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2016年5月17日 (火)

シャーシ変更と音質改善

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

有り合わせのシャーシに組んだ回路ブロックは、その配置と距離の関係でRFの回り込みが発生し、それが、変調音の歪となっていました。 そこで、シャーシをもう一回り大きな物に変更し、将来ケース収納も視野にいれた構造とすべく改造する事にしました。

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FETドライバーTC4452を2個も使った事からDC12Vのシリーズレギュレーターの電力損失が10W近くになり、長時間のエージングで破壊したのをきっかけに、このレギュレーターをDC/DCコンバータータイプに変更する事にしました。採用したDC/DCコンバーターはサンケン製のMPM80という2Aタイプでしたが、キャリアーを送信した途端、アース線のビニール被覆が火を噴いてICはショート状態で壊れてしまいました。 RFイミュニテイに無防備のDC/DCは自ら壊れると同時に無線機を破壊します。 昔、菊水のAC/DC電源に2mのトランシーバーを繋ぎ、送信にした途端、出力電圧が制御不能になりトランシバーを壊した事を思い出しました。  しかし、またシリーズレギュレーターに戻す事は不可能ですから、今度は新電元の3Aタイプに変更し、入出力にチョークコイルを入れ、RF混入を防止する策をとり、なんとか40W出力でも正常に動作させる事に成功しましたので、 このDC/DCとパワーリレー、コモンモードフィルターなどを小さな基板にまとめてメンテしやすくしました。

RFのE級アンプはほぼ完成していましたが、メガネコアとドレイン間を結ぶワイヤーがリンギングの元になっている可能性がありましたので、これを短冊状の銅板に変更しました。

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左上は、配線を銅板に変更した状態。右上はその状態で出力35W時のドレイン電圧波形です。それぞれ、60Vピークくらいです。 ゼロ電位のリンギングが前回より少しだけ改善しました。

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また、変調回路もメンテを容易にする為、左上の写真のように放熱板を基板上に取り付け、D級アンプのFET 2石を基板上に配置しました。 今回、この変調回路にちょっとしたEQ機能を追加しました。 リミッターアンプの2番ピンに270Ωと1μFのパラ回路を追加し、2KHz付近でピークが出来るような周波数特性とし、少しでも了解度のアップを期待する事にします。 右上は、MICアンプからD級アンプのLPFまでの周波数特性です。 低域をカットし、中域を強調しています。 ただし、そのレベル差はわずかです。

D級アンプのLPFについても検討を加えました。 LPFの設計は、E級アンプの動作インピーダンスに合わせる必要があります。 35W出力時の動作インピーダンスは4Ωくらいです。 従い、4ΩでLPFを再計算し、各定数を決め、LPFのコアはNECトーキンのESD-R-47N-Hという品番で200MHzくらいまで使える物に変更してありましたが、このコアはNi-Zn系の非分割タイプでした。

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従い、左上の写真のごとく、巻き数も少なく太い線で巻線出来ていましたが、右上の写真のごとく、変調波形に歪が見られました。 正弦波のエンベロープを良く観察すると、レベルが高くなる方向で振幅が抑えられた上下に非対称となっています。 この原因を調査したところ、直流電流重畳によるインダクタンスの変化のようです。 FAT5ではアミドンのT200-26のコアを指定していますが、このコアはフェライトではなく、カーボニル鉄粉による焼結コアです。アミドンのHOMEページから確定した許容DC電流は読み取れませんが、同じようなコアを使っている北川工業のメタルコアMPTRは20AのDC重畳でもインダクタンスは変わらないと言っています。 アミドンが例え20Aまでないにしても、5Aや10Aではインダクタンスに変化は無いと推定できます。 メタルコアの個人による入手は全く不可能ですから、コアをT200-26に変更したいのですが、入手にかなり時間がかかりそうです。 そこで、テンポラリィとして、北川工業の分割コアGTFC-41-27-16にもどし、1mmのエアギャップを2か所確保して、このDC重畳特性を改善したのが、左下のコイルで、このコイルのときの変調波形が右下になります。

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フェライトコアにエアーギャップを設けて、磁気飽和対策をしても、直流電流増加によるインダクタンスの減少率がゼロになる訳では有りませんので、直流電流が、およそ2Aを超え始めると、インピーダンスが非線形になる事を防止する事は出来ないようです。 今後、カーボニルコアを入手できたら、どれくらい改善するか確認する事にします。

