再開局以来17年間使ってきたアナログ式のSWRメーターでしたが、性能的には全く不満はないのですが、いざSWRを測ろうとすると、一度進行波電圧でメーターがフルスケールになるよう可変抵抗器で調整した後、反射波電圧をスィッチを切り替えて読むという面倒が有り、Z-ATUが正常に稼働している今、このアナログ式SWRメーターは使用していない状態になっていました。
ATUを自作する段階で、デジタル方式のSWR計はいくつも作ってきましたが、このデジタル方式のSWR計は出力レベルが変わっても常に正しいSWR値をデジタルで表示します。 しかし、現用中のPOWER計付きリグ切り替えBOXのフロントパネルを新規に作り直すのは、かなり面倒で、今一つ踏ん切りができず、長い間そのままでした。
そこで、SWRの検出はデジタルで行い、得られたデジタルのSWR値でアナログメーターの針を振らすSWRメーターを作成する事にしました。
デジタル値のSWRをアナログメーター用の電流に変換するのは、変換テーブルを使い、デジタルの電流値にした後、これをPWMにてアナログ電流に変換します。
上の写真はLCDディスプレーを接続してデバッグ中のSWRデジタル検出回路のテストを行っているところです。 このデジタル回路を収納するBOXは600Wピークの送信電力が通過しますので、マイコンが誤動作しないように、回路を金属のケースに入れ、そこから出るワイヤーは全てアクセスパネル経由で接続します。 こうする事により、外部で発生している高周波電流や電圧の影響がマイコン基板に妨害を与えにくくする事ができます。
上の写真は出来上がったマイコン回路を金属ケースに収納した後、SWR計用のケースに組み込んだ状態です。このBOXは複数のリグを1本のアンテナへ接続したり、別系統のアンテナへ切り替えるスィッチBOXのみが機能し、以前有った外部のMTUやATUをコントロールする機能は使用していません。BOXの中の右半分は、MTUやATUのコントロールのとき使っていたLEDとスィッチですが、現在は配線をカットしてあります。
下の写真は出来上がったアナログ表示のSWR計とZ Match ATUのコントローラー(青色のパネル)とペアのショットです。 Z-ATUの内蔵SWR計はSWR1.04と表示していますが、アナログメーターのSWR値は1.07くらいの表示で、これくらいの誤差は許容範囲です。
AMやCW、FT8では問題ないのですが、SSBのとき、しばしば指針が無限大まで跳ね上がります。 進行波電圧と反射波電圧を時間差をもって取得している為、これは理屈上起こりうる現象で、解決するには、2chのADCが同時にサンプリングする必要があります。 しかしながら、汎用のPICマイコンは、ADCの数は多いですが、各チャンネルをスキャンしながらAD変換を行う関係で、SSBのように音声周波数の周期で振幅が変化する場合、どこかで進行波電圧より反射波電圧が大きくなることが起こり、SWRメーターの針が無限大を指してしまいます。 これを少しでも和らげる為に、連続キャリアの場合、正確なSWRを計算でき、かつSSBの時でも、少なくとも指針が無限大を指示しないようにソフトで対策しました。 SSBの時は、正確なSWRは指示出来ませんが、そこそこ違和感なしで動いています。
SWR計の配線図 Analog_SWR_Meter_250531.pdfをダウンロード
マイコンプログラム Analog_SWR_Meter_2.cをダウンロード
SWRデータ変換テーブル SWR_outdata.hをダウンロード
デバッグ用フォント Font9.hをダウンロード
デバッグ用フォント Font12.hをダウンロード