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2025年5月26日 (月)

中華製 SI5351A 実働テスト

<カテゴリー:DDS

私が、インターネットで最初にその存在を知ったのは2015年ごろで、10年前の事でした。 当時デジタルVFOと言えば、アナデバのDDSが一般的で、シリコンラボのこのICに注目する人は少なかったと見え、あのRSでMOQ5で750円(1石150円)で売られていました。当時、秋月では確か150円か200円だったと思いますが、2016年にRSで150円で調達したこのICは、自作の無線機に欠かせない存在になってしまい、2025年5月時点で、秋月でも320円で販売されています。 一方、安売りの中国市場での価格は円安の影響もあり、シリコンラボオリジナル品が1pcs 200円以上しています。

昨年の夏から製作を始めたZ Match ATUの部材を通販で中国から買うとき、買い物合計金額の集計中に後300円以上購入すると、送料無料と表示されます。 一応欲しい物は全部買い物かごにいれ終わり、送料が300円くらい計上されている状態なので、つい、何か300円程度の物はないかと探すと、SI5351Aが5石で350円(現在でも存在しています)というのが目に留まりました。 1石70円換算です。 中華製のブランド名で売られていますが、「オリジナル」と書いてあり、本物とほぼ同じ捺印がされた写真まで付いています。 どうせ、シリコンラボのコピー品の「オリジナル」だろうと思いましたが、送料がタダになるのなら、失敗しても損はないとこれを購入したのが10か月前。

やっと、このICがちゃんと使えるのか検証する事ができましたので、レポートします。

Isi5351a_test_pcb


使ったPICマイコンはPIC24FV32KA302という16bit品で私の部品箱には数石在庫がありましたので、これでSI5351Aをコントロールする事にしました。 いつもの通り、25MHzのクリスタルの半田付けには苦労しましたが、とりあえず動きだしましたので、過去シリコンラボの正規品のデータが残っている17MHzと24MHzのスプリアスのテストをおこないました。

このテスト基板は、SI5351Aのほかに、SPIドライブのLCD表示や、SWR計のテストも出来るようにしてありますので、余計な部品がいっぱいついていますが、実際に動作しているのは添付している配線図の範囲だけです。

Isi5351_freq17mhz

Isi5351a_17mhz_spa

Isi5351a_24mhz_spa

上の周波数表示は17MHzを発生させたときの周波数カウンター表示ですが、目標の17MHzに対して390Hzの誤差ですが、この数値は、簡単に校正できますので、表示がチラつかないという事だけが確認になります。 そして、過去のSDRトランシーバーでも問題となったスプリアスです。

左上が17MHz、右上が24MHzの中華製ICのスペクトルデータで、左下及び右下のデータがシリコンラボ正規品のスプリアスになります。

17MHzの±1MHzくらいにあるスプリアスがシリコンラボ純正より約5dBほど高くなっています。また、CNが6dBほど悪くなっています。 この状態では18Mhz以下の送信機にはギリギリセーフですが21MHz以上の送信機では不適合となってしまいます。  送信機に使いたいときは14MHz及びそれ以下のバンドならOKと思われます。 後日、7MHzのAM送信機に使ってみるつもりです。

17mhzonly

24mhzonly

 

Isi5351a_1724mhz_spa

左は中華製の17MHzと24MHzを同時に発生させた時の、17MHz側のスプリアスを見たものですが、24MHzのスプリアスがそのまま出ている状態で、2波同時発生は不可との結論です。 このレベルはシリコンラボのオリジナル品と同等です。 

これらの結果から、簡易型のSSGくらいにしか使えませんね。SSGのスプリアスレベルは-30dBくらいから製品化されていますので。

この実験に使った配線図 SI5351A_test_CN.sch.pdfをダウンロード

テストに使ったプログラム S15351A_CN_copy.cをダウンロード

このテスト用プログラムの中には、SPIドライブのLCD表示プログラムも含まれておりますが、今回はテストの対象にはしていません。

この確認を終えた後、私の不注意でICを壊してしまい、交換する事になりました。 しかし、残り4個のICのクリスタルが発振しません。 半田付けの異常がないか全部3時間もかけてチェックし異常はありません。 最初の1個だけが正常に発振し、この記事のごとく動作確認もできたのですが、クリスタルが発振しない状態でCLK0にはFM変調のかかった目的周波数の数分の一の矩形波が見えるのが2個、全く反応なしが2個。 結局実用にはなりませんでした。 秋月から購入した基板完成品に取り換える事にします。

秋月から買った組み立て済みの8Pinボードにのったシリコンラボオリジナルの発振回路が時々、発振しません。 発振しない時は、オンボードの水晶も発振していません。 電源Swを切ってすぐにONするとOKなのですが、電源OFF後10秒くらい経ってからONするとNGになります。 どうも電源の立ち上がりに問題がありそうで、電源回路に入っている100uFのコンデンサを2200uFに変更したらOKとなりました。

ここで、問題が浮上してきました。以前水晶が発振しないと、ゴミ箱に捨てた中華製のICはほんとうはIC自体は問題なく電源がNGだったのでは? ゴミ箱から捨てたIC4個を回収しました。 

この回収品のVDDとGND間の抵抗を測ったところ、3個が正常品と同じ約250Ω、1個が120Ωでした。 120ΩのICは多分私が壊した物でしょう。ちょうど、この日、秋月から買った前述のモジュールのICを壊してしまいましたので、これを中華製のICに交換してみました。

ラッキー。ちゃんと中華製のICでも発振し、7195KHzを発振していました。 残り2個はまだチェックしていませんが、多分OK!

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