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今回シャーシを一回り大きくしましたので、全体の配置は左のようになりました。前回より大きく変わっていませんが、各ブロック間の距離を確保できましたので、RFの回り込みによりDC/DC電源の異常動作、変調音の歪は解消されました。 

また、変調段のLPFが鳴く問題をすこしでも改善する為、このコアを2枚のベーク板で挟みこみ、1mmのUEW線の振動を抑える事にしました。効果はベーク板がないよりはマシというレベルにしかなりませんでしたが、専有面積の削減にはなりました。 

 当初20W以下の出力でE級アンプの電流も2A以下でしたので、D1のショットキーバリアダイオードは3A定格品を使っていました。 出力40W近くになった現在は3Aを超える電流が流れています。 そして、エージング途中でこの3Aのダイオードもショート状態で壊れてしまいました。 とりあえず代用品を使っていますが、なるべく早く大きな定格のダイオードに変更が必要です。 電源入力部分には5Aのヒューズを設けていますが、すでに2回もこのヒューズが飛ぶというアクシデントもありましたので、28Vラインの電流も監視できるように電流計を追加しました。  

変調段を含めた効率は71%でまずまずです。 変調器のD級アンプは95%くらいの効率で動作しているようです。

エージングを続けていると、小出しに問題が出てきます。 日曜日の朝一番にエージングの為、送信にしたら、出力が10Wも出ません。 スタンバイスイッチを何回かON/OFFしているうちに35W出るようになりました。 一度35W出始めると、継続してOKとなります。 この不安定な動作の原因を調べてみると、TC4452の入力レベルがアンバランスで、一方は正常なレベルですが、もう一方は、スレッシホールドレベルギリギリで、温度が低い時は、レベルが下がりプッシュプル動作となっていないのが原因でした。 どうも前段のCMOSインバーターに問題があるようで、オシロでチェックすると、74HC04の出力が電源電圧の半分くらいしかスイングしていません。 ドライブ電流不足かと、インバーターをパラレル接続してみましたが関係なし。 改めてスペックを見ても、7MHzでスイッチングするには問題ないレベルです。 しかし、後日、判ったのは、このICには推奨状態が明記されている事でした。 それは、下記の抜粋のごとく4.5Vスイング時の時間は500nsecとなっています。 4.5Vフルスイングできる最悪周波数は約2MHzで、どこのメーカーも似たりよったりです。従い、今回のように7MHzで使う場合、各ICメーカーの実力で動作する事になります。 このICは取り付けた直後は実力でOKでしたが、エージングで性能が落ちたようです。  そこで、このICを手持ちのTIの74LS04に変更する事にしました。

Mm74hc04recomend

Mm74hc04 

ドライバー段で、 このドライブ不足が起こると、基本波近傍の不要輻射が極端に大きくなるようです。 ドライブ不足の状態で音楽を変調しながら、受信周波数を次第に離調させると、20KHzくらい離れた周波数では、歪んだノイズに近い復調音になりますが、受信機のSメーターは同調時に比べ40dBくらい低く指示します。 しかし、74LS04に替えた後は、同じように歪んだ復調音ですがSメーターは同調時よりも60dBくらい低く指示します。 ドライブ不足は不要輻射の増減に大きく関係するようです。

74LS04に変えてから、VR5を調整すると第2高調波レベルが最低になるポイントが出てくるようになりました。 さらに、送信開始すると、従来の調整状態のままで、いきなり出力40Wになります。 以前、エージング中に5Wほど出力がアップすると言いましたが、その原因は温度でコンデンサの容量が変わるのではなく、CMOSインバーターの状態が変化していた事が原因でした。 その後、この74HC04のスペックを色々調べたところ、全メーカーが同じ仕様となっており、7MHzで正常動作するかいなかは、ICのバラツキで決まるという事のようです。 これを解決するには、  入力の立ち上がり時間、立下り時間に制限を設けていない74HCU04を使えば良いようです。

ここまでの配線図をダウンロード AMTX_PP1.pdfをダウンロード

カーボニルコアの効果 に続く。

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