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2020年8月11日 (火)

dsPICでSSBトランシーバー(10Wリニアアンプ)

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dsPICをSSBジェネレーターとしたトランシーバーが、ほぼ期待通りに動き始めましたので、次は、これに接続するリニアアンプの検討です。 以前、HDSDR用のトランシーバーを製作したとき、MOS-FET IRFI510による10Wアンプを作っていますが、この時の電源電圧は18Vでした。 今回は、DC12Vで10Wの出力が得られるリニアアンプの検討です。

前回の経験から、MOS-FETによるリニアアンプのノウハウは理解していますので、まず、2SK2796Lにてトライしてみました。

2sk2796_vg_id

Tk2q60d_vg_id

2SK2796LのVgs対Idsの特性は左上のグラフデータのごとく、かなり急峻に立ち上がっています。 これは、100Wリニアアンプを検討した時のFKI10531と似た特性ですが、前回は35Vの電源でしたが、今回は12V電源です。 もしかしたらいけるかな?とトライしましたが、アイドル電流を調整中に熱暴走してあっけなく壊れました。 次に、このVgs対IdsがかなりなだらかなTK2Q60Dでトライしました。 熱暴走は起こりませんが、最大出力は3.5Wでした。 Rds 3.2Ωが効いて、出力はターゲットに届きませんでした。

MOS-FETによるリニアアンプは電源電圧を高くしないと、効率よくパワーが出てくれないようです。 そこで、トランジスタによるリニアアンプにトライする事にします。

ジャンク箱をかき回すと、3種類のトランジスタが見つかりました。 2SC1969  2SC1791  MRF477  いずれも、2石ペアです。 この中で、2SC1969だけは、放熱フィンがコレクタとなっており、放熱板に取り付けるとき、絶縁する必要があります。他の2品種はフィンがエミッタとなっており、放熱板にビス止めするとき、絶縁が不要です。 そこで、まず、2SC1791でトライします。

この2SC1791は175MHzで6W出せるVHF用のパワーTRです。 放熱板に取り付け、バイアス電流を1石当たり100mAに調整すべく、1mAから次第に大きくしていったのですが、50mAくらいになった途端、異常発振が起こり、Icは3Aくらいまで上昇し、DC電源のプロテクタが働いてしまいました。 結局、一度も増幅することなく、2石ともショート状態で壊れてしまいました。

1時間くらい落ち込んだ後、気を取り直して、 トランジスタをMRF477に変更しました。

10w_power_amp0

当初、2SC1792用のバイアス回路で、トライしたのですが、半固定抵抗を最大にしてもアイドル電流が2Aを超えてしまいます。 そこで、D2のRB521Sをショートして、再度電源ONすると、バイアス電流を可変する事が出来るようになりました。 このTRのデータシートによると、アイドル電流は1石当たり50mAと有りましたので、2石で100mAに調整した後、TS930Sから7MHzの入力を加えてみました。

最初に、5MHz、10MHz付近での異常発振です。 コレクタからベースへ,、お決まりのCRによる負帰還をかけて、発振はとまりましたが、7MHzを中心に+/-2MHzくらいで、ノイズフロアが異常に上昇します。 そのレベルは-30dBくらいです。 このTRのデータシートでは、ベースGND間に10Ωの抵抗を挿入し、入力をダンプしていますので、同様に、入力トランスの出力端を10Ωでダンプし、入力にコモンモードチョークを挿入すると、-50dBくらいまで改善しました。 このノイズフロアはTS-930Sでは-60dBくらいありますので、そこまでは減衰させる必要があります。 

10w_power_amp1

 そこで、ベースにシリーズ抵抗を挿入し、改善具合を調べてみました。

Rb10ohrm

Rb5ohrm_2

左上が10Ω、右上が5Ωのデータになります。この抵抗を大きくすると、ゲインが下がりますので、その分、このアンプのドライバー段に負荷がかかる事になりますが、明らかに10Ωの方が良好です。 動作は安定しましたが、ゲインが落ちてしまいましたので、コレクタからベースへ戻す負帰還抵抗を100Ωから220Ωに変更しました。 すると、また、ノイズフロアの上昇が発生しますので、10Ωはさらに22Ωへ変更しました。 そして、入力トランスの2次側に挿入した10Ωのダンプ抵抗を外してみたところ、ノイズフロアの増加はなくゲインが2dBくらいアップしました。 10Wの出力時の入力は0.5Wとなり、ドライバーの検討がやりやすくなりました。

上のスペアナデータでは、高調波が多く発生しておりますが、これは、LPFやシールド構造を検討して、対策可能ですので、後で対応する事にします。

10w_pa01_2

上の写真が、とりあえず安定に動作したリニアアンプのファイナル部分です。 これから、出力が1W程度のドライバーアンプを検討します。

Dspic_power_amp2

上の回路図が、1Wクラスのドライバーを追加したパワーアンプユニットです。 ドライバーの石はRD16HHF1 一石で構成しています。 このFETは12Vの電源で10W以上の実力がありますが、リニアリティを確保するために軽く使っています。 アイドル電流は、データシートより少し少ない400mAに合わせてあります。 AB級で動作していますが、最大出力状態でも0.65Wくらいの出力しかなく、通常はA級増幅です。 この状態で、ファイナルの出力は13W有ります。 少し出すぎですが、そのままです。

ドライバーの出力トランスは、受信部分で使用したTDKのコア2個を、ビニールテープで固定し、1次:2T 2次:3Tで自作しました。

Power_ampunit2

RD16HHF1には、銅板による放熱板を付けてあり、かつ、温度補償用のダイオードをシリコングリスでくっつけてあります。 ただ、1分くらいの13W出力テストで、あっちっちですから、ドライバーの構造を大幅変更し、ファイナルと同じ放熱板を使う事にしました。 二つの放熱板の間に、30mm角のファンが取り付けられています。

Idsp_pwr_unit2

Idsp_pwr_unit1

バラックの基板状態で、動作テストすると、スプリアスがかなり多く、最悪値で-45dBくらいになっています。 これは、各ブロックをシールドBOXで囲んだり、電源ラインのフィルターなどを検討する必要がありますが、それらは、ケースを確保し、実装設計の時、考える事にします。

13W出力時の全消費電流は4Aくらいです。 MRF477のデータシートには、40%の高効率と書いてありますが、ドライバー段や、30mm角のファンの電流を差し引いたとしても33%くらいの効率です。 多分、40%の効率は、最大PEP出力40Wの時なのでしょう。 電池運用で4Aはきついですから、QRPモードを設定する必要があるかもしれません。

dsPICでSSBトランシーバー(ケースイン) へ続く。

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