FT-450受信感度不良
昨日の朝、FT450の受信感度が異常に低下していることに気づきました。
いつものように、6mのEスポをチェックすべく、SW ONすると、いやに静か。180KHz付近でいつも聞こえるキャリアノイズが聞こえない。アンテナがおかしいのか?と軽く10Wくらいで送信テストするとSWRが3を示しているではありませんか。 ベランダに出て、目視でアンテナをチェックするも異常なし。念の為と、バラン取り付け用のMコネクタをひねると、あらら! 簡単に回る状態。2箇所のMコネクタをしっかり締め付けて、再度送信テスト。SWRは1.01に戻り、一件落着。と思いきや、ローカル局がCQを出し始めて、Sメーターを見ると、振れなし。この局はいつも+40dBくらいで入感する局なのに。 やはりどこかに異常があるみたい。7MHzのアンテナにつなぎ換えても、いつもS7くらいあるノイズはS0相当。隣のTS-930Sで受信すると+40dBくらいで入感する局がS1くらいの振れ。7MHzも送信は異常なし。
さあ、困りました。 この週末は6m & Downコンテストなのに、6mに出られない。
配線図で疑わしい部品を選びだし、PDFファイルで入手済みの英文サービスマニュアルからその部品の位置を探しだし、現品を特定したら、テスターで電圧や導通をチェック。 5箇所目くらいで、送信時、大きな信号が受信機の初段に加わらないように設けた、スイッチングダーオードが順方向も逆方向も100KΩくらいを示すことを発見。
このダイオードD2009は1SV271という品番。Googleで調べると東芝製の高周波スイッチングダイオードとのこと。同じ部品の手持ちは無いので、廃棄予定の基板についていた1SS355というロームのダイオードを剥ぎ取り、壊れた1SV271と交換したら、一発で直ってしまいました。1SS355は高周波用ではありませんが、接合容量は実力で1PFくらいしかなく、スペック(max 3PF)とかけ離れています。代替えしても問題ないでしょう。
このダイオードが壊れた原因を推定すると、最初に見つかった、コネクターの緩みによるSWRの悪化状態で最近何回かやったFM 100W連続送信の実験が一番怪しい。とりあえずコンテストで様子を見ることに。(誘導雷で送信不能になり、この年のコンテストには参加できませんでした。)
受信機の修理が完了した次の日、誘導雷により送信不能になりました。 この修理時に、受信部を保護するダイオードD2001,2002も壊れていた事が判りましたが、誘導雷で壊れたのか、それ以前に壊れていたのかは不明でした。
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受信部プロテクターのダイオードが壊れるのは、FT-450の設計ミスのようです。
2014年5月
再び、受信感度不足の症状が発生しました。調べてみると、
- D2002オープン
- D2013-D2017逆方向インピーダンス低すぎ(数百Ω)
- T2025断線
LEDとダイオードは正規品では有りませんが、代用可能な手持ちのチップLEDと1SS355に交換しましたが、広帯域トランスT2025はカスタム品で代替え可能品がありません。やむなくメーカーへ修理依頼しました。 修理完了した修理伝票を見ると、Q2061(DBM)も壊れていたとの事で、これも交換されていました。
この修理の過程で、強入力信号から受信機を保護する為に設けられたD2001とD2002がチップLEDである事がわかりましたが、LEDが壊れたのは、これで2回目です。LEDは過電流、過電圧に弱く、最大定格を超えるとすぐに劣化します。普通はプロテクターとしては使いません。
修理が終わって返ってきたリグで、このLEDに流れる電流を測ってみました。条件はFT-450のアンテナ端子に6m用のヘンテナを接続した状態で、その外側にある18メガ用スカイドアに10Wの電力を加えた状態です。そして、出力が50W、100Wになったときの電流を計算で求めました。 結果は左の表の通りで、隣のアンテナに10W加えただけで、14,21,24メガでLEDの絶対最大定格を超えます。特に24メガでは、すでに最大定格の5倍を超えてしまいました。 ただ、最大定格を5倍超えたくらいでは短時間ならまだもちます。
左の画像は隣のアンテナに28メガの10Wを加えた時のLEDの光具合です。この後、周波数を24メガに変更し、出力を50Wにしたら、2個のLEDとも煙を出して消えてしまいました。
TS-930SでHFを運用する時は、FT-450に接続された6m用ヘンテナの同軸ケーブルを外すという事を心掛けていましたが、Eスポが出たときなど、うっかりしてヘンテナがFT-450につながったまま24メガの送信をする事がありました。 多分SSBでは持ちこたえてもCWでは壊れたと思われます。このプロテクタのLEDが壊れると、まともに大きいRF信号がバンドパスフィルターへ流れ込みますので、スィッチング用のダイオードが次々に劣化していったと思われます。
対応策として、LEDを止め、通常のダイオードを2個シリーズにして互いに逆方向に実装することにしました。実装したダイオードは1N4148という品名で平均電流の最大定格が200mAのものです。秋月で50本100円で売られていたものです。 一応、短時間なら1Aくらいはもつダイオードです。TS930やTS850の保護ダイオードも品番は違いますが、200mAクラスのダイオードを使っています。
LEDのVfは2Vくらいあり、強入力が有ったら2Vでクリップさせられるから、都合が良いと考えたのでしょうが、実使用状態を知らない技術者が設計したとしか思えませんね。
LEDやダイオードが壊れる原因は判りましたが、広帯域トランスが断線した理由がわかりません。唯一考えられるのが、このトランスの足の部分に2個のチップ抵抗を手半田してあります。この手半田した時の半田フラックスが粗悪品で、細いエナメル線を腐食させてしまったくらいしか考えつきませんね。トランスが壊れたからQ2061(ダブルバランスミクサーダイオード)も壊れたのでしょうかね。
このトランシーバーはその後、50MHzでAM送信をすると、出力が徐々に上昇し、約20秒かかって規定出力になるという故障症状が発見され、この基板をそっくり交換するという事態まで発展しました。 なので、いままでのトラブルの原因は結局不明のままとなりました。
知らぬ間にプロテクターのLEDが壊れて、バンド切り替えダイオードが次々に壊れていくという現象は、FT-450 1台しかない場合、全く問題ありませんが、HFトランシバーが複数台有り、アンテナも複数本有る場合、くれぐれもご注意ください。