中華製 SI5351A 実働テスト

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私が、インターネットで最初にその存在を知ったのは2015年ごろで、10年前の事でした。 当時デジタルVFOと言えば、アナデバのDDSが一般的で、シリコンラボのこのICに注目する人は少なかったと見え、あのRSでMOQ5で750円(1石150円)で売られていました。当時、秋月では確か150円か200円だったと思いますが、2016年にRSで150円で調達したこのICは、自作の無線機に欠かせない存在になってしまい、2025年5月時点で、秋月でも320円で販売されています。 一方、安売りの中国市場での価格は円安の影響もあり、シリコンラボオリジナル品が1pcs 200円以上しています。

昨年の夏から製作を始めたZ Match ATUの部材を通販で中国から買うとき、買い物合計金額の集計中に後300円以上購入すると、送料無料と表示されます。 一応欲しい物は全部買い物かごにいれ終わり、送料が300円くらい計上されている状態なので、つい、何か300円程度の物はないかと探すと、SI5351Aが5石で350円(現在でも存在しています)というのが目に留まりました。 1石70円換算です。 中華製のブランド名で売られていますが、「オリジナル」と書いてあり、本物とほぼ同じ捺印がされた写真まで付いています。 どうせ、シリコンラボのコピー品の「オリジナル」だろうと思いましたが、送料がタダになるのなら、失敗しても損はないとこれを購入したのが10か月前。

やっと、このICがちゃんと使えるのか検証する事ができましたので、レポートします。

Isi5351a_test_pcb


使ったPICマイコンはPIC24FV32KA302という16bit品で私の部品箱には数石在庫がありましたので、これでSI5351Aをコントロールする事にしました。 いつもの通り、25MHzのクリスタルの半田付けには苦労しましたが、とりあえず動きだしましたので、過去シリコンラボの正規品のデータが残っている17MHzと24MHzのスプリアスのテストをおこないました。

このテスト基板は、SI5351Aのほかに、SPIドライブのLCD表示や、SWR計のテストも出来るようにしてありますので、余計な部品がいっぱいついていますが、実際に動作しているのは添付している配線図の範囲だけです。

Isi5351_freq17mhz

Isi5351a_17mhz_spa

Isi5351a_24mhz_spa

上の周波数表示は17MHzを発生させたときの周波数カウンター表示ですが、目標の17MHzに対して390Hzの誤差ですが、この数値は、簡単に校正できますので、表示がチラつかないという事だけが確認になります。 そして、過去のSDRトランシーバーでも問題となったスプリアスです。

左上が17MHz、右上が24MHzの中華製ICのスペクトルデータで、左下及び右下のデータがシリコンラボ正規品のスプリアスになります。

17MHzの±1MHzくらいにあるスプリアスがシリコンラボ純正より約5dBほど高くなっています。また、CNが6dBほど悪くなっています。 この状態では28Mhz以下の送信機にはギリギリセーフですが50MHz以上の送信機では不適合となってしまいます。 24MHzはローカルオシレターとしてはNGとなっています。 スペアナ設備が無い場合、この70円のICは送信機に使わない方が無難かと。

17mhzonly

24mhzonly

 

Isi5351a_1724mhz_spa

左は中華製の17MHzと24MHzを同時に発生させた時の、17MHz側のスプリアスを見たものですが、24MHzのスプリアスがそのまま出ている状態で、2波同時発生は不可との結論です。 このレベルはシリコンラボのオリジナル品と同等です。 

これらの結果から、簡易型のSSGくらいにしか使えませんね。SSGのスプリアスレベルは-30dBくらいから製品化されていますので。

この実験に使った配線図 SI5351A_test_CN.sch.pdfをダウンロード

テストに使ったプログラム S15351A_CN_copy.cをダウンロード

このテスト用プログラムの中には、SPIドライブのLCD表示プログラムも含まれておりますが、今回はテストの対象にはしていません。

 

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