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2016年1月31日 (日)

変調性能確認

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

変調部とRF部が完成しましたので、電源電圧13.8Vの状態で、AM送信機としてまとめ、変調の度合いを確認する事にしました。 出力はLPFを通った後4.5W出ています。

Amtx_comp

左は、コの字の形に曲げたアルミシャーシの上に、変調部、RF部、及び送信のスタンバイスイッチやマイクジャックを設け、一応送信ON/OFFが出来るようにしたものです。 送信のON/OFFはできますが、受信機の制御まではまだ出来ていません。 実際にON AIRするまでには、追加予定です。

ひとつのシャーシにまとめるに当たり、変調器、水晶発振器など前段の部分は実験用のシリーズ型安定化電源から電源を供給し、RFと変調器のファイナル部分はKENWOODのPW18-3ADという、れっきとした工業用電源から供給していました。 キャリアを無変調でダミー抵抗に送信し、それをTS-850SをAMモードにして受信すると、すさまじいハム音です。しかもかなり高調波も含まれています。 そこへ、ダミー抵抗にオシロを接続して変調波形をモニターしようとすると、このハム音がさらに大きくなります。

困りはてて、再度分解して、電源回路に電解コンデンサを追加したりしましたが、一向に改善しません。 KENWOODのDC電源の+/-両端にオシロをつなぎ、ゲインを最大にすると、かすかに方形波が見えますが、それが変調器に混入している訳ではなさそうです。 とりあえず、この電源を止めて、いつも使っているFT-991用のDAIWAのDC電源に交換して見ました。 すると、ハム音は画期的に改善しました。 工業用電源は選択可能な電流リミッターやデジタル表示の電圧、電流計や、プリセット機能など、回路検討時は大変便利なものですが、自身のノイズ対策がかえってGNDラインをノイズでフローティングするようになってしまうようです。

ファイナルの電源をFT-991用にしても、ハム音は完全にゼロでは有りません。 そこで、前段に接続されているアナログ電源をはずし、前段もFT-991用の電源から供給するようにしてやると、きれいにハム音が消えました。 ふたつのACトランスを介した電源では、ハムの誘導ノイズが消えないようです。

Music_mod

PCのヘッドフォーン端子から音楽信号を入力できるようにしてテストしてみると、懐かしいAMラジオの音がTS-850Sのスピーカーから聞こえてきました。 左の波形は音楽で変調されたキャリアです。 ピークで90%くらいまで変調がかかっております。

音楽はスペクトルの範囲が比較的狭い昭和の音楽ほど良く聞こえました。 そして、歪感は全くありません。 計画当初、変調後のRF信号を検波して、PWMアンプの差動入力端子へ負帰還をかけようと考えていましたが、その必要は全くないようです。

変調器ファイナルのデュティを可変できるようにTLP552のLED電流を調整する半固定抵抗VR3を追加しました。 これで、変調段のLPF出力ポイントでのDC電圧を供給電源の電圧の1/2に調整しようとしましたが、半固定を最少から最大まで可変しても、この電圧は0.数ボルトしか変わりません。 470Ω固定でも問題ないようです。 また、RFが変調回路に回り込んで、波形歪を起こす対策として、OP-AMP入力の+/-端子間に1608タイプのチップコンデンサ1000PFを追加しました。 

実験は13.8Vの電源で行いましたが、最終的にはこの電源電圧を28V以上にアップする予定ですので、MOS-FETによるシリーズレギュレーターを追加しました。

28V以上のDC電源はジャンクのTS-930Sの電源から取り出す事にしました。このTS-930Sは動作しませんが、電源だけは生きています。 整流直後の電圧は40Vくらいあり、これをシリーズレギュレーターで28Vに安定化しています。 しかも、28Vで10A以上の容量がありますので、今回のAM送信機の電源としては、ちょうど良さそうです。

FETによるレギュレーターを実装し、電源電圧28Vで送信テストを行ったところ、20W出力され、成功と思いきや、90%の変調にすると、1分くらいで送信不能になりました。 直接の原因はRF部のファイナルSTF19NF20のドレイン、ソース間ショートですが、その原因は熱暴走と思われます。 今まで25W出力のテストもしてきましたが、それはせいぜい30秒以内の動作でした。 今回のように1分近く動作させた事がありませんでしたので、シリコングリスも塗布していない事によりFETが熱破壊したと思われます。 そして、当然変調段のFKI10531もドレインソース間がショートしていました。

また、追加したFETのレギュレーターは異常発振を起こし、その上、7MHzのRF信号が混入し、電圧制御不能なっていました。 このレギュレーターはリップルリジェクションが非常に良いことで知られ、LDOという名称で、もてはやされてていますが、負荷側の変動や、高周波妨害に対しては極端に弱いようです。 7812のようなバイポーラの3端子レギュレーターに変更します。  

また、壊れたRFファイナルを修理し、元の状態に戻すまでかなり時間がかかりそうです。

失敗した回路図 AMTX_10.pdfをダウンロード

熱暴走を少しでも対策する為に、さらに、効率アップが出来ないかも再検討する事にします。

放熱設計 へ続く

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