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2013年10月21日 (月)

アンテナシステム立て替え

 <カテゴリ:マルチバンドアンテナシステム>

T26_hason四国沖の太平洋を北東に進む台風26号を甘くみていました。夜中の3時ごろ、アンテナが折れて倒れてしまいました。10段つなぎの下から2段目の部分で折れており、アンテナは3階のベランダから逆さまにぶら下がっていましたので、明るくなるのを待って、早々に壊れたアンテナを撤去しました。

アンテナがなければ何もできませんので、立て替える事にしましたが、構造は従来通りとし、スカイドアの横幅を小さくし、見てくれを少しだけ改善することにしました。ポールは10m EXTRAというドイツ製のポールをインターネットで見つけて、その日の内に注文。

 

Sk1310s_2ポールが届くまでの間に、MMANAでシュミレーションです。 横幅を3mから2.6mに縮小した代わりに、従来のループ長を変えない為に、ループの高さを5.4mから5.9mに変更しました。 各バンドの特性を確認すると、14MHzと28MHzで0.2dBくらいゲインがダウンし、21MHzでは逆に0.2dBくらいゲインがアップします。インピーダンスの変化もわずかで、MTUで調整範囲と見込まれます。

次の日、ポールが届いて、プラスアルファの長さを得る為に、余っている釣竿を継ぎ足しますと、なんと12.8mにもなってしまいました。 従来のポールは釣竿を継ぎ足しても11mでしたので、これでは長すぎます。 継ぎ足す釣竿の段数を減らし、ポールの高さは11.5mに留めることにしました。これで、7MHzの垂直ダイポールは上部エレメントのみ50cm長くなったオフセット給電になりますが、MTUのカバー範囲ですので、これもOKとします。

横幅を縮小した為、見た目は、スリムになりました。 また、6mのヘンテナの給電部分が垂れ下がって、アンテナを上げ下げする度に、共振周波数がずれるという問題がありましたので、今回、グラスファイバーの支柱を追加して安定させました。 

ポールの直径が一回り大きくなり、ステーを固定するマストベアリングが、マストの根本から挿入できない事をアンテナが完成してから気づき、アンテナを分解して、マストの先端からマストベアリングを挿入するという、面倒事もありましたが、また、元の位置に立てる事ができました。 色が黒からグレーになった関係で、少し目立ちます。

前回のアンテナは1年半の寿命でしたが、今回はせめて3年はもたせたいですね。

Mtu131207

ベランダに置かれたMTUも若干増加しました。右側の列の上から2番目に有った、3.7MHz用MTUを3.8MHz用に変更し、3番目のMTUは3.5MHzの臨時逆V用のT型MTUに変更しました。  また、一番下に7MHzの臨時逆V用チューナーが追加されました。 

左側の一番下には、3.5MHz用整合回路が追加されました。 この3.5MHz用整合回路は、ローディングコイルとインピーダンス変換用トランスで構成され、チューナーとは呼びませんが、パイ型チューナーより広帯域ですので、最近の国内交信はもっぱらこの整合器を使っています。  ただ、この整合器を使うと、パイマッチのMTUより受信のSが低くなる傾向があり、原因を調査中です。
 

160m用アンテナ追加に続く

 

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2013年10月 6日 (日)

160m用短縮Whip(ホイップ)アンテナ 2

<カテゴリ:アンテナ>

ペットボトルが内側へ凹み、線間ショートが発生して使えなくなった短縮ホイップアンテナを再度作り直す事にしました。  今回のペットボトルは、特売していたキリンレモン用にしましたが、中身を飲み干して、ボトルのボディ強度をチェックすると、三ツ矢サイダーより弱い感じ。 

160mwp1_2 導線は、線間ショートが発生しにくい、1.5φのマグネットワイヤー(PEW線)を1Kg手配して、これを、ゆるみが出ない程度に軽く巻く事にしました。全巻き数は112ターンとし、下側から10ターンの所にタップを作っておきます。

160mwp3160mwp2 
これに上部エレメントとして、2mの1.25SQの銅線をつなぎますが、調整が簡単にできる様に、ミノムシクリップ付とし、クリップの移動で+/-20KHzくらいの可変が出来るようにしました。

このコイルを6.3mの釣竿にくくりつけて、竿を持ち上げると、結構竿がしなります。前回はアルミ線で、重さ200gでしたので、さほど感じませんでしたが、今回は600gと、かなり重くなってしまいました。 風のある日は要注意です。

下側のエレメントのクリップで、タップの部分をつかんでおき、アンテナアナライザーをつなぎ、1.910MHzで50Ωのインピーダンスになるようにコイルの巻き数と、上部エレメントをカット&トライします。  コイルの上端から30cmのヒゲを出し、これを長さ152cmまでカットした上部エレメントのクリップでつかみ、共振周波数を微調整します。 

この状態で。下側のエレメントをタップからコイルの端部へ移すと1.817MHzに同調するようにタップから下側のコイルの巻き数を調整しました。

調整完了した時点で、1.9MHz時のコイルの巻き数は99.7ターン。1.8MHz用に巻き足した部分は9.4ターンとなり、この状態でのSWRは1.910MHzで1.0、 1.817MHzで1.1くらいに収まっています。いずれの場合でもSWR1.5の幅は+/-2.5KHz程度でかなり狭いです。

