SDR用 7MHz QRPリニアアンプの製作
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SDR用の直交変調回路が動き始めましたので、次は、これを1W以上に増幅するリニアアンプの作成です。 3Wくらいは狙いたいところですね。
以前、7MHz AM送信機用、E級アンプを作っていますので、これをベースにAB級アンプを作る事にします。 使っている終段のコアはCMFという型番のパッチンコアです。 この1次側は銅板を丸めてパイプ状にしてありますので、巻き数は0.5Tが2組となります。 大きなパワーは狙いませんので、2次側は1ターンのAWG24 リード線です。
出力回路はLC直列共振とし、トリーマーで最大パワーに合わせます。
2SC2712で軽く増幅した後、マッチング用トランスを経由して、終段のIRFI510プッシュプル回路をドライブします。 T2のトランスはTS-930のドライバー入力用の#43タイプのメガネコアを流用しています。 T1とT2の間にある0.84uHのコイルはインピーダンス整合用で次段の入力SWRを1.5以下に押さえます。 構造もAM用E級アンプと同等ですが、動作がAB級なので、アイドリング電流の温度補償の為、シリコンダイオードをFETと共締めし、安定を図っています。 ただし、少し効きすぎの傾向がありますが、30分くらいの動作で異常は有りませんでしたので、そのままです。
左上が、FET PPの終段部分です。 FETをビス止めする時、銅板に丸めこんだシリコンダイオードを一緒に止めてあります。もちろん、シリコンダイオードと銅板の間には、シリコングリスを詰めてあります。 右上が、Q3のドライバーや電源廻りの回路を実装した完成状態です。
このリニアアンプの入力レベルは約20mWです。 出力は目標を大きく上回り5.1Wくらい出ています。 完成したあかつきには、50Wくらいのリニアアンプをつなぎたいので、ちょうど良い出力となりました。
無信号時の終段アイドリング電流は2石合計で600mAに調整してあります。 左の5.1W出力時の全電流は1.2Aくらいです。
いくらAB級プッシュプル回路と言えども、高調波対策は必要です。 このアンプの出力に接続する7MHz LPFを作ります。 回路は以前7MHzのAM送信機用に作った回路図及び構造をコピーします。
上の写真が今回作成した7MHz用LPFです。 今回はブリキと銅板で作成し、ガラスエポキシ両面基板を補強用に使っています。
自作LCメーターで測定したコイルのインダクタンスは、1.07uH, 1.32uH, 1.14uHでしたが、実装した後、コイルのピッチを調整して、7.059MHzでのSWRが、最低の1.16になる状態で、コイルに瞬間接着剤を塗布して動かないようにしてあります。
11MHzまでのSWRを自作アンテナアナライザ-で測定したのが、左のグラフで、一応10MHzまでは使える状態に調整しております。
直交復調、変調回路と、リニアアンプが出来ましたので、次は、AD9833で作っているLO(ローカルオシレーター)を、Si5351のDDSに変更し、このVFOからHDSDRの周波数と送受信切り替えをコントロールできるようにします。
SDR用LO(ローカルオシレーター) Si5351A へ続く。
このアンプは最終的に、出力10Wになるよう回路変更を行いました。
SSBジェネレーターを自作したトランシーバー用の10Wリニアアンプの記事はこちらに有ります。