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2015年12月28日 (月)

7MHz RFユニット

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

AM送信機のRFユニットの作成です。

まず、7195KHzと予備として7190KHzをカバー出来るVXO回路を作る事にしました。

 

Amtx_vxo_2

7.2MHzという水晶はAM/FMラジオ用PLLシンセの基準周波数として使われていたものですが、最近、この周波数の水晶が大量に格安で売られています。 今回は「aitendo」という通販ショップから購入しました。 

この回路で7199KHzから7188KHzまでの11KHzを可変できます。水晶に直列に入れたコイルはSMTタイプの固定インダクタですので、最適インダクターとはなっていないかも知れませんが、目標とした2つの周波数は確保できましたので、良しとします。

AMのもうひとつの常用周波数である7181KHzをカバーするVXO回路の製作はこちらにあります。

次に、ドライバーとMOS-FETによるファイナル部分です。

送信機全体の回路図 AMTX_0.pdfをダウンロード

Q3でTTLレベルまで増幅し、波形整形の為、CMOSゲートを通した後、FETドライバーのTC4422に入力し、その出力でMOS-FET FKI10531をドライブします。FETのドレイン側にはチョークコイルとフライホイール回路とインピーダンス変換トランスを設け、7MHzの7次LPFを通してアンテナに出力されます。 E級アンプの基本回路では、FETのドレインとGND間にCdsなるコンデンサが必要なのですが、FETのドレイン、ソース間に120Pの出力容量が存在しますので、60PFのトリーマーだけを入れてあります。 このトリーマーを回しても、出力や効率はほとんど変化しませんが、Vdの0V付近で発生するリンギングの様子が変化します。 調整はこのリンギングが最少となるポイントに合わせました。

この回路は下記のURLを参考に、13.8Vの電源で50Wを出そうと考え、設計しましたが、残念ながら出力も効率も全くダメでした。 (ダメな原因は私の使い方でした。ここで正しい使い方を紹介しています。)

http://people.physics.anu.edu.au/~dxt103/class-e/

当初6V12.5Wで設計したのですが、2SK3234で1Wしか出力できず、効率も30%以下でした。 色々WEB情報を調べても、6V12.5Wクラス(12V50W同等)のアンプは130KHzくらいのアンプの例しかなく、7MHzくらいの周波数では無理があるようです。 従い、6V5W(12V20W相当)まで出力を落とす事にしました。しかし、2SK3234ではどんなに頑張っても3Wくらいしか出ず、効率も50%くらいでした。 また、手元にIRF640もありましたので交換したところ4W出ましたが、効率は50%止まりでした。 そこで、変調器のFETはサンケンが一番良かったので、キャリア増幅用もサンケンのFKI10531に換えてみました。すると、5Wの出力で効率も60%くらいまで改善しました。 

Amtx_6v_test

手前の基板がVXOとキャリア送信部です。 今回はVXOの出力は使用せず、アンテナアナライザーから7195KHz付近のキャリアを入力し、周波数を可変しながら、フライホイール回路が最適になっているかをテストしました。 基板上の黒い四角の物体はメガネコアで、ジャンク扱いのTS-930Sのファイナル段から取り外したものです。1次側は銅パイプによる1ターンの巻き数で、2次側はAWG24のビニール線を3ターン巻いてあります。 この出力は左上にあるコイル3個のLPFを経由してクラニシの終端型パワー計につないであります。

FETのドレインに接続される10uHのチョークコイルもTS-930Sのファイナル段から取ってきたものです。

Amtx_7mout

左のオシロ波形は下がFETのゲート電圧波形で8Vピークあります。 E級アンプの技術資料には決まって台形の波形が登場します。1.8MHzくらいなら、きれいな台形波形をしていますが、7MHzともなると、だんだん角が取れてくるようです。 当初、教科書通りの波形にならないので悩みましたが、WEBで見つけた7MHzや14MHzの1KWアンプのゲート波形はこれよりもっとひどくなまっておりましたので、安心しました。 

上の波形はドレイン電圧の波形で、37Vピークあります。この時の正確なVDDは6.01Vでしたので、約6.2倍の電圧が発生しています。 このFETのVdmaxは100Vですので、16V以上の電源では使えないという事になります。 パワーアップする場合、再度FETの品種選定が必要です。  

