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2024年10月30日 (水)

Z-Match ATUの製作 2

カテゴリ:オートアンテナチューナー(ATU)の製作

最初に手配した80歯のタイミングプーリーの直径は用意したケースの内寸以内だったのですが、バリコンの最大容量を検出する為に用意したフォトセンサーの遮蔽体がケースの内寸をオーバーし、天板を取る付けられないという問題がありました。(前回記事) この時のタイミングプーリーの直径は55mmでしたが、フォトセンサーの遮蔽体の直径は73mm必要となる事を見落としていたのが原因でした。 対策として60歯のタイミングプーリーに交換する事にしました。 60歯のプーリーの直径は44mmでこれにフォトセンサー用の遮蔽体を追加した時の直径は62mmとなり、なんとかケースの内寸に収まります。 この変更が可能になる条件はステッピングモーターの1/4マイクロステップが解決しました。 従来の80歯のプーリーの場合、モーターは1.8度の1/4(0.45度)刻みで回転しますが、バリコンはタイミングプーリーの減速比 1/5で0.09度刻みで回転します。 この0.09度刻みはベルトのバックラッシュで吸収されてしまう角度で実質3ステップとなる0.27度が最小分解能でした。 今回60歯のプーリーを使えば、その減速比は1/3.75となり、VCの最小回転角は0.12度となります。 ただし、ベルトのバックラッシュを吸収できるステップではないですが、この2倍の0.24度ならほぼ確実にバックラッシュを超える事ができます。

以上の考察からプーリーとベルトを変更する事を決断し、かつ、ベルトのたるみの調整機能が無かったシングルバリコン側にもその調整機構を追加します。 

下の写真は60歯のプーリーに交換し、かつそれにマッチしたベルト掛けを行った状態です。

60t_pully_1

60t_pully_2

上の写真はベルトの張力調整を兼ねたバリコン軸のタワミ補正治具(左側)を取り付けた状態です。

 

60t_pully_3

フォトセンサーの出力がリンギングして、誤動作する為、コンデンサを追加して、動作の安定化を行いましたが、その時のコンデンサの容量の許容誤差の範囲が狭いという問題がありました。 そこで、このフォトセンサーの仕様書を入手して確認したところ、標準の使い方はエミフォロ回路で有る事が判りました。 そこで、エミフォロ(エミッターに負荷抵抗を接続した正式名称 エミッターフォロワー回路)に改造すると、きれいなスィッチング波形が得られました。コンデンサは無くてもOKなのですが、前回追加した0.1uFのままで進行します。 ただし、この変更で論理も逆転しますので、プログラムも修正しました。 そして、マイコン基板を接続し、やっと前回の80歯の時の動作まで再現できました。

ここから、いよいよ本命である自動整合機能の検討に移る事が出来る様になりました。

MAIN Unit 回路図   zmatch_atu_main1.pdfをダウンロード

コントローラー回路図 Z-Match-ATU_contoroller-1.pdfをダウンロード

ATU本体のプログラム Z-Match-ATU-main_02.cをダウンロード

ここにアップしましたプログラムは開発途中のもので、自動整合システムはまだ稼働していません。 唯一完成したのが、1/4マイクロステップで動作するステッピングモーターの台形駆動システムのみです。

  

最初にSWR計の動作チェックを行いました。 7MHzで動作チェックしようと、FTDX101Dをつなぐと、すごい受信ノイズです。S9あります。 最初、何のノイズか判らなかったのですが、ステッピングモータードライバーのPWMが原因でした。 以前、アンテナワイヤーをドライバーICに近づけるとS7のノイズが出ていましたが、アンテナ線を離すと、距離に応じてノイズは小さくなり、1mも離すと無視出来るくらいになりましたので、ここまでひどいとは考えていませんでした。 この状態ではアンテナチューナーとしては使い物になりません。 完全な致命傷です。