 160mwp4_2アンテナアナライザーで調整完了したので、実際の送信機で確認してみました。 10W出力では、OKなのですが、出力を40Wまで上げると、SWRが2くらいまで跳ね上がります。 出力を20Wくらいまで下げると、SWRは次第に下がり、10Wのときと同等まで変化します。

このような変化は温度に関係します。しかも、パワーを上げたら、SWRが悪化し、下げれば良くなるというのは、どこかでパワーロスしている証拠です。 しかし、アンテナを倒し、コイルを握っても温度差は感じられません。 良く見ると、上部エレメントの先端部分より上の約10cmくらいの長さの釣竿が燃えてしまい短くなっていました。 ワイヤーの塩ビ被覆のこげ具合から、スパークが起こったと思われます。  対策案もすぐには出てこないので、とりあえず、ワイヤーの先端から5cmくらいのところで折り曲げ、先端と釣竿の間に隙間を確保しました。 この状態で再度送信テストを行うと、60W連続送信では、SWRが変化しなくなりました。

夜になるのを待って、まず受信性能の比較。 ちょうど7エリアの局がCQを出していましたので、7MHz用垂直ダイポールと比較しました。 垂直ダイポールではS7でしたが、この短縮ホイップではS9です。前回のアルミ線では、これほどの差は無かったような気がします。 他のエリアの局を聞き比べても、Sひとつ以上の差がある事は確かです。 先端が、シャックより低い位置にある短縮ホイップが、7MHz垂直ダイポール+NT-636の組み合わせより、良い事だけははっきりしました。

CQ局を呼んだり、CQを出したりして、 すでに3局とQSOでき、喜んでいると、通りがかりのドライバーが、わざわざ車を止めて、短縮ホイップを見ているという話が飛び込んできました。 まさか?と思い、CQを出しながら、窓を開け、アンテナを見ると、キーイングに同期してアンテナの先端に紫色の光が見え、時々火花が散っていました。 コロナ放電です。  出力が60Wくらいでは起こりませんが、100Wにすると発生します。 SWRは1.5以下ですが、フラフラしています。 昼間は、明るくて見えませんでしたが、40Wの出力で、この現象がより激しく起こっていたのでしょう。

160hpcorona2 

JA1AEA鈴木OM著「キュービカル・クワッド」の中に出てくる、キトーの4エレ八木が火花を散らすシーンを思い出してしまいました。 ここは、標高230m。 コイルのQが上がったのか? アースが良すぎるのか? とにかく、火花は散りますが、交信はできます。 さあ、どうしようか?    対策が必要です。

とりあえず、その晩は出力を絞って、交信する事にしました。  交信できたのは全部で7局。コロナ放電以外は、好結果でした。

160hpcorona3次の日の朝、この垂直ホイップを撤収し、まず、コロナ放電対策です。上部エレメントの先端に丸型端子をカシメ、先端に丸みを持たせました。市販のホイップアンテナの先端には飾りを兼ねて、キャップが付けられていますが、あれも、コロナ放電対策ですね。

このコロナ放電対策は有効に機能し、100WのCW送信でもSWRは安定しています。  やっと、フルパワーで運用出来るようになりました。

また、上部エレメントをミノムシクリップでくわえて長さを調整できるようにしていましたが、釣竿を立てたり、倒したりしている内に、外れる事が多く、ワイヤークリップタイプに変更しました。 ワイヤークリップのビスをプラスチックのノブ付に変えましたので、簡単にワイヤーの長さの変更が可能になりました。 この部分を1cmスライドさせると、周波数は約5KHz変わります。

160mhp10_2160mhp11_2 

暗くなってから、再度コロナ放電を確認しましたが、OKのようです。 この日の晩に交信できた局は8エリアから6エリアまで全9局。途中、従来の7MHz用垂直ダイポールに切り替えたりして比較しましたが、受信時の信号強度差がそのまま送信でも現れているようでした。 

後日、実際のアンテナとMMANAのシュミレーション状態を比較してみました。 残念ながら、一致しているとは言えませんでした。多分、コイルのインダクタンスとQがシュミレーションより大きいのではないかと思われます。また、ポールの高さを8m品に変えると、共振周波数やインピーダンスがずれますが、シュミレーション値との差が大きくなる事もわかりました。 多分、地上高が高くなった分、地面の影響より周囲の影響を強く受けるようになったと思われます。 MMANAでのシュミレーションはあくまでも、傾向を知る程度にしておくべきでしょう。


このアンテナの性能を確認するために、2013年のCQ WWコンテストに参加してみました。受信はモスクワ、北京、北米などがS9くらいで聞こえますが、応答しても、QRZすら返ってきませんでした。+20dBで入感していた、ソウルとサハリンと交信でき一応ポイントは計上できましたが、このホイップアンテナは1600Kmくらいが限界かも知れません。ちなみに、このバンドでCQを出しているJA局は、のきなみ+20~+40dBで入感していました。

送信能力を上げるには、QROするか、アンテナの効率アップしか方法はありません。QROは街の真ん中ですのであきらめ、効率アップが期待できるロングワイヤーアンテナを検討する事にします。

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