Amtx_7mhz_out

左の波形は7次バターワースLPFを通過した後の7MHz出力波形です。見た目での高調波歪はかなりよさそうです。 変調器との結合が出来たらスペアナでチェックする事にします。 この7次バターワースLPFの計算もPWM変調器用LPFと同じURLで計算しました。

Eamp04uh_2

コイルのインダクタンスが少し大きいとおもわれますので、現在の約1μHから約0.4μHくらいまで小さくし、シリーズコンデンサを約1500PFくらいまで増やしてみましたら、左のようなきれいなVd波形となりました。パワーは6Vで4W出ていますが、効率は、50%前後まで落ちました。

その後、13V 10Wの出力になるよう定数を変え、実験しましたが、テストした3種類のFETいずれでも55%以上の効率を確保できませんでした。 効率が上がらない理由は、FETも関係しますが、コイルやコンデンサ、トランスが最適になっていないのが原因のようです。

E級アンプの調整箇所を少なくして、検討しやすくする記事が見つかりました。 これによると、コイルにシリーズに入るコンデンサを無くした代わりに、コイルの前後にコンデンサを追加し、コイルとコンデンサ2個を最良状態にもっていけばいいようです。 

フライホイール回路の直列共振コンデンサを廃止し、トランスも止めて、LCによるインピーダンス変換回路をジャングル配線で試したところ、2SK3234では55%の効率でしたが、FKI10531では75.5%まで改善しました。 ただし、5Vで1.5Wしか出ていません。 12V換算で9W弱ですから、目標にはまだまだですが、効率を上げる方法が判ってきました。

Amtx_01

効率を上げようとすると、出力にリンギングが激しく乗ります。これを対策する事を含めて、各回路の配置をやり直し、かつトランスも廃止したのが左の写真です。

コイル両端のコンデンサをバリコンに置き換え、コイルも効率最大となる値になるよう試行錯誤した結果4.8Vの電源で1.8Wの出力が得られた時のIdは0.392Aでした。 効率は95.6%と計算されました。 この時の負荷インピーダンスは約12Ωです。 

ここまで出来ると、後は、効率を我慢できるレベルまでダウンさせ、6Vの電源で何ワット出力できるか探ることにより、なんとか実用できそうです。

Vd_0109左は、この95.6%の効率の時のVdの波形です。従来の波形よりいびつですが、FET OFFの時のVdの面積が明らかに広くなっています。 また、この時の波高値は25Vくらいで、初期のころよりピークは小さくなっています。 この事は、Vdmax100VのFETでも電源電圧を19Vまでかけても良いという事になります。

この状態の時の回路図を以下に示します。

Amtx_rf1_3

当初の目標である6V 5Wの出力にトライし、効率78%を得ましたが、激しいリンギングが発生し、回路が安定しません。 リンギング対策は難航を極めました。 上のトランスの無い回路では、フライホイール回路に流れる歪んだ電流経路が多技に渡り、発振現象を押さえるのがとても難しくなりました。 そこで、最終的に、フライホイール回路のコイルの向きを90度変え、かつトランスを復活させフライホイール回路電流通路の単純化を行い、出力も3.4Wまで落とした結果、なんとか安定して動作するようになりました。この時の効率は70%くらいです。

Amtx0111

また、OSCとFETドライバーの途中に挿入したバッファーもインバーターに換えました。 これはOSC回路が動作停止したとき、ファイナルのFETのゲート電圧が8Vで固定され、大電流が流れ、FETが壊れるのを防ぐ為です。

復活したトランスはTS930Sのファイナルの入力段に使用されていた小型のメガネコアに変えました。

 変調器から見たインピーダンスは約7.2Ωとなりました。

ファイナルのFETはベースのアルミ板にビス止めしてある事もあり、ほとんど発熱しませんが、TC4422はかなり熱くなります。 このICはスペック的にデータが公表されているのは2MHzまでで、7MHzは実力で動作していますので、製品ロットでかなりバラツキがあるのかも知れません。 データシートによれば、FETのゲート容量1500PFで、8Vの時の消費電流は2MHzにて74mAくらいと予想できますが、実際の回路では7MHzで200mA流れています。 次回の検討では、このICよりもう少しドライブ能力の高いTC4452を手配してみる事にします。

修正した回路図 AMTX_2.pdfをダウンロード

TC4452手配がまだですので、先にパワーアップ検討を行いました。

E級アンプ 出力アップ検討 に続く。

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2015年12月19日 (土)

