CAA-500 検波ダイオード修理交換
プリセット式アンテナチューナーの調整の為、アンテナアナライザーを多用しています。この為、故障も何回も経験しました。
私のアナライザーはコメットのCAA-500ですが、ブリッジ部分に配置された検波ダイオードの破壊が何回か発生しました。破壊が発生すると、その再現テストをして原因を突き止め、2度と同じ環境では使用しないことにしましたので、すでに2年以上経過していますが、以降、故障はありません。
コメットのアナライザーに限らず、全メーカーのアナライザーに共通する事ですので、参考になれば幸いです。
故障の症状:
アンテナ端子に、アンテナを接続していない時インピーダンスもSWRも無限大を指しますが、特にインピーダンスの指示が無限大(スケールオーバー)を指さなくなったり、50Ωのダミー抵抗をつないでSWRは1を示しますが、インピーダンスは、40数Ωしか指さないとか、ひどい時は、ほとんどゼロ付近しか指示しない。
このような症状になった場合、それは調整不良ではなく、検波ダイオードの劣化もしくは破壊です。 (SWRが1.0ではなく1.1以上を示している場合はダミー抵抗が原因の場合が多い。)
修理の仕方:
内部を開け、検波ダイオードを見つけて、テスターで導通テストします。検波ダイオードは通常3個ないし4個付いていますので、それら全てをチェックすると、逆方向での抵抗が異常に低いとか、両方向で導通がないとかなどの異常ダイオードを発見できます。
不良のダイオードが特定できて、かつ、その製品に使われている検波ダイオードと全く同じ品番のダイオードが入手できるなら、異常のあるダイオードだけ交換すればOKです。しかし、このモデルの検波ダイオードの品番は公開されていませんので、コメットに聞かない限り判りません。
とりあえずHFだけでも使えるようにと考えるなら1N60で代用できました。しかし、この場合、異常のあるダイオードだけでなく、問題のないダイオードも一緒に交換する事が必要でした。ただし、サイズが大きいのでハンダ付けに苦労します。あまりお勧めしません。
代替を探すときは、「高周波ショットキーダイオード」で検索をかけると見つかります。順方向電圧と端子間容量がなるべく小さいUHF帯以上で使用可能な物を選べば代用可能です。 私は手持ちのHSC285で代用しましたが、個別販売しているところが無く入手に苦労します。
HSC285の代替え品の情報はこちらにあります。
代替品の場合、VHFもUHFも高い周波数でインピーダンス表示が不正確になったり、3.5MHzなのに50Ω以外のインピーダンス指示が不正確になったりします。我慢できない人は正規品のダイオードに交換するしかありません。
HSC285の場合、不良のダイオードのみ交換すれば、再調整は不要でした。
検波ダイオードが破壊する原因:(実際に発生した事例です)
- 雷はまだ鳴らないけど、雷雨が始まる直前まで調整作業をしていた。受信機から時々放電時のノイズらしきものが出ていました。
- アンテナ調整作業中に雪が降り出したとき、インピーダンスメーターの指示がどんどん下がっていくのを目撃した。そして約2分後にメーターは完全に振れなくなりました。ダイオードが完全に死んだみたいです。雪が降り続いている時より、降り始めのときが壊れ安い。
- 黄砂がまっている日にアンテナ調整をした。信じられないかもしれませんが、この日、ダイポールから引き込んだオープン状態の同軸ケーブルのコネクター付近でパチ、パチという音が10数秒置きに発生し、アンテナをつながない受信機からその音に合わせて小さなノイズが出ていました。
壊れるのは、決まって、インピーダンス検出用のダイオードです。ダイオードを交換して、50Ωのダミー抵抗で確認すると、全バンド50Ωを指しますので、再調整はやっていません。
これらの事故は、ダイポールの調整を行っている時発生しました。ループアンテナの調整時は問題なしでした。 ダイポールの場合、 アンテナが帯電始めると、受信機から周期的に放電ノイズが聞こえます。このノイズが聞こえ始めたら、アンテナアナライザーをアンテナにつながないことです。
<後日談です>
受信機のTS-930のスピーカーから、いかにも放電ノイズらしき音が聞こえます。TS-930の電源をOFFしてもその放電ノイズは継続しています。 そして同じ机の上に置いてあるPC VAIOのUSB認識音が継続して聞こえます。アンテナチューナーコントローラーのSWノブに触ったら、静電気による感電を起こしました。急いで窓のカーテンを開けると、雪が降り出していました。雪による帯電は雷より怖いですね。
せっかくの便利グッズです。上手に使って長持ちさせましょう。