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2019年6月24日 (月)

時々2mが送信できない。そろそろ寿命かな?

カテゴリ <TH77

快調に使用出来ていたTH-77ですが、今年の正月ごろから、時々送信できないというトラブルが発生していました。 今年になって何回か使用したのですが、半分くらいの確率で送信不能に陥ります。

インターネットで情報を探すと、ぴったりの症状がヒットしました。 430はOKだが144だけが送信できないという症状です。 原因は電界コンデンサの液漏れの為、付近の部品や銅箔を腐食させ、2mの送信起動回路が正常に働かないらしいのですが、修理は非常に難しいと書かれています。

時々その症状が出るので、完全腐食まではなっていないかも知れないと、インターネットで英文サービスマニュアルを探しだし、早々に分解して中を覗いてみる事にしました。

Th771

Th773上の写真の黄色で囲った当たりが臭いとにらみ、SMTの電解コンデンサを触ってみると、これがグラグラです。横からみても液漏れ臭いので、これを取り外してみたら、銅箔ごと取れてしまい、半田付けの銅箔は無くなってしまいました。 

左がその取り外した電解コンデンサですが、液漏れが始まったばかりの状態でした。 もう一個の電解コンデンサは、まだ大丈夫みたいです。 この電解コンデンサはELNAブランド。KenwoodはELNAがお気に入りみたいで、この時期のモデルは全てELNA製であり、これが決まって液漏れを起こします。 ニチコンやケミコン品は容量ダウンが有っても液漏れまで発展する事は無いのに。

Th772

どこがわるいのか特定はできていませんが、変色したトランジスタのコレクタ端子と270KΩのチップ抵抗の電極は半田付けしなおし、接点復活剤を吹き付けた状態で通電してみました。すると、270KΩの抵抗と電界コンデンサの端子の間にある腐食したようなところから煙がでます。 煙と言っても蒸気みたいな感じで焼けている気配は有りません。 

使用した接点復活剤は、接点の清掃を行うもので、いつも使う「KURE」ブランドです。 スイッチの接点復活以外に、SMT基板の清掃や、GHz帯のコネクター清掃に使っており、例え拭き残りがあっても、電子部品を腐食させたりはしないというものです。 接点復活剤を綿棒できれいにふき取り、送受信テストすると、たちまちは異常が有りません。 取り外した電解コンデンサをリード付コンデンサで代用しようとしましたが、半田付けの銅箔が折れてしまい、もう有りませんので、回路図から、最悪無くてもよいかと、勝手に判断して、電解コンデンサ無しで元の状態に組み立て直しました。

Th774

受信テストをすると、スケルチのスレッシュホールドポイントでポツポツとノイズが連続して入ります。 S9の信号を受信すると、音声が高速に断続して聞こえ、了解度が大幅にダウンします。 やはり47uFの電解コンデンサは必要なようです。 

そこで、手持ちの10V100uFを左の写真のように追加しました。 この対策で、スケルチの効きは正常になり、音声もきれいな元の状態に戻りました。

そして、今までやっていなかった送信テストを行ってみました。 SENDモードになり、そばに置いてあるFT991のSメーターがフルスケールになるのは確認済みでしたが、しゃべってもスピーカーから音声は出ません。 変調がかからないようです。

サービスマニュアルの基板図は解像度が悪く、チップ部品のREF No.はおろか、ストリップラインのつながりも良く判りません。 唯一IC1の場所が判りましたので、オシロを各端子に当てて、マイクに向かって大声で叫ぶと、IC1の3番ピンにはかろうじて信号が見えますが、1番ピンにはなにも見えません。

テスターでDC電圧を当たると、3番ピンが5V、1番ピンも5Vです。 OP-AMPですから3番も1番ピンも2.5Vでないといけないのですが、ここが5Vです。 Th776

R30 27KΩが断線もしくはGNDへ接続されていないのが原因のようです。C45の2.2uFはちゃんとGNDに接続していますので、R30だけが浮いていると思われます。

Th775

そこで、C45に1608のチップ抵抗をパラ付する事にしました。C45のサイズが大きすぎてコンデンサの背中にパラ付できませんので、コンデンサのGND側に27Kの抵抗を立てて半田付けし、反対の端子から0.18mmφの銅線でコンデンサのホット側につないでやりました。 この追加作業で、変調がかかるようになりましたが、本当の原因は不明のままです。