PWM変調器

<カテゴリ AM送信機(PWM方式)

7MHzバンドで使えるPWM変調方式のAM送信機を作る事にしました。 CQ誌に掲載されたオール半導体によるPWM変調方式のAM送信機の記事を見て、作ってみたくなったのがきっかけです。

WEB上にあるOM諸氏の記事や解説を頼りに、構成を決め、机上検討していましたが、いよいよ部品集めの段階になり、ぼちぼち、部品が集まってきましたので、まずは変調回路から試作する事にしました。

Amtxmod1

Amtxmod2

 

Amtx_mic_freq

マイクの入力感度は-50dBmくらいですので、最大ゲイン60dBくらいのオーディオアンプの初段にDual-GateのFETを使い、G2の電圧をコントロールしてリミッターアンプ機能を付けています。また、3KHzをカットオフ周波数としたOP-AMPによる3次LPFも実装しました。 これらのアンプの動作テストも行い、リミッターがちゃんと動作する事は確認済みです。 ただし、リミッターのアタックタイムやリカバリタイムは実際にマイクに向かってしゃべってみないと良く判らないので、送信機が完成した時点で再調整します。 Dual-Gate FETの最大VDDは6Vなので、8VのLDOの出力をダイオードとLEDで無理やり5Vに電圧シフトして使っています。 これらのテストの為、作成したPICマイコンによる正弦波発生器は重宝しております。

このマイクアンプの出力は、TPA2006というTIのPWMオーディオパワーアンプに入力し、スピーカー出力用の+側端子からPWM波を取り出し、これをフォトカプラー経由でMOS-FETの終段をドライブします。

Amtx_1khz_tpa2006out

PWM変調に使うTPA2006は秋月で2.5ピッチの変換基板付で300円で売られているものですが、入力端子にシリーズに付いている抵抗とコンデンサは変更してあります。  左の波形は、このアンプのPWM出力をLPFを通した時の1KHzの波形です。 5Vの電源で4Vppの無歪出力が得られています。出力を上げていくと4.5Vppくらいからクリップしますので、リミッターアンプがクリップ寸前で飽和するようにVR2により調整します。

このパワーアンプの出力はVR4を経由して、高速フォトカプラーに入力されます。 この入力抵抗が5KΩの半固定抵抗になっているのは、内部のLEDとフォトTRのバラツキで、PWMのデュティが変わってしまうので、これを調整する為のものです。 最終的に7MHzのE級アンプに接続して、無変調状態で、E級アンプに供給されるDC電圧がファイナル用電源電圧の1/2になるように調整します。

Amtxpwmfetcomp_2

左の表は、最終段のMOS-FETの品種を変えて、測定した出力電力です。

FETのドレインに13.2Vを加え、ソースとGND間に2.2Ωを負荷として接続し、無変調状態で、この負荷抵抗の両端電圧と電流を計測したものです。 オシロスコープでモニターし、いずれも250KHzのデュティ50%の矩形波である事は確認しています。

結果は、秋月で1個40円で売っていたサンケンのFKI10531が一番良い結果を示しました。このFETはON抵抗は小さいのですが、入力容量が1500pFくらいありますので、7MHzのキャリア増幅には向かないかも知れません。 変調段は250KHzでのスイッチングですので、変調段のFETはサンケン製に決定します。

Amtxlpf_cal

左の表は、PWM終段のFET出力からE級アンプまでの途中に挿入されるLPFの計算結果です。 LPFは3段バターワースでカットオフ周波数を9KHz,入出力インピーダンスを1.8Ωとして設定してあります。 この計算はWEB上で計算方法を公開しているRFDNのサイトで計算しました。 URLは以下です。

http://gate.ruru.ne.jp/rfdn/Tools/BlpfForm.asp#p1

3dBカットオフ周波数と250KHzの減衰量を指定しますが、3段のLPFにしたいので減衰量は80dBとしました。次にLPF パイ入力型でインピーダンスを1.8Ωにしてやると、この表のような結果が得られます。 後日検討するE級アンプのインピーダンスをシュミレーションしましたら、1.8Ωくらいで出力10Wが得られるようですので、LPFのインピーダンスも1.8Ωで計算しました。

