ハイサイドFETドライバーを使ったPWM変調器
<カテゴリ AM送信機(PWM方式)>
FETドライバーの中にHigh Side FET Driver と言われるFETドライバーがあります。 これは、数十ボルトから数100ボルトの電源を直接スッィチングして出力を得るものですが、NチャンネルFETをドライブしようとすると、そのドライバーもそれなりの電位を持った状態でないと、うまくスィッチング出来ないところを、ブーストラップ回路をICの中に内蔵し、12Vくらいの電源電圧でも600Vくらいの電源から負荷に電力を供給できるようになります。
このハイサイドドライブ用IC IR2110Pが秋月で販売されており、それを買ったのが、6年くらい前で、いまだに実際の回路として検討した事がありませんでした。
最近、これと同じ品番のICを使ったフローティング不要のPWM送信機の製作記事を見つけましたので、さっそく試作してみました。
そして、電圧20Vの電源に繋ぎ、実際に動かしてみました。 ところが、7MHzの出力が12Wくらいしか出ません。 その時の全消費電流は3.5Aくらい。無変調時、高周波のファイナルに加わっている電圧は6Vくらいです。 本来は10Vの電圧でなければならないのが40%もダウンしています。 この原因はハイサイドのFETのインピーダンスが、ことのほか大きく、電圧ロスが発生しているのが原因です。 オリジナルのVKの配線図でしめされる送信機は1.8MHz帯で120Wの出力。この変調段に使われているFETのRdsは53mΩ品、私のFETは75mΩと1.4倍近くありますが、それでも、あまりにも効率が悪すぎます。 ただ、入力容量がオリジナルはMax 887PFに対して、私のはティピカルで2159PFもある事。 そして、決定的な相違点として、RF終段の負荷抵抗がオリジナルは10~16Ωに対して、私の回路は5.6Ωである事でした。
そこで、まず、ハイサイドのFETをオリジナルと同じIPP530N15に変更し、出力インピーダンスも12.5Ωに代えてトライする事にしました。
結果は、電源電圧18Vにして無変調時の変調段出力は6Vしかなく、出力も最高18Wでした。 この状態で電源電圧を34Vまで上げると、50Wの出力になりますが、変調段のDC電圧は14Vしかありません。 従来のフローティング式の変調段のDC電圧は供給したDC電圧の1/2になるのですが、このハイサイドドライバーの場合、常に供給電圧の1/2になる電圧より約3V低い電圧になりました。
そして、IRのデータシート状ではR3の設定が無いので、この電圧降下にR3 2.4Ωが関係しているのか調べる為に、この抵抗をショートしてみました。 結果は15A以上の電流が流れたので、一旦電源をOFFにした後、抵抗のショートを止め、再度電源ONすると消費電流ゼロで、変調器の出力もゼロです。 壊れた箇所を探すと、FETドライバーと5Vの電源で動くPWMパワーアンプが死んでいました。 終段のFETは2石とも正常でした。
このハイサイドドライバーやPWMオーディオアンプはまだ秋月で販売継続中ですが、無変調時1/2の電圧を供給出来ないという事情が判りましたので、これ以上の検討は中止しました。
このPWM送信機は機会を見て元の回路構成に戻す事にします。