解決策があるのかを含めて再検討必要です。

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2024年10月 6日 (日)

Z Match ATU コントローラー

カテゴリ:オートアンテナチューナー(ATU)の製作

ATUの本体(Main Unit)のステッピングモーターの初期設定や、プリセットした位置にバリコンを回転させる機能は完成しましたが、自信でSWRを測りながら、SWR最小ポイントを探すという本来のプログラムは全く手が付けられていません。 理由は、ATUをコントロールするコマンド送出手段やATUの状態を手元で確認できる手段が未完成だからです。

そこで、ATUのメインユニットの開発は、途中で止めて、コントローラーの制作にかかる事にしました。 コントローラーとして完成度の高いのは前回製作し現用中のバリコン式T型ATUですが、マイコンが古くて、そのまま利用する事が出来ません。 従い、さらにそれより前のリレー式ATUのコントローラーのプログラムをコピーして、周辺機器の機能はリレー式のプログラムから、動作の基本はバリコン式のプログラムからコピーし、コンパイルすると、エラーばかりのプログラムでしたが、約1週間、奮闘した結果エラーも収まり、ATUに向かってコマンドを送る事が出来るようになりました。

Zmatch_controller_0

上のボードはいつもの仮パネルにより動作確認できるように組んだコントローラーの全体です。 

Z Match ATUコントローラー配線図 Z-Match-ATU_contoroller-0.pdfをダウンロード

コントローラーとATU間の通信確認をしましたが、さっぱり通信出来ません。 UART通信の初期設定に帰って原因を確認していますが、どうも送信時のP-MOSのスイッチングスピードに問題が有りそうです。 デジタルオシロで観測するとパルスのデューティが変わっていました。 

Flistinitcomp1

そこで、PICKit3の修理に使った+/-50mAの出力能力がある74LVC1T45というラインドライバーに変更し、このドライバーの極性に合うようにUARTの送信極性も変更すると、晴れて双方向通信が出来るようになり、コントローラーから周波数リストをメインユニットのEEPROMに書き込めるようになりました。ここまで1週間かかっています。

双方向通信が可能になった最初の機能追加は、マニュアルによるバリコンのアップダウンです。キーのチョン押と連続押に対応して、バリコンが回転できれば、ATU化する為のアルゴリズムを突き止める事ができます。 チョン押の時のバリコンの回転角度は後で好きなように変更できますが、この機能が完成するまで3日間かかりました。

このマニュアルでバリコンを回転させる時、29MHzでキーのチョン押を行うと、SWR最小ポイントを飛び越していく事が判りました。この実験の時のモーターの回転ステップは1回のチョン押で10ステップでしたので、飛び越しが起こらないように1回のチョン押で2ステップしか回転しないようにすると、バリコンを180度回転させるための時間が10秒以上かかってしまいます。 特に1.8MHzの時のシングルバリコンのSWR変化率は29MHzのダブルバリコンの1/10くらいしか無く、2ステップのモーター回転ではSWRはほとんど変化しなく、自動整合の時間が大幅に長くなってしまいます。 そこで、シングルバリコンとダブルバリコンのチョン押時のステップ数にも差を設ける事にしました。 

その後の検討で、このシングルバリコンとダブルバリコンのステップ差は無しにし、最小ステップは2という事で落ち着いています。 代わりに、チョン押のとき2stepと8stepを切り替えるスィッチを追加しました。

ここまでソフトが出来た時点で、一旦、ATUを分解し、バリコンプーリーを80歯から60歯に変更し、バリコン最大容量検出用のフォトセンサー回路と位置を変更し、ATUの天板をかぶせる事が出来るようにします。 このプーリー変更に伴い、タイミングベルトも交換になりますが、プーリーを変更して、ベルト長を実測し、中国の販売店に注文しました。 注文して5日後にベルトが到着しましたので、その日の晩に交換作業を行い、実働テストまでこぎつけました。

 

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