トロイダルコアにコイルを巻いて必要なインダクタンスを確保しますが、手持ちのトロイダルコアに1mmのPPシートによるギャップを2か所設けて、重畳される直流電流で磁気飽和しないように配慮した上で、1.5mmのPEW線を27ターン巻き約64uHを確保しました。 コアは北川工業のGTFC-41-27-16という品番です。 

Amtx_lpf63uh

左の画像は、トロイダルコアに巻かれたコイルに0.0056uFのマイラーコンデンサをシリーズに接続し、自作のアンテナアナライザーで共振周波数をチェックしているところです。  

L1の63.7uHと0.0056uFの共振周波数の計算値は約266KHzですが、実測値は263KHzでしたので、ほぼOKと思われます。

トロイダルコアはFT-140#61が一般的に入手しやすいのですが、たちまち手持ちがありませんでしたので、かなり特殊な北川工業のコアを使いました。 また、今回はLW帯で使用可能なアンテナアナライザーで測定しましたが、コンデンサを0.0056ではなく100PFにしてやると計算上は約2MHzの共振周波数となります。 しかし、一般的な1.8MHz以上で使用可能なアナライザーでは、コイルの浮遊容量などの影響で正しい共振周波数を見つける事は出来ませんでした。

 2016年1月10日 追記

LPFの定数が決まり、変調段だけのテストしたら、波形が大きく歪みます。原因を調査したところ、フォトカプラーの選定ミスという事が判明しました。TLP552クラスを選定しないとPWMのスイッチングスピードに追いついていかないようです。 TLP552を手配している間に予備検討したところ、スィッチング周波数250KHzは高すぎるかも知れないという不安がありました。 

TLP552が入手できましたので、各段における歪状態を確認する事にしました。

Mod_tpaout_clep_2

Mod_tpaout__2Mod_fet_sout_

波形は左側がPWMオーディオアンプのスピーカー出力端の波形で上下がクリップした状態で、このレベルから1dB下げた状態が真ん中の波形です。 右側が終段FETのソースとGND間に4.4Ωのダミー抵抗を接続し、その両端にLPFを接続した時の波形です。ひずみやクリップは有りません。 この状態でレベルを1dBアップすると、この出力も上下がクリップ始めます。 

スイッチング周波数が高すぎるのでは心配しましたが、波形を見る限り問題はなさそうです。

 

Mod_lpf1_2

RFユニットのE級アンプがなんとか使える状態になりましたので、インピーダンスを再設定して、LPFを再設計することにします。

E級アンプのインピーダンスは実測で7.2Ωとなりましたので、3dBカットオフ周波数を10KHzとして、再計算した結果は左の表のようになりました。 L1の値がかなり大きくなりましたので、コイルは作り直しです。 インダクタンスが大きくなりましたのでコアに挟んだギャップスペーサーは全て廃止し、ワイヤーも1mmのUEWに変えました。

さあ、出来たと、RFユニットと結合して変調の度合いを見る事にしました。ところが、1KHzのプラス側半分がつぶれた波形で、流れる電流も単体のときの約2倍。 まったく使い物にならないひどい変調です。 単体のときのモニターではきれいな正弦波が得られていたのにと焦りました。 原因はLPFのC1の存在でした。C1はFETのソースとRFのGNDの間に接続され、ここで250KHzのキャリアがフィルターへ行かずバイパスされていました。 変調回路のフィルターはパイ型は使えないということです。 C1の2.2uFのコンデンサを廃止し、その他のLCはそのままで、インダクターインプット型にするときれいな正弦波で変調がかかりました。

Amtx_mod90

上の波形が7MHzのキャリアに1KHzの変調をかけた状態です。 電源電圧は9VでRF出力は約1.5Wです。 残念ながら、この状態が約82%の最高変調度で、これより少しオーディオゲインを上げると1KHzの波形が上下でクリップ始めます。 原因は大体推測は出来ます。 FETの飽和電圧と思われます。 波形を見ていると、過大入力が有っても、このオーディオ信号のクリップの為、7MHzのキャリアがゼロになる事は有りません。 これは、過変調によるスプラッタ増大を防止する効果があるかも知れません。

デュアルゲートFETを使用したリミッターアンプを付けていましたが、このFETアンプのリップルリジェクション能力がほとんどなく、変調音に電源のリップルや、送信したRF信号が電源ラインに乗り、ノイズとして聞こえます。 よって、このFETによるリミッターアンプは廃止する事にしました。 とりあえずリミッター無しで進行し、その内にリミッターICでも追加する事にします。

