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2014年7月31日 (木)

バリコン式ATUの自作 2

カテゴリ:オートアンテナチューナー(ATU)の製作

TS-930Sに内臓されていた時のATUの動きは、バンド切り替えに応じ、コイルが選択された後、キャリアーを送信しながら、VC1とVC2を同時に回転させ、SWRが設定された値以下になったら、そのVCの位置からサーボが働き、SWR最少状態に収束させるものでした。 VC1とVC2が同じ回転速度で回転したのでは、いつまで経っても、VC1とVC2の比は変わりませんから、VC1側をVC2より遅く回転させ、時間によって、VC1とVC2の比が変わるようにしていました。  今回製作するATUも同じようなアルゴリズムでSWR最少状態を実現させますが、サーボが開始されるSWR値を高くして、整合可能範囲の拡大を行います。 TS-930Sの場合、SWR2以下を検出しないと、サーボは動作しなかったような。

ATUの出力に50Ωのダミー抵抗を接続し検討します。一応、アンテナのバラツキの中心は50Ωの純抵抗ですから、ダミー抵抗を整合させられるVCの容量とコイルのインダクタンスが、その整合状態の中心となり、これを、どれだけ可変できるかで整合可能インピーダンスの範囲が決まります。

まずは、VC1とVC2の回転速度差をどのように選んだら最短でサーボが動作開始するかを実験してみました。  VC2を12Vで回転させ、VC1を10Vくらいから3Vくらいまで連続可変し、最適な回転速度比を見つける事にしました。 結論はVC1を遅くするほど確実にSWRのディップポイントが発生する事が判りましたが、遅くなるほど、ディップポイントが発生する時間間隔は長くなります。この時間が長いと言う事は、整合状態になるまでの時間が長いという事に他なりません。 また、VC1の回転を速くすると、ディップポイントの出現間隔も短くなりますが、トレースが粗くなりますので、デイップポイントを見逃す頻度も高くなります。  

TS-930Sの場合、VC2よりVC1は半分くらいの回転速度だったような記憶ですが、もう動作しませんので確認のしようが有りません。 とりあえず、実験ではVC1駆動モーターの電圧を4.5Vとして、以後の検討をする事にします。現在は夏なので、冬の屋外で、モーターが起動するか?という不安もありますが、その問題は冬場に対策する事にします。

モーターの回転比を決めたところで、各ハムバンドにおける最適コイルタップ位置を選択する事にしました。 下の画像は、3.5MHzと29.5MHzの時の、Vref電圧の変化をデジタルオシロで記録したものです。時間軸は5秒/DEVです。またSWR=1,3,5の位置を赤線で示しました。29.5MHz時、高周波が重畳しているのはオシロのプローグが送信出力をピックアップしているもので、Vref自身はきれいな直流です。 

Atutap1 同じようにして、3.5MHzから29MHzまでの全バンドを測定した結果は次のようになりました。

Atutap0_3

SWR5以下の検出時間間隔というのは、SWR5以上になった後、次にSWR5以下になるまでの時間の事であり、チューニング動作を開始したら、最低この時間はモーターを回し続けなければならないと言う事になります。 3.5MHzのとき、この時間は13秒になりました。逆に言えば、13秒経っても、SWR5以下が得られない場合、そのアンテナは整合不可と言う事になります。

この13秒は最悪値ですから、実際はこの半分くらいの時間で、サーボ動作に移れると考えています。

Atucoild

コイルのタップ番号は当初の予想とは大きくずれました。 3.5MHzから29MHzまでをカバーするつもりですから、コイルは1個でよく、かつタップの数も9個で良いと言う事になりました。最終的に小さいサイズに収める為には、リレーも9個で済む事はメリットとなります。 評価ボードのコイルも1個に変更しました。リレーは実装されていますが、配線は削除しました。

改造などをやっている内に、LCDが壊れてしまいました。間違って、LCDのGNDに+12Vを接続してしまい、LCD内部のDC/DCが壊れ昇圧しなくなりました。

交換の為に手配したLCDが入手できたので、今度はSMT用ユニバーサル基板に実装する事にしました。ところが、このNEW LCDも表示しません。 調べたら、1-2番pinと3-4番pinがそれぞれショートしていました。ここのショート箇所を直しましたが、時すでに遅し。またもや内部のDC/DCが壊れてしまいました。 

Atulcd2

気を取り直して、予備で手配しておいたLCDに交換です。今度は、ハンダ付けする度にテスターで導通テストを行い、祈りながら通電しましたら、ちゃんと動作するようになりました。 もし、このLCDをお使いになりたい時は、秋月に変換基板がありますので、それを利用されることを強く推奨します。LCD本体より変換基板の方が高いのですが、いまやっと、その価値を理解しました。写真は壊れた2個のLCDとなんとか動いた3個目のLCDです。

また、トラブルが発生しました。このLCDは、ベランダに設置したATUの基板に貼り付けてあったのですが、表示が出なくなりました。結局、ATUの自作 : LCD交換 で紹介のごとく使用を中止しました。

バリコン式ATUの自作 3 に続く。

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