160m SSB 送信機 ケースイン
カテゴリ<SDR> [1.8MHz 自作 dsPIC]
200Wリニアアンプも完成しましたので、いよいよ、160m SSB送信機をケースに収納します。
手配しておりましたIDEALのケースが届きましたので、2月中旬の屋外で、ケース加工を行い、2日間で、組み立て完了しました。
とりあえず、通電テストは完了しました。 ケースの高さの計算を間違い、ファイナルのコアが天板ぎりぎりです。 巻線があると、この巻線の直径分のみ天井が膨らみますので、コアが天板に近い部分の巻線をずらしました。 写真で青色のコアが直に見えているところがそれです。 出力3.5W以下なので、多分OK? これから詳細の確認にはいります。
200Wのリニアアンプに接続したところ、出力が出すぎますので、マイクボリューム最大及びCW送信時に200W出るようにVR7を調整してゲインを下げました。最終的なこのユニットでの出力は約3.2Wくらいになりました。
T4(終段の出力トランス)の1.8MHzに於ける1次側インピーダンスが60Ωくらいしか無く、ちょっと少ない気がしますので、コアをESD-R-18SDから、ESD-R-25L-Aへ変更しました。 これで1次側のインピーダンスは130Ωくらいになり、実際のインピーダンス12.5Ωの約10倍になりましたが、出力が若干落ちたものの、IMDはあまり変わりませんでした。
下が、その変更後の出力トランスです。
この状態で、実際にダイナミックマイクをつないで、交信のシュミレーションをしてみました。 マイクの出力インピーダンスを50KΩに設定してあったのですが、ゲインが不足します。マイクとの距離を20cmくらいにしたとき、マイクVR最大でも、ピークで30Wくらいしか出ません。 マイクアンプのゲイン設定を間違ったようです。 本来、ALCアンプの入力レベルは-40dBくらい必要なのですが、ALCが動作開始する入力レベルは-28dBしかなく、12dBの不足です。 やむなく、ALCアンプのゲイン設定を40dBから60dBに変更し、8dBのオーバー分はマイクVRを絞って使う事にしました。
一応は使える状態になりましたので、これでTSSへ保証認定依頼する事にします。
TSSへ送ったブロックダイヤグラム 160m_SDR_TX_BLOCK.pdfをダウンロード
TSSへ日曜日に送り、保証料の振り込みを月曜日の朝一に実行するように銀行へ依頼したら、月曜日の夕方には、保証認定する旨のメールが届き、正式認定書はその週の金曜日に届きました。 さらに次の月曜日の朝、総通へ変更申請を行うと、火曜日に審査終了し、免許状送付用の封筒を送れというメールが総通よりきましたので、水曜日に返信用封筒を送ると、翌週の月曜日に変更された免許状が届きました。 ただ、アンテナがまだ張られていない事。 200W送信機用のAC/DCコンバーターから約100KHzおきに発生するS9オーバーのノイズ対策が出来ていない事もあり、すぐにはON AIRできそうもありません。
AC/DCコンバーター電源からのノイズは対策できました。
アンテナが出来ました。
アンテナの動作確認出来た次の日、午後7時過ぎにこの送信機+200WリニアでCQを出しました。 香川県高松市からコール頂き、送信機も正常に動作している事を確認できました。 ただ、送信機の回路に不安定要素があるみたいで、電源ONしてもメインマイコンがSTOPしてしまう事があったり、マイクから変調がかからないと言う故障があります。 原因は、チップ部品のハンダ付け不良と、ジャンパー線の被覆が薄い事もあり、基板のビス締め等の外圧により、チップ部品のハンダや電極が割れたり、ショートする事があるみたいです。 ON AIR前に一通りは修理対応を行いましたが、その内、また発生するかも知れません。
使い始めてから1か月たちましたが、同様な問題の発生はなくなりましたが、時々送信モードにしても電波が出ないという現象が出ます。多分、マイクスタンドのスタンバイSWのチャタリングだろうと、波形をチェックしてみました。 通常の操作ではなんともないのですが、たまに左下のような波形がマイコン端子に加わり、異常動作しているものでした。 対策として、マイコンの入力端子に接続してある0.1uFのコンデンサを1uFに変更しました。 右下がその波形で、何回かトライし、最悪状態での波形になります。 PTT Swが切り替わったかどうかの判断期間を50mSECに修正。