修正した配線図 AMTX_9.pdfをダウンロード

F

最終的な変調器の周波数特性は左のようになりました。 -3dB幅は125Hz~3500Hzくらいです。

7MHz RFユニット へ続く

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2015年12月 9日 (水)

正弦波発生器(PIC18F14K50)

<カテゴリー:PICマイコン

CQ誌のPWM変調AM送信機の記事に魅せられて、微力ながら、このアナログの塊のオールソリッドステートの送信機を作りたくなりました。  WEB上の情報から、この送信機の構成は理解できましたので、部品集めを進める傍らで、AM変調用の低周波発振器の必要性を認識しました。 実は、45年前に購入した20Hzから200KHzまでカバーするKENWOOD製の低周波発振器を6年前に完動品のまま粗大ごみに出してしまった事を悔やんでいます。 

CWのサイドトーン用にウィーンブリッジ式の正弦波発振器の製作例はこのブログでも紹介していますが、せっかくPICマイコンを曲がりなりにもいじれるようになりましたので、マイコンからDA変換を利用した正弦波発生器ができないか検討する事にしました。 WEBで検索すると、PICマイコンで正弦波を発生させる方法が沢山見つかりました。 その中で、マイコンのシステムクロックをフリーランの外部クロックで駆動し、任意の低周波周波数を得る方法と、固定クロックでADの出力周期を変えながら複数のスポット周波数として発生させるアイデアがあるようですが、その中で、比較的ひずみ率が良好で、簡単なCRフィルターで構成出来る8bitのラダー抵抗式DAコンバーターが良さそうです。

AM送信機で必要な周波数は1KHz、及び300Hzから3KHzの変調周波数特性と、これより広い範囲でどれだけ減衰しているかをチェックできる周波数帯となる100Hzから6KHzくらいをスポットでカバーできる周波数があれば良く、周波数も大体でOKですが、ひずみ率は1%以下とし、全周波数帯域に渡り出力レベルは+/-0.5dBくらいに抑えたいという条件があります。

マイコンは、使い道が無く、ジャンク箱に転がっていたPIC18F14K50というチップを拾い上げ、これにアセンブラでソフトを仕込む事にしました。 アセンブラによるソフトの開発は30年以上前にMC68000で少しかじっただけでしたが、データシートやWEBでの情報を頼りに再挑戦する事にしました。

まずは、ちゃんと正弦波が発生できるかどうかですが、約1週間かかり、なんとかそれらしき信号が得られました。 

40hz_nolpf_2

9khz_nolpf_3

左は最低周波数、1サイクルを256分割した40Hzの波形。右は最高周波数、1サイクルを64分割した12.5KHzの波形です。いずれもまだLPFは入っていないDAC出力直後の波形です。

波形の様子から、簡単なCRによるLPFでクロックによる高調波は取り除く事ができそうです。OP-AMPによりカットオフ周波数約30KHzのLPFを作り、DACとこのLPFが持っている周波数特性をもう1段のOP-AMPで補正し、40Hzから12.5KHzまでほぼフラットな正弦波発生器ができました。

40hz_lpf

1khz_lpf

9khz_lpf

左から40Hz,1KHz,12.5KHzのLPF後の波形で、周波数特性の補正を行い、振幅を一定にしたものです。ひずみ率計がありませんので、はっきりした数値は判りませんが、経験的にいずれもひずみ率は1%以下になっているようです。

配線図をダウンロード

A_osc2

A_osc1_2

上がPICによるDAコンバーターとLPFのOP-AMPを実装した基板です。 基板裏側の左側の空き地は後日、この正弦波発生器をコントロールするマイコンを実装するスペースです。

PICのプログラムは周波数を初期設定した後、無限ループに入って、正弦波を出力し続けますので、周波数を変更したい場合、周波数設定用のSW1からSW5をセットした後、RESETスイッチSW9を押すことで実現します。 これをロータリーSWかロータリーエンコーダーの操作のみで実現する為に、周波数表示が可能な簡単なマイコンを実装する予定にしていますが、今回の目的が、AM送信機を作る事なので、コントロールマイコンやケース入れは後回しにします。

 ソースコード sin_wave_osc.ASMをダウンロード

SW1-SW4に対応した周期カウント値は適当な値ですので、周波数カウンターを使い、トリミング必要です。

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