届いた基板だけがNGだったと考えられます。

もし、同じようなトラブルに遭遇した時、参考にして頂けたら幸いです。

配線図 AMTX_VFO_with_LCD.pdfをダウンロード

プログラム AMTX_VFO_02.cをダウンロード

フォント Font7.hをダウンロード

フォント Font9.hをダウンロード

フォント Font22.hをダウンロード

 

なんとか復活させたLCDでしたが、誤ってBLとGNDをショートしてしまい、あっけなく壊れてしまいました。 このLCDを使う前提でAM送信機を製作する工程を中止する訳にはいきませんので、新たに3個注文し、すでに入手し、AM送信機の7MHzのVFOは完成しました。

 

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