この状態で当分様子を見る事にします。

 

 

2022年正月

ニューイヤーパーティに参加すべく、自宅で動作テスト済みのTH-77を持って、野呂山に行きました。 駐車場に着いて、144のメインチャンネルをワッチすると、音声が歪んでいます。 この音声の歪は前回の故障時にも有り、電解コンデンサを追加したら、直ったものでした。 試しに430にバンドを変えると、綺麗に聞こえます。 そして、144に戻ろうとしたら、バンドが切り替わらなくなりました。 駐車場で、20分くらい、ジタバタしましたが、回復しません。 1局もQSOできずに諦めて下山しました。 そして、このTH-77はジャンク箱行きとなりました。

新しい、ハンディ機をさがさねば!

2022年1月に注文したVX-6が4月下旬に届きました。

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2019年6月 1日 (土)

10m D級アンプの実験

カテゴリー<6m AM >

タイトルは10m D級アンプですが、当初、6m D級アンプのつもりで実験を始めましたが、どうにも出力が出ず、やむなく10m D級アンプに修正した経緯があります。

安い半導体で50MHzのPWM変調方式のAMパワーアンプを実現すべく調べていましたら、2018年の春に、TIより60MHzのFETドライバーが発売になっていることを知りました。 この新製品であるドライバーがDigikeyにて500円台で発売されています。 残念ながら私はDigikeyのアカウントを持っていないので、60MHzでなくても30~40MHzくらいのFETドライバーをRSで取り扱っていないか探したところ、TIの製品でUCC27511というドライバーが見つかりました。 FETの入力容量が1800PFの場合、Typ24MHz付近まで動作します。 現在6mのAM送信機に使用しているファイナルはIRFI510で、このCissは180PFです。 入力容量がドライバー指定の1/10ですから、50MHzまで動作してくれないだろうかと、このUCC27511を手配し、実験する事にしました。

28m_pa0

28m_pa1

UCC27511はRSでMOQ=5の条件で、1個 187円弱です。

放熱板や基板を加工し、実験出来るボードを作り、実験を開始しましたが、残念ながら、50MHzの出力は得られませんでした。 FETドライバーの出力がFETゲートをドライブできる波形やレベルになっていません。

28m_pa4

上のjpgによる回路図が良く見えない時は28M_ClassE_AMP0.pdfをダウンロード

そこで、周波数を下げて、どの辺まで出力できるのか調べてみました。

28m_pa5freq

左のグラフはVDD 5V、入力レベル6dBmにて、周波数を可変した時の出力です。32MHzを過ぎると急激に出力が落ちています。 ドライバーとFETの実力による周波数限界が重なった事から、この回路では32MHzが使用限界と考えられます。26MHz以下で出力が下がっているのは、使用しているメガネコアがカーボニルの低μ(ミュー)コアによるもので、フェライトコアを使えば、フラットかあるいは出力が上がる傾向になるものです。

結果的に50MHzでのパワーアンプは不可能と判りました。 そこで、28MHzではどうなのかデータを取る事にしました。

 

28m_pa6 上のグラフは28.5MHz、入力3Vppにて、電源電圧を可変した時の出力データです。青色のカーブはVDD:4Vの時の出力2.5Wを基準にした理想的なデータです。 赤色のカーブが実測値です。 VDD 7Vくらいまでは、なんとか理想に近いカーブをしていますが、それ以上のVDDでは電源電圧と出力の関係は非直線になっており、PWM変調においては、きれいな歪の少ない変調がかけられない事を示しています。

この原因は終段のIRFI510の性能が影響している為であり、60MHzのFETドライバーを用意しても、この問題は解決されないと考えられます。

IRFI510の限界周波数は約21MHzでした。 そこで、限界周波数が約39MHzのFKI10531ではどうだろうかと28MHzでテストしてみました。 残念ながら、Ciss=1500pFが災いし、電流が700mAくらい流れ、30秒くらい通電したら、UCC27511が煙を出して壊れてしまいました。

電源電圧13.8Vで60MHzでもスイッチングするFETは実在しています。Gan FETと呼ばれていますが、1石9000円くらいですので、このFETを使うくらいなら、50MHzで100W出せるリニアアンプの方が安くできます。 よってこの検討は当分休止です。

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