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2015年5月 4日 (月)

TFT LCDによるアナログメーター1

<カテゴリー:PICマイコン

AadigitaltestPICのマイコンを使用して、アンテナチューナーのコントローラーやATUの製作を行ってきましたが、この過程で、SWR計も作ってきました。 PICマイコンに少し、慣れたころ、このマイコンのAD入力にCAA-500のインピーダンス検出DC信号や、SWR検出DC信号を加え、アンテナアナライザーによるインピーダンスやSWRのデジタル表示にトライし、RやXの表示も行えるところまで実験ができましたので、次の目標は、オール自作のアンテナアナライザーと決めました。 左の画像は、CAA500のセンサー基板に、PIC16F1939を使用した自作のマイコンボードとLCDディスプレーを接続し、マイコンで周波数や、SWR、インピーダンス、R、Xを表示させている実験風景です。

アンテナアナライザーのセンサー部分や、広帯域発振回路など、なんとかなりそうですが、これをメカニカルアナログメーターや、キャラクタ表示の液晶で実現してもMFJやコメットと同じなので、面白く有りません。  そこで、マイコンでは、無理と言われる、液晶表示の疑似アナログメーターの実験を始める事にしました。 最近の車のインパネは高精細度の液晶によるスピードメーターやタコメーターがすばらしいデザインの元で実装されております。またKENWOODの最新モデルにも、液晶表示のアナログメーターが実装され、デジタル駆動にもかかわらず、非常にわかりやすいアナログメーターとなっています。 これらの最新技術のLCDアナログメーターに及ばないにしても、安いマイコンと、安い液晶でどこまで、液晶表示のアナログメーターが実現できるかの実験記です。

使うマイコンは、少し役不足ですが、ATUに使ったPIC16F1939。 これで160x128ドットのTFT液晶をドライブします。 液晶は262K色対応で、普通の写真を表示させても、遜色のないカラー画像が表示できるという中国製です。

とりあえずは、TFT LCDを初期設定し、画像や、文字を表示できるところまでトライします。

この実験ボードの配線図です。TFT-LCD.pdfをダウンロード

実験に使うマイコンはROMもRAMもグラフィックLCDをドライブするには小さすぎますので、今回は、基本動作を得とくする事が目的となり、実践版は次の試作までお預けとします。

試用するLCDはDisplaytechのDT018ATFTという品番で、液晶ドライブIC ILI9163Cが内臓されています。 このILI9163Cという台湾製のICはインターネット上でも良くみかけるST7735とコンパチで、ST7735用のイニシャルルーチンでちゃんと初期設定されてしまいます。初期設定が成功したら、後は、ILI9163Cのデータシートを読みながら、ああでもない、こうでも無いと試行錯誤する事になりますが、いつのまにか、文字表示や自作したイメージデータの表示が出来るようになりました。

Pic_lcd_demo

左の画像は、なんとか表示できるようになったので、SWR計の目盛をLCD上に表示させたものです。SWR検出信号をADにつなげば、赤色の指針がSWRを指します。

メーターの目盛は3角関数とピタゴラスの定理を駆使して、描かれており、ブリッジの不平衡電圧を角度に変えて、目盛と同じ式で指針を表示していますので、指示誤差は有りません。

150x50ピクセルくらいの範囲で描画していますので、あまりきれいではありませんが、実験機としては十分です。

ただし、大きな問題があります。

動作がおそろしく遅いのです。

指針が移動するのに、0.5秒くらいかかります。1度移動しようが、60度移動しようが0.5秒です。 これでは、全く使いものにはなりません。  これは、指針も3角関数と、ピタゴラスの定理でXYドットをいちいち計算して表示していたのが最大の原因です。  

これを、指針のドットのみ1度ごとのXYデータの配列として記憶させて置き、測定された指針角度から、このイメージデータを呼び出し、表示させる事にしました。 角度データは80度分必要ですが、とりあえず10度分だけ作って振らせてみました。 指針は赤色で描画した後、一度白色で再描画し、指針を一度消し、次に新しい位置に、赤で描画するという事を繰り返します。 このドット単位での書き換え動作は、目盛と指針が重なった場所の目盛表示を復帰させるのも、ドット単位で行えますので、復帰させるドット情報も簡単に計算できます。 しかし結果は、かなり早くなりましたが、指針のチラツキが目立つようになりました。 まだまだ、改善が必要です。

次に、文字フォントと同じように8x16の書き換え可能なドットパターンを用意し、この範囲に含まれる目盛のドットに加えて、指針のドットも書き込み、これを指針角度に応じて、画面上に再描画させる動作を実験しました。この場合、指針の移動に伴い、旧指針を消すという動作と消えた目盛の復帰動作が不要になりますので、面を書き換える時間増より、コマンド切り替えの回数減少から、LCD側の動作速度がかなり早くなります。 また、ちらつきもほとんど無くなる事も判りました。 ただし、LCDにカラードットを書き込む前のドットパターン作成作業は複雑になりますので、マイコンのクロックを上げたり、16bit RISCタイプに変えるなど、対応が必要になると思われます。

次は、マイコンを16bit品に変え、かつLCDも320x240ドット品に変えて、動作速度の改善に取り組みます。

同じようなLCDをお使いになりたい時の為に、このLCD用の初期設定ルーチンだけですが、以下に示します。

void lcd_CMD(unsigned char CM) {//1-byteコマンド
      RS = 0;
      WR = 0;
      LATD =CM;
      WR = 1;
      RS = 1;
     }
void lcd_DATA(unsigned char DA) {
      WR = 0;
      LATD = DA;
      WR = 1;
     }

void init_LCD() {
      lcd_CMD(0x01);//ソフトリセット
       __delay_ms(120) ;
      lcd_CMD(0x11);//Sleep Out
      __delay_ms(120) ;
      lcd_CMD(0x36);
      lcd_DATA(0xC8);
      lcd_CMD(0x2A);
      lcd_DATA(0x00);
      lcd_DATA(0x00);
      lcd_DATA(0x00);
      lcd_DATA(0x9F);
      lcd_CMD(0x2B);
      lcd_DATA(0x00);
      lcd_DATA(0x00);
      lcd_DATA(0x00);
      lcd_DATA(0x7F);
      lcd_CMD(0x36);
      lcd_DATA(0xAC);
// lcd_CMD(0x29);//Display ON このコマンドは画面クリアーの後が良い。
      lcd_CMD(0x2C);
      __delay_ms(200) ;
 }

TFT LCDによるアナログメーター 2 に続く。

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