たまに、送信周波数とLCD表示が一致しないという問題が発生しました。 ロータリーエンコーダーのチェックは1m秒間隔で行っていますが、LCD表示の更新には約15m秒かかります。 15m秒の間に、DDSの周波数を変更し、次に周波数表示を変更しますが、DDSの周波数変更中に周波数の変更があった場合、この新しい周波数を表示してしまうというバグです。 対策としては、ロータリーエンコーダーのチェック間隔を4mSECに変更し、周波数変更があったら、DDSと表示の周波数変更を連続して行い、その間に周波数の変更が有っても、それは次のステップで処理するというプログラムに修正しました。 LCDの表示の追従がやや遅れますが、表示と送信周波数の不一致は無くなりました。 また、ラストメモリーの周波数がずれるというバグも修正しました。
音声信号の低域をカットしすぎでしたので、60HzまでFIRフィルターを伸ばしました。 ただしLSB用のフィルターで100Hzくらいまでしか対応できないので、実質は100Hz止まりです。
送信と受信を何回も繰り返していると、時々、送信モードには切り替わるけど。電波が送信されないというトラブルが出続けていました。 この現象は、ラグチューで交信時間が30分以上になるとき、特に頻繁に発生していました。 そこで、この現象が発生した時のSEND SWの信号ラインの電圧変化をモニターする事にしました。 そして、数十回の操作の結果、その症状が現れるときのSENDラインの異常波形をとらえる事に成功しました。 左上のデジタルオシロの波形の時、この送信されない現象が発生しました。 原因はわかりませんが、SENDにした途端、マイナス1.7Vくらいの電圧が発生し、このマイナス電圧で、システムマイコンがラッチアップしてしまう事がわかりました。 対策はこのラインにマイナス方向のパルスを吸収するダイオードを追加する事にしました。ダイオードを追加した結果、このマイナスパルスの先頭値は-0.3Vくらいに押さえられ、実験の最中では、異常現象は発生しません。 多分対策出来たと思えますので、しばらく様子を見る事にします。
最終配線図 160m_tx_5.pdfをダウンロード
最新のソフトウェアです。 2023年12月15日更新
float_TapFIR_AM_S36k_T301_BPF.hをダウンロード
float_TapFIR_B2R8k_S36k_T201_BPF.hをダウンロード
float_TapFIR_LSB2R8k_S36k_T401_BPF.hをダウンロード
2024年5月
この送信機には、AM変調の機能がありますが、この送信機を開発始めた時は面倒なので、LSB信号にキャリアだけを追加したA3Hの変調形式でした。しかし、AMで変調した音をTS-850で聞いても歪だらけでした。 そこで、フィルターを変更して、両側波帯のA3に変更する事にし、このAM用FIR BPFの係数を新規に仕入れたrePhaseというアプリで作り、このフィルター係数の検証を兼ねる事にしました。
rePhaseで作ったBPFはキュリア周波数を中心に、150Hz~2750Hzの音声帯域が両側波帯に出来るようにした以下の設定で作成しました。
出力された係数ファイルをリネームして、SSBジェネレーターのソフトの中に組み込んで、ソフトを書き換えた結果以下の画像がえられました。
左上が、700Hzの正弦波で変調した送信機出力の波形です。 右上は、音楽を変調中のDSP出力直後のスペクトルです。 右上のスペクトルはBPFの帯域を指定した6.232KHz以下及び11.832KHz以上は綺麗にカットされています。
この変更を盛り込んだソースファイルは以下です。
SSB_generator_160m_2r01.cをダウンロード
float_TapFIR_AM_W36k_T301_BPF.hをダウンロード
以上の二つのファイルを差し替えて実現します。