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2022年3月12日 (土)

160m用 8m高のスローパー

<カテゴリ:アンテナ>

200Wの1.8MHz用SSB送信機が出来上がりましたので、国内用のアンテナを常設すべく、再検討する事にしました。 過去の実験から、フルサイズのロングワイヤー(40m)を展開すれば、近距離しかカバーしない国内用のアンテナが出来上がる事は判っていましたが、給電部が敷地外の地上になり、敷地外(市有地)まで同軸を伸ばしたり、そこにマッチングBOXを臨時で置く事は出来ても、常設は出来ませんでした。 そこで、マッチングBOXも同軸も敷地内に置き、市有地の調整池上空のみを借用する事により、常設のアンテナを実現する事にしました。

この肝は、グランドアースをどうするかが最大の難問でしたが、ふと、思い出したのが、家の構造です。 この家は、木造鉄骨で、その鉄骨と電気的に接続された直径10cmくらいの金属パイルが16本地下へ打ち込まれています。 パイルの長さは5mから10mくらいあり、これも立派なアースとして動作するかも知れません。 まず、この鉄骨とベランダのアルミ合金の手すりが電気的につながっているか確かめ、この手すりに台所用のアルミ箔を約30cmほど巻き付け、これと、マッチングBOXのアースを繋ぎ、整合実験をすると、共振周波数でSWR1.3以下を実現できる事が判りました。

この予備実験から、逆Lではなく、高さが8mしかない短縮スローパーを作る事が出来る事が判りましたので、スローパーの斜め部分を、取れるだけとれる寸法にしたアンテンナを構築する事にしました。  以前の実験は2015年で、その時は50mのワイヤーを張る事ができましたが、調整池の周りに、雑木が生い茂り、今では、我が家で池周辺のメンテをやっている範囲内になる、36m張るのがやっとです。

160m_longwire

上が構想図です。 下が、MMANA-GALでシュミレーションした特性です。 36mの部分の線材はLANケーブルを割いて取り出したAWG24のワイヤーです。

Mmana_slowper

下の写真は、高さ8mのベランダから釣り竿を横へ張り出し、AWG24のワイヤーを張った起点です。 そして、その下がベランダの手すりに巻き付けた0.3mm厚20cm x 30cm のアルミ板に金メッキのハトメを打ち、ハトメに半田付けしたケーブルをマッチングBOXのGND端子へつなぐようにしたアンテナアース部分です。 推定静電容量は2000PF以上です。

160m_wire_end

160m_antgnd

160m_mtu

160m_machingbox_schema_2

160mlw_swr     

左上が、マッチングBOXの中で、その右が、その等価回路です。 今回のマッチングトランスはAWG28のワイヤーを2本を一束として、全部で10束のワイヤーを6ターン、FT240-#43コアに巻き、6ターンずつを、直列に接続したもので、同軸ケーブルの芯線を⑩番タップへ、アンテナへは⑦番タップから、ローディングコイルを経由して、つながります。 コイルのインダクタは5.5uHでした。 ローディングコイル込みのアンテナのインピーダンスは約25Ωです。

そして、左上がこのアンテナのSWR特性で、一応SSBバンドへ合わせてあります。

自作のアンテナアナライザで調整した後、TS-930Sから60W出してチェックしましたが、ほとんど変化はありませんでした。

さっそく、その日の晩にテストON AIRしました。 残念ながら自作の200W機は動作が安定せず、TS-930Sによるアンテナだけのテストになりました。 こちらからコールしたQSOが2局、相手からコール頂いたQSOが2局。 いずれも双方で59から59+20dBのレポートでした。 そして、CWの時とは比べ物にならないレベルのノイズに閉口しました。 この4局以外の方からもコール頂いたのですが、結局コールサインを取る事が出来ず交信不成立でした。 

その後、1週間くらい使った感じですが、3エリアを含めた西側の3,4,5,6エリアがカバー範囲で、2エリア以東は、相手の方の設備が平均以上の性能の場合のみ交信可能のようです。 アンテナの打ち上げ角からしたら、シュミレーション通りの結果ですので、ローカルラグチューには最適のようです。

約3週間使った結果、せめてゲインをプラスにできないものかと、再度逆Lにトライしました。 しかも、マッチングBOXと同軸ケーブルは敷地内に収まるとという条件です。 

3階のシャックから同軸ケーブルを一度地上まで降ろし、そこから土の上を10mくらい這わせて、マッチングBOXの位置を決めたところ、同軸ケーブルの長さは約40mとなりました。

そして、下のように展開しました。

160m_l_2

L

160m_machingbox_l_2

Swrl_2

ゲインが0.1dBアップしましたが実際は誤差内です。 今回のマッチングBOX内は延長コイルでなく、短縮コンデンサとなり、インピーダンス比は1:1のトランスとなりました。 この延長コイルが無くなった分だけロスが減ったとおもわれますが、どのくらいかは不明です。 実際に使った感じはあまり変わりませんでした。

 

せめて、ゲインがプラスにならないものかと3回目の改良です。 今まで使用していたワイヤーは、調整池の上空に展開する事から、あまり目立たない、LANケーブルを割いて取り出したAWG24のワイヤーを使っていました。 このワイヤーの直径は0.5mmくらいです。 これを1.6φのマグネットワイヤーに変更する事にしました。 マグネットワイヤーは茶色に着色されており、昼間でもあまり目立ちません。 ワイヤーを張り替えるついでに長さも2mほど延長しました。  また、マッチングBOXのGND端子は池の周りに張り巡らされている金網に地中を通った2φのアルミ線で接続しました。

Mgwire_2

L1r6


Trans3

Iwl1r6

短縮コンデンサは1340PFになり、トランスの巻き数比は10:8になりました。 アンテナのインピーダンスは短縮コンデンサ込みで、32オームです。 そしてゲインは +1,86dBとなり 前回より2.2dB上がりました。 200Wの出力が332Wになった事に相当します。

約10日間使用した結果、ワイヤーが少し伸びたようで、中心周波数が1.834MHzまで下がってしまいましたので、短縮コンデンサの値を1250PFに変更しました。

 

給電点の高さを11mまで上げ、ATUで整合させたスローパーもどきのアンテナはこちらにあります。

  

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